D 0401 : 2000
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本自動
車部品工業会 (JAPIA) /財団法人日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正す
べきとの申し出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,
通商産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって JIS D 0401 : 1996 は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,国際連合欧州経済委員会 ECE (United Nations Economic Commission for Europe) 規則,
及び米国 FMVSS (Federal Motor Vehicle Safety Standards) の合理的と思える規定を採用し,安全技術レベル
の国際整合化を図った。
この規格は本体と附属書から成り,原則として本体を適用する。ただし,2002 年 12 月 31 日までは附属
書の規定を適用してもよい。
JIS D 0401
には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) 自動車用品−年少者保護装置(1996 年規格)
D 0401 : 2000
目次
(1)
目次
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
1
3.
定義
1
4.
区分
3
4.1
保護装置の区分
3
4.2
区分及び拘束形態
3
5.
性能
3
5.1
保護装置の耐食性
3
5.2
保護装置の耐熱性
3
5.2.1
装置本体
3
5.2.2
年少者用ベルト
3
5.3
有機資材の燃焼性
3
5.4
年少者用ベルトの性能
3
5.4.1
ウエビング
3
5.4.2
バックル
4
5.5
保護装置の動荷重性能
4
5.5.1
保護装置全般
4
5.5.2
カーベッド
4
5.5.3
後ろ向き年少者用シート
4
5.5.4
前向き年少者用シート
4
5.5.5
ブースターシート
5
6.
構造,寸法及び質量
5
6.1
一般構造
5
6.2
装置本体
6
6.2.1
形状・寸法・質量
6
6.2.2
接触面の被覆
8
6.2.3
パッド材
8
6.2.4
突起物
8
6.2.5
ロックオフデバイス
8
6.3
年少者用ベルト
8
6.3.1
ウエビング
8
6.3.2
バックル
9
6.3.3
長さ調節具
9
6.3.4
巻取装置
9
6.4
コネクタ
10
7.
試験方法
10
D 0401 : 2000
目次
(2)
7.1
パッド材の硬さ試験
10
7.2
感触試験
10
7.3
耐食性試験
10
7.4
耐熱性試験
10
7.4.1
装置本体の耐熱性試験
10
7.4.2
年少者用ベルトの耐熱性試験
10
7.5
有機資材の燃焼性試験
10
7.5.1
試料
10
7.5.2
試験方法
11
7.6
ウエビング試験
11
7.6.1
試験状態
11
7.6.2
引張強さ試験
11
7.6.3
幅試験
11
7.6.4
耐摩耗試験
11
7.7
バックル試験
11
7.7.1
試料
11
7.7.2
耐久性試験
11
7.7.3
解離力試験
11
7.8
長さ調節具試験
11
7.9
動荷重試験
13
7.9.1
試験装置
13
7.9.2
試験の準備
15
7.9.3
試験
17
7.9.4
試験の記録
18
7.10
ロックオフデバイス試験
18
7.10.1
クラス A デバイスの試験
18
7.10.2
クラス B デバイスの試験
19
7.11
巻取装置の試験
19
8.
表示
20
9.
取扱説明書
21
付図 1 後ろ向き幼児用シートの動荷重試験における状態
21
付図 2 バックルの解離力試験方法
22
付図 3 マイクロスリップ試験
22
付図 4 試験用シートのシートバックとシートクッションの寸法
23
付図 5 アルミニウム底板の寸法
24
付図 6 被覆材の寸法
24
付図 7 シートベルト
25
付図 7 シートベルト(続き)
26
付図 8 シートベルト取付け部及びシートバイトアンカレッジバーの取付け部と取付け部付近の拡大
図
27
D 0401 : 2000
目次
(3)
付図 9 動荷重試験装備
28
付図 10 台車の加速度又は減速度の許容範囲
28
1.
適用範囲
29
2.
用語の定義
29
3.
種類及び区分
30
3.1
種類
30
3.2
区分
30
3.3
種類と区分との組合せ
31
4.
性能
31
4.1
保護装置の耐食性
31
4.2
保護装置の耐熱性
31
4.2.1
装置本体
31
4.2.2
年少者用ベルト
31
4.3
有機資材の燃焼性
31
4.4
年少者用ベルトの性能
31
4.4.1
ウエビング
31
4.4.2
バックル
31
4.5
保護装置の動荷重性能
31
4.5.1
保護装置全般
31
4.5.2
乳児用ベッド
32
4.5.3
後ろ向き幼児用シート
32
4.5.4
前向き幼児用シート
32
4.5.5
学童用シート
32
5.
構造及び寸法
32
5.1
一般構造
32
5.2
装置本体
33
5.2.1
形状・寸法
33
5.2.2
接触面の被覆
34
5.2.3
パッド材
34
5.2.4
突起物
34
5.3
年少者用ベルト
34
5.3.1
ウエビング
34
5.3.2
バックル
35
5.3.3
長さ調節具
35
5.3.4
巻取装置
35
6.
試験方法
35
6.1
パッド材の硬さ試験
35
6.2
感触試験
35
6.3
耐食性試験
35
6.4
耐熱性試験
35
D 0401 : 2000
目次
(4)
6.4.1
装置本体の耐熱性試験
35
6.4.2
年少者用ベルトの耐熱性試験
35
6.5
有機資材の燃焼性試験
35
6.5.1
試料
35
6.5.2
試験方法
36
6.6
ウエビング試験
36
6.6.1
試験状態
36
6.6.2
引張強さ試験
36
6.6.3
幅試験
36
6.6.4
耐摩耗試験
36
6.7
バックル試験
36
6.7.1
試料
36
6.7.2
耐久性試験
36
6.7.3
解離力試験
36
6.8
動荷重試験
37
6.8.1
試験装置
37
6.8.2
試験の準備
37
6.8.3
試験
39
6.8.4
試験の記録
39
7.
製品の呼び方
40
8.
表示
40
9.
取扱説明書
40
付図 1 後ろ向き幼児用シートの動荷重試験における状態
41
付図 2 バックルの解離力試験方法
42
付図 3 試験用シートの形状・寸法及び材料
42
付図 4 台車の加速度又は減速度の許容範囲
43
日本工業規格
JIS
D
0401
: 2000
自動車用品−年少者保護装置
Automotive accessories
−Child restraints
1.
適用範囲 この規格は,年少者保護装置(以下,保護装置という。)の構造,性能などの要件について
規定する。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS D 0201
自動車部品−電気めっき通則
JIS D 0202
自動車部品の塗膜通則
JIS D 0204
自動車部品の高温及び低温試験方法
JIS D 1050
自動車−衝撃試験における計測
JIS D 1201
自動車,及び農林用のトラクタ・機械装置−内装材料の燃焼性試験方法
JIS D 4604
自動車部品−シートベルト
JIS K 6400
軟質ウレタンフォーム試験方法
ISO 845
Cellular plastics and rubber−Determination of apparent (bulk) density
ISO 1798
Polymeric materials, cellular flexible−Determination of tensile strength and elongation at break
ISO 1856
Polymeric materials, cellular flexible−Determination of compression set
ISO 2439
Polymeric materials, cellular flexible−Determination of hardness
ISO 3386-1
Polymeric materials, cellular flexible − Determination of stress-strain characteristic in
compression
−Part 1 : Low-density materials
ISO 13216-1
Road vehicles−Anchorages in vehicles and attachments to anchorages for child restraint
systems
−Part 1 : Seat bight anchorages and attachments
DIN 53587
Bestimmung des Pyrolyserückstandes von siliconkautschuk−Erzeugnissen
3.
定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a)
年少者保護装置 年少者を着座又は寝かせて,拘束及び/又は位置付けるために,自動車に備えられ
ているシートベルト又はシートバイトアンカレッジとの結合機能によって自動車のシート上に取り付
けて使用する装置。
b)
年少者 体重が 36kg 以下の新生児・乳児・幼児・学童など。
c)
保護者 同乗している年少者を保護する立場にある者。
d)
前向き 自動車の前進方向に対して,同方向の向き。
e)
後ろ向き 自動車の前進方向に対して,逆方向の向き。
f)
カーベッド 年少者を,連続した面上にあお向き又はうつぶせに寝かせた状態にして,拘束及び/又
2
D 0401 : 2000
は位置付けるようにする保護装置。
g)
年少者用シート 年少者を,シートベルトによって直接拘束しないもので,次に示すものによって後
ろ向き若しくは前向きに拘束及び/又は位置付けるようにする保護装置。
1)
インパクトシールド(
1
)
2)
インパクトシールドと補助シート(
2
)
との組合せ
3)
インパクトシールド及び補助シートと年少者用ベルトとの組合せ
4)
年少者用ベルトと補助シートとの組合せ
注(
1
)
正面衝突の際に年少者の前方移動を制限するために,年少者の正面に取り付けて衝撃を緩和す
るために用いる装置。
(
3
)
自動車のシート上に載せ,年少者を着座させるために用いるもので,シートクッション又はシ
ートクッションとシートバックとを備えたもの。
h)
ブースターシート 年少者を,自動車に備えられているシートベルトで直接拘束できるようにするた
めに,適切に拘束及び/又は位置付けるようにする保護装置。
i)
年少者用ベルト 保護装置の一部分で,ウエビング,バックル,長さ調節具などで構成し,年少者を
拘束するもの。
j)
補助ベルト シートベルトによって,自動車のシート上に取り付けた保護装置を,更に安定させて脱
落防止を助けるために,自動車のシートバックなどに固定するために用いるベルト。
備考 この補助ベルトだけでは,交通事故などの衝撃の際に,保護装置を確実に保持することはでき
ない。
k)
ユニバーサル[はん(汎)用型]年少者保護装置 次の 1),2)又は 3)のいずれかのものをいう。
1)
ユニバーサル[I]型年少者保護装置 シートベルトによって装置を自動車のシート上に拘束又は定
置して使用する保護装置。
2)
ユニバーサル[II]型年少者保護装置 ISO 13216-1 に定められたシートバイトアンカレッジに結合
して装置を自動車のシート上に拘束又は定置して使用する保護装置。
3)
ユニバーサル[III]型年少者保護装置 ユニバーサル[I]型年少者保護装置及びユニバーサル[II]
型年少者保護装置として使用できる保護装置。
l)
ロックオフデバイス シートベルトのウエビングをロックし,そのベルトのウエビングの 1 セクショ
ンが他のセクションに移動することを防ぐ装置。この用語には,次のクラスが含まれる。
1)
クラス A デバイス シートベルトによって子供を直接拘束する場合において,子供がラップベルト
を引っ張って,巻取装置からウエビングを引き出してしまうことを防ぐ装置。
2)
クラス B デバイス シートベルトを用いて保護装置を取り付ける場合において,巻取装置からウエ
ビングが滑り出て張力が緩み,保護装置が不適切な状態になってしまうことを防ぐために,シート
ベルトのラップベルト部にかけられた張力を保つ装置。
m)
コネクタ ユニバーサル[II]型年少者保護装置及びユニバーサル[III]型年少者保護装置の構造の
一部であって,保護装置をシートバイトアンカレッジに取り付けるために,装置本体に設ける結合用
構造部。
n)
装置本体 年少者用ベルト以外の保護装置の主体となる部分。
o)
シートクッション 保護装置の一部分で,腰部を収容するように意図された座面の部分。
p)
シートバック 保護装置の一部分で,頭部及び胴部を収容するように意図された背もたれの部分。
q)
側面サポート シートバックを備えた保護装置の一部分で,頭部の横移動を防ぐ支え。
3
D 0401 : 2000
r)
また(股)ベルト 子供のこ(股)間を通る拘束部材。
s)
ダミー 年少者に類似した人体模型。
t)
ダミーの胴部 保護装置の着座面とダミーの肩の最上部との間にある着座状態のダミーの身体部分。
ただし,ダミーの上肢及び下肢の部分は除く。
u)
接触面 保護装置にダミーを正規の状態で着座させたとき,ダミーの頭部及び胴部が接触する装置本
体の表面。
4.
区分
4.1
保護装置の区分 保護装置の区分は,適用する年少者の体重範囲によって表 1 のとおりとする。
表 1 保護装置の区分
単位 kg
区分
年少者の体重範囲
W1
10 未満
W2
9
以上 18 以下
W3 15
以上 25 以下
W4 22
以上 36 以下
4.2
区分及び拘束形態 区分 W1 は,前向き年少者用シート及びブースターシートであってはならない。
区分 W2 は,ブースターシートであってはならない。
5.
性能
5.1
保護装置の耐食性 保護装置の金属部分にめっき又は塗装を施した場合には,その有効面は,7.3 に
規定する方法によって試験したとき,JIS D 0201 の 5.4(めっきの耐食性)又は,JIS D 0202 の 3.5(耐食
性)に規定する判定基準に適合しなければならない。
5.2
保護装置の耐熱性
5.2.1
装置本体 装置本体の耐熱性は,7.4.1 に規定する方法によって試験したとき,機能及び強度を必
要とする部分には,著しい変形,損傷,べたつきなどがあってはならない。
5.2.2
年少者用ベルト 年少者用ベルトの耐熱性は,7.4.2 に規定する方法によって試験したとき,機能
及び強度を必要とする部分には,著しい湾曲,損傷などがあってはならない。
5.3
有機資材の燃焼性 保護装置を構成する有機資材は,7.5 に規定する方法によって試験したとき,次
のいずれかの基準に適合しなければならない。
a)
燃焼しない。
b)
試験片の燃焼速度の最大値は,JIS D 1201 の 8.(計算)によって求めたとき,100mm/min を超えない。
c)
試験片の燃焼が,A 標線(燃焼が試験片の自由端から 38mm の位置にある点を通り,JIS D 1201 に規
定する試験取付け具の開口端と平行な直線を示す。
)に達してから 60 秒経過する前に停止し,かつ,
A
標線に達した後の試験片の燃焼した長さが 50mm 未満とする。
5.4
年少者用ベルトの性能
5.4.1
ウエビング ウエビングは,次による。
a)
引張強さは,7.6.2 に規定する方法によって試験したとき,
表 2 のとおりとする。
4
D 0401 : 2000
表 2 ウエビングの引張強さ
単位 kN
区分
引張強さ
W1
及び W2 3.6 以上
W3 5.0
以上
W4 7.3
以上
b)
耐摩耗性は,7.6.4 に規定する方法によって試験したとき,引張強さは,試験前の値の 75%以上とする。
5.4.2
バックル バックルは,次による。
a)
耐久性は,7.7.2 に規定する方法によって試験したとき,バックルに損傷,摩耗などがあってはならな
い。
b)
解離力(バックルを解き離すのに要する力)は,次による。
1)
7.7.3
の a)に規定する方法によって試験したとき,40N 以上とする。
2)
7.9
に規定する試験中において,バックルが解離しない。
3)
7.7.3
の b)に規定する方法によって試験したとき,80N 以下とする。
5.5
保護装置の動荷重性能
5.5.1
保護装置全般 7.9 に規定する方法によって試験したとき,強度保持機能をもつ各部は破壊するこ
となく,年少者に傷害を与えるような有害なき裂,変形などを生じてはならない。
5.5.2
カーベッド 7.9 に規定する試験中において,ダミーの頭部及び胴部のいかなる部分も,カーベッ
ド内に保持されていなければならない。ただし,リバウンド時には一時的にダミーの頭部及び胴部の一部
がカーベッドから出てもよいが,静止状態となったときには,カーベッド内に保持されていなければなら
ない。
5.5.3
後ろ向き年少者用シート 7.9 に規定する試験中において,次のとおりとする。
a)
ダミーの挙動 ダミーの挙動は,次による。
1)
ダミーの頭部重心位置は,
付図 1 に規定する年少者用シートの上部挙動限界線を超えてはならない。
2)
ダミーは,装置から放出されてはならない。
b)
シートバックの最大傾斜角 シートバックの表面と鉛直面とのなす角度は,付図 1 に示すように,60°
を超えてはならない。
5.5.4
前向き年少者用シート 7.9 に規定する試験中において,次のとおりとする。
a)
ダミーの加速度 呼び質量 15kg のダミーを用いて試験したときのダミーの加速度は,次による。ただ
し,リバウンド時の加速度を除く。
1)
3
才児ダミーを使用した場合には,ダミーの頭部重心位置に三軸方向に取り付けた加速度計によっ
て測定した合成加速度は,3ms を超える間連続して 784m/s
2
を超えてはならない。かつ,ダミーの
胸部重心位置に三軸方向に取り付けた加速度計によって測定した合成加速度は,3ms を超える間連
続して 588m/s
2
を超えてはならない。
2)
3
才児マネキンを使用した場合には,ダミーの胸部重心位置に三軸方向に取り付けた加速度計によ
って測定した合成加速度は,3ms を超える間連続して 539m/s
2
を超えてはならない。かつ,腹部と
頭部間に引張力を発生させる胸部加速度の垂直成分は,3ms を超える間連続して 295m/s
2
を超えて
はならない。
b)
ダミーの挙動 ダミーの挙動は,次による。
1)
ダミーの頭部は,
付図 4 の試験用シートの Cr から,前方への水平距離 550mm を超えてはならない。
5
D 0401 : 2000
かつ,上方への垂直距離は 800mm 以下とする。
2)
ダミーのひざ(膝)部関節支点の前方への移動量は,
付図 4 の試験用シートの Cr を通る鉛直線に対
し,直角方向にはかって 700mm 以下とする。
3)
ダミーは,異常な姿勢にならず,また,装置から放出されてはならない。
5.5.5
ブースターシート 7.9 に規定する試験中において,ダミー又は装置本体がシートベルトから放出
されてはならない。
6.
構造,寸法及び質量
6.1
一般構造 保護装置の一般構造は,次による。
a)
自動車のシート上に,その自動車に付いているシートベルト又はコネクタで容易に固定及び着脱でき,
急ブレーキ,交通事故などの衝撃によって,大きく移動又は転落しない構造とする。
なお,保護装置の固定を更に安定させるための補助ベルトはあってもよい。
b)
自動車のシートバックにつり掛けたり,コネクタを除き,シートクッションとシートバックとのすき
間に,保護装置の脚部などの一部を差し込むような構造であってはならない。
c)
カーベッドは,
年少者を自動車の進行方向に対して,横向きに拘束及び/又は位置付ける構造とする。
d)
年少者を容易に保護装置内に拘束及び/又は位置付けができ,緊急時には保護者又は第三者によって
容易に救出できる構造とする。
e)
通常の使用状態で,年少者に不快感を与えないような構造とする。
f)
急ブレーキ,交通事故などの衝撃の際に,年少者を傷害から防護し,又は傷害を軽減し,かつ,同乗
者に傷害を与えるおそれが少ない構造とする。
g)
自動車のシート及びシートベルトを損傷しない構造とする。
h)
各構成部材の取付け部,連結部などは,確実に取付け又は連結されているものとする。
i)
年少者用ベルトを備え,かつ,前向きで使用される年少者用シートには,また(股)ベルトが付いて
いる構造とする。
j)
年少者用ベルトは,当該装置に着座させる幼児の周囲にぴったりフィットするように調節できる構造
とする。
k)
ユニバーサル[II]型年少者保護装置及びユニバーサル[III]型年少者保護装置は,フックによって
シートバイトアンカレッジに取り付ける方法のものを除き,当該装置がシートバイトアンカレッジに
確実に取り付いたことを示す明快な音を発する構造又は確実に取り付いたことが容易に視認できる構
造のものとする。また,コネクタにウエビング又はウエビングのような柔軟材が構成部材として使用
されているものは,当該装置を車両にしっかりと取り付けられるようコネクタは調節可能な構造とす
る。
l)
区分 W3 及び W4 の保護装置の場合は,シートバイトアンカレッジに結合して取り付ける機能をもっ
ていてもよい。ただし,年少者の質量による慣性力がシートバイトアンカレッジに負荷される構造で
あってはならない。
m)
保護装置の区分と取付け機能の組合せは,次のいずれかとする。
6
D 0401 : 2000
1)
区分 W1 及び W2
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
○
×
W2
×
×
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
×
○
W2
×
×
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
○
○
W2
×
×
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
○
×
W2
○
×
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
×
○
W2
×
○
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
○
○
W2
○
○
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
×
×
W2
○
×
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
×
×
W2
×
○
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W1
×
×
W2
○
○
2)
区分 W3 及び W4
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W3
○
○又は×
W4
×
×
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W3
○
○又は×
W4
○
○又は×
シ ー ト ベ ル ト を
用 い て 取 り 付 け
る,又はシートベ
ル ト で 直 接 年 少
者 を 拘 束 す る 機
能の有無
シ ー ト バ
イ ト ア ン
カ レ ッ ジ
に 結 合 し
て 取 り 付
け る 機 能
の有無
W3
×
×
W4
○
○又は×
備考 ○は該当機能を備える場合,×は該当機能を備えない場合を示す。
n)
ソフトコネクタは,装置本体に永久的に取り付けられていなければならない。
6.2
装置本体
6.2.1
形状・寸法・質量 装置本体の形状,寸法及び質量は,次による。
a)
シートバックがあるものは,シートバックの高さ及び年少者の頭部が接する部分(以下,頭部部分と
いう。
)の幅は,次による。
1)
シートバックの高さは,
図 1 の a)に示すように,直径 200mm の円板をシートクッション及びシー
トバックに接するように置き,円板とシートクッションとの接点からシートバックの表面にほぼ平
7
D 0401 : 2000
行な線上で測定して,
表 3 の値以上とする。
なお,円板とシートクッションとの接点が 2 か所以上ある場合には,それらの接点のうち,装置
本体の底面に最も近い接点から測定する。また,円板とシートクッションとの接点が特定できない
場合には,装置本体を平面上に置き,
図 1 の b)に示すように,半径 100mm 以上の曲面が装置本体
の底面に平行な線に接する点から測定する。
図 1 シートバックの高さ測定
表 3 シートバックの高さ
単位 mm
区分
シートバックの高さ
W1 450
W2 500
W3 550
W4 650
2)
頭部部分の幅は,
表 3 のシートバックの高さの位置で水平方向にはかり,装置本体の縦中心線から
左右にそれぞれ 100mm 以上とするか,又は年少者の頭部の横移動を防止するための側面サポート
を設ける。側面サポートの内側寸法は,装置本体の縦中心線から左右にそれぞれ 75mm 以上とし,
サポートの突出しは,被覆材表面から 100mm 以上とする。
b)
シートバックがない装置本体のシートクッションの高さは,
図 2 に示すように直径 200mm の円板を
装置本体と測定用シートとに接するように置き,円板と装置本体との接点の測定用シート座面からの
高さを測定して,
表 4 の値以下とする。
8
D 0401 : 2000
図 2 シートクッションの高さ測定
表 4 シートクッションの高さ
単位 mm
区分
シートクッションの高さ
W2 200
W3 150
W4 100
c)
シートバイトアンカレッジに慣性力として作用する保護装置の質量は,15kg 以下とする。
6.2.2
接触面の被覆 接触面は,年少者の使用に適し,かつ,柔軟な材料で適切に覆う。
6.2.3
パッド材 カーベッド及び後ろ向き年少者用シートにおいて,頭部が接触する部分の表皮と装置本
体内部の構造物表面との間にあるパッド材の硬さ及び厚さは,
表 5 による。ただし,装置本体が発泡材構
造の場合には適用しない。
なお,硬さは,7.1 に規定する方法によって測定する。
表 5 パッド材の硬さ及び厚さ
硬さ
N
厚さ
mm
110
以上 390 未満
8
以上
390
以上 2 160 以下
5
以上
6.2.4
突起物 装置本体の各部を,7.2 に規定する方法によって試験したとき,各部は内部の構造物に,
年少者に傷害を加えるおそれがあるような局部的な接触感があってはならない。
6.2.5
ロックオフデバイス ロックオフデバイスを備える場合は,次による。
a)
保護装置に永久的に取り付けられていなければならない。
b)
自動車に備えられているシートベルトの耐久性を損なってはならない。
c)
幼児の迅速な解離を妨げてはならない。
d)
クラス A デバイスは,7.10.1 の試験後,ウエビングの滑り量は,25mm 以下でなければならない。
e)
クラス B デバイスは,7.10.2 の試験後,ウエビングの滑り量は,25mm 以下でなければならない。
6.3
年少者用ベルト
6.3.1
ウエビング ウエビングは,次による。
a)
合成繊維を用い,
柔軟で強じんなたわみ性がある細幅織の帯であって,
表面は滑らかで手触りがよく,
9
D 0401 : 2000
織むら,きずなどがなく,末端にはほぐれ止めを施す。
b)
幅は,7.6.3 に規定する方法によって試験したとき,ダミーが接触する部分において,
表 6 のとおりと
する。
表 6 ウエビングの幅
単位 mm
区分
幅
W1
及び W2 25 以上
W3
及び W4 38 以上
6.3.2
バックル バックルは,次による。
a)
強度上適切な材料を用い,表面がすべて平滑で,鋭利な角及びがたつきなどがなく,体裁は優美なも
のが望ましい。
b)
各部の塗装及び表面処理は,良好で,容易に色あせ又ははく離をしてはならない。
c)
結合方法は,保護者が容易に判別できるものでなければならない。
d)
押しボタン式バックルの押しボタン部は,保護者又は第三者が容易に押圧できる形状・寸法とする。
なお,押しボタンの表面は,赤系の色とするか,又は“押す”
,
“PRESS”などの文字を分かりやす
く表示し,容易に変色又は消えないものでなければならない。
e)
大きさ及び形状は,着用者に不当な圧力を加えたり,着用者を傷付けたりするものであってはならな
い。
f)
保護者が片手で取り外しができ,かつ,緊急の場合には,保護者又は第三者が容易に外せる位置にな
ければならない。
6.3.3
長さ調節具 長さ調節具は,次による。
a)
長さ調節具は,手動によってウエビングの長さを調節し,着用者の身体にフィットさせるもので,保
護装置が正しく取り付けられ年少者又はダミーがその位置にある場合には,容易に手が届かなければ
ならない。
b)
すべての長さ調節具は片手による一回のスムースな動きで操作でき,また,年少者の体格に合わせて
容易に調節できるものでなければならない。
1)
7.8
の a)に規定する試験を行ったとき,長さ調節に必要な力は 50N 以下とし,このとき装置が破損
したり,分離してはならない。
c)
7.8
の b)に規定する試験を行ったとき,ストラップの滑り量は,一個の調節装置に付き 25mm 以下と
し,すべての調節装置については 40mm 以下とする。
d)
保護装置に直接取り付けられる長さ調節具は,反復操作に耐えることができるものとし,7.9 に規定す
る動荷重試験の前に 7.8 の c)の 3)に規定するサイクルを 5 000±5 サイクル行う。
6.3.4
巻取装置 巻取装置を備える場合には,次による。
a)
巻込力 7.11 の a)によって試験し,7.11 の c)に規定する耐久性試験後の巻込力は,耐久試験前の巻込
力の値の 50%以上とする。
b)
緊急ロック性能 JIS D 4604 の表 5(巻取装置に加わる加速度・ロック距離・ウエビングに加わる引
出し加速度・ロック距離及び非ロック角度)の分類のうち,記号の V,W,VW 及び VWe のいずれか
でなければならない。また,7.11 の b)によって試験したとき,7.11 の c)に規定する耐久性試験の前後
において,該当する記号の性能を満足しなければならない。
c)
耐久性 7.11 の c)によって試験したとき,各部に異常がなく,ウエビングを滑らかに巻き込むことが
10
D 0401 : 2000
できるものでなければならない。
6.4
コネクタ コネクタを備える場合には,図 3 の外形最大寸法を超えてはならない。
図 3 コネクタの外形最大寸法
7.
試験方法
7.1
パッド材の硬さ試験 パッド材の硬さ試験は,JIS K 6400 の 6.3(A 法)による。
7.2
感触試験 感触試験は,装置本体を固定又は剛体上に安定させ,手のひらで 294N 以上の力を表面か
ら加えて,接触感の程度について調べる。
7.3
耐食性試験 耐食性試験は,JIS D 0201 又は JIS D 0202 による。ただし,塩水噴霧時間は,24h と
する。
7.4
耐熱性試験
7.4.1
装置本体の耐熱性試験 装置本体の耐熱性試験は,JIS D 0204 の TSH4 種による。ただし,試験時
間は,24h とする。
7.4.2
年少者用ベルトの耐熱性試験 年少者用ベルトの耐熱性試験は,ウエビングを除く各部品を温度
80
±5℃,相対湿度 (95±5) %の雰囲気中に 24h 放置し,引き続き温度 80±5℃の乾燥器に移し,24h 放置
した後,これを取り出し,性能を妨げる湾曲,損傷などの有無を調べる。
なお,巻取装置がある場合には,同時に試験を行う。
7.5
有機資材の燃焼性試験
7.5.1
試料 試料は,次による。
a)
試料は,次のいずれかのとおりとする。ただし,二つ以上の異なる材料が接着又は縫合わせなどによ
って固着されている場合には,固着された状態で試料とすることができる。
1)
試料は,長さ 350mm,幅 100mm とし,厚さは資材が用いられる部品の基準肉厚寸法によって作製
する。部品の基準肉厚が 12mm を超える場合には,12mm とする。
2)
試料は,製造された部品から採取してもよい。この場合は,次の方法による。
2.1)
資材の形状によって,平滑な試料を採取することができない場合には,最も曲面の緩やかな所から
1)
の寸法の試料を採取する。
2.2) 1)
に規定する寸法の試料の採取が不可能で,かつ,作製が困難な場合には,できるだけ試料寸法に
近い寸法にする。
b)
繊維品など,燃焼範囲の広がり方に方向性があるときには,燃焼が速く進む方向と,試料の長手方向
とが一致するものとする。
11
D 0401 : 2000
c)
けばだった,又はふさふさした面をもつ試験片は,平らな面に置き,少なくとも 110mm の長さで 25mm
当たり 7∼8 の滑らかで丸い歯先がついたものを用いて,けばの反対方向に 2 回すく。
7.5.2
試験方法 有機資材の燃焼性試験は,7.5.1 による試料を JIS D 1201 の 7.(試験方法)に規定する
方法によって行う。
燃焼時間の測定は,炎が測定終了点に達したとき,又は炎が最終測定点に達する前に消えたときに完了
する。炎が測定終了点に達しない場合には,炎が消えた位置までの燃焼距離を測定する。燃焼距離を測定
する部分は,燃焼によって,その表面又は内部が損傷している変質部分とする。
7.6
ウエビング試験
7.6.1
試験状態 全幅の試料を,温度 20±2℃,相対湿度 (65±2) %で 24h 放置した後,直ちに次の 7.6.2
∼7.6.4 の試験を行う。
なお,各試料は,同一条件で製造したものを用いる。
7.6.2
引張強さ試験 引張強さ試験は,JIS D 4604 の 7.4(ウエビングの試験)の (1.1) (引張強さ試験)
による。
7.6.3
幅試験 幅試験は,試料に 20N の引張力を加え,その幅を測定する。
7.6.4
耐摩耗試験 耐摩耗試験は,JIS D 4604 の 7.4 の (2.1) (耐摩耗性試験)の 1)による。
7.7
バックル試験
7.7.1
試料 バックルの耐久性試験及び解離力試験に用いる各試料は,同一条件で製造したものとする。
7.7.2
耐久性試験 耐久性試験は,JIS D 4604 の 7.5(バックルの試験)の a)(耐久性試験)による。
7.7.3
解離力試験 解離力試験は,次による。
a)
初期解離力試験 新しいバックルを用い,引張力などの負荷がかかっていない状態で,解離用押しボ
タンの中心付近に最大解離効果を生じるような方向に力を加えて,解離するときの力を測定する。
b)
動荷重試験後の解離力試験 7.9 に規定する試験終了後,次の順序によって試験を行う。
1)
ダミーの姿勢を極力崩さないようにし,
付図 2 に示すように両上肢及び両下肢をほぼ水平にして,
ひもを付ける。
2)
付図 2 に示すように,試験用シートの縦断面にほぼ平行で,かつ,水平線と試験用シートのシート
バックの表面への垂線との間の方向にひもを引っ張り,
表 7 の引張力を加える。ただし,カーベッ
ド及び後ろ向き年少者用シートの場合には,解離力が測定できるように,保護装置を動かしてもよ
い。
表 7 引張力
試験に用いたダミーの呼び質量
kg
引張力
N
9
以下
88
9
を超え 20 以下 196
20
を超えるもの
ダミーの呼び質量に働く
重力に相当する力
3)
2)
の引張力を加えているときに,解離用押しボタンの中心付近に最大解離効果を生じるような方向
に力を加えて,解離するときの力を測定する。
7.8
長さ調節具試験
a)
調節の容易さ試験
1)
手動調節装置を試験するときは,通常の使用状態を考慮しながら毎分 100±20mm の速度で,かつ,
ストラップを最初に 25±5mm 動かした後,
ニュートンで表す数値に最も近い整数値の最大の力で,
12
D 0401 : 2000
調節装置を一定に引き出す。
2)
装置を通るストラップの両方向において試験を実施し,ストラップは測定の前に,全調節長さの往
復行程サイクルを 10 回繰り返しておく。
b)
マイクロスリップ試験(付図 3 参照)
1)
マイクロスリップ試験を行う構成部品又は装置は,試験前に温度 20±5℃,相対湿度 (65±5) %の雰
囲気内で,最低 24h 保持しておく。試験は,15∼30℃の間の温度で実施する。
2)
ストラップの自由端は,装置が車両内で使用される場合と同じ形態に配置し,他の部分に取り付け
てはならない。
3)
調節装置は,ストラップの垂直部分に置き,一方の端に 50±0.5N の荷重(荷重が揺動したり,スト
ラップがねじれたりしないようにガイドする。
)
を負荷する。
調節装置からのストラップの自由端は,
車両内にある場合と同様に上向き又は下向きで垂直になるように取り付ける。もう一方の端は,方
向転換ローラーを通さなければならない。ローラーの水平軸は荷重を支えるストラップの断面に平
行で,ローラーを通るアウトラップ断面が水平になるようにしなければならない。
4)
試験される装置は,その中心が移動できる最も高い位置で支持テーブルから 300±5mm の高さにあ
るように配置し,50N の荷重をその支持テーブルから 100±5mm の位置に加える。
5)
毎分 30±10 サイクルの予備試験を完了し,その後 1 000±5 サイクルを完了する。50N の荷重は,
各半周期に付き 100±20mm の移動に一致する時間中だけ加える。マイクロスリップは,20 サイク
ルの予備試験の終了時の位置から測定する。
c)
保護装置に直接取り付けられる長さ調節具に対するコンディショニング試験
1)
試験の準備は,次による。
1.1)
当該保護装置が意図する最も大きなダミーを置き,7.9.2 の e)の 1)及び 2)によって年少者用ベルトを
調節し,ウエビングの自由端が長さ調節具に入る位置でウエビング上に参照ラインを付ける。
1.2)
ダミーを除去し,
図 4 に示すコンディショニング装置内に保護装置を位置付ける。
1.3)
ウエビングの自由端に向けて参照ライン側のウエビング 100mm,及び参照ラインのインテグラルハ
ーネス側の移動距離の残り(約 50mm)が長さ調節具内を動くようにする。参照ラインからウエビ
ングの自由端までのウエビングの長さが上記の動きに対して不十分である場合には,長さ調節具を
通る 150mm の動きはハーネスを完全に伸ばしきった位置からとする。
2)
試験の方法は,次による。
2.1) 1)
に示す参照ラインの位置にウエビングをセットし,ウエビングの自由端を引っ張ってインテグラ
ルハーネスから 50mm 以上のウエビングを引き出す。
2.2)
インテグラルハーネスの調節部を引張装置 A に取り付ける。
2.3)
アジャスタを作動させ,150mm 以上のウエビングをインテグラルハーネス内に引き込む。これは,
1
サイクルの半分を表し,引張装置 A をウエビングの最大引き出し位置に置くものである。
2.4)
引張装置 B にウエビングの自由端をつなぐ。
3)
試験のサイクルは,次による。
3.1) A
による張力がインテグラルハーネスに加わらないようにして,B を 150mm 以上引っ張る。
3.2)
長さ調節具を作動させ,B による張力がウエビングの自由端に加わらないようにして,A を引っ張
る。
3.3)
ストロークの終わりに,長さ調節具の作動を止める。
3.4)
ウエビングは,長さ調節具内を合計距離 150mm 以上サイクリングする。
13
D 0401 : 2000
3.5)
サイクリングの頻度は,毎分 10±1 サイクルとし,引っ張り速度は B に関して毎秒 150±10mm と
する。
図 4 保護装置に取り付けられる長さ調節具のコンディショニング
7.9
動荷重試験
7.9.1
試験装置 試験装置は,台車,推進装置,試験用シート,ダミー及び測定装置から成り,次による。
a)
台車及び推進装置は,試験用シート,ダミー,シートベルト,保護装置などを支えるために十分な剛
性をもち,それらを取り付けた状態で,7.9.3 の b)に規定する台車速度及び加速度又は減速度を,繰り
返し測定できるものとする。
b)
試験用シートは,次に規定するものを用いる。
1)
付図 4 に示す試験用シートのシートバックは,堅固なリジットバックで固定されていなければなら
ない。
なお,リジットバック前面の上端部及び下端部には,10mm の丸み (R) を付ける。
2)
付図 4 に示す試験用シートのシートクッションは,堅固なリジットシーティングで固定されていな
ければならない。
なお,リジットシーティング上面の前端部及び後端部には,10mm の丸み (R) を付ける。
3)
試験用シートのシートバックとシートクッションの幅は,800mm とする。
4)
試験用シートのシートバックとシートクッションは,
表 8 のポリウレタンフォームの仕様とし,か
つ,寸法は
付図 4 による。
表 8 ポリウレタンフォームの仕様
仕様項目
規定値
備考
密度 (kg/m
3
) 43
ISO 845
に規定する試験方法による。
耐圧強度 (N)
ISO 2439
に規定する試験方法による。
p-25% 125
p-40% 155
耐圧係数 (kPa)
4
ISO 3386-1
に規定する試験方法による。
破断時の伸び (%)
180
ISO 1798
に規定する試験方法による。
破壊強度 (kPa)
100
ISO 1798
に規定する試験方法による。
圧縮永久ひずみ (%)
3
ISO 1856
に規定する試験方法による。
5)
4)
のシートは,
表 9 の仕様をもったポリアクリレート製の日除け布で被覆するものとする。
14
D 0401 : 2000
表 9 ポリアクリレート製の日除け布の仕様
仕様項目
規定値
備考
単位面積質量 (g/m
2
) 290
破壊強度 (N)
前方方向
左右方向
120
80
50mm
の試料を用いた,DIN 53587 に
規定する試験方法による。
6)
試験用シートのシートクッション及びシートバックの被覆方法は,次による。
6.1)
試験用シートのシートクッションは,
表 8 のポリウレタンフォームを素材とする角形フォームブロ
ック (800mm×575mm×135mm) から
付図 4 の形状に切り出す。
6.2)
アルミニウム底板は,台車に固定できるようにドリルで長い辺に沿って片側 3 個ずつ合計 6 か所の
あなをあけてボルト及びナットで固定する(
付図 5 参照)。
なお,ボルトは,接着剤でアルミニウム底板に接着することが望ましい。
6.3)
被覆材は,被覆後,両端が重ならないように,約 100mm のすき間ができるように 1 250mm×1 200mm
(
付図 6 参照)に裁断する。
6.4)
被覆材の中心線より 375mm 離れた位置に線を 2 本引く(
付図 6 参照)。
6.5)
被覆材の上に試験用シートのシートクッションの上面を逆にして置き,その上にアルミニウム底板
を置く。
6.6)
被覆材にマークした線がアルミニウム底板の両端に一致するまで,被覆材を伸展させる。次に,各
ボルト位置で小さな溝を設け,被覆材をボルトの上にかぶせて引き抜く。
6.7)
アルミニウム底板とフォームの溝の位置に,被覆材にスリットを入れる。
6.8)
フレキシブル接着剤を使って被覆材をアルミニウム底板に接着する。
なお,接着の前に,ナットは取り除く。
6.9)
側面のフラップ部を板の上に折り,同様に接着する。
6.10)
溝内のフラップ部は内側へ折り,強力テープを使ってテーピングする。
6.11)
フレキシブル接着剤は,少なくとも 12h 以上かけて乾燥させる。
6.12)
試験用シートのシートバックの被覆は,試験用シートのシートクッションとまったく同じ方法で
行う。ただし,被覆材は 1 250mm×850mm に裁断し,被覆材にマーキングする 2 本線は,被覆材の
中心線より 320mm の位置とする。
7)
ライン Cr は,試験用シートのシートクッションの上面と試験用シートのシートバックの前面との交
差ラインと同一とする。
8)
試験用シートは,次による。
8.1)
測定方法は,JIS D 1050 による。
8.2)
測定装置は,周波数クラス 60 の計測チャンネルの規定に適合していなければならない。b)の 8.4)
に規定するような試験装置を用いて,中心線上のクッションの前端より 150±5mm,かつ,中心線
より各方向に 150±5mm の位置で,3 回試験を行う。
8.3)
平たんで堅固な表面に試験用シートを垂直に置く。その表面に接触するまでおもりを下げ,貫入マ
ーカーを 0 位置にセットする。試験用シートを試験ポイントより上に垂直に位置付け,おもりを 500
±5mm 持ち上げ,そのシート表面に衝突するよう自由落下させる。
8.4)
おもりの先端部分は,
図 5 のとおり,追加の球形部分をもつ木製の固体半球とする。その固体半球
は,印を付けた軸に沿って自由に落下することができる構造とし,落下方向に沿って加速度を測定
15
D 0401 : 2000
するための加速度計を取り付ける突起をもつものとする。また,このおもりは,加速度計を含め 2.75
±0.05kg とする。
8.5)
記録したピーク値は,初期値の±15%とする。
図 5 おもりの先端部
c)
試験に用いるダミーは,
表 1 に規定する区分によって表 10 の呼び質量のものとする。前向き年少者用
シートで,呼び質量 15kg のダミーを使用する場合には,3 才児ダミー又は,3 才児マネキンを用いる。
表 10 ダミーの呼び質量
単位 kg
区分
ダミーの呼び質量
W1
3.4
及び 9
(必要によって 7.7 を追加する。
)
W2
9
及び 15
W3 15
及び 22
W4 22
及び 32
d)
測定装置は,台車速度の測定装置,台車の加速度又は減速度の測定装置,ダミーが受ける加速度の測
定装置,ダミー及び保護装置の挙動の測定装置から成り,次による。
1)
台車速度の測定装置は,試験に用いる台車及び推進装置に適したものとし,その測定速度の単位は,
0.5km/h
以下とする。
2)
台車の加速度又は減速度は,台車の前後方向で測定する。
なお,用いる加速度計の最大容量は 980m/s
2
以下とし,測定装置の周波数特性は,JIS D 1050 の
周波数クラス 60 に適合していなければならない。ただし,台車速度を加速度又は減速度から算出す
る場合には,周波数クラス 180 に適合していなければならない。
3)
ダミーの頭部及び胸部の重心位置において,前後,左右及び上下の三軸方向の加速度を測定し,そ
の結果から合成加速度を算出する。
なお,用いる加速度計の最大容量は,4 900m/s
2
以下とし,測定装置の周波数特性は,頭部重心位
置で測定するものでは JIS D 1050 の周波数クラス 1 000 に適合し,胸部重心位置で測定するもので
は JIS D 1050 の周波数クラス 180 に適合していなければならない。
4)
ダミー及び保護装置の挙動の測定装置は,少なくとも毎秒 500 こまで撮影ができ,挙動の解析に適
したものとする。
なお,撮影装置のレンズの光軸は,台車の進行方向に対して直角になるように合わせる。
7.9.2
試験の準備 試験の準備は,次による。
a)
減速式の台車では,台車の進行方向が実車の前方向になるようにし,加速式の台車では,台車の進行
16
D 0401 : 2000
方向が実車の後ろ方向になるようにする。
b)
試験用シートは,試験用シートの中央縦断面を台車の進行方向に平行になるように台車上に固定する。
c)
ユニバーサル[I]型年少者保護装置の試験の場合,保護装置は
付図 7 によるシートベルトを用いて,
次の方法によって試験用シート上に固定する。リクライニング装置など調節可能な機能をもつ保護装
置の場合には,後ろ向き年少者用シートでは最も倒した位置で取り付け,前向き年少者用シートでは
最も倒した位置及び最も起こした位置で取り付け,それぞれの位置で試験を行う。保護装置にロック
オフデバイスが装備されている場合は,これを使用してもよい。ただし,補助ベルトは用いない。ま
た,当該保護装置にコネクタが付いている場合には,コネクタはシートバイトアンカレッジに結合さ
せない。
なお,2 点式シートベルト専用のものは 2 点式シートベルト,3 点式シートベルト専用のものは 3
点式シートベルト,2 点式シートベルトと 3 点式シートベルト併用のものは 2 点式シートベルトと 3
点式シートベルトの両方で試験を行う。
このとき,保護装置とシートベルトの間の主要荷重支持接点は,当該保護装置を試験用シート上に
載せて測定したとき,Cr から 150mm 以上離れていなければならない。これは,すべての調節形態に
対して適用する。
1)
2
点式シートベルトで,カーベッド及び年少者用シートを取り付ける場合
1.1)
保護装置を位置付け,e)に規定するとおりダミーをセットする。
1.2)
付図 9 のポジション 1 の張力荷重が 75±5N に達するようにラップベルトを調節する。
2)
3
点式シートベルトで,カーベッド及び年少者用シートを取り付ける場合
2.1)
保護装置を位置付け,e)に規定するとおりにダミーをセットする。
2.2)
付図 9 のポジション 1 の張力荷重が 50±5N に達するようにラップベルトを調節し,ウエビングが
バックルを通過する位置に印を付ける。ウエビングをこの位置に保ちつつ,保護装置のウエビング
ロック装置でロックするか巻取装置近くでウエビングを引っ張るかのいずれかによって,
付図 9 の
ポジション 2 の張力が 50±5N に達するように,ショルダベルトを調節する。
2.3)
巻取装置のスプールからウエビングをすべて引き出し,巻取装置とピラループとの間のベルト張力
を巻取装置の張力まで落とす。スプールは,動荷重試験の前にロックする。
2.4)
ポジション 1 は,
付図 9 に示すとおりのアウトボード位置とする。
2.5)
ポジション 2 は,保護装置にロックオフデバイスが装備され,ショルダベルトに機能する場合,
付
図 9 に示すとおり保護装置の後ろのロックオフデバイスとバックルの間の都合のよい位置とする。
保護装置にロックオフデバイスが装備されていない場合,又はバックルのところに取り付けられ
ている場合には,ピラループと保護装置との間の都合のよい位置とする。
2.6)
試験用シートへの保護装置の取り付けを完了する。
2.7)
ヒンジ板又は柔軟な装置を取り除く。
3)
ブースターシートの場合には,シートベルトをシートベルト取付け部に固定し,ブースターシート
を試験用シート上に置き,e)の 3)に規定する方法によって緊縛する。
d)
ユーバサル[II]型年少者保護装置の試験の場合,試験用シート上のシートバイトアンカレッジ(
付
図 8)にシートベルトを用いずに,年少者保護装置の製造業者又は自動車の製造業者の指示する方法
によって試験用シート上に保護装置を固定する。リクライニング装置など調節可能な機能をもつ保護
装置の場合には,後ろ向き年少者用シートでは最も倒した位置で取り付け,前向き年少者用シートで
は最も倒した位置及び最も起こした位置で取り付け,それぞれの位置で試験を行う。
17
D 0401 : 2000
e)
表 10 の規定に従って適切なダミーを,次によって位置付ける。このとき,W1 区分内で複数の拘束形
態をもつ保護装置の場合は,各拘束形態の体重範囲に適合する最小及び最大のダミーを使用する。
1)
カーベッドの場合には,次による。
1.1)
ダミーは,カーベッドの中心線にできるだけ近く,水平にダミーを定置させる。
1.2)
年少者用ベルトを備えるものでは,ダミーとカーベッドの底面との間に,厚さ 25mm,幅 60mm の
ヒンジ板,又は同様の柔軟な装置を入れる。その板は,できるだけカーベッドの底面の曲線に沿っ
たものとする。次に製造業者の指定する方法によって,年少者用ベルトを調節するが,年少者用ベ
ルト長さ調節具の張力は,当該調節具の最低調節力から 250±25N(調節具が 2 個以上存在する場合
には,250±25N を調節具の個数で除した値とする。
)高い張力までとし,ストラップの曲げ角度は
45
±5°又は製造業者が指定する角度とする。
2)
年少者用シートの場合には,次による。
2.1)
ダミーの頭部の中央縦断面を保護装置の中央縦断面に一致させて,ダミーの背中が幼児用シートの
シートバックに接触するようにして着座位置に座らせる。ダミーの両上肢を可能な限り上方垂直方
向に伸ばし,両足関節を直角の状態にし,両下たい部と両大たい部とをともに可能な限り前方水平
方向に伸ばす。
2.2)
後向きの場合,動荷重試験の前に,十分な長さと幅をもつ軽量マスキングテープを使用して保護装
置の背もたれにダミーの頭部を位置付けしてもよい。
2.3)
年少者用ベルトを備えるものでは,ダミーとシートバックとの間に,厚さ 25mm,幅 60mm のヒン
ジ板又は同様の柔軟な装置を入れる。その板は,できるだけシートバックの曲線に沿ったものとす
る。次に,製造業者の指定する方法によって,年少者用ベルトを調節するが,年少者用ベルト長さ
調節具の張力は当該調節具の最低調節力より 250±25N(調節具が 2 個以上存在する場合には,250
±25N を調節具の個数で除した値とする。
)高い張力までとし,ストラップの曲げ角度は 45±5°又
は製造業者が指定する角度とする。
2.4)
ダミーの両上肢及び両下肢をダミーの中縦断面に平行に,両上肢及び両下肢の一部がともに保護装
置本体か,又は試験用シートの表面に接触するまで下方に動かす。
2.5)
ダミーの中心線を通る縦平面は,二つの下部ベルトアンカレッジのそれぞれの中点を結ぶ直線の中
点と一致させる。
3)
ブースターシートの場合には,次による。
3.1)
ダミーを保護装置内の着座位置に座らせる。ダミーの両上肢を可能な限り上方垂直方向に伸ばし,
両足関節を直角の状態にし,両下たい部と両大たい部とをともに可能な限り前方水平方向に伸ばす。
3.2)
シートベルトを装着し,ダミーの両上肢及び両下肢をダミーの中縦断面に平行に,両上肢及び両下
肢の一部がともに保護装置本体か又は試験用シートの表面に接触するまで下方に動かす。
3.3) 10
才児を代表するダミーを用いて試験するブースターシートの場合,ダミーの中心線を通過する平
面は,2 個のベルトアンカレッジを通る中点に対し,左又は右へ 75±5mm とする。また,動荷重試
験の前に十分な幅と長さの軽量マスキングテープを用いて,ショルダベルトをダミーに位置付けて
もよい。
7.9.3
試験 7.9.2 に規定する方法によって試験の準備を行った後,次に規定する条件によって試験を行
う。
a)
ユニバーサル[III]型年少者保護装置は,ユニバーサル[I]型年少者保護装置及びユニバーサル[II]
型年少者保護装置の試験を行う。
18
D 0401 : 2000
b)
台車速度及び台車の加速度又は減速度は,次による。
1)
台車速度は,50
2
0
−
km/h
とする。
2)
台車の加速度又は減速度の波形は,
付図 10 に示す斜線部内になければならない。
c)
試験中に,ダミー及び保護装置の挙動を観測し,呼び質量 15kg のダミーを使用する場合には,頭部及
び胸部の加速度を測定する。
d)
試験後,7.7.3 の b)によってバックルの解離力試験を行い,さらに,その後,保護装置の各部の破壊,
有害なき裂,変形などの発生状況を調べる。
7.9.4
試験の記録 試験の記録には,次の事項を記載する。
a)
台車の衝突速度
b)
台車の加速度又は減速度の波形,最大加速度又は最大減速度
c)
呼び質量 15kg のダミーの,頭部重心位置の三軸方向の加速度又は腹部から頭部に向かう胸部加速度の
垂直成分,胸部重心位置の三軸方向の加速度,合成加速度の波形,最大合成加速度及び最大許容値を
超えた場合の持続時間
d)
ダミーの挙動及び移動量,並びに保護装置の最大傾斜角
e)
バックルの解離力
f)
保護装置の破損,有害なき裂,変形などの有無
g)
試験装置の形式
h)
ダミーの製造業者名,形式及び実質量
7.10
ロックオフデバイス試験
7.10.1
クラス A デバイスの試験 クラス A のロックオフデバイスの試験は,次による。
a)
保護装置とその保護装置が意図する最も大きなダミーを
図 6 に示すとおりに設置する。使用するウエ
ビングは,
付図 7 による。
b)
ロックオフは完全に作用するものとし,ベルトがロックオフを始める部分に印を付ける。
c)
D
リングを介してベルトに荷重ゲージを取り付け,
区分 W2 の最も重いダミーの体重の 2 倍 (±5%) に
相当する荷重を 1 秒間加える。下の位置については A 位置におけるロックオフを用い,上の位置につ
いては B 位置におけるロックオフを用いる。
d)
さらに,荷重を 9 回加える。ベルトがロックオフを開始する部分に,さらに印を付け,二つの印の間
の距離を測定する。
e)
この試験中は,巻取装置はロックしていない状態とする。
19
D 0401 : 2000
図 6 クラス A のロックオフデバイス試験
7.10.2
クラス B デバイスの試験 クラス B のロックオフデバイスの試験は,次による。
a)
保護装置をぐらつきのないようにしっかりと固定し,製造業者の説明書に記載された取り回しに従っ
て,
付図 7 に規定するウエビングがロックオフとフレームを通過するようにする。ベルトは,図 7 に
示す試験装置を通り,5.25±0.05kg のおもりを取り付ける。おもりとフレームからウエビングが出る
点との間のウエビングの自由長は,650±40mm とする。
b)
ロックオフは,完全に作用するものとし,ベルトがロックオフを始める部分に印を付ける。
c)
おもりが 25±1mm の距離を自由に落下するよう,おもりを持ち上げ,解放する。車内での保護装置
の急な動きをシミュレートするよう,毎分 60±2 サイクルの頻度でこれを 100±2 回繰り返す。
d)
ベルトがロックオフを開始する部分に,さらに印を付け,二つの印の間の距離を測定する。
e)
ロックオフデバイスは,15kg ダミーを取り付けた状態のウエビング全幅をカバーしなければならない。
この試験は,通常の使用時同様のウエビング角度を用いて行い,
ラップベルト部の自由端は固定する。
動荷重試験で使用される試験用シートに当該保護装置をしっかり固定した状態で試験を行う。ローデ
ィングストラップをシミュレートされたバックルに取り付けてもよい。
図 7 クラス B のロックオフデバイス試験装置の配置
備考1. おもりの落下高さは,25mm とする。
2.
ローラー棒からローラーガイドまでの距離は,300mm とする。
3.
付図 7 に示すとおりのシートベルト用に規定しているウエビングを使用する。
7.11
巻取装置の試験
a)
巻込力試験 巻込力試験は,JIS D 4604 の 7.8 の(1)(巻込力の試験)に規定する方法によって,c)の
20
D 0401 : 2000
試験の前及び後で行う。
b)
緊急ロック試験 緊急ロック試験は,JIS D 4604 の 7.8 の(2)(緊急ロック試験)に規定する方法によ
って,c)の試験の前及び後で行う。ただし,ウエビングの位置は,300mm を巻き込んだ位置とする。
また,巻取装置の取付け角度は,製造業者の指定する取付け角度とする。
c)
耐久性試験 耐久性試験は,JIS D 4604 の 7.8 の(4)(耐久性試験)に規定する方法で行う。
8.
表示 保護装置には,容易に消えない方法で見やすい箇所に,他の基準などで規定されている事項以
外に,次の事項を表示する。
a)
保護装置の区分,及び年少者の体重範囲。
b)
自動車のシートへの取付け方法及びシートベルトの種類
c)
製造業者名又はその略号
d)
製造年又はその略号
e)
製造番号
f)
製造業者の取扱説明書の当該保護装置上の所在位置
g)
保護装置のシートベルトの通し位置が,前向きと後向きとで異なる場合は,その違いを色分けによっ
て明確にマーキングしなければならない。
なお,そのときに使用する色は,保護装置を前向きに取り付ける場合は赤色,後ろ向きに取り付け
る場合は青色とし,容易に変色及び消えないものとする。
h)
後向きの年少者用シートの場合,子供の頭部に近接した場所で,かつ,目視可能な位置に,
図 8 に規
定する警告ラベルを永久的に取り付けなければならない。
図 8 警告ラベル
i)
その他の必要事項
例1. 補助ベルトがある場合
この年少者用シートは,補助ベルトだけで固定しないでください。
例2. 後ろ向き年少者用シート
この年少者用シートは,エアバッグの付いたフロントシートに取り付けないこと。
21
D 0401 : 2000
9.
取扱説明書 保護装置には,他の基準などで規定されている事項以外に,次の事項を記載した取扱説
明書を添付する。
a)
危険防止方法
例1. 保護装置は,年少者を着座又は寝かせていないときでもシートベルトによって確実に固定して
おくこと。固定していない場合には,衝突時に保護装置が飛び出し,同乗者に傷害を与えるお
それがあります。
例2. このカーベッドは,年少者の頭が自動車のドア側にならないように中央部付近に取り付けてく
ださい。
例3. 後ろ向き・前向き兼用の年少者用シートの場合
展開したエアバッグと後ろ向きにしたシートとの接触によって,子供に傷害などが起こるおそ
れがあるので,後ろ向きで年少者用シートを使用する場合には,エアバッグの付いたフロント
シートに取り付けないでください。
例4. 後ろ向き年少者用シートの場合
展開したエアバッグと後ろ向きシートとの接触によって,子供に傷害などが起こるおそれがあ
るので,この年少者用シートを使用する場合には,エアバッグの付いたフロントシートに取り
付けないでください。
b)
年少者保護装置には,保護装置上に製造業者の取扱説明書を保管する場所を設けるものとする。
c)
保全の方法
d)
交換の時期
備考 図は,ユニバーサル[I]型年少者保護装置の試験を示す。ユニバーサル[II]型年少者保護装置
の場合は,シートベルトではなく,コネクタが試験用シートのシートバイトアンカレッジに固定
されている。
付図 1 後ろ向き幼児用シートの動荷重試験における状態
22
D 0401 : 2000
備考 図は,ユニバーサル[I]型年少者保護装置の試験を示す。ユニバーサル[II]型年少者保護装置の試験をする
場合は,試験用シートのシートバイトアンカレッジに固定することとし,図中のシートベルトは使用しないも
のとする。ユニバーサル[III]型年少者保護装置を試験する場合は,
付図 2 による試験及びユニバーサル[II]
型年少者保護装置による試験をそれぞれ行うこととする。
付図 2 バックルの解離力試験方法
備考 荷重の揺動及びストラップのねじれがないように,試験装置上の 50±0.5N の荷重を垂直に
ガイドする。取付け装置は,50N の荷重に対して,車両内と同じ方法で固定する。
付図 3 マイクロスリップ試験
23
D 0401 : 2000
付図 4 試験用シートのシートバックとシートクッションの寸法
24
D 0401 : 2000
アルミニウム板
厚さ:2±0.1mm
曲げ試験:15±1°
点線に沿って曲げる。
付図 5 アルミニウム底板の寸法
付図 6 被覆材の寸法
25
D 0401 : 2000
備考1. P∼A1の間の距離は,ウエビングの中心線に平行に測定して2 190±5mm とする。このとき,
巻取装置のスプールに巻かれているウエビングの長さは,150±5mm とする。
2.
巻取装置付きベルトに対するストラップ要件は,次のとおりとする。
材質:ポリエステル−幅:10 000N の荷重下で 48±2mm
−厚さ:1.0±0.2mm
−伸度:JIS D 4604 に適合しているもので,10 000N の荷重下で 8±2%
a)
ロック式巻取装置付き三点式シートベルト及び二点式シートベルト
付図 7 シートベルト
26
D 0401 : 2000
備考1. 2点式シートベルトを用いる場合は,次のとおりとする。取付け寸法は,付図8によ
る。
1.1 2
点式シートベルトのアンカレッジは,A と B に取り付ける。
2.
ロック式巻取装置付き 3 点式シートベルトを用いる場合は,次のとおりとする。取
付寸法は,
付図 8 による。
2.1
ベルトアンカレッジ A1 は,台車のアンカレッジ B0(アウトボード)に取り付ける。
2.2
ベルトアンカレッジ A2 は,台車のアンカレッジ A(インボード)に取り付ける。
2.3
ベルトピラループ P は,台車のアンカレッジ C に取り付ける。
2.4
ベルト巻取装置 F は,台車のアンカレッジ F に取り付ける。
2.5
試験用シートには,
付図 7 の a)に示すロック式巻取装置付きベルトを取り付けるこ
と。
d) P
(ピラループ)
付図 7 シートベルト(続き)
27
D 0401 : 2000
備考1. D 及び E は,シートバイトアンカレッジバーの位置を示す。
2.
シートバイトアンカレッジバーは,直径 6±0.1mm,長さ 30mm とする。
付図 8 シートベルト取付け部及びシートバイトアンカレッジバーの取付け部と取付け部付近の拡大図
28
D 0401 : 2000
付図 9 動荷重試験装備
備考 台車の加速度又は減速度の波形は,図中の斜線部内になければならない。
だだし,波形立上がりの作用時間軸上の原点は,図に示す作用時間軸の 0ms
の点に一致しなくてもよい。
付図 10 台車の加速度又は減速度の許容範囲
29
D 0401 : 2000
日本工業規格
JIS
D
0401
: 1996
附属書(規定)自動車用品−
年少者保護装置(1996 年規格)
Automotive accessories
−Child restraints
序文 この附属書の適用期限は,2002 年 12 月 31 日までとする。
1.
適用範囲 この規格は,自動車による交通事故などの際に,乗車している年少者を傷害から防護し,
又は傷害を軽減するために,自動車のシート上に取り付けて使用する年少者保護装置(
1
)
(以下,保護装置
という。
)について規定する。
注(
1
)
年少者を着座又は寝かせて,拘束及び/又は位置付けるために,自動車に備えられているシー
トベルトを用い,自動車のシート上に取り付けて使用する装置。ただし,年少者用ベルト単独
で使用するものを除く。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS D 0201
自動車部品−電気めっき通則
JIS D 0202
自動車部品の塗膜通則
JIS D 0204
自動車部品の高温及び低温試験方法
JIS D 1050
自動車の衝撃試験における計測
JIS D 1201
自動車室内有機資材の燃焼性試験方法
JIS D 4604
自動車部品−シートベルト
JIS K 6301
加硫ゴム物理試験方法
JIS K 6401
クッション用軟質ウレタンフォーム
2.
用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
(1)
年少者 体重が 36kg 以下の新生児・乳児・幼児・学童などの総称。
(2)
保護者 同乗している年少者を保護する立場にある者。
(3)
前向き 自動車の前進方向に対して,同方向の向き。
(4)
後ろ向き 自動車の前進方向に対して,逆方向の向き。
(5)
乳児用ベッド 主として乳児を,連続した面上にあお向き又はうつぶせに寝かせた状態にして,拘束
及び/又は位置付けるようにする保護装置。
(6)
幼児用シート 主として幼児を,シートベルトによって直接拘束しないもので,次に示すものによっ
て,後ろ向き若しくは前向きに拘束及び/又は位置付けるようにする保護装置。
(a)
インパクトシールド(
2
)
(b)
インパクトシールドと補助シート(
3
)
との組合せ
30
D 0401 : 2000
(c)
インパクトシールド及び補助シートと年少者用ベルトとの組合せ
(d)
年少者用ベルトと補助シートとの組合せ
注(
2
)
正面衝突の際に年少者の前方移動を制限するために,年少者の正面に取り付けて衝撃を緩和す
るために用いる装置。
(
3
)
自動車のシート上に乗せ,幼児を着座させるために用いるもので,シートクッション又はシー
トクッションとシートバックとを備えたもの。
(7)
学童用シート 主として学童を,自動車に備えられているシートベルトで直接拘束できるようにする
ために,適切に拘束及び/又は位置付けるようにする保護装置。
(8)
年少者用ベルト 保護装置の一部分で,ウエビング,バックル,長さ調節具などで構成し,年少者を
拘束するもの。
(9)
補助ベルト シートベルトによって,自動車のシート上に取り付けた保護装置を,更に安定させて脱
落防止を助けるために,自動車のシートバックなどに固定するために用いるベルト。
備考 この補助ベルトだけでは,交通事故などの衝撃の際に,保護装置を確実に保持することはでき
ない。
(10)
装置本体 年少者用ベルト以外の保護装置の主体となる部分。
(11)
シートクッション 保護装置の一部分で,腰部を収容するように意図された座面の部分。
(12)
シートバック 保護装置の一部分で,頭部及び胴部を収容するように意図された背もたれの部分。
(13)
側面サポート シートバックを備えた保護装置の一部分で,頭部の横移動を防ぐ支え。
(14)
また(股)ベルト 子供のこ(股)間を通る拘束部材。
(15)
ダミー 年少者に類似した人体模型。
(16)
ダミーの胴部 保護装置の着座面とダミーの肩の最上部との間にある着座状態のダミーの身体部分。
ただし,ダミーの上肢及び下肢の部分は除く。
(17)
接触面 保護装置にダミーを正規の状態で着座させたときに,ダミーの頭部及び胴部が接触する装置
本体の表面。
3.
種類及び区分
3.1
種類 保護装置の種類は,表 1 のとおりとする。
表 1 保護装置の種類
種類
記号
乳児用ベッド N
幼児用シート (
4
) Y
学童用シート G
注(
4
)
前向き,後ろ向き及びそれ
らの兼用がある。
3.2
区分 保護装置の区分は,適用する年少者の体重範囲によって,表 2 のとおりとする。
31
D 0401 : 2000
表 2 保護装置の区分
単位 kg
区分
年少者の体重範囲
W1 10
未満
W2 9
以上 18 以下
W3 15
以上 25 以下
W4 22
以上 36 以下
3.3
種類と区分との組合せ 保護装置は,表 1 の種類と表 2 の区分との組合せによって使用に適したも
のにする。ただし,種類 Y と区分 W1 との組合せは,後ろ向きだけとし,種類 G と区分 W1 との組合せ及
び種類 G と区分 W2 との組合せは,してはならない。
4.
性能
4.1
保護装置の耐食性 保護装置の金属部分にめっき又は塗装を施した場合には,その有効面は,6.3 に
示す方法によって試験したときに,JIS D 0201 の 5.4(めっきの耐食性)又は,JIS D 0202 の 3.5(耐食性)
に規定する判定基準に適合しなければならない。
4.2
保護装置の耐熱性
4.2.1
装置本体 装置本体の耐熱性は,6.4.1 に示す方法によって試験したときに,機能及び強度を必要
とする部分には,著しい変形,損傷,べたつきなどがあってはならない。
4.2.2
年少者用ベルト 年少者用ベルトの耐熱性は,6.4.2 に示す方法によって試験したときに,機能及
び強度を必要とする部分には,著しい湾曲,損傷などがあってはならない。
4.3
有機資材の燃焼性 保護装置を構成する有機資材は,6.5 に示す方法によって試験したときに,JIS D
1201
の 6.7(燃焼性区分)の遅燃性又は自消性に適合しなければならない。
4.4
年少者用ベルトの性能
4.4.1
ウエビング ウエビングは,次のとおりとする。
(1)
引張強さは,6.6.2 に示す方法によって試験したときに,
表 3 のとおりとする。
表 3 ウエビングの引張強さ
単位 kN
区分
引張強さ
W1
及び W2 3.6 以上
W3 5.0
以上
W4 7.3
以上
(2)
耐摩耗性は,6.6.4 に示す方法によって試験したときに,引張強さが試験前の値の 75%以上とする。
4.4.2
バックル バックルは,次のとおりとする。
(1)
耐久性は,6.7.2 に示す方法によって試験したときに,バックルに損傷,摩耗などがないこと。
(2)
解離力(バックルを解き離すのに要する力)は,次のとおりとする。
(a) 6.7.3
の(1)に示す方法によって試験したときに,40N 以上であること。
(b) 6.8
に示す試験中において,バックルが解離しないこと。
(c) 6.7.3
の(2)に示す方法によって試験したときに,80N 以下であること。
4.5
保護装置の動荷重性能
4.5.1
保護装置全般 6.8 に示す方法によって試験したときに,強度保持機能をもつ各部は破壊すること
なく,年少者に傷害を与えるような有害なき裂,変形などを生じてはならない。
32
D 0401 : 2000
4.5.2
乳児用ベッド 6.8 に示す試験中において,ダミーの頭部及び胴部のいかなる部分も,乳児用ベッ
ド内に保持されていなければならない。ただし,リバウンド時には,一時的にダミーの頭部及び胴部の一
部が乳児用ベッドから出てもよいが,静止状態となったときには,乳児用ベッド内に保持されていなけれ
ばならない。
4.5.3
後ろ向き幼児用シート 6.8 に示す試験中において,次のとおりでなければならない。
(1)
ダミーの挙動 ダミーの挙動は,次のとおりとする。
(a)
ダミーの頭部重心位置は,
付図 1 に示す幼児用シートの上部挙動限界線を越えないこと。
(b)
ダミーは,装置から放出されないこと。
(2)
シートバックの最大傾斜角 シートバックの表面と鉛直面との成す角度は,付図 1 に示すように,60
度を超えないこと。
4.5.4
前向き幼児用シート 6.8 に示す試験中において,次のとおりでなければならない。
(1)
合成加速度 呼び質量 15kg のダミーの頭部及び胸部の合成加速度は,次のとおりとする。ただし,リ
バウンド時の合成加速度を除く。
(a)
頭部合成加速度 ダミーの頭部重心位置に三軸方向に取り付けた加速度計によって測定した合成加
速度は,785m/s
2
を超えないこと。ただし,持続時間が 3ms 以下のものは除く。
(b)
胸部合成加速度 ダミーの胸部重心位置に三軸方向に取り付けた加速度計によって測定した合成加
速度は,588m/s
2
を超えないこと。ただし,持続時間が 3ms 以下のものは除く。
(2)
ダミーの挙動 ダミーの挙動は,次のとおりとする。
(a)
ダミーの頭部重心位置の前方への移動量は,
付図 3 の試験用シートの Z 点を通る鉛直線に対し,直
角方向に測って,600mm 以下のこと。
(b)
ダミーのひざ(膝)部関節支点の前方への移動量は,
付図 3 の試験用シートの Z 点を通る鉛直線に
対し,直角方向に測って,700mm 以下のこと。
(c)
ダミーは,装置から放出されないこと。
4.5.5
学童用シート 6.8 に示す試験中において,ダミー又は装置本体がシートベルトから放出されては
ならない。
5.
構造及び寸法
5.1
一般構造 保護装置の一般構造は,次のとおりとする。
(1)
自動車のシート上に,
その自動車に付いているシートベルトで容易に固定及び着脱でき,
急ブレーキ,
交通事故などの衝撃によって,大きく移動又は転落しない構造とする。
なお,保護装置の固定を更に安定させるための補助ベルトはあってもよい。
(2)
自動車のシートバックにつり掛けたり,シートクッションとシートバックとのすきまに,保護装置の
脚部などの一部を差し込むような構造であってはならない。
(3)
乳児用ベッドは,
乳児を自動車の進行方向に対して,横向きに拘束及び/又は位置付ける構造とする。
(4)
年少者を容易に保護装置内に拘束及び/又は位置付けができ,緊急時には,保護者又は第三者によっ
て容易に救出できる構造とする。
(5)
通常の使用状態で,年少者に不快感を与えないような構造とする。
(6)
急ブレーキ,交通事故などの衝撃の際に,年少者を傷害から防護し,又は傷害を軽減し,かつ,同乗
者に傷害を与えるおそれが少ない構造とする。
(7)
自動車のシート及びシートベルトを損傷しない構造とする。
33
D 0401 : 2000
(8)
各構成部材の取付部,連結部などは,確実に取付け又は連結されているものとする。
(9)
年少者用ベルトを備え,かつ,前向きで使用される幼児用シートには,またベルトが付いている構造
とする。
5.2
装置本体
5.2.1
形状・寸法 装置本体は,年少者の胴部,特に腹部などの身体の弱い部分に過度の圧迫を与えない
ように,適用する年少者に適した形状・寸法とし,次のとおりとする。
(1)
シートバックがあるものは,シートバックの高さ及び年少者の頭部が接する部分(以下,頭部部分と
いう。
)の幅は,次のとおりとする。
(a)
シートバックの高さは,
図 1(a)に示すように,直径 200mm の円板をシートクッションとシートバッ
クとに接するように置き,円板とシートクッションとの接点からシートバックの表面にほぼ平行な
線上で測定して,
表 4 の値以上とする。
なお,円板とシートクッションとの接点が 2 か所以上ある場合には,それらの接点のうち,装置
本体の底面に最も近い接点から測定する。
また,円板とシートクッションとの接点が特定できない場合には,装置本体を平面上に置き,
図
1(b)
に示すように,
半径 100mm 以上の曲面が,
装置本体の底面に平行な線に接する点から測定する。
表 4 シートバックの高さ
単位 mm
区分
シートバックの高さ
W1 450
W2 500
W3 550
W4 650
図 1 シートバックの高さ測定
(b)
頭部部分の幅は,
表 4 のシートバックの高さの位置で水平方向に測り,装置本体の縦中心線から左
右にそれぞれ 100mm 以上とするか,又は年少者の頭部の横移動を防止するための側面サポートを
34
D 0401 : 2000
設ける。側面サポートの内側寸法は,装置本体の縦中心線から左右にそれぞれ 75mm 以上とし,サ
ポートの突出しは,被覆材表面から 100mm 以上とする。
(2)
シートバックがない装置本体のシートクッションの高さは,
図 2 に示すように,直径 200mm の円板
を装置本体と測定用シートとに接するように置き,円板と装置本体との接点の測定用シート座面から
の高さを測定して,
表 5 の値以下とする。
表 5 シートクッションの高さ
単位 mm
区分
シートクッションの高さ
W2 200
W3 150
W4 100
図 2 シートクッションの高さ測定
5.2.2
接触面の被覆 接触面は,年少者の使用に適し,かつ,柔軟な材料で適切に覆う。
5.2.3
パッド材 乳児用ベッド及び後ろ向き幼児用シートにおいて,頭部が接触する部分の表皮と装置本
体内部の構造物表面との間にあるパッド材の硬さ及び厚さは,
表 6 のとおりとする。ただし,装置本体が,
発泡材構造の場合には適用しない。
なお,硬さは,6.1 に示す方法によって測定する。
表 6 パッド材の硬さ及び厚さ
硬さ
N
厚さ
mm
110
以上 390 未満
8
以上
390
以上 2 160 以下
5
以上
5.2.4
突起物 装置本体の各部を,6.2 に示す方法によって試験したときに,各部は内部の構造物に,年
少者に傷害を加えるおそれがあるような,局部的な接触感があってはならない。
5.3
年少者用ベルト
5.3.1
ウエビング ウエビングは,次のとおりとする。
(1)
合成繊維を用い,
柔軟で強じんなたわみ性がある細幅織の帯であって,
表面は滑らかで手触りがよく,
織むら,きずなどがなく,末端にはほぐれ止めを施す。
(2)
幅は,6.6.3 に示す方法によって試験したときに,ダミーが接触する部分において,
表 7 のとおりとす
る。
35
D 0401 : 2000
表 7 ウエビングの幅
単位 mm
区分
幅
W1
及び W2 25 以上
W3
及び W4 38 以上
5.3.2
バックル バックルは,次のとおりとする。
(1)
強度上適切な材料を用い,表面がすべて平滑で,鋭利な角,がたつきなどがなく,体裁が優美なこと。
(2)
各部の塗装及び表面処理は,良好で,容易に色あせ又ははく離をしないこと。
(3)
結合方法は,保護者が容易に判別できるものであること。
(4)
押ボタン式バックルの押ボタン部は,保護者又は第三者が容易に押圧できる形状・寸法とする。
なお,押ボタンの表面は,赤系の色とするか,又は“押す”
,
“PRESS”などの文字を分かりやすく
表示し,容易に変色又は消えないものとする。
(5)
大きさ及び形状は,着用者に不当な圧力を加えたり,着用者を傷つけたりすることがないこと。
(6)
保護者が片手で取外しができ,かつ,緊急の場合には,保護者又は第三者が容易に外せる位置にある
こと。
5.3.3
長さ調節具 長さ調節具は,ウエビングの長さを調節して着用者の身体に適合させるもので,容易
に調節ができる構造とし,かつ,衝撃を加えたときでも,調節位置が著しくずれない構造とする。
なお,長さ調節具は,バックル,取付具又は巻取装置と一体であってもよい。
5.3.4
巻取装置 巻取装置を備える場合には,ロック式巻取装置を用いる。
6.
試験方法
6.1
パッド材の硬さ試験 パッド材の硬さ試験は,JIS K 6401 の 5.4(硬さ試験)による。
6.2
感触試験 感触試験は,装置本体を固定又は剛体上に安定させ,手のひらで少なくとも 294N の力を
表面から加えて,接触感の程度について調べる。
6.3
耐食性試験 耐食性試験は,JIS D 0201 又は JIS D 0202 による。ただし,塩水噴霧時間は,24 時間
とする。
6.4
耐熱性試験
6.4.1
装置本体の耐熱性試験 装置本体の耐熱性試験は,JIS D 0204 の TSH4 種による。ただし,試験時
間は,24 時間とする。
6.4.2
年少者用ベルトの耐熱性試験 年少者用ベルトの耐熱性試験は,ウエビングを除く各部品を温度
80
±5℃,相対湿度 (95±5) %の雰囲気中に 24 時間放置し,引き続き温度 80±5℃の乾燥器に移し,24 時
間放置した後,これを取り出し,性能を妨げる湾曲,損傷などの有無を調べる。
なお,巻取装置がある場合には,同時に試験を行う。
6.5
有機資材の燃焼性試験
6.5.1
試料 試料は,次による。
(1)
試料は,次のいずれかのとおりとする。ただし,二つ以上の異なる材料が,接着,縫い合わせなどに
よって固着されている場合には,固着された状態で試料とすることができる。
(1.1)
試料は,長さ 350mm,幅 100mm とし,厚さは資材が用いられる部品の基準肉厚寸法によって作製
する。部品の基準肉厚が 12mm を超える場合には,12mm とする。
(1.2)
試料は,製造された部品から採取してもよい。この場合には,以下の方法に従うこと。
36
D 0401 : 2000
(a)
資材の形状によって,平滑な試料を採取することができない場合には,最も曲面の緩やかな所から
(1.1)
の寸法の試料を採取する。
(b) (1.1)
に示す寸法の試料の採取が不可能で,かつ,作製が困難な場合には,できるだけ試料寸法に近
い寸法にする。
(2)
繊維品など,燃焼範囲の拡がり方に方向性があるときには,燃焼が早く進む方向が,試料の長手方向
と一致すること。
(3)
柔毛を備えた表面をもつ資材の試料では,長さ 25mm 当たり 7∼8 枚の先を丸めた歯をもつくしで,2
回毛羽立てること。
6.5.2
試験方法 有機資材の燃焼性試験は,6.5.1 による試料を JIS D 1201 の 6.(燃焼試験方法)に示す
方法によって行う。
なお,試験は,時間の測定を開始した後 5 分間経過しても燃焼が B 標線に達しない場合には,コの字形
取付具に取り付けた状態で強制的に燃焼の進行を停止させ,その時点で試験を終了することができる。こ
の場合には,強制的な燃焼の進行停止作業を開始するまでの時間と,燃焼の進行が停止するまでに試料が
燃焼した長さとを測定する。
6.6
ウエビング試験
6.6.1
試験状態 全幅の試料を,温度 20±2℃,相対湿度 (65±2) %で 24 時間放置した後,直ちに次の
6.6.2
∼6.6.4 の試験を行う。
なお,各試料は,同一条件で製造したものを用いる。
6.6.2
引張強さ試験 引張強さ試験は,JIS D 4604 の 7.4(ウエビングの試験)の(1.1)(引張強さ試験)
による。
6.6.3
幅試験 幅試験は,試料に 20N の引張力を加え,その幅を測定する。
6.6.4
耐摩耗試験 耐摩耗試験は,JIS D 4604 の 7.4 の(2.1)(耐摩耗性試験)(a)による。
6.7
バックル試験
6.7.1
試料 バックルの耐久性試験及び解離力試験に用いる各試料は,同一条件で製造したものとする。
6.7.2
耐久性試験 耐久性試験は,JIS D 4604 の 7.5(バックルの試験)の(1)(耐久性試験)による。
6.7.3
解離力試験 解離力試験は,次のとおりとする。
(1)
初期解離力試験 新しいバックルを用い,引張力などの負荷がかかっていない状態で,解離用押ボタ
ンの中心付近に最大解離効果を生じるような方向に力を加えて,解離するときの力を測定する。
(2)
動荷重試験後の解離力試験 6.8 に規定する試験終了後,次の順序によって試験を行う。
(a)
ダミーの姿勢を極力崩さないようにし,
付図 2 に示すように両上肢及び両下肢をほぼ水平にして,
ひもを付ける。
(b)
付図 2 に示すように,試験用シートの縦断面にほぼ平行で,かつ,水平線とシートバックの表面へ
の垂線との間の方向にひもを引っ張り,
表 8 の引張力を加える。ただし,乳児用ベッド及び後ろ向
き幼児用シートの場合には,解離力が測定できるように,保護装置を動かしてもよい。
表 8 引張力
試験に用いたダミーの呼び質量
kg
引張力
N
9
以下
88
9
を超え 20 以下 196
20
を超えるもの
ダミーの呼び質量に働く
重力に相当する力
37
D 0401 : 2000
(c) (b)
の引張力を加えているときに,解離用押ボタンの中心付近に最大解離効果を生じるような方向に
力を加えて,解離するときの力を測定する。
6.8
動荷重試験
6.8.1
試験装置 試験装置は,台車,推進装置,試験用シート,ダミー及び測定装置から成り,次のとお
りとする。
(1)
台車及び推進装置は,試験用シート,ダミー,シートベルト,保護装置などを支えるために十分な剛
性をもち,それらを取り付けた状態で,6.8.3 の(1)に示す台車速度及び加速度又は減速度を,繰り返し
測定できるものとする。
(2)
試験用シートは,
付図 3 に示すものを用いる。
(3)
試験に用いるダミーは,
表 2 に示す区分によって表 9 の呼び質量のものとする。
表 9 ダミーの呼び質量
単位 kg
区分
ダミーの呼び質量
W1
7.7
又は 9
W2
9
及び 15
W3 15
及び 22
W4 22
及び 32
(4)
測定装置は,台車速度の測定装置,台車の加速度又は減速度の測定装置,ダミーが受ける加速度の測
定装置,ダミー及び保護装置の挙動の測定装置から成り,次のとおりとする。
(a)
台車速度の測定装置は,試験に用いる台車及び推進装置に適したものとし,その測定速度の単位は,
0.5km/h
以下とする。
(b)
台車の加速度又は減速度は,台車の前後方向で測定する。
なお,用いる加速度計の最大容量は,980m/s
2
以下とし,測定装置の周波数特性は,JIS D 1050 の
周波数クラス 60 に適合すること。ただし,台車速度を加速度又は減速度から算出する場合には,周
波数クラス 180 に適合すること。
(c)
ダミーの頭部及び胸部の重心位置において,前後,左右及び上下の三軸方向の加速度を測定し,そ
の結果から合成加速度を算出する。
なお,用いる加速度計の最大容量は,4 900m/s
2
以下とし,測定装置の周波数特性は,頭部重心位
置で測定するものでは JIS D 1050 の周波数クラス 1000 に適合し,胸部重心位置で測定するもので
は JIS D 1050 の周波数クラス 180 に適合すること。
(d)
ダミー及び保護装置の挙動の測定装置は,少なくとも毎秒 500 こまで撮影ができ,挙動の解析に適
したものとする。
なお,撮影装置のレンズの光軸は,台車の進行方向に対して直角になるように合わせる。
6.8.2
試験の準備 試験の準備は,次のとおりとする。
(1)
減速式の台車では,台車の進行方向が実車の前方向になるようにし,加速式の台車では,台車の進行
方向が実車の後ろ方向になるようにする。
(2)
試験用シートは,試験用シートの中央縦断面を台車の進行方向に平行になるように台車上に固定する。
(3)
保護装置は,JIS D 4604 によるシートベルトを用いて,次の方法によって試験用シート上に固定する。
ただし,緊急ロック式巻取装置付三点式シートベルト以外のシートベルトは,JIS D 4604 の 4.4(ウエ
ビング)を満足するウエビングと,そのウエビングの張力を適切に調節できる装置とを組み合わせた
38
D 0401 : 2000
ものに置き換えてもよい。
(a)
乳児用ベッド及び幼児用シートの場合には,シートベルトを試験用シートのシートベルト取付部に
固定し,新しい保護装置を試験用シート上に置き,保護装置を緊縛する。ただし,補助ベルトは用
いない。
なお,三点式シートベルト専用であるものには三点式シートベルトを用い,それ以外のものには
二点式シートベルトを用いる。ただし,巻取装置がないシートベルトとする。
また,保護装置を緊縛したシートベルトのウエビングの張力は,53∼67N とする。
また,リクライニング装置など調節可能な機能をもつ保護装置の場合には,後ろ向き幼児用シー
トでは最も倒した位置で取り付け,前向き幼児用シートでは最も倒した位置及び最も起こした位置
で取り付け,それぞれの位置で試験を行う。
(b)
学童用シートの場合には,巻取装置がない二点式シートベルト又は緊急ロック式巻取装置付三点式
シートベルトを試験用シートのシートベルト取付部に固定し,新しい学童用シートを試験用シート
上に置き,(4.4)(c)又は(d)に示す方法によって緊縛する。
(4)
表 9 に従って適切なダミーを,次によって位置付ける。
なお,ダミーには,呼び質量 7.7kg のものを除き,適切な寸法の綿の衣服を着用させる。
(4.1)
乳児用ベッドの場合には,次による。
(a)
ダミーは,あお向きに寝かせた状態で,ダミーの中央縦断面を試験用シートの中央縦断面に直角に
位置付ける。
(b)
年少者用ベルトを備えるものでは,ダミーの縦中心線から約 50mm 離れた腰部の両側部分及び両肩
部にあるウエビングとダミーとの間に,ゴム板(
5
)
を挿入し,それぞれのベルトを 78∼118N の力で
締め付ける。そのゴム板は,ダミーの両上肢及び両下肢を位置付けた後に外す。
なお,巻取装置をもった年少者用ベルトの場合には,ダミーとウエビングとの間にゴム板を挿入
した後,ゴム板を取り除き自然に巻き込ませる。
注(
5
)
ゴム板は,一辺が年少者用ベルトのウエビングの幅にほぼ等しい正方形で,厚さは,約12mm
とし,硬さは,JIS K 6301の5.2(スプリング式硬さ試験)のスプリング式硬さ試験機の A 形で
測ったときに,約50とする。ただし,学童用シートの二点式シートベルトを用いる試験の場合
には,ゴム板は,一辺が約50mm の正方形とする。
(4.2)
後ろ向き幼児用シートの場合には,通常,次による。
(a)
ダミーを平たい台上にあお向きに寝かし,ダミーの胴部中央付近を手で押さえ,ダミーの胴部を動
かないようにして,ダミーの両下肢部を上方に動かし,両大たい(腿)部を上胴部に,両足部を頭
部に接触させた後,ゆっくりと両下肢部から手を離して,元のあお向きの寝姿に戻す。
(b)
ダミーの背を幼児用シートのシートバックに接触するようにして,ダミーを位置付ける。
なお,年少者用ベルトを備えるものでは,(4.1)(b)によって調節する。
また,ダミーの頭部が適切な位置にこないときには,ダミーの顔面と幼児用シートのシートバッ
クとを紙製粘着テープで止め,ダミー頭部を適切な位置に調節する。
(c)
ダミーの両上肢を可能な限り上方垂直方向に伸ばし,次の両上肢の一部が共に装置本体又は試験用
シートの表面に接触するまで、下方に動かす。
(4.3)
前向き幼児用シートの場合には,次による。
(a)
ダミーの頭部の中央縦断面を,装置本体の中央縦断面に一致させて,ダミーを装置本体内の着座位
置に座らせる。
39
D 0401 : 2000
(b)
ダミーの両上肢を可能な限り上方垂直方向に伸ばし,次に両足関節を直角の状態にし,両下たい部
と両大たい部とを共に可能な限り前方水平方向に伸ばす。
(c)
装置本体の着座面からダミーを少し浮かした状態とし,100cm
2
の面積をもつ正方形の平板を下腹部
に当て,試験用シートのシートバックの表面にできるだけ直角方向に,その平板に 177N の力を加
えた後,その力を取り除き,ダミーの姿勢を極力崩さないように装置本体の着座面に自然に下ろし
て座らせ,その平板を胸部の中央部に当て,同じ方向から同じ力を加える。
(d)
年少者用ベルトを備えるものでは,(4.1)(b)によって調節する。
(e)
ダミーの両上肢及び両下肢をダミーの中央縦断面に平行に,両上肢及び両下肢の一部が共に装置本
体か,又は試験用シートの表面に接触するまで,下方に動かす。
(4.4)
学童用シートの場合には,次による。
(a)
ダミーの頭部の中央縦断面を,装置本体の中央縦断面に一致させて,ダミーを装置本体内の着座位
置に座らせる。
(b)
ダミーの両上肢を可能な限り上方垂直方向に伸ばし,次に両足関節を直角の状態にし,両下たい部
と両大たい部とを共に可能な限り前方水平方向に伸ばす。
(c)
緊急ロック式巻取装置付三点式シートベルトを用いる試験で,シートバックがない場合には,試験
用シートのシートバックとダミーの背部との間に,シートバックをもつ場合には,シートバックと
ダミーの背部との間に,厚さ 25mm,幅 100mm,長さ 300mm の平板を挿入した後,装置本体の着
座面からダミーを少し浮かした状態とし,100cm
2
の面積をもつ正方形の平板を下腹部に当て,試験
用シートのシートバックの表面にできるだけ直角方向に,その平板に 177N の力を加えた後,その
力を取り除き,ダミーの姿勢を極力崩さないように装置本体の着座面に自然に下ろして座らせ,そ
の平板を胸部の中央部に当て,同じ方向から同じ力を加える。この後,シートベルトを着用させ,
(4.4)(e)
によってダミーの両上肢及び両下肢を位置付けた後,ダミーの背部の平板を外す。
(d)
二点式シートベルトを用いる試験の場合には,ダミーを装置本体の着座面から少し浮かした状態と
し,100cm
2
の面積をもつ正方形の平板を下腹部に当て,試験用シートのシートバックの表面にでき
るだけ直角方向に,その平板に 177N の力を加えた後,その力を取り除き,ダミーの姿勢を極力崩
さないように装置本体の着座面に自然に下ろして座らせ,その平板を胸部の中央部に当て,同じ方
向から同じ力を加える。この後,シートベルトを着用させ,ダミーの縦中心線から約 50mm 離れた
腰部の両側部分にあるウエビングとダミーとの間にゴム板を挿入し,ベルトを 53∼67N の張力で締
め付けて,(4.4)(e)によってダミーの両上肢及び両下肢を位置付けた後,ゴム板を外す。
(e)
ダミーの両上肢及び両下肢をダミーの中央縦断面に平行に,両上肢及び両下肢の一部が共に装置本
体又は試験用シートの表面に接触するまで,下方に動かす。
6.8.3
試験 6.8.2 に示す方法によって試験の準備を行った後,次に示す条件によって試験を行う。
(1)
台車速度及び台車の加速度又は減速度は,次による。
(a)
台車速度は,50
2
0
−
km/h
とする。
(b)
台車の加速度又は減速度の波形は,
付図 4 に示す斜線部内にあること。
(2)
試験中に,ダミー及び保護装置の挙動を観測し,呼び質量 15kg のダミーを使用する場合には,頭部及
び胸部の加速度を測定する。
(3)
試験後,6.7.3 の(2)によってバックルの解離力試験を行い,さらに,その後保護装置の各部の破壊,有
害なき裂,変形などの発生状況を調べる。
6.8.4
試験の記録 試験の記録には,次の事項を記載する。
40
D 0401 : 2000
(1)
台車の衝突速度
(2)
台車の加速度又は減速度の波形,最大加速度又は最大減速度
(3)
呼び質量 15kg のダミーの頭部及び胸部重心位置の三軸方向の加速度,並びに合成加速度の波形,最大
合成加速度,最大許容値を超えた場合の持続時間
(4)
ダミーの挙動及び移動量,並びに保護装置の最大傾斜角
(5)
バックルの解離力
(6)
保護装置の破損,有害なき裂,変形などの有無
(7)
シートベルトの種類
(8)
試験装置の形式
(9)
ダミーの製造業者名,形式及び実質量
7.
製品の呼び方 保護装置の呼び方は,種類及び区分,又は種類の記号及び区分による。
例1. 幼児用シート W2 又はY−W2
例2. 学童用シート W3・W4 又は G−W3・W4
8.
表示 保護装置には,容易に消えない方法で見やすい箇所に,次の事項を表示する。
(1)
種類(又は種類の記号)及び区分
(2)
適用される年少者の体重
(3)
自動車のシートへの取付方法及びシートベルトの種類
(4)
製造業者名又はその略号
(5)
製造年又はその略号
(6)
製造番号
(7)
その他の必要事項
例1. 補助ベルトがある場合
この幼児用シートは,補助ベルトだけで固定しないでください。
例2. 後ろ向き/前向き幼児用シートの場合
後ろ向きで使用する場合には,エアバッグが装備されていない席に載せて下さい。
例3. 後ろ向き幼児用シートの場合
この幼児用シートは,エアバッグが装備されていない席に載せて下さい。
9.
取扱説明書 保護装置には,次の事項を記載した取扱説明書を添付する。
(1)
取付可能な,車種,シートの形状,又はシートベルトの種類
(2)
使用目的及び方法
(3)
緊急の場合の処理
(4)
危険防止方法
例1. 保護装置は,年少者を着座又は寝かせていないときでもシートベルトによって確実に固定して
おくこと。固定していない場合には,衝突時に保護装置が飛び出し,同乗者に傷害を与えるお
それがあります。
例2. この乳児用ベッドは,乳児の頭が自動車のドア側にならないように中央部付近に置いてくださ
い。
41
D 0401 : 2000
例3. 後ろ向き・前向き兼用の幼児用シートの場合
展開したエアバッグと後ろ向きにしたシートとの接触によって,子供に傷害などが起こるお
それがあるので,後ろ向きで幼児用シートを使用する場合には,エアバッグの装備されてい
ない席でご使用ください。
例4. 後ろ向き幼児用シートの場合
展開したエアバッグと後ろ向きシートの接触によって,子供に傷害などが起こるおそれがあ
るので,この幼児用シートを使用する場合には,エアバッグの装備されていない席でご使用
ください。
(5)
保全の方法
(6)
交換の事項(衝撃を受けたときのシートベルト及び保護装置の処理など)
付図 1 後ろ向き幼児用シートの動荷重試験における状態
42
D 0401 : 2000
付図 2 バックルの解離力試験方法
付図 3 試験用シートの形状・寸法及び材料
備考1. ○印は,シートベルト取付部の位置を示す。
2.
ヘッドレストレイントを取り付けてもよい。
3.
ダミーの頭部重心位置とヘッドレストレイントの中心位置とを,ほぼ合わせるようにヘッドレストレイント
の位置を定める。
4.
軟質ウレタンは,密度が 35∼45kg/m
3
[JIS K 6401 の 5.3(見掛け密度試験)による。
]のものを使用する。
43
D 0401 : 2000
付図 4 台車の加速度又は減速度の許容範囲
備考 台車の加速度又は減速度の波形は,図中の斜線部内になければならない。ただし,波形立上がりの作
用時間軸上の原点は,図に示す作用時間軸の 0ms の点に一致しなくてもよい。
自動車・航空部会自動車専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
佐 藤 武
慶応義塾大学名誉教授
石 丸 典 生
社団法人日本自動車部品工業会
大 山 尚 武
工業技術院機械技術研究所
澤 田 勉
社団法人自動車技術会
荒 井 正 吾
運輸省自動車交通局
穐 山 貞 治
工業技術院標準部
射 場 祥 夫
財団法人日本自動車研究所
瀬 尾 宏 介
国民生活センター
山 本 辿
早稲田大学
日下部 明 昭
社団法人日本自動車連盟
森 部 幸 男
社団法人日本自動車整備振興会連合会
樋 口 世喜夫
日産自動車株式会社
古 谷 國 貴
株式会社本田技術研究所栃木研究所
森 守
トヨタ自動車株式会社
大 道 正 道
通商産業省機械情報産業局
小 林 栄
日本自動車輸入組合
下 田 邦 夫
社団法人全日本トラック協会
佐々木 要 助
株式会社曙ブレーキ中央技術研究所
(事務局)
池 川 澄 夫
工業技術院標準部標準業務課産業基盤標準化推進室