サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

D 3606-1993 

自動車用電気駆動式燃料ポンプ 

Automobiles−Electric fuel pumps 

1. 適用範囲 この規格は,自動車用ガソリン機関に用いる電気駆動式燃料ポンプ(1)(以下,ポンプとい

う。)について規定する。 

注(1) ガソリン噴射機関に用いるポンプを含む。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 0203 管用テーパねじ 

JIS B 0207 メートル細目ねじ 

JIS D 0203 自動車部品の耐湿及び耐水試験方法 

JIS D 1601 自動車部品振動試験方法 

JIS D 5403 自動車用電線端子 

JIS K 2201 工業ガソリン 

JIS K 2202 自動車ガソリン 

JIS K 2203 灯油 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) インライン式ポンプ 燃料配管の途中に取り付ける形式のポンプ 

(2) インタンク式ポンプ 燃料タンクの中に取り付ける形式のポンプ 

(3) 電動機駆動ロータ式ポンプ ポンプ部の構造が回転式で,電動機によって駆動する形式のポンプ 

3. 容量 ポンプの容量は,指定吐出し圧力(2)における指定吐出し量(2)で表す。 

注(2) 受渡当事者間の協定による。その単位は,それぞれkPa,l/hを用いる。 

4. 公称電圧 ポンプの公称電圧は,6V,12V及び24Vとする。 

5. 性能 

5.1 

乾き吸込圧力 ポンプ内部及び吸込管内を乾燥状態にして,吐出し側を開放し,吸込側を閉じ,公

称電圧でポンプを作動させたとき,吸込圧力は,−5kPa以下とする。ただし,インタンク式ポンプを除く。 

5.2 

締切時吐出し圧力 

5.2.1 

締切時吐出し圧力の平均値(3) ポンプを公称電圧で作動させながら,吐出し側を閉じたときの吐出

し圧力の平均値は,指定締切時吐出し圧力(4)の70〜100%の範囲になければならない。 

注(3) 脈動圧の平均値。 

(4) 受渡当事者間の協定による。 

background image

D 3606-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2.2 

締切時吐出し圧力の最高値 気化器用ポンプは,実用状態の配管を行い,ポンプを公称電圧の90

〜120%の範囲で作動させ,気化器入口で測定したときの吐出し圧力の最高値が,指定締切時吐出し圧力(4)

の130%を超えてはならない。ただし,この規定はガソリン噴射用ポンプには適用しない。 

5.3 

吐出し量 吐出し側を指定吐出し圧力(2)にしたときの温度及び電圧に対する吐出し量は,表1に示

すとおりとする。 

表1 吐出し量 

項目 

燃料温度(5) 

ポンプ 
周囲温度(6) 

試験電圧 

吐出し量 

常温公称電圧特性 

常温 

常温 

公称電圧 

指定吐出し量(2)以上 

常温低電圧特性 

常温 

常温 

公称電圧の65 

指定吐出し量の50%以上 

高温公称電圧特性 (1)  

40±3℃ 

60±3℃ 

公称電圧 

受渡当事者間の協定による。 

高温公称電圧特性 (2) (7) 

60℃ 

80℃ 

低温公称電圧特性 

−30℃(8) 

−30℃(8) 

公称電圧 

指定吐出し量の50%以上 

低温低電圧特性 

−30℃(8) 

−30℃(8) 

公称電圧の32 

受渡当事者間の協定による。 

注(5) ポンプ入口における燃料温度。 

(6) インタンク式ポンプの場合には,燃料温度と同じ温度とする。 
(7) 高温公称電圧特性(2)の測定は必要に応じて行い,この場合の燃料温度及びポンプ周囲温度は,受渡当事

者間の協定によってそれぞれ60℃及び80℃を超えない範囲で別に定めることができる。 

(8) 温度許容差は,受渡当事者間の協定による。 

5.4 

電気駆動部の温度上昇 ポンプ周囲温度及びポンプ入口における燃料温度を40℃以下に保ち,ポン

プを公称電圧で作動させ,電気駆動部の巻線の温度が一定となったとき,抵抗法によって巻線の温度を測

定し,そのときの温度上昇は60℃を超えてはならない。ただし,ポンプの吸込側は開放,吐出し側は指定

吐出し圧力にする。 

5.5 

気密性 吸込口に,100kPa以上で指定締切時吐出し圧力(4)と同等の空気圧を加え,吐出し口を閉じ

試験油中に浸せきして10秒間以上保持したとき,漏れがあってはならない。ただし,インタンク式ポンプ

は除く。 

5.6 

耐振性 ポンプを公称電圧で作動させ,吸込側及び吐出し側を開放して,JIS D 1601の5.3(振動耐

久試験方法)(1)の段階4によって試験を行う。ただし,インタンク式ポンプの試験方法及び条件は受渡当

事者間の協定による。 

試験後のポンプの性能は,5.1,5.2,5.3,5.4及び5.5をそれぞれ満足し,かつ,構造のいずれの部分に

も有害な欠陥を生じてはならない。 

5.7 

耐水性 ポンプをJIS D 0203のR2による試験を行い,試験後外部の水をふき取り1時間放置した

とき,絶縁抵抗その他各部に異常があってはならない。ただし,インタンク式ポンプは除く。 

5.8 

耐久性 

5.8.1 

常温耐久性 ポンプを表2に示す条件で運転を行った後,5.1及び5.2.1の試験並びに5.3の常温公

称電圧特性の試験を行ったとき,性能はそれぞれの規定値の90%以上とする。 

また,気密性は5.5を満足し,かつ,構造のいずれの部分にも有害な欠陥を生じてはならない。 

5.8.2 

高温耐久性 ポンプを表2に示す条件で運転を行った後,5.1及び5.2.1の試験並びに5.3の常温公

称電圧特性の試験を行ったとき,性能は受渡当事者間の協定による値以上とする。 

また,気密性は5.5を満足し,かつ,構造のいずれの部分にも有害な欠陥を生じてはならない。 

background image

D 3606-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 耐久性試験条件 

項目 

試験電圧 

吸込ヘッド 

吐出しヘッド 

燃料温度 

運転時間 

常温耐久性 

公称電圧の67 

500mm(9) 

500mm(10) 

常温 

500h(11) 

高温耐久性 

50〜60℃ 

100h 

注(9) インタンク式ポンプは,0mmとする。 

(10) 電動機駆動ロータ式ポンプは,指定吐出し圧力とする。 
(11) 電動機駆動ロータ式ポンプは,2 000hとする。 

6. 構造 

6.1 

ポンプ部の気密性 気密性は良好で,燃料の漏れなどがない構造とする。ただし,インタンク式ポ

ンプは除く。 

6.2 

発火防止構造 ポンプ部分及び配管接続部分で燃料が漏れた場合,その燃料が発火のおそれがある

部分に入らない構造とする。 

また,電気接点など発火のおそれがある部分は,燃料が外部からかかっても発火しない構造とする。 

6.3 

継手 ポンプの吸込口及び吐出し口の継手は,原則として表3に示すとおりとする。 

表3 継手 

方式 

寸法 

ねじの場合 

JIS B 0203 PT8

JIS B 0207 M 10×1.25 

 M 12×1.25 

管の場合 

 外径6.35mm,8mm又は12mm 

6.4 

電線端子 ポンプに使用する電線端子は,原則としてJIS D 5403のCA104,CB104又はLAとする。 

7. 外観 ポンプ各部の表面には,有害なきず,さび,鋳巣,鋳張り,ひずみその他の欠陥があってはな

らない。 

8. 試験の一般条件 試験の一般条件は,次のとおりとする。 

(1) 試験は,特に指定がなければ常温で行う。 

(2) 試験に用いる燃料は,JIS K 2201,JIS K 2202又はJIS K 2203に規定する油を使用する。 

(3) 吐出し量の試験に用いる装置の一例を,付図1及び付図2に示す。ただし,ポンプ及び燃料温度を調

整し,燃料タンク内の燃料温度及びポンプの周囲温度を測定する適当な装置をこれに追加する。 

(4) フィルタをもつポンプは,フィルタを付けた状態で試験する。 

9. 検査 

9.1 

性能検査 

9.1.1 

乾き吸込圧力検査 乾き吸込圧力は,5.1の規定に適合しなければならない。 

9.1.2 

締切時吐出し圧力検査 締切時吐出し圧力は,5.2の規定に適合しなければならない。 

9.1.3 

吐出し量検査 吐出し量は,5.3の規定に適合しなければならない。 

9.1.4 

気密性検査 気密性は,5.5の規定に適合しなければならない。 

9.1.5 

耐振性検査 耐振性は,5.6の規定に適合しなければならない。 

9.1.6 

耐水性検査 耐水性は,5.7の規定に適合しなければならない。 

background image

D 3606-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9.1.7 

耐久性検査 耐久性は,5.8の規定に適合しなければならない。ただし,耐久性試験は,規定運転

時間に達するまでこれを断続させても差し支えない。 

9.2 

構造検査 ポンプの構造は,6.の規定に適合しなければならない。 

9.3 

外観検査 ポンプの外観は,7.の規定に適合しなければならない。 

10. 表示 ポンプには,容易に消えない方法で次の事項を表示する。ただし,(4)及び(5)は必要な場合だけ

でよい。 

(1) 公称電圧 

(2) 製造年月又はその略号 

(3) 製造業者名又はその略号 

(4) 出口・入口(いずれか一方でもよい。) 

(5) 電圧極性 

付図1 インライン式燃料ポンプの試験装置(例) 

ここに,Hs: 吸込ヘッド 500mm 

P: 試験ポンプ 

Hd: 吐出しヘッド 500mm 

T: 燃料タンク 

a,b,c(12): 吸込管路 1 500mm 

M: 計量器 

d(12)e,f,g: 吐出し管路 1 500mm 

S: 吸込側マノメータ又は圧力計 

管内径: 6〜8mm 

V: 吐出し側マノメータ又は圧力計 

hs: 吸込圧力(13) 

A,B,C,D: コック(14)(15) 

hf: 吸込圧力修正量 

  

hd: 吐出し圧力(13) 

  

hg: 吐出し圧力修正量 

  

注(12) c,dの間の管路は,たわみ管でもよい。 

(13) hs及びhdには,S及びVへ通じる透明管内の燃料柱hf及びhgによる修正値を加えなければ

ならない。 

(14) A及びDのコックは,管の通路面積に対して十分大きくなければならない。 

また,Dのコックは,圧力の調整が容易にできるものであること。 

(15) B及びCのコックは,主管路の近くに設ける。 

background image

D 3606-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図2 インタンク式燃料ポンプの試験装置(例) 

ここに,Hd: 吐出しヘッド 500mm 

P: 試験ポンプ 

d (16),e,f,g: 吐出し管路 1 500mm 

T: 燃料タンク 

管内径: 6〜8mm 

M: 計量器 

hd: 吐出し圧力(17) 

V: 吐出し側マノメータ又は圧力計 

hg: 吐出し圧力修正量 

C,D: コック(18)(19) 

注(16) P,dの間の管路は,たわみ管でもよい。 

(17) hdには,Vへ通じる透明管内の燃料柱hgによる修正値を加えなければならない。 
(18) Cのコックは,主管路の近くに設ける。 
(19) Dのコックは,管の通路面積に対して十分大きくなければならない。 

また,圧力の調整が容易にできるものであること。 

関連規格 JIS D 3601 自動車用機械駆動式燃料ポンプ 

D 3606-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

自動車航空部会 自動車専門委員会 構成表(昭和63年1月1日改正のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

中 込 常 雄 

学識経験者 

中 川 勝 弘 

通商産業省機械情報産業局 

松 波 正 壽 

運輸省地域交通局陸上技術安全部 

飛 田   勉 

工業技術院標準部 

石 渡 正 治 

財団法人日本自動車研究所 

梅 澤 清 彦 

東京工業大学精密工学研究所 

大 西   徳 

社団法人全日本トラック協会 

佐 藤   武 

慶應義塾大学理工学部 

瀬 倉 久 男 

防衛庁装備局 

田 中 兼 吉 

社団法人日本バス協会 

轟     秀 

社団法人日本自動車連盟 

杉 浦 秀 昭 

社団法人日本自動車整備振興会連合会 

岩 根 政 雄 

社団法人日本自動車部品工業会 

宇 藤   官 

鈴木自動車工業株式会社二輪第二設計部 

大 槻 耕 一 

日野自動車工業株式会社研究管理部 

改 田   護 

トヨタ自動車株式会社技術管理部 

金 子 達 昭 

日本自動車輸入組合 

野 本 正 猪 

三菱自動車工業株式会社技術本部技術管理部 

古 川   洋 

社団法人自動車技術会 

藤 井   隆 

日産自動車株式会社設計管理部 

牧 野   昇 

本田技研工業株式会社総務部 

安 部 史 之 

日産ディーゼル工業株式会社設計管理部 

一 瀬   修 

マツダ株式会社東京技術部 

大 野 恭 二 

いすゞ自動車株式会社特許部 

長 滝 清 敬 

日本道路公団維持施設部 

(関係者) 

金 田   正 

愛三工業株式会社特許管理部 

小 林 久 徳 

日本電装株式会社ガソリン噴射技術部 

(事務局) 

江 口 信 彦 

工業技術院標準部機械規格課 

牛 島 宏 育 

工業技術院標準部機械規格課 

(事務局) 

笹 尾 照 夫 

工業技術院標準部機械規格課(平成5年8月1日改正のとき) 

D 3606-1993  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

社団法人 日本自動車部品工業会燃料系統技術委員会 構成表 

(順不同,敬称略) 

氏名 

所属 

(幹事) 

金 田   正 

愛三工業株式会社 

飛 田   勉 

工業技術院標準部 

高 橋   潔 

通商産業省機械情報産業局 

山 田 金 作 

株式会社日立製作所 

持 田 忠 広 

株式会社日本気化器製作所 

西 原 義 男 

三国工業株式会社 

羽根田 良 彦 

テイケイ気化器株式会社 

宮 野 征 雄 

株式会社京浜精機製作所 

舘 野 節 夫 

京三電機株式会社 

小 林 正 義 

厚木自動車部品株式会社 

小 林 久 徳 

日本電装株式会社 

松 田 隆 視 

三菱電機株式会社 

伊 藤 久次郎 

自動車機器株式会社 

上 山   明 

株式会社三ツ葉電機製作所 

中 沢 貞 春 

自動車電機工業株式会社 

(関係者) 

岩 切 克 也 

愛三工業株式会社 

上 田 光三郎 

三国工業株式会社 

松 本 正 明 

京三電機株式会社 

斉 藤 喜 憲 

厚木自動車部品株式会社 

鈴 木 良 三 

三菱電機株式会社 

峰 岸 壮 吉 

自動車機器株式会社 

五ノ井 理 人 

株式会社三ツ葉電機製作所 

(事務局) 

小 島 克 己 

社団法人日本自動車部品工業会