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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 9711-1997 

屋内配線用電線接続工具 

Compression tools for wire connectors of interior wiring 

1. 適用範囲 この規格は,主に屋内配線及び屋側配線用電線コネクタのうち,次のものに使用する屋内

配線用電線接続工具(以下,工具という。)について規定する。 

(1) JIS C 2805に規定する銅線用裸圧着端子(以下,端子という。)。 

(2) JIS C 2806に規定するもの(以下,スリーブという。)。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 7502 マイクロメータ 

JIS C 0702 クラスII電気機器の絶縁構造通則 

JIS C 2805 銅線用圧着端子 

JIS C 2806 銅線用裸圧着スリーブ 

JIS C 3301 ゴムコード 

JIS C 3306 ビニルコード 

JIS C 3312 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル 

JIS C 3327 600Vゴムキャブタイヤケーブル 

JIS C 8511 アルカリ一次電池 

JIS C 8512 二酸化マンガンリチウム一次電池 

JIS C 8701 可搬鉛蓄電池 

JIS C 8705 円筒密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池 

JIS G 3444 一般構造用炭素鋼管 

JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材 

JIS G 4105 クロムモリブデン鋼鋼材 

JIS H 4040 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線 

JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物 

JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験方法 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) 圧着接続 非対称的なダイスによって圧力を加え,接続部を変形させる接続。 

(2) 設定圧力 ヘッド分離式工具の使用油圧力の最高値としてポンプ部に表示された値 (MPa) 。 

(3) 成形確認機構 適正な圧着接続を得るためにダイス部間の位置を規制又は確認できる機構。 

(4) 圧力規制装置 適正な圧着接続を得るために圧着が完了したとき自動放出弁などが作動してダイス部

に加わる圧力を規制する装置。 

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C 9711-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(5) 圧着成形高さ(クリンプハイト) 圧着接続が完了した電線コネクタの圧着成形箇所の凹部と凸部間

の距離。 

(6) 圧着マーク 圧着が完了したとき,使用したダイスが確認できるよう電線コネクタに付けられるマー

ク。 

(7) ポンプ部 ポンプと圧力規制装置などを組み合わせたものの総称。 

3. 種類及び着脱機構 工具の種類及び着脱機構は,表1による。 

表1 工具の種類及び着脱機構 

種類 

ヘッド着脱機構 

ダイス着脱機構 

手動片手式工具 

一体 

固定 
又は 

取替え 

手動両手式工具 

手動油圧式工具 
電動機械式工具 
電動油圧式工具 
手動油圧ヘッド分離式工具 

取替え 

足踏油圧ヘッド分離式工具 
機動油圧ヘッド分離式工具 

4. 性能 

4.1 

ダイス部の硬さ ダイス部の硬さは,6.2の試験を行ったとき,ロックウェル硬さHRC38以上でな

ければならない。 

4.2 

ハンドル部又はペダル部最大荷重 ハンドル部又はペダル部に加わる最大荷重は,手動又は足踏式

工具に適用し,6.3の試験を行ったとき,表2に示す値以下でなければならない。 

表2 ハンドル部又はペダル部最大荷重 

種類 

最大荷重N 

手動片手式工具 

390 [590(1)]  

手動両手式工具 

340 

手動油圧式工具 ハンド形(2) 

245 

据置形(3) 

490 

手動油圧ヘッド分離式工具 

490 

足踏油圧ヘッド分離式工具 

490 

注(1) 端子及びスリーブB形,P形の呼び8以上用のもの並

びにスリーブE形(リングスリーブ)用のものに適
用する。 

(2) ハンド形とは両手で支持して作業する目的で作られ

た工具をいう。 

(3) 据置形とは,床などに置いて作業する目的で作られ

た工具をいう。 

4.3 

ポンプ部の油圧力 ポンプ部の油圧力は,油圧式工具に適用し,6.4の試験を行ったとき,設定圧力

の±5%以内でなければならない。 

4.4 

耐久性 耐久性は,6.5の試験を行ったとき,各部に実用に耐えないような損耗を生じないで,かつ,

次の各項に適合しなければならない。 

(1) 手動片手式工具,手動両手式工具及び手動油圧式工具は,6.5(1)の試験を行ったとき,耐久試験終了後

のハンドル部最大荷重は,試験前の値に対する比率が表3に示す値以上でなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3 耐久試験後のハンドル部最大荷重の比率 

種類 

比率 % 

手動片手式工具 

70 

手動両手式工具 

90 

手動油圧式工具 

90 

(2) 電動機械式工具は,6.5(2)の試験を行ったとき,耐久試験終了後の最大消費電流は,試験前の値に対す

る比率が90%以上でなければならない。 

(3) 油圧式工具は,6.5(3)の試験を行ったとき,耐久試験終了後の油圧力は,試験前の値に対する比率が

90%以上でなければならない。ただし,手動油圧式工具については(1)によってもよい。 

4.5 

温度上昇 温度上昇は,電動式工具に適用し,6.6の試験を行ったとき表4の値以下でなければなら

ない。 

表4 電動式工具の温度上昇 

単位 ℃ 

測定箇所 

温度上昇 

電動機の巻線 

A種絶縁のもの 

 75 

E種絶縁のもの 

 90 

B種絶縁のもの 

 95 

F種絶縁のもの 

110 

スイッチなどのつまみ,押しボタン 金属製のもの,陶磁器製のもの及びガラス製のもの 

 30 

その他のもの 

 45 

人が容易に触れるおそれがある外箱

(ギヤケース及び軸受部を含む。) 

金属製のもの,陶磁器製のもの及びガラス製のもの 

 35 

その他のもの 

 50 

使用中に人が操作する取っ手 

金属製のもの,陶磁器製のもの及びガラス製のもの 

 25 

その他のもの 

 40 

備考 基準周囲温度の限度は,30℃とする。 

4.6 

絶縁抵抗 絶縁抵抗は,商用電源を使用する電動式工具に適用し,6.7の試験を行ったとき,JIS C 

0702の8.1(絶縁抵抗)に規定する性能を満足しなければならない。 

4.7 

耐電圧 耐電圧は,商用電源を使用する電動式工具に適用し,6.8の試験を行ったとき,これに耐え

なければならない。 

4.8 

漏れ電流 漏れ電流は,商用電源を使用する電動式工具に適用し,6.9の試験を行ったとき,JIS C 

0702に規定する性能を満足しなければならない。 

4.9 

耐衝撃性 耐衝撃性は,電動式工具に適用し,6.10の試験を行ったとき,次の各項に適合しなけれ

ばならない。 

(1) 充電部が露出しないこと。 

(2) 工具に電源を接続したとき短絡しないこと。 

(3) 商用電源を使用するものは,直流500V絶縁抵抗計によって測定した充電部と地絡するおそれがある

非充電金属部との間の絶縁抵抗は,2MΩ以上であること。 

(4) ポリアミド加工したおもりを落下させたとき,感電,火災などの危険を生じるおそれがあるひび,割

れその他の異常を生じないこと。 

4.10 圧着成形高さ 圧着成形高さは,6.11の試験を行ったとき,工具製造業者の指定した値以下でなけ

ればならない。 

4.11 接続性能 接続性能は,次によらなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 端子は,6.12(1)の試験を行ったとき,JIS C 2805の3.2(温度),3.3(電気抵抗),3.4(塩水噴霧)及

び3.7(振動疲労)に規定する性能を満足すること。 

(2) スリーブは,6.12(2)の試験を行ったとき,JIS C 2806の3.2(温度)及び3.3(引張強さ)に規定する

性能を満足すること。 

4.12 コードの折曲げ コードの折曲げは,電源コードをもつ電動式工具に適用し,次によらなければな

らない。 

(1) 本体とコードとの接続部の折曲げ 本体とコードとの接続部は,6.13.1の試験を行ったとき,コード

に短絡が生じないこと。 

また,コードの素線の断線率は,10%以下であること。 

(2) コード付一体成形の接続器のコード接続部の折曲げ コード付一体成形の接続器のコード接続部は,

6.13.2の試験を行ったとき,コードに短絡が生じないこと。 

また,コードの素線の断線率は,20%以下であること。 

5. 材料及び構造 

5.1 

材料 材料は,次による。 

(1) ダイス部はJIS G 4105の種類SCM435のもの又はこれと同等以上の機械的性質をもつもの。 

(2) ヘッド部,ポンプ部などの主要金属部はJIS G 3444, JIS G 4051, JIS G 4105, JIS H 4040若しくはJIS H 

5202に規定するもの,又はこれらと同等以上の機械的性質をもつもの。 

5.2 

構造 構造は,次による。 

(1) 工具の各部には有害なきず,割れ,さびその他の欠点がなく,仕上げが良好であること。 

(2) 工具は操作が簡単であり,ダイス取替え式のものはその着脱が容易に,かつ,確実にできる構造であ

ること。 

(3) 工具は,著しいがたつきなどがなく,操作が円滑で,使用状態における使い勝手が良好であること。 

(4) ダイスの歯形部は,特に滑らかに仕上がり,圧着接続作業の際,電線コネクタにきず,割れなどを生

じないこと。 

(5) 工具には,成形確認機構を次によって設けること。 

(a) 手動片手式工具,手動両手式工具及び電動機械式工具は,ラチェット又はこれに類する機構によっ

て,ダイス部間の位置が適正な圧着接続ができる距離に達しなければ,ダイス部が開かず,工具か

ら電線コネクタを取り外すことができない機構。 

(b) 油圧式工具のヘッド部は,ダイス部に加わる荷重が適正な圧着接続ができる値に達したとき,ピス

トンロッドの位置表示ができる機構。 

(6) 油圧式工具は,ダイス部に加わる荷重が適正な圧着接続ができる値に達した後,自動放出弁(安全弁)

などが作動し,ダイス部に加わる荷重を規制する圧力規制装置を設けること。 

(7) ポンプ部とヘッド部を油圧ホースなどで接続する形式のものは,その着脱が容易で,確実な接続がで

きる接続金具を備えていること。 

(8) 油圧式工具は,ポンプ部,ヘッド部,油圧ホース及び接続金具が油圧力に十分耐えられること。 

(9) 工具の歯形部に適合する電線コネクタの呼びに従い,表5の圧着マークが電線コネクタの圧着部に表

示できるよう歯形部に刻印すること。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表5 圧着マーク 

歯形部に適合する電線コネクタの呼び 

圧着マーク 

端子 

スリーブ 

RD 

  1.25 

− 

  1.25 

− 

− 

  1 

  2 

− 

  2 

  2 

− 

  2 

  5.5 

− 

  5.5 

  5.5 

− 

  5 

  8 

− 

  8 

  8 

− 

  8 

 14 

− 

 14 

 14 

− 

 14 

 22 

− 

 22 

 22 

− 

 22 

 38 

− 

 38 

 38 

− 

 38 

 60 

 60 

 60 

 60 

− 

 60 

− 

− 

− 

 70 

− 

 70 

 80 

 80 

 80 

 80 

− 

 80 

100 

100 

100 

100 

− 

100 

150 

150 

150 

150 

− 

150 

− 

− 

− 

180 

− 

180 

200 

200 

200 

200 

− 

200 

325 

325 

325 

325 

− 

325 

− 

− 

− 

− 

小 

(1.6×2の場合) ○ 

− 

− 

− 

− 

小 

− 

− 

− 

− 

中 

中 

− 

− 

− 

− 

大 

大 

備考 ダイスの凹歯形を共用するものは,適合する電線コネクタの最小及び最大の

呼びを示すこと。 

(10) 電動機械式工具及び電動油圧式工具の電源は,商用電源又は電池電源であること。 

(11) 電動機械式工具及び電動油圧式工具に使用する電池は,JIS C 8511, JIS C 8512, JIS C 8701若しくは

JIS C 8705に適合するもの又はこれらと同等以上の性能をもつものであること。 

(12) 電池を使用する電動機械式工具及び電動油圧式工具には,適切な充電器を備えること。 

(13) 電動機械式工具及び電動油圧式工具で商用電源を使用できるものは,JIS C 0702の3.(構造)〜7.(コ

ンデンサ)の規定に適合するものであること。 

(14) 電動機械式工具及び電動油圧式工具に使用する電源コードは,JIS C 3301, JIS C 3306, JIS C 3312又は

JIS C 3327に適合するものであること。 

6. 試験 

6.1 

試験条件 試験は特に指定がない限り,JIS Z 8703の常温 (20±15℃) 及び常湿 (65±20%) の室内

で行う。 

6.2 

ダイス部の硬さ試験 ダイス部の圧着接続面に近い側面を,JIS Z 2245によって試験を行う。 

6.3 

ハンドル部又はペダル部荷重試験 図1のように,ハンドル部又はペダル部末端から40mmの箇所

に荷重計を取り付け,工具の最大適用サイズの電線コネクタとその電線コネクタの最大適用サイズで,か

つ,最大占有率となる電線を組み合わせ,圧着接続作業を行い,成形確認機構又は圧力規制装置が作動し

て圧着が完了するまでのハンドル部又はペダル部に加わる最大荷重を測定する。 

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C 9711-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 ハンドル部又はペダル部荷重試験 

(図は一例を示す。) 

6.4 

ポンプ部の油圧力試験 図2のようにポンプ部に接続された油圧ホースに圧力計を取り付け,徐々

に圧力を加え,圧力規制装置が作動するときの油圧力を測定する。 

なお,手動油圧一体式工具及び電動油圧式工具は,圧力計を適宜に取り付けて試験するか,又は図3の

ようにダイス部荷重の測定値を油圧力で表す測定器で試験してもよい。 

図2 手動油圧ヘッド分離式工具の油圧力試験 

(図は一例を示す。) 

備考 この場合,ヘッド部を接続して試験してもよい。 

図3 手動油圧一体式工具の油圧力試験 

(図は一例を示す。) 

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C 9711-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.5 

耐久試験 

(1) 手動片手式又は手動両手式工具は,図4のような試験装置に工具を取り付け,表6に規定する試験条

件で連続試験を行う。 

また,この試験の前後に6.3によるハンドル部荷重試験を行う。 

なお,試験中適宜に注油することができる。 

表6 耐久試験条件 

種類 

試験条件 

連続試験回数 

回 

負荷 

1回の試験時間 

秒 

手動片手式工具 

30 000 

ダイス部に加わる最大
の荷重(4)の80〜100% 

 10以内 

手動両手式工具 
電動機械式工具 

手動油圧式工具 

 5 000 

試験用ダイス(5)に加わ
る荷重 

100以内 

電動油圧式工具 

10 000 

手動油圧ヘッド分離式工具 

 5 000 

足踏油圧ヘッド分離式工具 

機動油圧ヘッド分離式工具 

10 000 

注(4) ダイス部に加わる最大の荷重とは,次の値をいう。 

工具を図4に示す試験装置に取り付け,ハンドル部にエアシリンダを装置す

る前にハンドルを手動操作して,6.3(ハンドル部又はペダル部荷重試験)で測
定した値に達するまでヘッド部にかかる張力を調整したときの張力計の示した
値。 

(5) ダイス部が接触状態になってから更に工具を操作したとき,圧力規制装置が作

動するように設計した試験用ダイス。 

図4 手動片手式工具の耐久試験 

(図は一例を示す。) 

(2) 電動機械工具は,次による。 

(a) ダイス部に工具の最大適用サイズの電線コネクタとその電線コネクタの最大サイズで,かつ,最大

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

占有率となる電線を組み合わせ圧着接続を行い,成形確認機構又は圧力規制装置が作動して圧着が

完了するまでの最大消費電流を測定する。 

(b) 図5のような試験装置に工具を取り付け,表6の試験条件で連続試験を行う。この場合,表6の“ダ

イス部に加わる最大の荷重”とは,最大消費電流が(a)で測定した値に達するまでヘッド部にかかる

張力を調整したときの張力計の示した値とする。さらに,この試験終了後,(a)の測定を行う。 

なお,試験中適宜に注油,及び電源に電池を使用するものは,電池の交換などを行うことができ

る。 

図5 電動機械式工具の耐久試験 

(図は一例を示す。) 

(3) 油圧式工具は,図6のような試験装置に工具を取り付け,ダイス部が接触状態になってから更にハン

ドル部,ペダル部又はスイッチを操作し,圧力規制装置が作動して圧力が開放低下したときを試験回

数1とし,表6に規定する試験条件で連続試験を行う。 

また,この試験の前後に6.4のポンプ部の油圧力試験を行う。 

なお,試験中適宜に工具の油圧作動油の補充とパッキン類の交換,及び電源に電池を使用するもの

は,電池の交換などを行うことができる。 

また,機動油圧ヘッド分離式工具は,電動機などの定格に合わせて試験を継続することができる。 

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C 9711-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図6 油圧式工具の耐久試験 

(図は一例を示す。) 

6.6 

温度試験 温度試験は,電動機械式工具は図5,電動油圧式工具は図6(c)のような試験装置に工具を

取り付け,表7に規定する試験条件で連続試験を行った後,表8の測定方法によって各部の温度を測定す

る。 

表7 温度試験条件 

種類 

試験条件 

連続試験回数 

回 

負荷 

1回の試験時間 

秒 

電動機械式工具 

600 

ダイス部に加わる最大
の荷重(4)の80〜100% 

10以内 

電動油圧式工具 60mm2以下 

180 

試験用ダイス(5)に加わ
る荷重 

30以内 

60mm2超過 

 60 

60以内 

表8 測定箇所と測定方法 

測定箇所 

測定方法 

電動機の巻線 

抵抗法 

スイッチなどのつまみ,押しボタン 

熱電温度計法 

人が容易に触れるおそれがある外箱 

(ギヤケース及び軸受部を含む。) 

使用中に人が操作する取っ手 

6.7 

絶縁抵抗試験 絶縁抵抗試験は,JIS C 0702の9.1(絶縁抵抗試験)によって行う。 

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10 

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6.8 

耐電圧試験 耐電圧試験は,JIS C 0702の9.2(耐電圧試験)によって行う。 

6.9 

漏れ電流試験 漏れ電流試験は,JIS C 0702の9.3(漏れ電流試験)によって行う。 

6.10 衝撃試験 衝撃試験は,次によって行う。 

(1) 水平で表面が平らなコンクリート床上に大きさ約1.5×1.5m,厚さ約30mmのラワン板を置き,表9

の高さから,図7に示す上,下及び前部分が落下面となるように各1回落下させた後,充電部の露出

の有無などを調べる。 

備考1. 試験は,無通電で行う。 

2. 工具を使用しないで取り外すことができる附属品は取り外す。 

3. 直付けのコードは,落下させる際,邪魔にならないよう器体上部に束ねる。 

表9 落下高さ 

工具の質量 

kg 

底面からの落下高さ 

cm 

4以下のもの 

70 

4を超え7以下のもの 

50 

7を超えるもの 

30 

図7 工具の上下前後 

(2) 外郭として用いる絶縁物及び器体の外面に露出しているブラシキャップその他これらに類するものは,

質量が250gで,ロックウェル硬さHRC100に表面をポリアミド加工した半径が10mmの球面をもつ

おもりを20cmの高さから垂直に落とすか,又はこれと同等の衝撃力をロックウェル硬さHRC100に

表面をポリアミド加工した半径が10mmの球面をもつ衝撃片によって加えた後,充電部の露出の有無

などを調べる。ただし,器体の外面に露出しているブラシキャップその他これらに類するもので,表

面積が4cm2以下であり,器体の外郭の表面から10mm以上突出していないものは,この限りでない。 

6.11 圧着成形試験 圧着成形試験は,工具に表示された電線コネクタを用いて圧着接続したとき,製造

業者の指定する圧着成形高さ(クリンプハイト)をJIS B 7502の外側マイクロメータ又は限界ゲージなど

を用いて測定する。 

6.12 接続性能試験 接続性能試験は,工具に表示された電線コネクタを用いて圧着接続したとき,次の

いずれかによる。 

(1) 端子は,JIS C 2805の6.6(温度試験),6.7(ヒートサイクル試験),6.8(電気抵抗試験),6.9(塩水

噴霧試験)及び6.12(振動疲労試験)によって行う。 

(2) スリーブは,JIS C 2806の6.6(温度試験),6.7(ヒートサイクル試験)及び6.8(引張強さ試験)に

よって行う。 

6.13 コードの折曲げ試験 

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11 

C 9711-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.13.1 本体とコードとの接続部の折曲げ試験 本体とコードとの接続部の折曲げ試験は,図8のようにコ

ードの先に質量500gのおもりをつるし,可動板を回してコード本体出口で,コードを右方向に60°折り

曲げ,これを元に戻し(これを1回とする。),続いて左方向に60°折り曲げ,これを元に戻す(これを1

回とする。)。この操作を毎分約40回の速さで,連続5 000回繰り返した後,コードの短絡の有無及び素線

の断線率を調べる。 

図8 コードの折曲げ試験 

6.13.2 コード付一体成形の接続器のコード接続部の折曲げ試験 コード付一体成形の接続器のコード接

続部の折曲げ試験は,図9に示す試験装置の可動板の中心と当該接続部とを一致させ,さらに,コードが

可動範囲の中央で折り曲がらず鉛直になるように接続器を取り付け,コードの先に質量500gのおもりをつ

るし,可動板を左右交互に各々60°の角度で毎分約40回(左右それぞれを1回と数える。)の速さで,5 000

回操作を行った後,コードの短絡の有無及び素線の断線率を調べる。 

図9 一体成形の接続器のコード接続部の折曲げ試験 

7. 検査 

7.1 

形式検査 同一試験品について,次の検査項目の順序によって行う。 

(1) 構造 

(2) ダイス部の硬さ 

12 

C 9711-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) ハンドル部又はペダル部荷重(手動又は足踏式工具に限る。) 

(4) ポンプ部の油圧力(油圧式工具に限る。) 

(5) 耐久性 

(6) 温度上昇(電動式工具に限る。) 

(7) 絶縁抵抗(商用電源を使用する電動式工具に限る。) 

(8) 耐電圧(商用電源を使用する電動式工具に限る。) 

(9) 漏れ電流(商用電源を使用する電動式工具に限る。) 

(10) 耐衝撃性(電動式工具に限る。) 

(11) 圧着成形高さ 

(12) 接続性能 

(13) コードの折曲げ(電源コードをもつ電動式工具に限る。) 

7.2 

受渡検査 次の試験項目の順序によって行う。 

(1) 構造 

(2) ハンドル部又はペダル部荷重(手動又は足踏式工具に限る。) 

(3) ポンプ部の油圧力(油圧式工具に限る。) 

8. 製品の呼び方 製品の呼び方は,名称,種類及び用途による。 

例 屋内配線用電線接続用工具−手動片手式工具−圧着端子用 

屋内配線用電線接続用工具−手動片手式工具−リングスリーブ用 

9. 表示 製品には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 一体式工具(手動片手式工具,手動両手式工具,手動油圧式工具,電動機械式工具及び電動油圧式工

具) 

(a) 製造業者名又はその略号 

(b) 手動片手式工具及び電動機械式工具で,スリーブE形に使用するものには“リングスリーブ用”を

表示する。さらに,リングスリーブ用のものの握り部分には黄色で色別表示を施し,リングスリー

ブ用以外のものには,黄色又はこれと紛らわしい色を表示してはならない。 

(c) 端子並びにスリーブB形及びP形に使用するものには“圧着端子用”を表示する。 

(d) 適用する電線コネクタの呼び[ダイス固定形のものはダイス部に表示し,ダイス取替え形のものは

(3)の規定による。] 

(e) 定格電圧 (V) (電動式工具に限る。) 

(f) 最大消費電力 (W) (電動式工具に限る。) 

(g) クラスⅡ機器の記号

(商用電源を使用する電動式工具に限る。) 

(h) 製造年月又はその略号 

(2) ヘッド分離式工具 

(2.1) ポンプ部 

(a) 製造業者名又はその略号 

(b) 設定圧力 (MPa)  

(c) 製造年月又はその略号 

(2.2) ヘッド部 

13 

C 9711-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 製造業者名又はその略号 

(b) 適用する電線コネクタの呼び 

(c) 適合するポンプ部の設定圧力 (MPa)  

(d) 製造年月又はその略号 

(3) 取替え形ダイス部 

(a) 製造業者名又はその略号 

(b) 適用する電線コネクタの呼び 

(4) 電動機械式工具及び電動油圧式工具の電池部 

(a) 電池の名称 

(b) 製造業者名又はその略号 

(c) 定格電圧 (V)  

(d) 充電時間 (h)  

(e) 1回の充電で可能な圧着回数 

(f) 製造年月又はその略号 

(5) 充電器 

(a) 製造業者名又はその略号 

(b) 入力電圧 (V)  

(c) 出力電圧 (V)  

(d) 定格出力電流 (A)  

(e) 製造年月又はその略号 

関連規格 JIS C 9605 携帯電気ドリル 

JIS K 7202 プラスチックのロックウェル硬さ試験方法 

14 

C 9711-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS C 9711改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

小 熊 修 蔵 

財団法人日本電気用品試験所 

(委員) 

並 木   徹 

資源エネルギー庁公益事業部 

鈴 木 紀 男 

工業技術院標準部 

川 上   茂 

建設大臣官房官庁営繕部 

中 野 弘 伸 

職業訓練大学校 

矢ケ崎 義 一 

財団法人日本電気用品試験所 

黒 岩 宗 弘 

住宅・都市整備公団 

古 本 宏 和 

社団法人日本電気協会 

通 地   登 

社団法人日本電機工業会 

石 山 壮 爾 

社団法人電気設備学会 

池 田 順 一 

財団法人日本規格協会 

藤 本   孝 

東京電力株式会社 

古 川 典 保 

株式会社関電工 

廣 井 興 三 

三機工業株式会社 

川 口   登 

東光電気工事株式会社 

益 子 次 男 

日本バーンディ株式会社 

菅 沼 康 雄 

株式会社泉精器製作所 

木 本 勝 己 

日本圧着端子製造株式会社 

山 田 俊 一 

産機興業株式会社 

山 本 葭 江 

日本理器株式会社 

(関係者) 

橘 原   靖 

株式会社ニチフ端子工業 

石 原 拓一郎 

石原機械工業株式会社 

(事務局) 

下 川 英 男 

社団法人電気設備学会