D 0117-2:2005 (ISO 11841-2:2000)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本自動車部品工業会(JAPIA)/財
団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 11841-2,Road vehicles and internal
combustion engines−Filter vocabulary−Part 2: Definitions of characteristics of filters and their componentsを基礎
として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS D 0117の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS D 0117-1 第1部:フィルタ及びフィルタ構成部品の定義
JIS D 0117-2 第2部:フィルタ及びフィルタ構成部品の特性の定義
D 0117-2:2005 (ISO 11841-2:2000)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. フィルタ及びフィルタ構成部品の特性の分類 ········································································ 2
4. フィルタ及びフィルタ構成部品特性の定義 ··········································································· 3
4.1 大きさによる分類 ·········································································································· 3
4.2 温度による分類 ············································································································· 3
4.3 圧力による分類 ············································································································· 3
4.4 流れ又は流体による分類 ································································································· 4
4.5 ろ過による分類 ············································································································· 4
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
D 0117-2:2005
(ISO 11841-2:2000)
自動車及び内燃機関−フィルタ用語−
第2部:フィルタ及びフィルタ構成部品の特性の定義
Road vehicles and internal combustion engines−Filter vocabulary−
Part 2: Definitions of characteristics of filters and their components
序文 この規格は,2000年に第1版として発行されたISO 11841-2,Road vehicles and internal combustion
engines−Filter vocabulary−Part 2: Definitions of characteristics of filters and their componentsを翻訳し,技術的
内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,自動車及び一般内燃機関用(船舶用,定置機関用など)に使用されるフィル
タ及びその構成部品の特性に対する用語について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 11841-2:2000,Road vehicles and internal combustion engines−Filter vocabulary−Part 2:
Definitions of characteristics of filters and their components (IDT)
参考 対応英語は,対応国際規格で定められた英語を示す。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 8356-2 油圧用フィルタ性能評価方法−第2部:フィルタエレメントの組立完全性試験及びファ
ーストバブルポイントの測定
備考 ISO 2942:1994 Hydraulic fluid power−Filter elements−Verification of fabrication integrity and
determination of the first bubble pointが,この規格と一致している。
JIS B 8356-3 油圧用フィルタ性能評価方法−第3部:フィルタエレメントのつぶれ又は破裂試験
備考 ISO 2941:1974 Hydraulic fluid power−Filter elements−Verification of collapse/burst resistanceが,
この規格と一致している。
JIS B 8356-6 油圧用フィルタ性能評価方法−第6部:フィルタエレメントの流れ疲労特性試験
備考 ISO 3724:1976 Hydraulic fluid power−Filter elements−Verification of flow fatigue characteristics
が,この規格と一致している。
JIS B 8356-8 油圧用フィルタ性能評価方法−第8部:フィルタエレメントのろ過性能試験(マルチパ
ステスト法)
備考 ISO 4572:1981 Hydraulic fluid power−Filters−Multi-pass method for evaluating filtration
2
D 0117-2:2005 (ISO 11841-2:2000)
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Performanceが,この規格と一致している。
JIS D 1612 自動車用エアクリーナ試験方法
備考 ISO 5011:1988 Inlet air cleaning equipment for internal combustion engines and compressors−
Performance testingからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
3. フィルタ及びフィルタ構成部品の特性の分類 フィルタ及びフィルタ構成部品の特性は,次の5区分
に分類し,図1による。
a) 大きさ
b) 温度
c) 圧力
d) 流れ又は流体
e) ろ過
特性
図 1 フィルタ及びフィルタ構成部品の特性の分類
a) 大きさ
(4.1参照)
−ろ過面積(4.1.1)
−全ろ過面積(4.1.2)
−ろ過体積(4.1.3)
b) 温度
(4.2参照)
c) 圧力
(4.3参照)
d) 流れ又は流体
(4.4参照)
−流れ方向(4.4.1)
−体積流量(4.4.2)
−質量流量(4.4.3)
−動粘度範囲(4.4.4)
−対流体適合性(4.4.5)
−流れ疲労特性(4.4.6)
e) ろ過
(4.5参照)
−気孔径(4.5.1)
−平均流量気孔径(4.5.2)
−瞬間ろ過効率(4.5.3)
−部分ろ過効率(4.5.3.1)
−累積ろ過効率(4.5.4)
−βx値(4.5.5)
−フィルタ寿命(4.5.6)
−コンタミナント捕そく
(捉)容量,
ダスト保持量(4.5.7)
−見掛容量,α値(4.5.8)
−呼び圧力(4.3.1)
−動作圧力範囲(4.3.2)
−試験圧力(4.3.3)
−開弁圧力(4.3.4)
−閉弁圧力(4.3.5)
−抵抗(4.3.6)
−圧力低下(4.3.7)
−差圧(4.3.8)
−初期差圧(4.3.8.1)
−終期差圧(4.3.8.2)
−圧力損失(4.3.9)
−破壊圧力(4.3.10)
−エレメント破損圧力(4.3.11)
−動作温度範囲(4.2.1)
3
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4. フィルタ及びフィルタ構成部品特性の定義
4.1
大きさによる分類
番号
用語
定義
単位
参考
慣用語
対応英語
4.1.1
ろ過面積
フィルタエレメントの有効面積。
備考 支持,接合面など,ろ過において有効
でない部分の面積を除いた全面積。
cm2,m2 有効ろ過
面積
filtering area
4.1.2
全ろ過面積
支持,接合面など,ろ過において有効でない
部分の面積を含めたフィルタエレメントの全
面積。
cm2,m2
total filter area
4.1.3
ろ過体積
ろ過材の有効体積。ろ過面積とろ過材料の厚
さとの積で表す。
cm3
filtering volume
4.2
温度による分類
番号
用語
定義
単位
参考
慣用語
対応英語
4.2.1
動作温度範囲
フィルタ又はフィルタエレメントの,動作温
度の許容範囲。
備考 動作温度は,流体及び環境によって決
定される。
℃
operating
temperature
range
4.3
圧力による分類
番号
用語
定義
単位
参考
慣用語
対応英語
4.3.1
呼び圧力
フィルタの設計の基準となり,かつ,呼称又
は認定の基礎となる圧力。
備考 最高許容動作する圧力の,最高許容値
に関係している。計算圧力以下となる。
Pa
nominal pressure
4.3.2
動作圧力範囲
動作する最高圧力と動作する最低圧力との間
の範囲。
Pa
operating
pressure range
4.3.3
試験圧力
フィルタ又はフィルタ構成部品を,規定条件
下で試験を行う圧力。
備考 フィルタ又はフィルタ構成部品は,試
験圧力において永久変形,破損又は誤
動作が生じてはならない。
Pa
test pressure
4.3.4
開弁圧力
バイパス弁が開くときの圧力(弁前後の圧力
差)。与えられた流体粘度での体積流量で定ま
る。
Pa
opening pressure
4.3.5
閉弁圧力
バイパス弁が閉じるときの圧力(弁前後の圧
力差)。与えられた流体粘度での体積流量で定
まる。
Pa
closing pressure
4.3.6
抵抗
ろ過された流体の流れに対する,フィルタ抵
抗。
備考 抵抗は,圧力差及び圧力損失に起因す
る。大気吸込みフィルタの場合には,
抵抗は,大気との圧力差と同じになる。
Pa
restriction
4.3.7
圧力低下
高い圧力から低い圧力への時間的変化。
備考 “pressure drop”は,圧力差を意味する
こともある。したがって,この英語を
使用する場合には,注意を要する。
Pa
pressure drop
4
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番号
用語
定義
単位
参考
慣用語
対応英語
4.3.8
差圧
フィルタの上流と下流との静圧の差。
備考 圧力測定点は,試験仕様に従って設定
する。
Pa
differential
pressure
4.3.8.1
初期差圧
新品で汚れのないフィルタ又はフィルタエレ
メントの差圧。
Pa
initial differential
pressure
4.3.8.2
終期差圧
ある一定の試用期間又は試験期間の後の,フ
ィルタ又はフィルタエレメントの差圧。
備考 許容限度は,運転スイッチなどのシス
テムの必要条件について定める。
Pa
final differential
pressure
4.3.9
圧力損失
フィルタ又はフィルタエレメントに起因する
フローエネルギー(速度水頭)が,失われる
ことによる圧力減少。JIS D 1612の附属書に
従って決定する。
Pa
pressure loss
4.3.10
破壊圧力
フィルタが破壊するときの内部圧力。
Pa
burst pressure
4.3.11
エレメント破
損圧力
フィルタエレメントが外圧又は内圧によっ
て,その正常な機能が影響を受ける程度に破
損を受ける圧力差。
備考 試験方法として,JIS B 8356-3がある。
Pa
エレメン
トつぶ
れ圧力
collapse pressure
4.4
流れ又は流体による分類
番号
用語
定義
単位
参考
慣用語
対応英語
4.4.1
流れ方向
流体が,フィルタ又はフィルタエレメントを
通過する方向。
備考 通常は,矢印で表示する。
−
direction of flow
flux direction
4.4.2
体積流量
単位時間にフィルタを通過する流体の体積。
備考 圧縮性流体の場合には,そのときの基
準条件を明記する。
L/min,
m3/min
volume flow
4.4.3
質量流量
単位時間にフィルタを通過する流体の質量。
kg/min
mass flow
4.4.4
動粘度範囲
フィルタ又はフィルタエレメントを,使用で
きる動粘度の許容範囲。
mm2/sec
kinematic
viscosity range
4.4.5
対流体適合性
流体に対する,ろ過材又はフィルタエレメン
トの適合性。
−
media
compatibility
4.4.6
流れ疲労特性
フィルタエレメントが,流量,温度及び圧力
条件の変化によって生じる構造破損に耐える
能力。
備考 試験方法として,JIS B 8356-6がある。
−
flow-fatigue
characteristics
4.5
ろ過による分類
番号
用語
定義
単位
参考
慣用語
対応英語
4.5.1
気孔径
JIS B 8356-2に従って決定する,ろ過材の気
孔の孔径。
備考 気孔径が,ろ過材のろ過効率又は部分
ろ過効率を決定するものではない。
μm
ポアサイ
ズ
pore size
4.5.2
平均流量気孔
径
空気流量の50 %がそれより小さい気孔を通
過し,50 %がそれより大きい気孔を通過する
気孔の孔径。
μm
mean flow pore
size
5
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番号
用語
定義
単位
参考
慣用語
対応英語
4.5.3
瞬間ろ過効率
ある一定時間保持した試験用コンタミナント
と添加した試験用コンタミナントとの比。次
の式によって計算する。
ここに,η:瞬間ろ過効率(%)
d1:フィルタ入口での試験用コン
タミナントの濃度
d2:フィルタ出口での試験用コン
タミナントの濃度
備考 ある一定の試験時間に規定された試験
条件における,フィルタ又はフィルタ
エレメントの有効性の尺度である。通
常,試験用コンタミナントは,規定さ
れたダストであり,有機物も含まれて
いる。燃料フィルタ試験の場合には,
水に対するろ過効率も測定する。
%
instantaneous
filtration
efficiency
4.5.3.1
部分ろ過効率
特定の粒径に対するろ過効率。
備考 部分ろ過効率は,制限粒度帯を使用す
る質量法,又は広い粒径範囲について
分級による粒子計数法のいずれかによ
って求める。
%
fractional
filtration
efficiency
4.5.4
累積ろ過効率
試験終了までの全ろ過効率。次の式によって
計算する。
ここに,η:累積ろ過効率(%)
M1:フィルタによって保持される
ダストの質量
M0:試験の開始からシステム内に
投入されるダストの質量
備考 規定された試験条件における,フィル
タ又はフィルタエレメントの有効性の
尺度である。通常は,試験用コンタミ
ナントは規定されたダストであり,有
機物を加えてある場合もある。燃料フ
ィルタ試験の場合には,水に対するろ
過効率も測定する。
%
ろ過効率
cumulative
filtration
efficiency
100
)
(
1
2
1
×
−
=
d
d
d
η
100
0
1×
=M
M
η
6
D 0117-2:2005 (ISO 11841-2:2000)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
単位
参考
慣用語
対応英語
4.5.5
βx値
x(μm)よりも大きい粒子に対して,フィル
タ出口での粒子数とフィルタ入口での粒子数
との比。
ここに,N1:フィルタ入口でのx(μm)よ
り大きい粒子の数
N2:フィルタ出口でのx(μm)よ
り大きい粒子の数
備考 規定された試験条件における,フィル
タ又はフィルタエレメントの有効性の
尺度である。βx値は,JIS B 8356-8に
従うマルチパス試験の結果の一つであ
る。
−
βx-value
4.5.6
フィルタ寿命
点検若しくは交換までの,又は規定終了差圧
までの,フィルタ又はフィルタエレメントの
使用時間。
備考 通常は,点検又は交換間隔は,自動車
又はエンジンのメンテナンスマニュア
ルに定められている。
参考 自動車の場合には,走行距離(km)で
示すことがある。
h
filter life
4.5.7
コンタミナン
ト捕そく
(捉)容量,
ダスト保持量
規定された終期差圧などの試験終了条件で
の,フィルタ又はフィルタエレメントによっ
て保持されるコンタミナント又はダストの質
量。
g
CHC,
DHC
contaminant
capacity,
dust capacity
4.5.8
見掛容量,
α値
フィルタ寿命に達するまで,試験中にフィル
タに加えられるコンタミナント質量。
備考 α値は,JIS B 8356-8に従うマルチパ
ス試験の結果の一つである。
g
apparent
capacity,
α-value
関連規格 JIS D 1611-1 自動車部品−内燃機関用オイルフィルタ−第1部:一般試験方法
備考 ISO 4548-1:1997,-2:1997,-3:1997,-5:1990,-6:1985,-7:1990,-9:1995,Methods
of test for full-flow lubricating oil filters for internal combustion engines−Part 1,2,3,5,6,
7&9は,この規格の該当事項と同等である。
JIS D 1611-2 自動車部品−内燃機関用オイルフィルタ−第2部:全流式オイルフィルタの粒子
カウント法によるろ過効率試験方法及びコンタミナント捕そく(捉)容量試験方法
備考 ISO 4548-12:2000,Methods of test for full-flow lubricating oil filters for internal combustion
engines−Part 12が,この規格と一致している。
2
1
N
N
x=
β