C 8957:2019
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目 次
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1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 モジュール ······················································································································ 2
4.1 構造 ···························································································································· 2
4.2 電気的特性 ··················································································································· 3
5 アレイ···························································································································· 3
5.1 構造 ···························································································································· 3
5.2 電気的特性 ··················································································································· 4
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
C 8957:2019
太陽電池モジュール・アレイ互換性標準
Interrelationship of photovoltaic modules and arrays
1
適用範囲
この規格は,出力が50 kW未満の太陽光発電システムに供する結晶系シリコン太陽電池モジュール及び
アレイの中で,陸屋根又は勾配屋根に設置するものについて規定する。この規格は,保有しなければなら
ない構造的及び電気的な互換性をもたせるための項目を規定する。
なお,この規格は,次のモジュール及びアレイには適用しない。
a) 屋根しゅう(葺)材などの建材としての機能をもつモジュール及びアレイ
b) 集光式及び追尾式太陽電池モジュール及びアレイ
c) 太陽光及び太陽熱ハイブリッド形太陽電池モジュール及びアレイ
d) ACモジュール
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引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
JIS C 0922 電気機械器具の外郭による人体及び内部機器の保護−検査プローブ
JIS C 8918 結晶系太陽電池モジュール
JIS C 8951 太陽電池アレイ通則
JIS C 8952 太陽電池アレイの表示方法
JIS C 8955 太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法
JIS C 8960 太陽光発電用語
JIS C 8992-1 太陽電池モジュールの安全適格性確認−第1部:構造に関する要求事項
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 8951,JIS C 8955及びJIS C 8960によるほか,次による。
3.1
出力端子保護カバー
モジュールから電気出力を取り出すため,ケーブル,バイパスダイオードなどが接続できるようにモジ
ュールに取り付けたボックス。
3.2
勾配屋根
切り妻,寄せ棟など,屋根面が傾斜している屋根。
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3.3
陸屋根
屋根面が水平又は水平に近い屋根。
3.4
通風路
屋根に取り付けたモジュールの裏面などに設ける通風用の空間。
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モジュール
4.1
構造
構造は,次による。
a) 基本構造 スーパーストレート構造で,枠(フレーム)をもつ構造とする。
b) 枠(フレーム) 金属など硬質な材料とし,モジュールを裏側又は表側からボルト類によって固定で
きる構造とする。
なお,モジュールを支持物に固定した状態で,アレイの想定荷重(固定荷重,風圧荷重,積雪荷重
及び地震荷重)に耐え得る強度とし,想定荷重は,JIS C 8955による。
c) 取付方法 取付方法は,モジュールを1枚単位で取付け及び取外しが可能な取付方法とする。また,
モジュール長辺枠を1辺当たり2か所,合計4か所以上で取付金具又はボルト類によって支持物に固
定する。
d) 取付金具及びボルト類 取付金具及びボルト類の強度は,アレイの想定荷重(固定荷重,風圧荷重,
積雪荷重及び地震荷重)に耐え得る強度とする。
なお,想定荷重は,JIS C 8955による。
e) 出力端子の接続方式 出力端子の接続方式は,次による。
1) 出力端子の構造,寸法,強度などについては,JIS C 8992-1の7.2(現地配線端子)による。
2) モジュールに附属する電線は,公称断面積が2.0 mm2の軟銅線又はこれと同等以上の強さ及び太さ
のものとし,JIS C 8992-1の7.4(出力リード又はケーブル)によるほか,アレイの短絡電流に耐え
なければならない。また,耐候性がある電線でなければならない。
3) モジュールに附属する電線は,施工上及び保守上,作業に支障がない長さとする。
f)
太陽電池モジュールの極性表示 太陽電池モジュールの極性表示は,次による。
1) モジュールの極性を,出力端子保護カバー内の端子近傍又は出力端子保護カバー表面に記号,文字
又は色のうち一つ以上の方法で明瞭に表示しなければならない。また,出力端子保護カバーからリ
ード線を延ばして,先端にコネクタ(差込接続器)などの接続器を設ける場合は,コネクタの表面
又はその近傍に表示し,出力端子保護カバー内の端子近傍又は出力端子保護カバー表面にも表示し
なければならない。
2) 極性の表示方法は,記号を用いる場合は正極を+,負極を−とし,文字の場合は正極をP,負極を
Nとする。色を用いる場合は正極を赤,負極を青,又は正極を白,負極を黒とする。
g) コネクタの構造及び性能 コネクタの構造及び性能は,次による。
1) モジュールの接続に用いるコネクタの充電部には,JIS C 0922に規定する検査プローブ11(図1参
照)が触れない構造でなければならない。
2) モジュールの接続時にアークが発生するおそれがある部分に用いる絶縁物は,アークによって有害
な変形,絶縁低下など変質が生じてはならない。
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3) 長期間経過しても接触抵抗が増加してはならない。
4) 防水構造でなければならない。防水性能としては,コネクタが屋根上に接する可能性を考慮した場
合,JIS C 0920で規定するIP55と同等の防水性をもたなければならない。
5) モジュールの接続に用いる差込プラグ及びプラグ受け間の引張強度は,地震などの災害時の安全性
を考慮して,出力端子カバー内の端子強度より小さく,かつ,作業性を損なわない範囲で十分な強
度をもち,外部荷重にも耐えなければならない。
6) 外郭の材料は,耐候性及び耐熱性をもっていなければならない。太陽電池モジュールの機能耐用年
数との整合をとり,モジュールの使用期間耐え得るものでなければならない。
単位 mm
図1−検査プローブ
4.2
電気的特性
太陽電池モジュールの出力特性の表示を,設置者が容易にモジュール出力特性を判別できるように,JIS
C 8918及びJIS C 8952に従って,銘板表示をするとともに仕様書に記載しなければならない。
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アレイ
5.1
構造
5.1.1
陸屋根用アレイ
陸屋根用アレイの構造は,次による。
a) 支持物の構造 モジュールを直接受ける部材は,モジュール裏面側から小ねじを差し込み,かつ,固
定できる構造,又は表側から取付金具及びボルト類で固定できる構造でなければならない。
b) 支持物の強度 アレイを組んだ状態で,想定荷重(固定荷重,風圧荷重,積雪荷重及び地震荷重)に
耐え得る強度をもたなければならない。
なお,想定荷重は,JIS C 8955による。
c) 屋根への取付方法 屋根への取付方法は,支持物を建築物の構造耐力上主要な部分に堅固に連結する
方法か,又は重量基礎,コンクリートなどの重量物を用いて,想定荷重に対して十分な強度及び安全
性を確保できると同時に,雨漏りなど建築物へ悪影響を与えない方法とする。堅固に連結する方法の
場合には,取付部分がアレイから受ける想定荷重(固定荷重,風圧荷重,積雪荷重及び地震荷重)に
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耐えるように配置する。重量物を用いる方法の場合には,想定荷重が屋根の許容できる最大荷重を下
回るように支持物を分散配置する。
なお,想定荷重は,JIS C 8955による。
d) モジュールの交換 モジュールの破損などによって一部のモジュールを交換する必要が生じた場合
は,同一仕様のモジュールと交換する。ただし,同一仕様の製品の入手が困難な場合には,5.2 d) に
規定する電気特性を満足するもので,外形寸法及び強度が交換前のものに近いものと交換する。
5.1.2
勾配屋根用アレイ
勾配屋根用アレイの構造は,次による。
a) 支持物の構造 アレイを組んだ状態で,屋根面に対してモジュール面が平行になる構造でなければな
らない。モジュールを直接支持する部材は,モジュール表面側から取付金具及びボルトが取り付けら
れる構造でなければならない。
なお,取付金具及びボルトは,モジュール表面から10 mm以上表側に突き出さない構造でなければ
ならない。10 mm以上突き出す場合は,影の影響が少ないことを確認する。
b) 支持物の強度 アレイを組んだ状態で,想定荷重(固定荷重,風圧荷重,積雪荷重及び地震荷重)に
耐え得る強度をもつものでなければならない。
なお,想定荷重は,JIS C 8955による。
c) 通風路 太陽電池モジュールの温度上昇を抑制するために通風路を設ける場合は,開口部における屋
根材の山の部分からモジュール裏面までの間隔を50 mm以上とすることが望ましい。
d) 屋根への取付方法 屋根への取付方法は,支持物を建築物の構造耐力上主要な部分に堅固に連結して,
想定荷重に対して十分な強度及び安全性を確保できると同時に,雨漏りなど建築物へ悪影響を与えな
い方法でなければならない。支持物の取付部分がアレイから受ける想定荷重(固定荷重,風圧荷重,
積雪荷重及び地震荷重)に耐えるように分散配置する。
なお,想定荷重は,JIS C 8955による。
e) モジュールの交換 モジュールの破損などによって一部のモジュールを交換する必要が生じた場合
は,同一仕様のモジュールと交換する。ただし,同一仕様の製品の入手が困難な場合には,5.2 d) に
規定する電気特性を満足するもので,外形寸法及び強度が交換前のものに近いものと交換する。交換
したことによって,他のモジュールとの間に著しく大きな隙間又は段差が生じたり,モジュール固定
部分がさらされたりして防水性の低下,隙間へのごみの堆積などが懸念される場合には,その影響を,
化粧板などを用いることによって防がなければならない。
5.2
電気的特性
電気的特性は,次による。
a) アレイ出力電圧 アレイ出力電圧は,次による。
1) 標準太陽電池アレイ出力電圧は,180 V〜240 Vとする。ただし,標準太陽電池アレイ出力電圧が180
V〜240 Vの範囲外の場合は,接続するパワーコンディショナの整合性を考慮して決定し,要求仕様
を仕様書などに記載する。
2) 太陽電池アレイ出力電圧は,太陽電池モジュールが温度への依存性をもつため,気象条件及び設置
条件を考慮して,その変動値がパワーコンディショナの入力電圧範囲内に入るようにしなければな
らない。
注記 標準太陽電池アレイ出力電圧を200 Vとすると,太陽電池温度が0 ℃〜60 ℃の範囲では,ア
レイ出力電圧は,約220 V(0 ℃)〜約170 V(60 ℃)となる。ただし,太陽電池セルの直列
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数又は太陽電池の種類によって変動値が異なるため注意が必要である。
b) アレイ開放電圧 アレイ開放電圧は,350 V以下とする。ただし,設計上の必要性又は気象条件及び
設置条件によって,350 Vを超える可能性がある場合は,その旨を仕様書などに記載する。
c) ストリング出力電圧 モジュールの配置の都合上などの理由によって,a) 1) に規定するアレイ出力電
圧の範囲外になるか,又は他のストリング出力電圧に比べて著しく出力電圧が異なるストリングには,
昇圧用コンバータを挿入して電圧調整を行う。
d) モジュールの交換 モジュールの破損などによって一部のモジュールを交換する必要が生じた場合
は,同一仕様のモジュールと交換する。ただし,同一仕様の製品の入手が困難な場合には,破損モジ
ュールを取り外した後,当該箇所を短絡するか,又は次の1)〜3) の条件を全て満足するモジュールと
交換し,必要に応じて4) の対応を行う。
1) 標準状態における短絡電流は,交換前のモジュールの銘板表示の値の90 %以上で,110 %以下とす
る。これが困難な場合は,80 %以上で,125 %以下としてもよい。
2) 標準状態における開放電圧は,当該ストリングの開放電圧が並列接続する他のストリングの開放電
圧の105 %以上とする。
3) 当該モジュールに附属するバイパス素子及び電線は,交換前のモジュールに附属していたものと同
等の性能とする。
4) 2) において開放電圧が115 %以上となる場合には,電圧調整用コンバータを挿入して115 %未満に
なるよう電圧調整を行うことが望ましい。