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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

D 5806-1994 

自動車用スタータスイッチ 

Starter switches for automobiles 

1. 適用範囲 この規格は,自動車用スタータスイッチ(以下,スイッチという。)について規定する。 

備考1. ここでいうスイッチは,次のものとする。 

(1) ガソリン自動車の点火1次回路,始動回路,その他の電気機器回路の開閉に用いる公称

電圧12Vのイグニションスタータスイッチ。 

(2) ディーゼル自動車のエンジン始動回路,その他の電気機器回路の開閉に用いるロータリ

式スタータスイッチ。 

なお,ディーゼル自動車用スタータスイッチ(ロータリ式)については,附属書に示

す。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 0209 メートル並目ねじの許容限界寸法及び公差 

JIS B 0211 メートル細目ねじの許容限界寸法及び公差 

JIS C 1102 指示電気計器 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS D 0201 自動車部品の電気めっき通則 

JIS D 1601 自動車部品振動試験方法 

JIS D 5403 自動車用電線端子 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

2. 種類及び記号 スイッチの種類及び記号は,切換段数による形式(図1参照),接続負荷別最大負荷,

接続端子及び端子記号により区分し,表1に示すとおりとする。 

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D 5806-1994  

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図1 

表1 

単位 W 

種類 

形式 

記号 

R端子の有無 

及び 

負荷高低 

接続端子,端子記号及び最大負荷 

蓄電池 イグニショ

ンコイル 

イグニション
コイル 

(始動時)(1) 

スタータリレ
ー又はスター
タマグネチッ
クコイル 

ラジオ,冷
暖房器など 

IG 

ST 

ACC 

G1種 

2段式 

1LR 

低負荷用R付き 

− 

120 

60 

120 

− 

1L 

低負荷用Rなし 

− 

120 

− 

120 

− 

1HR 

高負荷用R付き 

− 

240 

60 

120 

− 

1H 

高負荷用Rなし 

− 

240 

− 

120 

− 

G2種 

3段式 

2LR 

低負荷用R付き 

− 

120 

60 

120 

120 

2L 

低負荷用Rなし 

− 

120 

− 

120 

120 

2HR 

高負荷用R付き 

− 

240 

60 

120 

240 

2H 

高負荷用Rなし 

− 

240 

− 

120 

240 

注(1) 始動時に抵抗を通さずにイグニションコイルへ接続する端子。 

3. 性能 

3.1 

絶縁抵抗 スイッチの外枠と端子間及び各端子間の絶縁抵抗は,常温常湿の状態において1MΩ以上

とする。 

3.2 

接触抵抗 スイッチをON状態において,入力端子と出力端子との間に10Aの負荷を加えたときの

接触抵抗による電圧降下は,表2に示す値以下とする。 

表2 

単位 V 

項目 

電圧降下 

耐久検査前 

0.15 

耐久検査後 

0.25 

3.3 

耐温度性 スイッチは−30〜80℃の温度範囲において各部に異状を生じないで,−20〜60℃の温度

範囲で作動しなければならない。 

また,接触抵抗は,3.2に規定する耐久検査前の値を満足しなければならない。 

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D 5806-1994  

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3.4 

温度上昇 スイッチをON状態において,入力端子と出力端子との間に低負荷用は19A,高負荷用

は38Aの負荷を加え,各部の温度がほぼ一定になったときの導電部の温度と負荷を加える前の温度との差

は,表3に示す値以下でなければならない。ただし,ST端子及びR端子付きのIG端子を除く。 

表3 

単位 ℃ 

接点材料 

温度差 

銅又は銅合金 

40 

銀又は銀合金 

65 

3.5 

耐振性 スイッチの走行位置において,JIS D 1601に規定する段階4による試験を行ったとき,接

点の接触ふらつき及び有害な異常音を生じてはならない。 

3.6 

耐久性 スイッチは通常の使用状態において,作動回数25 000回以上使用しても3.1,3.2及び4.3

の規定を満足しなければならない。 

なお,作動回数は,キーの操作1往復を1回とする。 

4. 構造 

4.1 

一般構造 スイッチは,キーにより作動し,できるだけ取扱いが簡単で,しかも堅ろうなものとし,

使用中各部が緩まないような構造とする。 

なお,OFFの位置を除いた各段の位置で,キーは抜けてはならない。 

4.2 

切換接続回路 スイッチの切換接続回路は,表4に示すとおりとする。 

表4 

注(2) 表中の破線は,切換途中でオーバーラップしていることを示す。 

4.3 

操作,節度及び自動もどり スイッチの操作は滑らかで,2段式のOFF及び1段目,3段式のOFF,

1段目及び3段目の停止すべき正しい位置(2.の図1に示すキーの位置をいい,以下,停止位置という。)

を手ごたえで容易に感知できなければならない(以下,節度という。)。ただし,その際のOFF→1段→OFF

及びOFF→3段→OFFのキーの停止位置の中間における最大トルクは,0.15〜0.34N・mとする。 

なお,各停止位置の中間では,有害な引っかかり,きしみ,がたなどがあってはならない。 

2段式及び3段式のキーの位置の2段目は,1段目の停止位置からキーを時計方向に回し,停止する位置

まで滑らかに回転するもので,この間で手を離したとき,1段目の停止位置まで確実に自動的にもどらな

ければならない。 

なお,このときの操作の最大トルクは,0.6N・m以下とする。 

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4.4 

形状及び寸法 スイッチの形状及び主要寸法は,付図1に示すとおりとする。 

4.5 

キーの遊び スイッチの外枠とキーとの回転方向の各段の遊び角度は,10°以下とする。ただし,2

段目は除く。 

4.6 

端子の強さ スイッチの端子は,正規の使用状態で端子のリード線取付部へ垂直静荷重50Nを1分

間加えても,有害な変形,端子固定部のがた,その他に異状が生じてはならない。 

なお,平形端子又はリード線にはんだ付けをしたものは,リード線の引き出し方向へ静荷重50Nを加え

る。 

4.7 

取付部の強さ スイッチの取付部は,スイッチを正規の使用状態に取り付け,外枠先端(付図1参

照)へ垂直静荷重 (W) 50Nを1分間加えても,取付部その他に異状が生じてはならない。 

5. 材料及びめっき スイッチの主要部の材料及びめっきは,原則として表5に示すとおりとする。 

なお,めっきはJIS D 0201による。 

表5 

部品名 

材料 

めっき 

キーシリンダ 

黄銅 

MBCr5 

亜鉛合金 

MZCr10又はMZNi15 

キー 

軟鋼 

MFNi5又はMFCr10 

黄銅 

MBCr5又はMBNi5 

洋白 

− 

ステンレス鋼 

接点 

銅又は銅合金 

銀めっきを施す場合はMBAg5 

銀又は銀合金 

− 

端子 

銅 

− 

黄銅 

軟鋼 

MFZn5 

端子用小ねじ 

黄銅 

− 

軟鋼 

MFZn5 

外枠 

軟鋼 

MFZn5 

アルミニウム 

− 

亜鉛合金 

合成樹脂 

化粧ナット 

黄銅 

MBCr5又はMBNi5 

軟鋼 

MBNi5又はMFCr10 

亜鉛合金 

MZCr10又はMZNi15 

アルミニウム 

MACr20 

合成樹脂 

− 

絶縁体 

合成樹脂 

− 

備考 MFZn5の場合は,クロメート処理B又はCを施す。 

6. 外観 スイッチの化粧ナット,キーシリンダ及びキーの外観は,JIS D 0201の規定による。ただし,

傷についての限度は,原則として表6に示すとおりとする。 

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表6 

外観の状態 

限度 

打傷 

幅0.5mm以下,長さ3mmまで2個以下 

素地傷 

長さ1〜4mm2個以下 

すり傷 

長さ3〜10mm2本以下 

備考 キーシリンダ回転部分の可視面の,打傷,すり傷に

は表6を適用しないが,できるだけ傷のないことが
望ましい。 

7. 検査 

7.1 

形式検査 形式検査は,新規の設計製作によるスイッチが設計どおりの性能を発揮するかどうか,

又は新規の受渡しに際し,設計仕様どおりの性能を発揮するかどうかを知るために行うもので,次の各項

目について行い,同一試験品について全部の検査に合格しなければならない。ただし,(7)は,別の試験品

で行ってもよい。 

(1) 構造検査 

(2) 材料検査 

(3) 外観検査 

(4) 絶縁抵抗検査 

(5) 接触抵抗検査 

(6) 耐温度検査 

(7) 温度上昇検査 

(8) 操作,節度及び自動もどり検査 

(9) 耐振検査 

(10) 耐久検査 

(11) 表示検査 

7.2 

受渡検査 受渡検査は,形式検査に合格した同一形式のスイッチを製造又は受渡しの際に行うもの

で,同一試験品について,次の各項目全部の検査に合格しなければならない。ただし,4.6に規定する端子

の強さ及び4.7に規定する取付部の強さは検査を行わない。 

なお,受渡当事者間の協定により,検査の項目の一部を省略してもよい。 

(1) 構造検査 

(2) 外観検査 

(3) 絶縁抵抗検査 

(4) 操作,節度及び自動もどり検査 

(5) 表示検査 

7.3 

検査条件 

7.3.1 

検査場所の標準状態 特に指定がなければ,原則としてJIS Z 8703に規定する常温常湿とする。 

7.3.2 

測定用電気計器 電圧計及び電流計は,JIS C 1102に規定する0.5級以上,絶縁抵抗計はJIS C 1302

に規定する500V用のものを使用する。 

7.3.3 

検査電圧 特に指定がなければ,検査電圧は公称電圧12Vとする。 

7.3.4 

検査電流 特に指定がなければ,検査電流は10Aとする。 

7.3.5 

検査負荷 特に指定がなければ,抵抗負荷(電球を含む。)を用いる。 

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7.4 

検査方法 

7.4.1 

構造検査 構造は,4.の規定に適合しなければならない。 

7.4.2 

材料検査 材料は,5.の規定に適合しなければならない。 

7.4.3 

外観検査 外観は,6.の規定に適合しなければならない。 

7.4.4 

絶縁抵抗検査 絶縁抵抗は,3.1の規定に適合しなければならない。 

7.4.5 

接触抵抗検査 接触抵抗は3回測定し,その平均値が3.2の規定に適合しなければならない。 

7.4.6 

耐温度検査 

(1) スイッチを低温槽に入れ,スイッチをOFFにした状態で槽内の周囲温度を−30℃に下げ,ほぼ安定し

てから約60分間保持し,温度を徐々に−20℃まで上げる。周囲温度がほぼ安定した後,更に約30分

間保持してからスイッチのキーを10回作動させた後,作動検査を行い,3.3の規定に適合しなければ

ならない。 

(2) スイッチを高温槽に入れ,スイッチをOFFにした状態で槽内の周囲温度を80℃に上げ,ほぼ安定し

てから約60分間保持し,温度を徐々に60℃まで下げる。周囲温度がほぼ安定した後,更に約30分間

保持してからスイッチのキーを10回作動させた後,作動検査を行い,3.3の規定に適合しなければな

らない。 

7.4.7 

温度上昇検査 スイッチの端子に電線を接続して,低負荷用は19A,高負荷用は38Aの負荷を加

え,各部の温度がほぼ安定した後,熱電対を使用して測定したとき,導電部の温度上昇は,表3に示す値

以下でなければならない。 

なお,測定は端子のうち最も接点に近い箇所で行う。 

7.4.8 

操作,節度及び自動もどり検査 電流切換作動は確実で,点灯時に異常がなく,4.3の規定に適合

しなければならない。 

7.4.9 

耐振検査 耐振性は,3.5の規定に適合しなければならない。 

また,振動耐久試験の時間は,各切換位置の合計時間とする。 

備考 スイッチの左右方向へ振動を加える場合,正規の使用状態の取り付けに対して,スイッチの左

右方向の向きを90度回転させて,もとの左右方向が垂直となるようにして,上下振動を加えて

もよい。 

7.4.10 耐久検査 表7に示す条件により,スイッチを開閉作動して耐久試験を行ったとき,各部に異常が

なく,3.6の規定に適合しなければならない。ただし,接触抵抗の測定は3回行い,その平均値をとる。 

表7 

項目 

試験条件 

作動回数 

毎分15〜30回で25 000回 

試験電圧 

(電球端子間) 

14.0±0.5V 

端子負荷電流 

端子 

IG 

ST 

ACC 

低負荷用 

10 

12 

10 

高負荷用 

20 

12 

20 

単位:A,電球又は実負荷とする。 

7.4.11 表示検査 表示は,9.の規定に適合しなければならない。 

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8. 製品の呼び方 スイッチの呼び方は,規格名称又は規格番号,種類又は記号及び端子の種類又は端子

記号による。 

例 自動車用スタータスイッチ2段式低負荷用R端子付きねじ端子又はJIS D 5806-1 LRS 

9. 表示 スイッチは,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を明りょうに表示する。 

(1) 製造業者名又はその略号 

(2) 製造年月又はその略号 

(3) 負荷(低負荷用はLと表示し,高負荷用は表示しない。) 

(4) 端子記号(多極コネクタ付きのものは表示しなくてもよい。) 

付図1 

1. 主要寸法及び取付部寸法 

呼び 

取付部断面AA 

化粧ナット 

パネル取付部穴(参考) 

B1 

d1 

25  M25×1 27.5 −0.1 

−0.4 3.2

0

3.0

− M25×1 26.5 3 

5.5  30 

8 25.5 +0.2 

27.5 +0.2 

3.5

.1

0
0

+ 

(22) M22×1 24.5 

M22×1 24.0 

28 

22.5 

24.5 

20  M20×1 22.5 

M20×1 22.0 

26 

20.5 

22.5 

(18) M18×1 20.5 

M18×1 20.0 

23 

18.5 

20.5 

備考1. 化粧ナットの寸法は,原則として使用する方法を示す。 

2. 括弧の付いている呼びのものは,なるべく使用しない。 
3. D及びdのねじ精度は,JIS B 0211に規定する2級とする。 

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2. 端子寸法 

(1) ねじ端子のねじ(記号S)は,原則としてJIS B 0209に規定するM4×0.7又はM5×0.8の2級とする。 

(2) ぎぼし形おす端子は,JIS D 5403に規定するCAとする。 

(3) 平形おす端子は,JIS D 5403に規定するPAとする。 

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附属書 

ディーゼル自動車用スタータスイッチ(ロータリ式) 

Starting switches for Diesel engine automobiles (Rotary-type) 

1. 適用範囲 この附属書は,ディーゼル自動車のエンジン始動回路及びその他の電気機器回路の開閉に

用いるロータリ式スタータスイッチ(以下,スイッチという。)について規定する。 

2. 種類 

2.1 

切換段数,接続端子,端子記号及び接続回路 スイッチの切換段数は3段とし,その接続端子,端

子記号及び接続回路により区分し,附属書表1に示すとおりとする。 

附属書表1 

2.2 

接続最大負荷 スイッチのM,G及びS端子に接続される各端子の最大使用負荷は附属書表2の中

の値を組み合わせたものとする。ただし,太字の値以外はなるべく使用しないのがよい。 

附属書表2 

単位 A 

接続端子 

20 

30 

20 

30 

50 

60 

備考 この表で規定した値を超える負荷を

使用する場合は,回路にリレーを用い
ることが望ましい。 

3. 性能 

3.1 

絶縁抵抗 スイッチの外枠と端子間及び各端子間の絶縁抵抗は,常温常湿の状態において1MΩ以上

でなければならない。 

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10 

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3.2 

接触抵抗 スイッチのONの状態にある入力端子と出力端子との間に附属書表2の負荷を加えたと

きの接触抵抗による電圧降下は,附属書表3に示す値以下でなければならない。 

附属書表3 

単位 V 

項目 

電圧降下 

電機回路 

予熱回路 

耐久検査前 

0.15 

0.15 

耐久検査後 

0.25 

0.4 

3.3 

耐温度性 スイッチは−30〜80℃の温度範囲で各部に異常がなく−20〜60℃の温度範囲で正常に作

動しなければならない。 

また,絶縁抵抗は3.1の規定を,接触抵抗は3.2の耐久検査前の値を満足しなければならない。 

3.4 

温度上昇 スイッチをONの状態として,入力端子と出力端子との間に附属書表2に示す最大負荷

を加え,各部の温度がほぼ一定となったときの導電部の温度と,周囲温度との差は,附属書表4に示す値

以下でなければならない。ただし,2段及び3段の切換位置では30秒間ONの状態とする。 

附属書表4 

単位 ℃ 

接点材料 

温度差 

銅又は銅合金 

40 

銀又は銀合金 

65 

3.5 

耐振性 スイッチの各切替位置において,JIS D 1601の5.3(振動耐久試験方法)の(1)(共振がない

場合)に規定する段階4による試験を行ったとき,接点の接触ふらつき及び有害な異常音を生じてはなら

ない。ただし,自動戻りの切替位置では,この試験は行わない。 

3.6 

耐久性 スイッチは通常の使用状態において附属書表5の試験条件による試験を行ったとき,各部

に異常がなく,3.1,3.2及び4.3の規定に適合しなければならない。 

なお,作動回数は,キーの操作1往復を1回とする。 

附属書表5 

項目 

試験条件 

作動回数 

毎分15〜30回の速さで,25 000回 

試験電圧 

定格電圧12Vのものは14.0±0.5V 
定格電圧24Vのものは28.0±1.0V 

端子負荷 

電球又は実負荷を用い,附属書表2に規定した大きさとする。 
ただし,G回路は附属書表2の値の120%とし,抵抗負荷を用
いてもよい。 

4. 構造 

4.1 

一般構造 スイッチの構造は取扱いが簡単で,かつ堅ろうなものとし,使用中各部が緩まないよう

な構造でなければならない。 

なお,OFF以外の位置でキーは抜けてはならない。 

4.2 

切換接続回路 スイッチの切換接続回路は,附属書表1に示すとおりとする。 

11 

D 5806-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3 

操作,節度及び操作力 スイッチの操作は滑らかで,停止すべき正しい位置(本文図1に示すキー

位置をいい,以下,停止位置という。)を手ごたえで容易に感知できるものとし(以下,節度という。),各

停止位置の中間において,有害な引っ掛り,きしみ,がたなどがなく,OFF→3段及び1段→2段の間で手

を離したときはそれぞれOFF又は1段まで,確実に自動的に戻らなければならない。 

なお,スイッチを操作するときの最大トルクはOFF→1段及び1段→OFFの中間においては0.15〜0.6N・

m,OFF→3段及び1段→2段の中間においては1.0N・m以下でなければならない。 

4.4 

形状及び寸法 スイッチの形状及び主要寸法は,附属書付図1に示すとおりとする。 

4.5 

キーの遊び角度 OFF及びON位置におけるスイッチの外枠に対するキーの遊び角度は10°以下と

する。 

4.6 

取付部の強さ スイッチの取付部は,スイッチを正規の使用状態に取り付け,外枠先端(附属書付

図1参照)へ垂直静荷重70Nを1分間加えても,取付部その他に異状が生じてはならない。 

4.7 

キーの強さ キーをキーシリンダに正常に挿入した状態で,つまみ部に2.0N・mのトルクを10秒間

加えたとき,著しい変形があってはならない。 

4.8 

端子の強さ スイッチの端子は,端子のリード線取付部へ垂直静荷重70Nを1分間加えても,有害

な変形,がた,その他の異状を生じてはならない。 

なお,平形端子又はリード線付きのものは,リード線の引出し方向へ静荷重70Nを加える。 

5. 外観 スイッチの外観は,割れ,機能上有害な傷,でこぼこ,さびなどの欠点があってはならない。 

6. めっき スイッチに施すめっきは,JIS D 0201による。 

7. 検査 

7.1 

形式検査 形式検査は,新規の設計製作によるスイッチが設計どおりの性能を発揮するかどうか,

又は新規の受渡しに際し,設計仕様どおりの性能を発揮するかどうかを知るために行うもので,次の各項

目について行い,同一試験品について全部の検査に合格しなければならない。ただし,(7)は同一ロットの

別の試験品で行ってもよい。 

(1) 構造検査 

(2) 外観検査 

(3) めっき検査 

(4) 絶縁抵抗検査 

(5) 接触抵抗検査 

(6) 耐温度検査 

(7) 温度上昇検査 

(8) 耐振検査 

(9) 耐久検査 

(10) 表示検査 

7.2 

受渡検査 受渡検査は,形式検査に合格した同一形式のスイッチを製造又は受渡しの際に行うもの

で,同一試験品について,次の各項目全部の検査に合格しなければならない。ただし,4.6に規定する取付

部の強さ,4.7のキーの強さ,4.8の端子の強さは検査を行わない。 

また,受渡当事者間の協定により検査項目の一部を省略してもよい。 

12 

D 5806-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 構造検査 

(2) 外観検査 

(3) 絶縁抵抗検査 

(4) 表示検査 

7.3 

検査条件 

7.3.1 

検査場所の標準状態 特に指定がなければ,原則としてJIS Z 8703による常温常湿とする。 

7.3.2 

測定用電気計器 電圧計及び電流計は,JIS C 1102に規定する0.5級以上,絶縁抵抗計はJIS C 1302

に規定する500V用のものを使用する。 

7.3.3 

検査電圧 特に指定がなければ,検査電圧は公称電圧とする。 

7.3.4 

検査電流 特に指定がなければ,検査電流は附属書表2の値とする。 

7.3.5 

検査負荷 特に指定がなければ,抵抗負荷(電球を含む)を用いる。 

7.4 

性能検査 

7.4.1 

絶縁抵抗検査 絶縁抵抗は,3.1の規定に適合しなければならない。 

7.4.2 

接触抵抗検査 接触抵抗は,3回測定し,その平均値が3.2の規定に適合しなければならない。 

7.4.3 

耐温度検査 

(1) スイッチにキーを挿入し,OFF位置の状態で低温槽に入れ,槽内の周囲温度を−30℃に下げ,ほぼ安

定してから約60分間保持し,次いで温度を徐々に−20℃まで上げる。周囲温度がほぼ安定した後,更

に30分間保持してからスイッチを10回作動させたとき,3.3の規定に適合しなければならない。 

(2) スイッチを(1)と同じ状態で高温槽に入れ,槽内の周囲温度を80℃に上げ,ほぼ安定してから約60分

間保持し,次いで温度を徐々に60℃まで下げる。周囲温度がほぼ安定した後,更に約30分間保持し

てからスイッチを10回作動させたとき,3.3の規定に適合しなければならない。 

7.4.4 

温度上昇検査 スイッチの温度上昇は,3.4の規定に適合しなければならない。 

なお,測定は端子の接触点に最も近い箇所で熱電対を使用して行う。 

7.4.5 

耐振検査 耐振検査は,3.5の規定に適合しなければならない。 

備考 スイッチの前後方向又は左右方向に振動を加える場合,スイッチの前後軸又は左右軸が垂直と

なるようにスイッチを取り付けて上下振動を加えてもよい。 

7.4.6 

耐久検査 耐久性は,3.6の規定に適合しなければならない。ただし,接触抵抗の測定は3回行い,

その平均値を取る。 

7.5 

構造検査 構造は,4.の規定に適合しなければならない。 

7.6 

外観検査 外観は目視で行い,5.の規定に適合しなければならない。 

7.7 

めっき検査 めっきは,6.の規定に適合しなければならない。 

7.8 

表示検査 表示は,9.の規定に適合しなければならない。 

8. 製品の呼び方 スイッチの呼び方は,規格名称又は規格番号及び種類による。 

例 ディーゼル自動車用スタータスイッチ(ロータリ式)D 1種 

又はJIS D 5806-D 1種 

9. 表示 スイッチには単体として見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を明りょうに表示し

なければならない。 

(1) 製造業者名又はその略号 

background image

13 

D 5806-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 製造年月又はその略号 

(3) 端子記号(多極コネタク付きのものは,表示しなくてもよい。) 

(4) 公称電圧(公称電圧が12V及び24V併用のものを除く。) 

附属書付図1 

1. 主要寸法及び取付部寸法 

呼び 

化粧ナット(参考) 

断面XX 

パネル取付部穴(参考) 

B1 

d1 

20 

M20×1 22.0 

5.5 

M20×1 22.5

.1

00.4

− 

3.203.0

− 

20.5

.2

00

+ 

22.5

.2

00

+ 

3.5

.1

00

+ 

25 

M25×1 26.5 

5.5 

M25×1 27.5

.1

00.4

− 

3.203.0

− 

25.5

.2

00

+ 

27.5

.2

00

+ 

3.5

.1

00

+ 

28 

M28×1 29.5 

5.5 

M28×1 30.5

.1

00.4

− 

3.203.0

− 

28.5

.2

00

+ 

31.0

.2

00

+ 

3.5

.1

00

+ 

備考1. 化粧ナットの寸法は,原則として使用する寸法を示す。 

2. d及びDのねじ精度は,JIS B 0211に規定する2級とする。 

2. 端子寸法 

(1) ねじ端子(記号S)のねじは,原則としてJIS B 0209に規定するM4×0.7又はM5×0.8の2級とする。 

(2) きぼし形おす端子は,JIS D 5403に規定するCAとする。 

(3) 平形おす端子は,JIS D 5403に規定するPAとする。 

14 

D 5806-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

自動車,航空部会 自動車附属電装品専門委員会 構成表(昭和54年3月1日改正のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

柳 原   茂 

工業技術院機械技術研究所 

仲井真 弘 多 

工業技術院標準部 

丹 羽 一 夫 

運輸省自動車局 

浜 岡 平 一 

通商産業省機械情報産業局 

狼   嘉 郎 

財団法人日本自動車研究所 

荒 井   宏 

トヨタ自動車工業株式会社 

岩 瀬 靖 近 

社団法人日本自動車連盟 

小 田 富 彦 

軽自動車検査協会 

清 田 益 男 

日産自動車株式会社 

榊 原 良 平 

社団法人日本自動車整備振興会連合会 

土 居 暉 弘 

ダイハツ工業株式会社 

野 路 明 男 

株式会社本田技術研究所 

藤 森 広 美 

三菱自動車工業株式会社 

吉 川 保 行 

富士重工業株式会社 

渡 辺 多加志 

いすゞ自動車株式会社 

上 山   明 

株式会社三ツ葉電機製作所 

小 林 一 之 

市光工業株式会社 

小 林 京 二 

自動車電機工業株式会社 

田 辺   清 

社団法人日本自動車部品工業会 

中 島 四十八 

株式会社小糸製作所 

中 野 貞 雄 

ナイルス部品株式会社 

芳 賀 史 哉 

日本電装株式会社 

平 井 英 一 

田中計器工業株式会社 

八 島 正 道 

矢崎総業株式会社 

吉 田   実 

関東精器株式会社 

(事務局) 

池 田 順 一 

工業技術院標準部機械規格課 

(事務局) 

笹 尾 照 夫 

工業技術院標準部機械規格課(平成6年9月1日改正のとき)