D 1034 : 1999
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって JIS D 1034 : 1994 は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,日本工業規格と国際規格との整合化を図るため,ISO 8710 : 1995, Motorcycles−Brakes
and braking devices
−Tests and measurement methods を基礎として用いた。
日本工業規格
JIS
D
1034
: 1999
二輪自動車−ブレーキ試験方法
Motorcycles
−Method of brake test
序文
この規格は,
1995
年に第 1 版として発行された ISO 8710 : Motorcycles−Brakes and braking devices
−Tests and measurement methods を元に作成した日本工業規格であり,積載条件及び平均飽和減速度公差を
除いて,技術的内容を変更することなく作成している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格と技術的内容の異なる事項である。
1.
適用範囲 この規格は,二輪自動車(以下,二輪車という。)の次に示すブレーキ及びブレーキ装置の
試験方法について規定する。
a)
静的強度試験
b)
常温時制動試験
c)
常温時高速制動試験
d)
ウェット試験
e)
熱フェード試験
f)
駐車ブレーキ試験
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 8710 : 1995, Motorcycles
−Brakes and braking devices−Tests and measurement methods
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS D 0106
自動車ブレーキ用語(種類,力学及び現象)
JIS D 0109
二輪自動車用語
3.
定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS D 0106 及び JIS D 0109 によるほか,次による。
a)
制動初速度 (test speed) 制動操作の開始直前の試験二輪車の速度。
b)
停止距離 (stopping distance) 運転者が制動操作装置の操作を始めてから,停止するまでに試験二輪
車が走行した距離。
c)
制動間隔 制動操作の繰返しにおいて,制動操作開始時から,次の制動操作開始時までに試験二輪車
が走行した距離。
d)
平均飽和減速度 (mean fully developed deceleration) 制動中,試験二輪車の減速度がほぼ安定している
とみなせるときの値(
付図 1 参照)。
e)
非積載状態 JIS D 0109 による試験二輪車の空車状態に,運転者及び試験用機器を含めて 85kg±10kg
を積載した状態。
2
D 1034 : 1999
f)
積載状態 試験二輪車の空車状態に,運転者及び試験用機器を含めて,2 名定員の場合には 160kg±
15kg
を積載した状態。1 名定員の場合には,非積載状態と同じである。
g)
制動前ブレーキ温度 走行開始前又は制動開始前に測定したブレーキ温度。
h)
連動ブレーキ (combined braking system) 1 個の操作装置により前輪及び後輪の制動を同時に行うこ
とができるブレーキ装置。
4.
試験条件
4.1
試験二輪車の状態 試験二輪車の状態は,次による。
a)
試験二輪車は,燃料,潤滑油,冷却水,工具を装備し,運行に必要な装備をした状態とする。ただし,
試験条件の重量を満足するため一部の部品等を取り外すことはできる。
b)
試験二輪車のタイヤ空気圧は,非積載状態及び積載状態のそれぞれに対し,製造業者の推奨値の±
10kPa
に合わせる。
c)
試験二輪車の改造は,行わない。ただし,試験機器を取り付けるために改造する場合は,試験の実施
や結果に影響を与えないようにする。
4.2
ブレーキ装置各部の状態 ブレーキ装置各部の状態は,次による。
a)
ブレーキ装置は,正規に調整され,異常な熱履歴,水ぬれなどの影響を受けていない状態とする。
b)
ブレーキ摩擦部品が新品の場合は,すり合わせを行う。
c)
制動前ブレーキ温度は,熱フェード試験の加熱手順及び高温時制動試験を除き,100℃以下とする。
4.3
試験環境の状態 試験環境の状態は,次による。
a)
試験路面は,乾燥した平たんな舗装路面とする。
b)
大気温度は,0℃以上 40℃以下の範囲とする。
c)
平均風速は,5m/s 以下とする。
d)
車線の幅は,2.5m(側車付きの場合は 3.5m)とする。
4.4
運転者の状態 運転者の状態は,次による。
a)
服装は,身体を保護するための保護具(ヘルメット,衣類など)を着用する。
b)
運転姿勢は,かじ取り操作及び制動操作が即時に行える姿勢で,次のとおりとする。
1)
両手は,ハンドルバーを握る。
2)
両足は,運転者用のフットレスト,フットボード又はペダルに置く。
3)
腰は,ライダシートに置く。
4)
上体の姿勢は,腕を軽く曲げた状態とし,測定中に変化させないことが望ましい。
4.5
走行条件 走行条件は,次による。
a)
試験二輪車を,
図 1 に示す車速測定区間の前方から,指定速度に見合った変速位置を使用して,その
速度の±5km/h で定常走行させる。試験二輪車の前端が制動操作範囲に達したときにブレーキ装置を
操作して制動する。
b)
制動操作は,常温時高速制動試験及び熱フェード試験の加熱手順を除き,変速機の変速位置を中立と
し,又はクラックを切って原動機と走行装置の接続は断って行う。オートマチックトランスミッショ
ン及び走行中に原動機と走行装置の接続を断つことができない変速機が装着された二輪車の場合は,
スロットルグリップを戻す。
c)
制動操作は,規定の幅の直線車線の中央で開始し,この車線から車両の部分が逸脱することのないよ
うに二輪車の進路を維持,又は制御しながら行う。
3
D 1034 : 1999
4.6
制動操作条件 制動操作条件は,次による。
a)
制動操作は,常温時高速制動試験及び駐車性能試験を除き,前後単独で行う。連動ブレーキ装着車は,
連動ブレーキ操作を行う。
b)
操作力は,駐車性能試験を除き,手は 200N 以下,足は 350N 以下とする。
c)
操作力は,目標の値まで素早く加え,停止までの間,一定値を極力維持する。
4.7
試験順序 それぞれの試験を実施する順序については,熱フェード試験を最後に実施する以外は特
に定めない。
4.8
試験装置及び測定方法
4.8.1
静的強度試験装置 静的強度試験装置は,次による。
a)
装置は,ブレーキレバー及びペダルに一定の荷重を加えたとき,荷重を 1N 以下の単位で測定できる
読取り式又は記録式の荷重計とする。
b)
レバー荷重の測定は,ブレーキレバーが回転する平面上で,それに直角で外端より 50mm の位置で行
う。ペダル荷重の測定は,ブレーキペダルが回転する平面上の踏面の中央で,その接触面に直角に行
う(
付図 2 参照)。
4.8.2
散水装置 散水装置は,次による。
a)
ウェット試験においては,各々のディスクについて 15L/h の流量で連続的に両側から散水する。
b)
散水装置の散水孔は,ディスクの表面に直角に向けられ,パッドが接触する部分の外側端より 2/3 の
位置に設ける(
付図 3 参照)。
c)
露出ディスクブレーキ又は部分露出ディスクブレーキでは,パッドが接触するディスク表面を十分に
ぬらせるように,規定の水量を回転するディスクに均一に散水する。
1)
露出ディスクブレーキでは,規定の水量をパッドからディスクの逆回転方向に 45°の位置でディス
ク表面に垂直に散水する(
付図 3 参照)。
2)
部分露出ディスクブレーキでは,規定の水量をディスクを覆っているシールド又はバッフルの端か
ら,ディスクの逆回転方向に 45°の位置でディスク表面に垂直に散水する。
d)
密閉式ディスクブレーキでは,水をシールド又はバッフルの両側面に垂直に散水する。散水位置につ
いては,前記 b)及び c)の 1)の規定を適用する。散水孔が通風孔又は点検孔と同じ位置にある場合は,
水をその孔からディスクの逆回転方向に 45°の位置に垂直に散水する。
e)
a)
∼d)において,車両の固定部分があるために規定位置に散水できない場合は,さらにディスクの逆
回転方向にあって,続けて散水することが可能な最初の位置で行う。
f)
ドラムブレーキでは,15L/h の流量で,ブレーキパネルとドラムに均等に散水する。この場合の散水
位置は,ドラム外周から車輪ハブ中心までの距離の 2/3 の位置とし,散水孔は通風孔又は点検孔から
15
°以内とならない位置に設ける。
4.8.3
操作力測定装置 操作力測定装置は,次による。
a)
装置は,レバー操作力及びペダル踏力の測定ができる読取り式又は記録式の荷重計で,1N 以下の単位
で測定できるものとする。
b)
レバー操作力の測定は,ブレーキレバーが回転する平面上で,それに直角で外端から 50mm の位置で
行う。ペダル踏力の測定は,ブレーキペダルが回転する平面上の踏面の中央で,その接触面に直角に
行う(
付図 2 参照)。
c)
操作力を制動液圧で測定する場合は,レバー操作力又はペダル踏力による制動液圧を測定して操作力
−制動液圧線図を作成し,これに基づいて制動液圧を操作力へ換算する。
4
D 1034 : 1999
4.8.4
制動初速度測定装置 制動初速度測定装置は,次による。
a)
装置は,制動初速度を 0.01m/s 以下の単位で測定できるものとする。ウェット試験の散水手順及びフ
ェード試験の加熱手順において,試験二輪車の速度計で速度を確認する場合は,車載の速度計の誤差
を,あらかじめ±3%以内に校正する。
b)
光電管方式の速度測定装置で計測する場合は,0.001 秒以下の測定が可能な装置を用い,装置を
図 1
の P
1
及び P
2
に設置し,遮光板は必要に応じて試験二輪車の前部の適切な位置に取り付ける。試験二
輪車が
図 1 に示す制動初速度区間を通過する時間を測定して,速度を算出する。
図 1 制動初速度測定区間
c)
第三輪方式,レーダ方式などの測定装置で計測する場合は,制動操作開始直前での車速を,正確に測
定できるように,装置を直接試験二輪車に取り付けるか,又は試験路に設置する。
4.8.5
停止距離測定装置 停止距離測定装置は,次による。
a)
装置は,制動操作開始位置と停止位置の間の距離を 0.01m 以下の単位で測定できるものとする。
b)
ブレーキ試験用マーカ方式の測定装置では,制動操作を行うと同時にスタンプパッドを落下,又はス
プレを噴射させることによって,0.1 秒以内に印を付けることが可能なものとする。
スタンプパッド又はスプレノズルは,下端が路面から 150mm±20mm の高さになるように試験二輪
車に取り付ける。
測定は,
図 1 の制動操作開始点と,試験二輪車の停止点との間の直線距離を巻尺を用いて行う。
測定値は,式(1)によって補正する。
6
.
3
2
V
t
V
V
L
L
s
s
⋅
+
÷÷ø
ö
ççè
æ
=
(1)
ここに,
L
:
補正停止距離
(m)
L
s
:
測定停止距離
(m)
V
:
指定制動初速度
(km/h)
V
s
:
測定制動初速度
(km/h)
t
:
マーカ方式所要時間
(s)
(マーカ装置の操作開始から路面に印を付けるまでの所要
時間をいう。
所要時間を計測しない場合は,
0.1
秒を用いる。)
c)
第三輪方式の測定装置を用いる場合の測定値は,式(2)によって補正する。
2
÷÷ø
ö
ççè
æ
=
s
s
V
V
L
L
(2)
4.8.6
減速度測定装置 減速度測定装置は,次による。
5
D 1034 : 1999
a)
装置は,減速度を
0.01m/s
2
以下の単位で測定できるものとする。
b)
装置は,制動時のノーズダイブの影響が少ない場所に設置して,減速度波形には,路面による振動及
びエンジンによる振動ノイズを含めないよう配慮する。
c)
減速度計で測定した減速度波形の制動時間から平均飽和減速度を求める場合は,式(3)を用いる。
1
mfdd
6
.
3
t
V
a
s
⋅
=
(3)
ここに,
t
1
:
制動時間
(s)
a
mfdd
:
平均飽和減速度
(m/s
2
)
d)
減速度計で測定した減速度波形の指示値で平均飽和減速度を求める場合は,
付図 1 に示すように制動
中の減速度指示値の平均値とする。
e)
第三輪方式などで測定した制動初速度と,停止距離の補正値から平均飽和減速度を求める場合は,式
(4)
を用いる。
(
)
V
L
V
a
×
−
×
=
1
.
0
92
.
25
2
mfdd
(4)
f)
第三輪方式などで測定した制動初速度と,制動時間から平均飽和減速度を求める場合は式(3)を用いる。
g)
第三輪方式などで測定した速度波形を微分して平均飽和減速度を求める場合は,
付図 1 に示すように
減速度指示値の安定した部分の平均値とする。
4.8.7
ブレーキ温度測定装置 ブレーキ温度測定装置は,次による。
a)
装置は,赤外線温度計,接触式表面温度計又は熱電対温度計を使用し,1℃以下の単位で測定できるも
のとする。熱電対温度計を使用する場合は,
付図 4 を参照。
b)
温度はディスクブレーキの場合はディスクの摩擦表面上,又はパッド内部を,ドラムブレーキの場合
はドラムの表面上,又はブレーキライニング内部を測定する。
5.
試験方法
5.1
静的強度試験 静的強度試験は,5.1.1 及び 5.1.2 をそれぞれ 2 回行う。
5.1.1
手動式ブレーキ強度試験 手動式ブレーキ強度試験は,次による。
a)
付図 2 のように,ブレーキレバーの入力点に 400N の荷重を加える。
b)
ブレーキレバーほかブレーキ装置の異常の有無を確認するため,注意深く観察する。
5.1.2
足動式ブレーキ強度試験 足動式ブレーキ強度試験は,次による。
a)
付図 2 のように,ブレーキペダル踏面の入力点に 750N の荷重を加える。
b)
ブレーキペダルほかブレーキ装置の異常の有無を確認するため,注意深く観察する。
5.2
常温時制動試験 常温時制動試験は,次による。
a)
試験二輪車は,非積載状態及び積載状態とする。
b)
制動初速度は,試験二輪車の最高速度の 90%又は 60km/h のいずれか低い方とする。
5.3
常温時高速制動試験 常温時高速制動試験は,次による。
a)
試験二輪車は,非積載状態とする。
b)
制動操作は,前後ブレーキの同時操作で行い,車輪がロックしないでできる限り大きな減速度を得ら
れる操作とする。
c)
制動初速度は,試験二輪車の最高速度の 30%から 80%の範囲(ただし,160km/h を上限とする。
)とす
る。
6
D 1034 : 1999
d)
試験は,制動初速度での走行に適した変速位置のうち,最高段の位置に固定して原動機と走行装置は
接続した状態で行う。ただし,試験二輪車の速度が 15km/h 以下である場合は,原動機と走行装置の
接続を断ってもよい。
5.4
ウェット試験
5.4.1
基準性能試験 ウェット試験の基準性能試験は,次による。
a)
試験二輪車は,非積載状態及び積載状態とする。
b)
制動初速度は,試験二輪車の最高速度の 90%又は 60km/h のいずれか低い方とする。
c)
試験の実施は,ドライ状態で 2.5
+
0.5
m/s
2
の平均飽和減速度になるような一定の操作力で制動を行う。
5.4.2
散水手順 散水手順は,試験二輪車を制動操作開始範囲より手前 500m から,4.8.2 の散水装置によ
って水をかけながら制動操作開始範囲に進入させる。ただし,500m 区間は,試験する側のブレーキ装置
を作動させてはならない。
速度は,500m 区間及び制動操作開始範囲進入の両方とも同じとする。
5.4.3
ウェット試験 ウェット試験は,次による。
a)
試験二輪車は,非積載状態及び積載状態とする。
b)
制動初速度は,試験二輪車の最高速度の 90%又は 60km/h のいずれか低い方とする。
c)
試験の実施は,5.4.2 の手順に従ってブレーキ装置をウェット状態にして,5.4.1c)と同じ操作力で制動
を行う。
なお,ドラムブレーキ及び密閉式ディスクブレーキに関しては,4.8.2 の散水装置及び 5.4.2 の手順
に従ってブレーキ装置をウェット状態にした後,5 分間以内に分解する。
ブレーキドラムや,ブレーキパネル,ブレーキシュー及びディスクに浸水が確認されなければ,一
連のウェット試験を行う必要はない。
5.5
熱フェード試験
5.5.1
基準性能試験 熱フェード試験の基準性能試験は,次による。
a)
試験二輪車は,積載状態とする。
b)
制動初速度は,試験二輪車の最高速度の 90%,又は 60km/h のいずれか低い方とする。
c)
試験の実施は,ドライ状態で前輪単独では 4.4m/s
2
以上,後輪単独では 2.9m/s
2
以上,前後連動ブレー
キの場合は 5.1m/s
2
以上の平均飽和減速度を目安とする一定の操作力で制動する。
5.5.2
加熱手順 加熱手順は,次による。
a)
試験二輪車は,積載状態とする。
b)
制動前ブレーキ温度は,初回の制動操作に限り,100℃以下とする。
c)
試験の実施は,次の 1)∼5)を 10 回繰り返す。
1)
制動初速度は,次の値で試験を行う。
1.1)
前輪ブレーキ:最高速度の 70%又は 100km/h のいずれか低い方とする。
1.2)
後輪ブレーキ:最高速度の 70%又は 80km/h のいずれか低い方とする。
1.3)
連動ブレーキ:最高速度の 70%又は 100km/h のいずれか低い方とする。
2)
制動中の変速機の変速位置は,制動初速度での走行に適した最高段の位置に固定し,原動機と走
行装置は,接続した状態とする。ただし,二輪車の速度が制動初速度の約 50%に達したとき,ク
ラッチレバーなどを操作することによって,原動機と走行装置とを切り離す。オートマチックト
ランスミッションが付いた二輪車の場合は,原動機と走行装置を切り離す必要はない。
3)
制動は,ドライ状態で 3.0
+
0.5
m/s
2
の平均飽和減速度が得られるような一定の操作力にて実施する。
7
D 1034 : 1999
この場合,初回の制動を前記の操作力にて実施し,2 回目以降は初回の制動と同じ操作力を用いて
制動を行う。
4)
試験二輪車は,停止ごとに直ちにできる限りの大きな加速度で規定の制動初速度まで加速し,次の
制動開始までその速度を維持する。直線路面の往復にて試験を行う場合など,必要な場合は,加速
前に試験二輪車を試験路面上で方向転換のために転回させてもよい。
5)
制動間隔は,950m±50m とする。
5.5.3
高温時制動試 験高温時制動試験は,次による。
a)
試験二輪車は,積載状態とする。
b)
操作力は,5.5.1c)で得られた操作力とする。
c)
制動初速度は,試験二輪車の最高速度の 90%,又は 60km/h のいずれか低い方とする。
d)
試験の実施は,加熱手順によって 10 回目に停止した後,可能な限りの大きな加速度で試験二輪車を加
速し,10 回目の停止後 1 分以内に制動を 1 回行う。
5.6
駐車ブレーキ試験 駐車ブレーキ試験は,駐車ブレーキ装着車の場合だけ適用し,次による。
a)
試験二輪車は,積載状態とする。
b)
18%
こう配の試験路面の登坂,降坂の双方について試験を行う。
c)
試験二輪車をこう配試験路面上で通常の制動操作によって停止させた後,駐車ブレーキに手動式の場
合には 400N 以下,足動式の場合には 500N 以下の操作力を加える。
d)
ブレーキレバー又はブレーキペダルの操作力を取り除き,試験二輪車の停止状態の維持を確認する。
6.
測定項目及び確認項目 測定項目及び確認項目は,次のとおりとする。
6.1
静的強度試験(
付表 2 参照)
6.1.1
手動式ブレーキ強度試験
a)
ブレーキレバー負荷荷重の測定
b)
ブレーキレバー損傷,変形ほかブレーキ装置の異常の有無
6.1.2
足動式ブレーキ強度試験
a)
ブレーキペダル負荷荷重の測定
b)
ブレーキペダル損傷,変形ほかブレーキ装置の異常の有無
6.2
常温時制動試験(付表 3 参照)
a)
制動前ブレーキ温度の測定
b)
制動初速度の測定
c)
操作力の測定
d)
停止距離又は平均飽和減速度の測定
e)
制動時車両挙動の確認
6.3
常温時高速制動試験(付表 4 参照)
a)
制動前ブレーキ温度の測定
b)
制動初速度の測定
c)
操作力の測定
d)
停止距離又は平均飽和減速度の測定
e)
制動時車両挙動の確認
6.4
ウェット試験(付表 5 参照)
8
D 1034 : 1999
6.4.1
基準性能試験
a)
制動前ブレーキ温度の測定
b)
制動初速度の測定
c)
操作力の測定
d)
平均飽和減速度の測定
e)
制動操作開始後 0.5∼1.0 秒間の平均減速度の測定
f)
制動中の最大減速度の測定
g)
制動中の車両挙動の確認
6.4.2
ウェット試験
a)
散水流量の確認
b)
散水距離の確認
c)
制動初速度の測定
d)
操作力の測定
e)
平均飽和減速度の測定
f)
制動操作開始後 0.5∼1.0 秒間の平均減速度の測定
g)
制動中の最大減速度の測定
h)
制動中の車両挙動の確認
6.5
熱フェード試験(付表 6 参照)
6.5.1
基準性能試験
a)
制動前ブレーキ温度の測定
b)
制動初速度の測定
c)
操作力の測定
d)
平均飽和減速度の測定
e)
制動時車両挙動の確認
6.5.2
加熱手順
a)
規定の平均飽和減速度を達成できる操作力の測定
b)
制動前ブレーキ温度の確認(初回の制動操作に限る。
)
c)
平均飽和減速度の確認(初回の制動操作に限る。
)
d)
制動初速度の確認
e)
操作力の確認
f)
制動間隔の確認
6.5.3
高温時制動試験
a)
制動初速度の測定
b)
操作力の測定
c)
平均飽和減速度の測定
d)
制動時車両挙動の確認
6.6
駐車ブレーキ試験(付表 7 参照)
a)
駐車ブレーキ操作力の測定
b)
駐車ブレーキによる停止保持時間の測定
c)
駐車ブレーキによる停止保持中の車両挙動の確認
9
D 1034 : 1999
7.
試験記録 次の事項を試験結果記録表に記録する。
a)
試験条件:環境状況,積載質量,試験二輪車,測定装置(
付表 1 参照)
b)
試験結果:制動初速度,減速度,停止距離,操作力,その他の測定値
(
付表 2,付表 3,付表 4,付表 5,付表 6 及び付表 7 参照)
10
D 1034 : 1999
付表 1 試験条件
11
D 1034 : 1999
12
D 1034 : 1999
付表 2 静的強度試験結果
13
D 1034 : 1999
付表 3 常温時制動試験結果
14
D 1034 : 1999
付表 4 常温時高速制動試験結果
15
D 1034 : 1999
付表 5 ウェット試験結果
16
D 1034 : 1999
付表 6 熱フェード試験結果
17
D 1034 : 1999
付表 7 駐車ブレーキ試験結果
18
D 1034 : 1999
付図 1 平均飽和減速度及び操作力測定例
19
D 1034 : 1999
ブレーキレバー
ブレーキペダル
付図 2 ブレーキレバー/ブレーキペダルの負荷及び操作入力点
20
D 1034 : 1999
付図 3 ウェット試験の散水方法例
21
D 1034 : 1999
付図 4 熱電対装着方法例
22
D 1034 : 1999
JIS D 1034 : 1999
改正原案作成委員会 構成表
(二輪ブレーキ試験法分科会)
氏名
所属
(分科会長)
本 多 秀 男
川崎重工業株式会社汎用機事業本部 CP 事業部技術総括部
(幹事)
山 本 義 信
川崎重工業株式会社汎用機事業本部 CP 事業部技術総括部
(委員)
佐 橋 真 人
運輸省自動車交通局技術安全部技術企画課
中 谷 弘 能
芝浦工業大学工学部機械工学第二学科
岡 山 巧
財団法人日本自動車研究所第二研究部
小 島 克 巳
社団法人日本自動車部品工業会技術部
大 下 茂
ヤマハ発動機株式会社第三プロジェクト開発室
笹野井 紀 久
スズキ株式会社二輪設計部
首 藤 克 明
株式会社本田技術研究所朝霞研究所第二研究ブロック
(事務局)
吉 原 美智子
社団法人自動車技術会規格部門