D 1401:2009
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 試験方法························································································································· 4
4.1 容量及び内部抵抗並びに最大出力密度················································································ 4
4.2 電圧保持特性 ················································································································ 6
4.3 充放電効率試験 ············································································································· 8
附属書A(参考)耐久性(高温連続定格電圧印加)試験 ····························································· 10
附属書B(参考)キャパシタの熱平衡時間················································································ 11
附属書C(参考)充電効率及び放電効率並びに測定電流について·················································· 13
附属書D(参考)公称内部抵抗が不明確な場合のキャパシタ測定電流の設定手順 ····························· 14
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本自動車研究所(JARI)から工業標
準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業
大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
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日本工業規格
JIS
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ハイブリッド電気自動車用電気二重層
キャパシタの電気的性能の試験方法
Electrical characteristic test methods of electric double layer capacitors
for use in hybrid electric vehicles
序文
電子機器用固定電気二重層コンデンサの日本工業規格は存在するが,急激な充放電仕様を求めるハイブ
リッド電気自動車用電気二重層キャパシタに対して適用できる規定内容ではない。また,このキャパシタ
の電気的な性能を把握するための試験方法規格が必要となったため,この規格を制定した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,ハイブリッド電気自動車のピークパワーアシスト用電気二重層キャパシタ単セル(以下,
キャパシタという。)の電気的性能の試験方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS C 60068-1:1993 環境試験方法−電気・電子−通則
注記 対応国際規格:IEC 60068-1:1988,Environmental testing. Part 1: General and guidance (IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
基準温度 (reference temperature)
試験時に基準とする温度(℃)であって,JIS C 60068-1:1993の5.2に規定する25 ℃±2 ℃。
3.2
周囲温度 (ambient temperature)
キャパシタの置かれている周囲の温度(℃)。
3.3
カテゴリ上限温度 (category upper temperature)
設計時に決定した最高使用温度(℃)。
3.4
カテゴリ下限温度 (category lower temperature)
設計時に決定した最低使用温度(℃)。
2
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3.5
印加電圧 (applied voltage)
キャパシタ端子間に印加する電圧(V)。
3.6
定格電圧,UR (rated voltage)
キャパシタに,カテゴリ上限温度で規定時間,連続して電圧を印加した後に,当該キャパシタが,規定
する要求特性を満足する最大電圧(V)。この電圧は,キャパシタを設計するときの設定電圧である。
注記 附属書Aに,定格電圧を求める根拠となる耐久性試験の内容を示す。
3.7
充電電流 (charge current)
キャパシタを充電するときの電流(A)。
3.8
放電電流 (discharge current)
キャパシタを放電するときの電流(A)。
3.9
蓄電電力量 (stored energy)
キャパシタに蓄えられる電力量(J)。
3.10
充電電力量 (charge accumulated electric energy)
充電開始から充電終了までに,キャパシタを充電するために注入された電力の積算量(J)。
3.11
放電電力量 (discharge accumulated electric energy)
放電開始から放電終了までに,キャパシタから放出された電力の積算量(J)。
3.12
算出開始電圧 (calculation start voltage)
キャパシタからの放電中での電圧降下特性の中で,容量などの特性を算出するときに,開始点として設
定した電圧(V)。
3.13
算出終了電圧 (calculation finish voltage)
キャパシタからの放電中での電圧降下特性の中で,容量などの特性を算出するときに,終了点として設
定した電圧(V)。
3.14
容量 (capacitance)
キャパシタの中に電荷を蓄える能力(F)。
3.15
内部抵抗 (internal resistance)
キャパシタの構成材料の固有抵抗と内部接続抵抗とを合わせた抵抗(Ω)。
3.16
公称内部抵抗,RN (nominal internal resistance)
設計時に用いる内部抵抗の公称値であって,測定条件の設定に用いる値(Ω)。一般に,基準温度における
3
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値とする。
3.17
定電圧充電 (constant voltage charging)
規定電圧に到達後,その電圧を継続してキャパシタに印加する充電方法。
3.18
定電流充電 (constant current charging)
一定の電流でキャパシタを充電する方法。
3.19
定電流放電 (constant current discharging)
一定の電流でキャパシタから放電する方法。
3.20
前処理 (pre-conditioning)
試験前の,キャパシタの測定環境(温度,湿度及び気圧)での保管及びそのときの放電処理。一般に,
キャパシタの電気的性能を測定する前に,キャパシタの内部温度が温度(熱)平衡するまでの保管及び放
電処理を示す。
3.21
後処理 (recovery)
耐久性試験などで周囲温度を変化させた試験後の,キャパシタの測定環境(温度,湿度及び気圧)での
保管及びそのときの放電処理。一般に,キャパシタの電気的性能を測定する前に,キャパシタの内部温度
が温度(熱)平衡するまでの保管及び放電処理を示す。
3.22
充電効率 (charge efficiency)
規定の条件で充電したときの効率で,蓄電電力量を充電電力量で除した比(%)。
3.23
放電効率 (discharge efficiency)
規定の条件で放電したときの効率で,放電電力量を蓄電電力量で除した比(%)。
3.24
充放電効率 (energy efficiency)
規定の条件で充電及び放電を行ったときに,放電電力量を充電電力量で除した比(%)。
3.25
電圧保持特性 (maintain voltage characteristics)
キャパシタを充電後,端子間を開放状態にしたときのキャパシタ端子間に保持している電圧の特性。
3.26
電圧保持率 (maintain voltage rate)
キャパシタを充電後,端子間を開放状態にして,規定時間経過後の端子間電圧を充電電圧で除した比(%)。
3.27
出力密度 (power density)
充電されたキャパシタから取り出せる単位質量又は単位体積当たりの電力(W/kg又はW/L)。
4
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3.28
最大出力密度 (maximum power density)
充電されたキャパシタから,取り出せる最大の出力密度(W/kg又はW/L)。一般に,内部抵抗及び定格
電圧を用いて算出する。
4
試験方法
4.1
容量及び内部抵抗並びに最大出力密度
4.1.1
試験回路
容量及び内部抵抗の試験は,定電流充放電で行う。その基本回路は,図1による。
図1−定電流充放電の基本回路
4.1.2
試験装置
試験装置は,キャパシタの定電流充電,定電圧充電及び定電流放電ができ,かつ,図2に示すようにキ
ャパシタ端子間電圧を連続的に時系列で測定できる装置とする。
電源は,充電効率95 %に相当する充電電流を供給し,定電圧充電時間が設定でき,かつ,放電効率に
相当する放電電流を流すことができるものとする。
直流電圧計は,電圧の測定分解能が5 mV以下で,かつ,サンプリング間隔が100ミリ秒間以下で測定
及び記録ができるものとする。
5
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UR:
U1:
U2:
ΔU3:
TCV:
定格電圧(V)
算出開始電圧(V)
算出終了電圧(V)
電圧降下(V)
定電圧充電時間(s)
図2−容量及び内部抵抗試験におけるキャパシタ端子間電圧の時間特性
4.1.3
試験手順
試験は,4.1.2に規定する試験装置を用いて,次の手順で行う。
a) 前処理 試験前に,キャパシタを基準温度下で2時間〜6時間放置する。この間,キャパシタは十分
に放電しておく。
注記1 放置時間の目安となる熱平衡時間は,附属書Bに示す。
b) 取付け キャパシタを試験装置に取り付ける。
c) 試験装置の設定 試験装置は,次の設定を行う。
1) 充電のための定電流値Icを設定する。設定値は,キャパシタの公称内部抵抗RNに基づき,充電効率
95 %で充電できる値とし,式(1)を用いて算出する。
N
R
c
38R
U
I=
················································································ (1)
注記2 充電効率95 %及び放電効率95 %に対する一般的な考え方を,附属書Cに示す。また,
公称内部抵抗が不明確な場合の測定電流の設定手順を,附属書Dに示す。
2) 定電流充電の電圧を,定格電圧URに設定する。
3) 定電圧充電時間TCVを300秒間に設定する。
4) 放電のための定電流値Idを,設定する。設定値は,キャパシタの公称内部抵抗RNに基づき,放電
効率95 %で放電できる値とし,式(2)を用いて算出する。
N
R
d
40R
U
I=
················································································ (2)
5) サンプリング間隔を,100ミリ秒間以下,電圧降下特性を0.5URまで測定できるように設定する。
4.1.4
測定
上記の設定に基づき,図2に示すようなキャパシタ端子間電圧の時間特性を測定する。
4.1.5
容量の算出方法
容量Cは,式(3)を用いて算出する。
6
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2
R
2
R
)
7.0(
)
9.0(
2
U
U
W
C
−
=
······························································ (3)
ここに,
C: キャパシタの容量(F)
W: 算出開始電圧(0.9UR)〜算出終了電圧(0.7UR)の電圧において,
設定したサンプリング間隔ごとの放電電力量(J)
UR: 定格電圧(V)
注記 この算出方法を,エネルギ換算容量算出方法(energy conversion capacitance method)という。
4.1.6
内部抵抗の算出方法
内部抵抗Rは,式(4)を用いて算出する。
d
3
I
U
R∆
=
················································································· (4)
ここに,
R: キャパシタの内部抵抗(Ω)
Id: 放電電流(A)
ΔU3: 算出開始電圧(0.9UR)〜算出終了電圧(0.7UR)の電圧降下特性
を,最小二乗法を用いて直線近似して,この直線の放電開始
時刻における切片(電圧値)を算出した,この電圧値と定電
圧充電記録値との電圧差(V)。この値は,4.1.4によって求める。
注記 この算出方法を,最小二乗内部抵抗算出方法(least squares internal resistance method)という。
4.1.7
最大出力密度の算出方法
最大出力密度Pdmは,式(5)を用いて算出する。
RM
U
P
2
R
dm
25
.0
=
·········································································· (5)
ここに, Pdm: キャパシタの最大出力密度(W/kg又はW/L)
UR: 定格電圧(V)
R: 実測の内部抵抗(Ω)。この値は,4.1.6によって求める。
M: キャパシタ質量又は体積(kg又はL)
注記 この算出方法を,マッチドインピーダンス出力方法(matched impedance power density method)と
いう。
4.2
電圧保持特性
4.2.1
試験回路
電圧保持特性試験の基本回路は,図3による。
図3−電圧保持特性試験の基本回路
7
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4.2.2
試験装置
試験装置は,キャパシタの定電流充電及び定電圧充電ができ,かつ,図4に示すようなキャパシタ端子
間電圧を連続的に時系列に測定できる装置とする。
電源は,充電効率95 %に相当する充電電流を供給でき,定電圧充電時間が設定できるものとする。
直流電圧計V1及び直流電圧計V2は,電圧の測定分解能が5 mV以下で,かつ,測定値の誤差が無視で
きる程度の入力インピーダンスが高い測定器とする。
UR:
TCC1:
TCV1:
TOC1:
定格電圧(V)
充電効率95 %での充電時間(s)
定電圧充電時間(s)
測定時間(h)
図4−電圧保持試験でのキャパシタ端子間電圧の時間特性
4.2.3
試験手順
試験は,4.2.2に規定する試験装置を用いて,次の手順で行う。
a) 前処理 試験前に,キャパシタを基準温度下で2時間〜6時間放置する。この間,キャパシタは十分
に放電しておく。
注記1 放置時間の目安となる熱平衡時間は,附属書Bに示す。
b) 取付け キャパシタを試験装置に取り付ける。
c) 試験装置の設定 試験装置は,次の設定を行う。
1) 充電のための定電流値Icを設定する。設定値は,キャパシタの公称内部抵抗RNに基づき,充電効率
95 %で充電できる値とし,式(1)を用いて算出する。
注記2 充電効率95 %に対する一般的な考え方を,附属書Cに示す。また,公称内部抵抗が不
明確な場合の測定電流の設定手順を,附属書Dに示す。
2) 定電流充電での最大電圧を,定格電圧URに設定する。
3) 定電圧充電時間TCV1を,300秒間に設定する。
4) 規定時間を充電後,キャパシタの端子間を開放状態に設定する。
4.2.4
測定
上記の設定に基づき,図4に示すTOC1が,72時間のとき,キャパシタ端子間電圧を測定する。
4.2.5
電圧保持率の算出
電圧保持率Aは,式(6)を用いて算出する。
100
R
end×
=U
U
A
··········································································· (6)
8
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ここに,
A: 電圧保持率 (%)
Uend: 端子間を開放状態にし,TOC1が72時間のときの,キャパシタ
の端子間電圧 (V)
UR: 定格電圧 (V)
4.3
充放電効率試験
4.3.1
試験回路
充放電効率試験は,定電流充放電で行う。その基本回路は,図1による。
4.3.2
試験装置
試験装置は,キャパシタを試験装置に接続して,定電流充電,定電圧充電及び定電流放電ができ,かつ,
図5に示すようなキャパシタ端子間電圧及び電流を連続的に時系列で測定できる装置とする。
電源は,充電効率95 %に相当する充電電流を供給し,定電圧充電時間が設定でき,かつ,放電効率に
相当する放電電流を流すことができるものとする。
直流電圧計は,電圧の測定分解能が5 mV以下で,かつ,サンプリング間隔が100ミリ秒間以下で測定
及び記録ができるものとする。
UR:
TCC11:
TCV11:
TCC12:
TCV12:
TCC13:
定格電圧(V)
0.5URまでの定電流充電時間(s)
0.5URでの定電圧充電時間(s)
URまでの定電流充電時間(s)
URでの定電圧充電時間(s)
URからの定電流放電時間(s)
図5−充放電効率試験におけるキャパシタ端子間電圧及び電流の時間特性
4.3.3
試験手順
試験は,4.3.2に規定する試験装置を用いて,次の手順で行う。
9
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a) 前処理 試験前に,キャパシタを基準温度下で2時間〜6時間放置する。この間,キャパシタは十分
に放電しておく。
注記1 放置時間の目安となる熱平衡時間は,附属書Bに示す。
b) 取付け キャパシタを試験装置に取り付ける。
c) 試験装置の設定 試験装置は,次の設定を行う。
1) 0 V〜0.5UR及び0.5UR〜URの充電のための定電流値Icを設定する。設定値は,キャパシタの公称内
部抵抗RNに基づき,充電効率95 %で充電できる値とし,式(1)を用いて算出する。
注記2 充電効率95 %に対する一般的な考え方を,附属書Cに示す。また,公称内部抵抗が不
明確な場合の測定電流の設定手順を,附属書Dに示す。
2) 0.5URにおける定電圧充電時間TCV11を300秒間に,URにおける定電圧充電時間TCV12を10秒間に設
定する。
3) 放電のための定電流値Idを,設定する。設定値は,キャパシタの公称内部抵抗RNに基づき,放電
効率95 %で放電できる値とし,式(2)を用いて算出する。
注記3 放電効率95 %に対する一般的な考え方を,附属書Cに示す。また,公称内部抵抗が不
明確な場合の測定電流の設定手順を,附属書Dに示す。
4) 放電開始後,キャパシタ端子間の電圧が,0.5URに到達したときに放電を終了する。
4.3.4
測定
上記の設定が終了後,0.5URまでの定電流充電,0.5URでの定電圧充電,URまでの定電流充電,URでの
定電圧充電,0.5URまでの定電流放電の順に試験を行い,0.5URからの充電電力量(TCC12及びTCV12の期間
の充電電力量)と放電期間(TCC13の期間)の放電電力量とを求める。
4.3.5
充放電効率の算出
充放電効率Efは,図5に示す0.5UR〜UR〜0.5UR間の電圧及び電流の時間特性から,式(7)を用いて算出
する。
100
c
d
f
×
=W
W
E
··········································································· (7)
ここに,
Ef: 充放電効率(%)
Wc: 図5に示す電圧0.5UR〜URのt0〜tU,Rにおいて,設定したサン
プリング間隔ごとに電圧と電流との積を積分して求めた充電
電力量(J)
()
∫==
=
R
U,
0
c
c
t
t
t
t
dt
t
U
I
W
Wd: 図5に示す電圧UR〜0.5URのtU,R〜t0.5U,Rにおいて,設定したサ
ンプリング間隔ごとに電圧と電流との積を積分して求めた放
電電力量(J)。
()
∫==
=
R
0.5U,
R
U,
d
d
t
t
t
t
dt
t
U
I
W
10
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附属書A
(参考)
耐久性(高温連続定格電圧印加)試験
序文
この附属書は,3.6に規定する定格電圧を求める根拠となる耐久性(高温連続定格電圧印加)試験につい
て,記載するものであって,規定の一部ではない。
A.1 試験手順
A.1.1 試験条件
試験条件は,次による。
− 試験温度:カテゴリ上限温度
− 印加電圧:定格電圧
− 試験時間:1 000時間
A.1.2 試験手順
試験手順は,次による。
a) 前処理 試験前にキャパシタを基準温度下で2時間〜6時間放置する。このとき,キャパシタは十分
に放電しておく。
b) 初期測定 4.1に規定する容量及び内部抵抗を測定する。
c) 試験 キャパシタをカテゴリ上限温度の槽に入れ,定格電圧を規定時間印加する。定格電圧までの充
電は,キャパシタの公称内部抵抗に基づき,充電効率95 %の電流で行う。
d) 後処理 試験終了後,キャパシタを試験槽から取り出し,基準温度下で2時間〜6時間放置する。こ
のとき,キャパシタは十分に放電しておく。
e) 最終測定 外観検査のほか,4.1に規定する容量及び内部抵抗を測定後,初期測定値と比較し,変化率
などを求める。
A.1.3 判定基準
受渡当事者間の協定がない場合には,規定時間後の電気的特性は,次の容量変化率ΔC及び内部抵抗変
化率ΔRの値を満足することが望ましい。
%
≦20
100
|
|
i
i
f
×
−
=
C
C
C
C
∆
ここに,
Ci: 試験前の容量(F)
Cf: 試験後の容量(F)
%
≦50
100
|
|
i
i
f
×
−
=
R
R
R
R
∆
ここに,
Ri: 試験前の内部抵抗(Ω)
Rf: 試験後の内部抵抗(Ω)
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附属書B
(参考)
キャパシタの熱平衡時間
序文
この附属書は,4.1.3,4.2.3及び4.3.3に規定する前処理の放置時間の目安となる熱平衡時間について,
記載するものであって,規定の一部ではない。
B.1
キャパシタの熱平衡時間
キャパシタの中心部温度と周囲温度との差が1 ℃以内に達する熱平衡時間が,キャパシタの外形寸法に
依存することを予想し,キャパシタの中心部温度の推移を確認した。
その結果,外形寸法では,円筒形の場合には直径,かく(角)形の場合には厚さ(一番薄い辺)に比例
することが分かった。図B.1に,高温から常温に戻した場合のキャパシタの熱平衡時間,図B.2に,低温
から常温に戻した場合のキャパシタの熱平衡時間を示す。この図中の点線の直線は,熱平衡までの最長時
間を予想した。この点線の直線で示した時間を前処理の放置時間として用いることが望ましい。
また,実際に測定したキャパシタの中心部温度の推移例を,図B.3及び図B.4に示す。
図B.1−キャパシタが熱平衡に達する時間(85 ℃→25 ℃)
12
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図B.2−キャパシタが熱平衡に達する時間(−40 ℃→25 ℃)
図B.3−85 ℃から25 ℃に移したときの温度推移
(85 ℃→25 ℃)
図B.4−−40 ℃から25 ℃に移したときの温度推移
(−40 ℃→25 ℃)
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附属書C
(参考)
充電効率及び放電効率並びに測定電流について
序文
この附属書は,4.1.3,4.2.3及び4.3.3に規定する充電効率及び放電効率並びに測定電流に関する一般的
な考え方について,記載するものであって,規定の一部ではない。
C.1 充電効率及び放電効率並びに測定電流について
定電流I,かつ,時間tで,容量Cのキャパシタを充電又は放電を行ったときの電荷をQ,キャパシタに
蓄えられる電力量をW,キャパシタの内部抵抗Rで失われる電力量をLとした場合には,電荷Q,蓄電電
力量W及び放電電力量Lは,それぞれ式(C.1)〜式(C.3)によって求めることができる。
t
I
Q
×
=
··············································································· (C.1)
C
Q
W
2
2
=
················································································ (C.2)
t
RQ
Rt
I
L
2
2
=
=
······································································ (C.3)
上記の式(C.2)及び式(C.3)によって,キャパシタの全容量を定電流充電又は定電流放電したときのエネル
ギ効率を求めた場合には,充電時の効率Pc及び放電時の効率Pdは,それぞれ式(C.4)及び式(C.5)による。
RC
t
t
L
W
W
P
2
c
+
=
+
=
······························································· (C.4)
t
RC
W
L
W
P
2
1
d
−
=
−
=
······························································· (C.5)
キャパシタの発熱と測定に要する時間とを考慮して,95 %の効率で充電又は放電することをこの規格で
規定した。95 %の効率で充電できる時間tは,式(C.6)による。
RC
t 38
=
·············································································· (C.6)
また,キャパシタに蓄えられる電荷Qは,容量Cと充電電圧Uとの積であり,式(C.7)で定義できる。
一方,式(C.1),式(C.6)及び式(C.7)によって,95 %の効率で充電できる電流Icは,式(C.8)による。
CU
Q=
················································································ (C.7)
R
U
I
38
c=
·············································································· (C.8)
同様に95 %の効率で放電できる時間tは,式(C.9)となり,95 %の効率で放電できる電流Idは,式(C.10)
による。
RC
t 40
=
·············································································· (C.9)
R
U
I
40
d=
············································································· (C.10)
式(C.8)及び式(C.10)を,充電試験時又は放電試験時の電流値として提案する。また,充放電流の決定か
ら目的とする効率における最大出力が算出可能である。
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D 1401:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(参考)
公称内部抵抗が不明確な場合のキャパシタ測定電流の設定手順
序文
この附属書は,4.1.3,4.2.3及び4.3.3で規定するキャパシタの測定電流の設定手順について,記載する
ものであって,規定の一部ではない。
D.1 キャパシタの測定電流の設定
公称内部抵抗が不明確な場合における充電効率95 %及び放電効率95 %のキャパシタ測定電流の設定
手順は,次による。
a) 予測した内部抵抗値を用いて,4.1.4によってキャパシタ端子間電圧の時間特性を測定し,4.1.6を用い
て内部抵抗を算出する。
注記 内部抵抗が全く予想がつかない場合には,充電電流及び放電電流を30 Aに仮設定することが
望ましい。
b) a)によって算出した内部抵抗を用いて,4.1.4によってキャパシタ端子間電圧の時間特性を測定し,4.1.6
を用いて内部抵抗を算出する。
c) この操作を内部抵抗が前回の値との差が10 %以下になるまで繰り返す。
ただし,ΔU3が0.1 URより大きくなった場合は,測定電流を適宜小さくしてa)〜c)の設定を行い測定す
る。また,算出内部抵抗値が負の値を示す場合も,測定電流を適宜大きくしてa)〜c)の設定を行い測定す
る。
D.2 キャパシタの測定電流を求めるために行った実施例
キャパシタの測定電流の設定例を,表D.1に示す。
表D.1は,設定条件1,設定条件2,設定条件3の順に行った。
表D.1−キャパシタの測定電流の設定例
設定条件
設定に用いた内部抵抗値
mΩ
充電電流
A
放電電流
A
算出容量
F
算出内部抵抗
mΩ
1
1.5(予測した内部抵抗値)
47.4
45.0
1 297
4.6
2
4.6(設定条件1によって得た値)
15.4
14.7
1 351
5.0
3
5.0(設定条件2によって得た値)
14.2
13.5
1 351
5.0