C 8943:2009
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 測定条件························································································································· 2
4.1 標準状態 ······················································································································ 2
4.2 基準状態 ······················································································································ 2
5 測定装置························································································································· 2
6 測定······························································································································· 3
6.1 測定項目 ······················································································································ 3
6.2 測定方法 ······················································································································ 3
6.3 測定手順 ······················································································································ 4
7 測定データの処理方法 ······································································································· 5
7.1 測定データの補正 ·········································································································· 5
7.2 補正式 ························································································································· 5
7.3 各パラメータの算出方法 ································································································· 6
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技術振興協会(OITDA)及び財
団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格
JIS
C 8943:2009
多接合太陽電池セル・モジュール
屋内出力測定方法(基準要素セル法)
Indoor measuring method of output power for multi-junction
solar cells and modules (Component reference cell method)
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適用範囲
この規格は,JIS C 8941に規定する二次基準多接合太陽電池要素セル(以下,二次基準要素セルという。)
及びJIS C 8942に規定する多接合太陽電池測定用ソーラシミュレータ(以下,ソーラシミュレータという。)
を使用して,平面・非集光形の電力発電を目的とする地上用多接合太陽電池セル,地上用多接合太陽電池
サブモジュール及び地上用多接合太陽電池モジュール(以下,太陽電池セル・モジュールという。)の出力
特性を測定する方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 8910 一次基準太陽電池セル
JIS C 8912 結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ
JIS C 8913 結晶系太陽電池セル出力測定方法
JIS C 8941 二次基準多接合太陽電池要素セル
JIS C 8942 多接合太陽電池測定用ソーラシミュレータ
JIS Z 8103 計測用語
JIS Z 8113 照明用語
JIS Z 8120 光学用語
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8103,JIS Z 8113及びJIS Z 8120によるほか,次による。
3.1
基準要素セル校正値比
測定に用いる複数の二次基準要素セルの校正値で規格化した電流値の比。
例として,二接合型太陽電池の各要素セルを模擬した二個の二次基準要素セルの場合の基準要素セル校
正値比を式(1)で表す。
)
/
(
)
/
(
bcal
bm
tcal
tm
I
I
I
I
CR=
······································································· (1)
ここに,
CR: 基準要素セル校正値比
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Itm: 基準要素セル(上部発電層に対応)の電流値
Itcal: 基準要素セル(上部発電層に対応)の校正値
Ibm: 基準要素セル(下部発電層に対応)の電流値
Ibcal: 基準要素セル(下部発電層に対応)の校正値
4
測定条件
4.1
標準状態
太陽電池セル・モジュールの測定条件は,次による。
a) セル・モジュール温度
15〜35 ℃
b) 放射照度
1 000±50 W/m2
c) 光源の条件
箇条5 f) による。
4.2
基準状態
基準状態は,次による。
a) セル・モジュール温度
25 ℃
b) 分光分布
基準太陽光(JIS C 8941参照)
c) 放射照度
1 000 W/m2
5
測定装置
測定装置は,次による。
a) 電圧計及び電流計は,±0.5 %の精度を有するものとする。
なお,抵抗器の精度は,±0.2 %以内とする。
b) 電圧計は,測定中のいかなる場合でも,電圧計に流入する電流が,短絡電流Iscの0.1 %を超えないよ
うに,入力インピーダンスが高くなければならない。
c) 温度の測定には精度±1 ℃の温度計を用いる。
d) 放射照度の設定は,JIS C 8941に規定する二次基準要素セルを用いて行う。
なお,二次基準要素セルは,セル温度を25±2 ℃に制御した状態とする。
e) 二次基準要素セルは,一次基準要素セル及びJIS C 8942に規定する等級MS若しくは等級MA,又は
JIS C 8912に規定する等級Aのソーラシミュレータを用いてJIS C 8910の規定に従って校正したもの
を用いる。
f)
測定光源は,JIS C 8942に規定する等級MS,等級MA又は等級Bのソーラシミュレータを用いる。
スペクトル合致度は除外事項とする。ただし,何らかの方法でソーラシミュレータのスペクトルを調
整し,(二次)基準要素セル校正値比が1.0で,かつ,設定した放射照度下でのスペクトルミスマッチ
誤差が±1 %以内になるように調整する。
g) バイアス用電源(バイポーラ電源を含む。)は,被測定太陽電池セル・モジュールの可変負荷(電子負
荷を含む。)として用いることができるもので,図1のI-V特性曲線上のA点(電圧が負の値を示す
点)とB点(電流が負の値を示す点)との間で,電圧をステップ状又は連続的に掃引できなければな
らない。
注記 被測定太陽電池セル・モジュールにかかる逆バイアス電圧によって,被測定太陽電池セル・
モジュールは,特性劣化又は破壊を起こす場合があるので,被測定太陽電池セル・モジュー
ルの種類ごとに逆バイアス電圧の最大値を制御できることが望ましい。ただし,逆バイアス
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電圧については,太陽電池モジュール製造業者の指定する値を用いることが望ましい。
注a) A点の電圧値は,7.2に規定する補正をした
後でも,負であるように設定することが望ま
しい。
b) B点の電流値は,7.2に規定する補正をした
後でも,負であるように設定することが望ま
しい。
c) C:I-V特性曲線と電流軸との交点
d) D:I-V特性曲線と電圧軸との交点
図1−I-V特性曲線
6
測定
6.1
測定項目
次の項目について,被測定太陽電池セル・モジュールの特性値を測定する。
a) 短絡電流 Isc(mA又はA)
b) 開放電圧 Voc(mV又はV)
c) 最大出力 Pm(mW又はW)
d) 最大出力動作電圧 Vpm(mV又はV)
e) 最大出力動作電流 Ipm(mA又はA)
f)
曲線因子 FF
g) 太陽電池セル・モジュール変換効率 η (%)
h) 電圧規定電流 Iv(mA又はA)
i)
電流規定電圧 Vi(mV又はV)
6.2
測定方法
測定方法は,次による。
a) 被測定太陽電池セル・モジュールの接続は,4端子法を用いる。プローブ,リード線などの接続は,
被測定太陽電池セル・モジュールを遮へいしないよう,集電電極など発電に寄与しない部分に配置し,
遮へいされる面積が,被測定太陽電池セル・モジュールの有効面積の3 %以上にならないようにする。
b) I-V特性曲線の測定は,図2などの回路を使用し,その測定点数は,FFの推定精度が±2 %以内とな
るように選定する。
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図2−I-V特性曲線の測定回路の一例
c) バイポーラ電源及び電子抵抗負荷は,連続的又はステップ状に変化させる。その電圧の範囲は,短絡
電流付近から開放電圧までとする。
d) バイポーラ電源及び電子抵抗負荷をステップ状に変化させる場合,電圧・電流のサンプリング遅延時
間は,被測定太陽電池セル・モジュールの時定数の4倍以上とする。
e) ガラス基板の多接合太陽電池では,測定誤差を最小にするため,セル周辺部の非発電部分は,黒色板
などで遮へいし,発電部以外に照射された光の回り込みを防ぐ。
なお,バイパスダイオード及び逆流防止ダイオードは,通常,取り外す。ただし,取り外すことのでき
ない場合は,短絡電流又は開放電圧は外挿して求める。
6.3
測定手順
測定手順は,次による。
a) ソーラシミュレータを点灯し,放射照度が一定になるまで放置する。
b) 二次基準要素セルを試験面上で,ソーラシミュレータの光軸と±5°以内になるように置く。
c) 二次基準要素セルのセル温度を25±2 ℃にする。
d) 光を照射し,被測定太陽電池セル・モジュールの各層の要素セルに対応する二次基準要素セルすべて
の短絡電流Iscを4.1 b) で定めた放射照度になるようにソーラシミュレータを調整する。直径5 cm以
上の太陽電池セル(角形の太陽電池セルでは,対角線の長さが5 cm以上)を測定するときには,測定
に使用する面積内で,少なくとも中央部及び周辺部4か所の放射照度を測定し,その平均値をもって
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放射照度とする。
e) スペクトルミスマッチ誤差が,±1 %以内であることを確認する。
f)
二次基準要素セル及び被測定太陽電池セル・モジュールの面を,±5°以内で同一平面上に設置する。
g) 被測定太陽電池セル・モジュールのI-V特性曲線及び温度を測定する。
h) 測定中,随時,二次基準要素セルで放射照度を測定し,4.1 b) の値であることを確認する。また,ス
ペクトルミスマッチ誤差が±1 %以内であることを確認する。
7
測定データの処理方法
7.1
測定データの補正
箇条6で測定したデータは,必要な場合には,7.2に示す補正式によって基準状態へ補正する。
ただし,次のa) 及びb) を満足する場合は,補正を行わなくてもよい。
a) 被測定太陽電池セル・モジュール温度が,25±2 ℃の範囲にあるとき。
b) 放射照度が,1 000±10 W/m2の範囲にあるとき。
7.2
補正式
直線補間の方法によって,次の温度補正及び照度補正を行い,基準状態のI-V特性曲線へ補正する。た
だし,放射照度E1は950 W/m2以上とし,放射照度E2は1 050 W/m2以下とする。また,どの条件において
も各二次基準要素セルで測定された基準要素セル校正値比は,箇条5 f) に示す値でなければならない。
a) 温度補正1 放射照度(E1)の条件で,温度が異なるI-V特性を二つ測定する(図3の1,2)。二つの異
なる温度T1,T2における短絡電流値をIsc1,Isc2とし,それぞれのI-V特性上の電圧値,電流値を(V1, I1)
及び(V2, I2)とする。ただし,I2=I1+(Isc2−Isc1)となるようにI1及びI2を選ぶ。これらによって,式(2)
及び式(3)を用いて,T3 (=25 ℃)のときのI-V特性上の電圧値及び電流値(V3, I3)を計算する(図3の5)。
b) 温度補正2 放射照度(E2)の条件で,a) と同様に温度が異なるI-V特性を二つ測定する(図3の3,4)。
この二つのI-V特性から,a) と同様に,T3 (=25 ℃)のときのI-V特性に換算する(図3の6)。
c) 照度補正 温度補正で求めた二つのI-V特性(図3の5,6)上の電圧値,電流値を(V1, I1)及び(V2, I2)
とする。ただし,V2=V1となるようにV1及びV2を選ぶ。これらによって,式(4)を用いて照度E3のと
きのI-V特性上電圧値及び電流値(V3, I3)を計算する(図3の7)。
[
])
(
)
(
)
(
)
(
1
1
2
2
1
2
1
3
1
1
3
3
I
V
I
V
T
T
T
T
I
V
I
V
−
×
−
−
+
=
·········································· (2)
なお,式(2)のI1,I2及びI3は,次の条件を満たす値とする。
)
(
1
2
1
2
1
3
1
3
I
I
T
T
T
T
I
I
−
×
−
−
+
=
····························································· (3)
[
])
(
)
(
)
(
)
(
1
2
1
2
1
3
1
3
V
I
V
I
E
E
E
E
V
I
V
I
−
×
−
−
+
=
············································ (4)
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図3−直線補間法の説明図
7.3
各パラメータの算出方法
短絡電流(Isc),開放電圧(Voc),最大出力(Pm),最大出力動作電圧(Vpm),最大出力動作電流(Ipm),曲線因子
(FF),太陽電池セル・モジュール変換効率(η),電圧規定電流(Iv)及び電流規定電圧(Vi)を,JIS C 8913の6.4
(各パラメータの算出方法)によって算出する。