サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

D 5703-1995 

自動車用ワイパモータ 

Windshield wiper motors for automobiles 

1. 適用範囲 この規格は,自動車に使用するワイパモータ(以下,ワイパモータという。)について規定

する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 0209 メートル並目ねじの許容限界寸法及び公差 

JIS B 0211 メートル細目ねじの許容限界寸法及び公差 

JIS C 1302 絶縁抵抗計 

JIS C 1502 普通騒音計 

JIS C 3406 自動車用低圧電線 

JIS C 4003 電気機器絶縁の種類 

JIS D 0103 自動車用電装部品の名称に関する用語 

JIS D 0201 自動車部品−電気めっき通則 

JIS D 0204 自動車部品の高温及び低温試験方法 

JIS D 1601 自動車部品振動試験方法 

JIS D 5005 自動車用電装部品の公称電圧及び試験電圧 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

JIS Z 8731 騒音レベル測定方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS D 0103によるほか,次のとおりとする。 

(1) 1速式 モータシャフトの回転数が変化できないもの。 

(2) 2速式 モータシャフトの回転数が2種類に変化できるもの。 

(3) 無段変速式 モータシャフトの回転数が無段に変化できるもの。 

(4) 冷時 モータ内部と周囲温度が等しく常温である状態。 

(5) 拘束トルク R形のモータシャフト又はP形,F形(3.表1参照)の最終回転軸を,冷時において停

止させたときのトルク。 

(6) 公称トルク ワイパモータの製造業者において公称する拘束トルク。単位は,ニュートンメートル 

(N・m) で表し,2速式のものは低速,無段変速式のものは下限におけるトルクとする。 

(7) 始動トルク P形(3.表1参照)においてモータシャフトが始動できる冷時の最大トルク。 

(8) 定位置停止装置 ワイパスイッチを開放したとき,モータシャフトが自動的に定位置で停止する機構。 

(9) しまい込み装置 (8)の定位置停止のとき,ワイパアームがふき角度から外れて停止する機構(図1参

照)。 

background image

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 

3. 種類及び附属装置 種類及び附属装置並びにその記号及び構造は,表1及び表2に示すとおりとする。 

表1 

種題 

記号 

構造 

往復形 

モータシャフトが往復運動する構造のもの 

回転形 

モータシャフトが回転運動する構造のもの 

索導形 

索を介してワイパシャフトを作動させる構造のもの 

表2 

附属装置 

記号 

構造 

定位置停止装置 

2.(8)参照 

しまい込み装置 

2.(9)参照 

4. 電圧 

4.1 

公称電圧 公称電圧は,JIS D 5005による6V,12V及び24Vとする。 

4.2 

試験電圧 試験電圧は,表3による。 

表3 

単位V 

公称電圧 

12 

24 

標準作動試験電圧 

6.5±0.2 

13.5±0.3 

27  ±0.6 

耐久試験電圧 

7.0±0.5 

14.0±0.5 

28.0±1.0 

備考 試験電圧は,ワイパモータの端子における電圧をいう。 

5. 無負荷回転数 無負荷回転数は,ワイパモータを無負荷の状態で30分間以上作動させ,その回転数が

安定したときの回転数をいい,表4に示すとおりとする。単位は,1分間当たりの回転数又は往復数で表

す。 

表4 

単位r/min 

速度方式 

記号 

無負荷回転数 

1速式 

55 

2速式 

低速 

45 

50 

55 

高速 

70 

75 

80 

無段変速式 

45〜90 

備考 ワイパモータの端子における電圧は,4.2の標準作

動試験電圧とする。 

background image

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6. 構造 構造は,次のとおりとする。 

(1) ワイパモータの各部は,堅ろうで,しかも確実に組み合わされていること。 

(2) ワイパシャフト及びその軸管は,防水構造とし,各部の寸法は,原則として図2による。 

(3) ワイパモータの取付寸法は,原則として図3による。 

(4) ワイパモータのリード線及び端子配列は,原則として図4による。 

図2 ワイパシャフト及び軸管の形状及び寸法 

background image

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図2 (続き) 

備考 ねじの公差は,JIS B 0209及びJIS B 0211の3級とする。ただし,めっきを施した場合のねじの精度は,上

の許容差を0とする。 

図3 取付寸法 

background image

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図4 リード線及び端子配列 

備考1. リード線の太さは,JIS C 3406の呼びAV0.5又はAV0.85とし,その長さは,引出口から100mm又は

200mmとする。 

2. リード線の色別は,JIS C 3406に規定する色別記号による。 

7. めっき ワイパモータの部品で電気めっきを施すものは,原則としてJIS D 0201のMFZn5,MBCr5,

MFNi5又はMZCr15とする。 

8. 性能 

8.1 

トルク トルクは,表5に示すとおりとする。 

表5 

項目 

適用種類 

性能 

拘束トルク 

公称トルク以上 

ふき角度(又は作動角度)  公称トルクに対するトルク 

始動トルク 

90°以下 

90°を超え100°以下 

100°を超え110°以下 
110°を超え120°以下 

60%以上 
55%以上 
50%以上 
40%以上 

当事者間の協定による。 

8.2 

回転数 回転数は,次のとおりとする。 

(1) 無負荷作動時の回転数は,5.の表4によって,その許容差は,±15%であること。 

(2) 負荷作動時の回転数は,表6の負荷を加えたとき,1速式及び2速式の低速が無負荷作動時の回転数

の70%以上,2速式の高速が60%以上であること。 

background image

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表6 

速度方式 

負荷 

1速式 

公称トルクの15% 

2速式 

低速 

公称トルクの15% 

高速 

公称トルクの10% 

備考 無段変速式に対しては2速式に準ずる。 

8.3 

ふき角度 ふき角度は,表7に示すとおりとする。 

表7 

適用種類 

性能 

公称トルク 

指定角度に対する許容差 

4.0N・m以下 

±8% 

4.0N・mを超えるもの 

±5% 

8.4 

温度上昇 ワイパモータの温度上昇は,ワイパモータのコイルに近いヨーク表面で60℃以下とする。

ただし,JIS C 4003のH,B及びC種絶縁物を使用した場合は,この限りでない。 

8.5 

絶縁抵抗 ワイパモータの絶縁された金属間の絶縁抵抗は,JIS C 1302による500V絶縁抵抗計で測

定したとき,1MΩ以上とする。 

8.6 

耐振性 ワイパモータは,JIS D 1601の段階20又は段階45による試験を行ったとき,ねじのゆる

み,変形及び異常音を生じないものとし,トルクが8.1を,回転数が8.2(1)を満足するものとする。 

8.7 

耐温度特性 ワイパモータは,原則としてJIS D 0204の90℃又は70℃による高温放置試験及び−

20℃の無負荷作動による低温作動試験を各1時間行った後,常温,常湿で1時間放置したとき,トルクが

8.1を,回転数が8.2(1)を満足するものとする。 

8.8 

騒音 騒音は,次のとおりとする。 

(1) ワイパモータを無負荷の状態で作動させたとき異常音がないこと。 

(2) ワイパモータをマイクロホン正面から30cm離れたところに置き無負荷の状態で作動させ,図5の例

に示すような台の上で騒音を測定したとき,表8に適合すること。 

なお,測定は次の条件による。 

(a) 試験場所は,できるだけ周囲からの反射音による影響を受けないこと。 

(b) 騒音計は,JIS C 1502によるものを使用し,聴感補正回路はA特性を,指示計器の動特性は速 (Fast) 

を使用する。 

(c) 暗騒音は,原則として騒音測定値より少なくとも10dB (A) 小さいこと。ただし,JIS Z 8731の6.

(特定騒音に対する暗騒音の影響)によって暗騒音の影響に対する指示の補正を行っても差し支え

ない。 

background image

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図5 騒音測定(例) 

表8 

単位dB (A)  

公称トルク 

等級区分 

1級 

2級 

4.0N・m以下 

55以下 

60以下 

4.0N・mを超えるもの 

1速又は低速 

50以下 

55以下 

高速 

60以下 

65以下 

8.9 

耐久性 ワイパモータを表9の条件で連続運転したとき,トルク,回転数,ふき角度について10%

以上の性能劣化及び有害ながた,ゆるみなどの欠陥が生じないものとする。 

表9 

速度方式 

運転時間 (h) 

負荷 

1速式 

公称トルク4.0N・m以下 

200 

公称トルクの15% 

公称トルク4.0N・mを超えるもの 

400 

2速式 

低速 

200 

計400 

公称トルクの15% 

高速 

200 

公称トルクの10% 

作動サイクルは,5.5分作動0.5分停止とする。 

備考 無段変速式は,2速式に準ずる。 

9. 検査 

9.1 

形式検査 形式検査は,新規に設計製作されたワイパモータの受渡しに際し,次の各項目について

行う。ただし,受渡当事者間の協定によって,検査の項目を省略してもよい。 

(1) 構造検査 

(2) めっき検査 

(3) 性能検査 

(4) 附属装置検査 

9.2 

受渡検査 受渡検査は,形式検査に合格した同形式のワイパモータの受渡しに際し,性能検査のう

ち,次の各項目について行う。ただし,受渡当事者間の協定によって,検査の項目を省略してもよい。 

(1) 拘束トルク検査又は始動トルク検査 

(2) 無負荷作動検査 

background image

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) ふき角度検査 

(4) 騒音検査[ただし,8.8(2)を除く。] 

9.3 

検査条件 

9.3.1 

検査場所の標準状態 検査場所は,特に指定がなければ,JIS Z 8703による常温,常湿とする。 

9.3.2 

検査電圧 検査電圧は,4.2の試験電圧とする。 

9.4 

検査方法及び判定基準 

9.4.1 

構造検査 構造は,6.の規定に適合しなければならない。 

9.4.2 

めっき検査 めっきは7.の規定に適合しなければならない。 

9.4.3 

性能検査 

(1) 拘束トルク検査 拘束トルクは,原則としてブロニー形トルクメータを用い,冷時において負荷を加

えて短時間にワイパモータを停止させたときのトルクを測定した場合,8.1の表5の規定に適合しなけ

ればならない。ただし,過負荷保護装置のあるものは,装置のない状態で測定する。 

(2) 始動トルク検査 始動トルクは,モータシャフトに図6の例に示すような装置を取り付け,始動点(A

又はB)に指定されたトルクに相当する荷重(力)Wを加え,折返し点(B又はA)まで3回作動さ

せたとき,8.1の表5の規定に適合しなければならない。ただし,過負荷保護装置のあるものは,装置

のない状態で測定する。 

図6 始動トルク検査装置(P形の場合の例) 

(3) 無負荷作動検査 無負荷作動時の回転数は,5.の表4及び8.2(1)の規定に適合しなければならない。た

だし,商用検査の場合は,当事者間の協定により,冷時で検査してもよい。 

(4) 負荷作動検査 負荷作動時の回転数は,(3)の無負荷作動検査後直ちに図7の例に示すような負荷作動

試験装置にモータシャフトを取り付けて作動させたとき,8.2(2)の規定に適合しなければならない。た

だし,P形及びF形は,最終回転軸に負荷を加えて検査してもよい。 

background image

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図7 負荷作動試験装置(例) 

(5) ふき角度検査 P形のふき角度は,無負荷の状態で検査を行ったとき,8.3の表7の規定に適合しなけ

ればならない。 

(6) 温度上昇検査 ワイパモータを8.2の表6に規定する負荷で連続作動させ,ワイパモータのコイルに

近いヨーク表面の温度が一定となったときの温度上昇は,8.4の規定に適合しなければならない。 

(7) 絶縁抵抗検査 絶縁抵抗は,8.5の規定に適合しなければならない。 

(8) 耐振検査 耐振性は,8.6の規定に適合しなければならない。 

(9) 耐温度特性検査 耐温度特性は,8.7の規定に適合しなければならない。 

(10) 騒音検査 騒音は,8.8の規定に適合しなければならない。 

(11) 耐久検査 耐久性は,8.9の規定に適合しなければならない。 

9.4.4 

附属装置検査 

(1) 定位置停止装置付きワイパモータは,0.50N・m以下の負荷で30分間運転し停止させたとき,定めた停

止位置から±20°以内に停止しなければならない。ただし,P形の場合は±6°とする。 

(2) リレーなどの電磁石機構は,表10の電圧以下で作動しなければならない。 

表10 

単位V 

公称電圧 

12 

24 

作動電圧 

10 

20 

(3) しまい込み装置その他の附属装置の検査は,当事者間の協定によって行う。 

10. 呼び方 ワイパモータの呼び方は,次の例による。 

例: 

11. 表示 ワイパモータには,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示する。 

(1) 公称電圧 

(2) 製造業者名又はその略号 

10 

D 5703-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) モータシャフトの回転方向(R形ワイパモータに限り,必要に応じて矢印などで表示する。) 

自動車部会 自動車用ワイパ専門委員会 構成表(昭和51年4月1日改正のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

岩 崎   賢 

工業技術院機械技術研究所 

逢 坂 国 一 

工業技術院標準部 

富 永 孝 雄 

通商産業省機械情報産業局 

宇 野 則 義 

運輸省自動車局 

青 地 慎太郎 

通商産業省工業品検査所 

岩 井   晋 

日本国有鉄道自動車局 

平 井 英 一 

田中計器工業株式会社 

上 山   明 

株式会社三ツ葉電機製作所 

鈴 木   喜 

日本電装株式会社 

長 尾 雅 利 

自動車電機工業株式会社 

小 林 一 之 

市光工業株式会社 

田 辺   清 

社団法人日本自動車部品工業会 

末 田 俊 雄 

東洋工業株式会社 

松 井 俊 次 

トヨタ自動車工業株式会社 

須 藤 茂 吉 

富士重工業株式会社 

近 田 隆 愛 

株式会社本田技術研究所 

玉 井 幸一郎 

三菱自動車工業株式会社 

田 村 敏 彦 

いすゞ自動車株式会社 

渡 辺 顕 一 

日産自動車株式会社 

山 本 美 雄 

社団法人日本乗合自動車協会 

(専門委員) 

井 田   孝 

工業技術院標準部 

(関係者) 

大 谷 三 郎 

田中計器工業株式会社 

内 山   宏 

関東精器株式会社 

(事務局) 

村 里 利 明 

工業技術院標準部機械規格課 

(事務局) 

笹 尾 照 夫 

工業技術院標準部機械規格課(平成7年2月1日改正のとき)