2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 4418-1996
自動車用ブレーキライニング及び
ディスクブレーキパッドの
気孔率試験方法
Test procedure of porosity for brake linings
and pads of automobiles
1. 適用範囲 この規格は,自動車の常用ブレーキに使用するドラムブレーキ用ライニング及びディスク
ブレーキ用パッド(以下,それぞれブレーキライニング,パッドという。)の気孔率の試験方法について規
定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計
JIS K 2249 原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容積換算表
JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法
JIS K 2265 原油及び石油製品引火点試験方法
JIS K 2269 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JIS K 2283 原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JIS K 2510 潤滑油さび止め性能試験方法
JIS K 2513 石油製品−銅板腐食試験方法
JIS K 2514 潤滑油−酸化安定度試験方法
JIS K 2518 石油製品−潤滑油−泡立ち試験方法
JIS K 6301 加硫ゴム物理試験方法
JIS K 7112 プラスチックの密度と比重の測定方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
2. 用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,次のとおりとする。
気孔率 試験片体積に対する吸収した油の容積の百分率。
3. 試験温度及び湿度 測定は,原則として温度23±2℃,相対湿度 (50±5) %の室内で行う。
4. 装置及び器具
4.1
はかり はかりは,感量1mg以上のものとする。
4.2
容器 容器は,試験片を入れて加熱することのできる適当な容量のものとする。
2
D 4418-1996
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4.3
恒温装置 恒温装置は,90±10℃に調節できるものとする。
4.4
デシケーター デシケーターは,乾燥塩化カルシウム又はシリカゲル入りのものとする。
5. 試験片 試験片は,次による。
(1) 正規の新品ブレーキライニング及びパッドから幅25mm,長さ25mmでなるべく厚い試験片を切り出
し,各端面(25mm角の面)を滑らかに仕上げ研磨粉を十分取り除く。
(2) 試験片の数は,受渡当時者間の協定による。
(3) 試験片は,デシケーター中で24時間以上放置するか,又は150℃に保持した電気炉中1時間加熱後デ
シケーター中で常温まで冷却しておく。
6. 試験方法
6.1
試験油 試験油は,次による。
(1) 附属書1に相当するもの又は同等以上のものを使用する。
(2) 試験ごとに新しいものを使用する。
6.2
操作 操作は,次の順序で行う。
(1) 試験油の密度の測定は,JIS K 7112による。
(2) 試験片の幅,長さ及び厚さを0.02mmまで測定し試験片の体積を求める。
(3) 試験片の質量を1mgまで測定する。
(4) 容器の試験油中に試験片を入れ,90±10℃で8時間保持する。
なお,試験片に気泡が付着している場合は適切な方法によって除去する。
(5) その後,試験油中に試験片を浸せきしたまま,試験油が室温になるまで12時間以上放置する。
(6) 試験油中から試験片を取り出し,布片上に4〜5回転がして試験片の表面の油を取り去る。
(7) 試験片の質量を1mgまで測定する。
7. 計算 次の式によって,気孔率を計算する。
なお,各試験結果は,個々に算出し,JIS Z 8401によって有効数字2けたに丸める。
100
1
1
2
×
×V
m
m
p
ρ
−
=
ここに,
p: 気孔率 (%)
m1: 試験片の質量 (g)
m2: 油を吸収した試験片の質量 (g)
ρ: 試験油の密度 (g/cm3)
V: 試験片の体積 (cm3)
8. 記録 付表1に示す様式の記録用紙に,次の事項を記入する。
(1) 試験片の材質及び寸法
(2) 平均値
(3) 測定値の範囲又は標準偏差
(4) 試験室の温度及び湿度
(5) 試験年月日
3
D 4418-1996
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(6) その他 受渡当事者間の協定による事項
付表1 気孔率記録用紙
備考
100
1
1
2
×
×V
m
m
p
ρ
−
=
ここに,
p: 気孔率 (%)
m1: 試験片の質量 (g)
m2: 油を吸収した試験片の質量 (g)
ρ: 試験油の密度 (g/cm3)
V: 試験片の体積 (cm3)
4
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附属書1 試験油
1. 適用範囲 この附属書は,自動車用ブレーキライニング及びディスクブレーキパッドの気孔率の試験
に用いる試験油(以下,試験油という。)について規定する。
2. 種類 試験油の種類は,附属書1表1による。
附属書1表1
種類
主な適用
A
自動変速油で主として乗用車であるが,トラック及びバス用と
しても用いる。油性剤などが添加され,摩擦特性試験において
低滑り速度域で,比較的低い摩擦係数を示すもの。
B
自動変速機油で主として乗用車であるが,トラック及びバス用
としても用いる。摩擦特性試験において,低滑り速度域で比較
的高い摩擦係数を示すもの。
3. 品質 試験油は水及び沈殿物を含まず,附属事1表2の規定に適合しなければならない。
5
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附属書1表2
項目
特性
試験条件
試験項目
比重
0.85〜0.90
15±4℃
4.2
引火点 ℃
160以上
−
4.3
混合性
加熱後及び冷却後,濁り,沈殿及び分離がないこと。
150±2℃,
−29±1℃
4.4
動粘度 mm2/s
6.0以上
100±0.03℃
4.5
絶対粘度 mPa・s
4 000以下
−23℃
4.6
mPa・s
55 000以下
−40℃
粘度指数
240以上
−
4.7
流動点 ℃
−40以下
−
4.8
銅板腐食(変色番号)
2以下
100±1℃, 3h±5min
4.9
黒色物のはく離がないこと。
150±1℃, 3h±5min
さび止め性
試験片表面にさびが認められないこと。
60±1℃, 24h±10min
4.10
泡立ち性 ml
100.0以下
24±0.5℃, 93.5±0.5℃,
93.5℃後の24±0.5℃
4.11
シールゴ
ム適合性
硬さ変化 Hs
−10〜+10
150±1℃, 70±h
4.12
体積変化率 %
+1〜+8
酸化
安定性
粘度増加率 %
50以下
150±1℃, 96±0.5h
4.13
全酸化変化
mg・KOH/g
3以下
ラッカ度
付着物がないこと。
人体への影響
通常の取扱いにおいて,不快臭や皮膚に付着した場
合の刺激がないこと。また,4.13の試験後も著しい
不快臭がないこと。
−
−
備考 次に示す項目については,それぞれ該当する項目番号の試験方法によって試験を行い,その結果を記録する。
判定基準については,受渡当事者間の協定による。
(1) 動粘度mm2/s(40±0.03℃における)……………………………… ……………………… 試験項目4.5
(2) 絶対粘度mPa・s(−18℃における)………………………………… ……………………… 試験項目4.6
(3) シールゴム適合性における伸び変化率及び引張り強さ変化率 % ……………………… 試験項目4.12
(4) 酸化安定性における凝集正ペンタン不溶分 %…………………… ……………………… 試験項目4.13
4. 試験方法
4.1
試料採取方法 試料採取方法は,JIS K 2251による。
4.2
比重 比重は,JIS K 2249による。
4.3
引火点 引火点は,JIS K 2265による。
4.4
混合性
4.4.1
装置 装置は,次による。
(1) 試験容器 JIS K 2269の流動点測定試験管を用いる。
(2) 温度浴及び低温浴 試験容器を規定温度150±2℃及び−29±1℃に保つことができる気体浴の適当な
ものを用いる(低温浴は,JIS K 2269の装置でもよい。)。
(3) 温度計 JIS B 7410の温度計番号No.7,No.9などを用いる。
4.4.2
操作 操作は,次による。
(1) 試料油及び試料油と同種(1)で銘柄の異なる油の2種類を同体積,試料容器に採取し,室温で混合する。
コルク栓を用いて温度計を試料容器に取り付ける。
注(1) AならばAとする。
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) 150±2℃の高温恒温浴に1時間保持し,室温になるまで放置する。濁り,沈殿,分離の状態を調べる。
(3) (2)の試料を−29±1℃の低温恒温浴に1時間保持した後,低温恒温浴から取り出し,室温になるまで
放置する。再び濁り,沈殿,分離の状態を調べる。
4.5
動粘度 JIS K 2283による。ただし,測定温度は,40±0.03℃と100±0.03℃とする。
4.6
絶対粘度
4.6.1
装置 装置は,次による。
(1) 回転粘度計 粘度計定数を校正してあるものを用いる。
(2) 低温浴 規定温度 (−40℃) 以下に,±0.3℃の範囲で規定時間 (16h) 以上保つことができる気体浴又
は液体浴の適当なものを用いる。
(3) 試料容器 ガラス製で内径20mm以上,長さ100mm以上の平底容器を用いる。
(4) 温度計 JIS B 7410に規定されたもの又は熱電対,サーミスタ,白金抵抗線などを用いたもので,±
0.1℃の正確度をもつものを用いる。
4.6.2
操作 操作は,次による。
(1) 適当なガラス容器に入れた試料油を49±1℃に30分保持した後,室温で約32.5℃になるまで冷却する。
(2) 試験容器に(1)の処理を終わった試料油の一定量を入れる。この量は,回転粘度計校正の際粘度標準液
と等量とし,試験容器を粘度計に取り付けたとき,回転子が供試油に浸る深さが一定になるようにし
なければならない。
(3) 予期される粘度に応じ,回転子No.3又はNo.4を取り付けた回転粘度計に試料容器を取り付け,これ
を低温恒温浴中に規定温度±0.3℃で16時間浸せきする。液浴の液面は,試料油面から20mm以上,
上になければならない。液浴は,適当なかくはんによって均一温度にし,規定温度±0.3℃に保たれて
いなければならない。
(4) 16時間後液浴又は気浴の温度を記録し,回転粘度計のモータを始動し,8〜10秒後にクラッチを押し
目盛を読み取る。電動機を停止する。以上の操作を引き続き3回の測定で同じ読みが得られるまで繰
り返す。回転子の回転速度は,3〜60r/minの範囲で測定粘度と回転子の番号に応じて測定時の目盛の
読みがなるべく大きくなるように選ぶことが望ましい。
4.6.3
記録 次の事項を,記録する。
(1) 液浴の温度を0.1℃まで記録する。
(2) 目盛読み×乗係数×校正定数によって絶対粘度mPa・sを計算し記録する(乗係数は,回転子番号と回
転速度に応じ,粘度計に付表として示されている。)。
4.7
粘度指数 粘度指数は,JIS K 2283による。
4.8
流動点 流動点は,JIS K 2269による。
4.9
銅板腐食 銅板腐食は,JIS K 2513による。ただし,試験温度150±1℃とした試験を実施する。
4.10 さび止め性 さび止め性は,JIS K 2510による。ただし,水(蒸留水)を用いて試験する。
4.11 泡立ち性 泡立ち性は,JIS K 2518による。
4.12 シールゴム適合性 シールゴム適合性は,JIS K 6301の12.(浸せき試験)に準じて行う。ただし,
試験用油は試料油を用い,試験温度は150±1℃,試験時間は70時間とする。試験片の材質は,受渡当事
者間の協定による。
4.13 酸化安定性 酸化安定性は,JIS K 2514による。ただし,試験温度は150±1℃,試験時間は96時間
とする。
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D 4418-1996
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
関連規格 JIS K 2213 タービン油
自動車 航空部会 自動車専門委員会 構成表(昭和61年8月1日制定時)
氏名
所属
(委員会長)
中 込 常 雄
社団法人自動車技術会
横 溝 眞一郎
工業技術院標準部
柴 藤 良 知
運輸省交通安全公害研究所
黒 田 直 樹
通商産業省機械情報産業局
清 水 達 夫
運輸省地域交通局
瀬 倉 久 男
防衛庁装備局
梅 澤 清 彦
東京工業大学
石 渡 正 浩
財団法人日本自動車研究所
大 沼 広 洲
全日本トラック協会
佐 藤 武
慶応義塾大学
杉 浦 秀 昭
日本自動車整備振興会連合会
田 中 兼 吉
社団法人日本バス協会
轟 秀
社団法人日本自動車連盟
安 部 宏
株式会社本田技術研究所
改 田 護
トヨタ自動車株式会社
紅 谷 恒 雄
日産自動車株式会社
須 永 惇 一
いすゞ自動車株式会社
鈴 本 作 良
社団法人日本自動車部品工業会
高 原 昭 二
三菱自動車工業株式会社
西 原 孝 雄
マツダ株式会社
大 槻 耕 一
日野自動車工業株式会社
金 子 達 明
日本自動車輸入組合
(専門委員)
斎 藤 巌
財団法人日本規格協会
佐 藤 好
日本道路公団
有 賀 久
日産ディーゼル株式会社
宇 藤 官
鈴木自動車工業株式会社
(事務局)
田 代 和 也
工業技術院標準部機械規格課
宗 像 保 男
工業技術院標準部機械規格課