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D 2603:2005  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本自動

車部品工業会(JAPIA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS D 2603:1993は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

D 2603:2005  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 種類 ······························································································································ 2 

4. 最高使用圧力 ·················································································································· 2 

5. 性能 ······························································································································ 2 

5.1 構成部品の性能 ············································································································· 2 

5.2 組立品の性能 ················································································································ 2 

5.3 低温作動性 ··················································································································· 3 

5.4 作動耐久性 ··················································································································· 3 

5.5 保存腐食性 ··················································································································· 5 

5.6 リザーバ容量 ················································································································ 5 

5.7 真空保持力 ··················································································································· 5 

6. 構造 ······························································································································ 5 

7. 主要寸法 ························································································································ 6 

7.1 シリンダボデー ············································································································· 6 

7.2 ピストン ······················································································································ 6 

7.3 ねじ ···························································································································· 6 

8. 外観 ······························································································································ 6 

9. 主要部品の名称及び材料 ··································································································· 7 

9.1 部品名称 ······················································································································ 7 

9.2 材料 ···························································································································· 7 

10. 表示 ···························································································································· 8 

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日本工業規格          JIS 

D 2603:2005 

自動車部品−非鉱油系液圧ブレーキマスタシリンダ 

Automotive parts−Hydraulic brake master cylinders for hydraulic brake 

systems using a non-petroleum base hydraulic brake fluid 

1. 適用範囲 この規格は,非鉱油系ブレーキ液を使用する自動車用ブレーキのタンデムマスタシリンダ

及びシングルマスタシリンダ(以下,マスタシリンダという。)について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0209-1 一般用メートルねじ−公差−第1部:原則及び基礎データ 

JIS B 0401-1 寸法公差及びはめあいの方式−第1部:公差,寸法差及びはめあいの基礎 

JIS B 0633 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−表面性状評価の方式及び手順 

JIS B 2704 圧縮及び引張コイルばね−設計・性能試験方法 

JIS D 2605 自動車部品−非鉱油系液圧ブレーキシリンダのゴムカップ 

JIS D 2608 自動車部品−非鉱油系液圧ブレーキホイールシリンダのゴムブーツ 

JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材 

JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯 

JIS G 3521 硬鋼線 

JIS G 3522 ピアノ線 

JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材 

JIS G 4303 ステンレス鋼棒 

JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯 

JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材 

JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品 

JIS H 3100 銅及び銅合金の板及び条 

JIS H 3110 りん青銅及び溶白の板及び条 

JIS H 4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 

JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物 

JIS K 2228 自動車ブレーキ用非鉱油系ラバー潤滑剤 

JIS K 2233 自動車用非鉱油系ブレーキ液 

JIS K 6259 加硫ゴムのオゾン劣化試験方法 

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3. 種類 マスタシリンダの種類は,表1による。 

表 1 種類 

種類 

区分 

1種 

普通の温度の作動条件で使用できるもの。 

2種 

高温の作動条件で使用できるもの。 

3種 

特殊な高温の作動条件で使用できるもの。 

4. 最高使用圧力 マスタシリンダの最高使用圧力(ゲージ圧)は,10 MPa,20 MPa及び25 MPaの圧力

段階とする。 

5. 性能  

5.1 

構成部品の性能 マスタシリンダの主な構成部品の性能は,次による。 

a) シリンダボデー内及びリザーバに100 kPaの空気圧を加えたとき,空気漏れがあってはならない。 

b) プライマリピストン(1)のプッシュロッド挿入穴に100 kPaの空気圧を加えたとき,空気漏れがあって

はならない。 

注(1) シングルマスタシリンダの場合には,ピストン又はプランジャをいう。(以下,同じ。) 

c) プライマリカップ,セコンダリカップ及びプレッシャカップは,JIS D 2605の1種,2種又は3種の

性能に適合しなければならない。 

d) リターンスプリングは,JIS B 2704の規定に適合しなければならない。 

5.2 

組立品の性能 組立品の性能は,次による。 

なお,試験液は,JIS K 2233に適合する液とする。 

a) チェックバルブの作動圧 チェックバルブの作動圧は,次による。 

1) リザーバから100 kPaの空気を送ったときに,空気が液圧送出口から流出しなければならない。 

2) 規定値以下の圧力で液圧送出口から空気を送ったとき,空気のリザーバへの流出があってはならな

い。この規定値は,表2に示すマスタシリンダの残留圧力から選ぶのがよい。 

表 2 マスタシリンダの残留圧力 

単位 KPa 

残留圧力 

0 

50±30 

90±40 

b) リリーフポートを閉じるまでの行程 液圧送出口から空気圧50〜150 kPaの範囲内の圧力空気を送り,

リリーフポートからリザーバ内に流出させておき,ピストン(2)を静かに押し込む。プライマリカップ

がリリーフポートを閉じ,リザーバへの空気の流出が止まったときのプライマリピストン及びセコン

ダリピストンの行程は,それぞれ3 mm以下で,かつ,受渡当事者間の協定による値を満足しなけれ

ばならない。ただし,ポートレス形の場合には,インレットバルブが給液口を閉じるまでの行程とす

る。 

注(2) タンデムマスタシリンダのプライマリピストン及びセコンダリピストン,又はシングルマスタ

シリンダのピストン若しくはプランジャをいう(以下,同じ。)。 

c) 送出し機能 シリンダボデー内及びリザーバに試験液を満たし,プライマリピストンを連続往復作動

させたときに,それぞれの液圧送出口から液が継続的に出なければならない。ただし,プライマリピ

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ストンの後退時には,液圧送出口を閉じておく。 

d) 液圧発生機能 シリンダボデー内及びリザーバに試験液を満たし,液圧送出口を密閉して,プライマ

リピストンを押し込んだときに,分離したそれぞれの圧力室に最高使用液圧が発生し,かつ,液漏れ

その他の異状があってはならない。また,いずれか一方の圧力室を開放にした場合でも,残る一方の

圧力室に最高使用圧力が発生しなければならない。 

e) セコンダリカップの気密性 シリンダボデー内及びリザーバに試験液を満たし,プッシュロッドを数

回往復させたときに,プライマリピストン側のセコンダリカップから液漏れがあってはならない。 

f) 

戻り速さ シリンダボデー内及びリザーバに試験液を満たし,プッシュロッドを押してプライマリピ

ストンを有効行程にわたって前進させた後,それぞれの液圧送出口を密閉し,プッシュロッドを速や

かに戻したときに,プライマリピストンが完全に戻り位置まで戻る時間は,1.5秒以下でなければなら

ない。 

g) 耐圧性 プライマリカップがリリーフポートを通過するまで,又はインレットバルブが給液口を閉じ

るまでピストンを前進させた後,分離したそれぞれの圧力室に通じる液圧送出口を,同時に又は交互

に密閉し,更に,プライマリピストンを前進させ,分離したそれぞれの圧力室に,同時に又は交互に

最高使用圧力の130 %の圧力を発生させ,それぞれ5秒間保持したときに,各部に液漏れ,その他の

異状があってはならない。 

h) ピストンの作動円滑性 マスタシリンダを,JIS K 2228に適合する潤滑剤又は受渡当事者間の協定に

よる組付け液を用いて組み立てる。各液圧送出口を開放状態にし,プライマリピストンを数回作動さ

せた後,約1 mm/sの速さで往復させたときに,ピストンは有効行程にわたって滑らかに作動しなけれ

ばならない。 

なお,ピストンが動き始めるときのプライマリピストンを動かす力は,受渡当事者間の協定による。 

5.3 

低温作動性 マスタシリンダの低温作動性は,JIS D 2605の6.7(耐寒漏れ試験)に規定する試験を

行ったときに,セコンダリカップからの液漏れがあってはならない。 

5.4 

作動耐久性 マスタシリンダの作動耐久性は,JIS D 2605の6.8(作動耐久性試験)に規定する試験

を行ったときに,JIS D 2605の4.2(性能)に規定する1種,2種又は3種の規定に適合しなければならな

い。試験条件は表3による。また,各部には,有害な変形,損耗,欠陥などがなく,5.2に規定する各性能

に適合しなければならない。 

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表 3 マスタシリンダ耐久試験条件 

条件 

種類 

1種 

2種 

3種 

試験液 

JIS K 2233に適合する液  

温度 

70±2 ℃(液温度) 

又は 

70±5 ℃(雰囲気温度) 

120±2 ℃(液温度)

又は 

120±5 ℃ 

(雰囲気温度) 

ただし,受渡当事者
間の協定によって 
100±2 ℃(液温度)

又は 

100±5 ℃ 

(雰囲気温度) 

120±2 ℃ 

(液温度) 

又は 

120±5 ℃ 

(雰囲気温度) 

時間当たりの行程数 

1 000±100回 

ピストン行程 

有効行程の約90 % 

時間 

120±2 h 

70±2 h 

最高液圧(3) 

3.5±0.3 MPa 

7±0.3 MPa 

ピストンの行程と
液圧との関係(4) 

(1) プライマリカップが低圧でリリーフ

ポートを通過するように,ピストンの
行程のうち,最初のL行程(5)で液圧が
1.0 MPaを超えない範囲で徐々に上昇
させ,残りの行程で最高液圧が3.5±
0.3 MPaになるようにする。ただし,
最終行程の3.2 mm以内でリリーフバ
ルブによって3.5±0.3 MPaを保持し
てもよい(図1の①で示す)。 

プライマリカップが低圧でリリーフポートを通過
するように,ピストンの行程のうち,最初のL行
程(5)で液圧が1.0 MPaを超えない範囲で徐々に上
昇させ,残りの行程で最高液圧が7±0.3 MPaにな
るようにする。ただし,最終行程の3.2 mm以内で
リリーフバルブによって,7±0.3 MPaを保持して
もよい(図1の②で示す)。 

ポートレス形の場合は,最高液圧が
3.5±0.3 MPaになるようにする。ただ
し,最終行程の3.2 mm以内でリリー
フバルブによって,3.5±0.3 MPaを保
持してもよい(図1の①で示す)。 

ポートレス形の場合は,最高液圧が7±0.3 MPaに
なるようにする。ただし,最終行程の3.2 mm以内
でリリーフバルブによって,7±0.3 MPaを,保持
してもよい(図1の②で示す)。 

(2) マスタシリンダが装置される該当車両に使用するブレーキアッセンブリを実車に類似した

配管で結合し,かつ,シューとドラム,又はディスクパッドとディスクとのすき間を規定
値に調整し,必要に応じて適当な箇所に圧力リリーフバルブを設けた装置による。 
 なお,ブレーキ補機(バルブ類)を使用するものについては,該当部品を実車に類似し
た配管で結合する。 

 注(3) 1種における最高液圧は,通常3.5±0.3 MPaとする。ただし,受渡当事者間の協定によって7

±0.3 MPaとしてもよい。 

(4) ピストンの行程と液圧との関係は,(1)又は(2)から選択することができる 

(5) L=H+χ 

ここに,  L: プライマリカップがリリーフポートを通過するのに必要な行程 (mm)。た

だしタンデムマスタシリンダのプライマリピストンの行程(Lp)は,セコ
ンダリピストンの行程(Ls)の約2倍とする。 

H: プライマリカップの高さ(mm) 

χ: 5.2b)によるリリーフポートが閉じるまでの行程(mm) 

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      a) タンデムマスタシリンダ                    b) シングルマスタシリンダ 

図 1 マスタシリンダのピストンの行程と液圧との関係 

5.5 

保存腐食性 マスタシリンダの保存腐食性は,JIS D 2605の6.9(保存腐食性試験)に規定する試験

を行い,試験後プッシュロッドを数回往復させたときに,ピストンは有効行程にわたって滑らかに作動し

なければならない。また,マスタシリンダは,JIS D 2605の4.2(性能)に規定する保存腐食性の規定に適

合しなければならない。 

5.6 

リザーバ容量 マスタシリンダを実車状態(6)に取り付け,シリンダボデー内及びリザーバに試験液

を満たし,リリーフポート又は,シリンダとリザーバとの連結穴の上面が出るまで試験液を取り去る。次

に,メスシリンダを使ってリザーバの指示レベル(最大又は最小)まで試験液を満たし,その液量を測定

する。リザーバ容量は,受渡当事者間の協定による値を満足しなければならない。 

注(6) フィルタ及び液面警告装置の装着を含む。 

5.7 

真空保持力 マスタシリンダに真空供給源を接続し,接続する以外の大気連通部をすべて閉じ,マ

スタシリンダ内部の真空圧を−70 kPa以下にする。次に,真空供給源の接続を閉じ,安定したシリンダ内

部の真空圧を測定する。その真空圧は,受渡当事者間の協定による値に適合しなければならない。 

6. 構造 マスタシリンダの構造は,ピストンの戻り位置(開放状態に戻った位置)では,シリンダボデ

ー内とリザーバとの間は,リリーフポート又は給液口によって連通し,液圧送出口から液圧又は空気圧を

加えたときに,試験液又は空気がリザーバに流出しなければならない。 

マスタシリンダの構造の例を付図1〜7に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7. 主要寸法  

7.1 

シリンダボデー シリンダボデーの主要寸法は,次による。 

a) シリンダボデー内径の基準寸法及び有効行程は,表4による。 

表 4 内径及び有効行程 

単位 mm 

内径 

有効行程 

呼び 

基準寸法 

タンデムマスタシリンダ 

シングルマスタシリンダ 

5/8 

15.87 

28 

30 

32 

36 

38 

40 

20 

25 

30 

35 

11/16 

17.46 

3/4 

19.05 

40 

13/16 

20.64 

7/8 

22.22 

15/16 

23.81 

25.40 

1 1/16 

26.99 

1 1/8 

28.57 

1 1/4 

31.75 

1 3/8 

34.93 

1 1/2 

38.10 

1 5/8 

41.30 

1 3/4 

44.45 

50 

備考1. 有効行程とは,ピストンが戻り位置から有効に作動できる最大範囲までの行程をいう。 

2. シングルマスタシリンダの実車取付け状態での最大行程は,この有効行程の90 %以内が望ま

しい。 

b) シリンダボデー内径の寸法許容差は,表4に示す基準寸法に対して,JIS B 0401-1に規定するH9とす

る。ただし,基準寸法25.40 mm以下の内径は,H9の上の寸法許容差に0.020 mmを加えたものとす

る。 

c) シリンダボデーの内面の表面粗さの許容最大値は,JIS B 0633の5.3(最大値ルール)によって2 µmRz

とする。 

7.2 

ピストン ピストンの滑り面の外径公差は,表4に示すシリンダボデー内径の基準寸法に対して,

JIS B 0401-1に規定するIT8とする。また,プランジャの滑り面の表面粗さの許容最大値は,JIS B 0633

の5.3(最大値ルール)によって2 µmRzとする。 

7.3 

ねじ 液圧経路に使用するねじは,メートル並目ねじ又はメートル細目ねじとし,その精度はJIS B 

0209-1の規定による6H又は6 gとする。 

8. 外観 マスタシリンダの外観は,次による。 

a) 機能上必要と認められる金属部分には,適切な方法でさび止め処理が施されていなければならない。 

b) シリンダボデー及びリザーバの内部には,ごみ,切りくず,砂などが付着していてはならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) シリンダボデーのプライマリカップ,プレッシャカップ及びセコンダリカップの滑り面の有効行程に

は,有害なきず,鋳巣,ピンホール,さびなどがあってはならない。 

d) インレットバルブ,チェックバルブ及び弁座には,有害なきず,ばりなどがあってはならない。 

e) ブーツの肉厚には,著しい偏肉があってはならない。 

f) 

ピストンにスペーサが附属するものは,同心に正しく確実に保持されていなければならない。 

9. 主要部品の名称及び材料  

9.1 

部品名称 マスタシリンダの主要部品の名称は,タンデムマスタシリンダについては付図1〜4,シ

ングルマスタシリンダについては付図5〜7による。 

9.2 

材料 マスタシリンダの主要部品の材料は,通常タンデムマスタシリンダについては付図1〜4,シ

ングルマスタシリンダについては付図5〜7による。ただし,通常チェックバルブ用ゴム(バルブシートを

含む。)及びインレットバルブ用ゴムは表5,ブーツは表6による。 

表 5 チェックバルブ及びインレットバルブのゴム材料 

項目 

適用するマスタシリンダの種類 

試験方法 

1種 

2種及び3種 

常態 

硬さ 

A60±5,A65±5,A70±5又はA80±5 

JIS D 2605の7.1(常態試験)に規定
する方法による。 

引張強さ 

10 MPa以上 

伸び 

300 %以上 

ただし,材料の硬さがA70±5の場合には
200 %以上,A80±5の場合には130 %以
上とする。 

老化性 

試験温度及び時間
(7) 

70±2 ℃ 

70±2 h 

120±2 ℃ 

70±2 h 

JIS D 2605の7.2(老化性試験)に規
定する方法による。 

硬さ変化 

A−5〜+5 

A−5〜+5 

引張強さ変化率
(低下率) 

25 %以下 

40 %以下 

伸び変化率 
(低下率) 

25 %以下 

40 %以下 

圧縮永久ひ
ずみ 

試験温度及び 
時間(7) 

70±2 ℃ 

22±1 h 

120±2 ℃ 

22±1 h 

JIS D 2605の7.3(圧縮永久ひずみ試
験)に規定する方法による。 

圧縮永久ひずみ 

30 %以下 

耐液性 

試験温度及び時間
(7) 

70±2 ℃ 

120±2 h 

120±2 ℃ 

70±2 h 

JIS D 2605の7.4(耐液性試験)に規
定する方法による。 

試験液(7) 

JIS K 2233に適合する液又は受渡当事者
間の協定によって定めた液とする。 

硬さ変化 

A−10〜0 

A−15〜0 

引張強さ変化率 
(低下率) 

25 %以下 

40 %以下 

伸び変化率(低下
率) 

25 %以下 

40 %以下 

体積変化率 

0〜15 % 

0〜20 % 

沈殿物 

試験液中に有害な沈殿物を生じてはなら
ない。 

注(7) この項目は,試験条件を示す。 

  

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D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 6 ブーツのゴム材料 

項目 

適用するマスタシリンダの種類 

試験方法 

1種 

2種及び3種 

常態 

硬さ 

A50±5又はA60±5 

JIS D 2605の7.1 
(常態試験)に規定する方
法による。 

引張強さ 

10 MPa以上 

伸び 

300 %以上 

老化性 

試験温度及び 
時間(7) 

70±2 ℃ 

70±2 h 

120±2 ℃ 

70±2 h 

JIS D 2605の7.2 
(老化性試験)に規定する
方法による。 

硬さ変化 

A0〜5 

A0〜10 

引張強さ変化率 
(低下率) 

25 %以下 

40 %以下 

伸び変化率(低下率) 

25 %以下 

40 %以下 

圧縮永久ひずみ 

試験温度及び 
時間(7) 

70±2 ℃ 

22±1 h 

120±2 ℃ 

22±1 h 

JIS D 2605の7.3 
(圧縮永久ひずみ試験)に
規定する方法による。 

圧縮永久ひずみ 

30 %以下 

40 %以下 

耐寒性 

試験温度及び時間(7) 

−43〜−40 ℃,22±1 h 

JIS D 2608の6.5 
(低温作動性試験)に規定
する方法による。 

低温曲げ 

き裂の発生があってはならない。 

耐オゾン性 

オゾン濃度(7) 

500±50 ppb 

JIS K 6259の5. 
(静的オゾン劣化試験)に規
定する方法による。 

試験温度(7) 

40±2 ℃ 

伸び(静的)(7) 

48 h又は受渡当事者間の協定によって72 h。 

外観 

10倍の拡大鏡で確認できるが,肉眼で確認
できるき裂があってはならない。 
(JIS K 6259の附属書1に規定するA-1相当) 

注(7) この項目は,試験条件を示す。 

  

10. 表示 マスタシリンダには,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示する。 

a) シリンダボデー内径の呼び又は基準寸法を示す数値 

b) 製造業者又はその略号 

background image

D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図 1 タンデムマスタシリンダ(コンベンショナル−コンベンショナル形) 

備考 図に示す構造は,一例を示す。 

番号 

主要部品の名称 

材料 

シリンダボデー 

JIS G 5501に規定するFC200又はJIS H 5202に規定する
AC2A,AC2B若しくはAC4C。 

プライマリピストン 

JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,JIS G 4051に規
定するもの,JIS H 4040に規定するもの,又は合成樹脂。 

セコンダリピストン 

4,5 

スペーサ 

JIS G 4401に規定するSK5,JIS H 3110に規定するG5111若し
くはC5102又はJIS H 3100に規定するもの。 

6,7 

プライマリカップ 

JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種。 

プレッシャカップ 

セコンダリカップ 

10 

プライマリリターンスプリング 

JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの。 

11 

セコンダリリターンスプリング 

12 

スナップリング 

JIS G 3521若しくはJIS G 3522に規定するもの,又はJIS G 
4401に規定するSK5。 

13 

リザーバ 

金属又は合成樹脂。 

14 

ストッパボルト 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの。 

background image

10 

D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図 2 タンデムマスタシリンダ(コンベンショナル−コンベンショナル形) 

備考 図に示す構造は,一例を示す。 

番号 

主要部品の名称 

材料 

シリンダボデー 

JIS G 5501に規定するFC200又はJIS H 5202に規定するAC2A,
AC2B若しくはAC4C。 

プライマリピストン 

JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,JIS G 4051に規定
するもの,JIS H 4040に規定するもの,又は合成樹脂。 

セコンダリピストン 

4,5 

スペーサ 

JIS G 4401に規定するSK5,JIS H 3110に規定するG5111若し
くはC5102又はJIS H 3100に規定するもの。 

6,7 

プライマリカップ 

JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種。 

プレッシャカップ 

9,10 

セコンダリカップ 

11 

プライマリリターンスプリング 

JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの。 

12 

セコンダリリターンスプリング 

13 

ピストンストッパ 

JIS G 3101に規定するSS330又はJIS G 3141に規定するもの。 

14 

スナップリング 

JIS G 3521若しくはJIS G 3522に規定するもの,又はJIS G 4401
に規定するSK5 

15 

ブーツ 

表6に規定するもの。 

16 

プッシュロッド 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの。 

17,18 

チェックバルブ 

JIS G 3141,JIS G 4051又はJIS H 3100に規定するもの,及び表
5に規定するもの。 

19,20 

バルブシート 

表5に規定するもの。 

21,22 

リザーバ 

金属又は合成樹脂。 

23 

ストッパボルト 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの。 

background image

11 

D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図 3 タンデムマスタシリンダ(ポートレス−ポートレス形) 

備考 図に示す構造は,一例を示す。 

番号 

主要部品の名称 

材料 

シリンダボデー 

JIS G 5501に規定するFC200又はJIS H 5202に規定するAC2A,AC2B
若しくはAC4C。 

プライマリピストン 

JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,JIS G 4051に規定する
もの,JIS H 4040に規定するもの,又は合成樹脂。 

セコンダリピストン 

4,5 

スペーサ 

JIS G 4401に規定するSK5,JIS H 3110に規定するC5111若しくは
C5102又はJIS H 3100に規定するもの。 

6,7 

プライマリカップ 

JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種。 

プレッシャカップ 

セコンダリカップ 

10 

プライマリリターンスプリング 

JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの。 

11 

セコンダリリターンスプリング 

12,13 

バルブステム 

JIS G 3101に規定するSS400,JIS G 4303に規定するもの,又は合成
樹脂。 

14,15 

インレットバルブ 

表5に規定するもの。又はJIS D 2605に規定する1種,2種若しくは
3種。 

16,17 

バルブスプリング 

JIS G 3521,JIS G 3522又はJIS G 4313に規定するもの。 

18 

スナップリング 

JIS G 3521若しくはJIS G 3522に規定するもの,又はJIS G 4401に
規定するSK5。 

19 

リザーバ 

金属又は合成樹脂。 

20 

ストッパボルト 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの。 

background image

12 

D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図 4 タンデムマスタシリンダ(コンベンショナル−ポートレス形) 

備考 図に示す構造は,一例を示す。 

番号 

主要部品の名称 

材料 

シリンダボデー 

JIS G 5501に規定するFC200又はJIS H 5202に規定するAC2A,AC2B
若しくはAC4C。 

プライマリピストン 

JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,JIS G 4051に規定する
もの,JIS H 4040に規定するもの,又は合成樹脂。 

セコンダリピストン 

スペーサ 

JIS G 4401に規定するSK5,JIS H 3110に規定するC5111若しくは
C5102又はJIS H 3100に規定するもの。 

5,6 

プライマリカップ 

JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種。 

プレッシャカップ 

セコンダリカップ 

プライマリリターンスプリング 

JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの。 

10 

セコンダリリターンスプリング 

11 

バルブステム 

JIS G 3101に規定するSS400,JIS G 4303に規定するもの,又は合成
樹脂。 

12 

インレットバルブ 

表5に規定するもの。又はJIS D 2605に規定する1種,2種若しくは
3種。 

13 

バルブスプリング 

JIS G 3521,JIS G 3522又はJIS G 4313に規定するもの。 

14 

スナップリング 

JIS G 3521若しくはJIS G 3522に規定するもの,又はJIS G 4401に
規定するSK5。 

15 

リザーバ 

金属又は合成樹脂。 

16 

ストッパボルト 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4051に規定するもの。 

background image

13 

D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図 5 シングルマスタシリンダ(コンベンショナル形) 

備考 図に示す構造は,一例を示す。 

番号 

主要部品の名称 

材料 

シリンダボデー 

JIS G 5501に規定するFC200又はJIS H 5202に規定するAC2A,
AC2B若しくはAC4C。 

ピストン 

JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,JIS G 4051に規定
するもの,JIS H 4040に規定するもの,又は合成樹脂。 

スペーサ 

JIS G 4401に規定するSK5,JIS H 3110に規定するG5111若し
くはC5102又はJIS H 3100に規定するもの。 

プライマリカップ 

JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種。 

セコンダリカップ 

リターンスプリング 

JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの。 

ピストンストッパ 

JIS G 3101に規定するSS330又はJIS G 3141に規定するもの。 

スナップリング 

JIS G 3521若しくはJIS G 3522に規定するもの,又はJIS G 4401
に規定するSK5 

ブーツ 

表6に規定するもの。 

10 

プッシュロッド 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4401に規定するもの。 

11 

チェックバルブ 

JIS G 3141又はJIS H 3100に規定するもの,及び表5に規定す
るもの。 

12 

バルブシート 

表5に規定するもの。 

13 

リザーバ 

金属又は合成樹脂。 

background image

14 

D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図 6 シングルマスタシリンダ(ポートレス形) 

備考 

図に示す構造は,一例を示す。 

番号 

主要部品の名称 

材料 

シリンダボデー 

JIS G 5501に規定するFC200又はJIS H 5202に規定するAC2A,
AC2B若しくはAC4C。 

ピストン 

JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,JIS G 4051に規定
するもの,又は合成樹脂。 

プライマリカップ 

JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種。 

バルブステム 

JIS D 3101に規定するもの。 

インレットバルブ 

表5に規定するもの。 

バルブガイド 

JIS G 3141に規定するもの。 

バルブスプリング 

JIS G 3521若しくはJIS G 3522に規定するもの,又はJIS G 4401
に規定するSK5。 

リターンスプリング 

JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの。 

スプリングシート 

JIS G 3141に規定するもの。 

10 

ピストンストッパ 

JIS G 3141に規定するもの。 

11 

スナップリング 

JIS G 3521若しくはJIS G 3522に規定するもの,又はJIS G 4401
に規定するSK5。 

12 

プッシュロッド 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4401に規定するもの。 

13 

ブーツ 

表6に規定するもの。 

14 

リザーバ 

金属又は合成樹脂。 

background image

15 

D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図 7 シングルマスタシリンダ(プランジャ形) 

備考 図に示す構造は,一例を示す。 

番号 

主要部品の名称 

材料 

シリンダボデー 

JIS G 5501に規定するFC200又はJIS H 5202に規定するAC2A,
AC2B若しくはAC4C。 

プランジャ 

JIS H 5202に規定するAC2A若しくはAC2B,JIS G 4051に規定す
るもの,又は合成樹脂。 

スペーサ 

JIS G 4401に規定するSK5,JIS H 3110に規定するC5111若しく
はC5102又はJIS H 3100に規定するもの。 

プライマリカップ 

JIS D 2605に規定する1種,2種又は3種。 

セコンダリカップ 

リターンスプリング 

JIS G 3521又はJIS G 3522に規定するもの。 

ピストンストッパ 

JIS G 3101に規定するSS330又はJIS G 3141に規定するもの。 

スナップリング 

JIS G 3521若しくはJIS G 3522に規定するもの,又はJIS G 4401
に規定するSK5。 

ブーツ 

表6に規定するもの。 

10 

プッシュロッド 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 4401に規定するもの。 

11 

チェックバルブ 

JIS G 3141又はJIS H 3100に規定するもの,及び表5に規定する
もの。 

12 

バルブシート 

表5に規定するもの。 

13 

リザーバ 

金属又は合成樹脂 

14 

シリンダキャップ 

JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 5501に規定するFC200。 

15 

キャップガスケット 

JIS G 3101に規定するもの。 

関連規格 JIS D 2609 自動車−非鉱油系液圧ディスクブレーキのゴムシール 

16 

D 2603:2005  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。