日本工業規格
JIS
D
1620
-1993
自動車用サイドドアラッチシステム
試験方法
Automobiles
−Test method of side door latch systems
1.
適用範囲 この規格は，自動車の上下方向の軸回りに回転運動をし，乗員の乗降に使用するサイドド
ア（折り畳み式ドアを除く。
）に用いるドアラッチシステム（以下，システムという。
）の試験方法につい
て規定する。
備考1. ドアラッチシステムとは，ドアラッチ，ストライカ，ロッキング装置，ハンドルなどの操作
機構を含むドア掛金装置の系全体をいう。
2.
この規格の引用規格を，次に示す。
JIS B 7721
引張試験機
JIS D 1050
自動車の衝撃試験における計測
2.
用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は，次のとおりとする（図 1 参照）。
(1)
ドアラッチ 作動機構をもち，ストライカとかみ合ってドアを閉鎖位置に保つ部材の総称。通常，ド
ア側に装着される。
(2)
ストライカ ドアラッチとかみ合ってドアを閉鎖位置に保つ部材の総称。通常，車体（ドアを除いた
状態）側に装着される。
(3)
フルラッチ状態 ドアが完全閉鎖の位置で，ドアラッチとストライカとがかみ合っている状態。
(4)
ハーフラッチ状態 ドアが不完全閉鎖の位置で，ドアラッチとストライカとがかみ合っている状態。
(5)
ロッキング装置 閉鎖状態にあるドアを，ドアハンドルの操作では開くことができないようにする装
置。
(6)
縦方向 自動車の縦中心面に平行で水平な方向。
(7)
横方向 自動車の縦中心面に直角な方向。
2
D 1620-1993
図 1 ドアラッチ及びストライカの例
3.
試験項目
3.1
強度試験 システムの強度試験の試験項目は，次のとおりとする。
(1)
静的縦荷重試験 ドアラッチとストライカとをほぼ縦方向に引き離すように負荷する試験。
(2)
静的横荷重試験 ドアラッチとストライカとをほぼ横方向に引き離すように負荷する試験。
3.2
耐慣性力試験 システムの耐慣性力試験の試験項目は，次のとおりとする。
(1)
衝撃試験 車体又は車体を模擬した装置を用いて衝撃を与え，システムの各部に慣性力を起こさせる
試験。
(2)
慣性荷重解析 (1)の衝撃試験に代える静力学的解析。
4.
強度試験
4.1
静的縦荷重試験
4.1.1
試験装置 試験装置は，次による。
(1)
引張試験機 引張試験機は，JIS B 7721 に規定するものを用いる。
(2)
静的縦荷重試験用取付具 静的縦荷重試験用取付具は，図 2 に示すものを用いる。
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D 1620-1993
図 2 静的縦荷重試験用取付具
備考1. 試験用取付具は，ドアラッチ及びストライカの取付仕様（取付穴，ピッチなど）に合わせる。
2. (
) を付けたものは，推奨寸法である。
4.1.2
試験方法 試験は，フルラッチ状態及びハーフラッチ状態のそれぞれにつき，次によって行う。
(1)
ドアラッチ及びストライカを，
図 2 に示す静的縦荷重試験用取付具の取付板に，実車相当のねじで取
り付ける。
(2)
ドアラッチとストライカとを所定の状態にかみ合わせる。
(3)
図 2 に示すように，890N の荷重を開扉方向に加える。
(4)
ドアラッチとストライカとのかみ合い中心を通る縦方向に引張荷重を加える。
(5) 5mm/min
以下の引張速度で指定荷重を超えるまで荷重を加え，負荷した最大荷重及び試験後の試験品
の損傷状況又は外れの有無を記録する。
備考 指定荷重は，受渡当事者間の協定による。
4.2
静的横荷重試験
4.2.1
試験装置 試験装置は，次による。
(1)
引張試験機 引張試験機は，JIS B 7721 に規定するものを用いる。
(2)
静的横荷重試験用取付具 静的横荷重試験用取付具は，図 3 に示すものを用いる。
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D 1620-1993
図 3 静的横荷重試験用取付具
備考 試験用取付具は，ドアラッチ及びストライカ取付け仕様（取
付穴，ピッチなど）に合わせる。
4.2.2
試験方法 試験は，フルラッチ状態及びハーフラッチ状態のそれぞれにつき，次によって行う。
(1)
ドアラッチ及びストライカを，
図 3 に示す静的横荷重試験用取付具に，実車相当のねじで取り付ける。
(2)
ドアラッチとストライカとを所定の状態にかみ合わせる。
(3)
ドアラッチとストライカとのかみ合い中心を通る横方向に引張荷重を加える。
(4) 5mm/min
以下の引張速度で指定荷重を超えるまで荷重を加え，負荷した最大荷重及び試験後の試験品
の損傷状況又は外れの有無を記録する。
備考 指定荷重は，受渡当事者間の協定による。
5.
耐慣性力試験
5.1
衝撃試験
5.1.1
試験装置 試験装置は，次による。
(1)
加速装置 加速装置は，システムに所定の慣性力を加えることができる次の装置のいずれかとする。
(a)
台車又はそりを障壁に衝突させることができる装置。
(b)
台車又はそりを加速して，衝撃を発生させることができる装置。
(2)
計測装置 計測装置は，加速度を電気的エネルギーに変換する検出装置（加速度計），電気信号を拡大
する増幅器及び加速度と時間波形とを読み取れる記録装置で構成する。
計測装置の周波数特性は，JIS D 1050 の
付図（周波数特性）の斜線内になければならない。
5.1.2
試験方法 試験は，次による。
(1)
システムを取り付けた車体又は車体のドア周りを模擬した構造体を台車又はそりに固定する。このと
きシステムはフルラッチ状態とし，ロッキング装置は解錠状態とする。
(2)
加速度計を，台車又はそりに取り付ける。
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D 1620-1993
備考 この加速度計が記録する最大減速度を代表値とする。
なお，代表値との相関関係をみるために，ドアラッチ取付部付近にも加速度計を取り付ける
ことが望ましい。
(3)
縦方向（自動車の進行方向だけ）又は横方向（開扉方向だけ）に，294m/s
2
の減速度を加える。
(4)
縦方向（自動車の進行方向だけ）又は横方向（開扉方向だけ）の試験を個別に行った後，ドアラッチ
のフルラッチ状態を確認する。
5.2
慣性荷重解析 5.1 の衝撃試験に代えて，静力学的解析によって，次の条件でドアラッチのフルラッ
チ状態を確認してもよい。
(1)
加速度は，294m/s
2
とする。
(2)
縦方向（自動車の進行方向及び後退方向）及び横方向（開扉方向及び閉扉方向）の解析をそれぞれ行
う。
(3)
各構成部品には，衝撃時の加速度が持続的に加わるようにする。
(4)
ばね力は，取付位置と解放位置との平均値を使用する。
(5)
摩擦の影響は無視する。
(6)
システムの解放を抑止する方向に作用する，
構成部品の自重及び慣性荷重の分力は，
無視してもよい。
(7)
ロッキング装置は解錠状態とする。
関連規格 JIS D 1621 自動車用サイドドアヒンジシステム試験方法
SAE J 839 JUL 82
Passenger Car Door Latch Systems
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D 1620-1993
自動車 航空部会 自動車専門委員会 構成表（昭和 63 年 3 月 1 日制定のとき）
氏名
所属
（委員会長）
中 込 常 雄
学識経験者
中 川 勝 弘
通商産業省機械情報産業局
松 波 正 壽
運輸省地域交通局陸上技術安全部
飛 田 勉
工業技術院標準部
石 川 安 男
防衛庁装備局
石 渡 正 治
財団法人日本自動車研究所
梅 澤 清 彦
東京工業大学精密工学研究所
大 西 徳
社団法人全日本トラック協会
佐 藤 武
慶應義塾大学理工学部
田 中 兼 吉
社団法人日本バス協会
轟 秀
社団法人日本自動車連盟
杉 浦 秀 昭
社団法人日本自動車整備振興会連合会
岩 根 政 雄
社団法人日本自動車部品工業会
大 槻 耕 一
日野自動車工業株式会社研究管理部
改 田 護
トヨタ自動車株式会社技術管理部
金 子 達 昭
日本自動車輸入組合
作 道 清 行
三菱自動車工業株式会社技術本部技術管理部
古 川 洋
社団法人自動車技術会
藤 井 隆
日産自動車株式会社設計管理部
牧 野 昇
本田技研工業株式会社総務部
松 木 良 助
鈴木自動車工業株式会社技術管理部
安 倍 史 之
日産ディーゼル工業株式会社設計管理部
一 瀬 修
マツダ株式会社東京技術部
大 野 恭 二
いすゞ自動車株式会社特許部
長 滝 清 敬
日本道路公団維持施設部
（関係者）
横 家 和 男
ダイハツ工業株式会社実験部
山 崎 信一郎
アイシン精機株式会社車体技術部
（事務局）
江 口 信 彦
工業技術院標準部機械規格課
牛 島 宏 育
工業技術院標準部機械規格課
（事務局）
笹 尾 照 夫
工業技術院標準部機械規格課（平成 5 年 8 月 1 日改正のとき）
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D 1620-1993
社団法人 自動車技術会 車体部会 扉錠試験法分科会 構成表
氏名
所属
（分科会長）
横 家 和 男
ダイハツ工業株式会社実験部
（幹事）
鳥 居 望
アイシン精機株式会社車体技術部
江 口 信 彦
工業技術院標準部
江 角 直 樹
運輸省地域交通局陸上技術安全部
森 田 和 元
交通安全公害研究所交通安全部
川 上 仁
交通安全公害研究所自動車審査部
須 藤 直 照
いすゞ自動車株式会社小型車研究実験部
飯 田 宣 由
鈴木自動車工業株式会社四輪車体設計部
十 河 利 晴
トヨタ自動車株式会社第二技術部
浅 尾 和 哉
日産自動車株式会社車体実験部
渡 辺 博
日産ディーゼル工業株式会社実験部
小 林 秀 雄
日野自動車株式会社第一実験部
遠 藤 多美雄
富士重工業株式会社研究実験第一部
平 原 伸 一
株式会社本田技術研究所栃木研究所
宮 村 信 夫
マツダ株式会社第二実験研究部
池 沢 弘 志
三菱自動車工業株式会社乗用車技術センターボデー設計部
中 辻 信 一
株式会社ユーシン開発本部開発部
福 井 祥 三
株式会社城南製作所技術部
室 井 喜四郎
株式会社大井製作所技術部
長谷川 久 規
神菱電気製造株式会社加西工場技術部
大 城 英 行
白木金属工業株式会社研究開発室
村 岡 良 三
社団法人日本自動車部品工業会技術部
高 橋 文 雄
社団法人日本自動車連盟ロードサービス部
（事務局）
樋 田 誠 一
社団法人自動車技術会規格課