D 1304:2004
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本自動車研究所(JARI)から団体規
格(JEVS G701:2002)を元に作成した工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願、実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
D 1304:2004
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 試験条件 ························································································································ 1
4.1 充電器の条件 ················································································································ 1
4.2 測定条件 ······················································································································ 1
5. 効率算出方法と測定部位 ··································································································· 2
5.1 充電効率の瞬時値 ·········································································································· 2
5.2 充電期間中の平均効率 ···································································································· 2
5.3 コンダクティブ充電器の測定部位······················································································ 2
5.4 インダクティブ充電器の測定部位······················································································ 3
5.5 ひずみ(歪)電圧出力の処理···························································································· 3
6. 測定器 ··························································································································· 3
7. 充電器単体の効率プロファイル測定 ···················································································· 4
8. 実使用状態での効率導出方法 ····························································································· 4
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 1304:2004
電気自動車−充電器−効率試験方法
Electric vehicle − Charging system − Test method of efficiency
1. 適用範囲 この規格は,電動機を原動機とする車両総重量3 500 kg以下の乗用車及び貨物自動車が使
用する充電器のうち,標準電圧が交流690 V以下又は直流1 000 V以下の充電器の,実運転環境での効率
試験方法について規定する。(標準電圧は,IEC 60038を参照)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 60068-1 環境試験方法−電気・電子−通則
JIS C 1102-2 直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項
JIS C 1102-3 直動式指示電気計器 第3部:電力計及び無効電力計に対する要求事項
JIS C 1102-5 直動式指示電気計器 第5部:位相計,力率計及び同期検定器に対する要求事項
JIS D 0112 電気自動車用語(車両)
JIS D 0115 電気自動車用語(充電器)
IEC 60038 Standard Voltages
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS D 0112及び JIS D 0115によるほか,次による。
a) 充電制御 充電器の出力電圧及び出力電力を制御すること。
b) ECU (Electronic Control Unit) 電子制御装置。
c) インダクティブ充電装置 インダクティブ充電器の地上側装置。
d) 充電器の効率プロファイル 充電器の出力電圧と出力電流との組合せに対応した効率を表す特性図。
この規格では,出力電流をパラメータとして,出力電圧(横軸)に対する効率(縦軸)表示を標準とする。
4. 試験条件
4.1
充電器の条件 充電器単体を測定する。充電器に接続されている補機用充電器,その他主電池充電
以外の付加機能は,停止状態とする。停止不可能の場合には,その電力を測定して差し引くか,又は取り
外してもよい。
4.2
測定条件 測定条件は,JIS C 0010に規定する次の大気条件の範囲とする。
a) 温度 15 ℃〜30 ℃
b) 相対湿度 25 %〜75 %
c) 気圧 86 kPa〜106 kPa
5. 効率算出方法及び測定部位
2
D 1304:2004
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5.1
充電効率の瞬時値 5.3及び5.4に示す各形式の充電器の充電効率の瞬時値は,式(1)による。
I
O
P
P
=
η
× 100 ······································································ (1)
ここに,
η: 充電効率の瞬時値 (%)
PI: 入力電力の瞬時値 (W)
PO: 出力電力の瞬時値 (W)
5.2
充電期間中の平均効率 運転期間中の実用効率を表す平均効率は,式(2)による。
dt
P
dt
P
T
O
T
O
∫
∫
=
I
O
av
η
× 100 ···························································· (2)
ここに,
av
η: 平均効率 (%)
T: 充電時間 (h)
PI: 入力電力の瞬時値 (W)
PO: 出力電力の瞬時値 (W)
5.3
コンダクティブ充電器の測定部位 コンダクティブ充電器の構成を図1に示す。充電器単体の効率
を測定するために,入力電力は充電器の入力端(図中のPI),出力電力は充電器の出力端(図中のPo)で測定
し,換気設備,断続器などの直接充電に供しない装置の効率は含めない。
図 1 コンダクティブ充電器
5.4
インダクティブ充電器の測定部位 インダクティブ充電器の構成を図2に示す。インダクティブ充
電では,インダクティブ充電装置,充電カプラ及び整流器までを含む効率とし,入力電力は充電器の入力
端(図中のPI),出力電力は整流器の出力端(図中のPo)で測定する。コンダクティブ充電器と同様,換気設
備,断続器などの直接充電に供しない装置の効率は含めない。
商
用
電
源
充電器
充電制御
ECU
電子負荷装置など
充電制御装置
(断続器など)
PI
被測定部
PO
3
D 1304:2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 2 インダクティブ充電器
5.5
ひずみ(歪)電圧出力の処理 充電器の交流入力力率の改善の一手段として交流入力電圧に従った
出力電流(非直流)をもつ充電器があり,このひずみ(歪)電圧出力を一定電圧(電池と同条件)として
測定を可能とするために,図3に示すように充電器出力側又はインダクティブ整流器出力側にコンデンサ
C1を加えるか,コンデンサの効果と同等のフィルタ機能を用いてもよい。ただし,コンデンサの損失は,
効率測定精度に影響してはならない。
図 3
また,リップル電圧成分は,出力電圧に対して十分に小さな値(5 %以下が望ましい。)となるコンデン
サ容量を設定する。
6. 測定器 試験に使用する測定器は,表1による。
充電器
又は
整流器
電子負荷装置など
C1
商
用
電
源
PI
PO
充電カプラ
整流器
充電制御
ECU
電子負荷装置など
インダクティブ
充電装置
被測定部
4
D 1304:2004
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表 1 測定器
測 定 器
精 度
階 級
仕 様
電
圧
計
0.5級
JIS C 1102-2,JIS C 1102-3,JIS C 1102-5 相
当以上の性能をもつアナログ式又はディジ
タル式計器
電
流
計
電
力
計
力
率
計
3 級
7. 充電器単体の効率プロファイル測定 実使用状態の効率を導出するに先立ち,充電器単体の効率プロ
ファイルを測定する。出力電流値は,定格の0 %〜100 %間を均等に5段階以上ステップ状に変化させ,
各出力電流値に対して出力電圧を変化させた際の効率を測定する。出力電圧の測定点数は,充電器の最大
出力電圧から最小出力電圧間の8点以上とする。(定電流充電器の場合は,使用する電流値でのプロファイ
ル測定が好ましい。)
測定結果の作図例を,図4に示す。図中の①〜⑦は,実使用状態での動作点のプロット例を示す。
図 4 充電器単体の効率プロファイル図
8. 実使用状態での効率導出方法 実使用時の充電器の出力電圧・電流の時系列データ(実運用時の記録
等の利用可)から,7.の充電器単体の効率プロファイル図を用いて,実使用状態での効率の時間変化を求
める(図4及び図5参照。)。
実使用状態(充電中)の充電器の平均効率は,充電効率の瞬時値の平均として表され,式(3)による。
ηаν
∫
=
Tdt
T0
1
η
·········································································· (3)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0
1
2
3
4
5
出力電圧(定格出力に対する比) (%)
効
率
(
%
)
100%
80%
60%
40%
20%
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
出力電流
(定格電流
に対する比)
20 40 60 80 100
出力電圧(定格出力に対する比)(%)
5
D 1304:2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
av
η: 平均効率 (%)
η: 充電効率の瞬時値 (%)
T: 充電時間 (h)
実使用状態での効率導出結果の例を,図5に示す。①〜⑦はプロット例を示す。
図 5 実使用状態での効率導出結果例
0
1
2
3
4
5
0
0.5
1
1.5
2
2.5
時間(h)
出
力
電
流
(
%
)
出
力
電
圧
(
%
)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
効
率
(
%
)
出力電圧
効率
出力電流
① ②
③
④
⑤
⑥
⑦
100%
80%
60%
40% 20%
100
50
0
100
80
60
40
20
出
力
電
圧
(
%
)