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C 9913:2008  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 適合条件························································································································· 1 

3 引用規格························································································································· 2 

4 用語及び定義 ··················································································································· 2 

5 記号及び略語 ··················································································································· 4 

6 試験方法のフローチャート ································································································· 4 

7 チャンバーに対する要求事項 ······························································································ 6 

7.1 構成材料 ······················································································································ 6 

7.2 気密性 ························································································································· 6 

7.3 空気混合効率 ················································································································ 6 

8 試験方法························································································································· 6 

8.1 原理 ···························································································································· 6 

8.2 試薬・その他の物質・材料 ······························································································ 6 

8.3 装置 ···························································································································· 6 

8.4 試験条件 ······················································································································ 6 

8.5 手順 ···························································································································· 7 

8.6 試験結果の表し方 ·········································································································· 8 

9 試験報告書 ······················································································································ 9 

附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 10 

C9913:2008   

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C9913:2008 

電子機器からの揮発性有機化合物(VOC)及び 

カルボニル化合物放散測定方法−チャンバー法 

Measuring method of volatile organic compounds and carbonyl compounds 

emissions for electronic equipment-Chamber method 

序文 

この規格は,2007年に第1版として発行されたISO/IEC 28360を基に,その訂正であるTechnical 

Corrigendum 1 (2008)を反映し作成した日本工業規格であるが,消耗品(トナー,インク,紙及びインクリ

ボン)を利用する機器については,JIS X 6936が制定されているため,それらの機器に関連する事項を除

くなど,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,稼働中の電子機器から放散されるホルムアルデヒドなどのカルボニル化合物及び揮発性有

機化合物の放散速度を,放散試験チャンバー(以下,“チャンバー”という。)を用いて測定する方法につ

いて規定する。この規格は,準備,チャンバー内空気捕集及び分析並びに放散速度の計算及び報告から構

成されている。 

この規格では,電子計算機及び関連装置(例えば,パーソナルコンピュータ,表示装置,補助記憶装置),

音声機器(例えば,ステレオセット,デジタルオーディオディスクプレーヤ),映像機器(例えば,テレビ

受像器,ビデオディスク録画再生機,ビデオカメラ)などの機器を対象とし,プリンタ,複写機などの消

耗品を利用するものは,この規格の対象機器としない。 

この規格によって測定される放散速度は,例えば,同一製品群における機種間の比較に供することがで

きる。放散速度から,特定条件下における室内空気中の化学物質濃度を推算することは可能ではあるが,

この規格はそれを目的としない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を示す記号を,次に示す。 

ISO/IEC 28360:2007,Information technology−Office equipment−Determination of chemical 

emission rates from electronic equipment及びTechnical Corrigendum 1:2008(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを

示す。 

適合条件 

放散速度の測定がこの規格に適合する条件は,次による。 

a) ISO 16000-9に規定する品質保証計画,品質保証及び品質管理を用いる。 

C9913:2008   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 箇条7及び8.4の規定に基づき制御されたチャンバーを用いて試験を行う。 

c) 箇条8に規定する空気捕集(8.5.3.1)及び計算方法(8.6.1)による。 

d) 箇条9によって報告する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 1962 室内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量−ポンプサンプリング 

注記 対応国際規格:ISO 16000-3,Indoor air−Part 3: Determination of formaldehyde and other carbonyl 

compounds−Active sampling method (MOD) 

JIS A 1965 室内及び放散試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物のTenaxTA®吸着剤を用いたポン

プサンプリング,加熱脱離及びMS/FIDを用いたガスクロマトグラフィーによる定量 

注記 対応国際規格:ISO 16000-6,Indoor air−Part 6: Determination of volatile organic compounds in 

indoor and test chamber air by active sampling on Tenax TA® sorbent, thermal desorption and gas 

chromatography using MS/FID (MOD) 

JIS A 1966 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集/加熱脱離/キャピラリーガスクロ

マトグラフ法によるサンプリング及び分析−ポンプサンプリング 

注記 対応国際規格:ISO 16017-1,Indoor, ambient and workplace air−Sampling and analysis of volatile 

organic compounds by sorbent tube/thermal desorption/capillary gas chromatography−Part 1: 

Pumped sampling (MOD) 

JIS A 1968 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集/溶媒抽出/キャピラリーガスクロ

マトグラフ法によるサンプリング及び分析−ポンプサンプリング 

JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水 

JIS Z 8402-1 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第1部:一般的な原理及び定義 

JIS Z 8402-2 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第2部:標準測定方法の併行精度及

び再現精度を求めるための基本的方法 

JIS Z 8402-3 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第3部:標準測定方法の中間精度 

ISO 16000-9,Indoor air−Part 9: Determination of the emission of volatile organic compounds from building 

products and furnishing−Emission test chamber method 

ISO/IEC Guide 98,Guide to the expression of uncertainty in measurement (GUM) 

EN 55013,Sound and television broadcast receivers and associated equipment−Radio disturbance  

characteristics−Limits and methods for measurement 

ECMA-74,Measurement of Airborne Noise Emitted by Information Technology and Telecommunications 

Equipment 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

4.1 

試験対象機器(equipment under test) 

試験の対象となる電子機器。必要な場合は附属品を含む。 

C9913:2008 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2 

カルボニル化合物(carbonyl compounds) 

カルボニル化合物のうち,JIS A 1962で定量ができるもの。 

4.3 

揮発性有機化合物(volatile organic compounds)(以下,VOCという。) 

無極性カラムを用いたガスクロマトグラフ分析において,n-ヘキサンからn-ヘキサデカンまでの範囲で

検出された有機化合物。 

4.4 

総揮発性有機化合物(total volatile organic compounds)(以下,TVOCという。) 

検出されたVOCを合わせたもの。同定されない物質の質量算出に当たっては,トルエンに換算して求

める。 

4.5 

測定対象物質(analyte) 

試験対象機器から放散されるカルボニル化合物,VOC及び/又はTVOC。 

4.6 

チャンバー(emission test chamber) 

試験対象機器から放散される,測定対象物質を測定するための条件を制御できる密閉容器。 

4.7 

換気回数(air exchange rate) 

単位時間当たりにチャンバーに供給された空気の体積をチャンバー容量で除した値。 

4.8 

風速(air velocity) 

試験対象機器を設置していない状態の,チャンバー内気流の速度。 

4.9 

試料負荷率(loading factor) 

試験対象機器体積のチャンバー容量に対する比率。 

4.10 

試験開始(test start) 

チャンバー内に設置した試験対象機器に通電し,稼働した時点。 

4.11 

チャンバー濃度(chamber concentration) 

チャンバー内空気中の測定対象物質の濃度。チャンバー内空気から捕集した測定対象物質の質量を,空

気捕集量で除した値。 

4.12 

バックグラウンド濃度(background concentration) 

清浄な空気を供給し,試験対象機器を入れずに測定したチャンバー濃度。 

4.13 

トラベルブランク(travel blank) 

サンプラ自体の汚染及び開閉・輸送時における汚染を考慮するために,空気捕集を除くすべての操作を

行った捕集管の測定対象物質の量。 

C9913:2008   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.14 

放散速度(emission rate) 

試験対象機器1台当たり,単位時間当たりに放散される測定対象物質の質量。 

記号及び略語 

この規格で用いる記号及び略語は,次による。 

Cbg:バックグラウンド濃度(μg/m3) 

Cs:チャンバー濃度(μg/m3) 

mbg:バックグラウンド濃度測定サンプラに捕集された測定対象物質の質量(μg) 

ms:チャンバー濃度測定サンプラに捕集された測定対象物質の質量(μg) 

n:換気回数(回/h) 

SERu:放散速度[μg/(unit・h)] 

u:試験対象機器の台数(unit) 

V:チャンバー容量(m3) 

Vbg:バックグラウンド濃度測定の空気捕集量(L) 

Vs:チャンバー濃度測定の空気捕集量(L) 

試験方法のフローチャート 

試験方法のフローチャートを,図1に示す。 

background image

C9913:2008 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1−試験方法のフローチャート 

準備は行わずに,開こん(梱)
後24時間以内に試験開始
[8.5.1.5 a) 1) 参照] 
 

開始 

試験条件(8.4参照) 

チャンバーの洗浄(8.5.1.2参照) 

試験対象機器の選択(8.5.1.1参照)
及び開こん(梱)(8.5.1.4参照) 

試験対象機器 

準備条件 

3日以内の準備[8.5.1.5 
a) 2) 参照] 

は(把)握できる場合は,
稼働時間を記録[8.5.1.5 
b)参照] 

チャンバー及び試験対象機器の準備完了 

チャンバー内に試験対象機器を設
置,通電・稼働開始(8.5.2.1参照) 

チャンバーのバックグラウンド濃
度の測定(8.5.1.3参照) 

VOC及びカルボニル化合物
の放散速度の測定(8.5.2.2,
8.5.3及び8.6.1参照) 
 

報告完了(箇条9参照) 

終了 

未使用品 

未使用品以外 

準備のための試験対象機器の設置
(8.5.2.1参照)(任意) 

C9913:2008   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

チャンバーに対する要求事項 

7.1 

構成材料 

チャンバーの構成材料は,ISO 16000-9による。 

7.2 

気密性 

チャンバーの気密性は,ISO 16000-9による。 

7.3 

空気混合効率 

チャンバーの空気混合効率は,ISO 16000-9による。 

試験方法 

8.1 

原理 

この試験は,試験対象機器をチャンバーに設置して通電・稼働させ,測定対象物質のチャンバー濃度を

測定し,試験対象機器から放散される測定対象物質の放散速度を求める方法である。 

一定の温度,相対湿度及び換気量の条件をもつチャンバー内に空気を流通させ,チャンバー濃度及び換

気量から放散速度を算出する。 

8.2 

試薬・その他の物質・材料 

8.2.1  水 加湿用の水は,JIS K 0557に規定するA1以上で,測定対象物質が検出されないものを用いる。 

8.2.2  サンプラ 空気中の測定対象物質を捕集するための吸着剤を充てんした捕集管。 

吸着剤は,カルボニル化合物捕集用としては,2,4-ジニトロフェニルヒドラジンをコーティングしたシ

リカゲルを用いる。VOC捕集用としては,JIS A 1966(ブランク値の高いChromosorb及びPorapackを除

く。)又はJIS A 1968に規定する吸着剤を用いる。 

なお,VOC捕集用サンプラの前処理方法は,JIS A 1965(吸着剤としてTenax TA®を用いる場合),JIS A 

1966又はJIS A 1968のいずれかによる。 

8.3 

装置 

8.3.1  チャンバーシステム チャンバー,空気清浄装置,温度・湿度制御装置などで構成されるチャン

バー濃度測定用の装置一式。 

8.3.2  空気捕集装置 チャンバー内空気を捕集するためのポンプ,及び空気捕集量を計測するための積

算流量計。 

8.3.3  分析装置 捕集した測定対象物質を定性・定量するための装置。カルボニル化合物の分析にあっ

ては吸光光度検出器付き高速液体クロマトグラフ,又は質量分析計付き高速液体クロマトグラフを用いる。

VOCの分析にあっては水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ,又は質量分析計付きガスクロマト

グラフを用いる。 

8.4 

試験条件 

試験条件は,次のとおりとし,報告は箇条9による。 

a) 温度:23±2 ℃1) 

b) 相対湿度:(50±5) % 

c) 換気回数 

1) チャンバー容量が5 m3を超える場合:(0.5±0.025)〜(2±0.1) 回/h 

2) チャンバー容量が5 m3以下の場合:(0.5±0.025)〜(5±0.25) 回/h 

d) 風速:0.1〜0.3 m/s 

e) 試料負荷率:0.01〜0.25 

C9913:2008 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

温度,相対湿度及び換気回数は,一定間隔で制御及び測定し,ISO 16000-9に従って記録する。 

注1) 温度は,必要に応じて28±2 ℃に変更してもよい。 

8.5 

手順 

8.5.1 

準備 

8.5.1.1 試験対象機器の選択 

試験対象機器の選択が必要な場合は,通常の製品群から選択したもの,又は製品群を代表するものを試

験対象機器とする。 

8.5.1.2 チャンバーの洗浄 

試験を開始する前に,チャンバー内の洗浄を行う。その方法は,ISO 16000-9による。 

洗浄後,少なくともチャンバー容量の4倍量の清浄空気で換気を行う。 

8.5.1.3 バックグラウンド濃度の測定 

チャンバーを換気回数1回/hで運転して4時間以上経過後,チャンバー内空気を捕集してバックグラウ

ンド濃度を測定する。 

バックグラウンド濃度は,換気回数1回/hのときに各測定対象物質個別の濃度として2 μg/m3以下,TVOC

濃度として20 μg/m3以下とする。 

空気捕集終了後は,チャンバーを試験条件で運転する。 

注記 バックグラウンド濃度は,例えば,チャンバー及びサンプラからの放散に起因する場合がある。 

8.5.1.4 試験対象機器の開こん(梱) 

試験対象機器を開こん(梱)し,試験対象機器とすべての輸送用及び保護用こん(梱)包材とを分離する。 

注記1 こん包材からの放散化学物質が測定に多大な影響を及ぼす場合があり,通常の使用において

試験対象機器から放散されない物質を検出することもある。 

注記2 開こん後,試験対象機器の設置(8.5.2.1)は,試験対象機器の準備(8.5.1.5)の前に行っても

よい。 

8.5.1.5 試験対象機器の準備 

試験前の試験対象機器の準備は,試験対象機器に応じて,次の条件の中から一つを選択する。 

試験対象機器の準備条件は,試験報告書に記載する。 

a) 未使用品の場合 未使用の試験対象機器については,次のいずれかを選択する。 

1) 試験対象機器は,試験前に通電・稼働しないで,開こん(梱)後24時間以内に試験に供する。 

2) 試験対象機器は,試験開始前に3日間,又はそれに相当する時間を限度として稼働する。例えば,

連続24時間の稼働は,1日当たり8時間の稼働を3日間行うことに相当する。 

注記 未使用品の試験対象機器は,使用初日は放散レベルが高いことが知られており,その値は

使用期間中の通常の放散を表しているとはいえない。 

b) 未使用品以外の場合 未使用品以外の試験対象機器については,試験前に通電・稼働しない。試験前

の通電・稼働時間をは(把)握できる場合はその時間を記録し,それ以外の場合は“不明”と試験報

告書に記載する。 

8.5.2 

放散試験 

8.5.2.1 試験対象機器の設置 

チャンバー内空気の汚染防止のため,できるだけ速やかに,チャンバー内の中央部に試験対象機器を設

置し,試験対象機器に通電して稼働する。試験対象機器の稼働条件は,試験対象機器に応じて,ECMA-74,

EN 55013の5.2,又はその他の適切な規格によるのがよい。試験対象機器の稼働条件の設定を,短時間で

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C9913:2008   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

行えない場合は,チャンバーに設置する前に稼働条件の設定を行ってもよい。 

なお,試料負荷率を満たすために複数の試験対象機器を設置する場合は,チャンバー内にバランスよく

配置する。 

8.5.2.2 試験中の試験対象機器の稼働 

試験開始時間及び試験中の稼働条件を記録する。 

稼働中の試験対象機器から放散される測定対象物質を,8.5.3によって測定する。 

試験対象機器の稼働条件として用いた規格を試験報告書に記載する。 

8.5.3 

チャンバー濃度の測定 

8.5.3.1 空気捕集 

空気捕集の方法は,カルボニル化合物にあってはJIS A 1962に,VOCにあってはJIS A 1965,JIS A 1966

又はJIS A 1968のいずれかによるほか,次による。 

試験開始後,チャンバー容量の3倍量の換気を行った時点からチャンバー内空気の捕集を開始し4倍量

の換気を行った時点までに終了する2)。同時に行う空気捕集の総流量は,チャンバーに供給される空気流

量の80 %以下とする。空気捕集量は,測定対象物質ごとに,少なくとも1 μg/m3のチャンバー濃度を検出

できるように設定する。VOC用サンプラとして,加熱脱離タイプのものを用いる場合は,再分析に備えて

同時に二つの捕集を行う。その他のVOC用サンプラ及びカルボニル化合物用サンプラは,一つの捕集と

する。 

なお,必要に応じてトラベルブランクを測定してもよい。 

注2) 空気捕集は,チャンバー容量の3倍量の換気を行った時点以降において,追加の空気捕集を行

ってもよい。 

8.5.3.2 分析 

分析の方法は,カルボニル化合物にあってはJIS A 1962に,VOCにあってはJIS A 1965(吸着剤として

Tenax TA®を用いる場合),JIS A 1966又はJIS A 1968による。 

8.6 

試験結果の表し方 

8.6.1 

計算方法 

チャンバー濃度,バックグラウンド濃度及び放散速度は,次によって求める。 

a) チャンバー濃度及びバックグラウンド濃度 

000

1

s

s

s

×

=Vm

C

000

1

bg

bg

bg

×

=Vm

C

b) 放散速度 

(

)

u

V

n

C

C

SER

×

×

=

bg

s

u

8.6.2 

試験方法の精度 

この規格に基づく試験方法の精度を実験によって求める場合の試験対象機器は,同等の機器(同一ロッ

トからランダムサンプリングした複数の機器)を用いる。測定方法の精度に関しては,JIS Z 8402-1,JIS Z 

8402-2及びJIS Z 8402-3に詳細な記載がある。 

C9913:2008 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.6.3 

測定の不確かさ 

この規格に基づく測定の不確かさを算出する場合は,ISO/IEC Guide 98による。 

試験報告書 

試験報告書には,適用及び入手が可能な次の事項を記載する。 

a) 試験所に関する情報 

− この規格への準拠 

− 試験所の名称及び住所 

− 責任者の氏名 

− 試験報告書の識別番号 

b) 試験対象機器に関する情報 

− 製造業者 

− 品目名,商品名及び製造番号 

− 試験対象機器の履歴(製造日,試験所到着日,開こん(梱)日時,保管期間及び保管環境条件) 

− こん(梱)包材の種類 

− 外形寸法 

− 製造から試験開始までの,試験対象機器の総稼働時間 

c) 試験条件などに関する情報 

− 試験日 

− 使用した装置及び方法[チャンバー(空気清浄システム及び環境制御装置を含む。),空気捕集,分

析機器,標準物質及び校正方法]についての説明 

− 試験条件(温度,相対湿度及び換気回数) 

− バックグラウンド濃度 

− 試料負荷率 

− 試験対象機器が未使用品の場合:試験対象機器の準備条件,開始時間及び稼働時間 

試験対象機器が未使用品以外の場合:試験前の稼働時間(不明の場合は“不明”とする。) 

− 空気捕集方法(捕集タイミング,吸着剤,捕集量及び捕集時間) 

− 試験対象機器の設置に関する特記事項 

− 試験中の試験対象機器の稼働条件 

− 検出下限 

− この規格から逸脱した場合,その内容及び理由 

d) 放散速度の計算式 

e) 試験結果 

− 定量された測定対象物質個別の名称,CAS番号(ケミカルアブストラクトサービス登録番号)及び

放散速度 

− TVOCの放散速度 

参考文献 JIS X 6936 事務機器−オゾン,揮発性有機化合物及び粉じんの放散量測定方法 

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附属書JA 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS C 9913:2008 電子機器からの揮発性有機化合物(VOC)及びカルボニル化合物
放散測定方法−チャンバー法 

ISO/IEC 28360:2007,Information technology−Office equipment−Determination of 
chemical emission rates from electronic equipment及びTechnical Corrigendum 1:2008 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際 
規格 
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号及
び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲 対象とする機器につい

て規定 

プリンタなどの消耗品
を利用する機器を除
き,JISにほぼ同じ。 

削除 

試験の対象から,プリンタな
どの消耗品を利用する機器
を除外した。 

消耗品を利用する機器については,
JIS X 6936が制定されているため,
適用範囲から除外した。 

4 用語及び
定義 

用語及び定義 

4.2カルボニル化合物 

− 

− 

追加 

カルボニル化合物の定義を
追加した。 

規格使用者の理解促進のため。 

4.5測定対象物質 

4.3 

測定対象物質 

変更 

測定対象物質からオゾン及
び粒子状物質を除外し,
TVOCを追加した。 

この規格で対象とする機器からのオ
ゾン放散の実態が,現時点では不明
であること,及び粒子状物質は,消
耗品を利用する機器の測定対象物質
であることから,各々除外した。
TVOCについては,厚生労働省が暫
定目標値を設定していることから,
測定対象物質として追加した。 

4.10試験開始 

− 

− 

追加 

試験開始の定義を追加した。 4.2と同じ。 

4.11チャンバー濃度 

− 

− 

追加 

チャンバー濃度の定義を追
加した。 

4.2と同じ。 

4.12バックグラウンド
濃度 

− 

− 

追加 

バックグラウンドの定義を
追加した。 

4.2と同じ。 

4.13トラベルブランク 

− 

− 

追加 

トラベルブランクの定義を
追加した。 

トラベルブランクの測定を追加した
ことによる。 

3

C

9

9

1

3


2

0

0

8

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際 
規格 
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号及
び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

4 用語及び
定義(続き) 

4.14 放散速度 

4.14 

JISにほぼ同じ 

変更 

“試験対象機器1台当たり”
を追記した。 

ISO/IEC規格に規定された消耗品を
利用しない機器の放散速度(SERu)
の定義に合わせた。 

5 記号及び
略語 


(5.1,5.2) 

頭字語,略語及び記号 削除 

細分箇条並びに消耗品を利
用する機器に関する記号及
び略号を削除した。 

消耗品を利用する機器に関する記号
及び略語を削除したことなどによっ
て,細分箇条を設ける必要性がない。 

Vbg 

Vbg 

JISにほぼ同じ 

変更 

単位を“L”とした。 

実質的な差異はない。 

Vs 

Vs 

JISにほぼ同じ 

変更 

同上 

同上 

6 試験方法
のフローチ
ャート 

図1 

JISにほぼ同じ 

削除 

オゾン及び粒子状物質に関
する記述を削除した。 

オゾン及び粒子状物質は,測定対象
物質から除外しているため。 

8 試験方法 8.1 原理 

− 

− 

追加 

“原理”を追加した。 

規格使用者の理解促進のため。 

8.2 試薬・その他の物
質・材料 

− 

− 

追加 

“試薬・その他の物質・材料”
を追加し,水及びサンプラを
規定した。 

規格使用者の理解促進のため。 

サンプラには,JIS A 1965を
追加した。 

JIS A 1965は,溶媒抽出法を用いる場
合があるため追加した。 

8.3 装置 

− 

− 

追加 

“装置”を追加し,チャンバ
ーシステム,空気捕集装置及
び分析装置を規定した。 

規格使用者の理解促進のため。 

8.4 試験条件 
a) 温度 

8.1 
8.1.1 

JISにほぼ同じ 

変更 

28℃の高い温度での試験条
件も許容することとした 

日本の夏季冷房推奨温度が28 ℃で
あることによる。 

c) 換気回数 

8.1.2 

JISにほぼ同じ 

変更 

許容差をマスフローメータ
の精度に合わせた。 

換気回数は,マスフローメータ(マ
スフローコントローラ)を用いて制
御するため。 

8.5.1.3 バックグラウ
ンド濃度の測定 

8.2.2 

JISにほぼ同じ 

削除 

オゾン及び粒子状物質に関
するバックグラウンド濃度
の規定を削除した。 

オゾン及び粒子状物質は,測定対象
外であるため。 

8.5.2.1 試験対象機器
の設置 

8.2.5 
(8.2.5.1) 

JISにほぼ同じ 

追加 

稼働条件設定を短時間で行
えない場合は,事前に設定を
行ってもよいこととした。 

消耗品を利用する機器は適用範囲外
であるため。 

3

C

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1

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0

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際 
規格 
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号及
び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

8 試験方法 
(続き) 

8.5.2.1 試験対象機器
の設置 

8.2.5 
(8.2.5.1) 

JISにほぼ同じ 

追加 

チャンバーに複数の試験対
象機器を設置する場合の配
置について追記した。 

チャンバー開放時間短縮のため。 

8.5.3 チャンバー濃度
の測定 

8.3 

JISにほぼ同じ 

削除 

ISO/IEC規格の図2を削除し
た。 

十分に規定内容が理解できると判断
した。 

8.5.3.1 空気捕集 

8.3.2 
(8.3.2.1) 

JISにほぼ同じ 

追加 

JIS A 1968を追加した。 

日本では溶媒抽出法を用いる場合が
あるため。 

変更 

加熱脱離タイプのサンプラ
を用いる場合の二つの空気
捕集のうち,一つは再分析用
であることを明記した。 

ISO/IEC規格の改正時に提案を検討
する。 

追加 

トラベルブランクの測定を
追加した。 

チャンバーと分析機器が離れた場所
に設置されている場合など,トラベ
ルブランクを測定する場合があるた
め。 

追加 

追加の空気捕集を追加した。 放散挙動を調べる場合を考慮し,追

加の空気捕集を行えることとした。 

8.5.3.2 分析 

− 

− 

追加 

JIS A 1968を追加した。 

日本では溶媒抽出法を用いる場合が
あるため。 

8.6.1 計算方法 
a) チャンバー濃度及
びバックグラウンド濃
度 

8.3.3 
(8.3.3.1) 

JISにほぼ同じ 

追加 

チャンバー濃度及びバック
グラウンド濃度の計算式に
“×1 000”を追加した。 

チャンバー濃度及びバックグラウン
ド濃度の空気捕集流量の単位を“L”
としたことに伴う単位合わせ。 

8.6.2 試験方法の精度 

− 

− 

追加 

“試験方法の精度”を追加し
た。 

試験方法の精度を算出する場合に参
考となるJISを追加した。 

8.6.3 測定の不確かさ 

− 

− 

追加 

“測定の不確かさ”を追加し
た。 

測定の不確かさを算出する場合に参
考となるISO/IEC Guide 98を追加し
た。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際 
規格 
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策 

箇条番号及
び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

9 試験報告
書 
 

試験報告書について規
定 
 

JISにほぼ同じ 

追加 

c) 試験条件などに関する情
報の空気捕集方法に,“捕集
タイミング”を追加した。 

追加の空気捕集を行えることとした
ことによる。 

追加 

c) 試験条件などに関する情
報に,“試験対象機器の設置
に関する特記事項”を追加し
た。 

稼働条件の設定のタイミング,試験
対象機器の複数設置などを記述する
ため。 

追加 

e) 試験結果に“TVOCの放散
速度”を追加した。 

測定対象物質にTVOCを追加したこ
とによる。 

− 

− 

Annex A 
(normative) 

印刷パタン 

− 

− 

Annex B 
(informative) 

消耗品を使用する試験
対象機器の放散速度モ
デル 

− 

− 

Annex C 
(informative) 

オゾンの放散速度にお
ける試験対象機器のフ
ィルタリングの影響 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO/IEC 28360:2007,MOD 

 
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 
 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 
 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。