D 2604:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 2
5 最高使用圧力 ··················································································································· 2
6 性能······························································································································· 2
6.1 構成部品の性能 ············································································································· 2
6.2 組立品の性能 ················································································································ 2
6.3 低温作動性 ··················································································································· 2
6.4 作動耐久性 ··················································································································· 2
6.5 保存腐食性 ··················································································································· 3
6.6 耐浸水性 ······················································································································ 3
7 構造······························································································································· 3
8 主要寸法························································································································· 3
8.1 シリンダボデー ············································································································· 3
8.2 ピストン ······················································································································ 3
8.3 ねじ ···························································································································· 3
9 外観······························································································································· 3
10 主要部品の名称及び材料 ·································································································· 4
10.1 部品の名称 ·················································································································· 4
10.2 材料 ··························································································································· 4
11 耐浸水性試験方法 ··········································································································· 4
11.1 試験装置 ····················································································································· 4
11.2 試験条件 ····················································································································· 4
11.3 試験手順 ····················································································································· 5
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
自動車部品工業会(JAPIA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格
を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格
である。
これによって,JIS D 2604:1998は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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自動車部品−
非鉱油系液圧ブレーキホイールシリンダ
Automotive parts-Hydraulic brake wheel cylinders
for hydraulic brake systems using a non-petroleum base brake fluid
序文
この規格は,1961年に制定され,その後6回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1998年に
行われたが,その後の技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,自動車で非鉱油系ブレーキ液を使用するドラムブレーキ用ホイールシリンダ(以下,ホイ
ールシリンダという。)について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0209-3 一般用メートルねじ−公差−第3部:構造体用ねじの寸法許容差
JIS B 0401-2 寸法公差及びはめあいの方式−第2部:穴及び軸の公差等級並びに寸法許容差の表
JIS B 0601 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ
ータ
JIS B 2704-1 コイルばね−第1部:圧縮及び引張コイルばね基本計算方法
JIS D 0107 自動車−ブレーキ用語−部品
JIS D 2605 自動車部品−非鉱油系液圧ブレーキシリンダのゴムカップ
JIS D 2608 自動車部品−非鉱油系液圧ブレーキホイールシリンダのゴムブーツ
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 3521 硬鋼線
JIS G 3522 ピアノ線
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材
JIS G 4801 ばね鋼鋼材
JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品
JIS H 4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
2
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JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物
JIS K 2233 自動車用非鉱油系ブレーキ液
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS D 0107による。
4
種類
ホイールシリンダの種類は,作動条件によって表1に区分する。
表1−種類
種類
区分
1種
普通の温度の作動条件で使用できるもの
2種
高温の作動条件で使用できるもの
3種
特殊な高温の作動条件で使用できるもの
5
最高使用圧力
ホイールシリンダの最高使用圧力は,10 MPa,15 MPa,20 MPa及び25 MPaの4種類とする。
6
性能
6.1
構成部品の性能
ホイールシリンダの主な構成部品の性能は,次による。
a) ゴムカップの性能は,JIS D 2605の規定を満足しなければならない。
b) ゴムブーツの性能は,JIS D 2608の規定を満足しなければならない。
c) ピストンスプリングの性能は,JIS B 2704-1の規定を満足しなければならない。
6.2
組立品の性能
ホイールシリンダの組立品の性能は,次による。
なお,試験液は,JIS K 2233に適合する液とする。
a) ホイールシリンダは,ブリーダ穴を閉じた状態で,シリンダボデー内に100 kPaの空気圧を継手穴か
ら加えピストンを静かに数回往復させたときに,ピストンは,滑らかに作動し,各部から空気漏れが
あってはならない。さらに,ブリーダ穴を開いたとき,空気が流出しなければならない。
b) ホイールシリンダは,継手穴からシリンダボデー内に液圧を加えたとき,ピストンが作動し,必要な
力を発生しなければならない。
c) ホイールシリンダは,シリンダボデー内に試験液を満たし,シリンダボデー内に最高使用圧力の130 %
の液圧を加え,5秒間保持したときに,各部に液漏れその他の異常があってはならない。
6.3
低温作動性
ホイールシリンダの低温作動性は,JIS D 2605の6.7(耐寒漏れ試験)の規定によって試験を行ったとき
に,カップからの液漏れがあってはならない。
6.4
作動耐久性
ホイールシリンダの作動耐久性は,JIS D 2605の6.8(作動耐久性試験)の規定によって試験を行ったと
きに,JIS D 2605の4.2(性能)に規定する作動耐久性を満足しなければならない。また,各部品には,有
害な変形,摩耗,欠陥などがあってはならない。
3
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6.5
保存腐食性
ホイールシリンダの保存腐食性は,JIS D 2605の6.9(保存腐食性試験)の規定によって試験を行ったと
きに,試験後ピストンが滑らかに作動しなければならない。また,JIS D 2605の4.2(性能)に規定する保
存腐食性を満足しなければならない。
6.6
耐浸水性
ホイールシリンダの耐浸水性は,箇条11の規定によって試験を行ったときに,ブーツ内側に水の浸入が
あってはならない。ただし,ブーツ溝は除く。
7
構造
ホイールシリンダの構造は,継手穴及びブリーダ穴がシリンダボデー内に連通していなければならない。
8
主要寸法
8.1
シリンダボデー
シリンダボデーの主要寸法は,次による。
a) シリンダボデー内径の基準寸法は,表2による。
表2−シリンダボデー内径の基準寸法
単位 mm
呼び
基準寸法
呼び
基準寸法
9/16
14.29
1 1/4
31.75
5/8
15.87
1 3/8
34.93
1 1/16
17.46
1 7/16
36.51
3/4
19.05
1 1/2
38.10
1 3/16
20.64
1 5/8
41.30
7/8
22.22
1 3/4
44.45
1 5/16
23.81
1 7/8
47.62
1
25.40
2
50.80
1 1/16
26.99
2 3/16
55.56
1 1/8
28.57
2 5/16
58.74
b) シリンダボデー内径の寸法許容差は,表2に示す基準寸法に対して,特に指定がない限り,JIS B 0401-2
に規定するH9とする。
c) シリンダボデーの内面の表面粗さは,JIS B 0601に規定するRz2とする。
8.2
ピストン
ピストンの滑り面の外径の寸法公差は,表2に示す基準寸法に対して,特に指定がない限り,JIS B 0401-2
に規定するIT8とする。
8.3
ねじ
液圧径路に使用されるねじの精度は,JIS B 0209-3に規定する6Hとする。
9
外観
ホイールシリンダの主要部品の外観は,次による。
a) 機能上必要と認められる金属部品には,適切な方法でさび止め処理が施されていなければならない。
b) シリンダボデー内には,ごみ,切りくず,砂などが付着していてはならない。
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) シリンダボデーのカップの滑り面には,有害なきず,鋳巣,ピンホール,さびなどがあってはならな
い。
d) ピストンの滑り面には,有害なきず,かえり,鋳巣,ピンホール,さびなどがあってはならない。
e) ブリーダのシート面には,有害なきず,かえりなどがあってはならない。
10 主要部品の名称及び材料
10.1 部品の名称
ホイールシリンダの主要部品の名称は,図1〜図4による。
10.2 材料
ホイールシリンダの主要部品の材料は,図1〜図4による。
11 耐浸水性試験方法
11.1 試験装置
試験装置は,次による。
a) 作動装置 作動装置は,図5に示すものを使用する。
b) ホイールシリンダ固定装置 ホイールシリンダ固定装置は,JIS D 2605の6.8.2 c)(作動耐久性試験装
置)の規定による。
c) 恒温槽 恒温槽は,ホイールシリンダをb)の固定装置に固定した状態で,表3の試験温度に保持でき
るものとする。
図5−耐浸水性試験装置(例)
11.2 試験条件
試験条件は,次による。
a) 熱劣化条件 熱劣化条件は,表3による。
表3−熱劣化条件
種類
熱劣化条件
温度 ℃
時間 h
1種
100±5
70±2
2種
120±5
3種
150±5
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 耐浸水性試験条件 耐浸水性試験条件は,表4による。
表4−耐浸水性試験条件
種類
水中作動
水深
mm
水温
行程数/時間
回/h
作動回数
回
ストローク
mm
1種
300±30
常温
1 000±100
500
2
2種
3種
作動に用いる液は,JIS K 2233に適合する液とする。
11.3 試験手順
耐浸水性試験は,ブーツをシリンダに組み付け,次によって行う。
a) ホイールシリンダをホイールシリンダ固定装置に固定する。
b) ピストンを,片側4.8 mmストローク位置から2 mm戻った位置にセットする。
c) 表3に示す温度に保持された恒温槽に入れ,70 h±2 h連続加熱した後,室内に放置し室温まで戻す。
d) ホイールシリンダ固定装置を作動装置に取り付け,十分に空気抜きをした後,水を入れた水槽にその
固定装置を浸し,シリンダ中心軸を水面から300 mm±30 mmに位置するように固定する。
e) 4.8 mmストローク位置より2 mm戻った位置から4.8 mmストローク位置まで,表4に示す条件で作
動させる。
f)
水槽からホイールシリンダを取り出し,外部に付着した水分を確実に拭き取る。
g) ブーツを外し,ブーツ内の浸水状態を調べる。
6
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番号
主要部品の名称
材料
1
シリンダボデー
JIS G 5501に規定するFC200若しくはFC250,又はJIS H 5202に規定するAC2A,
AC2B,AC4B若しくはAC4C
2
ピストン
JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,又はJIS G 4051若しくはJIS H 4040
に規定するもの
3
カップ(皿形)
JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種
4
ピストンスプリング
JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの
5
ブーツ
JIS D 2608に規定する1種,2種又は3種
6
ブリーダ
JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの
7
プッシュロッド
JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの
8
スプリングシート
JIS G 3141に規定するSPCC
注記1 図に示す構造は,一例を示す。
注記2 カップ及びブーツ以外の材料は,使用例を示す。
図1−ホイールシリンダ(例1)
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
主要部品の名称
材料
1
シリンダボデー
JIS G 5501に規定するFC200若しくはFC250,又はJIS H 5202に規定するAC2A,
AC2B,AC4B若しくはAC4C
2
ピストン
JIS G 4051又はJIS H 4040に規定するもの
3
カップ(リング形)
JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種
4
ピストンスプリング
JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの
5
ブーツ
JIS D 2608に規定する1種,2種又は3種
6
ブリーダ
JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの
注記1 図に示す構造は,一例を示す。
注記2 カップ及びブーツ以外の材料は,使用例を示す。
図2−ホイールシリンダ(例2)
8
D 2604:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
主要部品の名称
材料
1
シリンダボデー
JIS G 5501に規定するFC200若しくはFC250,又はJIS H 5202に規定するAC2A,
AC2B,AC4B若しくはAC4C
2
ピストン
JIS G 4051又はJIS H 4040に規定するもの
3
カップ(リング形)
JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種
4
ブーツ
JIS D 2608に規定する1種,2種又は3種
5
ブリーダ
JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの
6
アジャストホイール
JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの
7
アジャストスクリュ
ー
JIS G 4051に規定するもの
8
ホイールロックスプ
リング
JIS G 4401又はJIS G 4801に規定するもの
注記1 図に示す構造は,一例を示す。
注記2 カップ及びブーツ以外の材料は,使用例を示す。
図3−ホイールシリンダ(例3)
9
D 2604:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
主要部品の名称
材料
1
シリンダボデー
JIS G 5501に規定するFC200若しくはFC250,又はJIS H 5202に規定するAC2A,
AC2B,AC4B若しくはAC4C
2
ピストン
JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,又はJIS G 4051若しくはJIS H 4040
に規定するもの
3
カップ(リング形)
JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種
4
ピストンスプリング
JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの
5
ブーツ
JIS D 2608に規定する1種,2種又は3種
6
ブリーダ
JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの
7
プッシュロッド
JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの
8
バックアップリング
四ふっ化エチレン樹脂
注記1 図に示す構造は,一例を示す。
注記2 カップ及びブーツ以外の材料は,使用例を示す。
図4−ホイールシリンダ(例4)