D 4415 : 1998
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS D 4415 : 1996は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,日本工業規格と国際規格との整合化を図ることを基本方針とし,ISO 6311 : 1980を基
礎として用いた。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 4415 : 1998
自動車部品−ブレーキライニング
及びディスクブレーキパッド−
せん断強さ試験方法
Automotive parts−Brake linings and disc brake pads−
Test procedure of shear strength
序文 この規格は,1980年に第1版として発行されたISO 6311を翻訳し,対応する部分については,技
術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,原国際規格には規定されていない規定内容
を日本工業規格として追加している。
なお,点線の下線を施してある箇所は対応国際規格にない事項である。
この規格の適用に当たっては,次の点を考慮する必要がある。
a) ブレーキの通常の使用状態の下で制動するとき,せん断応力がパッド材料中に発生する。
b) ライニングの場合にはせん断力が幾何学的効果によって増加する。
1. 適用範囲 この規格は,自動車に使用されるディスクブレーキ用パッド(以下,パッドという。)及び
ドラムブレーキ用ライニング(以下,ライニングという。)の摩擦材料に適用する。ライニング材料及びパ
ッド材料のせん断強さ(応力)の測定方法を規定する。
備考 この規格の国際対応規格を次に示す。
ISO 6311 : 1980 Road vehicles−Brake linings−Internal shear strength of lining material−Test
procedure
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。こ
の引用規格は,その最新版を適用する。
ISO 611 Road vehicles−Braking of automotive vehicles and their trailers−Vocabulary
3. 記号及び単位
項目
記号
単位
せん断強さ
τ
N/mm2
せん断力
F
N
応力を受ける面積
A
mm2
4. 定義
4.1
せん断強さ (Internal shear strength) この規格で用いる場合はせん断力と応力を受ける面積との比率。
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参考 せん断強さは,次の式によって計算する。
A
F
=
τ
ここに,
τ:せん断強さ (N/mm2)
F:せん断力 (N)
A:応力を受ける面積 (mm2)
4.2
せん断力 (Shear force) ライニング又はパッドに垂直で,せん断を引き起こす力(6.の付図1を参
照)。一般的な定義はISO 611を参照。
5. サンプルの抜取り及び調製 サンプル(最小5個)は新品を使用し,試験片は,通常の使用状態にお
いて,応力のかかる平面又は表面に平行な面の中でせん断するように選択する。
試験片の寸法(試験片は平らでなければならない)
長さ:20±0.1mm
幅 :20±0.1mm
厚さ:5±0.1mm又は10±0.1mm
ただし,5mmの厚さが得られないときは,できる限り厚く採取する。
6. 装置 試験装置は,せん断ジグを備え,規定された方法で必要な荷重をかけることができる引張り又
は圧縮試験機で構成する。試験機は,例えば,荷重の最大指示指針器又は印刷式記録のような,せん断荷
重を記録する装置を備えていなければならない。
荷重増加率は,荷重が平均4 500±500N/sで制御されなければならない。
更に,せん断力が5 000Nを超える場合には荷重を制御している装置は,瞬間的荷重増加率が4 500±2 250
N/sの限度内になるような機能をもつことが望ましい。
備考 油圧で作動する引張り又は圧縮試験機の場合において,荷重増加率は無荷重時のピストンの動
きを調整することによって適合させることができる。ピストンの速度(mm/sで表示したときの)
は機械のタイプによって異なる。
引張り又は圧縮試験機には,クロスヘッド移動速度一定試験機を使用してもよい。この場合はクロスヘ
ッド移動速度は0.5mm/minとする。
せん断ジグ(付図1参照)は二つのブロックから構成され,そのすき間は最大0.1mmであり,他のブロ
ックに対してできる限り小さい摩擦で滑ること。ブロックとガイドの間の摩擦は,極めて小さいか,又は
かけられた荷重を計算するときに差し引きができるように記録ができなければならない。
荷重は,せん断ジグ及び試験片の中心を通り,かつ,ガイド面に長さ100mm当たり0.1mm以内で平行
にかけることが不可欠である。
7. 試験方法 試験片をせん断ジグの中に置き,正常な使用状態における応力に平行な方向に,連続的に
荷重を増加させる。
荷重は衝撃的にかけてはならず,荷重のかけ方は6.に規定されたとおりでなければならない。
備考 試験は,試験片が破壊するまで行わなければならない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8. 報告書 報告書には,かけられた最大荷重(少なくとも5個の測定値の平均値として)をNで,また,
せん断された面積をmm2で記録する。
備考 試験片の厚さが規定寸法に満たないときは,
左右ブロックにスぺーサを入れて試験する。
付図1 試験用装置の例
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ライニング分科会委員 構成表
氏名
所属
(分科会長)
瀬 古 昇 一
トヨタ自動車株式会社第1材料技術部
(幹事)
堀 口 和 也
曙ブレーキ工業株式会社開発部門乗用車グループ
(委員)
赤 尾 英 雄
アイシン精機株式会社走行系事業部技術部
石 浦 武 弘
三菱自動車工業株式会社乗用車開発本部材料技術部
石 田 隆 久
スズキ株式会社四輪駆動設計部
伊 吹 正 紀
住友電気工業株式会社ブレーキ事業部パッド技術部
小田島 武 義
東京部品工業株式会社
鬼 頭 正 次
いすゞ自動車株式会社小型駆動設計部
小 島 克 己
社団法人日本自動車部品工業会技術部
柴 田 勝 弘
株式会社本田技術研究所栃木研究所第4研究ブロック
高 橋 典 夫
株式会社アスクテクニカ技術部
多 鹿 俊 介
ダイハツ工業株式会社シャシー設計部
田 中 隆 一
株式会社ナブコ自動車事業部技術部
長 南 隆 泰
日野自動車工業株式会社機構RE部
津 金 秀 幸
工業技術院標準部機械規格課
中 西 宏 之
日産自動車株式会社材料技術部
服 部 信 彦
日清紡績株式会社館林工場品質保証部
原 秦 啓
日立化成工業株式会社
村 上 秦 嗣
三菱マテリアル建材株式会社
吉 田 康 典
久代ブレーキ工業株式会社研究部
米 川 弘 文
富士重工業株式会社開発本部シャシ設計部
佐々木 要 助
曙ブレーキ工業株式会社摩擦材グループプロジェクト2チーム
(事務局)
武 藤 博
社団法人自動車技術会