D 5711:2004
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本保安炎筒工業
会(JSFIA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS D 5711:1982は改正され,この規格に置き換えられる。
D 5711:2004
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 品質 ······························································································································ 2
3.1 性能 ···························································································································· 2
3.2 経時劣化性 ··················································································································· 2
4. 成分 ······························································································································ 2
5. 構造,形状及び寸法 ········································································································· 2
5.1 構造 ···························································································································· 2
5.2 形状及び寸法 ················································································································ 3
6. 試料採取方法 ·················································································································· 3
7. 試験方法 ························································································································ 3
7.1 発炎剤の落つい感度 ······································································································· 3
7.2 発炎剤の摩擦感度 ·········································································································· 3
7.3 発炎剤の起爆感度 ·········································································································· 3
7.4 発炎剤の安定度 ············································································································· 4
7.5 水分 ···························································································································· 4
7.6 保安炎筒の安定度 ·········································································································· 4
7.7 保安炎筒の耐湿性 ·········································································································· 4
7.8 保安炎筒の耐衝撃性 ······································································································· 4
7.9 保安炎筒の耐振動性 ······································································································· 4
7.10 保安炎筒の燃焼時間 ······································································································ 4
7.11 保安炎筒の光度 ············································································································ 5
7.12 保安炎筒の色度 ············································································································ 6
7.13 保安炎筒の耐雨性 ········································································································· 6
7.14 保安炎筒の耐風性 ········································································································· 7
7.15 保安炎筒の劣化促進試験 ································································································ 8
8. 検査 ······························································································································ 8
9. 表示 ······························································································································ 8
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日本工業規格 JIS
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自動車用緊急保安炎筒
Red Fusee for Motor Vehicles
1. 適用範囲 この規格は,自動車の使用時に,非常信号用具として用いる緊急保安炎筒(以下,保安炎
筒という。)について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1609 照度計
JIS D 0203 自動車部品の耐湿及び耐水試験方法
JIS D 1601 自動車部品振動試験方法
JIS G 3452 配管用炭素鋼管
JIS K 4806 工業雷管及び電気雷管
JIS K 4809 火薬類分析試験方法
JIS K 4810 火薬類性能試験方法
JIS Z 8701 色の表示方法−XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系
JIS Z 8724 色の測定方法−光源色
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3. 品質
3.1
性能 性能は,表1の規定に適合しなければならない。
表 1
項目
性能
発
炎
剤
落つい感度
30 cmの落高で発火してはならない。
摩擦感度
荷重156.9 Nで発火してはならない。
起爆感度
鋼管が全長にわたり裂けてはならない。
安定度
温度102 ℃で発火せず,かつ,常温に冷却後,点火したとき正常に燃焼しなければ
ならない。
水分
1 %以下とする。
保
安
炎
筒
安定度
温度72 ℃で発火せず,常温に冷却後,点火したとき正常に着火し,かつ,正常に
燃焼しなければならない。
耐湿性
加湿後直ちに点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に燃焼しなければならない。
耐衝撃性
1 mの高さから落下させたとき発火せず,点火したとき正常に着火し,かつ,正常
に燃焼しなければならない。
耐振動性
加振後点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に燃焼しなければならない。
燃焼時間
燃焼時間は5分以上とする。表示燃焼時間が5分以上,10分以下の製品では,表示
時間に対して0〜+2分,また,表示燃焼時間10分を超える製品では,表示時間に
対して0〜+3分以内の範囲とする。
光度
炎の平均光度は,140 cd以上とする。
色度
JIS Z 8701に規定する色度座標によって,炎の色が次の座標の範囲内とする。
y≦0.076 x+0.294(黄方向の限界)
x+y≧0.910 (白方向の限界)
耐雨性
雨量50 mm/hで点火したとき,正常に着火し,かつ,燃焼が中断してはならない。
耐風性
風速18 m/sで点火したとき,正常に着火し,かつ,燃焼が中断してはならない。
劣化促進試験 高温多湿
試験
高温多湿後,室温に10日間放置して点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に
燃焼しなければならない。
温度サイ
クル試験
温度サイクル後,室温で点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に燃焼しなけれ
ばならない。
3.2
経時劣化性 保安炎筒は,製造から4年経過した時点で,3.1に規定する性能を満足しなければなら
ない。ただし,劣化促進試験を除く。
4. 成分 発炎剤は,過塩素酸アンモニウム,過塩素酸カリウム,硝酸ストロンチウム,炭酸ストロンチ
ウムなどを主成分とし,成分中に硫黄を含有するものは,2.6 %以上の塩素酸塩(塩素酸カリウム,塩素酸
ナトリウムなど)を含んではならない。また,成分中に塩素酸塩を含有するものは,アンモニウム塩を含
んではならない。
5. 構造,形状及び寸法
5.1
構造 保安炎筒の構造は,図1に示すような筒内に発炎剤を詰め,その頭部には完全に覆われた摩
擦式点火部(すり付け薬,発火薬及び伝火薬)を取り付けたもので,筒は紙,合成樹脂などの可燃性材料
を用いる。支持具を取り付ける場合,支持具の材料は,できる限り可燃性材料を用いる。
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a) キャップあり構造
b) キャップなし構造
図 1 保安炎筒の構造の例
5.2
形状及び寸法 保安炎筒は全長360 mm以下,燃焼部分の断面積5 cm2以下とし,発炎剤が外部に露
出しないで,かつ,容易には取り出すことができないものとする。筒の厚さは,発炎剤が粉末のものは1 mm
以上,固形のものは0.4 mm以上とする。
6. 試料採取方法 試料は,品質を同一とみなすことができるロットの製品から採取する。ロットの設定
及び試料採取方法は,当事者間の協定による。
7. 試験方法
7.1
発炎剤の落つい感度 発炎剤の落つい感度の試験は,JIS K 4810の5.2.1(落つい感度試験)による。
この場合,落高30 cmで発火の有無を10回調べる。
7.2
発炎剤の摩擦感度 発炎剤の摩擦感度の試験は,JIS K 4810の5.2.3(摩擦感度試験)による。この
場合,荷重156.9 Nで発火の有無を10回調べる。
7.3
発炎剤の起爆感度 発炎剤の起爆感度の試験は,次による。
a) 点火部を取り除いた試料をJIS G 3452に規定するSGP25Aに図2に示すように入れ,鋼管のほぼ中央
に保持する。
b) JIS K 4806に規定する雷管1本を用いて起爆させ,鋼管の裂け具合を調べる。
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単位 mm
図 2 起爆感度試験装置
7.4
発炎剤の安定度 発炎剤の安定度の試験は,次による。
a) 点火部を取り除いた試料を恒温器内の棚の上に置き,温度102±2 ℃で72時間静置し,発火の有無を
調べる。
b) a) の試験が終了した試料を常温まで放冷して点火したとき,正常に燃焼するかどうかを調べる。
7.5
水分 水分の試験は,JIS K 4809の6.1(水分)による。
7.6
保安炎筒の安定度 保安炎筒の安定度の試験は,次による。
a) 試料を恒温器内の棚の上に置き,温度72±2 ℃で48時間静置し,発火の有無を調べる。
b) a) の試験が終了した試料を常温まで放冷して点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に燃焼するか
どうかを調べる。
7.7
保安炎筒の耐湿性 保安炎筒の耐湿性の試験は,次による。
a) 試料を温度30±2 ℃,湿度95 %以上の装置内 (1) に8時間以上放置する。
注(1) この装置内の雰囲気は,JIS D 0203に規定するM1に相当する。
b) 装置内から取り出して直ちに点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に燃焼するかどうかを調べる。
7.8
保安炎筒の耐衝撃性 保安炎筒の耐衝撃性の試験は,次による。
a) 試料を高さ1 mから厚さ3 mm以上の鉄板又はコンクリート床上に軸方向,及び軸方向に垂直な方向
に各1回落下させて発火の有無を調べる。
b) a) の試験が終了した試料に点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に燃焼するかどうかを調べる。
7.9
保安炎筒の耐振動性 保安炎筒の耐振動性の試験は,次による。
a) 試料に振動加速度45 m/s2及び振動数67 Hzの振動を軸方向に4時間,軸方向に直交し互いに直交する
2方向に各々2時間加える。
b) a) の試験 (2) が終了した試料に点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に燃焼するかどうかを調べ
る。
注(2) この試験は,JIS D 1601に規定する振動耐久性試験の3種A種段階45に相当する。
7.10 保安炎筒の燃焼時間 保安炎筒の燃焼時間の試験は,試料を無風に近い条件下で図3に示すように,
鉛直から約20度傾けて行う。点火から赤色炎が見えなくなるまでの時間を測定し燃焼時間とする。
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図 3 燃焼装置の一例
7.11 保安炎筒の光度 保安炎筒の光度の試験は,次による。
a) 試料を図4に示すような装置 (3) によって煙の影響のない条件下で,JIS C 1609に規定する一般形A
級,一般形AA級又は精密級照度計を用いて30秒ごとに照度を測定する。
注(3) この装置の内面は,光が反射しないようにつやなしの黒に仕上げる。
b) 次の式によって30秒ごとの光度を求め,その平均値を炎の平均光度とする。ただし,燃焼時間の初期
30秒と後期30秒とを除く。
2
ED
I=
ここに, I: 光度(cd)
E: 照度(lx)
D: 照度計の受光部と保安炎筒の発光部の距離(m)
6
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単位 mm
図 4 光度測定装置の一例
7.12 保安炎筒の色度 保安炎筒の色度の試験は,JIS Z 8724による。
7.13 保安炎筒の耐雨性 保安炎筒の耐雨性の試験は,次による。
a) 図5に示すような装置によって一定の水圧下で散水し,雨量計を用いて雨量が約50 mm/hの地点を求
めた後,雨量計を取り除く。
b) 同地点に試料をほぼ鉛直に置いて点火し,正常に着火するかどうか,及び燃焼中断の有無を調べる。
7
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単位 mm
図 5 耐雨性試験装置の一例
7.14 保安炎筒の耐風性 保安炎筒の耐風性の試験は,次による。
a) 図6に示すような風洞を用いて風速18 m/sの位置を求める。
b) 同位置に試料を置いて点火し,正常に着火するかどうか,及び燃焼中断の有無を調べる。
8
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単位 mm
図 6 耐風性試験装置の一例
7.15 保安炎筒の劣化促進試験
7.15.1 高温多湿試験 高温多湿試験は,試料を恒温恒湿器内に入れ,温度72±2 ℃,湿度95 %以上で
72時間静置し,続いて室内に10日間放置した後点火したとき,正常に着火し,かつ,正常に燃焼するか
どうかを調べる。
7.15.2 温度サイクル試験 温度サイクル試験は,試料を恒温器内に入れ,温度60±2 ℃で1時間30分,
続いて別の恒温器内に入れ,温度−20±5 ℃で1時間30分静置する。以上の操作を1サイクルとして20
サイクル繰り返した後,常温で点火したとき正常に着火し,かつ,正常に燃焼するかどうかを調べる。
8. 検査 検査は,6.によって試料を採取し,7.によって試験を行い,表1の規定に適合しなければならな
い。この場合,抜取個数は,発炎剤の落つい感度及び発炎剤の摩擦感度については1個,その他の項目に
ついては3個とし,すべて合格しなければならない。
9. 表示 保安炎筒のケースには,法令に規定するところによるほか,燃焼時間,有効期限,及び取扱注
意事項を明記しなければならない。
a) 燃焼時間 燃焼時間は,5分,10分,15分などのように分単位で表示する。
b) 有効期限 有効期間は製造後4年間とし,有効期限年月を表示する。
c) 取扱注意事項 取扱注意事項は,次による。
1) 使用目的 踏切上や高速道路上などで,非常信号用具として使用するものであることを明記する。
2) 危険防止 点火するとき,筒先を顔,体などに向けると危険なので注意するとともに,ガソリン,
可燃物などのそばでは使用しないように明記する。