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C 8904-9:2017  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 ソーラシミュレータの等級 ································································································· 7 

5 性能の評価方法 ················································································································ 8 

5.1 放射照度の設定 ············································································································· 8 

5.2 スペクトル合致度 ·········································································································· 8 

5.3 放射照度の場所むら ······································································································· 9 

5.4 放射照度時間変動率 ······································································································ 11 

5A 測定頻度 ····················································································································· 13 

6 表示······························································································································ 13 

附属書JA(参考)ソーラシミュレータ照射における太陽電池への入射角 ······································· 15 

附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 17 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本電機工業会(JEMA)から,

工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経

済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによって,JIS C 8912:2011,JIS C 8933:2011及びJIS C 

8942:2009は廃止され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 8904の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 8904-1 第1部:太陽電池I-V特性測定方法(予定) 

JIS C 8904-2 第2部:基準太陽電池デバイスに対する要求事項 

JIS C 8904-3 第3部:基準太陽光の分光放射照度分布による太陽電池測定原則 

JIS C 8904-4 第4部:校正のトレーサビリティ確立手順 

JIS C 8904-5 第5部:開放電圧法による等価セル温度の決定(予定) 

JIS C 8904-7 第7部:太陽電池測定でのスペクトルミスマッチ補正の計算方法 

JIS C 8904-8 第8部:太陽電池分光感度特性測定方法(予定) 

JIS C 8904-9 第9部:ソーラシミュレータの性能要求事項 

JIS C 8904-10 第10部:線形性の測定方法 

日本工業規格          JIS 

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太陽電池デバイス− 

第9部:ソーラシミュレータの性能要求事項 

Photovoltaic devices-Part 9: Solar simulator performance requirements 

序文 

この規格は,2007年に第2版として発行されたIEC 60904-9を基とし,より正確な規格とするために,

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。また,附属書JAは対応国際規格にはない事項であ

る。 

注記 この規格は,太陽電池のI-V測定用ソーラシミュレータ及び光照射試験装置としてのソーラシ

ミュレータの性能要求事項を規定するが,この規格を用いて適合性評価を行うことは意図して

いない。 

適用範囲 

この規格は,電力発電を目的とする平面・非集光形の太陽電池セル,太陽電池サブモジュール及び太陽

電池モジュール(以下,太陽電池セル・モジュールという。)評価用のソーラシミュレータ(以下,ソーラ

シミュレータという。)の要求事項について規定する。 

ソーラシミュレータは,スペクトル合致度,試験平面での放射照度の場所むら及び放射照度時間変動率

の評価基準に基づく三つの区分の各々に対し,A,B,C(スペクトル合致度はA,B,C,MA,MS,IA,

IB,IC)のいずれかに分類される。この規格では,各区分においてソーラシミュレータの等級(rating)を

決定するために必要な手法について記述する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 60904-9:2007,Photovoltaic devices−Part 9: Solar simulator performance requirements(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 8904-3 太陽電池デバイス−第3部:基準太陽光の分光放射照度分布による太陽電池測定原則 

注記 対応国際規格:IEC 60904-3,Photovoltaic devices−Part 3: Measurement principles for terrestrial 

photovoltaic (PV) solar devices with reference spectral irradiance data(MOD) 

JIS C 8960 太陽光発電用語 

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JIS Z 8103 計測用語 

JIS Z 8120 光学用語 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 8960,JIS Z 8103及びJIS Z 8120によるほか,次による。 

3.0A 

放射照度 

太陽電池セル・モジュールの面に入射する放射束を,その面の面積で除した値。 

3.1 

ソーラシミュレータ(solar simulator) 

基準太陽光の分光放射照度に近似した照射を目的とした装置。 

主に(1)光源及び点灯用電源,(2)等級に合致するように光学的な補正を行うための光学部品,及び(3)

制御装置で構成され,発光方式によって,定常光形,パルス発光形及び逐次パルス発光形に分類される。

太陽電池のI-V特性の測定用のほかに,太陽電池の信頼性評価のための光照射試験装置として用いられる。 

注記1 I-V特性の測定に用いるソーラシミュレータは,その発光方式によって定常光形とパルス発

光形とに分類され,パルス発光形ソーラシミュレータは,さらに,1パルス発光で全I-V特

性データを測定するロングパルス発光形と,1パルス発光で1点のI-Vデータを測定し,複

数回の測定で全I-V特性データを測定する逐次パルス発光形とに分類される。 

注記2 光源,電源,光学部材及び制御装置を除くソーラシミュレータの基本構成は,I-Vデータ測

定装置,電子負荷及びソフトウェアである。 

3.1A 

スペクトル可変式ソーラシミュレータ 

光路中に複数の光学フィルタを配置,又は分光放射照度分布(スペクトル)の異なる複数の光源の出力

を調整することによって,そのスペクトルが可変な形式のソーラシミュレータ。 

3.2 

試験平面(test plane) 

太陽電池を設置して,基準太陽光に近似した分光放射照度が照射される平面。 

3.3 

指定試験領域(designated test area) 

規定の放射照度の場所むらを満足する,試験平面に指定された領域。 

注記 幾何的又は円形で領域を指定してもよい。 

3.3A 

最大入射角 

有効照射面上の任意の点に入射する光線が,それらの入射点を起点とする法線となす角度のうちの最大

値(図0A参照)。 

照射面への最大入射角は,15°以内とする。ただし,基準太陽電池と被測定太陽電池の入射角特性が同

じである場合は,この限りではない。 

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法線 

n1,n2,n3…… 

最大入射角 θ1,θ2,θ3,…の中の最大値 

図0A−照射面への入射角 

注記1 測定例-1(最大入射角及び広がり角) 

最大入射角及び広がり角は,個別に測定する必要がある。最大入射角は,開口角を制限し

た検出器を,照射面に対して角度を変更して出力測定を行い,確認する。広がり角は,入射

角と平行に検出器を設置して,複数の開口角制限をした測定を行い,確認する。 

注記2 測定例-2(インテグレータ照射形における最大入射角) 

インテグレータから光照射する場合には,最大入射角は,インテグレータから照射面まで

の距離,及び照射面中央から外端までの距離から算出することで代用が可能である。 

注記3 測定例-3(広がり角) 

ピンホールを設けた暗箱を準備して,暗箱底面に映る光の円の外径,ピンホール径,及び

ピンホールから暗箱底面までの距離から算出することで代用が可能である。 

注記4 拡散光及び直達光について 

直達日射は,一般的に開口角5°(全角)で測定されている。広がり角が5°(全角)以上

の場合,拡散光形とみなされる。拡散光形の場合,基準太陽電池と被測定太陽電池との入射

角特性が同じでない場合,拡散光形の光源では誤差が生じる可能性が高い。 

注記5 入射角及び広がり角の測定は,附属書JAを参照する。 

3.4 

データ取得時間(data sampling time) 

一つのデータセット(放射照度,電圧及び電流)をサンプリングするために必要な時間。マルチプレク

サで放射照度,電圧及び電流をサンプリングする場合のデータ取得時間は,次の式になる。 

To=(Tm+Ti)n−Ti 

ここに, 

To: 全チャンネル掃引時間 

Tm: チャンネルごとの測定時間 

Ti: チャンネル切換時間 

n: チャンネル数 

例えば,全チャンネル掃引時間が1 μsの場合,サンプリングレートは毎秒1メガサンプルとなる。 

注記 過渡特性によっては,遅延時間が生じる可能性がある。そのため,データのサンプリングレー

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トには注意が必要である。データ取得時間は,放射照度時間変動率の評価にも用いられる。 

3.5 

I-Vデータ取得時間(data acquisition time) 

I-V特性曲線,又はその一部のデータを測定するために必要な時間。 

注記1 データ取得時間は,I-Vデータの点数及び測定開始遅延(調整可能な装置がある場合)に依

存する。 

注記2 パルス発光形ソーラシミュレータでは,データ取得時間は1発光中に測定する量に依存する。 

3.6 

逐次パルス発光によるI-Vデータ取得時間(time for acquiring the I-V characteristic) 

太陽電池のI-V特性曲線の測定を1パルス発光ではなく,逐次パルス発光によって複数回の測定を行う

場合のI-Vデータ取得時間。 

この測定を複数の領域で行う場合,全I-V特性を取得する総時間は,それらのデータ全ての取得時間の

合計である。 

3.6A 

有効照射時間 

パルス発光形ソーラシミュレータにおいて,パルス光の照射時間幅のうち箇条4の光学的仕様を満足す

る照射時間。有効照射時間は,式(0A)から求められる。 

TEff ≧ TA+TB+TC··································································· (0A) 

ここに, TEff: 有効照射時間 
 

TA: 太陽電池セル・モジュールにステップ状に光を照射した場合の

時定数の4倍の時間 

TB: 太陽電池セル・モジュールの負荷をステップ状に変化させた場

合の時定数の4倍の時間 

TC: 太陽電池セル・モジュールの1点のI-Vデータを測定するため

に要する時間 

ただし,1回の有効照射時間中に負荷を変化させ,n点のデータを測定する場合の有効照射時間は,式(1A)

から求められる。 

TEff≧ TA+n(TB+TC) ····························································· (1A) 

3.7 

実効放射照度(effective irradiance) 

I-V特性を測定している間に放射照度が変動することに伴う,全データ測定時の放射照度の平均値。 

注記 放射照度の補正を行う場合は,IEC 60891の要求に適合するよう注意する必要がある。 

3.8 

近似波長帯(spectral range) 

それぞれの太陽電池の感度を表す,JIS C 8904-3で定義するAM1.5 G下でのスペクトル分布。 

この規格では,評価の対象とする太陽電池の種類によって,異なる4種類の近似波長帯をもつ表(表1,

表1A,表1B及び表1C参照)を規定している。これらの表では,評価対象とする種類の太陽電池が感度

をもつ波長帯をソーラシミュレータの近似波長帯とし,分割された各波長帯の相対エネルギー分布が,あ

るパーセント割合で近似波長帯の全放射照度に寄与している。対象となる太陽電池セル・モジュールは,

結晶系,アモルファス系,多接合,CIS系の4種類である。また,この4種類以外の太陽電池であっても,

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分光感度がいずれかに近似していれば,4種類の表から一つを選択して用いてもよい。 

注記 CIS系など1 100 nmよりも長波長側に分光感度をもつ太陽電池の評価を行う場合は,その波長

帯におけるスペクトル合致度についても注意を要する。 

3.9 

スペクトル合致度(spectral match) 

ある波長帯でのスペクトルの合致度。 

ソーラシミュレータのある波長帯(λi〜λi+1の間)スペクトル合致度は,JIS C 8904-3に規定されている

AM 1.5全天基準太陽光の分光放射照度とソーラシミュレータの各波長帯の相対エネルギー分布との比に

よって定まる。このスペクトル合致度は,次の式(2A)から求められる。 

()

()

+

+

=

1

1

λ

λ

o

λ

λ

s

λ

λ

λ

λ

i

i

i

i

d

E

d

E

Mi

 ···································································· (2A) 

ここに, 

Mi: スペクトル合致度 

λ: 光の波長(nm) 

Eo (λ): 波長λでの基準太陽光の分光放射照度 [W/(m2・nm)] 

Es (λ): 波長λでのソーラシミュレータの分光放射照度 [W/(m2・

nm)] 

スペクトル合致度を計算する波長帯の積分放射照度が近似波長帯の全放射照度に占める相対エネルギー

分布は,太陽電池の種類ごとに表1,表1A,表1B及び表1Cによる。 

表1−相対エネルギー分布(結晶系) 

波長帯 nm 

λi〜λi+1 

全放射照度(400 nm〜1 100 nm)に占める

各波長帯の相対エネルギー分布 

400 〜 500 

18.4 % 

500 〜 600 

19.9 % 

600 〜 700 

18.4 % 

700 〜 800 

14.9 % 

800 〜 900 

12.5 % 

900 〜1 100 

15.9 % 

表1A−相対エネルギー分布(アモルファス系) 

波長帯 nm 

λi〜λi+1 

全放射照度(400 nm〜1 100 nm)に占める

各波長区分の相対エネルギー分布 

350 〜 400 

 6.2 % 

400 〜 450 

11.8 % 

450 〜 500 

14.9 % 

500 〜 550 

14.6 % 

550 〜 600 

14.3 % 

600 〜 650 

13.8 % 

650 〜 700 

12.9 % 

700 〜 750 

11.5 % 

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表1B−相対エネルギー分布[多接合(MS,MA用)] 

波長帯 nm 

λi〜λi+1 

全放射照度(400 nm〜1 100 nm)に占める

各波長区分の相対エネルギー分布 

350 〜 400 

4.09 % 

400 〜 450 

7.81 % 

450 〜 500 

9.84 % 

500 〜 550 

9.66 % 

550 〜 600 

9.44 % 

600 〜 650 

9.11 % 

650 〜 700 

8.50 % 

700 〜 750 

7.59 % 

750 〜 800 

6.72 % 

10 

800 〜 850 

6.16 % 

11 

850 〜 900 

5.79 % 

12 

900 〜 950 

3.37 % 

13 

950 〜 1 000 

3.75 % 

14 

1 000 〜 1 050 

4.39 % 

15 

1 050 〜 1 100 

3.78 % 

表1C−相対エネルギー分布(CIS系) 

波長帯 nm 

λi〜λi+1 

全放射照度(400 nm〜1 100 nm)に占める

各波長区分の相対エネルギー分布 

350 〜 400 

 3.74 % 

400 〜 500 

16.13 % 

500 〜 600 

17.45 % 

600 〜 700 

16.09 % 

700 〜 800 

13.08 % 

800 〜 900 

10.92 % 

900 〜 1 100 

13.97 % 

1 100 〜 1 300 

 8.62 % 

3.10 

試験平面における放射照度の場所むら(non-uniformity of irradiance in the test plane) 

ソーラシミュレータ照射面の場所による放射照度のむらの度合いを示す値。式(1)から求められる。 

放射照度の場所むら

100

(%)

min

max

min

max

×

+

±

=

E

E

E

E

 ····································· (1) 

ここに, 

Emax: 照射面内の放射照度の最大値 (W/m2) 

Emin: 照射面内の放射照度の最小値 (W/m2) 

3.11 

放射照度時間変動率(temporal instability of irradiance) 

1枚の太陽電池セル・モジュールのI-V特性の全データを採取するのに必要な時間を基準とし,ソーラ

シミュレータの受渡当事者間の協定で指定する時間内の放射照度の変動率。式(2)から求められる。ソーラ

シミュレータが光照射試験に用いられる場合,放射照度時間変動率は,光照射時間中に試験平面上の任意

の点で検出器によって測定した最大及び最小放射照度によって定義する。 

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放射照度時間変動率

100

(%)

min

max

min

max

×

+

±

=

E

E

E

E

 ····································· (2) 

ここに, Emax: 規定時間内の放射照度の最大値 (W/m2) 
 

Emin: 規定時間内の放射照度の最小値 (W/m2) 

なお,放射照度時間変動率には,次の二つがある。 

a) 放射照度短時間変動率(STI) これは,I-V測定中の一つのデータセット(放射照度,電流及び電圧)

のデータサンプリング時間に関係している。この変動率の値は,I-V曲線上の複数のデータセットの

間で異なることもある。この場合,放射照度短時間変動率は,その中で最も悪い値とする。 

b) 放射照度長時間変動率(LTI) これは,目的とする時間に関係しており,次の二つの場合がある。 

− I-V測定の場合,これはI-V特性曲線曲線全体を得るのに必要な時間である。 

− 光照射試験の場合,これは耐光性評価に必要な光照射時間に関係している。 

3.12 

ソーラシミュレータの等級分類(solar simulator classification) 

ソーラシミュレータのスペクトル合致度,放射照度の場所むら,及び放射照度時間変動率の三つの区分

の各々に対する分類。放射照度の場所むら及び放射照度時間変動率のそれぞれの区分に対しては,A,B,

Cの三つの等級に分類することができ,スペクトル合致度の区分に対しては,A,B,C,MA,MS,IA,

IB,ICの八つの等級に分類することができる。個々のソーラシミュレータは,スペクトル合致度,試験平

面における放射照度の場所むら,放射照度時間変動率の順で,三つの文字で評価づけられる(例えば,

C-B-A)。 

スペクトル合致度に関しては,対象となる太陽電池セル・モジュールによって波長領域及びきざみ波長

幅が異なるため,三つの区分の等級に続けて括弧書きで対応する太陽電池セル・モジュールの種類を記載

する。例えば,A-A-A(結晶系),A-A-A(アモルファス系),MA-A-A(多接合)。 

注記 ソーラシミュレータの分光放射照度は,使用時間とともに変動し,放射照度の場所むらは,試

験室の反射条件の影響を受ける。したがって,ソーラシミュレータの等級分類は,定期的に確

認し,その等級分類が維持されていることを確認することが望ましい。 

ソーラシミュレータの等級 

スペクトル合致度,放射照度の場所むら及び放射照度時間変動率の性能要求事項を,表2に示す。スペ

クトル合致度が各々の等級を満足するためには,表1,表1A,表1B又は表1Cのそれぞれの全ての波長

区分で表2に示す基準太陽光との比率を満足しなければならない。スペクトル合致度,放射照度の場所む

ら,放射照度時間変動率を測定及び計算する手順は箇条5に示す。 

基準状態(STC)での出力測定評価を目的とするソーラシミュレータは,試験面における実効放射照度

として1 000 W/m2を照射できるものでなければならない。測定によっては,1 000 W/m2よりも高い又は低

い放射照度が必要とされる場合もある。 

注記 1 000 W/m2よりも高い又は低い放射照度が必要とされる場合,その実現方法によってソーラシ

ミュレータの等級分類が変更となる可能性もある。 

これらの要求事項は,定常光形ソーラシミュレータ及びパルス光形ソーラシミュレータの両方に適用す

る。パルス発光形ソーラシミュレータの照射時間には,有効照射時間を適用する。 

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表2−ソーラシミュレータの等級分類 

分類 

表1,表1A,表1B及び表1Cの全

ての波長区間におけるスペクトル

合致度 

放射照度の 

場所むら 

放射照度時間変動率 

放射照度短時間変動率 

STI 

放射照度長時間変動率 

LTI 

MS 

0.95〜1.05 
(表1B) 

− 

− 

− 

MA 

0.75〜1.25 
(表1B) 

− 

− 

− 

IA 

0.75〜1.25 
(表1C) 

− 

− 

− 

IB 

0.6〜1.4 

(表1C) 

− 

− 

− 

IC 

0.4〜2.0 

(表1C) 

− 

− 

− 

0.75〜1.25 

(表1又は表1A) 

 2 % 

0.5 % 

 2 % 

0.6〜1.4 

(表1又は表1A) 

 3 % 

 2 % 

 5 % 

0.4〜2.0 

(表1又は表1A) 

10 % 

10 % 

10 % 

注記 I-V測定についてのソーラシミュレータの等級分類を,表3に例示する。スペクトル合致度の等級分類は,無

フィルタのキセノン・ランプに対してのものである。放射照度の場所むらの等級分類は,想定しているモジ
ュールサイズに依存する。 

表3−ソーラシミュレータの評価項目及び結果の例 

表2の 

等級分類 

表1の全ての波長帯の 

スペクトル合致度 

特定のサイズのモジュールの面積

に対応する放射照度の場所むら 

放射照度時間変動率 

C-B-B 

0.81(400〜500 nm)(A) 
0.71(500〜600 nm)(B) 
0.69(600〜700 nm)(B) 
0.74(700〜800 nm)(B) 
1.56(800〜900 nm)(C) 
1.74(900〜1 100 nm)(C) 

モジュールのサイズが100 cm×
170 cmは±2.8 % 

STI評価:モジュール電流,モジ
ュール電圧及び放射照度の模擬
測定。チャンネル間のトリガ遅れ
が10 ns未満。その時間内で放射
照度の変動が0.5 %未満(A)。 
LTI評価:10 msの時間でI-V曲
線全体を得る際のLTI=3.5 %(B) 

評価結果 最悪値がCなので等級分類=C 等級分類=B 

等級分類=B 

性能の評価方法 

5.1 

放射照度の設定 

放射照度の設定は,被測定太陽電池セル・モジュールの光学的特性(相対分光感度など)が近似した基

準太陽電池デバイスを用いて行う。 

5.2 

スペクトル合致度 

5.2.1 

測定方法 

スペクトル合致度の算定には,ソーラシミュレータの光源を点灯し,熱的に安定した後,有効照射面上

の放射照度を1 000±50 W/m2に合わせ,a)〜d)のいずれかの機器を用いて波長分解能10 nm以下の状態測

定した分光放射照度を用いる。 

a) 回析格子形分光器による,波長走査分光器と検出器とで構成された分光放射計 

C 8904-9:2017  

b) ポリクロメータCCD又はフォトダイオードアレイで構成された分光器による分光放射計 

c) 測定波長帯を帯域に分割し,帯域ごとにフィルタを備えた多重検出器アセンブリ 

d) 複数のバンドパスフィルタを備えた単一検出器 

注記1 CCDはcharge coupled deviceの略で,電荷結合素子である。 

注記2 迷光及び二次オーダ波長効果による誤応答を避けることに注意する必要がある。また,セン

サの感度が,目的とする波長範囲に適していることにも留意する必要がある。検出器の時定

数がソーラシミュレータのパルス発光の幅に適合していることも必要である。 

5.2.2 

相対エネルギー分布の決定 

取得した分光放射照度を基に,表1,表1A,表1B又は表1Cの四つの表から一つを選択して,選択し

た表の波長範囲内で積分するとともに,積分された放射照度に対しての,選択した表で規定する波長帯の

各々の相対エネルギー分布を決定する。 

5.2.3 

スペクトル合致度の計算 

各波長帯のスペクトル合致度を計算する。 

5.2.4 

スペクトル合致度の等級分類 

基準太陽光の分光放射照度との比較によって,次の基準に従ってスペクトル合致度を分類する。 

− 等級MS 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.95〜1.05(表2参照)。 

− 等級MA 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.75〜1.25(表2参照)。 

− 等級IA 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.75〜1.25(表2参照)。 

− 等級IB 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.6〜1.4(表2参照)。 

− 等級IC 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.4〜2.0(表2参照)。 

− 等級A 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.75〜1.25(表2参照)。 

− 等級B 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.6〜1.4(表2参照)。 

− 等級C 各波長帯の相対エネルギー分布の基準太陽光のそれとの比が0.4〜2.0(表2参照)。 

5.2.5 

スペクトル合致度の確認 

各々の等級を満足するためには,表1,表1A,表1B又は表1Cに示す全ての波長帯で表2に示すスペ

クトル合致度を満たさなければならない。 

注記1 パルス発光形ソーラシミュレータのスペクトル合致度は,パルス発光時間の経過中に変動す

る可能性がある。したがって,分光放射照度測定の積分時間をデータ取得時間と一致するよ

うに調節し,パルス発光時間に対応したスペクトル合致度を計算するのがよい。 

注記2 スペクトル可変式ソーラシミュレータのスペクトル合致度は,光路中の複数の光学フィルタ

の配置,又は分光放射照度分布(スペクトル)の異なる複数の光源の出力スペクトルの比率

によって調節され,評価対象とする太陽電池が感度をもつ波長帯に応じて変化する可能性が

ある。したがって,測定対象ごとに分光放射照度が調節された状態でスペクトル合致度を計

算するのがよい。 

注記3 スペクトル合致度は,経時変化する可能性がある。そのため,必要に応じて定期的に確認す

るのがよい。 

5.3 

放射照度の場所むら 

太陽電池モジュールの測定を行うための大面積ソーラシミュレータの放射照度の場所むらは,ソーラシ

ミュレータの設置されている試験室の反射条件又はソーラシミュレータ内部の光学系からの反射の影響を

受ける。したがって,放射照度の場所むらは,設置された場所で,設置したソーラシミュレータそのもの

10 

C 8904-9:2017  

で実際に評価する。 

5.3.1 

測定機器 

放射照度の場所むらを測定するための検出器として,封入形の結晶シリコンセル又はミニモジュールを

用いることを推奨する。放射照度の場所むらは,その短絡電流によって測定する。放射照度の場所むら検

出器は,当該ソーラシミュレータに適した分光感度特性をもち,放射照度に対する放射照度の場所むら検

出器出力の線形性及び時間応答性は,測定するソーラシミュレータの特性に合うものを用いる。 

注記 放射照度の場所むら検出器としてミニモジュールを用いる場合には,ミニモジュールを構成す

るセルの特性のばらつきに起因する誤差が生じることがある。 

5.3.2 

検出器のサイズ 

指定試験領域を,64個以上の同面積の試験位置(ブロック)に分ける。放射照度の場所むらを測定する

ための検出器の最大サイズは,次のいずれか小さい方とする。 

a) 指定試験領域を64で除した値 

b) 400 cm2 

検出器で測定を行う範囲は,指定試験領域を100 %カバーする必要がある。測定位置は,指定試験領域

上に均等に分布させる。ただし,測定点数が過多になるなど試験領域を100 %カバーすることが困難な場

合は,測定箇所は,ソーラシミュレータの受渡当事者間の協定による。 

注記1 ミニモジュールは,その発電面積が試験位置のサイズに収まる場合にだけ,放射照度の場所

むら検出器として用いることができ,そのパッケージファクタは80 %以上とする。 

注記2 多灯のランプを用いたソーラシミュレータの放射照度の場所むらを検出するためには,より

小さな検出器を用いて,より高い分解能でデータを測定することが必要になる場合もある。 

注記3 モジュールの製造業者は,モジュールを構成するセルと同一寸法の受光面をもつ検出器を用

いることを考慮する。 

注記4 小面積ソーラシミュレータ(セルサイズの照射面積)の測定箇所は,例えば,測定点数を25

点にするなどの考慮が必要になる。 

注記5 モジュールサイズの照射面の測定箇所は,ソーラシミュレータの受渡当事者間の協定によっ

て,64点以下にするなどの考慮が必要な場合がある。 

例 大面積ソーラシミュレータ(指定試験領域240 cm×160 cm)の場合 

64分割すると,検出器の最大面積は600 cm2となる。この値は400 cm2よりも大きいことから,

検出器の最大サイズは400 cm2のものを用いる。この場合,試験位置は96か所となる。 

5.3.3 

放射照度の決定 

放射照度の場所むら検出器を用いて,次の方法によって,試験位置の各々の放射照度を決定する。 

a) 定常光形ソーラシミュレータ 定められた位置における放射照度を測定する。 

b) パルス発光形ソーラシミュレータ ソーラシミュレータの放射照度が,パルス発光の期間中,又はパ

ルス発光ごとに一定であるとは限らない。したがって,照度の変動測定用に基準太陽電池デバイスな

どの照度モニタを用意し,パルス発光の期間中の放射照度を測定する必要がある。この照度モニタは

指定試験領域外の定められた位置に設置し,放射照度の場所むら検出器と同時に照度の測定を行い,

各試験位置の測定値に対して照度補正の計算を行う。パルス発光期間中,又はパルス発光ごとの照度

が十分安定(一定)である場合は,発光波形の時間軸上の一定の箇所で測定することで照度モニタを

用いないで,放射照度の場所むら検出器だけの照度測定としてもよい。 

5.3.4 

検出器の配置 

11 

C 8904-9:2017  

放射照度の場所むら検出器は,試験領域の外縁よりも内側では試験位置の中心に置いてよいが,試験領

域外縁の試験位置では,試験領域外縁上に置く。 

5.3.5 

場所むらの計算 

放射照度の場所むらを,3.10の式(1)を用いて決定する。 

5.3.6 

表示 

試験領域の明確な規定,及び多様な寸法・形状のモジュール及び/又はセルに対して最適な試験位置を

決定するため,放射照度の場所むらは,表にしてソーラシミュレータに添付する。 

5.3.7 

場所むらの等級分類 

放射照度の場所むらの等級分類は,次による。 

− 等級A 放射照度の場所むら2 %(表2参照)。 

− 等級B 放射照度の場所むら3 %(表2参照)。 

− 等級C 放射照度の場所むら10 %(表2参照)。 

注記 放射照度の場所むらは,運転時間及び/又はランプの交換によっても変化する。したがって,

保守点検作業に放射照度の場所むらの測定を含める必要がある。 

5.4 

放射照度時間変動率 

5.4.1 

I-V特性測定用ソーラシミュレータ 

放射照度短時間変動率(STI)及び放射照度長時間変動率(LTI)の両方を評価する必要がある。 

STIの評価に関して,I-Vデータ測定装置は,ソーラシミュレータの一部である。ソーラシミュレータが

I-Vデータ測定装置を含まない場合には,ソーラシミュレータの製造業者は,報告されているSTIの等級

分類との関連で,対応するデータサンプリング時間を明記する。 

パルス発光形ソーラシミュレータでは2通り,定常光形ソーラシミュレータでは3通りのケースを考慮

する。 

5.4.1.1 

パルス発光形ソーラシミュレータのSTIの決定方法 

I-Vデータ測定装置を含むパルス発光形ソーラシミュレータの場合,STIの評価は2通りの測定コンセプ

トと関係する。 

a) 照度補正用の放射照度値,電流及び電圧を同時に記録する独立した三つのデータ入力ラインがあり,

放射照度によって補正計算が行われる場合には,放射照度時間変動率はSTIに関しては等級Aとなる。 

注記 三つの多重チャンネルの同時トリガにおける不確かさは,通常10 ns未満である。 

b) 各データセット(照度補正用の放射照度,電流,電圧)が順次取得される場合,放射照度時間変動率

は,次の規定によって決定する(図1及び図2)。 

1) 二つの連続したデータセット(放射照度,電流,電圧)を取得するための時間を,それらの測定間

に生じる可能性がある遅延時間を考慮して決定する。 

2) STIは,連続したデータセット間の,最悪のケースの放射照度変動を基にする。 

3) 取得したデータを用い,ステップ2),式(2)及び表2によってSTIを決定する。 

注記 I-V測定に用いるパルス発光形ソーラシミュレータで,I-Vデータ測定装置を備えていないも

のについては,ソーラシミュレータの製造業者は,STIの等級A,B,Cを得るため,用いら

れるパルスのセクション及び均等分割されたデータ点の数を記載しておくことが望ましい。 

5.4.1.2 

パルス発光形ソーラシミュレータのLTIの評価 

LTIは,パルス発光形ソーラシミュレータの発光方式に応じて,次のいずれかの変動を表す。 

a) ロングパルス発光形ソーラシミュレータでは,LTIは,I-Vデータ取得時間中の測定データセットの放

background image

12 

C 8904-9:2017  

射照度の変動を表す(図1)。 

b) 逐次パルス発光形ソーラシミュレータでは,LTIは,I-V特性曲線を得るための複数の全てのデータセ

ット間(逐次パルス発光のI-Vデータ取得時間)の放射照度の変動を表す(図2)。 

図1−ロングパルス発光形ソーラシミュレータのSTIの評価 

図2−逐次パルス発光形ソーラシミュレータのSTIの評価 

5.4.1.3 

I-V特性測定用の定常光形ソーラシミュレータ 

I-V特性測定用の定常光形ソーラシミュレータの分類は,次のいずれかによる。 

a) 照度補正用の放射照度値,電流及び電圧を同時に記録する独立した三つのデータ入力ラインがある場

合には,STIは等級Aとなる。 

注記 

マルチプレクサ3チャンネルのトリガの同時性の不確かさは,通常,10 ns未満である。 

b) 照度補正用の放射照度,電流及び電圧を同時に測定しない定常光形ソーラシミュレータの場合,STI

13 

C 8904-9:2017  

の決定には次の手順を用いる。 

1) 二つの連続したデータセット(照度補正用の放射照度,電流,電圧)を取得するための時間を,そ

れらの測定間に生じる可能性がある遅延時間を考慮して決定する。 

2) STIは,連続したデータセット間の,最悪のケースの放射照度変動を基にする。 

3) 取得したデータを用い,ステップ2),式(2),及び表2によってSTIを決定する。 

注記 太陽電池のI-V特性測定用の定常光形ソーラシミュレータで,I-Vデータ測定装置を備えて

いないものについては,ソーラシミュレータの製造業者は,STIの等級A,B,Cを判定す

るため,データ取得の最大時間を記載することが望ましい。 

c) 定常光形ソーラシミュレータで,一つのデータセットに対する照度補正用の放射照度測定を含まない

ものの場合,STIの値は,I-V測定の対象となる時間(放射照度の測定間の時間)にわたって放射照度

時間変動率をあらかじめ測定して決定する。安定化した動作条件での放射照度の連続的測定は,この

時間内における最大値及び最小値によって決定する。この場合にはLTIは定義しない。 

5.4.2 

光照射試験用ソーラシミュレータ 

光照射試験に用いられる定常光形ソーラシミュレータの場合,LTI値は最も重要な評価項目である。そ

の決定には,次の手順を用いる。 

a) 適切な放射照度センサ及び時間平均によって,目的とする時間にわたって放射照度の変動を記録する。

複数のランプをもつソーラシミュレータを用いる場合には,指定試験領域の代表的な位置の数を明示

する。 

b) ステップa)で測定したデータから最大放射照度及び最小放射照度を得る。 

c) ステップb)のデータ及び式(2)を用いてLTIを求める。 

d) LTIの計算値から,表2によってLTIの等級分類を決定する。 

5.4.3 

STIの等級分類 

ソーラシミュレータのSTIの等級分類は,次による。 

− 等級A 放射照度短時間変動率 0.5 %(表2参照)。 

− 等級B 放射照度短時間変動率 2 %(表2参照)。 

− 等級C 放射照度短時間変動率 10 %(表2参照)。 

5.4.3A LTIの等級分類 

ソーラシミュレータのLTIの等級分類は,次による。 

− 等級A 放射照度長時間変動率 2 %(表2参照)。 

− 等級B 放射照度長時間変動率 5 %(表2参照)。 

− 等級C 放射照度長時間変動率 10 %(表2参照)。 

5A 測定頻度 

据付後の測定頻度は,次による。 

a) 放射照度の場所むら及び放射照度時間変動率は,1か月に1回測定する。 

b) スペクトル合致度は,6か月に1回以上測定する。 

c) それぞれの測定結果に基づき,ソーラシミュレータに表示された等級を満たすことを確認する。 

表示 

ソーラシミュレータの製造業者は,各シミュレータに付ける銘板に次の情報を記載しなければならない。 

14 

C 8904-9:2017  

− 製造業者名 

− モデル 

− ソーラシミュレータの発光方式(パルス発光形又は定常光形) 

− シリアルナンバー 

− 製造日(又は製造日が調べられるシリアルナンバーでもよい。) 

さらに,ソーラシミュレータの製造業者は,各シミュレータに添付するデータシートに次の情報を記載

する。 

− データシートの発行日 

− ソーラシミュレータの適用範囲(I-V測定用,又は光照射試験用) 

− “スペクトル合致度”の等級分類 

− “放射照度の場所むら”の等級分類 

− 放射照度短時間変動率(STI)及び放射照度長時間変動率(LTI)の等級分類 

− 等級分類を区分するために用いた測定方法 

− それらの等級分類を決定した際の放射照度の範囲 

− データ取得の最大時間(I-V特性の測定に用いる場合) 

− 等級分類が有効な動作環境(周囲条件,電力要求事項) 

− 等級分類を決定した試験平面の位置及び公称面積 

− 測定に用いた分光放射照度標準電球及び“等級分類が決定された際の放射照度レベル” 

− 測定した分光放射照度の表 

− 放射照度の安定化に必要なウォームアップ時間 

− I-V特性の測定に必要な安定性を満足するウォームアップ時間 

− 指定試験領域で測定した放射照度の場所むらの表 

− 放射照度長時間変動率(LTI) 

− 照射面への最大入射角 

− 放射照度プロフィル及びパルス時間(パルス形ソーラシミュレータの場合) 

− データサンプリング時間 

− 等級分類の検証を必要とする可能性がある変更 

− 適用可能な太陽電池セル・モジュールの種類 

background image

15 

C 8904-9:2017  

附属書JA 

(参考) 

ソーラシミュレータ照射における太陽電池への入射角 

ソーラシミュレータから照射される光は,ある程度の広がり角をもっている。このため,照射光の広が

り角及び入射角は,分けて測定する必要がある(図JA.1参照)。 

インテグレータ照射形の場合,照射面までの距離及び照射面コーナまでの寸法から,幾何学的に入射角

を算出する方法が用いられる場合がある(図JA.2参照)。 

図JA.1−入射角及び広がり角 

図JA.2−入射角及び広がり角 

入射角の測定を汎用的に行うには,ゴニオメータと開口角を制限した検出器との組合せが考えられる。

ただし,市販のゴニオメータの回転半径は小さいため,専用ジグの製作が必要となる。ここで,複数の開

口角で照度を測定することによって,直達光と拡散光との比率を定量的に測定することが可能となる(図

JA.3参照)。広がり角については,ピンホールから照射した光の像の外径(光照射径)から算出方法が代

用される場合もある(図JA.4参照)。 

background image

16 

C 8904-9:2017  

図JA.3−入射角・広がり角の測定例 

図JA.4−広がり角の測定例 

参考文献 IEC 60891,Photovoltaic devices−Procedures for temperature and irradiance corrections to measured 

I-V characteristics 

background image

17 

C 8904-9:2017  

附属書JB 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS C 8904-9:2017 太陽電池デバイス−第9部:ソーラシミュレータの性能要求
事項 

IEC 60904-9:2007,Photovoltaic devices−Part 9: Solar simulator performance 
requirements 

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範囲  

JISとほぼ同じ 

追加 

ソーラシミュレータのスペクトル
合致度の等級分類にMA,MS,IA,
IB及びICを追加した。 

IECに改正を提案する。 

3.0A 

放射照度 

− 

− 

追加 

用語及び定義を追加した。 

IECに改正を提案する。 

3.1A 

スペクトル可変式
ソーラシミュレー
タ 

− 

− 

追加 

用語及び定義を追加した。 

IECに改正を提案する。 

3.3A 

最大入射角 

− 

− 

追加 

用語及び定義を追加した。 

IECに改正を提案する。 

3.6 

逐次パルス発光に
よるI-Vデータ取得
時間 

3.6 

JISとほぼ同じ 

追加 

用語の定義を追加した。 

IECに改正を提案する。 

3.6A 

有効照射時間 

− 

− 

追加 

用語及び定義を追加した。 

IECに改正を提案する。 

3.8 

近似波長帯 

3.8 

JISとほぼ同じ 

変更 

対応国際規格では,結晶系だけを規
定しているが,対象となる太陽電池
セル・モジュールは,少なくとも結
晶系,アモルファス系,多接合,
CIS系の4種類を区別する必要があ
るため,変更した。 

IECに改正を提案する。 

3

C

 8

9

0

4

-9

2

0

1

7

background image

18 

C 8904-9:2017  

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

3.9 

スペクトル合致度 

3.9 

JISとほぼ同じ 

追加 

スペクトル合致度を求める式(2A)
を追加した。また,基準太陽光のエ
ネルギー分布を,結晶系,アモルフ
ァス系,多接合,CIS系を4種類に
区別し,表1A,表1B及び表1Cを
追加した。 

IECに改正を提案する。 

3.12 

ソーラシミュレー
タの等級分類 

3.12 

JISとほぼ同じ 

追加 

スペクトル合致度は,八つの区分に
等級分類とした。また,太陽電池セ
ル・モジュールの種類を記述するこ
ととした。例えば,“A-A-A(結晶
系)”。 
 

IECに改正を提案する。 

4 ソーラシ
ミュレータ
の等級 
表2 


表2 

JISとほぼ同じ 

追加 

スペクトル合致度の等級分類に,
MS,MA,IA,IB及びICを追加し,
それぞれのスペクトル合致度を規
定した。 

IECに改正を提案する。 

変更 

放射照度の場所むらの等級分類B
の規定値5 %を3 %に変更した。 

我が国ではソーラシミュレータを
用いた屋内測定方法が主となるた
めIEC規格よりも,規格の一部を
厳しくした。また,JIS C 8904-2
において場所むらが測定結果に及
ぼす影響をシミュレーションして
おり,その結果からも,3 %以内
に抑えることの有用性が確認でき
る。 
IEC規格との差異は既に一度提案
しているが,技術的に十分達成可
能な範囲であるので,継続して
IECに改正を提案する。 

3

C

 8

9

0

4

-9

2

0

1

7

background image

19 

C 8904-9:2017  

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

5.2.1〜5.2.5  

5.2.1

5.2.5 

JISとほぼ同じ 

追加 

各細分箇条に題名を追加した。 
また,5.2.1には,より具体的な測
定方法を追加した。 

IECに改正を提案する。 

5.2.4 

スペクトル合致度
の等級分類 

5.2.4 

JISとほぼ同じ 

追加 

等級MS,MA,IA,IB及びICを追
加し,それぞれの規定値を追加し
た。 

IECに改正を提案する。 

5.3.1〜5.3.7  

5.3.1

5.3.7 

JISとほぼ同じ 

追加 

各細分箇条に題名を追加した。 

IECに改正を提案する。 

5.3.2 

放射照度の場所む
ら検出器の最大サ
イズ 

5.3.2 

JISとほぼ同じ 

追加 

測定点数が過多になる場合は,ソー
ラシミュレータ製造業者とソーラ
シミュレータ使用者との間の協定
によるとした。 

IECに改正を提案する。 

変更 

例に記載されている測定点数に誤
記があったため,JISでは76から
96に修正した。 

IECに改正を提案する。 

5.3.3 
b) 

5.3.3 
b) 

JISとほぼ同じ 

変更 

パルス発光期間中,又はパルス発光
ごとの照度が十分安定である場合
は,10回以上の照度の読み取りは
せず,モニタを用いなくてもよいと
した。 

IECに改正を提案する。 

5.3.7 

場所むらの等級分
類 

5.3.7 

JISとほぼ同じ 

変更 

放射照度場所むらの等級Bの規定
値5 %を3 %に変更した。 

箇条4と同様の理由で,IEC規格
との差異分は既に一度提案してい
るが,技術的に十分達成可能な範
囲であるので,継続してIECに改
正を提案する。 

5.4.3A 

LTIの等級分類 

− 

− 

追加 

表2に規定するLTIの等級分類を規
定文として追加した。 

IECに改正を提案する。 

3

C

 8

9

0

4

-9

2

0

1

7

background image

20 

C 8904-9:2017  

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

5A 測定頻
度 

− 

− 

追加 

放射照度の場所むら,放射照度時間
変動率及びスペクトル合致度の測
定頻度を規定した。 

IECに改正を提案する。 

6 表示 

JISとほぼ同じ 

追加 

データシートに放射照度長時間変
動率(LTI)の等級分類を記載する
ことを追加した。 

IECに改正を提案する。 

附属書JA
(参考) 

ソーラシミュレー
タ照射における太
陽電池への入射角 

− 

− 

追加 

ソーラシミュレータ照射における
太陽電池への入射角を図JA.1〜図
JA.4を用いて説明した。 

IECに改正を提案する。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60904-9:2007,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

3

C

 8

9

0

4

-9

2

0

1

7