2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 3641-2-1997
(ISO 8984-2 : 1993)
ディーゼル機関−
燃料インジェクタの試験−
第2部:試験方法
Diesel engines−Testing of fuel injectors−
Part 2 : Test methods
序文 この規格は,1993年第2版として発行されたISO 8984-2 (Diesel engines−Testing of fuel injectors−Part
2 : Test methods) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で下線(点線)を施してある“参考”は,原国際規格にない事項である。
1. 適用範囲
1.1
この規格は,JIS D 3641-1 (ISO 8984-1) に規定された手動レバー操作による試験及びセッティングの
装置を用いて,ディーゼル機関用燃料インジェクタに対して行う試験を規定する。これらの試験は,次の
とおりである。
− ノズル開弁圧
− チャター(霧化)
− 噴霧形状
− シート油密
− バックリーケージ
1.2
この規格は,1シリンダ,1噴射当たりの全負荷要求噴射量が300mm3以下のディーゼル機関用燃料
噴射装置のインジェクタの試験に,主として適用する。
1.3
特定のインジェクタに対して,この規格のいずれの試験を実施するべきかは,許容する性能限界値
とともに,インジェクタの製造業者が指示する。
1.4
インジェクタを装置(3.4参照)に接続するアダプタ,及び,この規格に規定されていない,特定の
要求事項のすべてをインジェクタの製造業者が指定する。
備考1. この規格に用いる主な用語の定義は,ISO 7876-2 : 1991, Fuel injection equipment−Vocabulary
−Part 2 : Fuel injectorsに従っている。
2. 引用規格
次に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定を構成する。この規格の発行時
点で,次に示す版が有効であった。すべての規格は改訂されるものであるので,この規格に基づくことに
合意した関係者は,これらの引用規格の最新版を適用する可能性について調査することに努めるのがよい。
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D 3641-2-1997 (ISO 8984-2 : 1993)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ISO 4008-3 : 1987, Road vehicles−Fuel injection pump testing−Part 3 : Application and test procedures
ISO 4113 : 1988, Road vehicles−Calibration fluid for diesel injection equipment
ISO 7440-1 : 1991, Road vehicles−Fuel injection equipment testing−Part 1 : Calibrating nozzle and holder
assemblies
ISO 8984-1 : 1993, Diesel engines−Testing of fuel injectors−Part 1 : Hand-lever-operated testing and setting
apparatus
参考 JIS D 3641-1(ディーゼル機関−燃料インジェクタの試験−第1部:手動レバー操作による試験
及びセッティングの装置)が,この国際規格と一致している。
JIS K 2204 軽油
3. 試験の条件
3.1
試験及びセッティングの装置は,JIS D 3641-1 (ISO 8984-1) による。
3.2
試験用液体は,ISO 4113に規定する校正用液体又はJIS2号軽油[JIS K 2204の2号とし,粘度は,
2.5〜6.0mm2/s (30℃)]とする。
参考 ISO 4113の校正用液体とは,噴射装置を試験するために作られた特別の鉱物油で,密度,動粘
度などが規定されているほか,臭気を取り除いたり,泡立ち,劣化,腐食,摩耗などを防止す
るための添加剤が加えられているものである。
3.3
この規格に規定する試験条件は,液体の作動温度23±5℃に対して適用する。作動温度が上記温度範
囲から外れることが避けられない場合には,インジェクタの製造業者の勧告及び特別の指示を受けるとよ
い。
3.4
インジェクタは,試験する特定のインジェクタに対してインジェクタの製造業者が指定するアダプ
タを用いて,試験装置に接続する。ほとんどの場合に,このアダプタは,特定の寸法の高圧パイプアセン
ブリである。
4. 試験の手順
装置の詳細な診断を必要とする場合には,次に示す準備及び試験手順の前に実施する。
4.1
準備
試験の前に,インジェクタの温度を3.3に規定した作動範囲に安定させる。インジェクタをアダプタ(3.4
参照)で装置に接続する。隔離弁を閉めて圧力計を装置から切り離し,数回の速いポンピングストローク
でインジェクタをフラッシングする。許容されるバックリーケージ以外に,アダプタ接続部又はインジェ
クタからの漏れがないことを確実にする。
4.3〜4.6の試験を実施する前に,ノズル開弁圧を点検する。開弁圧は,個々のインジェクタに適用する
指定限界値内であることが望ましい。
4.2
ノズル開弁圧試験
圧力計隔離弁を全開にして,試験装置の操作ハンドル(以下,ハンドルという。)を押し下げながら徐々
に圧力を上げ,圧力を監視する。圧力上昇が停止した点,又は降下する点で,かつ,ノズルチップから液
体が出る点をノズルの開弁圧とする。
この試験中,噴霧の形状は評価しないのがよい。
4.3
チャター(霧化)試験
圧力計隔離弁を閉じ,ハンドルを操作して液体をインジェクタに送る。チャターは,ノズル弁が高速で
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D 3641-2-1997 (ISO 8984-2 : 1993)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
往復運動する現象であって,次によって評価する。
− 音に着目する。
− 及び/又は,噴霧を目視で確認する。
− 及び/又は,ハンドルの手ごたえを感じとる。
試験を実施する特定のインジェクタについての許容基準には,ポンピングの速度を含める。
この試験中,噴霧の形状は評価しないのがよい。
4.4
噴霧の形状
隔離弁を完全に閉じ,ハンドルを急激に速く押し下げる。噴霧の形状を観察し,インジェクタの製造業
者の仕様と比較する。
4.5
シート油密試験
隔離弁を全開し,ノズルの角度を下向きにして,4.2の規定に従い実際の開弁圧を記録しながらノズルの
開弁圧試験を実施する。
ノズルチップをぬぐってからハンドルをゆっくり操作して,記録した開弁圧より2MPa (20bar) 低い圧力
まで圧力を上げる。圧力を10秒間保持した後,ノズルチップから液滴が滴り落ちてはならない。
オリフィス板形校正用インジェクタのシート油密試験には,追加の要求事項が適用される。それらは,
JIS D 3635に詳細を規定してある。
参考 原国際規格ではISO 4008-3に詳細を規定してある,と記述している。JIS D 3635(自動車−燃
料噴射ポンプの試験−第3部:試験の適用及び手順)-1992が,この国際規格と同等である。
バックリーケージ継手がある場合には,継手からインジェクタ外部に出た液体が,試験の妨げにならな
いことを確実にする。
4.6
バックリーケージ試験
この試験の基本的要件は,シート油密試験(4.5)に既に合格していることである。
隔離弁を閉じ,ポンプを5回ストロークしてインジェクタをフラッシングする。隔離弁を全開し,ハン
ドルを操作して所定の圧力pAまで上げ,ハンドルを離して自由に圧力が下がるに任せる。
ノズル弁と弁案内部との間から液体が漏れることによって,圧力が第1の所定圧力pBから,それより低
い第2の圧力pCまで下がるのに要した時間を測定する。
実際のノズル開弁圧に対し,圧力pAは少なくとも0.5MPa (5bar) 低く,圧力pBは少なくとも2.5MPa
(25bar) 低くなければならない。pBとpCとの間の圧力降下は,3MPa (30bar) とする。試験時の温度におけ
る実際の圧力水準及び最小許容バックリーケージ時間(最大許容漏れ速度)は,インジェクタ製造業者が
指定する。
備考2. pA,pB,pCは,JIS D 3635に圧力A,B,Cとして定義されている。
JIS D 3637に従う校正用インジェクタについては,JIS D 3635を参照する。
参考 原国際規格ではISO 7440-1に従う校正用インジェクタと記述してある。JIS D 3637(自動車−
ディーゼル機関用燃料噴射ポンプの試験−校正用インジェクタ)-1996の1形及び3形がこの
国際規格の規定内容と一致している(2形及び4形もJIS D 3635を参照する。)。
試験は数回繰り返して行うが,個々の試験と試験との間において,隔離弁を閉じてフラッシングを実施
する。
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D 3641-2-1997 (ISO 8984-2 : 1993)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
社団法人自動車技術会原動機部会燃料噴射装置分科会 構成表
氏名
所属
(分科会長)
寺 澤 通 高
日野自動車工業株式会社
(幹事)
成 田 実
日本電装株式会社
根 岸 喜代春
工業技術院標準部
村 上 顯
工業技術院機械技術研究所
伊 月 誠 二
ヤンマーディーゼル株式会社
植 田 弘 明
マツダ株式会社
川 畑 弘 二
ダイハツ工業株式会社
栗 田 弘 之
日産ディーゼル株式会社
正 司 章
トヨタ自動車株式会社
関 口 明 彦
三菱自動車工業株式会社
中 井 洋 明
日産自動車株式会社
原 田 哲 也
いすゞ自動車株式会社
石 本 省 寄
株式会社ゼクセル
小 島 克 己
社団法人日本自動車部品工業会
小松崎 雅 康
三桜工業株式会社
望 月 厚 芳
マルヤス工業株式会社
森 田 芳 治
臼井国際産業株式会社
山 越 亘
ミクニ・プレシジョン株式会社
(事務局)
平 野 修 二
社団法人自動車技術会