2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 1035-1994
二輪自動車−加速試験方法
Mopeds and motorcycles−Method of acceleration test
1. 適用範囲 この規格は,二輪自動車(以下,自動車という。)の加速試験方法について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS P 0138 紙加工仕上寸法
JIS Z 8401 数値の丸め方
2. 試験の種類 加速試験方法は,求める加速性能によって,次の2種類とする。
(1) 発進加速試験方法
(2) 追抜き加速試験方法
3. 試験条件
3.1
試験路 試験路は,次のとおりとする。
(1) 試験路は,平たん,かつ,水平な直線乾燥舗装路とし,その全長は,加速測定区間に加えて,停止す
るのに十分な長さとする。
(2) 試験路は,中央に200m(必要に応じて400m)の加速測定区間を設け,測定標点は,加速区間の始点
から,原則として50m,100m及び200mの地点とし,必要に応じて400mの標点も設ける。
(3) 追抜き加速試験での助走区間は,初速度を得るのに十分な長さとする。
3.2
気象条件 気象条件は,次のとおりとする。
(1) 気圧は,100±3kPaの範囲とする。
(2) 気温は,5〜30℃の範囲が望ましい。
(3) 相対湿度は,95%以下が望ましい。
(4) 測定中の平均風速は,3m/s以下とし,瞬間最大風速は,5m/s以下が望ましい。
3.3
試験自動車 試験自動車の条件は,次のとおりとする。
(1) 試験自動車の積載条件は,空車状態(1)の自動車に1名乗車とする。
注(1) 自動車が燃料,潤滑油,工具など(予備部品,その他の携帯物品を除く。)を満載し,運行に必
要な装備をした状態。
この状態における質量を空車質量という。
(2) 試験自動車のエンジン,動力伝達装置,かじ取り装置,ブレーキ装置,タイヤ空気圧(冷間時)など
の整備は,あらかじめ行っておく。
参考 自動車製造業者による整備に関する情報は,取扱説明書,整備説明書などに示されている。
(3) 試験自動車は,試験開始前に準備運転を行って,エンジン,その他の部分を運転状態に予熱しておく。
3.4
試験器材 主な試験器材は,次のとおりとする。
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D 1035-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1) 巻尺 巻尺の目量は,0.001mとし,50m以上を測定できるものが望ましい。
(2) 時間測定器 時間測定器は,次のいずれかを使用し,測定値の誤差を少なくするため,電子式又は電
気式時間測定器を用いることが望ましい。
(a) 電子式又は電気式時間測定器 電子式又は電気式時間測定器の目量は,0.0001秒以下とする。
(b) ストップウオッチ ストップウオッチの目量は,0.01秒以下とし,3個以上を併用する。
(3) 乾湿温度計 乾湿温度計の正確さは,±1℃とし,通風型乾湿温度計を用いることが望ましい。
(4) 気圧計 気圧計は,フォルタン型水銀気圧計又は同等のものとし,目量は,133Pa以下のものを用い
る。
(5) 風速計 風速計は,風速及び風向を測定できるものとする。
(6) 標識棒
(7) 手旗
3.5
運転者の身長,質量及び服装 運転者の身長,質量及び運転者の服装は次のとおりとする。
(1) 運転者の身長は,1.70±0.05mの範囲とする。
(2) 運転者の質量は,運転者及び保護具(ヘルメット,衣類など)を含み,70±5kgの範囲とする。
(3) 運転者は,身体を保護するため運転者の体に合った保護具を着用する。
3.6
運転姿勢 運転姿勢は,次のとおりとする。
(1) 両手は,ハンドルバーを握る。
(2) 両足は,運転者用のフットレスト,フットボード又はペダルに置く。
(3) 腰は,ライダシートに置く。
(4) 上体の姿勢は,腕を軽く曲げた状態とし,測定中に変化させてはならない。
4. 試験方法
4.1
一般 試験は,往復両方向で行い,その平均値を測定値とする。
4.2
発進加速試験方法 最下段の歯車を用いて,試験自動車の先端が加速測定区間の始点の0.5m手前の
地点から発進し,順次変速して,測定区間を加速走行する。その際,始点を通過した時から各標点までの
所要時間を測定する。
4.3
追抜き加速試験方法 追抜き加速試験方法は,次による。
(1) 原則として,最高速段の歯車を用いて加速区間の始点に達するまで,あらかじめ設定した目標初速度
±2km/hの速度で走行し,始点において速やかに加速し,測定区間を加速走行する。その際,始点を
通過した時から各標点までの所要時間を測定する。ただし,最高速段の歯車以外で測定を行う場合に
は,条件を付記する。
(2) 初速度は,30km/hとする。ただし,必要に応じ10km/hとびで,試験自動車の追抜き加速性能を評価
するのに適当な値を設定してもよい。
(3) 初速度は,始点の直前に測定区間(電子式又は電気式時間測定器による場合には,2m以上,ストッ
プウオッチによる場合には50m。)をおき,その区間を走行するのに要する時間を測定して求める。
5. 測定値及び特性値
5.1
一般 発進加速は,所要時間で表し,必要に応じて加速度を求める。追抜き加速は所要時間及び加
速度を求める。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.2
所要時間 始点から各標点までの所要時間は,JIS Z 8401によって,小数点以下3けた目を四捨五
入して,小数点以下2けたに丸める。
ストップウオッチを用いて測定した場合は,各ストップウオッチの測定値の平均値を用いる。ただし,
平均値から著しく偏った測定値があるときには,その値を除外し,残りの測定値の平均値を用いる。
5.3
所要時間の偏差 各標点までの“往”時と“復”時との所要時間の偏差率は,次の式によって算出
し,それぞれ10%以下でなければならない。
100
2
×
+
−
B
A
B
A
=
δ
ここに,
δ: 偏差率 (%)
A: “往”時の所要時間 (s)
B: “復”時の所要時間 (s)
5.4
加速度 加速度は,5.2の測定値から,次の式を用いて算出し,JIS Z 8401によって,有効数字4け
た目を四捨五入して,有効数字3けたに丸める。
(
)
2
2
t
vt
L
a
−
=
ここに, a: 加速度 (m/s2)
L: 始点から各標点までの距離 (m)
t: 始点から各標点までの所要時間 (s)
v: 初速度の測定値 (m/s)
6. 記録方法 試験結果は,付表1,付表2及び付表3に従って記録する。
関連規格 JIS D 0109 二輪自動車用語
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表1 加速試験(発進加速)記録及び成績
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付表2 加速試験(追抜き加速)記録及び成績
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付表3 加速試験L−t曲線
備考 用紙は,JIS P 0138のA列4番1mm方眼紙を用いる。
社団法人自動車技術会 二輪部会 二輪走行試験方法分科会 構成表
氏名
所属
(分科会長)
岡 本 勇
スズキ株式会社二輪設計部
中 村 裕
スズキ株式会社二輪設計部
東 郷 和 英
読売江東理工専門学校
戒 能 一 成
通商産業省機械情報産業局
笹 尾 照 夫
工業技術院標準部
大 柳 武 雄
運輸省自動車交通局
波多野 忠
交通安全公害研究所交通安全部
神 谷 哲 雄
川崎重工業株式会社技術総括部
大 前 秀 行
株式会社本田技術研究所朝霞研究所
松 本 俊 広
ヤマハ発動機株式会社第1開発部
岡 山 巧
財団法人日本自動車研究所第2研究部
伊 藤 彰 康
社団法人日本自動車連盟ロードサービス部
(事務局)
宇 高 苗 子
社団法人自動車技術会