2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 7612-1985
照度測定方法
Illuminance Measurements for Lighting Installations
1. 適用範囲 この規格は,主として人工照明の照度を測定する場合の一般的方法について規定する。
なお,昼光照明の照度測定にも準用する。
引用規格:
JIS C 1609 照度計
JIS Z 8113 照明用語
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,JIS C 1609(照度計)及びJIS Z 8113(照明用語)
による。
3. 照度測定の目的 この規格に定める照度測定の目的は,主として次のようなものとする。
(1) 照度が定められた規格又は基準に適合しているかどうかの基礎データを得るため。
(2) 照度が設計条件に適合しているかどうかの基礎データを得るため。
(3) 照度の経時変化を求め,照明の保守・改善に必要なデータを得るため。
(4) 各施設における照度を比較するため。
4. 照度計
4.1
照度計の選択 照度測定の重要度及び照度値に応じ,必要とする精度を満足する性能をもつ照度計
を使用する。重要な照度測定には,JIS C 1609に規定するAA級を使用すること。
備考 取引き又は証明を目的とする照度測定に光電池式指針型照度計を使用する場合は,計量法に定
める検定に合格し,有効期間内の照度計を用いなければならない。
4.2
照度計の特性の把握 照度測定の精度を維持するためには,照度計の次の特性値を把握し正しく使
用しなければならない。
(1) 確度
(2) 斜入射光特性
(3) 相対分光感度特性
(4) 表示部の特性 (5) 疲労特性
(6) 温度特性
(7) 湿度特性
(8) 断続光に対する特性
これらの特性及び試験方法についてはJIS C 1609の規定による。
5. 測定における一般的事項
5.1 測定前に確認すべき事項 測定を行う前に照度測定の目的を把握し,6.1の方法により測定点を決め,
次の各事項を確認する。
(1) 電源の状態及び点灯の状態。
2
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(2) 光源の形式及び大きさ,必要に応じ初点灯以来の点灯延べ時間。
(3) 照明器具の状態。
(4) 光源の照明器具への取付け状態及び点灯の状態。
(5) 環境条件。
5.2
測定時の注意事項 照度を測定するに当たっては,次の事項に注意しなければならない。
(1) 測定開始前,原則として電球は5分間,放電灯は30分間点灯しておくこと。
(2) 電源電圧を測定する場合は,なるべく照明器具に近い位置で測定すること。
(3) 照度計受光部の測定基準面を,照度を測定しようとする面にできるだけ一致させ,かつ,受光部の
受光面の中央を通り測定基準面に垂直な直線か測定基準面に交わる点を,照度を測定しようとする
点に一致させること。
(4) 測定者の影や服装による反射が測定に影響を与えないよう注意すること。
(5) 測定範囲切換形の指針型照度計では0〜1/4範囲の目盛読取りは,なるべく行わないこと。
(6) 測定対象以外の外光の影響(昼光など)がある場合には必要に応じてその影響を除外すること。
(7) 多くの点の照度測定を行う場合,特定の測定点を定め,一定の測定時間間隔ごとに特定の測定点の
照度測定を行うなどして,照度測定中の光源の出力変動などを把握すること。
6. 全般照明の場合の照度測定 照度は特に断わらない限り水平面照度を測定する。
6.1
照度の測定点の決め方 照度測定において照度測定面の高さは,特に指定のない場合は,床上80±
5cm,和室の場合は畳上40±5cm,廊下,屋外の場合は,床面又は地面上15cm以下とする。ただし,室内
に机,作業台などの作業対象面がある場合は,その上面又は上面から5cm以内の仮想面とする。
図1 測定点の決め方
測定点の位置は,指定のある場合はそれによる。指定のない場合は,照明施設の使用目的により,当事
者間で測定領域を定め,定めた領域にくまなく測定点を配置するよう決定する。測定点の配置は,原則と
して,測定領域を等しい大きさの面積に分割し図1のように,分割線交点に1点ずつ全体で10〜50点にな
るよう決定する。
照度測定位置は,照明器具の配光と取付高さを考慮し,照度の変化の大きい方向や場所は照度測定の間
隔を小さく,照度の変化の小さい方向や場所では照度測定の間隔を大きく定める。
備考 測定領域が,同じ形状,寸法の繰返し又はその対称形で,照明施設も同じ場合は,その一
つについて測定を行い,他を省略してもよい。
6.2
平均照度の算出法 測定範囲の平均照度は単位区域ごとの平均照度を求め,その相加平均値を全測
定範囲の平均照度とする。
単位区域ごとの平均照度Eは原則として図2に示すように4点法により隅の4点の照度Eiを測定し
i
E
E
E
E
E
E
∑
=
+
+
+
=
4
1
4
3
2
1
4
1
)
(
で求める。
3
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図2 4点法による平均照度算出法
単位区域が多数連続する場合は,図3に示すように平均照度Eを算出する。
図3 多数の単位区域が連続するときの平均照度の算出法
ただし,内点の照度と,隅点,辺点の照度の比が4以下で,照度分布が一様に近い場合,又は照度測定
点の数が100点を超える場合は,全測定点の照度の単純平均をもって概数値としてもよい。
このときの平均照度は,
i
N
M
E
E
∑
=
+
+
)1
(
)1
(
1
・
として求める。
室中央に照明器具が1灯設備されているような場合の平均照度Eの算出は,図4に示すように5点法を
用いる。
図4 5点法による平均照度の算出法
6.3
その他の照度測定方法 鉛直面照度,法線照度,作業面の照度などを求めるときは,照度計の受光
器を指定の方向に置き,目的に応じた測定点において照度を測定する。
鉛直面照度の測定高さは,特に指定のない場合は床面又は地面から120±5cmとする。
6.4
保守・管理の目安とする照度を測定するとき 照度の維持,変化の状態を調べて保守・管理の目安
とする場合の照度測定は,必要に応じて代表的な数点の測定値をもって全般の照度を推測してもよい。
7. 局部照明の照度測定 この場合の照度測定は,照度分布が特に問題となる場所においては6.1の方法
により行う。照明される場所が狭い場合にはその中の適切な1点又は数点を測定して代表させてもよい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
一般には水平面照度を測定するが,作業の性質に応じ,鉛直面又は適当な傾斜面の照度を測定する。
局部照明は全般照明と併用させることが多いので,その測定に当たり,全般照明を点灯したままにする
か,消灯するかは実情に応じて決める。測定結果にはそのことを明記する。
また照度測定時における作業者の有無,その位置,姿勢などについてもその概要を記録しておく。
8. 測定結果のまとめ
8.1
測定条件の記緑 測定の目的に応じて測定値に影響を与えるような事項について適宜記録しておく
ことが望ましい。一般に記録しておくことが望ましい事項の主なものを挙げると,次のような項目がある。
(1) 照明条件 電源電圧及びその測定場所,光源,照明器具の種類,照明器具の配置(適当な平面図及
び断面図)
(2) 測定方法 照度計,測定点及びその高さ,測定面(水平,鉛直,法線,傾斜面など),測定方向,測
定者。
(3) 環境条件 測定年月日,開始時間,終了時間,天候,温度。
8.2
測定結果の記録 適当な形式を定めて測定結果を記録し整理を行う。測定結果の表示方法としては,
6.1で求めた水平面照度の測定値を基に,測定点を結ぶ直線上の照度分布曲線,又は平面上の等照度曲線と
して図示する。
このほか,全測定点数,平均照度,最大照度と最小照度及びその位置,均斉度などの計算結果を表示す
る。
照度測定の条件が基準条件と異なる場合,必要に応じてその測定結果に理由を付けてその補正値を付記
する。
照度測定方法JIS改正原案作成委員会 構成表
氏 名
所 属
(委員長)
成 定 康 平
松下電器産業株式会社照明技術開発センター
(幹 事)
森 田 政 明
松下電器産業株式会社照明技術開発センター
(委 員)
飯 田 陽 久
日立照明株式会社
伊 沢 楠 雄
東京都立工業技術センター
石 塚 直 弘
社団法人照明学会
太 田 健一郎
工業技術院標準部
川 中 義 郎
日本電池株式会社東京支社
小松原 仁
財団法人日本色彩研究所
斉 藤 満
株式会社大林組東京本社
菅 原 淳 夫
財団法人日本規格協会
芹 田 和 尚
岩崎電気株式会社技術部
高 橋 貞 雄
東芝電材株式会社研究所
太刀川 三 郎
社団法人日本電気協会
中 川 靖 夫
埼玉大学工学部電子工学科
肥 後 尚 志
日本大学理工学部
藤 井 克 人
法政大学
三 嶋 泰 雄
工業技術院電子技術総合研究所
村 田 博
株式会社ブリヂストン横浜工場
森 永 晃
小糸工業株式会社電材事業部