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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 8374-1991 

漏電継電器 

Residual current sensing and relaying equipment 

1. 適用範囲 この規格は,周波数50Hz又は60Hzの交流600V以下の電路に使用する定格電流2 500A

以下の,電流動作形漏電継電器(以下,継電器という。)について規定する。 

ここにいう継電器とは,零相変流器又は差動式変流器(以下,零相変流器という。)と制御部とを一体に

組み立てたもの,及び零相変流器と制御部を分離して取り付けるものにあってはそれらを組み合わせたも

のであって,ブザーなどの警報装置をもつものにあっては,警報装置を除いた部分をいう。 

なお,過負荷保護,欠相保護を兼ねた継電器,JIS C 8371で規定する漏電しゃ断器及び日本消防検定協

会で取り扱われる漏電火災警報器については,この規格を適用しない。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 0911 小形電気機器の振動試験方法 

JIS C 0912 小形電気機器の衝撃試験方法 

JIS C 8306 配線器具の試験方法 

JIS C 8371 漏電しゃ断器 

JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

2. この規格の中で,{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参

考値である。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) 電流動作形漏電継電器 地絡電流を零相変流器によって検出し,動作する継電器。 

(2) 高速形漏電継電器 定格感度電流における動作時間が0.1秒以内の継電器。 

(3) 時延形漏電継電器 定格感度電流における動作時間が0.1秒を超え2秒以内の継電器。 

(4) 反限時形漏電継電器 定格感度電流における動作時間が0.2秒を超え1秒以内,定格感度電流の1.4

倍における動作時間が,0.1秒を超え0.5秒以内,定格感度電流の4.4倍における動作時間が0.05秒以

内の継電器。 

(5) 高感度形漏電継電器 定格感度電流が30mA以下の継電器。 

(6) 中感度形漏電継電器 定格感度電流が30mAを超え1 000mA以下の継電器。 

(7) 低感度形漏電継電器 定格感度電流が1Aを超え20A以下の継電器。 

(8) 定格電流 零相変流器の一次側に電流を通じたとき,電気的・機械的に支障を生じない一次側の電流

値であって,継電器に表示された値。 

貫通式の継電器にあっては,一次側に貫通させ得る太さの等しい600Vビニル絶縁電線3本の金属

管内の許容電流より大きくない定格電流の標準値をいう。ただし,貫通式零相変流器に使用すべき電

C 8374-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

線の線種,太さ及び定格電流を継電器に表示する場合は,表示値による。 

(9) 感度電流 零相変流器の一次側の1極に電流を通じ,この電流を徐々に増加させ,継電器が動作した

ときの電流値。 

(10) 定格感度電流 所定の条件(1)において,零相変流器の一次側の地絡電流によって,継電器が必ず動作

をする一次側の地絡電流であって,継電器に表示された値。 

注(1) ここにいう所定の条件とは,常規使用状態において,電源電圧が定格値の80〜110%の範囲にあ

ることをいう。 

(11) 定格不動作電流 所定の条件(1)において,零相変流器の一次側に地絡電流があっても継電器が動作を

しない一次側の地絡電流であって,継電器に表示された値。 

(12) 定格短時間電流 規定の回路条件の下で,規定の時間,継電器に通電しても異常が認められない電流。 

(13) 制御電源電圧 漏電検出回路部を作動させたり,継電器を自動的に動作させるのに電源を必要とする

場合の電源の電圧。 

(14) 動作時間 定格感度電流以上の地絡電流が生じたときから,継電器が動作するまでの時間。 

(15) 慣性不動作 時延形継電器において,零相変流器の一次側の1極に規定の電流を短時間通電したとき

継電器が動作しないこと。 

このときの動作しない最大の時間であって継電器に表示された時間を慣性不動作時間という。 

3. 標準使用状態 次の使用状態を常規使用状態とし,継電器は特に指定されない限り,この状態で使用

されるものとする。標準使用状態以外での使用については,受渡当事者間で協議するものとする。 

(1) 周囲温度は,−10〜+40℃の範囲内。 

(2) 標高は2 000m以下。 

(3) 相対湿度は,45〜85%の範囲内。 

(4) 異常な振動及び衝撃を受けない状態。 

(5) 過度の水蒸気,油蒸気,煙,じんあい,塩分及び腐食性物質の存在しない雰囲気。 

4. 種類 

4.1 

動作時間による種類 

(1) 高速形 

(2) 時延形 

(3) 反限時形 

4.2 

感度電流による種類 

(1) 高感度形 

(2) 中感度形 

(3) 低感度形 

4.3 

零相変流器の接続方式による種類 

(1) 端子接続式 

(2) 貫通式 

5. 定格 

5.1 

定格周波数 50Hz専用,60Hz又は50Hz/60Hz共用とする。 

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5.2 

制御電源電圧 表1に示す値とする。 

表1 制御電源電圧 

単位V 

制御電源電圧 

100 

200 

240 (265) 415 (460) 

備考 括弧付きの値は,60Hz配電

系で一部使用されている値
を示す。 

5.3 

定格電圧 表2に示す値とする。 

表2 定格電圧 

単位V 

定格電圧 

100 

200 

240 (265) 415 (460) 

備考 括弧付きの値は,60Hz配電

系で一部使用されている値
を示す。 

5.4 

定格電流 表3に示す値とする。 

表3 定格電流 

単位A 

定格電流 

30 

50 

100 

225 

400 

600 

800 

1 000 1 200 1 600 2 000 2 500 

備考 この表に示した値は,端子接続式の継電器に適用する。 

5.5 

定格感度電流 表4に示す値とする。 

表4 定格感度電流 

単位mA 

定格感度電流 

10 

15 

30 

50 

100 

200 

500 

1 000 

3 000 

5 000 

10 000 

20 000 

5.6 

定格不動作電流 定格感度電流の50%以上の値とする。ただし,定格感度電流が10mA以下のもの

は60%以上とする。 

5.7 

定格短時間電流 表5に示す値とする。 

表5 定格短時間電流 

単位A 

定格短時間電流 

2 500 

5 000 

7 500 

10 000 

14 000 

18 000 

22 000 

25 000 

30 000 

35 000 

42 000 

50 000 

65 000 

85 000 

100 000 

125 000 

150 000 

200 000 

備考 短絡発生後,21サイクルにおける交流分実効値とする。 

6. 性能 

6.1 

構造 8.2によって試験を行ったとき,7.及び11.に規定する事項を満足しなければならない。 

6.2 

漏電動作性能 

(1) 感度電流 8.3.1によって試験を行ったとき,感度電流は,定格不動作電流を超え,定格感度電流以下

であること。 

(2) 漏電動作時間 8.3.2によって試験を行ったとき,動作時間は表6に適合すること。 

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表6 漏電動作時間 

高速形 

時延形 

反限時形 

定格感度電流 定格感度電流の1.4倍 定格感度電流の4.4倍 

0.1秒以内 0.1秒を超え 

2秒以内 

0.2秒を超え 

1秒以内 

0.1秒を超え 

0.5秒以内 

0.05秒以内 

(3) 慣性不動作性能 時延形継電器にあっては,8.3.3によって試験を行ったとき,動作しないこと。 

6.3 

周囲温度の変化及び電源電圧の変動による感度電流 8.4によって試験を行ったとき,感度電流の値

は,定格不動作電流の値を超え,定格感度電流の値以下でなければならない。 

6.4 

周囲温度の変化及び電源電圧の変動による不動作性能 8.5によって試験を行ったとき,動作しては

ならない。 

6.5 

零相変流器の平衡度 8.6によって試験を行ったとき,動作してはならない。 

6.6 

テスト機構の性能 8.7によって試験を行ったとき,電気的・機械的に支障を生じることなく動作し

なければならない。 

また,この試験の後において6.2(1)の性能を満足しなければならない。 

6.7 

温度上昇 8.8によって試験を行ったとき,各部の温度上昇値は,表7及び表8の値を超えてはなら

ない。 

なお,電流コイルは,表8の温度計法による値以下,その他のコイル(電磁開閉器の操作コイルを除く。)

は,表8の抵抗法による値以下でなければならない。 

表7 温度上昇限度 

単位 ℃ 

測定場所及び構成材料 

温度上昇限度 
(温度計法) 

主回路外部接続端子 

     50(2) 

制御回路端子 
 制御電源接続端子 
 零相交流器接続端子(入力端子) 
 制御回路出力(接点)端子 

     50 

絶縁物 

     (3) 

充てん用コンパウンド 

     (4) 

人が操作する部分 陶磁器・ガラス 

     20(5) 

その他 

     35(5) 

注(2) 表11で銅帯接続とした場合は,温度上昇限度を65℃

とする。 

(3) 使用されている絶縁物に有害でない温度上昇値と

する。 

(4) コンパウンドが流出しない温度上昇値とする。 
(5) 人が操作する部分の温度上昇値の測定点は,外郭表

面から突出している部分のほぼ中央とする。 

備考 基準周囲温度の限度は,40℃とする。 

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表8 コイルの温度上昇限度 

単位 ℃ 

コイルの絶縁の種類 

温度上昇限度 

温度計法  抵抗法 

Y種絶縁 

 50 

 70 

A種絶縁 

 65 

 85 

E種絶縁 

 80 

100 

B種絶縁 

 90 

110 

F種絶縁 

115 

135 

H種絶縁 

140 

160 

備考 基準周囲温度の限度は40℃とする。 

6.8 

動作耐久性能 8.9によって試験を行ったとき,電気的及び機械的に支障を生じることなく,継電器

接点の負荷を開閉することができなければならない。 

また,この試験の後において,6.2(1)の性能を満足しなければならない。 

6.9 

温度湿度耐久性能 8.10によって試験を行ったとき,電気的及び機械的に支障を生じることなく,

かつ,電圧印加中に動作してはならない。 

また,この試験の後において,6.2(1),6.13及び6.14の性能を満足しなければならない。 

6.10 アンモニアガス耐久性能 8.11によって試験を行ったとき,端子ねじその他黄銅製部材に破損,ひ

び割れが生じてはならない。 

6.11 振動耐久性能 8.12によって試験を行ったとき,各部に異常がなく,かつ,電圧印加試験中に動作

してはならない。 

また,この試験の後において,6.2(1)の性能を満足しなければならない。 

6.12 衝撃加速度耐久性能 8.13によって試験を行ったとき,各部に異常がなく,かつ,出力接点が動作

してはならない。 

また,この試験の後において,6.2(1)の性能を満足しなければならない。 

6.13 絶縁抵抗 8.14によって試験を行ったとき,絶縁抵抗は5MΩ以上でなければならない。ただし,絶

縁変圧器の二次側の回路で電圧が30V以下の部分にあっては,この限りではない。 

6.14 耐電圧性能 8.15によって試験を行ったとき,動作することなく,これに耐えなければならない。 

また,この試験の後において,6.2(1)の性能を満足しなければならない。ただし,絶縁変圧器の二次側の

回路で電圧が30V以下の部分にあっては,この限りではない。 

6.15 重地絡動作性能 8.16によって試験を行ったとき,接点の著しい損傷,溶着,その他電気的及び機

械的に支障を生じてはならない。 

また,この試験の後において,6.2(1)の性能を満足しなければならない。 

6.16 短時間電流 8.17によって試験を行ったとき,接点の著しい損傷,溶着,その他電気的及び機械的

に支障を生じてはならない。 

また,この試験の後において,6.2(1)の性能を満足しなければならない。 

6.17 雷インパルス耐電圧性能 8.18によって試験を行ったとき,各部に異常がなく,かつ,継電器は動

作してはならない。 

6.18 雷インパルス不動作性能 時延形,反限時形及び衝撃波不動作形の継電器にあっては,8.19によっ

て試験を行ったとき,動作してはならない。 

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7. 構造 

7.1 

構造一般 継電器は,経年変化の少ない良質の材料を用いて丈夫に作り,操作が円滑に行われ,電

気的接触が完全で電線の接続が容易にでき,かつ,次の各項に適合しなければならない。 

(1) 外箱は,内部にじんあいの入りにくい構造であること。 

(2) 外箱が金属製であるときは,外箱に接地用端子を設けること。 

(3) 継電器の復帰は,手動式,自動式又は電気式であること。 

(4) 定格感度電流を切換式とする場合は,タップ切換式など,確実に切り換えられる構造とすること。 

(5) 定格感度電流の切換えは,高感度と高感度以外の感度とを切り換えられるものでないこと。 

(6) 継電器の動作を確認するテスト機構が設けられていること。 

(7) 主回路の端子部を除く端子部は,太さ2mm2以下の電線を容易,かつ,確実に接続できること。 

(8) 零相変流器の二次回路が,開放によって危険を生じるおそれがあるときは,これを防止する装置を設

けること。 

(9) 端子接続式のものにあっては,電線などが容易,かつ,確実に接続できる構造であること。 

7.2 

端子記号 各端子には,誤接続のおそれがないように,記号などで明りょうに回路表示をしなけれ

ばならない。 

8. 試験方法 

8.1 

試験条件 試験は,性能調査のため特に変化させる場合を除き,次の標準試験条件の下で行うもの

とする。 

(1) 周囲温度 5〜35℃ 

(2) 相対湿度 45〜85% 

(3) 外部磁界 80A/m以下(定格周波数) 

(4) 取付角度 正規位置±5° 

(5) 周波数 定格周波数±2% 

(6) 波形ひずみ率 5%以内 

(7) 貫通式継電器の試験 貫通式のものにあっては,2.(8)に示す定格電流の標準値を定格電流として読み

換え,試験電流として試験する。 

なお,貫通させる電線は,片側直線部分を20cm以上として試験する。 

8.2 

構造試験 構造,材料,仕上げ,接触,端子記号,表示事項などを点検し,いずれも7.及び11.に適

合し,かつ,仕上げが良好で,傷などの有無を調べる。 

8.3 

漏電動作試験 

8.3.1 

感度電流試験 制御電源端子に定格電圧を加え,零相変流器の一次側に負荷電流を通じない状態に

おいて,端子接続式のものにあっては一次側の1極に,貫通式のものにあっては任意の1線(以下,一次

側の1極という。)に電流を通じ,この電流を徐々に増加させて動作したときの感度電流値を測定する。 

8.3.2 

漏電動作時間試験 制御電源端子に定格電圧を加え,負荷電流を通じない状態及び零相変流器の一

次側に定格電流を通じた状態のそれぞれにおいて,零相変流器の一次側の1極にそれぞれ表9の値の電流

を急に加えたときの動作時間を測定する。 

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表9 動作時間試験電流 

種類 

試験電流 

高速形 

定格感度電流 

時延形 

反限時形 定格感度電流 
 

定格感度電流の1.4倍 

定格感度電流の4.4倍 

8.3.3 

慣性不動作試験 制御電源端子に定格電圧を加え,負荷電流を通じない状態及び定格電流を通じた

状態のそれぞれにおいて,零相変流器の一次側の1極に10A又は定格感度電流の20倍のいずれか大きい

値の電流を急に加え,慣性不動作時間(最小0.1秒間)通電する。 

8.4 

周囲温度の変化及び電源電圧の変動に対する感度電流試験 負荷電流を通じない状態で,周囲温度

−10℃,20℃及び50℃の3点において,各々の電源電圧が定格電圧の80%,100%及び110%のそれぞれに

ついて8.3.1の試験を行い,感度電流が最大となる周囲温度と電源電圧の組合せ条件を求め,その条件にお

いて負荷電流を通じない状態及び定格電流に等しい負荷電流を通じた状態で8.3.1の試験を行う。ただし,

低感度形のものにあっては,負荷電流を通じての試験の場合には常温で行ってもよい。 

8.5 

周囲温度の変化及び電源電圧の変動に対する不動作試験 負荷電流を通じない状態で,8.4と同様に

して感度電流が最小となる周囲温度と電源電圧の組合せ条件を求め,その条件において負荷電流を通じな

い状態及び定格電流に等しい負荷電流を通じた状態で,零相変流器の一次側の1極に定格不動作電流を急

に加える。ただし,低感度形のものにあっては,負荷電流を通じての試験の場合には常温で行ってもよい。 

8.6 

平衡試験 制御電源端子に定格電圧を加え,零相変流器の一次側に表10の試験電流を約10秒間隔

で約1秒間(時延形継電器で,動作時間が1秒以上のものにあっては,その動作時間。)3回通電する。 

三相3線式のものは三相平衡電流を通じる。ただし,設備の都合上単相電源で試験を行う場合は,2線

ずつ組み合わせて行い,それぞれの組合せについて2回通電する。 

三相4線式のものにあっては,電圧線の1極ずつを中性線と組み合わせ,それぞれの組合せについて単

相回路で2回通電し,さらに,電圧線3線について三相3線式のものと同様に試験を行う。 

表10 平衡試験電流 

単位 A 

種類 

定格電流 

試験電流 

単相用 

600以下 定格電流の6倍(最小150) 

600を超えるもの 定格電流から600を引いた値の2倍に3 600を加えた値 

三相用 

50以下 定格電流の8倍(最小150) 

50を超え 600以下 定格電流の6倍 

600を超えるもの 定格電流から600を引いた値の2倍に3 600を加えた値 

8.7 

テスト機構の試験 制御電源端子に定格電圧の80%の電圧を加え,負荷電流を通じない状態でテス

ト機構のボタンを押して動作させる試験を,次のそれぞれの場合について,いずれも10秒間隔で10回繰

り返して行う。 

(1) 地絡電流を通じない状態。 

(2) 零相変流器の一次側の1極に定格不動作電流を通じた場合。 

なお,(2)の場合において,通じる定格不動作電流の位相が,テスト機構の回路の電流と特定の位相関係

にある場合(電源が同一である場合。)は,通じる定格不動作電流の向きを変えた場合についても試験を行

う。この試験の後,8.3.1の試験を行う。 

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8.8 

温度試験 零相変流器の一次側の各端子ごとに,表11に示す長さ1.5mの電線又は銅帯を表12に示

す締付トルクで接続し,制御電源端子に定格電圧を加え,テストボタン又はその他の方法によって動作状

態とし,主回路には定格電流を,継電器の出力回路には出力接点の最小定格電圧に対応する負荷電流を,

それぞれ各部の温度が一定となるまで通じたときの各部の温度を測定する。 

なお,試験設備の都合上,制御電源は別電源とし,主回路電流は単相でもよい。 

表11 温度試験電線 

定格電流

600Vビニル絶縁電線の太さ 

mm2 

定格電流

600Vビニル絶縁電線の太さ

mm2 

 30 

5.5 

600 

200×2本 

 50 

14 

800 

1 000 
1 200 
1 600 
2 000 
2 500 

電流密度が1.5〜1.8A/mm2の

銅帯を接続して試験するこ
と(6)(7)。 

100 

38 

225 

125 

400 

100×2本 

注(6) 銅帯2本の場合は,継電器の端子を挟んで2本接続するものとする。 

(7) 8.8の試験で使用した接続銅帯の断面積及び接続状態を試験成績書に明

示すること。 

表12 温度試験締付トルク 

単位N・m {kgf・cm} 

端子ねじの呼び 

M3 

M3.5 

M4 

M5 

M6 

M8 

M10以上 

締付トルク 

0.39 {4} 

0.59 {6} 

0.78 {8} 

1.47 {15} 

1.96 {20} 

3.63 {37} 

4.90 {50}  

8.9 

動作耐久試験 制御電源端子に定格電圧を加え,零相変流器の一次側に負荷電流を通じない状態に

おいて,継電器の出力端子に,出力接点の最大定格電圧に対応する負荷を接続して,テストボタンによる

動作を毎分6回の割合で1 000回行う。この操作の後,8.3.1の試験を行う。 

8.10 温度湿度耐久試験 定格電圧を印加し,定格電流を通電して,図1に示す温度湿度サイクルを1サ

イクルとし,これを14サイクル繰り返し,その後電圧及び電流を切り,常温常湿に4時間以上放置する。

ただし,この場合定格電流が225Aを超えるものは,定格電圧の印加だけで試験することができる。引き

続いて定格電圧を印加して,周囲温度−10℃の下で16時間保持し,その後電圧を切り,常温に4時間放置

した直後8.3.1の試験を行う。この試験終了後8.14及び8.15の試験を行う。 

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図1 温度湿度サイクル試験条件 

備考 斜線部は,温度又は湿度の保持範囲を示す。 

8.11 アンモニアガス耐久試験 次によって試験を行う。 

(1) 端子接続式の継電器は,各端子ごとに表11に示す長さ10cmの電線を表13に示す締付トルクで接続

し,端子カバーのあるものはそれを取り外したままで,試験液1lを底部に入れた内容積10lのデシケ

ータの中に,試験品が試験液に接しない状態でテストボタンの取付面を液面側として入れ,72時間保

持する。ただし,試験の都合上,試験条件が同等とみなされる場合は,黄銅製部材だけで試験を行っ

てもよい。その後,試験品を取り出し,JIS C 8306の13.1(端子部の強度試験)の試験を行う。 

(2) 貫通式の継電器では,そのままの状態で,試験液1lを底部に入れた内容積10lのデシケータの中に,

試験品が試験液に接しない状態でテストボタンの取付面を液面側として入れ,72時間保持する。ただ

し,試験の都合上,試験条件が同等とみなされる場合は,黄銅製部材だけで試験を行ってもよい。そ

の後,試験品を取り出し,JIS C 8306の13.1の試験を行う。 

(3) 上記試験の試験液は,JIS K 8116に規定する特級塩化アンモニウム107gを約700mlの蒸留水に溶解し,

その溶液にJIS K 8576に規定する特級水酸化ナトリウム50〜70gを約250mlの蒸留水に溶解させた液

を加え,水素イオン濃度 (pH) が10になったとき,全量が約1lになるように調整する。 

表13 アンモニアガス耐久締付トルク 

単位N・m {kgf・cm} 

端子ねじの呼び 

M3 

M3.5 

M4 

M5 

M6 

M8 

M10以上 

締付トルク 

0.49 {5} 

0.78 {8} 

1.18 {12} 

1.96 {20} 

2.45 {25} 

5.39 {55} 

7.35 {75}  

8.12 振動耐久試験 継電器を正規の使用状態に取り付け,上下,左右,前後のそれぞれの方向に,JIS C 

0911で規定する方法によって表14に示す条件で振動を加えた後,8.3.1の試験を行う。 

表14 振動試験条件 

試験の種類 

振動条件 

電圧印加条件 

複振幅 mm 

振動数 Hz 

時間 min 

無電圧試験 

16.7 

60 

− 

電圧印加試験 

16.7 

30 

制御電源端子へ定格周波数の定格電圧を印加する。 

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10 

C 8374-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.13 衝撃加速度耐久試験 継電器を正規の使用状態に取り付け,制御電源端子に定格電圧を印加し,上

下方向及び正面が上向きとなる方向に,JIS C 0912で規定する方法によって,最大加速度98m/s2の衝撃を

それぞれ2回加えた後,8.3.1の試験を行う。 

8.14 絶縁抵抗試験 500Vの絶縁抵抗計を用いて,8.15の耐電圧試験電圧の印加箇所の絶縁抵抗を測定す

る。 
8.15 耐電圧試験 表15に示す各部に,所定の試験電圧の21以下の電圧を加え,それから所定の試験電圧

まで,そのときどきの電圧が表示され得る範囲で,できるだけ早く上昇させ,試験電圧に達した後1分間

印加する。 

1分間印加した後は,できるだけ速やかに電圧を降下させる。その後,8.3.1の試験を行う。ただし,受

渡検査などで数多くの製品について検査を行う場合には,試験電圧2 500V以下のものでは試験電圧の

120%の電圧を1秒間印加してこれに代えることができる。 

表15 耐電圧試験条件 

単位V 

電圧印加箇所 

試験電圧 

一次導体と外箱間及び一次導体相互間(8) 

2E+1 000 

ただし,Eは主回路の定格電圧。 

制御回路導電部(9)と外箱間(10)及び制御回路導電部(9) 

相互間(11) 

2E+1 000 

ただし,Eは制御回路の最大定格電圧。 

一次導体一括と制御回路導電部一括間(8) 

2E+1 000 

ただし,Eは主回路又は制御回路のいずれか高い方の定格電圧。 

同一制御回路の開極接点間 

1 000(100V,200V接点) 

1 500(400V接点) 

注(8) 制御回路用電源を主回路からとっているものにあっては,制御回路と主回路の接続を取り外して行う。 

(9) 制御回路には,出力接点回路も含む。 
(10) 制御回路(電子回路)の接地側が外箱に接続されているものは除く。 

なお,外箱が絶縁物である場合は,取付用金属版を外箱とみなして行う。 

(11) 制御回路用変圧器巻線及び表示灯が接続されているものは,これらの接続を取り外して行う。ただし,整流回

路など,接続を取り外すことが困難なものにあっては,この試験は,異なる制御回路相互間だけについて行う。 

8.16 重地絡動作試験 定格電圧の1.1倍(単相3線式又は三相4線式の中性線に接続する極をもつものに

あっては中性極と他の極との間の電圧の1.1倍)の電圧を印加し,表16に示す条件で1極に試験電流を通

じて動作させる試験を各極について行う。この試験終了後,8.3.1の試験を行う。 

表16 重地絡動作試験条件 

試験電流 A 

回数 

定格電流 A 

休止時間 秒 

定格電流の10倍 各極ごとに2 

100以下 

10 

100を超えるもの 

30 

備考 力率は,試験電流の値に応じて表17に示す値とする。 

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C 8374-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表17 力率 

試験電流 A 

遅れ力率 

2 500以下 

0.7 〜0.8 

 2 500を超え 

5 000以下 

0.5 〜0.6 

 5 000を超え 

10 000以下 

0.3 〜0.4 

10 000を超え 

15 000以下 

0.25〜0.3 

15 000を超え 

25 000以下  0.20〜0.25 

25 000を超えるもの 

0.15〜0.2 

8.17 短時間電流試験 制御電源端子に定格電圧の1.1倍の電圧を印加し,零相変流器の一次側の各極に定

格短時間電流に等しい表17に示す遅れ力率の試験電流(表示した定格短時間電流がこの値を超えるもので

はその値の電流。)を2分間隔で約0.02秒間2回通電する。 

なお,3極及び4極のものを単相回路で試験する場合は,2極ずつ組み合わせ,各極の試験回数が2回と

なるようにして行ってもよい。この試験終了後,8.3.1の試験を行う。 

8.18 雷インパルス耐電圧試験 表18に示すインパルス電圧を,正負それぞれ1分間隔で3回,次の部分

に印加する。 

(1) 端子接続式のものは,端子相互間及び各充電部一括と外箱間 

(2) 貫通式のものは制御電源端子一括と外箱間 

表18 雷インパルス耐電圧試験条件 

試験電圧(波高値) 

kV 

波形 

波頭長 μs 波尾長 μs 

0.5〜1.5 

32〜48 

8.19 雷インパルス不動作試験 零相変流器の一次側の1極に,0.03μFのコンデンサと0.1MΩの抵抗を並

列に接続したインピーダンスを接続し,零相変流器と交差する回路を構成し,制御電源端子に定格電圧を

印加する。これに,表18に示すインパルス電圧を,正負それぞれ1分間の間隔で3回印加する。図2に参

考として試験回路を示す。この試験の後,8.3.1の試験を行う。 

図2 雷インパルス不動作試験回路 

9. 検査 

9.1 

形式検査 形式検査は,次の順序で,同一品について8.によって試験を行ったとき,6.,7.及び11.

の規定に適合しなければならない。ただし,※印を付けた検査項目は,それぞれ別の検査品で行ってもよ

い。この場合,その検査品は,検査前に6.2(1)の性能を満足しているものとする。 

なお,検査中接触部を磨いたり,装置の条件を変更したりしてはならない。 

(1) 構造 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(2) 漏電動作性能 

(a) 感度電流 

(b) 漏電動作時間 

(c) 慣性不動作性能 

※ (3) 周囲温度の変化及び電源電圧の変動に対する感度電流 

※ (4) 周囲温度の変化及び電源電圧の変動に対する不動作性能 

(5) 零相変流器の平衡度 

(6) テスト機構の性能 

(7) 温度上昇 

(8) 動作耐久性能 

※ (9) 温度湿度耐久性能 

※ (10) アンモニアガス耐久性能 

※ (11) 振動耐久性能 

※ (12) 衝撃加速度耐久性能 

(13) 絶縁抵抗 

(14) 耐電圧性能 

(15) 重地絡動作性能 

(16) 短時間電流 

※ (17) 雷インパルス耐電圧性能 

※ (18) 雷インパルス不動作性能 

9.2 

受渡検査 受渡検査は,次の順序で,同一品について8.によって試験を行ったとき,6.,7.及び11.

の規定に適合しなければならない。 

(1) 構造 

(2) 漏電動作性能 

(3) テスト機構の性能 

(4) 絶縁抵抗 

(5) 耐電圧性能 

10. 製品の呼び方 製品の呼び方は,次による。 

(1) 名称(漏電継電器又は漏電リレー) 

(2) 形式(貫通式のものでは,零相変流器の内径を表す数字を含む。) 

(3) 定格(制御)電圧 

(4) 定格電流(貫通式のもので,定格電流を表示しないものは除く。) 

(5) 定格感度電流 

(6) 種類(特に時延形の場合は,動作時間を含む。) 

例1. 漏電継電器(又は漏電リレー) ○○○○形 200V 100A 30mA 高速形 

例2. 漏電継電器(又は漏電リレー) ○○⑧①φ形 400V 500mA 時延形 0.5秒 

11. 表示 継電器には,表面の見やすい場所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならな

い。 

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C 8374-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 名称 

(2) 形式及び種類 

(3) 主回路定格電圧(端子接続式のものだけ) 

(4) 制御電源電圧(定格電圧と同じ場合は省略する。) 

(5) 定格電流(貫通式のもので表示しないものは除く。) 

(6) 定格感度電流 

(7) 定格不動作電流 

(8) 定格動作時間(反限時形の場合は,電流時間特性を表示することが望ましい。) 

(9) 定格慣性不動作時間(時延形だけ) 

(10) 定格短時間電流 

(11) 出力接点の定格容量 

(12) 製造業者名又はその略号 

(13) 製造年 

(14) 組合せ零相変流器の形名及び製造番号(継電器だけの場合。) 

(15) 定格感度電流が10mA以下であって,雷インパルス不動作性能をもたない継電器には,その旨を表示

する。 

関連規格 JIS C 4601 高圧地絡継電装置 

JIS C 8370 配線用遮断器 

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C 8374-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

電気部会 低圧開閉器専門委員会 構成表(昭和56年1月15日制定のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

田 辺 隆 治 

千葉大学 

田 中 達 雄 

通商産業省機械情報産業局 

松 田   泰 

通商産業省資源エネルギー庁 

福 本 道 彦 

建設省 

田 村 修 二 

工業技術院標準部 

渡 辺 幸 次 

財団法人日本電気用品試験所 

老 田 他四郎 

社団法人日本電気協会 

柳   壮 二 

電気保安協会 

高 橋 恭 介 

関東電気工事株式会社 

大 森 容 史 

中部電力株式会社 

山 田 省 司 

関西電力株式会社 

石 山 壮 爾 

社団法人日本電設工業協会 

七 尾 英 敏 

株式会社共立設計 

北 口 三 郎 

全日本電気工事業工業組合連合会 

本 田 駒 三 

日本配線器具工業会 

阿 部 研 一 

富士電機製造株式会社 

武 田 克 己 

三菱電機株式会社 

木 本 清 治 

テンパール工業株式会社 

宮 内 正 夫 

社団法人日本電機工業会 

樋 口   覚 

松下電工株式会社 

飯 田 昌 史 

東京芝浦電気株式会社 

(事務局) 

田 島 政 男 

工業技術院標準部電気規格課 

宮 川 清 孝 

工業技術院標準部電気規格課 

(事務局) 

坂 本   満 

工業技術院標準部電気規格課(平成3年10月1日改正のとき) 

斎 藤   充 

工業技術院標準部電気規格課(平成3年10月1日改正のとき)