2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 5607-1993
自動車用運行記録計
Tachographs for automobiles
1. 適用範囲 この規格は,自動車に用いる運行記録計(以下,運行記録計という。)について規定する。
備考1. 運行記録計とは,自動車の瞬間速度及び運行距離を自動的に記録し,運行時間を表示(1)又は
記録できる装置をいう。
2. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 7001 時計の試験方法
JIS D 0201 自動車部品の電気めっき通則
JIS D 0202 自動車部品の塗膜通則
JIS D 0204 自動車部品の高温及び低温試験方法
JIS D 5601 自動車用スピードメータ
JIS D 5608 自動車用速度表示装置
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
注(1) 運行時間の表示は,運行記録計の瞬間速度及び運行距離の記録装置によって代用してもよ
い。
2. 種類 運行記録計の種類は,外観,形状及び機能によって,表1の4種類とする。
表1 種類
装置
種類
運行記録
表示
速度表示装置
検出部
施錠
備考
スピード
メータ
運行時刻 速度表示装置
確認ランプ
A形
○
○
○
−
−
○
付図参照
B形
○
−
−
−
−
○
C形
○
○
○
○
○
○
D形
○
−
○
−
−
○
備考 ○印は,当該項目の機能をもっていることを示す。
3. 性能
3.1
試験条件 性能の試験条件は,次のとおりとする。
(1) 試験場所の状態は,JIS Z 8703に規定する常温常湿による。ただし,3.2の(1),(2)及び(4)の試験は,
温度20±2℃において行う。
(2) 取付けは,使用車種に応じたものとする。
(3) 測定には電動機などの回転装置を用い,その装置と運行記録計との接続は,直結又は長さ500mm以
下のフレキシブルシャフトを使用する。
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(4) 測定に用いる標準スピードメータの精度は,±0.25 km/hとする。
(5) 3.2(1),(2)及び(4)の試験では,必要に応じ指示部に微振動又は軽打を与え,摩擦抵抗の影響をなくす。
3.2
精度 精度は,次のとおりとする。
(1) 針振れ及びスピードメータ部指示誤差 針振れ及びスピードメータ部指示の許容誤差は,JIS D 5601
による。
(2) 瞬間速度記録誤差 記録装置における瞬間速度記録の記録誤差は,表2に示す速度を記録する順序で
各位置ごとに行ったとき,表2の許容誤差に適合すること。ただし,最高目盛での検査は行わない。
表2 瞬間速度記録誤差
単位 km/h
標準スピードメータ指度
運行記録計の記録許容誤差
30
±2.5
40
±3.0
60
±3.0
80
±3.5
100
±4.5
120
±4.5
(3) 運行距離記録の記録誤差 記録装置における運行距離記録の記録許容誤差は,運行距離100kmについ
て2kmとする。
(4) 運行時間の表示又は記録装置の記録誤差 運行時間の表示又は記録装置の記録誤差は,表3による。
表3 記録誤差
単位 分
1日用
2日以上n日用
時刻
機能部
機械式
±5
± [5+2 (n−1)]
電気式
±4
± [4+2 (n−1)]
備考 時刻を表示するものでは,JIS B 7001の検査方法でチャート紙を挿入した正規の取付姿勢で検
査を行ったとき,日差又は平均日差は,表4に適合するものとする。
表4 時刻機能部の日差
単位 分
日差又は平均日差
時刻
機能部
機械式
±2
電気式
±1
3.3
速度表示装置検出部及び確認ランプ 速度表示装置検出部及び確認ランプは,JIS D 5608による。
3.4
温度特性 各記録の温度特性は,−15〜+60℃の温度範囲(60℃の場合は,湿度約50%)で各部に
異常がなく,記録の変動は表5に適合し,また,A形及びC形のスピードメータ温度特性は,JIS D 5601
の4.(3)(温度−電圧特性)の規定に適合しなければならない。
表5 温度特性
瞬間速度記録の変動
運行距離記録の変動
運行時間記録の変動
60km/hにおいて6km以内
100kmについて1km以内
時刻
機能部
機械式
運行時間24時間について3分以内
電気式
運行時間24時間について2分以内
3.5
耐温度性 運行記録計をJIS D 0204に規定する5種TSH (70℃) 及びTSL (−30℃) によって放置試
験を行った後,各部に異常がなく,3.2に定める精度について表6の○印で示す項目について試験を行った
とき,それぞれの規定に適合しなければならない。
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表6 耐温度性試験項目
項目
種類
針振れ
スピードメー
タ部指示誤差
瞬間速度
記録誤差
運行距離記録
の記録誤差
運行時間の表示
又は記録装置の
記録誤差
A形
○
○
○
○
○
B形
−
−
○
○
○
C形
○
○
○
○
○
D形
−
−
○
○
○
3.6
耐振性 運行記録計を正規の取付姿勢で振動試験台上に取り付け,チャート紙を装着して作動させ,
駆動軸に最高目盛の約80 %の速度に相当する回転を与え,振動数33Hz,全振幅2mmの振動を次に掲げる
時間連続して加えたとき,各部に異常がなく,試験前に対する指示,記録などの変化は,表7に適合しな
ければならない。ただし,針振れは3.2(1)による。
(1) 上下方向について 4時間
(2) 前後方向について 2時間
(3) 左右方向について 2時間
表7 耐振性
スピードメータ
部指示
瞬間速度記録
運行距離記録
運行時間記録
最高目盛の3%以内 最高目盛の3%以内 100kmについて
1km以内
時刻
機能部
機械式
運行時間24時間について3分以内
電気式
運行時間24時間について2分以内
3.7
耐久性 運行記録計を正規の取付姿勢で最高目盛の約80%の速度に相当する回転を与えて連続
30 000kmの試験を行ったとき,各部に異常がなく,更に表6の○印で示す項目を試験したとき,試験前に
対する指示,記録などの変化は,表7に適合しなければならない。ただし,針振れは3.2(1)による。
4. 構造及び形状
4.1
構造一般 構造一般は,次による。
(1) 運行記録計は,瞬間速度,運行距離の記録装置及び運行時間の表示又は記録装置並びに施錠装置,そ
の他からなる。
(2) 運行記録計は,駆動軸の回転速度が637min-1のとき60km/hを記録し,運行距離は,駆動軸が637回
転したとき1kmを記録するものとする。
(3) スピードメータの機能をもつものについては,そのスピードメータはJIS D 5601に適合するものとす
る。
(4) 運行記録計の駆動軸の回転方向は,駆動側から見て左回りとする。
(5) 運行記録計のフレキシブルシャフト取付部の形状は,JIS D 5601に規定するA形及びD形とする。
なお,運行記録計の形状は,参考として付図1に示す。
(6) 施錠装置は,機能が良好で,記録装置が確実に施錠されるものとする。
4.2
記録装置 記録装置は,次による。
(1) 記録装置は,瞬間速度,運行距離を同一のチャート紙に明りょうに記録し,運行時間を表示又は記録
するものとする。
(2) チャート紙の送り速度は,30km/hの瞬間速度記録部において8mm/h以上とする。ただし,1分間の送
りにつき1本以上の判別ができる場合にはこの限りではない。
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D 5607-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(3) 瞬間速度の記録装置は,自動車の走行状態における瞬間速度を記録するもので,瞬間速度の記録範囲
が30〜80km/hを含むものとする。
(4) 瞬間速度の記録装置は,10km/hの速度について1.5mm以上の長さが記録されるものとする。
(5) 運行距離の記録装置は,1kmの距離について0.5mm以上の長さが記録されるものとする。
4.3
チャート紙 チャート紙は,次による。
(1) チャート紙は,記録装置への取付け・取外しが容易で,1年間の保存中に記録が損なわれないものと
する。
(2) 温度23±2℃,湿度95%以上で2時間放置したときと,湿度 (50±2) %で2時間放置したときとのチ
ャート紙の伸び率又は縮み率は1%以内とする。
(3) チャート紙の記録線判別能力は,常温常湿において1mm幅に10本以上の記録線が判別できるものと
する。
4.4
めっき及び塗装 運行記録計のめっき及び塗装は,次による。
(1) 外枠及びケースに塗装を施したものは,JIS D 0202の4.8(耐水性試験方法)による試験(40±2℃,
24時間)を行ったとき,塗膜のはがれ,軟化,浮き及び変色を生じないこと。
(2) 外枠及びケースにめっきを施したものは,JIS D 0201によるMFNi10以上,MBNi5以上,MFCr10以
上,MBCr5以上又はMFZn5以上とする。
5. 外観 運行記録計には,有害なきず,さび,その他の欠点がなく,防じん,さび止めの処理に欠陥の
ないものとする。
6. 製品の呼び方 運行記録計の呼び方は,規格名称又は規格番号に続く種類又は記号による。
例 自動車用運行記録計A形又はJIS D 5607 A
7. 表示 運行記録計には,次の事項を表示する。
(1) 1kmに対する駆動軸回転数
(2) 製造年月又はその略号
(3) 製造業者名又はその略号
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1 運行記録計の形状(例)
6
D 5607-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1 (続き)
自動車航空部会 運行記録計専門委員会 構成表(昭和57年10月15日改正のとき)
氏名
所属
(委員会長)
柳 原 茂
工業技術院機械技術研究所自動車安全公害部
清 水 達 夫
運輸省自動車局
西 中 真二郎
通商産業省機械情報産業局
大久保 和 夫
工業技術院標準部
小 田 富 彦
軽自動車検査協会
今 井 正 明
社団法人日本自動車整備振興会連合会
鈴 木 栄
社団法人日本自動車連盟
高 木 修
いすゞ自動車株式会社開発本部
佐 藤 哲 雄
富士重工業株式会社スバル技術本部
野 路 明 男
株式会社本田技術研究所
藤 森 広 美
三菱自動車工業株式会社設計部
荒 井 宏
トヨタ自動車工業株式会社ボデー設計部
川内野 芳 郎
ダイハツ工業株式会社設計部
青 山 益 敏
日産自動車株式会社艤装設計部
松 村 安 裕
関東精器株式会社設計管理部
石 崎 洋 光
矢崎計器株式会社計器開発部
田 淵 史 忠
日本精機株式会社
田 代 博 之
日本電装株式会社メータ技術部
内 藤 恭 三
有信精器工業株式会社
(事務局)
松 川 東 一
工業技術院標準部機械規格課
鈴 木 一 規
工業技術院標準部機械規格課
(事務局)
笹 尾 照 夫
工業技術院標準部機械規格課(平成5年8月1日改正のとき)