C 9335-2-80:2019
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般要求事項 ··················································································································· 3
5 試験のための一般条件 ······································································································· 3
6 分類······························································································································· 3
7 表示,及び取扱説明又は据付説明 ························································································ 4
8 充電部への接近に対する保護 ······························································································ 5
9 モータ駆動機器の始動 ······································································································· 5
10 入力及び電流 ················································································································· 5
11 温度上昇 ······················································································································· 6
12 (規定なし) ················································································································· 6
13 動作温度での漏えい電流及び耐電圧 ··················································································· 6
14 過渡過電圧 ···················································································································· 6
15 耐湿性等 ······················································································································· 6
16 漏えい電流及び耐電圧 ····································································································· 6
17 変圧器及びその関連回路の過負荷保護 ················································································ 7
18 耐久性 ·························································································································· 7
19 異常運転 ······················································································································· 7
20 安定性及び機械的危険 ····································································································· 7
21 機械的強度 ···················································································································· 8
22 構造 ····························································································································· 8
23 内部配線 ······················································································································· 9
24 部品 ···························································································································· 10
25 電源接続及び外部可とうコード ························································································ 10
26 外部導体用端子 ············································································································· 10
27 接地接続の手段 ············································································································· 10
28 ねじ及び接続 ················································································································ 10
29 空間距離,沿面距離及び固体絶縁 ····················································································· 11
30 耐熱性及び耐火性 ·········································································································· 11
31 耐腐食性 ······················································································································ 11
32 放射線,毒性その他これに類する危険性 ············································································ 11
附属書 ······························································································································· 16
参考文献 ···························································································································· 16
C 9335-2-80:2019 目次
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ページ
附属書JAA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ···································································· 17
C 9335-2-80:2019
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
電機工業会(JEMA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS C 9335-2-80:2006は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 9335の規格群には,約100規格に及ぶ部編成があるが,この規格では省略した。
全ての部編成は,JIS C 9335-1の“まえがき”に記載がある。
日本工業規格 JIS
C 9335-2-80:2019
家庭用及びこれに類する電気機器の安全性−
第2-80部:ファンの個別要求事項
Household and similar electrical appliances-Safety-
Part 2-80: Particular requirements for fans
序文
この規格は,2015年に第3版として発行されたIEC 60335-2-80を基とし,我が国の配電事情を考慮し,
技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
この規格は,JIS C 9335-1に規定する“機器”を“ファン”に置き換えて併読する規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAAに示す。
この規格の箇条などの番号は,JIS C 9335-1と対応している。JIS C 9335-1に対する変更は,次の表現を
用いた。
− “置換”は,JIS C 9335-1の該当する箇所の要求事項を,この規格の規定に置き換えることを意味す
る。
− “追加”は,JIS C 9335-1の該当する箇所の要求事項に,この規格の規定を追加することを意味する。
変更する箇所に関する情報が必要な場合には,これらの表現に続く括弧書きで示す。ただし,JIS C 9335-1
の引用項目又は引用箇所は,この規格の作成時に最新版として発効されていたJIS C 9335-1:2014を引用し
ている。
JIS C 9335-1に追加する細分箇条番号は,JIS C 9335-1の箇条番号の後に“101”からの番号を付け,図
番号及び表番号は,“101”からの連続番号を付ける。追加する附属書番号は,AA,BBなどと記載する。
1
適用範囲
置換(箇条1の全てを,次に置き換え適用する。)
この規格は,定格電圧が単相の機器の場合には250 V以下,その他の機器の場合には480 V以下の家庭
用及びこれに類する意図で用いるファン(以下,ファンという。)の安全性について規定する。
注記1 この規格の適用範囲に含まれるファンの例は,次のとおりである。
− ダクト用ファン(duct fans)
− 仕切り用扇
− 床上扇
− 卓上扇
− 天井扇
− 換気扇(ダクト用換気扇等)
2
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− 送風機(中間ダクト用ファン等)
− サーキュレータ
この規格は,ファンによって風を供給され独立した制御装置についても適用する。
通常,家庭で用いないファンでも,店舗,軽工業及び農場において一般人が用いるファンのような,一
般大衆への危険源となるファンも,この規格の適用範囲である。
この規格では,住宅の中及び周囲で,ファンに起因して人が遭遇する共通的な危険性を可能な限り取り
扱う。ただし,通常,次の状態については規定していない。
− 次のような人(子供を含む。)が監視又は指示のない状態でファンを安全に用いることができない場合。
・ 肉体的,知覚的又は知的能力が低下している人
・ 経験及び知識の欠如している人
− 子供がファンで遊ぶ場合。
注記2 この規格の適用に際しては,次のことに注意する。
− 車両,船舶又は航空機搭載用ファンには,要求事項の追加が必要になる場合がある。
− 厚生関係機関,労働安全所管機関,その他の当局によって,追加要求事項を規定する場
合がある。
注記3 この規格は,次のものへの適用は意図していない。
− 工業目的専用のファン
− 腐食しやすい場所又は爆発性の雰囲気(じんあい,蒸気又はガス)が存在するような特
殊な状況にある場所で用いるファン
− ほかの機器に組み込まれたファン
注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60335-2-80:2015,Household and similar electrical appliances−Safety−Part 2-80: Particular
requirements for fans(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
引用規格は,JIS C 9335-1の箇条2(引用規格)によるほか,次による。
追加(次の引用規格を追加し適用する。)
JIS C 3663-3 定格電圧450/750 V以下のゴム絶縁ケーブル−第3部:耐熱シリコンゴム絶縁ケーブル
注記 対応国際規格:IEC 60245-3,Rubber insulated cables−Rated voltages up to and including 450/750
V−Part 3: Heat resistant silicone insulated cables
JIS C 9335-1 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性−第1部:通則
注記 対応国際規格:IEC 60335-1,Household and similar electrical appliances−Safety−Part 1: General
requirements
3
用語及び定義
用語及び定義は,JIS C 9335-1の箇条3(用語及び定義)によるほか,次による。
3.1.9
置換(3.1.9の全てを,次に置き換え適用する。)
通常動作(normal operation)
3
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次の条件の下で,ファンを運転する状態。
a) 卓上扇及び床上扇は,全ての首振り機構を動作させる。
b) 天井扇は,天井に固定する。
c) 仕切り用扇は,空気取入れ口の直径の4倍以上の長さをもつ,壁状取付部の中央に設置する。
d) ダクト用ファンは,据付説明書に従って,ファンの直径の約4倍の長さのダクト内に設置する。
追加(次の用語及び定義を追加し適用する。)
3.101
ダクト用ファン(duct fan)
気流が入口側及び出口側の両方にダクトで送られるように,囲まれた空気路内に設置するファン。
3.102
つり下げシステム(suspension system)
天井扇のユニットを天井に固定するために用いるシステム。
3.103
安全つり下げシステム装置(safety suspension system device)
天井扇に羽根の付いたモータを天井扇の取付けロッドに固定するために用いる装置。
4
一般要求事項
一般要求事項は,JIS C 9335-1の箇条4(一般要求事項)による。
5
試験のための一般条件
試験のための一般条件は,JIS C 9335-1の箇条5(試験のための一般条件)によるほか,次による。
5.7
追加(“ある部分の到達温度を”で始まる段落の後に,次を追加し規定する。)
熱帯気候の下で用いることを意図したファン(熱帯気候用ファン)について,箇条10,箇条11及び箇
条13の試験は,周囲温度を40 ℃±2 ℃で行う。
周囲動作温度を表示したファンについて,箇条10,箇条11及び箇条13の試験は,周囲動作温度の±2 ℃
で行う。
6
分類
分類は,JIS C 9335-1の箇条6(分類)によるほか,次による。
6.1
置換(6.1の全てを,次に置き換え規定する。)
ファンは,感電に対する保護に関し,クラス0,クラス0I,クラスI,クラスII又はクラスIIIのいずれ
かでなければならない。
クラス0は,次に示すファンだけ認める。
− 定格電圧が150 V以下の屋内用のファン
− 定格電圧が150 V以下で,屋外の手が触れない位置に取り付けるトイレ用換気扇
− シースをもたないコードを用いる可搬形床上専用のファン
適否は,目視検査及び関連する試験によって判定する。
6.2
追加(“適否は,目視検査”で始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
ダクト用ファンは,IPX2以上でなければならない。
4
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追加(次の細分箇条を追加し規定する。)
6.101
ファンは,気候条件に関して,次のいずれかでなければならない。
− 温帯気候用
− 熱帯気候用
適否は,目視検査によって判定する。
7
表示,及び取扱説明又は据付説明
表示,及び取扱説明又は据付説明は,JIS C 9335-1の箇条7(表示,及び取扱説明又は据付説明)による
ほか,次による。
7.1
追加(“適否は,目視検査”で始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
熱帯気候用ファンには,“T”の文字を表示しなければならない。
周囲温度が40 ℃を超える場所での運転を意図するファンには,周囲動作温度を表示しなければならな
い。
シースをもたないコードを用いる可搬形床上専用のファンには,次の趣旨を表示しなければならない。
− 警告:電源コードに重いものを載せたり,ファンで挟まない。
− ISO 7000の記号0434(記号の高さは10 mm以上)
扇風機及び換気扇[産業用のもの又は電気乾燥機(電熱装置をもつ浴室用のものに限る。)の機能を兼ね
る換気扇を除く。]は,次の趣旨を表示しなければならない。
− 製造年
− 設計上の標準使用期間(標準的な使用条件の下で用いた場合に安全上支障なく使用することができる
標準的な期間として,設計上設定された期間)
− “設計上の標準使用期間を超えて用いた場合,経年劣化による発火・けが等の事故に至る可能性があ
る。”旨
注記101A
扇風機のファン本体の台座の前面又は左右の空隙,柱の正面,首の上面又は下面などの
使用する位置から見える箇所は,表示に適している。
注記101B
扇風機の柱の後方,又は柱に隠れる台座部分は,表示に適してない。
7.12 追加(“この機器で遊ぶことがないように”で始まる細別の後に,次を追加し規定する。)
清掃目的のためにガードを取り外す旨の記載が取扱説明書にある場合,取扱説明書には,次の趣旨を記
載しなければならない。
“ガードを取り外す前に,ファンの電源が遮断されていることを確認する。”
扇風機及び換気扇[産業用のもの又は電気乾燥機(電熱装置をもつ浴室用のものに限る。)の機能を兼ね
る換気扇を除く。]の取扱説明書には,標準的な使用条件を超えて用いた場合に,標準使用期間よりも短い
期間で経年劣化による発火・けが等の事故に至る可能性がある旨を記載しなければならない。また,標準
的な使用条件等の設計上の標準使用期間の算出根拠を記載することが望ましい。
天井扇の取扱説明書には,次の趣旨の警告を記載しなければならない。
“警告:異常な首振り動作があった場合,直ちに天井扇の使用を停止し,製造業者,修理代理店又は適
切な資格をもつ者に連絡する。”
天井扇の取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。
− 保守サイクル及び保守方法
− ファンの質量:キログラム(kg)
5
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− 安全つり下げシステム装置の部品の交換は,製造業者,修理代理店又は適切な資格をもつ者によって
実施する旨。
ブラシ付きモータを組み込んだファンの取扱説明書には,次の趣旨を記載しなければならない。
“モータの動作を保証するために,ブラシを交換する必要がある場合,両極のブラシと接地ブラシと
を同時に交換しなければならない。ブラシの交換は,適切な資格をもつ者による。”
7.12.1 追加(“適否は,目視検査”から始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
天井扇の据付説明書には,次の事項を記載しなければならない。
− フック又は他の装置など,天井へ取り付けるための固定具には,天井扇の質量の4倍に等しい力に耐
える十分な強度で固定しなければならない旨。
− つり下げシステムの取付けは,製造業者,修理代理店又は適切な資格をもつ者が実施しなければなら
ない旨。
− ファンは,羽根が床上1.8 mを超える位置に設置しなければならない旨。
− 照明器具を取り付ける構造のファンの場合には,それに取り付ける照明器具のモデル名又は形式。
その他のファンの据付説明書は,次の趣旨の内容を含まなければならない。
− 仕切り用扇の場合には,屋外に面した窓又は壁に取り付けることを意図するか,否かの記載。
− 高所取付けを意図したファンの場合には,ファンの羽根を床上1.8 mを超える位置に設置しなければ
ならない旨。
− ダクト用ファン及び仕切り用扇の場合には,ガス又はほかの燃焼機器の外気に通じる排気筒から室内
への逆流を防止するために注意を払わなければならない旨。
8
充電部への接近に対する保護
充電部への接近に対する保護は,JIS C 9335-1の箇条8(充電部への接近に対する保護)によるほか,次
による。
8.1.1
置換(“差込プラグ又は全極遮断スイッチによって”から始まる段落を,次に置き換え規定する。)
電球は取り外さない。また,E14ランプホルダは,電球の挿入又は取外しのとき,電球口金の充電部と
の接触に対する保護が確実でなければならない。
注記101A
対応国際規格では,Modification(修正)としているが,適切でないため,規格利用者の
利便性を考慮し,この規格では,置換とした。
8.2
追加(“適否は,目視検査”から始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
内部配線の基礎絶縁は,使用者による保守のために着脱する部分を取り外した後,可触であってもよい。
ただし,内部配線の基礎絶縁が,JIS C 3662(規格群)又はJIS C 3663(規格群)によるコードの絶縁と
電気的に等価である場合に限る。
9
モータ駆動機器の始動
モータ駆動機器の始動は,この規格では規定しない。
10 入力及び電流
入力及び電流は,JIS C 9335-1の箇条10(入力及び電流)によるほか,次による。
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10.1 追加(“適否は,入力が安定したとき”で始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
シャッタ又はこれに類する装置をもつファンは,シャッタ又はこれに類する装置を開いた状態で試験す
る。
10.2 追加(“適否は,電流が安定したとき”で始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
シャッタ又はこれに類する装置をもつファンは,シャッタ又はこれに類する装置を開いた状態で試験す
る。
11 温度上昇
温度上昇は,JIS C 9335-1の箇条11(温度上昇)によるほか,次による。
11.7 置換(11.7の全てを,次に置き換え規定する。)
ファンは,定常状態に達するまで運転する。
11.8 追加(“保護装置は作動してはならず”で始まる段落の後に,次を追加し規定する。)
熱帯気候用ファンに対する温度上昇限度値は,表3に規定する値から15 Kを減じた値とする。
周囲動作温度を表示したファンに対する温度上昇限度値は,表3に規定する値から,周囲動作温度と
25 ℃との差分を減じた値とする。
12 (規定なし)
13 動作温度での漏えい電流及び耐電圧
動作温度での漏えい電流及び耐電圧は,JIS C 9335-1の箇条13(動作温度での漏えい電流及び耐電圧)
による。
14 過渡過電圧
過渡過電圧は,JIS C 9335-1の箇条14(過渡過電圧)による。
15 耐湿性等
耐湿性等は,JIS C 9335-1の箇条15(耐湿性等)によるほか,次による。
15.1.1 追加(“充電部をもち,かつ,”で始まる段落の後に,次を追加し規定する。)
屋外に面した窓又は壁に取り付けることを意図したファンの場合,ファンの外側の部分には,JIS C 0920
の14.2.4 a)(付図4に示すオシレーティングチューブを使用する場合の条件)による試験を適用し,ファ
ンの外側でない部分には,オシレーティングチューブからの噴水がかからないようにする。最初に,ファ
ンを停止状態にし,シャッタ又はこれに類する装置は開いた状態にする。その後,定格電圧を供給し,試
験を行う。
IPコードの第二特性数字を表示しているファンの場合は,停止状態及び定格電圧を加えた運転状態の両
方の条件で,JIS C 0920による試験を行う。
16 漏えい電流及び耐電圧
漏えい電流及び耐電圧は,JIS C 9335-1の箇条16(漏えい電流及び耐電圧)による。
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17 変圧器及びその関連回路の過負荷保護
変圧器及びその関連回路の過負荷保護は,JIS C 9335-1の箇条17(変圧器及びその関連回路の過負荷保
護)による。
18 耐久性
耐久性は,この規格では規定しない。
19 異常運転
異常運転は,JIS C 9335-1の箇条19(異常運転)によるほか,次による。
19.1 追加(“電圧切換スイッチを内蔵した機器には,”で始まる段落の後に,次を追加し規定する。)
制御装置によって動作するシャッタ又はこれに類する装置をもつファンには,19.101の試験も行う。
19.7 追加(“試験中,巻線の温度は,”で始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
独立した制御装置をつや消し黒に塗った合板に取り付ける。各換気口の面積の約50 %を塞ぐ。
合板の温度上昇は,次の値を超えてはならない。
− “T”の文字を表示するファンの場合,50 K
− その他のファンの場合,65 K
19.9 この規格では規定しない。
追加(次の細分箇条を追加し規定する。)
19.101 自動的に動作するシャッタ又はこれに類する装置をもつファンは,定格電圧を加えて,シャッタ
又はこれに類する装置を開けた状態又は閉めた状態のいずれか不利な方で運転する。
20 安定性及び機械的危険
安定性及び機械的危険は,JIS C 9335-1の箇条20(安定性及び機械的危険)によるほか,次による。
20.1 追加(“機器は,転倒してはならない。”で始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
高さが1.7 mを超え,かつ,重さが10 kgを超える可搬形の床上扇の場合は,水平な面に置く。ファン
の高さが1.5 mの位置に,40 Nの力を最も不利になる水平な方向に加える。
注記101 ファンが滑るのを防ぐために適した処置を行ってもよい。
追加(次の細分箇条を追加し規定する。)
20.101 ファンの羽根は,ガードで保護しなければならない。ただし,高所取付用のファン,及び羽根の
前部の縁(リーディングエッジ)並びに先端を,半径が0.5 mm以上で面取りし,かつ,次のいずれかに
よる場合は除く。
− 羽根の硬さが,D60未満である(JIS K 6253-3参照)。
− 定格電圧をファンに供給したときに,周速が15 m/s未満である。
− 定格電圧をファンに供給したときに,出力が2 W以下である。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
20.102 床上扇又は卓上扇の首振りヘッドの動きによって,挟み込まれたり,けがをしたりする危険があ
ってはならない。ただし,JIS C 0922の検査プローブ18が接触しないように,挟み込み点をガードで保護
している場合を除く。
適否は,次の試験によって判定する。
ファンは,定格電圧を供給し,検査プローブ18を,開口部の横方向と縦方向との挟み込み点に置く。
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検査プローブ18が運動部に接触する場合,検査プローブ18には,15 Nを超える力が加わってはならな
い。
21 機械的強度
機械的強度は,JIS C 9335-1の箇条21(機械的強度)によるほか,次による。
21.1 追加(“適否は,JIS C 60068-2-75”で始まる段落の後に,次を追加し規定する。)
ファンは,21.101の試験によっても判定する。
追加(次の細分箇条を追加し規定する。)
21.101 ファンモータの軸に沿って,ファンのガードに20 Nの押込み力及び引張り力を加える。試験後,
JIS C 0922の検査プローブB及び類似の検査プローブ(非円形面の代わりに直径が50 mmの円形停止面を
もつもの)を用いて5 Nを超えない力を加えたとき,危険な運動部に触れてはならない。
21.102 天井扇は,十分な強度をもっていなければならない。
適否は,次の試験によって判定する。
天井扇は,据付説明書に従って取り付ける。天井扇の質量の4倍に等しいおもりを天井扇につり下げ,1
分間保持する。
次に,1 Nmのトルクを1分間,固定した天井扇に加える。その後,1 Nmのトルクを1分間,反対方向
にも加える。
あらゆる安全つり下げシステム装置を含む,つり下げシステムは,破損してはならない。ファンには,
いかなる損傷があってはならない。ファンが損傷する可能性がある場合には,8.1,16.3及び箇条29の一
つ又は複数によって判定する。
注記 この試験の意図は,天井扇の部分を試験することであって,天井材料の能力を試験することで
はない。
22 構造
構造は,JIS C 9335-1の箇条22(構造)によるほか,次による。
22.1 追加(“適否は,関連する試験”で始まる段落の前に,次の注記を追加し規定する。)
注記101 JIS C 0920の3.1に定義されている外郭には,ファンの羽根のガードは含まない。
22.11 追加(“試験結果が影響を受けないよう吸引カップなどの”で始まる段落の前に,次を追加し規定す
る。)
ファンのガードを固定するクリップに対しては,50 Nの引張力は加えない。ただし,クリップのあらゆ
る方向に対して,ファンのガードを外す方向に15 Nの引張力を加える。
注記101A
対応国際規格では,Modification(修正)としているが,適切でないため,規格利用者の
利便性を考慮し,この規格では,追加とした。
追加(次の細分箇条を追加し規定する。)
22.101 照明器具を取り付ける手段をもつファンは,適切な端子及び内部配線をもっていなければならな
い。照明器具と関連する内部配線は,JIS C 3663-3によるタイプIE 2のシリコンゴムコンパウンドと同等
以上の絶縁をもたなければならない。この要求事項は,照明器具を破壊しない限り,交換できないファン
には適用しない。
適否は,目視検査によって判定する。
22.102 天井扇の構造は,モータを取付けロッドに固定する器具の故障によって,使用者への傷害,又は
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周囲への損害の危険が生じない構造でなければならない。
適否は,22.102.1〜22.102.5のいずれかの要求事項,及び検査又は試験のうち,構造に適した方法によっ
て判定する。試験後,天井扇は,いかなる損傷もあってはならない。ファンが損傷する可能性がある場合
は,8.1,16.3,29.1及び29.2の一つ又は複数によって判定する。
22.102.1 天井扇には,つり下げシステムの故障前に電源から遮断する構造でなければならない。構造の一
例を,図101に示す。
適否は,次の試験によって判定する。
ダウンロッドをモータに接続するボルトは,特別に準備した図102に示す試験ピンと交換する。このピ
ンは,ボルトの損耗を模擬するものである。ダウンロッドをモータに接続するためにピンを十分に挿入す
る。
ファンには,定格電圧を供給し,最大速度で運転する。次に,図102に示す直径が“b”のピン部分によ
ってモータにダウンロッドを接続するように,このピンを部分的に引き出す。
天井扇の電源は,自動的に遮断しなければならない。また,試験によって損耗したボルトを交換しない
限り,ファンは動作してはならない。
22.102.2 天井扇は,つり下げシステムの故障後,ファンモータ及び羽根が300 mmを超えて落下してはな
らない。また,ファンを電源から自動的に遮断する構造でなければならない。構造の一例を,図103に示
す。
適否は,次の試験によって判定する。
天井扇は,据付説明書に従って設置する。
天井扇の質量の2倍に等しいおもりを,天井扇につるす。
ファンに定格電圧を供給し,最大速度で運転する。
モータをダウンロッドから切り離すことによって,つり下げシステムの故障を模擬する。
モータ及び羽根は,元の位置から300 mmを超えて落下してはならない。また,天井扇を電源から自動
的に遮断する構造でなければならない。
22.102.3 天井扇は,一つ又は複数の止めねじによってロックしたねじ式ダウンロッドを介して,羽根及び
モータをつり下げシステムに接続する構造でなければはならない。この構造の一例を,図104に示す。
適否は,目視検査によって判定する。
22.102.4 天井扇は,つり下げシステムが故障した場合,追加の通しボルト,止めワッシャ及びナットによ
って,落下距離が75 mm未満に制限するような構造でなければならない。構造の一例を,図105に示す。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
22.102.5 天井扇は,つり下げシステムの故障を防止するのに必要な全ての部品を,腐食に耐えるように,
処理するか又はコーティングを施さなければならない。全ての固定ボルトは,直径が5 mm以上であって,
引張り強度が200 MPa以上でなければならない。全ての固定ボルトは,振動によって緩んではならない。
構造の一例を,図106に示す。
適否は,目視検査及び測定によって判定する。
23 内部配線
内部配線は,JIS C 9335-1の箇条23(内部配線)によるほか,次による。
23.3 追加(“適否は,目視検査”で始まる段落の後に,次を追加し規定する。)
首振り機構をもつファンは,定格電圧を供給し,通常動作状態で運転する。往復動作の角度は,構造上
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C 9335-2-80:2019
許される最大の角度にして試験する。試験は,往復動作を100 000サイクル行う。
注記101A
22.11の注記101Aと同じ。
24 部品
部品は,JIS C 9335-1の箇条24(部品)によるほか,次による。
24.2 追加(“可とうコードの中間に”で始まる細別の後に続けて,次の文を追加し規定する。)
ただし,入力が25 W以下のファンは,可とうコードの中間に接続したスイッチを取り付けることがで
きる。
追加(次の細分箇条を追加し規定する。)
24.101 箇条19の規定を満たすために必要なダクト用ファンに組み込まれている温度過昇防止装置は,非
自己復帰形でなければならない。
適否は,目視検査によって判定する。
25 電源接続及び外部可とうコード
電源接続及び外部可とうコードは,JIS C 9335-1の箇条25(電源接続及び外部可とうコード)によるほ
か,次による。
25.5 置換(“第2部の個別規格で”で始まる細別を,次の細別に置き換え規定する。)
− 可搬形のファンには,Z形取付けを認める。
注記101A
対応国際規格では,Addition(追加)としているが,適切でないため,規格利用者の利便
性を考慮し,この規格では,置換とした。
25.7 追加(“適否は,目視検査”で始まる段落の前に,次を追加し規定する。)
7.1に規定する追加表示を行った可搬形床上専用のファン(非定置のものに限る。)のクラス0機器は,
コード収納装置を備えている場合又はコードに可とう性がないとファンが転倒する可能性がある場合(例
えば,ファンの高さが130 cm未満の扇風機),キャブタイヤ以外の同等以上の特性をもつコード(シース
なしコード)を用いてもよい。
注記101A
電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(20130605商局第3号)の別表第一による
コードは,同等以上の特性をもつコードとみなす。
26 外部導体用端子
外部導体用端子は,JIS C 9335-1の箇条26(外部導体用端子)による。
27 接地接続の手段
接地接続の手段は,JIS C 9335-1の箇条27(接地接続の手段)によるほか,次による。
27.3 追加(“適否は,目視検査”で始まる段落の後に,次を追加し規定する。)
ブラシの摩耗によって充電部ブラシの接続ができなくなり,ファンの運転が停止した場合であっても,
接地極に接続されたブラシによって接地接続を維持しなくてはならない。
適否は,試験によって判定する。
28 ねじ及び接続
ねじ及び接続は,JIS C 9335-1の箇条28(ねじ及び接続)による。
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C 9335-2-80:2019
29 空間距離,沿面距離及び固体絶縁
空間距離,沿面距離及び固体絶縁は,JIS C 9335-1の箇条29(空間距離,沿面距離及び固体絶縁)によ
るほか,次による。
29.2 追加(“次を除き,汚損度2を適用する。”で始まる段落の細別の最後に,次の細別を追加し規定す
る。)
− ファンの通常使用中に汚染にさらされることがないように密閉又は設置が施されていない絶縁は,汚
損度3を適用する。
30 耐熱性及び耐火性
耐熱性及び耐火性は,JIS C 9335-1の箇条30(耐熱性及び耐火性)によるほか,次による。
30.2.2 この規格では規定しない。
31 耐腐食性
耐腐食性は,JIS C 9335-1の箇条31(耐腐食性)による。
32 放射線,毒性その他これに類する危険性
放射線,毒性その他これに類する危険性は,JIS C 9335-1の箇条32(放射線,毒性その他これに類する
危険性)による。
A 故障前
B 故障後
記号
A: 3.102に定義するつり下げシステム
1: 接続ボルト
2: 取付けロッド(ダウンロッド)
B: つり下げシステムの故障前にファンを電源から遮断する装置
3: 接続ボルトの故障前に電源を遮断するためにモータユニットに固定された電気安全装置(安全スイッチ)
4: 最初に安全スイッチをオン状態に保持するために取付けロッドに固定されたストッパ
図101−つり下げシステムの故障前にファンを電源から遮断する装置の例
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C 9335-2-80:2019
記号
A: ストッパピン
B: 元のボルト以上の長さをもつ全厚部
C: 元のボルト以上の長さをもつ厚さ低減部
a: ダウンロッドをモータに接続するための元のボルトと同じ直径
b: aの50 %の直径
図102−試験ピン
A 故障前
B 故障後
記号
A: 3.102に定義するつり下げシステム
1.1: 接続フック及び接続ボルト
1.2: 接続ボルト
2:
取付けロッド(ダウンロッド)
B: つり下げシステムの故障後の3.103に定義する安全つり下げシステム
3:
機械的安全つり下げシステム装置(安全線)によってつり下げる天井扇モータユニット
4:
つり下げシステムの故障後に電源を遮断するための端子
図103−ファンを電源から自動的に遮断する構造の例
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C 9335-2-80:2019
記号
1: 止めねじ
2: ねじ式ダウンロッド
図104−一つ又は複数の止めねじによってロックしたねじ式ダウンロッドを介して,
羽根及びモータをつり下げシステムに接続する構造の例
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C 9335-2-80:2019
A 故障前
B 故障後
記号
A: 3.102に定義するつり下げシステム(固定ボルト)
1: 固定ボルト
2: 追加通しボルト
B: つり下げシステム故障後の安全つり下げシステム(追加通しボルト)
3: 落下距離を制限する追加通しボルト
4: 固定ボルトの故障
図105−つり下げシステム故障後の安全つり下げシステム(追加通しボルト)の例
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C 9335-2-80:2019
記号
A: 取付け金具
B: 取付けロッド
C: 天井扇のモータユニット
D: つり下げシステムの固定ボルト
図106−振動に対して緩まない構造の例
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C 9335-2-80:2019
附属書
附属書は,JIS C 9335-1の附属書による。
参考文献
参考文献は,JIS C 9335-1の参考文献によるほか,次による。
追加(次の参考文献を追加し適用する。)
JIS K 6253-3:2012 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ
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C 9335-2-80:2019
附属書JAA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 9335-2-80:2019 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性−第2-80部:
ファンの個別要求事項
IEC 60335-2-80:2015,Household and similar electrical appliances−Safety−Part 2-80:
Particular requirements for fans
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及び
その内容
(V)JISと国際規格との技
術的差異の理由及び今後
の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
この規格の適用範囲を示
す。
1
JISとほぼ同じ
追加
対応国際規格の“ダクト用ファン”には,日本
の“中間ダクト用ファン”又は“ダクト用換気
扇”が含まれない可能性がある。また,他の換
気扇を明確化した。
我が国独自の事情による。
6 分類
6.1 通常,手で触れない屋
外用のトイレ用換気扇の
クラス分類
6.1
JISとほぼ同じ
追加
JIS C 9335-1を採用し,クラス0を追加した。 我が国の配電事情による。
7 表示,及び
取扱説明又
は据付説明
7.1 本体への表示要求
7.1
JISとほぼ同じ
追加
シースのないコードを使用する可搬形床上専
用のファンを,日本独自の使用形態によって条
件付きで認めることとした。
我が国の配電事情による。
追加
長期使用製品安全表示制度の規定を追加した。 我が国の配電事情による。
7.12 取扱説明書への記載
要求事項
7.12
JISとほぼ同じ
追加
7.1の長期使用製品安全表示制度の規定を追加
した。
我が国の配電事情による。
7.12.1 高所取付けのファ
ンの羽根の設置について
7.12.1 JISとほぼ同じ
変更
我が国の多くの住宅では,2.3 m以上の設置場
所がないため変更した。
我が国の住宅事情による。
25 電源接続
及び外部可
とうコード
25.7 シースのないコード
を使用する扇風機を規定
25.7 JISとほぼ同じ
追加
シースのないコードを使用する扇風機を,我が
国独自の使用形態によって条件付きで認めた。
我が国独自の事情による。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60335-2-80:2015,MOD
2
C
9
3
3
5
-2
-8
0
:
2
0
1
9
18
C 9335-2-80:2019
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
C
9
3
3
5
-2
-8
0
:
2
0
1
9