D 5305-1:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 環境及び動作条件 ············································································································· 3
5 表示······························································································································· 3
5.1 組電池 ························································································································· 3
5.2 主電池の危険物表示 ······································································································· 3
6 主電池の要求事項 ············································································································· 3
6.1 絶縁抵抗 ······················································································································ 3
6.2 沿面距離 ······················································································································ 5
6.3 充電時の水素ガス ·········································································································· 6
6.4 車両走行中の水素ガス発生 ······························································································ 8
6.5 その他の有害ガス ·········································································································· 8
6.6 危険物 ························································································································· 8
6.7 単電池故障における過熱防止···························································································· 8
7 主電池の過電流遮断 ·········································································································· 8
7.1 機能 ···························································································································· 8
7.2 要求事項 ······················································································································ 8
8 主電池の衝突要求事項 ······································································································· 8
8.1 概要 ···························································································································· 8
8.2 乗員の保護 ··················································································································· 8
8.3 第三者の保護 ················································································································ 8
8.4 短絡に対する保護 ·········································································································· 9
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 10
D 5305-1:2007
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS D 5305の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS D 5305-1 第1部:主電池
JIS D 5305-2 第2部:機能的安全手段及び故障時の保護
JIS D 5305-3 第3部:電気危害に対する人の保護
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 5305-1:2007
電気自動車−安全に関する仕様−
第1部:主電池
Electric road vehicles-Safety specifications-
Part 1: Traction battery
序文
この規格は,2001年に第1版として発行されたISO 6469-1を翻訳し,技術的内容を変更して作成した
日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,車載電池(以下,主電池という。)だけを動力源とする軽自動車,乗用自動車及び小型貨物
自動車(以下,車両という。)を駆動する主電池の要求事項について規定する。対象となる主電池の種類は
鉛電池,ニッケル水素電池,リチウムイオン電池である。この規格は従来の内燃機関自動車とは異なる電
気自動車特有の部分についてだけ規定し,これら以外の人及び車両環境の保護に関しては,内燃機関自動
車の規格を適用する。
車載電気回路の最大動作電圧がD.C.1 500 V以下の場合に適用する。
注記1 車両の組立て,保守,修理には適用しない。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6469-1:2001,Electric road vehicles−Safety specification−Part 1: On-board energy storage
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 0664 低圧系統内機器の絶縁協調 第1部:原理,要求事項及び試験
注記 対応国際規格:IEC 60664-1:1992,Insulation coordination for equipment within low-voltage system
−Part 1: Principles,requirements and tests及びAmendment 1:2000 (MOD)
JIS D 0112:2000 電気自動車用語(車両)
JIS D 0114:2000 電気自動車用語(電池)
2
D 5305-1:2007
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JIS D 0032 自動車−操作,計量及び警報装置の識別記号
ISO 8713:2002 Electric road vechicles−Vocabulary
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
単電池(cell)
電池を構成する最小単位(JIS D 0114参照)。
3.2
単位電池(battery module)
単電池を所要数接合して,一つのモジュールにした電池(JIS D 0114参照)。
3.3
組電池(battery pack)
2個以上の単電池又は単位電池を,直列又は,並列にした1組の電池(JIS D 0114参照)。
3.4
主電池(traction battery)
電気自動車の動力源として使用される電池(JIS D 0114参照)。
3.5
端子(terminal)
外部の電気的回路と接続する部分(JIS D 0114参照)。
3.6
沿面距離(creepage distance)
附属導電体を含む端子の活電部と電気的シャシとの間,又は電位差がある二つの活電部の間の,絶縁面
に沿った最短距離(ISO 8713参照)。
3.7
導電性部分(conductive part)
通電可能な部位(ISO 8713参照)。
注記 正常運転状態で必ずしも通電していないが,基礎絶縁の故障で通電する可能性がある部位(3.8
参照)。
3.8
活電部(live part)
正常な使用で通電する導体又は導電性部分(ISO 8713参照)。
3.9
電気的シャシ(electrical chassis)
電気的に接続された導電性の部分。その電位を基準として扱う(ISO 8713参照)。
3.10
直接接触(direct contact)
活電部への人の接触(ISO 8713参照)。
3.11
パワーユニット(power unit)
3
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走行用電動機とインバータ,コントローラなど電動機制御装置との組合せ(JIS D 0112参照)。
3.12
パワーシステム(power system)
パワーユニットと車載エネルギー源との組合せ(ISO 8713参照)。
4
環境及び動作条件
この規格の要求事項は,車両の製造業者によって規定された,一定の環境条件及び動作条件下で行う。
5
表示
5.1
組電池
組電池の近くに図1の記号を付けるものとする(最大動作電圧がD.C. 60 V未満の場合には適用しない)。
この表示は,電池に接近するときに視認できなければならない。
記号(背景:黄色,境界及び記号:黒)はJIS D 0032 M06による。
図 1−組電池の表示
5.2
主電池の危険物表示
国内の蓄電池の安全確保に関する表示ガイドラインなどを参考として,適切な表示をする。
6
主電池の要求事項
6.1
絶縁抵抗
最大動作電圧がD.C. 60 V未満の場合には適用しない。
6.1.1
概要
主電池の絶縁抵抗を測定するため,6.1.2の試験方法を適用する。主電池の絶縁抵抗Riとは,主電池の一
端を電気的シャシに短絡したとき,流れる電流を制限する電気的抵抗である。
6.1.2
試験方法
測定に当たって主電池は,電気暖房又はモニタ装置のような外部アクセサリをすべて接続した状態で,
車両の電気的シャシから遮断されていなければならない。
試験中の主電池は,公称電圧と同一又は高い開放回路電圧をもたなければならない。
主電池は,2電極ともパワーユニットから遮断されていなければならない。
試験で使用する電圧計又は測定装置はD.C.用で,内部抵抗が10 MΩ以上とする。
図2〜図5に示す3段階で測定しなければならない。図2において主電池のマイナス極と電気的シャシ
との間の電圧の絶対値U1を測定する。図3において主電池のプラス極と電気的シャシとの間の電圧の絶対
値U'1を測定する。同様に図4,及び図5において基準抵抗を挿入した,主電池のマイナス極と電気的シャ
シとの間の電圧の絶対値U2又は基準抵抗を挿入した,主電池のプラス極と電気的シャシとの間の電圧の絶
4
D 5305-1:2007
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対値U'2を測定する。
図 2−ステップ1:U1の測定
図 3−ステップ2:U'1の測定
注記 R0は100 Ω/Vから500 Ω/Vまでの基準抵抗(主電池の公称電圧基準)
図 4−ステップ3(U1>U'1の場合)U2の測定
注記 R0は100 Ω/Vから500 Ω/Vまでの基準抵抗(主電池の公称電圧基準)
図 5−ステップ3(U1<U'1の場合)U'2の測定
5
D 5305-1:2007
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絶縁抵抗Riは,次の式で計算する。
U1>U'1(図4)の場合,
0
2
2
1
i
)
(
R
U
U
U
R
−
=
U1<U'1(図5)の場合,
0
2
2
1
i
)
(
R
U
U
U
R
′
′
−
′
=
ここに,
Ri: 絶縁抵抗(Ω)
R0: 単位電圧当たり100 Ωから500 Ωまでの基準抵抗(Ω)
U1: 主電池のマイナス極と電気的シャシとの間の電圧の絶対値
(Ⅴ)
U'1: 主電池のプラス極と電気的シャシとの間の電圧の絶対値(V)
U2: 基準抵抗を挿入したときの主電池のマイナス極と電気的シャ
シとの間の電圧の絶対値(V)
U'2: 基準抵抗を挿入したときの主電池のプラス極と電気的シャシ
との間の電圧の絶対値(V)
これら上記の式は,標準的な計算式である。
これとは別に,詳細な次の式を用いてもよい。
′
+
−
=
1
1
0
2
2
1
i
1
)
(
U
U
R
U
U
U
R
′
+
′
′
−
′
=
1
1
0
2
2
1
i
1
)
(
U
U
R
U
U
U
R
6.1.3
要求事項
標準的な計算式による主電池の公称電圧で除した絶縁抵抗Riは,主電池の寿命がある間は,100 Ω/V以
上でなければならない。
6.2
沿面距離
正常作動状態の電解液漏れによって生じる,導電附属品を含めた単位電池の接続端子及び導電性部分の
間の漏電の危害を防ぐため,次を適用する。
正常動作状態で電解液漏れが生じない主電池(例えば,制御弁式鉛電池)には適用しない。このような
電池にはJIS C 0664を適用しなければならない。その汚染等級は適宜その適用範囲による。
最大動作電圧がD.C. 60 V未満の場合には適用しない。
沿面距離は図6を参照。
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1:導電体表面
2:接続端子(単位電池,組電池又は主電池)
d:沿面距離
図 6−沿面距離
電解液の漏れが生じる可能性がある場合,次の沿面距離を推奨する。
a) 二つの電池接続端子の間の沿面距離の場合
d
5
0.25
+
U
≧
ここに,
d: 試験する主電池で測定された沿面距離(mm)
U: 二つの電池接続端子の間の公称電圧(V)
b) 活電部と電気的シャシ間の沿面距離の場合
d
5
0.125
+
U
≧
ここに,
d: 活電部と電気的シャシとの間で測定された沿面距離(mm)
U: 二つの電池接続端子の間の公称電圧(V)
6.3
充電時の水素ガス
6.3.1
要求事項
水素ガスが生成される可能性がある主電池の場合,爆発,火災を防ぐため次を適用する。
− 車両内で危険になる可能性がある水素ガスのたまり場所があってはならない。
− 乗員室又は閉鎖された荷物室は,危険になる可能性がある水素ガスの濃度があってはならない。
− 水素ガス濃度測定によって,充電中に排出される水素ガス濃度の正常時,又は起こり得る単一故障時
において,測定誤差を含めて,4 %を超えると判断された範囲に起こり得る着火源があってはならな
い。
起こり得る着火源及び起こり得る単一故障の例を,次に示す。
起こり得る着火源の例
例1 電気的接触点
例2 ブレーキパッド
例3 ヒューズ
例4 静電放電するもの
例5 接触ブラシ
7
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例6 たばこ,火炎,照明
起こり得る単一故障の例
例1 車両に備えた換気装置の故障
例2 充電制御システムを含む充電器の故障
例3 電池の故障
例4 排出ガス管の抜け
6.3.2
試験方法
主電池を充電するときの水素ガス排出領域のガス濃度の測定方法は,次による。
a) 試験装置
− 水素濃度計:測定範囲は0%〜4 %を超えるもので,精度は±0.2 %とする。
− 電圧計の精度は,被測定電圧の最大値の±1 %及び電流計の精度は,被測定電流の最大値の±1 %
とする。
− 温度計の精度は,室内用は±1 ℃,その他は±2 ℃とする。
b) 主電池は,搭載された状態で300 km以上走行していなければならない。
c) 主電池は,充電前に3時間率で80 % DOD(放電深度)まで放電器で放電する,又はシャシダイナモ
メータで3時間率放電相当の速度で80 % DOD相当まで放電する。
d) 充電試験温度は,車両製造業者が充電可能と指定している温度範囲において最も水素ガスが発生しや
すい温度とする。
e) 車両は,主電池を含んだ状態で試験温度環境に16時間以上ソークする。
なお,主電池温度が計測可能な場合は,試験温度に対して平衡(±2 ℃以内)になったと確認され
ればこの限りではない。
f)
水素濃度は,車両製造業者の指定する起こり得る着火源の範囲内を測定する。水素ガス排出管などに
よって排出部が特定できる場合は,排出部の付近から測定する。排出管などがなく,排出部が特定で
きない場合は,構造上濃度が最も高くなると想定されるガス排出域から測定を始める。
なお,起こり得る単一故障の排出ガス管の抜けの場合は,水素ガス濃度の最も高くなると想定され
る位置へ測定開始位置を変更する。
g) 充電開始後,水素濃度,気温,充電電流,充電電圧の測定値を連続的又は1分以内ごとに記録する。
水素濃度の測定部位(排出管からの距離,位置)も記録する。
6.3.3
充電室の換気装置
車両製造業者は,主電池から排出される可能性のある水素ガスの最大流出量(m3/h)を決定する。
水素ガスの最大流出量の測定は,6.3.2に規定する試験条件で行う。主電池に対する試験条件が同じであ
れば,単電池,単位電池又は組電池に試験を代えてもよい。水素ガスの流出量は,電池からのガス排出管
に取り付けたガス流量計によって求める。
水素ガスの最大流出量の値を用いて,次の計算式で充電室の換気装置を決定する。
max
125q
Q=
ここに,
Q: 換気装置の流量(m3/h)
max
q
: 水素ガスの最大流出量(m3/h)
8
D 5305-1:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.4
車両走行中の水素ガス発生
走行中に危険となり得る水素ガス濃度の発生がないように,電池の状態に対応した充放電の電流制御な
どを行わなければならない。
6.5
その他の有害ガス
電池より有害なガス又はミスト(酸,アルカリミストなど)が排出されないように電池の封止構造,弁
の設定,電池の状態に応じた充放電の電流制御などでの対応を行わなければならない。許容されるガス,
ミスト濃度の値については国内の規格,基準による。
6.6
危険物
正常状態で,主電池から危険となり得る量の危険物を放出してはならない。
事故又は故障によって危険物の大量放出が生じ得る場合,その影響を最小限としなければならない。乗
員室については特に注意を払わなければならない。
6.7
単電池故障における過熱防止
単電池の故障が発生したときに過熱のおそれがある場合は,電池の温度又は電圧を監視する装置などを
設けて故障を検知し電流を制限するなどの破裂,発火の対策を行わなければならない。
7
主電池の過電流遮断
7.1
機能
主電池の過電流遮断装置は,車両製造業者が指定した条件に従い,主電池回路を開放しなければならな
い。
7.2
要求事項
主電池の過電流遮断装置は,次の事態で,電気回路又は組電池の端子に接続された電気回路を開放でき
なければならない。
− 車両製造業者が指定した過電流,及び
− 主電池に接続された回路の短絡
車両製造業者は,人,車両,環境への危害を防止するように,主電池の過電流遮断装置の応答時間を選
定する。
8
主電池の衝突要求事項
8.1
概要
衝突試験は,国内の規格又は基準による。
8.2
乗員の保護
衝突試験では次の項目及び6.6の要求事項を満足しなければならない。
a) 主電池又は組電池が乗員室外に搭載されている場合,その構成部品(単位電池,電解液)が乗員室に
浸入してはならない。
b) 主電池又は組電池が乗員室内に搭載されている場合,それらの移動を最小限に抑え,乗員の安全を確
保しなければならない。
c) 8.1の試験によって,主電池から電解液総量の7 %以上の電解液が車両から漏れてはならない。
d) 8.1の試験中又は試験後,漏れた電解液が乗員室に浸入してはならない。
8.3
第三者の保護
8.1による衝突試験で,主電池,組電池,及びそれらの構成部品(単位電池,電解液)などが車両の外へ
9
D 5305-1:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
飛び出てはならない。
8.4
短絡に対する保護
8.1による衝突試験で,パワーシステムは短絡の影響から保護されなければならない。箇条7による主電
池の過電流遮断装置を使用してこの要求事項を満足させてもよい。
10
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS D 5305-1:2007 電気自動車−安全に関する仕様−第1部:主電池
ISO 6469-1:2001 Electric road vehicles−Safety specifications−Part 1: On-board
electrical energy storage
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異
の箇条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 車載電池だけを動力
源とする軽自動車,
乗用自動車及び小型
貨物自動車を駆動す
る主電池。
対象となる主電池の
種類は鉛電池,ニッ
ケル水素電池,リチ
ウムイオン電池であ
る。
この規格は,従来の
内燃機関自動車とは
異なる電気自動車特
有の部分についてだ
け規定し,これら以
外の人の保護に関し
ては,内燃機関自動
車の規格を適用す
る。
車載電気回路の最大
動作電圧が直流1
500 V以下。
1
電気自動車(乗用車及
び軽商用車)を推進す
る車載電気化学エネ
ルギー源。
車載電気回路の最大
動作電圧が交流1 000
V又は直流1 500 V未
満。
変更
追加
追加
変更
乗用車及び軽商用車を,
軽自動車,乗用自動車及
び小型貨物自動車に変
更した。
対象とする主電池の種
類を規定した。
“これら以外の人及び
車両環境の保護に関し
ては,内燃機関自動車の
規格を適用する。”を追
加した。
車載電気回路の最大動
作電圧の“交流1 000 V”
を削除した。
乗用車及び軽商用車の定義を国内における
車両分類に変更し適用車種を明確化した。
電気自動車用主電池として従来の鉛電池以
外にニッケル水素電池,リチウムイオン電池
などの高性能電池が適用されていることに
対応して適用電池の種類を規定した。
従来の内燃機関自動車の規格に対する位置
付けを明記した。
この規格の規定内容は直流電気回路で規定
しているため。
3
D
5
3
0
5
-1
:
2
0
0
7
3
D
5
3
0
5
-1
:
2
0
0
7
11
D 5305-1:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異
の箇条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2 引用規格
2
3 用語及び
定義
3
一致
4 環境及び
動作条件
4
一致
5 表示
5.1 組電池
最大動作電圧が
D.C.60 V未満の場合
には適用しない
5
5.1
A.C. 25 V又はD.C. 60
V未満の最大動作電圧
には適用しない。
削除
“A.C. 25 V”を削除し
た。
この規格の規定内容は直流電気回路で規定
しているため。
5.2主電池
の危険物表
示
国内の蓄電池の安全
確保に関する表示ガ
イドラインなどを参
考とする。
5.2
NFPA 70など各国,地
域の法規を適用して
よい。
変更
“NFPA 70など各国,
地域の法規”を,国内の
ガイドラインに変更し
た。
NFPA(米国連邦火災予防協会)は日本の消
防法に相当するが,消防法に明確な記載がな
い,また,NFPAを日本で容易に入手できな
いため。
ECE R 105に規定し
ているトレーラーの
危険部品表示標識を
使用してもよい。
削除
ECE R 105に規定して
いるトレーラの危険部
品表示標識を使用して
もよいを削除した。
国内の表示ガイドラインなどを参考とする
ことでISOの規定を包含できるので,法規を
引用する必要がないため。
6 主電池の
要求事項
6.1.1 概要
最大動作電圧が
D.C.60 V未満の場合
には適用しない。
主電池の絶縁抵抗を
測定するため6.1.2の
試験方法を適用す
る。
7
7.1.1
A.C. 25 V又はD.C. 60
V未満の最大動作電圧
には適用しない。
測定した絶縁抵抗値
は安全範囲内でなけ
ればならないが,実際
の物理値より低くて
もよい。
変更
A.C. 25 Vを削除した。
この規格の規定内容は直流電気回路で規定
しているため。
絶縁抵抗の測定値については,絶縁抵抗の低
下する部位によって異なるため。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異
の箇条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6.1.2 試験
方法
試験方法
7.1.2
Annex
A
削除
追加
(23±5) ℃の環境温度
を削除した。
対応国際規格の附属書
A(参考)に記載の絶縁
抵抗値の計算式を,規
定として追加した。
絶縁抵抗値については6.1.3要求事項に記載
してあるため。温度は,車両製造業者間で一
定していないため。
6.2 沿面距
離
最大動作電圧が
D.C.60 V未満の場合
には適用しない。
7.2
A.C. 25 V又はD.C. 60
V未満の最大動作電圧
には適用しない。
削除
A.C. 25 Vを削除した。 この規格の規定内容は直流電気回路で規定
しているため。
6.3 充電時
の水素ガス
6.3.1 要求
事項
水素ガス濃度が正常
時と起こり得る単一
故障時において,測定
誤差を含めて,4 %を
超えると判断された
範囲に起こり得る着
火源があってはなら
ない。
7.3
7.3.2.1
水素濃度規定で正常
時1 %未満,単一故障
時2 %未満。
変更
JISは測定器誤差を含
め単一故障時4 %を超
えないことに変更し
た。
可燃濃度限界4 %という値は既に実証され
ており,国内外の規格,法規でも4%となっ
ている。
ISOへ提案する。
6.3.2 試験
方法
a) 試験装置
b) 300 km以上走行の
主電池
c) 放電深度80 %よ
り充電
d) 充電時の主電池
温度は水素ガスが最
も発生しやすい温度
7.3.2.1
試験装置の規定なし。
主電池の試験状態の
規定なし。
試験温度の規定なし。
追加
JISは主電池の試験前
の状態,充電前の放電
深度,充電時の温度を
規定した。
ISOは試験方法の規定がないため,JISは詳
細な試験方法を規定した。
ISOへ提案する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異
の箇条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6.3.2 試験
方法(続き)
e) 車両のソーク時間
は16時間又は電池温
度をモニタし±2 ℃
以内になるまで
f) 濃度測定位置は排
出部付近から始め,
着火源範囲の濃度を
測定する。
g) 水素濃度,気温,
充電電流,充電電圧
の測定値を連続的又
は1分以内ごとに記
録する。
−
濃度測定位置,
頻度の規定なし。
追加
JISは測定位置,頻度を
規定した。
ISOは試験方法の規定がないため,JISは詳
細な試験方法を規定した。
ISOへ提案する。
6.3.3 充電
室の換気装
置
水素ガスの最大流出
量の測定は6.3.2にあ
る車両の試験条件で
行う。主電池に対す
る試験条件が同じで
あれば,単電池,単
位電池又は組電池に
試験を代えてもよ
い。水素ガスの流出
量は電池からのガス
排出管に取り付けた
ガス流量計から求め
る。
6
ガスの最大流出量
(m3/h)を決定する。
正常充電の場合,及び
充電過程を含め,装置
が単一故障を起こし
た場合
これら二つの値から
充電室の換気装置を
決定する。
変更
ISOの6と7.3(換気)
とを一つの項目(6.3)
にまとめた。
ISOは試験方法を規定
していない。
JISは試験方法の中で
単一故障を含めてい
る。
JISは単電池,単位電池
又は組電池に試験を置
き換えてもよいとして
いる。
試験方法は6.3.2を指定した。
主電池からの水素ガス流出量は主電池に対
する試験条件が同じであれば電池個数に比
例するので,単電池,単位電池又は組電池に
代えてもよいとして利便性に配慮した。
ISOへ提案する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異
の箇条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6.4 車両走
行中の水素
ガス発生
走行中に危険となり
得る水素ガス濃度の
発生がないように,
電池の状態に対応し
た回生量の制限など
を設けなければなら
ない。
7.3.2.2
国際的な試験方法が
認定されるまで,走行
中の水素濃度は車両
内部で測定すること
を推奨する。
変更
JISは車両内部で発生
する水素ガスを測定す
るよりも,車両側の制
御によって水素ガスを
排出しないよう規定し
た。
走行中に水素ガスが多量に発生するのは電
池が満充電状態などで回生充電ができない
状態である場合で,回生量の制限などの制御
での対策が必要であるので変更した。
ISOへ提案する。
6.5 その他
の有害ガス
電池より有害なガス
又はミスト(酸,ア
ルカリミスト)が排
出されないように電
池の封止構造,弁の
設定,電池制御など
での対応を行わなけ
ればならない。許容
されるガス,ミスト
濃度の値については
国内の規格,基準に
よる。
7.3.2.3
その他のガスの測定
方法と要求事項は今
後,ISO 6469-1の改正
で規定する。
変更
ISOの規定では改正で
規定するとある。国内
においては参考となる
規格,基準があるので
変更した。
国内では労働安全衛生法で人体への影響の
許容値として日本産業衛生学会勧告値を指
定している。
6.7 単電池
故障におけ
る過熱防止
単電池の故障が発生
したときに過熱のお
それがある場合は,
電池の温度又は電圧
を監視する装置など
を設けて故障を検知
し電流を制限するな
どの破裂,発火の対
策を行わなければな
らない。
−
単電池故障に対する
規定なし
追加
JISは単電池故障によ
る過熱防止を追加し
た。
JISではニッケル水素電池,リチウムイオン
電池などを適用の範囲に追加したことによ
って,新たに規定を設けた。
主電池の単電池故障による過熱防止として
一般的に行われている対策だが,注意を促す
目的で追加した。
ISOへ提案する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)
国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異
の箇条ごとの評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7主電池の
過電流遮断
8
主電池の過電流遮断
装置は,主電池の故障
を含むあらゆる故障
で作動しなければな
らない。
削除
左記規定を削除した。
主電池を遮断すると走行ができない。軽微な
故障でも遮断することは必ずしも安全では
ないと判断した。故障の事象内容によって主
電池を遮断すべきと判断した。
ISOに提案する。
8主電池の
衝突要求事
項
8.2乗員の保護
c) 8.1の試験によっ
て,主電池から電解
液総量の7%以上の
電解液が車両から漏
れてはならない。
9.2
c) 湿式電池では,9.1
の試験で5 L以上の電
解液が漏れてはなら
ない。
変更
衝突試験時の電化液漏
れ量をISOの5 Lに対
して電解液総量の7 %
に変更した。
保安基準の細目告示 別添6に合わせた。
10
削除
左記項目を削除した。
国内では内燃機関自動車もロールオーバー
の基準(試験方法)が定められていないため。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6469-1:2001:MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致………………技術的差異がない。
− 削除………………国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加………………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更………………国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
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