C 8907:2005
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS C 8907には,次に示す附属書がある。
附属書1(参考)月平均日積算傾斜面日射量の算出
附属書2(参考)設計パラメータの分類
附属書3(参考)屋根用アレイ温度上昇推定方法
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 適用システムの基本構成 ··································································································· 2
5. 年間システム発電電力量推定方法 ······················································································· 4
5.1 年間システム発電電力量推定手順······················································································ 4
5.2 太陽光発電システムの仕様確認························································································· 4
5.3 太陽光発電システムの設置場所の確認 ················································································ 4
5.4 標準太陽電池アレイ出力PASの確認 ··················································································· 4
5.5 基本設計係数K' の算出 ·································································································· 4
5.6 月平均日積算傾斜面日射量HSの選択 ················································································· 5
5.7 月積算傾斜面日射量HAmの算出 ························································································ 5
5.8 温度補正係数KPT の算出 ································································································· 5
5.9 月別総合設計係数Kの算出 ······························································································ 6
5.10 月間システム発電電力量EPmの推定 ················································································· 6
5.11 年間システム発電電力量EPyの推定 ·················································································· 6
附属書1(参考)月平均日積算傾斜面日射量の算出 ····································································· 9
附属書2(参考)設計パラメータの分類 ··················································································· 12
附属書3(参考)屋根用アレイ温度上昇推定方法 ······································································· 18
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 8907:2005
太陽光発電システムの発電電力量推定方法
Estimation method of generating electric energy by PV power system
1. 適用範囲 この規格は,次に該当する太陽光発電システムの年間システム発電電力量推定方法につい
て規定する。
a) 系統連系形太陽光発電システム及び独立形太陽光発電システムでシステム出力1 kW以上,標準太陽
電池アレイ開放電圧750 V以下のシステムを対象とする。ただし,直結形水ポンプシステム及びハイ
ブリッドシステムを除く。
b) システムを構成する太陽電池アレイ,蓄電池及びパワーコンディショナについては,次の仕様とする。
1) 太陽電池アレイは,同一形式の結晶系(単結晶及び多結晶)のシリコン太陽電池モジュールで構成
された単一平面,かつ,固定式のものとする。また,アレイ回路構成は,ストリングを並列に接続
したものとする。
2) システムに用いる蓄電池は,鉛蓄電池とする。
3) パワーコンディショナは,可変電圧・可変周波数のパワーコンディショナを除く。
備考 次の附属書を参考に示す。
附属書1(参考)月平均日積算傾斜面日射量の算出
附属書2(参考)設計パラメータの分類
附属書3(参考)屋根用アレイ温度上昇推定方法
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 8702-1 小形制御弁式鉛蓄電池−第1部:一般要求事項,機能特性及び試験方法
JIS C 8702-2 小形制御弁式鉛蓄電池−第2部:寸法,端子及び表示
JIS C 8702-3 小形制御弁式鉛蓄電池−第3部:電気機器への使用に際しての安全性
JIS C 8704-1 据置鉛蓄電池−一般要求事項及び試験方法−第1部:ベント形
JIS C 8704-2 据置鉛蓄電池−一般要求事項及び試験方法−第2部:制御弁式
JIS C 8918 結晶系太陽電池モジュール
JIS C 8951 太陽電池アレイ通則
JIS C 8952 太陽電池アレイの表示方法
JIS C 8960 太陽光発電用語
JIS C 8961 太陽光発電用パワーコンディショナの効率測定方法
JIS C 8980 小出力太陽光発電用パワーコンディショナ
2
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 8960によるほか,次による。
a) アレイ回路補正係数 太陽電池アレイの配線抵抗などによって生じる抵抗損失及び逆流防止デバイス
による損失を補正するための係数。
b) アレイ負荷整合補正係数 太陽光発電システムに負荷を接続した場合に,実際の動作電圧が太陽電池
アレイ出力電力の最大出力動作電圧からずれることによって生じる出力電力量の減少を補正する係数。
c) 蓄電池充放電効率 蓄電池の放電電力量と充電電力量との比。
d) 基本設計係数 総合設計係数から温度補正係数を除した係数。つまり,(基本設計係数)=(総合設計係
数)/(温度補正係数)。
e) 直結形水ポンプシステム 太陽光発電で得られるエネルギーを動力源としてポンプを駆動し,水をく
み上げるシステム。
f)
標準太陽電池モジュール出力 標準試験条件における太陽電池モジュールの最大出力点における出力
電力。
g) 裏面開放形 設置状態で太陽電池モジュールの裏面が大気に直接開放されているモジュール。
h) 裏面密閉形 設置状態で太陽電池モジュールの裏面が密閉されて空気の循環がないモジュール。
i)
架台設置形 架台に取り付ける太陽電池モジュール。
j)
屋根置き形 屋根にスタンドオフ状態で設置する太陽電池モジュール。
k) 建材一体形 屋根材,壁材などの建築用部材として一体化された太陽電池モジュール。
l)
屋根一体形 建材一体形のうちで屋根建材と一体化された太陽電池モジュール。
m) 日射追従負荷 日射強度にほぼ比例する負荷。
n) 加重平均太陽電池モジュール温度 日射強度によって重み付けし加重平均した太陽電池モジュール温
度。
o) 加重平均太陽電池モジュール温度上昇 日射強度によって重み付けし加重平均した太陽電池モジュー
ルの温度と気温との差。平均値としてのアレイ温度上昇の目安である。
4. 適用システムの基本構成 システムの基本構成を図1〜3に示す。各構成要素機器及び材料は,表1
に示すもの又はこれらと同等の性能をもつものとする。
図 1 直流負荷だけの独立形太陽光発電システム
3
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 2 交流負荷だけの独立形太陽光発電システム
図 3 蓄電池をもたない系統連系形太陽光発電システム
表 1 構成要素機器
構成要素機器
適用規格
太陽電池アレイ(モジュール)
JIS C 8918
JIS C 8951
JIS C 8952
パワーコンディショナ
JIS C 8980
蓄電装置(鉛蓄電池)
JIS C 8702-1
JIS C 8702-2
JIS C 8702-3
JIS C 8704-1
JIS C 8704-2
4
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5. 年間システム発電電力量推定方法
5.1
年間システム発電電力量推定手順 年間システム発電電力量の推定方法は,次による。
a) 太陽光発電システムの仕様確認
b) 太陽光発電システムの設置場所の確認
c) 標準太陽電池アレイ出力PASの確認
d) 基本設計係数K' の算出(総合設計係数から温度補正係数を除いたもの)
e) 月平均日積算傾斜面日射量HS の選択
f)
月積算傾斜面日射量HAmの算出
g) 温度補正係数KPTの算出
h) 月別総合設計係数Kの算出
i)
月間システム発電電力量EPmの推定
j)
年間システム発電電力量EPyの推定
5.2
太陽光発電システムの仕様確認 対象とする太陽光発電システムの次の仕様を確認し,太陽光発電
システム仕様シート(表2)に記入する。
a) 太陽電池種類
b) 標準太陽電池モジュール出力
c) 太陽電池モジュール枚数
d) 太陽電池モジュールの設置の形態(裏面開放形か又は裏面密閉形の確認)
e) 最大出力温度係数(入手できない場合は表5の値を用いる。)
f)
アレイ方位角
g) アレイ傾斜角
h) システム形態[系統連系形か独立形(直流負荷/交流負荷)の区別]
i)
負荷の種類(日射追従負荷かどうか)
j)
蓄電池の有無
5.3
太陽光発電システムの設置場所の確認 対象となる太陽光発電システムの設置場所を確認し,地名,
緯度及び経度を太陽光発電システム仕様シート(表2)に記入する。
5.4
標準太陽電池アレイ出力PASの確認 標準太陽電池アレイ出力(JIS C 8952による。)を確認する。
なお,記載されていない場合は,暫定値として式(1)によって算出し,太陽光発電システム仕様シート(表
2)に記入する。
PAS = PMS×n ········································································· (1)
ここに, PMS: 製造業者の仕様書又は技術資料などに記載された太
陽電池モジュール1枚当たりの標準試験条件におけ
る出力(kW)
n: 太陽電池モジュール数量(枚)
5.5
基本設計係数K' の算出 基本設計係数は,システムの基本構成によって,次に示す手順で各補正係
数を明らかにし,基本設計係数を求め,それぞれ基本設計係数計算シート(表3)に記入する。
なお,補正係数の一般的な表記などは附属書2による。
a) 日射量年変動補正係数KHD 日射量年変動補正係数は,表5の値を用いる。
b) 経時変化補正係数KPD 経時変化補正係数は,モジュール製造業者から入手できる場合にはその値を
採用する。それ以外の場合は,表5の値を用いる。
5
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) アレイ回路補正係数KPA アレイ回路補正係数は,表5の値を用いる。
d) アレイ負荷整合補正係数KPM アレイ負荷整合補正係数は,システムの種類から表5の値を用いる。
e) 蓄電池寄与率γBA 蓄電池寄与率は,負荷形態から表5の値を用いる。
f)
蓄電池充放電効率ηBA 蓄電池充放電効率は,表5の値を用いる。
g) インバータ実効効率ηINO インバータ実効効率は,系統連系形及び独立形(交流負荷)の場合に用い
る係数であり,それぞれ,次のようにして値を決める。
1) 連系形の場合 インバータ製造業者から実効効率(JIS C 8961による。)が提示されている場合は,
その値を用いる。それ以外の場合には,表5の値を用いる。
2) 独立形の場合 年平均負荷率(年1時間当たり平均負荷電力量/インバータ定格入力電力)を算出
し,製造業者から入手した効率曲線から求める。
h) 直流コンディショナ実効効率ηDDO 直流コンディショナ実効効率は,製造業者から定格時の効率が入
手できる場合はその値を用いる。それ以外の場合には表5の値を用いる。
i)
基本設計係数K' の算出 系統連系形,独立形(直流負荷)及び独立形(交流負荷)の各場合におい
て式(2)〜(4)を用いて基本設計係数を算出する。
1) 蓄電池をもたない系統連系形太陽光発電システムの場合
K' = KHD×KPD×KPM×KPA×ηINO ··············································· (2)
2) 独立形(直流負荷)の場合
K' =KHD×KPD×KPM×KPA×(1−γBA+γBA×ηBA)×ηDDO ··············· (3)
3) 独立形(交流負荷)の場合
K' =KHD×KPD×KPM×KPA×(1−γBA+γBA×ηBA)×ηINO ··············· (4)
5.6
月平均日積算傾斜面日射量HSの選択 添付のCD-ROMからの取扱説明書に従って,太陽光発電シ
ステムの設置点に最も近い地点の地名を選択し,システムのアレイ方位角及び傾斜角に最も近い選択した
地点の方位角並びに傾斜角の月平均日積算傾斜面日射量の値を,ファイルから読み取る。その値を月別に
太陽光発電システム発電電力量推定シート(表4)に記入する。
5.7
月積算傾斜面日射量HAmの算出 月積算傾斜面日射量は,式(5)を用いて5.6で求めた月平均日積算
傾斜面日射量にその月の日数を乗じて求める。得られた値を太陽光発電システム発電電力量推定計算シー
ト(表4)に記入する。
HAm = d×HS ·········································································· (5)
ここに,
HS: 月平均日積算傾斜面日射量(kWh・m−2・d−1)
d: その月の日数
5.8
温度補正係数KPT の算出 温度補正係数(KPT)は,次によって算出する。
a) 最大出力温度係数の扱い 製造業者などから最大出力温度係数が入手できない場合は,太陽電池モジ
ュールの種類から表5を用いて最大出力温度係数を選択する。
製造業者などから最大出力温度係数が入手できた場合で,その単位がW・℃−1で表示されている場
合には,式(6)を用いて,単位を%・℃−1に換算する。
αPmax=αPmax0/PMMAX×100······················································· (6)
ここに,
αPmax: 最大出力温度係数(%・℃−1)
PMMAX: 標準太陽電池モジュール出力(W)
αPmax0: 入手した最大出力温度係数(W・℃−1)
b) 加重平均太陽電池モジュール温度の算出 5.6で選択した地点の月平均気温及びアレイの設置形態か
ら表5による加重平均太陽電池モジュール温度上昇を用いて,加重平均太陽電池モジュール温度を式
6
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(7)を用いて算出する。
なお,屋根用アレイ温度上昇の推定方法の詳細は,附属書3による。
TCR = TAV +ΔT ····································································· (7)
ここに, TCR: 加重平均太陽電池モジュール温度(℃)
TAV: 月平均気温(月平均気温は添付のCD-ROMから得ら
れた値を使用)
ΔT: 加重平均太陽電池モジュール温度上昇
c) 温度補正係数の算出 式(8)を用いて月ごとの温度補正係数を算出し,太陽光発電システム発電電力量
推定計算シート(表4)に記入する。
KPT = 1+αPmax(TCR−25)/100 ················································· (8)
ここに, αPmax: 最大出力温度係数(%・℃−1)
5.9
月別総合設計係数Kの算出 月別総合設計係数は式(9)を用いて算出し,太陽光発電システム発電電
力量推定計算シート(表4)に記入する。
K = K' ×KPT ········································································· (9)
5.10 月間システム発電電力量EPmの推定 月間システム発電電力量は式(10)によって算出し,太陽光発
電システム発電電力量推定計算シート(表4)に記入する。
EPm = K×PAS×HAm/GS ·························································· (10)
ここに, EPm: 月間システム発電電力量(kWh・month−1)
GS: 標準試験条件における日射強度(kW・m−2)
5.11 年間システム発電電力量EPyの推定 年間システム発電電力量の推定は,5.10で求めた月間システム
発電電力量を積算して求め,太陽光発電システム発電電力量推定計算シート(表4)に記入する。
表 2 太陽光発電システム仕様シート
システム名
項目
システム仕様
備考
シ
ス
テ
ム
仕
様
太陽電池種類
結晶系
標準太陽電池モジュール出力PMS(kW)
太陽電池モジュール枚数n
太陽電池モジュール設置形態
裏面開放/裏面密閉形
最大出力温度係数
入手できる場合
アレイ方位角
アレイ傾斜角
システム形態
系統連系/独立形(直流負荷/交流負荷)
負荷の種類
日射追従負荷かどうか
蓄電池の有無
設
置
場
所
地名
緯度
経度
標準太陽電池アレイ出力PAS(kW)
PAS=PMS×n
7
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 3 基本設計係数計算シート
補正係数項目
負荷の形態
系統連系形
独立形(直流負荷)
独立形(交流負荷)
日射量年変動補正係数 KHD
経時変化補正係数 KPD
アレイ回路補正係数 KPA
アレイ負荷整合補正係数 KPM
蓄電池寄与率 γBA
−
蓄電池充放電効率 ηBA
−
コンバータ実効効率 ηDDO
−
−
インバータ実効効率 ηINO
−
基本設計係数 K'
表 4 太陽光発電システム発電電力量推定計算シート
システム名
標準太陽電池アレイ出力 PAS (kW)
PAS = PMS×n
月
月平均日積算傾斜
面日射量
HS
(kWh・m−2・d−1)
月積算傾斜面日射量
HAM (=d×HS)
(kWh・m−2・month−1)
温度補正係数
KPT
月別総合設計係数
K=K' ×KPT
月間システム発電
量推定値
EPm=K×PAS×
HAm/GS
(kWh・month−1)
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
年間システム発電電力量 EPy (kWh・year−1)
8
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 5 補正係数名称,記号及び値
補正係数名称
記号
補正係数値
日射量年変動補正係数
KHD
0.97
経時変化補正係数
KPD
結晶系
0.95
アレイ回路補正係数
KPA
0.97
アレイ負荷整合補正係数
KPM
連系形
0.94
独立形
0.89
0.91(日射に追従した負荷だけをもつ場合)
蓄電池寄与率
γBA
0.8
0.37(日射に追従した負荷だけをもつ場合)
蓄電池充放電効率
ηBA
0.83
連系形インバータエネルギー効率
ηINO
0.90
直流コンディショナエネルギー効率
ηDDO
0.90
加重平均太陽電池モジュール温度上昇(℃)
ΔT
裏面開放形(架台設置形)
18.4
屋根置き形
21.5
屋根一体形
25.4
裏面密閉形(建材一体形)
28.0
最大出力温度係数
αPmax
結晶系
−0.40〜−0.50(%・℃−1)
9
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1(参考)月平均日積算傾斜面日射量の算出
序文 この附属書1(参考)は,月平均日積算傾斜面日射量の算出について記述するものであり,規格の
一部ではない。太陽電池アレイが任意の傾斜角,方位角の場合の一般的な取扱いを述べている。特に,こ
こに記述する考え方に沿ってプログラム化すれば多面設置の日射量の計算が可能となる。年間発電電力量
については,ここで得られた月平均日積算傾斜面日射量を用いてこの規格の方法を用いることによって得
られる。ただし,多面設置の場合,太陽電池アレイの結線によっては全く異なることがある。
1. 月平均日積算傾斜面日射量の算定手順 月平均日積算傾斜面日射量の算出は,次の手順による。
a) 太陽電池アレイの傾斜角及び方位角の確認
b) 設置場所の確認
c) 水平面全天日射量,水平面散乱日射量及び積雪10 cm以上の出現率の読出し
d) 係数の算出
e) 各毎時間のアレイ設置面への日射量の算出
f)
傾斜面の各日射量の積算
g) 月平均日積算傾斜面日射量の算出
1.1
太陽電池アレイの傾斜角及び方位角の確認 設置する太陽電池アレイの傾斜角β及び方位角γを確
認する。ただし,γは,真南を0 °とし,東向きを−,西向きを+とする。
1.2
設置場所の確認 設置場所を確認する。
1.3
水平面全天日射量,水平面散乱日射量及び積雪10 cm以上の出現率(月間積雪日数と月間総日数と
の比)の読出し 添付のCD-ROMから,計算する月の水平面全天日射量,水平面散乱日射量及び積雪10 cm
以上の出現率(月間積雪日数と月間総日数との比)を読み出す。
1.4
係数の算出 附属書1表1に示す通し平均日を用いて,該当する月における次の係数を算出する。
δ=π
2
360(0.006918−0.399912×cosχ+0.070257×sinχ−0.006758×cos2χ+0.000908×sin2χ)
········································································ (1.1)
χ=(n−1)×365
360 ···················································································· (1.2)
ET=
60
2
sin
9
361
.9
2
cos
5
349
.3
sin
5
351
.7
cos
4281
.0
2
017
.0
x
x
x
x
×
×
×
×
−
−
−
+
············· (1.3)
ωs= cos−1(−tanδ×tanφ) ······································································· (1.4)
a = 0.409+0.5016×sin(ωs−60) ································································ (1.5)
b = 0.6609−0.4767×sin(ωs−60) ······························································ (1.6)
ρ= 0.2×(1−ns)+0.7ns ··········································································· (1.7)
ここに,
δ: 赤緯(°)
n: 元日を1とした年間の通し平均日(附属書1表1参照)
χ: 係数
ET: 均時差(h)
ωs: 地平線に対する日没時の時角
10
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
φ: 緯度(°)
a: 係数
b: 係数
ns: 積雪10 cm以上の出現率(月間積雪日数と月間総日数
との比)
ρ: アルベド
1.5
各毎時間のアレイ設置面への日射量の算出 時間に依存する係数を計算し,各毎正時の日射量を算
出する。
×
12
9
15
15
T−
+
−
+
=
E
JSTλ
ω
·································································· (1.8)
s
s
s
s
d
cos
180
sin
cos
cos
24
sin
24
24
ω
ω
π
ω
ω
ω
π
π
π
×
×
×
×
×
−
−
=
r
······················································· (1.9)
rt = rd×(a + b×cosω) ········································································· (1.10)
sinh = sinγ×sinφ+cosγ×cosφ×cosω ··············································· (1.11)
cosθ=(sinδ×sinφ×cosβ−sinδ×cosφ×sinβ×cosγ)+(cosδ×cosφ×cosβ×cosω)
+(cosδ×sinφ×sinβ×cosγ×cosω)+(cosδ×sinβ×sinγ×sinω) ···· (1.12)
HDI =(HG×rt−HD×rd)×
h
sin
cosθ ······························································ (1.13)
(
)
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
2
cos
1
sin
365
360
)2
(
cos
033
.0
1
sin
365
360
)2
(
cos
033
.0
1
cos
SC
d
D
t
G
2
SC
d
D
t
G
d
D
SI
β
θ
+
−
+
−
+
−
+
−
=
h
n
I
r
H
r
H
h
n
I
r
H
r
H
r
H
H
·························································· (1.14)
ここに,
ω: 時角(°)(南中時に0 °となり,1時間当たり15 °ずつ
増える。午前の値は負,午後の値は正となる。)
JST: 日本標準時(h)
λ: 経度(°)
rt: 全天日射量の時間配分率
rd: 散乱日射量の時間配分率
h: 太陽高度(°)
θ: 法線面直達日射の太陽電池アレイ面への入射角(°)
HG: 水平面全天日射量(kWh・m−2・d−1)
HD: 水平面散乱日射量(kWh・m−2・d−1)
HDI: 傾斜面直達日射量(kWh・m−2・d−1)
HSI: 傾斜面散乱日射量(kWh・m−2・d−1)
ISC: 太陽定数(=1.382 kW・m−2)
11
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1.6
傾斜面の各日射量の積算 1.5の積算による傾斜面への直達日射量,天空散乱日射量及び地表面反射
日射量を積算する。
HDIm = ΣHDI ··································································· (1.15)
HSIm = ΣHSI ··································································· (1.16)
HRIm = HG×ρ×
2
cos
1
β
−
·················································· (1.17)
ここに,
HDIm: 月平均日積算傾斜面直達日射量(kWh・m−2・d−1)
HSIm: 月平均日積算傾斜面散乱日射量(kWh・m−2・d−1)
HRIm: 月平均日積算の傾斜面への地表面からの反射日射
量(kWh・m−2・d−1)
ここで,Σは,日の出から日の入りまでの南中時を中心とした1時間ごとの積算値である。例えば,−
7.5時が日の出の場合には,−7,−6,……,0,1,……,7時についての積算となる。
1.7
月平均日積算傾斜面日射量の算出
HAm = HDIm + HSIm + HRim ······················································ (1.18)
ここに,
HAm: 月平均日積算傾斜面日射量(kWh・m−2・d−1)
附属書1表 1 各月の平均日及び通し平均日
月
平均日
通し平均日 n
1
17
17
2
16
47
3
16
75
4
15
105
5
15
135
6
11
162
7
17
198
8
16
228
9
15
258
10
15
288
11
14
318
12
10
344
備考 その月の月平均日積算傾斜面日射量を算出する
際に用いるその月の代表となる平均日。
通し平均日によってその月の代表値となる赤
緯などを求める。
12
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2(参考)設計パラメータの分類
序文 この附属書2(参考)は,この規格の基本となった設計パラメータの詳細な分類について記述する
もので,規格の一部ではない。
1. 総合設計係数Kの求め方 総合設計係数Kは,次の式を用いて算出する。
なお,式(2.1)〜(2.5)に使われている設計パラメータのうち,本体に記載がないものは附属書2表1の中
で定義する。
K = KH×KP×KB×KC ·························································· (2.1)
ここに,
KH: アレイ面入射量補正係数(傾斜面日射量基準)
KP: 太陽電池変換効率補正係数
KB: 蓄電池回路補正係数
KC: パワーコンディショナ回路補正係数
式(2.1)中のKH,KP,KB及びKCは,それぞれ次の式から求める。
KH = KHD×KHS×KHC ·························································· (2.2)
ここに,
KHD: 日射量年変動補正係数
KHS: 日陰補正係数
KHC: 入射光貢献度補正係数
KP = KPD×KPT×KPA×KPM ···················································· (2.3)
ここに,
KPD: 経時変化補正係数(汚れ補正係数,劣化補正係数,
分光応答変動補正係数,非線形応答変動補正係数)
KPT: 温度補正係数
KPA: アレイ回路補正係数
KPM: アレイ負荷整合補正係数
KB =(1−γBA)×ηBD +γBA×ηBA ········································· (2.4)
ここに,
γBA: 蓄電池寄与率
ηBD: バイパスエネルギー効率(蓄電池を経由しないで通
過する部分の回路効率)
ηBA: 蓄電池充放電効率
KC =γDC×KDD +(1−γDC)×KIN ··········································· (2.5)
ここに,
γDC: 直流負荷取出し率
KDD: DC/DCコンバータ回路補正係数
KIN: パワーコンディショナ回路補正係数(インバータエ
ネルギー効率,交流線路エネルギー伝送効率,補助
電源回路エネルギー効率)
これら設計パラメータの模式図は,附属書2図1による。
2. 設計パラメータの定義及び求め方(推奨値) 設計パラメータの数値は,附属書2表1から決定する。
13
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2表 1 設計パラメータの説明及び求め方
説明
定義
推奨値
KHD:日射量年変動補正係数
日射量年変動補正係数 KHD は,推定した期間日射量の確からしさを表す補正係数である。この係数
を詳細に吟味するには,ある年数の日射観測が必要であり,例えば10年間程度の観測結果から,平年
値及び年差を統計的に求める。
水平面日射量の標準偏差(σHG)及び規定年数に対する年間水平面日射の平均値(HG,a)は,通常,10年
以上又は可能な場合30年程度の長期の気象観測から得られる。もし,偏差が正規分布に従う場合は,
日射変動係数(dH)が,1.0,1.28又は1.65の場合,そのような日射量不足がそれぞれ6年,10年又は20
年に1回発生する。
KHD=1−dH(σHG /HG,a)
dH : 日射変動係数
σHG : 規定年数に対する年間水平面
日射量の標準偏差
HG,a : 規定年数に対する年間水平面
日射量の平均値
σHG /HG,a:日射変動度
KHD=0.97
dH=1.0,
σHG /HG,a =0.285
(日射変動度:S55
サンシャイン計画
調査研究報告書か
ら)
KHS:日陰補正係数
山,丘陵などの地形,隣接する建物,樹木などの日陰,積雪などに対する補正係数である。遠くの山
などが各方位について同じ仰角である場合は一般化することができ,日射量の減少率のことを指す。
アレイの取扱いを障害物とアレイとの距離によって,2種類に分類し,そのうち影響の大きい日陰補
正係数を図から読み取った数値を採用する。
a) パネルを点として取り扱う場合:KHSm
山,丘陵など比較的遠い距離に存在する場合の日陰補正係数 KHSm を設置場所における日の出,日
の入りの時刻までの日射量から決定する。
b) パネルを面として取り扱う場合:KHSa
建物,樹木,前列アレイなど,比較的近い距離に存在する障害物による影の影響を,発電電力量か
ら日陰補正係数Khasを決定する。
障害物が近距離に存在しているために,パネル面の日陰をモジュールの結線方法までも考慮する必
要がある。直並列結線されているモジュールの一部分でも日陰になると,その直列結線モジュール
全体が日陰で覆われたのと同じ状態になり,その直列結線モジュールは散乱日射強度だけを受ける
として取り扱う。
KHSm=Hs /Hf
Hs : 障害物による日陰考慮時の日の
出から日の入りまでの日射量
Hf : 水平面を基準としたときの日の
出から日の入りまでの日射量
KHSa=Es /Ef
Es : 障害物による日陰考慮時の電力
量
Ef : 日陰が発生しなかったとしたと
きの電力量
KHS =1.00
KHC:入射光貢献度補正係数 KHC=KHCT×KHCD
水平面に対するアレイ傾斜面の入射光を補正する係数である。日射量及び最適傾斜角に関しては,設
置地点と同一日射気候区内の最寄り気象官署のデータを利用する。日射気候区は,グラフから読み取る
が,このとき同一気候区の距離が最も近いものを選択する。
なお,一般に,日本では年間最適傾斜角は緯度角には一致せず,少し緩やかになるが,近傍の気象官
署の最適傾斜角値の場合は,緯度はほとんど変わらないからそのまま使ってよい。
① KHCT :平板追尾ゲイン係数
−平板固定式架台
② KHCD :法線面直達日射係数
−平板固定式架台
KHC=1.00
KHCT=1.00
KHCD=1.00
KH=0.97
2
X
X
X
X
X
:
2
0
0
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
14
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2表 1 設計パラメータの説明及び求め方(続き)
説明
定義
推奨値
結晶系
アモルファス系
KPD:経時変化補正係数 KPD=KPDS×KPDD×KPDR
① KPDS :汚れ補正係数
この係数はモジュール表面の汚れによって,太陽電池の表面の入射光が減少する度合を補正
するものであり,用途地域による差異が大きいと考えられる。一般住宅地域で0.95〜0.97程
度を採用している。
なお,火山灰が降る,砂じんが激しい,道路の近くでほこりが多い,乾燥地で,雨がほと
んど降らないなどのところについては個別に検討を要するが,道路ぎわの施設で0.90とした
例もある。
② KPDD :劣化補正係数
入射エネルギーによる光劣化とアニールによる回復を補正する係数。
結晶形シリコン太陽電池については劣化するという報告がみられないことから,係数dnP=0。
アモルファスシリコン太陽電池については,現在研究開発中であるが,単層及び積層形に分
類して決定する。
③ KPDR :太陽光発電応答変動補正係数 KPDR=KPDRS×KPDRN
−KPDRS :分光応答変動補正係数
分光応答変動補正係数は,季節,太陽光の入射角,雨天などの大気中の水分濃度に起因す
る太陽光線のスペクトルが変動することによって太陽電池の変換効率の変動を補正する
係数である。
−KPDRN :非線形応答変動補正係数
非線形応答変動補正係数は,入射光のモジュールガラス面での反射を補正する係数であ
る。
KPDD=(1−dnP) nYL
dnP:光発電効率の年劣化率
nYL:評価時点(年)
KPD=0.95
KPDS=0.98
KPDD=1.00
KPDR=0.96
KPDRS=0.99
KPDRN=0.97
KPD=0.87
KPDS=0.98
KPDD=
0.90:単層
1.00:積層
KPDR=0.99
KPDRS=1.02
KPDRN=0.97
KPT:温度補正係数
温度補正係数は,光発電システムの運転状態における太陽電池モジュールの温度から日射強
度による重み付けした加重平均温度を算出し,その結果を用いて計算する。
ここに加重平均温度TCRは,日射プロフィールで重み付けしたモジュール温度の平均値と解
釈でき,平均気温TAと強い相関があるので,TAを用いて計算できる。
KPT=1+αPmax×(TCR−TS)
TCR=TA+ΔTCR
αPmax:モジュールPmaxの温度係数
結晶系:−0.0041
アモルファス系:−0.0020
TCR:加重平均温度(℃)
ΔTCR:加重平均温度上昇(DEG)
KPT=0.97
TCR=TA+ΔTCR
ΔTCR=
開放:18(℃)
密閉:27(℃)
(浜松 TA=15.5
よりKPT=0.97)
KPT=0.98
KPA:アレイ回路補正係数 KPA=KPAL
KPAL は,直流回路に発生した配線抵抗損失と逆流防止ダイオードの損失を補正する係数で,
定格時の配線抵抗損失を3 %,定格電圧200 VDCで設計する場合には,定格時のダイオード
ドロップ電圧VBD(1.0V)から,ダイオード損失率の項は無視できる。
KPAL=1−(0.6×定格時の配線損失率
+定格時のダイオード損失率)
=1−(0.6×定格時の配線損失率
+VBD/定格電圧)
KPA=0.97
KPM:アレイ負荷整合補正係数
KPMは負荷との見合いで決定されるアレイ電力の動作点が,どの程度太陽電池アレイの最適
動作点からずれているかを示す補正係数である。
連系形及び水ポンプ形では,最大電力制御のずれを,独立形の安定電力供給及び日射追従で
は,蓄電池電圧とのマッチングを補正するものである。
KPM=0.94(連系)
連系:0.94
水ポンプ:0.91
独立:安定供給:0.89
日射追従:0.91
結晶系 KP=0.84
アモルファス系 KP=0.78
2
X
X
X
X
X
:
2
0
0
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
15
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2表 1 設計パラメータの説明及び求め方(続き)
説明
定義
推奨値
γBA:蓄電池寄与率
アレイ発電電力量が蓄電池を経由しないで,直接インバータへ電力供給する電力量(バイパ
ス電力量),バイパス電力量と充電電力量との和に対する比で表され,蓄電池のエネルギー貢献
度を補正するための係数。
γBA=EBD/(EBi+EBD)
EBD:蓄電池バイパス電力量(kWh)
EBi:蓄電池充電電力量(kWh)
γBA=0.80(安定供給)
γBA=0.37(日射追従)
ηBD:バイパスエネルギー効率
蓄電池を経由しないで直接負荷側へ供給される回路の効率である。
通常,直結するケースが多いが,この場合はηBD=1.0である。ただし,変換器を挿入する場
合は変換器の効率値を入れる。
ηBD=1.0
ηBA:蓄電池回路効率ηBA=KB,OP×ηBTS
①KB,OP:蓄電池運転効率総合補正係数 KB,OP=KB,Sd×KB,ur×KB,au×ηBC
−KB,Sd:自己放電低減係数
簡便な方法として,蓄電池のタイプによって自己放電率が示されている場合,それを用い
て評価期間の自己放電電力量を計算できる。
例 浜松,システム3号機,自己放電率0.1 %以下/日(制御弁式蓄電池の一般値で,蓄電
池によって異なる。),
自己放電電力量 (年)=0.1/100×424 Ah×250 V×365日=38 690(Wh)
から
KB,sd=1−(38 690/4 686 600)≒0.99
−KB,ur :アンバランス補償低減係数(均等充電低減係数)
過充電時に均等充電を実施する場合はKB,ur=1.0
−KB,au :補機動力低減係数
蓄電池セルにかくはん装置がない場合はKB,au=1.0
KB,Sdの例と同様の考え方で,105 Wのエアポンプを30分間ずつ,毎日2回運転した場合の
かくはん電力量は
かくはん電力量(年)=(105 W×0.5 h×2回×365日)=38 325(kWh),
また,KB,auは,0.99である。
−ηBC :充放電制御装置効率
充放電制御装置を使用しない場合は,ηBC=1.0
充放電制御装置を使用する場合は,その効率を用いる。
②ηBTS :蓄電池スタック試験効率
蓄電池の充放電電力エネルギーの貯蔵効率を補正する係数である。通常は,蓄電池間の配
線抵抗による損失を無視してよいので,充放電効率を用いる。
KB,Sd=1−自己放電電力量
/蓄電池放電電力量
自己放電電力量=自己放電率
/日・期間・定格Ah・端子電圧(kWh)
KB,ur=1−均等充電電力量
/蓄電池放電電力量
KB,au=1−かくはん電力量
/蓄電池放電電力量
ηBTS=EBO /Ebi
EBO:蓄電池放電電力量(kWh)
EBi:蓄電池充電電力量(kWh)
ηBA=0.83(安定供給)
KB,OP=0.99
KB,Sd =0.99
KB,ur=1.0
KB,au=1.0
ηBC=1.0
ηBTS=0.84
0.84(安定供給)
0.87(日射追従)
KB=0.86(安定供給)
2
X
X
X
X
X
:
2
0
0
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
16
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2表 1 設計パラメータの説明及び求め方(続き)
説明
定義
推奨値
γDC:直流取出し率
アレイ直流回路中,直流電力を取り出す場合は,直流負荷電力量ELDCとアレイ発電量EPAと
の比によって計算されるが,直流負荷が存在しない場合はγDC=0.0である。
γDC=ELDC / EPA
ELDC :直流負荷電力量(kWh)
EPA :アレイ発電電力量(kWh)
γDC=0.0
KDD:DC/DCコンバータ効率 KDD=ηDDO×KDCC
①ηDDO:DC/DCコンバータエネルギー効率
DC/DCコンバータなどインバータ内部又は外部に直流変換器が接続されている場合は,
DC/DCコンバータの入出力エネルギー効率を補正するための係数であるが,DC/DCコン
バータの効率が分かる場合はその効率でもよい。
②KDCC:DC/DCコンバータ出力回路補正係数
DC/DCコンバータ内の電子回路及び素子のSWレギュレータロスなどを考慮する補正係数
であるが,無視できると考える。
ηDDO =EDdo/EDDi
EDDo :DC/DCコンバータ出力電力量
(kWh)
EDDi :DC/DCコンバータ入力電力量
(kWh)
KDD=0.95
ηDDO=0.95
KDCC=1.0
KIN:インバータ回路補正係数 KIN=ηINO×KACC
①ηINO:インバータエネルギー効率
インバータ効率ηINOは,インバータの入出力電力量から計算できるエネルギー効率を表し,
これはいわゆる実効効率のことである。
②KACC:インバータAC回路補正係数 KACC=KACLN×KACSA
インバータAC回路補正係数は,インバータ交流出力が負荷に供給するまでの電力量を補正
するための係数であるが,各々の係数は,次による。
KACLN:交流線路エネルギー伝送効率
インバータ出力電力量が負荷に供給する上での伝送損失を補正する係数。
KACSA:補助電源回路エネルギー効率 (定格時の伝送ロス:3 %)
インバータ出力側に補助電源をもつシステムにおいて,補助電源電力量及び負荷電力
量を補正するための係数である。
ηINO=EP / EA
EP:インバータ出力電力量(kWh)
EA:インバータ入力電力量(kWh)
KACLN=1−配線損失量/出力電力量
配線損失量=a×定格時の損失電力量
a:経験に基づく定数
KACSA=1−補助電源電力量/負荷電力量
KIN=0.90
ηINO=0.91
KACC=0.99
KACSA=1.0
KACLN=0.99
KC=0.90
2
X
X
X
X
X
:
2
0
0
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
17
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2図 1 設計パラメータの分類
18
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書3(参考)屋根用アレイ温度上昇推定方法
序文 この附属書3(参考)は,本体に規定した加重平均太陽電池モジュール温度上昇に関する事項を説
明するもので,規定の一部ではない。
太陽電池アレイの温度を推定することは,太陽電池アレイの性能評価を行ううえで非常に重要なファク
タである。屋根設置アレイについてのアレイ温度上昇に関する実際の測定方法について記述するもので,
分かりやすくするために規格に近い体裁をとっている。
太陽電池アレイの性能を評価するには,太陽電池アレイの温度を正確に算出する必要がある。推定した
太陽電池アレイ温度の利用として,次の2種類が想定される。一つは,システムの運転特性評価のための
推定であり,他方は,システム発電電力量のための推定である。前者は,1時間以下の間隔で太陽電池ア
レイ温度を推定し,1時間以下の間隔で用いるシミュレーションなどに利用するものである。後者は,1
か月単位又は1年単位での太陽電池アレイ温度を推定する方法で,発電電力量などエネルギー的な評価に
用いる。
ここでは,それぞれに対応した太陽電池アレイ温度の推定方法を説明する。住宅屋根に設置後の太陽電
池アレイの温度を計測することは実質的には非常に困難であるが,この方法を利用することによって簡易
的に温度上昇による運転挙動の推定及び発電量が計算できる。
1. 適用範囲 この附属書は,同一形式の結晶系シリコン太陽電池モジュール又はアモルファス太陽電池
モジュール(以下,モジュールという。)で構成され,すべてのモジュールが同一方位・傾斜角の条件で住
宅屋根に搭載された太陽電池アレイ又はストリング(以下,太陽電池アレイという。)のオンサイトにおけ
る温度上昇を求める方法を説明する。
適用する屋根用アレイは,次を対象とする。
− 架台設置形
− 屋根置き形
− 屋根一体形
住宅の傾斜屋根を利用して設置した太陽電池アレイの設置例は,附属書3図1による。
備考1. 建材一体形太陽電池アレイ及び集光形太陽電池アレイは,適用外とする。
2. 適用する太陽電池アレイは,同一形式で構成されている結晶系シリコン太陽電池モジュール
又はアモルファスシリコン太陽電池モジュールを対象とする。商品化され普及が進んでいる
建材一体形太陽電池アレイについては,通常のスーパーストレートタイプとは熱特性が異な
ることが予想され,同一方法での測定は困難との判断によってこの規格から除外する。しか
しながら,建材一体形は,今後の普及の中心になることが予想されるため,できるだけ早い
時期に標準規格化が望まれる。設置方式としては,従来から普及している架台設置形に加え
て主に住宅用太陽光発電システムで普及しつつある屋根置き形及び屋根一体形を対象とする。
それらの設置方式の断面図例は,附属書3図2による。
3. 日本の住宅は屋根面積が小さいため,複数面の屋根を利用して太陽電池アレイを設置する方
式が市場でも加速的に増えつつあり,各面の日射強度が入手できれば温度上昇は各面ごとに
推定が可能であるが,太陽電池アレイのアンバランスが発生し,計算も複雑になるために今
回は対象外とする。
19
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書3図 1 屋根一体形屋根用アレイ全景
附属書3図 2 設置方式事例(屋根アレイの断面図)
2. 測定の環境条件 太陽電池アレイ温度上昇* 推定のためのデータ取得は,次の条件(環境)で行うこ
とが望ましい。
a) 周囲温度 −10〜40 ℃
b) 周囲風速 0〜20 m・s−1
c) 日射強度 100 W・m−2 以上
注*
アレイ温度上昇は,外気温度に対する太陽電池アレイの温度上昇分(太陽光発電システム運転
時)をいう。
備考1. 周囲温度は,真冬から真夏までの期間で想定される温度条件など,日本における一般的な条
件を勘案して−10〜40 ℃とした。
2. 日射強度は,低い場合には温度上昇推定式による推定精度が落ちること及びインバータによ
屋根一体形の例
「屋根一体形太陽電池アレイ」
20
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
る変換が開始しないこと並びに温度上昇値も大きくはならないことから,100 W・m−2以上と
した。
3. 測定機器
3.1
計測器 計測器は,次による。
a) 日射計 太陽電池アレイ面の日射強度を測定するための放射計。
b) 温度計 太陽電池アレイ周囲の外気温度を計測するための装置。
c) 風向計・風速計 太陽電池アレイ周囲の風向・風速を計測するための装置。
備考1. 日射計は,太陽電池アレイ面の日射強度を測定するための放射計で,通常は,全天日射計が
用いられる。直達光,散乱光及び地上からの反射光も含んだ全放射照度を計測できる装置で
ある必要がある。また,傾斜面に設置されるケースも多いため,傾斜角依存性が補正できる
必要がある。ただし,補正が必要ないものはこの限りでない。
2. 外気温度計は,太陽電池アレイ周囲の温度を計測するための装置で,直達光の影響を受けな
いようにする必要がある。
3. 太陽電池アレイ周囲の風向・風速を計測するための装置は特に指定はない。風向は,温度上
昇推定の算出には利用しないが,同時に両方計測する装置が一般的である。
3.2
被試験品 屋根一体形の太陽電池アレイは,正規の部材及び施工方法で屋根を形成しなければなら
ない。また,架台設置形及び屋根置き形の太陽電池アレイは,正規の施工方法で,屋根面に設置しなけれ
ばならない。
4. 測定手順及びデータの処理方法
4.1
運転特性評価のための温度上昇推定方法
a) 計測器の設置及びデータ計測 次に示す手順に従い,日射強度,周囲温度及び風速を計測する。
なお,データ計測が困難な場合は,代わりに日本気象協会作成の気象データMETPVなどを利用す
ることも可能である。
1) 太陽電池アレイ面の日射計測 日射計を太陽電池アレイ面と同一方位・同一傾斜角で周辺障害物の
陰及び周辺建物による反射の影響がない位置に設置し,全天日射強度を計測する。
備考 計測間隔は,短い周期でもよいが太陽電池アレイには熱容量があり,時定数を考慮しなくては
ならない。したがって,温度上昇を推定するために利用するデータは,データ処理の効率も考
慮すると10分〜30分程度(平均値でよい。)が望ましい。
2) 太陽電池アレイ周辺の外気温度の計測 太陽電池アレイ周辺の日陰で,直射日光などの影響が少な
い場所に,温度計を設置して周囲温度を計測する。
備考 太陽電池アレイ周辺の外気温度の計測では,風通しがよい場所に設置することが望ましい。
3) アレイ周辺の風速(風向)の計測 アレイ周辺の風速(風向)計は,アレイとほぼ同一レベルの高
さに設置して,風速(風向)を計測する。
備考 アレイ周辺の風速(風向)の計測は,可能な場合,アレイとほぼ同一レベルの高さに設置する
ことが望ましい。また,風向・風速の計測センサの周囲には障害物が存在してはならない。
なお,アレイ温度上昇は,風向の違いによって厳密にいえば異なるが,今回の推定式ではす
べて同じ取扱いとする。
b) 太陽電池アレイ温度の推定 計測したデータから,式(3.1)によって太陽電池アレイ温度を求める。
21
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2
2
1
A
8.0
A
PA
−
+
+
+
=
G
V
B
A
T
T
×
×
·········································· (3.1)
ここに, TPA: 太陽電池アレイ温度(℃)
TA: 外気温度(℃)
A: 係数(附属書3表1による。)
B: 係数(附属書3表1による。)
V: 風速(m・s−1)
GA: 日射強度(kW・m−2)
附属書3表 1 運転特性評価のための温度上昇推定方法における設置方式による係数
太陽電池アレイ設置方式
A
B
架台設置形
46
0.41
屋根置き形
50
0.38
屋根材形(裏面通風構造があるタイプ)
57
0.33
一例として日射強度1 kW・m−2のときのアレイ温度上昇と風速との関係を,附属書3図3に示す。
附属書3図 3 アレイ温度上昇と風速との関係(日射強度:1 kW・m−2)
4.2
システム発電電力量評価のための温度上昇推定
a) 計測器の設置及びデータ計測 次に述べる手順に従い,日射強度,周囲温度及び風速を計測する。
なお,データ計測が困難な場合は,代わりに日本気象協会作成の気象データMONSOLA(00)などを
利用することも可能である。
1) 太陽電池アレイ面の日射計測 日射計を太陽電池アレイ面と同一方位・同一傾斜角で周辺障害物の
陰及び周辺建物による反射の影響がない位置に設置し,全天日射強度を計測する。
備考 計測間隔は,短い周期でもよいがアレイには熱容量があり,時定数を考慮しなくてはならない。
したがって,温度上昇を推定するための利用するデータは,データ処理の効率も考慮すると10
分〜30分程度(平均値でよい。)が望ましい。
2) 太陽電池アレイ周辺の外気温度の計測 太陽電池アレイ周辺の日陰で,直射日光などの影響が少な
い場所に温度計を設置して周囲温度を計測する。
備考 太陽電池アレイ周辺の外気温度の計測では,風通しがよい場所に設置することが望ましい。
b) 加重平均温度による算出 計測したデータから,式(3.2)によって太陽電池アレイの温度を求める。
TPA=TA+C×GA ·································································· (3.2)
架台設置形
22
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
C: 係数(附属書3表2による。)
附属書3表 2 発電電力量評価のための温度上昇推定方法における設置方式による係数
太陽電池アレイ設置方式
C
架台設置形
18.4
屋根置き形
21.5
屋根材形(裏面通風構造があるタイプ)
25.4
備考 傾斜面日射強度とアレイ温度上昇との関係の例は,附属書3図4による。多少の変動はあるも
ののおおよそ強い相関があることが分かる。しかし,温度上昇の傾きは季節によって異なる。
一般的には,夏が高く,冬に低い傾向にある。この理由としては,日本は年間を通して見た場
合には,気圧配置の関係で夏は風が弱く(太平洋高気圧の影響,高湿度),冬は風が強い傾向(西
高東低)にあること,冬は晴天ベースの日が多く放射冷却現象が著しいことなどが考えられる。
附属書3図 4 傾斜面日射強度とアレイ温度上昇との関係
23
C 8907:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
1) 黒川:太陽光発電システムの評価・測定に関する研究,電子技術総合研究所研究報告第947号(1993.3)
2) 湯川他:太陽電池モジュール温度上昇の推定,電気学会論文誌B,Vol.116-B,No.9,P1101(1996.9)
3) 昭和61年度 新エネルギー総合開発機構委託業務成果報告書
太陽光発電システム実用化技術開発周辺技術の研究開発“発電量基礎調査”
4) 平成12年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託業務成果報告書(太陽光発電システム実用
化技術開発,太陽光発電システム利用システム・周辺技術の研究開発“最適設計のための気象データ
の調査研究”)
5) 平成9〜12年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託業務成果報告書(太陽光発電システム実
用化技術開発,太陽光発電システム評価技術の研究開発“システム評価技術の研究開発”
6) 平成12年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託業務成果報告書(太陽光発電システム実用
化技術開発,太陽光発電システム評価技術の研究開発“システム評価技術の研究開発”別冊 太陽光
発電システム設計マニュアル)