日本工業規格
JIS
D
2701
-1993
自動車用ホイールナット
Wheel nuts for automobiles
1.
適用範囲 この規格は,自動車用ディスクホイールの取付けに用いるホイールナット(以下,ナット
という。
)について規定する。
備考1. 小形ナット(球面座)の形状及び寸法を附属書1に,軽合金製ディスクホイール用ナットの形
状及び寸法を
附属書2に,ISO 平面座ナットの形状及び寸法を附属書3に,平面座ナットの形
状及び寸法を
附属書4に,それぞれ規定する。
2.
この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0101
ねじ用語
JIS B 0211
メートル細目ねじの許容限界寸法及び公差
JIS B 0401
寸法公差及びはめあい
JIS B 1002
二面幅の寸法
JIS B 1052
鋼製ナットの機械的性質
JIS D 0201
自動車部品の電気めっき通則
JIS D 4220
自動車用ディスクホイールの取付方式及び寸法
JIS G 4051
機械構造用炭素鋼鋼材
3.
この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 7575-1993
Commercial road vehicles−Flat attachment wheel fixing nuts
2.
種類 ナットの種類は,表 1 のとおりとする。
表 1 ナットの種類
種類
図
備考
小形ナット(テーパ座)
付図 1 主として乗用車用,軽自動車用及び小形トラック用
単輪ナット
付図 2 主としてトラック・バスの単輪用
アウタナット
付図 2 主としてトラック用及びバス用
インナナット
付図 3 主としてトラック・バスの複輪用
3.
機械的性質 ナットの機械的性質は,9.によって試験したときに,原則として,表 2 に示す JIS B 1052
による強度区分に適合しなければならない。
2
D 2701-1993
表 2 ナットの機械的性質
種類
強度区分
小形ナット(テーパ座)
8
以上
単輪ナット
8
以上
アウタナット
4
以上(
1
)
インナナット
8
以上(
1
)
注(
1
)
アウタナット及びインナナッ
トの強度の判定のための試験
条件及び判定基準は,受渡当事
者間の協定によってもよい。
4.
形状及び寸法 ナットの形状及び寸法は,付図 1∼3 による。
なお,表中の数値は,最大又は最小と指示した寸法を除き,基準寸法を示す。
5.
ねじ ねじの精度は,JIS B 0211 の 6H 又はその附属書(M1×0.2∼M300×4 の 1 級,2 級及び 3 級に
対する許容限界寸法及び公差)の 2 級とする。
6.
外観 ナットの表面は,滑らかで,割れ,有害なきず,まくれ,さびなどがなく,仕上げの程度は良
好でなければならない。
なお,表面欠陥の許容限度は,JIS B 0101 の
参考(ねじ部品の表面欠陥に対する許容限度)によるのが
よい。
7.
材料 ナットの材料は,JIS G 4051 に規定する炭素鋼,又はそれと同等以上のものとする。
8.
表面処理 ナットには,めっきその他の表面処理を施さなければならない。ただし,めっきを施す場
合には,JIS D 0201 に規定するめっき又はそれらと同等以上のものとし,必要に応じてもろさ除去の処理
を行う。
9.
機械的性質の試験 ナットの機械的性質の試験は,JIS B 1052 の 4.2.1(保証荷重試験)の方法によっ
て行う。その荷重の加え方は,
図 1 又は図 2 による。
3
D 2701-1993
図 1 軸方向引張りによる試験
図 2 軸方向引張りによる試験
注(
2
)
支え板の板厚 t は,ねじ d の呼び径以上とし,穴径 d
n
は,ねじ d の呼び径に,JIS B 0401の D11の許
容差を与えた寸法とする。
備考1. 支え板は,焼入焼戻しを行い,その硬さは,HRC 45以上とする。
2.
マンドレルの硬さは,HRC 45 以上とし,ねじ部の精度は,JIS B 1052 の
付表 2(マンドレルのねじ
部精度)による。
なお,この条件を満足するならば,マンドレルの代わりにボルトを用いてもよい。
10.
検査
10.1
検査項目 ナットの検査項目は,次のとおりとする。
(1)
機械的性質検査
(2)
寸法検査
(3)
ねじ検査
(4)
外観検査
(5)
表面処理検査
10.2
検査方法 ナットの検査方法は,受渡当事者間の協定による抜取検査方式に基づく抜取検査とする。
11.
製品の呼び方 ナットの呼び方は,規格番号又は規格の名称,種類及びねじ(インナナットの場合に
は,ねじ d
0
の呼び径(
3
)
による。
なお,左ねじの場合には,その記号 “L” を付ける。
注(
3
)
小形ナット(テーパ座)のねじ d が M12の場合には,ねじの呼び径及びピッチ,インナナット
のねじ d
0
が M18の場合には,ねじ d
0
の呼び径及びねじ d の呼び径。
例1. JIS D 2701 小形ナット(テーパ座)14-L
例2. 自動車用ホイールナット インナナット 18-26
12.
表示 ナットには,次の事項を表示する。ただし,(1)は包装だけに表示してもよい。
4
D 2701-1993
(1)
製造業者名又はその略号
(2)
左ねじを表す記号 L 又は右ねじを表す記号 R,ただし,右ねじを表す記号 R は省略してもよい。
付図 1 小形ナット(テーパ座)の形状及び寸法
単位 mm
ねじ d
d
1
s
h
t
(最大)
M10
×1.25 12.5 17 14∼15 2
M12
×1.25
M12
×1.5
15 19,
21
16
∼21
M14
×1.5 17 22
(23)
18
∼21
M16
×1.5 19 27
(26)
20
∼21
3.5
備考1. 二面幅 s の許容差は,JIS B 1002の規定による。
2.
括弧内の寸法は,新規設計の際には使用しない。
3.
キャップ付きナットについては,キャップ部以外
の形状・寸法に適用する。
4. X
部は,面取りでも逃げでもよい。
5
D 2701-1993
付図 2 アウタナット及び単輪ナットの形状及び寸法
単位 mm
種類
ねじ d
d
1
d
2
(最小) t(最大)
s
h
h'
M25
×1.5 28∼29
− 3
36
(35)
20
∼24
−
M26
×1.5
M27
×1.5 32∼33
38 3.5
41
24
∼26 8∼9
M28
×1.5
41
(38)
25
∼26
アウタナット
M30
×1.5
4.5 41
M16
×1.5 28∼29
− 3
36
(35)
20
∼24
−
M18
×1.5 28∼33
(35)
22
∼26
38
41
8
∼9
M19
×1.5*
38
M20
×1.5
4.5 41
23
∼26
単輪ナット
M24
×1.5
25
∼26
注*
新規設計の際には,使用しない。
備考1. 二面幅 s の許容差は,JIS B 1002の規定による。
2.
括弧内の寸法は,新規設計の際には使用しない。
3.
キャップ付きナットについては,キャップ部以外の形状・寸法に適用する。
4. X
部は,面取りでも逃げでもよい。
5.
単輪ナットの面取りの場合の d'は,
[ねじ d の呼び径+ (2∼10)]mm とする。
6.
右ねじを表す刻印 R は,省略してもよい。
6
D 2701-1993
付図 3 インナナットの形状及び寸法
ねじ d
0
ねじ d
d
1
d
2
d
3
(最大)
s
l
1
(最大)
l
2
(最大)
l
3
(最大)
l
4
(最大)
t
1
t
2
(最大)
M16
×1.5 M25×1.5
27 32
∼33 22.5
17
56
23
11
31
3.5 11
M18
×1.5 M25×1.5 26∼31 32∼36
59 13
13
M26
×1.5
4
M27
×1.5
24.5
19
M19
×1.5* M28×1.5 28∼31
26
20
28
36
13.5
M20
×1.5 M30×1.5
36
36.5 27.5
21
64
31.5
14
注*
新規設計の際には,使用しない。
備考1. 二面幅 s の許容差は,JIS B 1002による。
2.
面取りの場合の d'は,
[ねじ d
0
の呼び径+ (4∼8)]mm とする。
3.
右ねじを表す刻印 R は,省略してもよい。
7
D 2701-1993
附属書 1 自動車用ホイールナット−小形ナット(球面座)の形状及び寸法
1.
適用範囲 この附属書は,小形ナット(球面座)(以下,ナットという。)の形状及び寸法について規
定する。
備考1. ナットの形状及び寸法以外は,本体の規定による。
2.
この附属書の引用規格を,次に示す。
JIS B 1002
二面幅の寸法
2.
形状及び寸法 ナットの形状及び寸法は,附属書 1 付図 1 による。
附属書 1 付図 1 小形ナット(球面座)の形状及び寸法
単位 mm
ねじ d
s
h
M12
×1.5
19 16
∼21
備考1. 二面幅 s の許容差は,JIS
B 1002
の規定による。
2.
キャップ付きナットに
ついては,キャップ部以
外の形状・寸法に適用す
る。
8
D 2701-1993
附属書 2 自動車用ホイールナット−軽合金製ディスクホイール用の小形
ナット(平面座),単輪ナット及びインナナットの形状及び寸法
1.
適用範囲 この附属書は,軽合金製ディスクホイールの取付けに用いる小形ナット(平面座),単輪ナ
ット及びインナナット(以下,ナットという。
)の形状及び寸法について規定する。
備考1. ナットと形状及び寸法以外は,本体の規定による。
2.
この附属書の引用規格を,次に示す。
JIS B 1002
二面幅の寸法
2.
形状及び寸法 ナットの形状及び寸法は,附属書 2 付図 1∼3 による。
なお,表中の数値は,最大又は最小と指示した寸法を除き,基準寸法を示す。
附属書 2 付図 1 軽合金製ディスクホイール用小形ナット(平面座)の形状及び寸法
単位 mm
ねじ d
d
1
d
2
d
3
d
4
s
h
h'
t
M12
×1.5
15 18.5 28 30 21 42.5
15.5 3
備考1. 二面幅 s の許容差は,JIS B 1002の規定による。
2.
キャップ付きナットについては,キャップ部以外の形状・寸法に適用
する。
9
D 2701-1993
附属書 2 付図 2 軽合金製ディスクホイール用単輪ナットの形状及び寸法
単位 mm
ねじ d
d
1
d
2
(最小)
t
(最大)
s
h
h'
z
M19
×1.5*
32.5
3.5
25
8
5
M20
×1.5 30∼32 23∼26
8
∼11
M24
×1.5 30
38
4.5
41
25
∼28
8
∼13
2
∼6
注*
新規設計の際には,使用しない。
備考1. 二面幅 s の許容差は,JIS B 1002の規定による。
2.
ガイド部(z 部)の直径は,d
1
以下とする。
3.
キャップ付きナットについては,キャップ部以外の形状・寸法に適用する。
4. X
部は,面取りでも逃げでもよい。
5.
面取りの場合の d'は,
[ねじ d の呼び径+ (1∼6)]mm とする。
6.
右ねじを表す刻印 R は,省略してもよい。
10
D 2701-1993
附属書 2 付図 3 軽合金製ディスクホイール用インナナットの形状及び寸法
ねじ d
0
ねじ d
d
1
d
2
d
3
(最大)
s
l
1
(最大)
l
2
(最小)
l
3
(最小)
l
4
(最小)
t
1
t
2
(最大)
z
(最大)
M19
×1.5
*
M28
×1.5
26 20 63 27 13 40
17
M20
×1.5 M30×1.5
30
∼31 36∼39
27.5 21 85 39 14 49
4
∼6.5
18.5
6
注*
新規設計の際には,使用しない。
備考1. 二面幅 s の許容差は,JIS B 1002の規定による。
2.
ガイド部(z 部)の直径は,d
1
以下とする。
3.
面取りの場合の d'は,
[ねじ d
0
の呼び径+ (4∼8)]mm とする。
4.
右ねじを表す刻印 R は,省略してもよい。
11
D 2701-1993
附属書 3 自動車用ホイールナット−ISO 平面座ナットの形状及び寸法
1.
適用範囲 この附属書は,ISO 平面座ナット(
1
)
(以下,ナットという。
)の形状及び寸法について規定
する。
注(
1
)
このナットは,ISO 7575で規定されているナットを指す。
備考 この附属書の対応国際規格を,次に示す。
ISO 7575-1993
Road vehicles−Wheels for commercial vehicles−Flat attachment−Fixing nuts
2.
形状及び寸法 ナットの形状及び寸法は,附属書 3 付図 1(
2
)
による。
なお,左ねじの場合には,左ねじを表す記号 L を表示する(
3
)
。
注(
2
)
互換性を確保するために必要な寸法だけを規定した。
(
3
)
この規定は,ISO 7575 にはない。
12
D 2701-1993
附属書 3 付図 1 ISO 平面座ナットの形状及び寸法
単位 mm
ねじ d(
4
)
s
(h13)
d
2
(最小)
d
3
(最大)
w(
5
)
(最小)
h(
6
)
(最大)
a(
7
)
(最小)
f
(最小)
M18
×1.5 27 23 40 5
27
10.5
M20
×1.5 30 26 45 5.5 29
11
M22
×1.5 33 28 49 6
34
4.5
12.5
注(
4
)
有効ねじ長さは,ねじ d の呼び径×0.8以上とする。
(
5
)
ナットがホイールに接触する面における,平らな接触面の幅。
(
6
)
車両の全幅によって,かなり低い値を要求することがある。
(
7
)
ナットの座金部分の,接触面からねじ部までの距離。
13
D 2701-1993
附属書 4 自動車用ホイールナット−平面座ナットの形状及び寸法
1.
適用範囲 この附属書は,平面座ナット(
1
)
(以下,ナットという。
)の形状及び寸法について規定する。
注(
1
)
このナットは,JIS D 4220に規定する取付方式 F のホイールの取付けに用いる平面座ナットを
指す。
備考1. ナットの形状及び寸法以外は,本体の規定による。
2.
この附属書の引用規格を,次に示す。
JIS B 1002
二面幅の寸法
JIS D 4220
自動車用ディスクホイールの取付方式及び寸法
2.
形状及び寸法 ナットの形状及び寸法は,附属書 4 付図 1 による。
附属書 4 付図 1 平面座ナットの形状及び寸法
単位 mm
ねじ d
D s h
M16
×1.5 36.5 27(26) 24
M18
×1.5 39
備考1. 二面幅 s の許容差は,JIS B 1002
の規定による。
2.
括弧内の寸法は,新規設計の際に
は使用しない。
14
D 2701-1993
社団法人日本自動車部品工業会
ホイールナット JIS 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
宮 代 省 一
財団法人日本自動車研究所
(幹事)
山 田 輝 一
株式会社フセラシ
林 洋 和
通商産業省機械情報産業局
山 村 修 蔵
工業技術院標準部
三 宅 哲 志
運輸省自動車交通局技術安全部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
柴 田 重 光
株式会社杉浦製作所
中 田 忠
株式会社浅川製作所
石渡 仲右衛門
株式会社石渡螺子製作所
伊 藤 隆 彦
株式会社青山製作所
菊 地 秀 明
株式会社加藤螺子製作所
富 田 美喜雄
株式会社音戸工作所
岡 本 英 政
ミネベア株式会社
小 島 克 己
社団法人日本自動車部品工業会
田 崎 幾代志
トヨタ自動車株式会社
石 田 久
日産自動車株式会社
杉 浦 秀 明
いすゞ自動車株式会社
荒 川 清 秀
三菱自動車工業株式会社
豊 島 和 夫
日野自動車工業株式会社
小 池 勝 義
日産ディーゼル工業株式会社
山 口 孝 士
輸送機工業株式会社
田 中 功
トピー工業株式会社
村 井 清
中央精機株式会社
(専門委員)
中 込 常 雄
日本工業標準調査会自動車航空部会規格調整専門委員会
(関係者)
笹 尾 照 夫
工業技術院標準部
高 場 嘉 明
輸送機工業株式会社
竹 本 徳 甫
中央精機株式会社
才 田 利 男
ミネベア株式会社
(事務局)
冨 樫 晃
社団法人日本自動車部品工業会