C 8930:2017
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 供試品···························································································································· 2
4 試験方法························································································································· 3
4.1 一般 ···························································································································· 3
4.2 バイパスダイオード機能性試験 ························································································ 3
5 試験前処理 ······················································································································ 4
6 初期測定························································································································· 4
6.1 一般 ···························································································································· 4
6.2 結晶シリコン ················································································································ 4
6.3 薄膜 ···························································································································· 4
6.4 集光形太陽電池(CPV)モジュール ·················································································· 4
7 塩水噴霧試験方法 ············································································································· 5
8 洗浄及び回復 ··················································································································· 5
9 最終測定························································································································· 5
9.1 一般 ···························································································································· 5
9.2 結晶シリコン ················································································································ 5
9.3 薄膜 ···························································································································· 5
9.4 集光形太陽電池(CPV)モジュール ·················································································· 6
10 要求事項 ······················································································································· 6
10.1 一般 ··························································································································· 6
10.2 結晶シリコン ··············································································································· 6
10.3 薄膜 ··························································································································· 6
10.4 集光形太陽電池(CPV)モジュール ················································································· 7
11 試験報告書 ···················································································································· 7
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 11
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本電機工業会(JEMA)から,
工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経
済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによって,JIS C 8917:2005及びJIS C 8938:2005は廃止
され,これらの一部を分割・統合して制定したこの規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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太陽電池モジュールの塩水噴霧試験
Salt mist corrosion testing of photovoltaic (PV) modules
序文
この規格は,2011年に第2版として発行されたIEC 61701を基とし,試験の正確性及び具体性を確保す
るため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一覧表に
その説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,太陽電池(PV)モジュール(以下,PVモジュールという。)の塩霧による腐食に対する耐
候性を測定するための試験方法について規定する。
PVモジュールは,耐用期間中,継続的な屋外暴露を受けることを見込んで開発される電気装置である。
海洋環境など侵食性の強い湿潤大気は,最終的にPVモジュール部品の幾つかを劣化させ(保護コーティ
ング,プラスチックなどの非金属部品の特性劣化,塩分の吸収による金属部品の腐食など),機能を損なう
おそれのある永久的な損傷を引き起こす可能性がある。冬期に街路又は道路の氷成分を溶かすために塩が
用いられる場所でも,一時的な腐食性大気は存在する。
この規格では,様々なPVモジュールの,Cl−(NaCl,MgCl2など)を含む塩霧による腐食に対する耐候
力を測定するのに役立つ試験手順を記載する。この手順に含まれる全ての試験は,バイパスダイオード機
能性試験を除き,JIS C 8990,JIS C 8991,IEC 62108,JIS C 8992-2及びJIS C 60068-2-52で詳細に規定さ
れている。これらの試験は,この規格に組み込まれ,高濃度の溶解塩(NaCl)を含む湿潤大気下で運転し
た場合に,PVモジュールに生じる可能性のある故障について,評価する手段を提供する。JIS C 60068-2-52
では,実際の運転でPVモジュールがさらされる周囲の大気の性質に応じて,幾つかの試験の厳しさを適
用することができる。例えば,厳しさ(1)では,海洋環境又は海のごく近くで用いられるPVモジュール
への適用を意図している。厳しさ(3)〜(6)は,例えば氷成分を溶かすために塩が用いられる場所など,
含塩大気と乾燥大気との間の変化が起こる可能性のある場所で運転するPVモジュールへの適用を意図し
ている。厳しさ(2)は,試験条件が弱すぎるためPVモジュールには適さない[この厳しさは本来,通常
はきょう(筐)体によって保護され,時々,腐食環境にさらされる製品への適用を意図している。]ため,
この規格への適用は避けなければならない。
なお,この規格は,平板形PVモジュール及び集光形PVモジュールの両方,並びにこれらの組立品に
適用することができる。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61701:2011,Salt mist corrosion testing of photovoltaic (PV) modules(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
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ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 8990 地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認及び形式認証のた
めの要求事項
注記 対応国際規格:IEC 61215:2005,Crystalline silicon terrestrial photovoltaic (PV) modules−Design
qualification and type approval(IDT)
JIS C 8991 地上設置の薄膜太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認試験及び形式認証のための
要求事項
注記 対応国際規格:IEC 61646:2008,Thin-film terrestrial photovoltaic (PV) modules−Design
qualification and type approval(IDT)
JIS C 8992-2 太陽電池モジュールの安全適格性確認−第2部:試験に関する要求事項
注記 対応国際規格:IEC 61730-2:2004,Photovoltaic (PV) module safety qualification−Part 2:
Requirements for testing(IDT)
JIS C 60068-2-52 環境試験方法−電気・電子−塩水噴霧(サイクル)試験方法(塩化ナトリウム水溶
液)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-52,Environmental testing−Part 2: Tests−Test Kb: Salt mist, cyclic
(sodium, chloride solution)(IDT)
JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17025,General requirements for the competence of testing and calibration
laboratories(IDT)
IEC 62108:2007,Concentrator photovoltaic (CPV) modules and assemblies−Design qualification and type
approval
3
供試品
関心のあるPVモジュール又は組立品のモデルの三つの同じ試料について,考慮されるPVモジュール
技術,すなわち,結晶シリコン,薄膜,又は集光形太陽電池(以下,CPVという。)のそれぞれに応じ,
図1,図2又は図3に示す試験手順のいずれかに従って試験する。図示するように,これらの供試品のう
ちの一つはコントロールモジュールとして用いることが望ましい。コントロールモジュールは,塩水噴霧
試験の影響を評価するため,供試品の電気的特性を測定するたびに測定系の再現性確認用として用いるこ
とが望ましい。
CPVの場合,試料の選択に際して様々な状況が発生する可能性がある。設置場所で焦点を調整する必要
のないCPVシステム又はCPVモジュールでは,図3に示す試験手順を完了するのに,三つのPVモジュ
ールが必要となる。設置場所で焦点を調整する必要があるCPVシステム,又は光学系及び発電部が一体と
なっておらず,設置現場で組み立てる必要があるCPVシステムでは,図3に示す試験手順を完了するのに,
三つのレシーバー(該当する場合,2次光学系を含む)及び三つの1次光学系が必要となる。CPVモジュ
ール,光学系及び発電部が一体となっておらず,設置現場で組み立てる必要があるCPVシステムの様々な
3
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タイプ及び部品の詳細は,IEC 62108を参照する。
実物大の試料が大き過ぎて塩水噴霧試験装置に入らない場合,この試験のため小さな代表試料を特別に
設計し,製造することができる。代表試料は,実物大のものと同じ故障メカニズムを示すことができるよ
う,慎重に設計することが望ましい。さらに,代表試料の製造プロセスは,できる限り実物大のものの製
造プロセスと一致することが望ましい。試験が実物大の試料ではなく代表試料で行った場合は,箇条11
のg)に従い,試験報告書に記載し,報告する(箇条11を参照)。
PVモジュールに接地手段が備わっている場合,それらは試料の部分とする。
4
試験方法
4.1
一般
図1,図2又は図3に示す全ての試験は,バイパスダイオード機能性試験を除き,引用規格に記載する
JIS又はIEC規格に詳細(目的,装置,手順及び要件を含む)に規定されている(図の注記を参照)。図1,
図2又は図3に示す試験は,規定の順序で行う。CPVについて,この規格に規定する幾つかの試験方法が
特定の設計形状であるために適用できない場合,製造業者は,この件について,試験所と議論し,この規
格に規定する原理に基づいて同等の試験プログラムを作成することが望ましい。変更及び逸脱は,箇条11
のl)に従い,詳細に記録し,報告する。
4.2
バイパスダイオード機能性試験
4.2.1
目的
供試品のバイパスダイオードが,塩水噴霧試験後も機能を損なわないことを検証する。
注記 供試品にバイパスダイオードがない又は金属部分をもたないバイパスダイオードである場合,
この試験は省略される。
4.2.2
装置
装置は,次による。
a) 供試品の標準状態(STC)での短絡電流の1.25倍までの電流を流すことができる直流電源,及び試験
中に供試品の電流がモニターできる手段
b) 供試品の電圧を読取値の±0.5 %の精度で測定する装置
c) 試験電流を読取値の±0.5 %の精度で測定する装置
4.2.3
手順
手順は,次による。この手順は25 ℃±10 ℃の大気温度で実施する。試験中,供試品は照明にさらさな
い。
a) 供試品に組み込まれた逆流防止ダイオードを短絡させる。
b) 供試品の銘板ラベル又は製品仕様書から,供試品のSTCの短絡電流を決定する。
c) 製造業者が推奨する最低限の配線を用いて,直流電流の正極出力を供試品の負極リード線に,及び直
流電流の負極出力を供試品の正極リード線に,それぞれ接続する。配線区画への配線入力は,製造業
者の推奨値に従う。この設定において,電流はセルの逆方向に,ダイオードの順方向に流れる。
注記 あるPVモジュールにおいて,バイパスダイオード回路がオーバーラップしている場合がある。
この場合,全ての電流が確実に一つのバイパスダイオードを通って流れるようにするため,ジ
ャンパーケーブルの取付けが必要になることがある。
d) 供試品のSTCの短絡電流の1.25倍(±5 %)に等しい電流を1時間流す。
4.2.4
要求事項
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電流を流した1時間後,バイパスダイオードが運転可能な状態を維持していることを確認する。
例えば,PVモジュールの,それぞれのダイオード(ストリング当たり1個,順番に)で保護された太
陽電池セルを光源から遮り,バイパスダイオードが正常に機能するかどうか確認するため,(STCに近い
光源下で)I-V曲線の特性を検証する。
5
試験前処理
全ての試験試料は,それぞれのPVモジュール技術に適用される設計適格性及び形式承認のためのJIS
又はIEC規格,すなわち,結晶シリコンに対するJIS C 8990,薄膜に対するJIS C 8991及び集光形太陽電
池(CPV)に対するIEC 62108で規定された方法に基づき,全天又は直達日射(自然光又は模擬太陽光)
で試験前処理を行う。この規格の作成時には,JIS C 8991における薄膜に対する試験前処理は規定されて
いない。
6
初期測定
6.1
一般
供試品は,それぞれのPVモジュール技術に合わせて次の初期測定を行う。
6.2
結晶シリコン
試験は,次の全ての事項を行う。試験シーケンスを,図1に示す。
− JIS C 8990に基づく試験
a) 10.2 :最大出力の決定
b) 10.15:湿潤漏れ電流試験
− JIS C 8992-2に基づく試験
c) MST 01:目視検査
d) MST 13:接地連続性試験
e) MST 16:(直流)耐電圧試験
注記 試験項目名の識別番号は,引用するJISにおける識別に対応する。
6.3
薄膜
試験は,次の全ての事項を行う。試験シーケンスを,図2に示す。
− JIS C 8991に基づく試験
a) 10.2 :最大出力の決定
注記 この試験は,シーケンス試験を行う前に,PVモジュールが運転可能であることを検証する
ことを目的としている。
b) 10.15:湿潤漏れ電流試験
− JIS C 8992-2に基づく試験
c) MST 01:目視検査
d) MST 13:接地連続性試験
e) MST 16:(直流)耐電圧試験
注記 試験項目名の識別番号は,引用するJISにおける識別に対応する。
6.4
集光形太陽電池(CPV)モジュール
試験は,IEC 62108に基づく次の全ての事項を行う。試験シーケンスを,図3に示す。
a) 10.1:目視検査(Visual inspection)
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b) 10.2:電気特性測定(Electrical performance measurement)
c) 10.3:接地回路連続性試験(Ground path continuity test)
d) 10.4:電気絶縁試験(Electrical insulation test)
e) 10.5:湿潤絶縁試験(Wet insulation test)
注記 試験項目名の識別番号は,IEC 62108における識別に対応する。
7
塩水噴霧試験方法
一般条件,装置,食塩水の特性,厳しさ及びその他の仕様を含むJIS C 60068-2-52に規定する塩水噴霧
試験の対象となる供試品に適用する。塩水噴霧試験の厳しさは,PVモジュールの設置が計画されている
場所の大気条件に従って選択する。厳しさ(2)は,試験条件が弱すぎるためPVモジュールには適さない
ため,この規格では適用しない。試験中,PVモジュールの受光面は,塩水噴霧試験装置内の垂直線から
15°〜30°傾斜させる。試験中,湿度槽内に放置する場合は,PVモジュールを垂直に設置してもよい。
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洗浄及び回復
塩水噴霧試験後,全ての供試品は,供試品面積の1 m2当たり最大5分間,(人為的に加圧したものでは
ない)水道水を流して洗浄し,付着した塩分を除去する。洗浄後は,蒸留水又は脱イオン水で供試品を洗
い流し,室温で完全乾燥させる。迅速に乾燥を行う場合,手で供試品を振ったり,エアーブラストを用い
たりしてもよい。洗浄水の温度は,35 ℃以下とする。洗浄中又は乾燥中は,布,ガーゼ,その他の織物素
材を用いず,擦るようなこともしない。乾燥後の回復時間は最小限とし,塩の堆積によって生成されたさ
らなる損傷を避けるため,速やかに適用される試験シーケンスを継続する。
9
最終測定
9.1
一般
塩水噴霧試験後,供試品はPVモジュール技術に合わせて,次の試験を行う。
9.2
結晶シリコン
試験は,次の全ての事項を行う。試験シーケンスを,図1に示す。
− JIS C 8990に基づく試験
a) 10.2 :最大出力の決定
b) 10.15:湿潤漏れ電流試験
− JIS C 8992-2に基づく試験
c) MST 01:目視検査
d) MST 13:接地連続性試験
e) MST 16:(直流)耐電圧試験
注記 試験項目名の識別番号は,引用するJISにおける識別に対応する。
− この規格に規定する試験
f)
バイパスダイオード機能性試験
9.3
薄膜
試験は,次の全ての事項を行う。試験シーケンスを,図2に示す。
− JIS C 8991に基づく試験
a) 10.6:基準状態(STC)における特性試験(NOCTにおける特性試験は行わない)
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b) 10.15:湿潤漏れ電流試験
c) 10.19:光照射試験
− JIS C 8992-2に基づく試験
d) MST 01:目視検査
e) MST 13:接地連続性試験
f)
MST 16:(直流)耐電圧試験
注記 試験項目名の識別番号は,引用するJISにおける識別に対応する。
− この規格に規定する試験
g) バイパスダイオード機能性試験
9.4
集光形太陽電池(CPV)モジュール
試験は,次の全ての事項を行う。試験シーケンスを,図3に示す。
− IEC 62108に基づく試験
a) 10.1:目視検査(Visual inspection)
b) 10.2:電気特性測定(Electrical performance measurement)
c) 10.3:接地回路連続性試験(Ground path continuity test)
d) 10.4:電気絶縁試験(Electrical insulation test)
e) 10.5:湿潤絶縁試験(Wet insulation test)
注記 試験項目名の識別番号は,IEC 62108における識別に対応する。
− この規格に規定する試験
f)
バイパスダイオード機能性試験
10 要求事項
10.1 一般
図1,図2又は図3に示す試験シーケンスを実施した結果,二つの供試品が次の要求事項を満足しなけ
ればならない。
10.2 結晶シリコン
結晶シリコンの場合,次の要求事項を満足しなければならない。
− 塩水噴霧試験後に,JIS C 8992-2に規定するような目に見える大きな欠陥の兆候がない。
− 塩水噴霧試験後,最大出力が初期値の5 %を超えて低下しない。
注記 合否基準は,測定の不確かさを考慮することが望ましい。
− JIS C 8990の10.15(湿潤漏れ電流試験),並びにJIS C 8992-2のMST 13及びMST 16の合否基準は,
これらの試験に関する要求事項による。
− バイパスダイオード機能性試験に対する要求事項を満たす。
10.3 薄膜
薄膜の場合,次の要求事項を満足しなければならない。
− 塩水噴霧試験後に,JIS C 8992-2に規定するような目に見える大きな欠陥の兆候がない。
− 光照射試験後,標準状態(STC)における最大電力が,PVモジュールの製造業者が貼付する銘板に記
載の最大値の90 %を下回らない。
注記1 合否基準は,測定の不確かさを考慮することが望ましい。
− JIS C 8991の10.15(湿潤漏れ電流試験)及び10.19(光照射試験),並びにJIS C 8992-2のMST 13及
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びMST 16の合否基準は,これらの試験に関する要求事項による。
注記2 JIS C 8991の10.19の要求事項は,JIS C 8991の10.1(目視検査)の代わりにJIS C 8992-2
のMST 01の要求事項を,JIS C 8991の10.3(絶縁試験)の代わりにJIS C 8992-2のMST 16
の要求事項を,それぞれ適用することが望ましい。
− バイパスダイオード機能性試験に対する要求事項を満たす。
10.4 集光形太陽電池(CPV)モジュール
集光形太陽電池(CPV)モジュールの場合,次の要求事項を満足しなければならない。
− 塩水噴霧試験後に,IEC 62108に規定するような目に見える大きな欠陥の兆候がない。塩水噴霧試験
後,試験試料中に多量の水分が残っていない(残留水分の深さは,電動部品に触れる可能性のある位
置に達していない)。
− 塩水噴霧試験後の相対的な電力の低下は,I-V測定を自然光で行う場合には7 %,I-V測定を太陽シミ
ュレータで行う場合には5 %を超えない。
注記 合否基準は,測定の不確かさを考慮することが望ましい。
− IEC 62108の10.3,10.4及び10.5の合否基準は,これらの試験に関する要求事項による。
− バイパスダイオード機能性試験に対する要求事項を満たす。
11 試験報告書
測定した性能特性及び試験結果の試験報告書は,JIS Q 17025に基づき試験所が作成する。試験報告書に
は,次の情報を記載する。
a) 表題
b) 試験所の名称及び所在地,並びに試験が行われた場所
c) 証明書又は報告書及び各ページの識別,並びに試験報告書の目的の明示
d) 適切な場合,顧客の名前及び所在地
e) 関連する場合,サンプリング手順への言及
f)
適切な場合,試験品目の受理日及び試験日
g) 試験品目の説明及び特定。試験を代表供試品で,実物大の供試品で行っていない場合は,その旨を明
示する。
h) 試験項目の特性評価及び条件
i)
用いた試験方法の特定
j)
用いた食塩水の特性
k) 塩水噴霧試験に適用したJIS C 60068-2-52に規定する厳しさ
l)
試験方法に対する逸脱,追加又は除外項目,及び環境条件など特定の試験に関するその他の情報
m) 必要に応じて,表,グラフ,略図及び写真によってサポートされた不具合を含めた,測定,試験及び
観測結果
n) 試験結果の不確かさの記述(関連する場合)
o) 証明書又は報告書の内容に対して責任者の署名及び役職又は識別,並びに発行日
p) 関連する場合,結果は試験品目だけに関連しているという旨の記述
q) 試験所の書面による承認なしの場合,報告書を部分的に複製してはならないという旨の記述
この報告書の写しは,参考のために,試験所及び製造業者によって,保管する。
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注記1 プレコンディショニング並びに10.2及び10.15の試験はJIS C 8990によって行う。MST 01,MST 13及びMST
16はJIS C 8992-2によって行う。
注記2 コントロールモジュールは,塩水噴霧試験による影響評価のため,測定ごとに基準として用いる。
図1−結晶系シリコンPVモジュールの塩水噴霧試験シーケンス
プレコンディショニング試験
MST 01
目視検査
10.2
最大出力の決定
MST 16
(直流)耐電圧試験
MST 13
接地連続性試験
2モジュール
1モジュール
JIS C 60068-2-52の厳しさ(2)を除いた
いずれかの厳しさによる塩水噴霧試験
10.2
最大出力の決定
MST 16
(直流)耐電圧試験
10.15
湿潤漏れ電流試験
MST 13
接地連続性試験
バイパスダイオード機能性試験
MST 01
目視検査
洗浄及び回復
3モジュール
コ
ン
ト
ロ
ー
ル
モ
ジ
ュ
ー
ル
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注記1 10.2,10.6,10.15及び10.19の試験はJIS C 8991によって行う。MST 01,MST 13及びMST 16はJIS C 8992-2
によって行う。
注記2 コントロールモジュールは,塩水噴霧試験による影響評価のため,測定ごとに基準として用いる。
注記3 JIS C 8991の10.2による塩水噴霧試験後の最大電力の決定は,診断目的だけに用いる。
注記4 10.6はJIS C 8991で規定される10.9の試験の一部として実施する。残りの要求事項については,JIS C 8991
の10.1の代わりにMST 01を行い,JIS C 8991の10.3の代わりにMST 16を実施する。
図2−薄膜系シリコンPVモジュールの塩水噴霧試験シーケンス
MST 01
目視検査
10.2
最大出力の決定
MST 16
(直流)耐電圧試験
MST 13
接地連続性試験
2モジュール
1モジュール
JIS C 60068-2-52の厳しさ(2)を除いた
いずれかの厳しさによる塩水噴霧試験
MST 16
(直流)耐電圧試験
10.15
湿潤漏れ電流試験
MST 13
接地連続性試験
バイパスダイオード機能性試験
MST 01
目視検査
洗浄及び回復
3モジュール
コ
ン
ト
ロ
ー
ル
モ
ジ
ュ
ー
ル
10.15
湿潤漏れ電流試験
10.19
光照射試験
10.6
基準状態(STC)における特性試験
(NOCTにおける特性試験は行わない)
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注記1 10.1,10.2,10.3,10.4及び10.5の試験は,IEC 62108による。
注記2 コントロール試料は,塩水噴霧試験による影響評価のため,測定ごとに基準として用いる。
図3−CPVモジュールの塩水噴霧試験シーケンス
プレコンディショニング試験
10.1
目視検査
10.2
電気特性測定
10.4
電気絶縁試験
10.5
湿潤絶縁試験
2m(CPVモジュール用)
2r + 2mir(CPV組立品用)
1m(CPVモジュール用)
1r+1mir(CPV組立品用)
JIS C 60068-2-52の厳しさ(2)を除いた
いずれかの厳しさによる塩水噴霧試験
10.2
電気特性測定
10.4
電気絶縁試験
10.5
湿潤絶縁試験
10.3
接地回路連続性試験
バイパスダイオード機能性試験
10.1
目視検査
洗浄及び回復
3モジュール(m)(CPVモジュール用)
3レシーバ(r) + 3ミラー(mir)(CPV組立品用)
3m
3r + 3mir
3m
3r + 3mir
3m
3r + 3mir
3m
3r + 3mir
10.3
接地回路連続性試験
3m
3r + 3mir
2m
2r + 2mir
2m
2r + 2mir
2m
2r + 2mir
2m
2r + 2mir
2m
2r + 2mir
2m
2r + 2mir
2m
2r
コ
ン
ト
ロ
ー
ル
モ
ジ
ュ
ー
ル
11
C 8930:2017
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 8930:2017 太陽電池モジュールの塩水噴霧試験
IEC 61701:2011,Salt mist corrosion testing of photovoltaic (PV) modules
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4.2.4
バイパスダイオー
ド機能性試験の要
求事項
4.2.4
JISとほぼ同じ
変更
対応国際規格の例示方法では,バイ
パスダイオードの正常動作確認が
できない場合があるため,JISでは
この例示方法を削除した。
IECに修正提案する。
10.2
結晶シリコンに対
する要求事項
10.2
JISとほぼ同じ
変更
対応国際規格の具体性に欠ける部
分は,試験の実施者によって判定が
異なる可能性があるため,削除し
た。
IECに修正提案する。
10.3
薄膜に対する要求
事項
10.3
JISとほぼ同じ
変更
同上
IECに修正提案する。
10.4
集光形太陽電池
(CPV)モジュール
に対する要求事項
10.4
JISとほぼ同じ
変更
同上
IECに修正提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 61701:2011,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
5
C
8
9
3
0
:
2
0
1
7