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(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験上の一般注意事項 ······································································································· 4
5 表示······························································································································· 4
6 総則······························································································································· 5
7 起動条件························································································································· 5
8 動作条件························································································································· 7
9 基本波力率 ······················································································································ 9
10 入力電流 ······················································································································· 9
11 耐久性 ·························································································································· 9
附属書A(規定)試験 ·········································································································· 12
附属書B(規定)試験用安定器 ······························································································ 14
附属書C(規定)試験用ランプの条件 ····················································································· 16
附属書D(規定)調光形制御装置の制御インタフェース ····························································· 17
附属書E(規定)電力リップルのスペクトル解析:振幅スペクトル比に関する計算手順及びガイド ····· 21
附属書F(規定)重畳始動における無負荷電圧測定法 ································································· 24
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 25
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本照明工業会(JLMA)及び
一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ
り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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交流及び/又は直流電源用
放電灯制御装置(蛍光灯用制御装置を除く)−
低周波く(矩)形波点灯の性能要求
AC and/or DC-supplied electronic controlgear for
discharge lamps (excluding fluorescent lamps)-
Performance requirements for low frequency square wave operation
序文
この規格は,2015年に第1版として発行されたIEC 62811を基とし,我が国の実情を反映させるため,
技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,1 000 V以下の直流電源及び/又は1 000 V以下の50 Hz又は60 Hzの交流電源で用いる,
JIS C 7623に規定される放電灯用の電子制御装置の性能要求事項について規定する。
注記1 JIS C 7623には70 Hz〜400 Hzまでの低周波く(矩)形波動作の情報が記載されている。
注記2 この規格の試験は,形式試験である。生産中の個々の制御装置の試験要求事項は含まない。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 62811:2015,AC and/or DC-supplied electronic controlgear for discharge lamps (excluding
fluorescent lamps)−Performance requirements for low frequency square wave operation(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 7623 メタルハライドランプ−性能仕様
注記 対応国際規格:IEC 61167,Metal halide lamps−Performance specification(MOD)
JIS C 8147-1 ランプ制御装置−第1部:通則及び安全性要求事項
注記 対応国際規格:IEC 61347-1,Lamp controlgear−Part 1: General and safety requirements(MOD)
JIS C 8147-2-12 ランプ制御装置−第2-12部:直流又は交流電源用放電灯電子安定器の個別要求事項
2
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(蛍光灯電子安定器を除く)
注記 対応国際規格:IEC 61347-2-12,Lamp controlgear−Part 2-12: Particular requirements for d.c. or
a.c. supplied electronic ballasts for discharge lamps (excluding fluorescent lamps)(MOD)
JIS Z 8113 照明用語
IEC 61000-4-14:1999,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-14: Testing and measurement techniques
−Voltage fluctuation immunity test,Amendment 1:2001及びA mendment 2:2009
IEC 62386(規格群),Digital addressable lighting interface
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8113によるほか,次による。
3.1
試験用安定器(reference ballast)
低周波く(矩)形波で動作するランプ用の特別な抵抗形安定器。制御装置の試験,試験用ランプの選定,
及び標準化された条件で量産されたランプを試験するための比較用基準を提供することを目的として設計
されるもの。
注記 この規格で概略を記載するように,この試験用安定器の重要な特徴は,定格周波数において,
電流,温度及び磁気環境の変化による影響を比較的受けないで,電圧と電流との比が安定して
いることである。
3.2
試験用ランプ(reference lamp)
制御装置を試験するために選択された放電灯であって,試験用安定器へ接続したとき,ランプ規格の当
該ランプデータシートの規定の目標値に近い電気特性をもつ試験用安定器のために選択されたランプ。
3.3
(試験用安定器の)基準電流(calibration current of a reference ballast)
試験用安定器の校正及び制御の基準となる電流値。
注記 この電流は,試験用安定器が適合するランプの定格値又は代表値にほぼ等しいことが望ましい。
3.4
全回路電力(total circuit power)
定格電圧及び定格周波数の制御装置及びランプの組合せが消費する全電力。
3.5
基本波力率,cos φ1(displacement factor,cos φ1)
(削除)
3.5A
回路力率,λ(circuit power factor)
制御装置と,ランプ又は制御装置を設計したランプとの組合せの力率。
3.6
ランアップ電流(run-up current)
テークオーバ段階後からランプ電圧の下限値に達するまでのランプ電流。
注記 ランプ電圧の下限値は,JIS C 7623の附属書G[低周波く(矩)形波点灯のための情報]を参
照。
3
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3.7
テークオーバ(take-over)
ランプの非導電気体が導通して電流を流せる状態から,電極が熱電子放出状態になるまでの時間。
注記 テークオーバ段階の終了時に,ランプ力率は0.9を超え,ランプ電圧は実効値で約20 Vのレベ
ルから上昇し,安定する。
3.8
平均ピーク電流比,APCR(average peak current ratio,APCR)
ピーク電流と実効値電流との間の絶対値比率の平均値。
なお,ピーク電流と実効値電流との間の絶対値の比率をピーク電流比(PCR)と呼ぶ。
注記 APCRの測定手順については,7.4.2参照。
3.9
代表的なランプ電圧(typical lamp voltage)
低周波く(矩)形波制御装置で動作するランプに想定される定常状態のランプ電圧。
注記 代表的なランプ電流は,ランプ定格電力及び代表的なランプ電圧から導き出す。実際には,低
周波く(矩)形波制御装置で用いるランプは,許容範囲内で最高性能になる電圧としてもよい
ので,ランプ電流は異なるものになる。代表的なランプ電圧及び代表的なランプ電流は,テー
クオーバ時及びランアップ時の電流を決める基準として用いる。
3.10
代表的なランプ電流(typical lamp current)
低周波く(矩)形波制御装置で動作するランプに想定される定常状態のランプ電流。
注記 代表的なランプ電流は,ランプ定格電力及び代表的なランプ電圧から導き出す。実際には,低
周波く(矩)形波制御装置で用いるランプは,許容範囲内で最高性能になる電圧としてもよい
ので,ランプ電流は異なるものになる。代表的なランプ電圧及び代表的なランプ電流は,テー
クオーバ時及びランアップ時の電流を決める基準として用いる。
3.11
極性反転時間,立下がり及び立上がり時間(commutation time,fall and rise time)
半周期で極性が反転するときのランプ電流の遷移時間。
注記 この極性反転時間は,ランプ電流波形において一つの半周期の実効値の90 %の点と次の反対の
半周期の実効値の90 %の点との時間差を測定する。
3.12
電子制御装置の寿命(electronic controlgear life time)
電子制御装置の90 %が動作している公表平均寿命。
注記1 寿命に関して,電子制御装置は,初期の機能を満たしていれば“動作中”である。
注記2 製造業者は,例えば,統計的計算及び/又は信頼性試験の適切な方法を適用する。
3.13
電子制御装置の故障率(failure rate of electronic controlgear)
(削除)
3.14
周囲温度,ta(ambient temperature range,ta)
電子制御装置の通常動作温度範囲を表すために,製造業者が公表した電子制御装置を取り囲む大気の温
4
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度範囲。
注記1 電子制御装置の寿命は,周囲温度taにおける値を示すが,測定しやすいように対応する温度
としてtc点も示す。
注記2 被測定装置に指定された周囲温度に対する測定試験条件は,定格電圧でJIS C 8147-1の附属
書D(熱的保護機能付きランプ制御装置の加熱試験方法)によることが望ましい。
4
試験上の一般注意事項
4.1
この規格による試験は形式試験とする。
この規格で許容される要求事項及び許容差は,形式試験のために製造業者が提出した試料の試験結果に
基づく。この形式試験の試料は,製造業者の生産に特有な特性をもち,できる限り生産品の特性の中心値
に近いものであることが望ましい。
4.2
他に規定がない場合,試験は,箇条の順序で行う。
4.3
特に指定のない限り,全試験に対して一台の制御装置を提出する。
4.4
一般に,全ての試験は,制御装置の各型式ごとに,関連付けられた同種の制御装置がある場合は定
格電力ごとに,又は製造業者と合意して選んだ群の中で代表的な制御装置について行う。
4.5
試験は,附属書Aに規定する条件で行う。関連するIEC規格及びJISに規定されていないランプデ
ータシートについては,ランプ製造業者が試験条件を用意しなければならない。
4.6
この規格に規定する全ての制御装置は,JIS C 8147-2-12の要求事項に適合しなければならない。
4.7
く(矩)形波制御装置の設計情報が記載されているランプ性能規格に留意する。適正なランプ動作
のためにこの情報を利用することが望ましいが,この規格では,制御装置の形式試験の一部としてランプ
性能試験を要求しない。
5
表示
5.1
電子制御装置は,規定どおり,次の必須表示項目を明確に表示しなければならない。
a) (採用しない。)
b) 回路力率(例えば,λ0.9)。
力率が進相0.95以下の場合,文字Cを末尾に付ける(例えば,λ0.85 C)。
なお,回路力率が0.85以上の高力率形制御装置の場合は,“高力率”と記載してもよい。
5.2
上記の必須表示項目のほかに,次の情報を制御装置に表示するか,製造業者のカタログなどに記載
しなければならない。
a) 調光可能な制御装置の場合は,制御インタフェースの種類(例えば,DC型又はPWM型,DALI)
b) 周囲温度及び基準点(tc点)で測定温度に関連付けられた制御装置の寿命
寿命情報については,表1の様式を用いなければならない。製造業者は,既定の周囲温度値40 ℃,50 ℃
及び60 ℃において,基準点(tc点)での測定温度及び公表寿命時間の値を記入しなければならない。
表に示す基準点tcの温度の値は,JIS C 8147-1のtc(定格最高温度)を超えてはならない。したがって,
その場合,tc点の温度がtc(定格最高温度)を超える表の欄は空欄にしておく。しかし,少なくとも周囲
温度40 ℃の欄は常に記入しなければならない。周囲温度を測定するための測定準備は,定格電圧でJIS C
8147-1の附属書Dに従う。周囲温度が安定した後にtc点の温度を測定する。
5
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表1−制御装置の寿命情報
周囲温度
40 ℃
50 ℃
60 ℃
基準点(tc)で測定した温度(℃)
xxa)
xxa)
xxa)
寿命(h)
xxxxxa)
xxxxxa)
xxxxxa)
注記 表の周囲温度及び寿命について,制御装置製造業者は情報を追加してもよい。
注a) 制御装置製造業者の公表値
5.3
製造業者の提供する任意の表示は,次のとおり。
a) ランプ始動時及び点灯中の定格電圧での定格出力周波数
b) 制御装置が公表電圧(範囲)で正常に動作する周囲温度範囲の限界値
c) 全回路電力
6
総則
この規格に適合する制御装置は,低周波く(矩)形波動作に関するJIS C 7623に適合するランプに接続
する場合,制御装置製造業者が示す周囲温度範囲で,かつ,定格電圧の92 %〜106 %の電圧でランプが正
常に起動し点灯する。
注記1 JIS C 7623のランプデータシートに記載された電気特性と,周波数が50 Hz又は60 Hzの定
格電圧での試験用制御装置の動作に適用する電気特性とは,低周波く(矩)形波制御装置が
上記5.3のb)の条件で動作するときには,ずれがおこる。
注記2 この規格では採用しない。
7
起動条件
7.1
一般的要求事項
制御装置は,その定格電圧値又は定格電圧範囲の92 %〜106 %の範囲のいずれの電圧でもランプを起動
できなければならない。適否は,7.2〜7.4の試験によって判定し,制御装置を定格電圧値の92 %及び106 %
の電源電圧で動作させるか,又は定格電圧が範囲で示される場合は,最小値の92 %及び最大値の106 %で
動作させて試験を行う。
7.2
ブレークダウン
ブレークダウンは,非導電気体が導通し,導電プラズマになる段階をいう。このプロセスには短時間の
間,高電圧が必要である。
測定は,オシロスコープで行う。制御装置には,ランプを接続しないで測定する。導線及び接地方向の
導線の寄生容量を模擬する静電容量を,制御装置製造業者の指定に従って追加する。
注記1 制御装置製造業者は,複数の静電容量値を定めてもよい。
ブレークダウンに必要なパルス電圧のピーク電圧値の絶対値は,ランプデータシートに規定する値でな
ければならない。測定手順は,JIS C 7623の表G.1[く(矩)形波点灯の要求事項]のブレークダウンの
欄を参照。
注記2 JIS C 7623に規定する値はパルス電圧重畳始動用であり,共振始動用の値は検討中である。
7.3
テークオーバ
テークオーバの段階で,熱電子放出のために電極を加熱する。
特に指定のない限り,テークオーバは抵抗器で測定する。
テークオーバ中に,制御装置は,JIS C 7623の制御装置設計の情報に従って電力及び電流を供給しなけ
6
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ればならない(測定法は検討中)。最小の無負荷電圧(OCV)は,1 MΩ以上の負荷で測定したとき,表2
の値による。
表2−最小の無負荷電圧(OCV)
ランプタイプ
く(矩)形波
又は直流
非く(矩)形波
実効値
ピーク値
セラミック及び石英発光管
280 V
235 V
332 V
セラミック発光管だけ
250 V
235 V
332 V
これらの値は,20 W,35 W,70 W及び150 Wのメタルハライドランプに有効とする。
その他のランプについては,OCV値を当該ランプのデータシートに記載する。
非低周波く(矩)形波電流の継続時間限界値は,10秒(検討中)以下とする。制御装置がテークオーバ
段階の終了を検知できれば,この限界値は不要である。
無負荷電圧(OCV)の測定法は,附属書Fによる。
7.4
ランアップ
7.4.1
ランアップ電流
ランアップ電流は,ランプデータシートに記載される“ランアップ抵抗”で始まる抵抗値による測定か
ら,JIS C 7623の附属書Gに記載される下限電圧にランプ電圧を等しくなるように計算した抵抗までの間
で測定される値であって,ランプデータシートに示す値の間になければならない。
7.4.2
平均ピーク電流比(APCR)
JIS C 7623の附属書Gの要求事項を適用する。
APCRは,ランプ電圧範囲20 V(検討中)〜75 Vの範囲に相当するランプ代替回路の電流波形を測定す
ることによって決定する。代替回路は,ランプ電圧の範囲の所望の範囲に制限できるオームの法則に従っ
た可変抵抗である。20 μsの平滑化窓を用いた測定で,電圧範囲内での最大PCR値を決定する。最大PCR
値の観測点の前後1秒間の全ての正の半周期のPCR値を測定し,そのPCR値を平均する。同じ1秒間に
負の半周期のPCR値を測定し,そのPCR値を平均する。
APCRは,このように計算した両方のPCR平均値の絶対値の最大値となる。
ピーク電流比PCR(図1参照)は,ピーク電流値と電流実効値との比率として定義される。ピーク電流
は20 μsの窓内の平均値を用いて決定する。窓内の実効値電流より低い全ての値は,実効値電流に設定す
る。窓は波形に沿ってスライドさせ,最大値がピーク電流値である。
注記 この平均化手法は,偶発的なピーク値を効果的に平滑化する。
7
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図1−ランアップ中及び定常状態のAPCRの測定
7.4.3
直流成分
ランアップ中,直流成分は,実効値の20 %未満でなければならない。直流成分は,JIS C 7623の附属書
Gに記載のように,ランプ電圧が,20 Vと下限ランプ電圧との間となる抵抗で測定する。直流成分は,次
の式によって計算する。
直流絶対値
∫
=
T
idt
T0
1
T=1 (s)
8
動作条件
8.1
一般事項
この箇条の試験は,無誘導の可変抵抗器又はランプを用いて行う。8.2,8.4,8.5及び8.6の試験は,抵
抗器を用いて行う。8.7,8.8及び8.10の試験は,ランプを用いて行う。8.3による試験は,ランプ又は抵
抗器のいずれかを用いて行うことができる。
8.2
電力制御
制御装置は,点灯中のランプ電力の誤差を定格ランプ電力の5 %以内に制御しなければならない。
適否の判定試験は,定格電源電圧及び25 ℃(±5 ℃)の周囲温度で行う。
制御装置の出力電力は,75 Vと120 Vとの間の5 V刻みの電圧になる抵抗負荷を用いて測定する。各段
階で,測定前に十分な安定時間をおく。
点灯中のランプ電圧が120 Vを超える場合,該当するデータシートに記載される限界値以内に電力を制
御しなければならない。
注記 将来生産される可能性がある異なる電圧範囲をもつランプについては,75 V及び120 Vの限界
値を,それぞれ下限値及び上限値に置き換える。
8.3
低周波く(矩)形波の周波数範囲
低周波く(矩)形波電圧の周波数は,70 Hz〜400 Hzの安定な状態になければならない。
8.4
直流成分
出力電流の直流成分は,電流の実効値の2.5 %未満でなければならない。直流値を得る方法は,7.4.3の
例を参照。測定には,ランプの代わりに抵抗器負荷を用いる。抵抗器での電圧は,代表的なランプ電圧に
8
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合わせる。
8.5
ランプの平均大地間電位(石英発光管だけに適用)
石英発光管を用いたランプの平均大地間ランプ電位は,+200 Vを超えてはならない。試験の構成を図2
に示す。電圧は,0.5秒の積算時間で測定する。測定には,ランプの代わりに抵抗器を用いる。抵抗器での
電圧は,代表的なランプ電圧に合わせる。
ランプの平均大地間電位
2
2
mean
1
mean
earth
V
V
V
+
=
図2−ランプの大地間電位測定の試験構成
8.6
平均ピーク電流比
ピーク電流比は,抵抗器によってランプ電圧を75 V〜120 Vに調整し,7.4.2に規定する方法によって決
定する。平均ピーク電流比APCRは1.5未満でなければならない。
注記 将来生産される可能性がある異なる電圧範囲をもつランプについては,75 V及び120 Vの限界
値を,それぞれ下限値及び上限値に置き換える。
8.7
極性反転時間
極性反転時間はJIS C 7623の附属書Gの定常動作状態に関する表で与えられている値よりも短くなけれ
ばならない。極性反転時間は,図3に示す図に従って測定する。く(矩)形波は,90 %レベル間の時間を
用いる。これから外れる波形は,70 %レベル間の時間を用いることができるが,その場合は測定値に1.3
を乗じなければならない。
Irmsは電流の実効値で,パーセンテージの基準として用いる。
図3−極性反転時間及び変形した波形
8.8
高周波リップル
高周波リップルは,SPR(スペクトルパワー比)で表し,1.5 %未満でなければならない。SPRの決定方
9
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法は,附属書Eに規定する。
注記 高周波リップルの制限によって,音響的共鳴現象及びフリッカが抑制される。
8.9
制御インタフェース
附属書Dに要求事項を規定しており,デジタル調光照明インタフェース(DALI)は,IEC 62386の規格
群に規定されている。また,製造業者の仕様にも合致しなければならない。
インタフェース間の互換性の問題になり得る非標準インタフェースもある。これらは,製造業者の仕様
によって試験しなければならない。
8.10 点灯維持性能
制御装置に供給される電力の電圧が定格電源電圧の90 %に降下しても,ランプは消えてはならない。適
否は,次の方法で試験する。
装置の要求事項は,次のとおり。
・ 電源は,IEC 61000-4-14による電圧フリッカ試験を行うことができるものを用いる。
・ この試験に用いるランプは,代表的なランプ電圧に対して10 V高い値までのランプ電圧のものを用い
る。
・ 電源電圧は,定格入力電圧に設定する。
試験手順は次のとおり。
・ ランプを始動する。
・ 制御装置及びランプが定常状態に達するまでランプの点灯を続ける。
・ 電源電圧を電圧位相0±10°において定格電圧の100 %から90 %まで急しゅんに下げる。
・ 電源電圧が90 %の状態を10秒以上保持し,消灯の有無を観察する。
・ 電源電圧を100 %に戻す。
・ このレベルを1分間維持する。
適否は次によって判定する。
この試験の3サイクル中にランプが消えてはならない。
9
基本波力率
(削除)
9A
回路力率
制御装置に定格周波数の定格電圧を供給し,試験用ランプを定格電力で動作させたとき,回路力率は表
示値に対して0.05を超えて下回ってはならない。
10 入力電流
定格電圧において制御装置が試験用ランプを点灯させたとき,制御装置の入力電流は,制御装置に表示
した値又は製造業者が公表した値から±10 %を超えて異なってはならない。
11 耐久性
11.1 一般
制御装置は,定格電源電圧で適切なランプを点灯させる。制御装置の全ての接地端は,接地する。電子
制御装置に電源電圧の範囲が表示されている場合,電子制御装置の温度に対して最も影響を及ぼす電源電
圧を選択する。
10
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試験は,同じ制御装置で順次行う。
調光可能な制御装置は,100 %の出力で試験する。
制御装置の熱保護が動作して出力が100 %未満に減少する場合,この熱保護を,その試験では解除する。
この変更によって制御装置の他の特性に影響を及ぼしてはならない。
11.2 −20 ℃及び+80 ℃の温度サイクル
温度サイクル試験は次による。
a) 試験サンプル数:5
b) 試験の温度範囲
1) 最低試験温度:−20 ℃±3 ℃
2) 最高試験温度:+80 ℃±2 ℃
槽内の周囲温度は,試験サンプルから200 mm以内で測定する。
c) 温度サイクル試験を開始する前に,25 ℃±5 ℃で制御装置の入力電流を測定する(安定時間経過後)。
d) 25 ℃±5 ℃で制御装置に電源とランプとを接続し,試験槽内に制御装置を置く。ランプは試験槽の外
に置く。電子制御装置間の距離は5 cm以上とする。
e) 220サイクルの試験手順は,次による。
1) 25 ℃±10 ℃で制御装置に電源とランプとを接続し(最大負荷),試験槽内に制御装置を置く。ラン
プは試験槽の外に置く。電子制御装置間の距離は,空気流の速度に依存するため,全ての被試験装
置(DUT)の周囲が均一の温度になるようにする。
2) 制御装置がオフ状態において,次の条件に従って試験槽の中の温度を最低試験温度に下げる(図4
参照)。
・ 温度遷移の最初の10 %:温度変化率の要求はない。
・ 温度遷移の次の80 %:温度変化率dt=1 K/分〜15 K/分
・ 温度遷移の最後の10 %:オーバシュート及びアンダーシュートは,目標周囲温度から±5 ℃を超
えてはならない。遷移時間(t)は15分を超えてはならない。
図4−11.2のサイクル例
3) 最低温度レベルにおいて,−20 ℃で50分経過後に,10回の開閉サイクル(10秒オン/50秒オフ)
を実施する。
11
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4) 制御装置のスイッチを入れる。
5) 制御装置がオン状態で,次の条件に従って試験槽の中の温度を最高試験温度に上げる。
・ 温度遷移の最初の10 %:温度変化率の要求はない。
・ 温度遷移の次の80 %:温度変化率dt=1 K/分〜15 K/分
・ 温度遷移の最後の10 %:オーバシュート及びアンダーシュートは,目標周囲温度から±5 ℃を超
えてはならない。遷移時間(t)は15分を超えてはならない。
6) 最高温度レベルで50分経過後に,制御装置のスイッチを切り,10回の開閉サイクル(10秒オン/
50秒オフ)を実施する。
7) ステップ2〜6を219回繰り返す。
f)
25 ℃±5 ℃で制御装置の入力電流を測定する。
適否は次によって判定する。
この試験を行い,室温まで冷却した後に,全ての制御装置は,15分間,適切なランプを正しく始動し動
作させなければならない。ステップf) に従い,入力電流を測定する。入力電流の最大許容差は,ステップ
c)で測定した入力電流値と比較して±10 %とする。
この試験中に,ランプは,周囲温度25 ℃±5 ℃の試験槽の外に置く。
注記 サイクルで,ランプが始動に至らない場合,並列接続したランプ(例えば,5本)を用いるこ
とができる。
11.3 tc+10 Kでの試験
周囲温度tc+10 Kにおいて,200時間の試験時間が経過するまで制御装置を動作させる。
適否は次によって判定する。
この試験を行った後,電源から制御装置への接続を解除し,室温まで冷却した後,全ての制御装置は,
15分間,適切なランプを正しく始動し動作させなければならない。この試験中に,ランプは,周囲温度25 ℃
±5 ℃で試験槽の外に置く。制御装置が保護装置を装備している場合は,試験の前にこれらをリセットす
る。
記号
Sq く(矩)形波電源
Lp ランプ
R 試験用安定器(抵抗器)
Ig イグナイタ
図5−低周波く(矩)形波試験用回路
12
C 62811:2019
附属書A
(規定)
試験
A.1 一般的要求事項
A.1.1 一般事項
形式試験を規定する。1台の試料によって全ての試験を行う。
A.1.2 周囲温度
試験は,周囲温度20 ℃〜27 ℃の無風の部屋で行う。一定のランプ特性を必要とする試験については,
ランプの周囲温度は20 ℃〜30 ℃の範囲でなければならない。
A.1.3 入力電圧及び周波数
A.1.3.1 試験電圧及び周波数
特に規定のない場合,供試制御装置は,その定格電圧で動作させ,試験用安定器は,その定格電圧及び
定格周波数で動作させる。制御装置に入力電圧範囲の表示,又は異なった別の定格電圧をもつ場合は,そ
れらの任意の電圧を,試験での定格電圧として選んでよい。
A.1.3.2 入力電圧及び周波数の安定性
ほとんどの試験では,入力電圧及び試験用制御装置の周波数は,±0.5 %に保持しなければならない。た
だし,実際の測定時の電圧は,規定する試験値の±0.2 %に調整しなければならない。
A.1.3.3 入力電圧波形
入力電圧の総合の高調波含有率は,3 %以下とする。高調波含有率は,基本波を100 %として,個々の成
分の実効値(rms)の合計として定義する。
A.1.4 磁気影響
特に指定がない場合,試験用安定器及び供試制御装置のどの面からも25 mm以内に磁性体を置いてはな
らない。
A.1.5 試験用ランプの設置及び結線
試験用ランプは,電気的特性を一定に保つために,関連するランプデータシートに従って装着する。関
連するランプデータシートに装着方法を示していない場合は,ランプは,その使用目的に応じて装着する。
ランプは試験用のランプホルダに,恒久的に保持したままにしておくことが望ましい。
A.1.6 試験用ランプの安定性
試験用ランプでの測定の前に,試験用ランプが安定していることを確認する。
・ 測定する前にランプを安定動作状態にしておく。安定動作とは,3回の連続したランプ電気特性(電
圧,電流及び電力)の測定値が,5分間にわたって±2.5 %になるものとする。
・ 一連の試験の直前及び直後に,附属書Cに基づきランプ特性を調べる。
A.1.7 試験用安定器
用いる試験用安定器は,関連するランプデータシートに示す。
注記 試験用安定器は,附属書Bを参照。
A.1.8 計器の特性
A.1.8.1 電圧回路
ランプに並列に接続する計器の電圧回路の電流は,定格ランプ電流の3 %以下とする。
13
C 62811:2019
A.1.8.2 電流回路
ランプに直列に接続する計器のインピーダンスは,計器による電圧降下が,そのランプのランプ電圧の
2 %を超えないように十分低くなければならない。
A.1.8.3 実効値測定
計器は,波形ひずみによる誤差があってはならず,かつ,動作周波数に適していなければならない。計
器の大地容量が,供試装置の動作を妨げないように注意しなければならない。被試験回路の測定点が,大
地電位になっていることが必要な場合がある。これは,電源が浮いている場合に必要である。
14
C 62811:2019
附属書B
(規定)
試験用安定器
B.1
表示
試験用安定器には容易に消えない方法で明確に,次の事項を表示する。
・ 名称“試験用安定器”又は“低周波く(矩)形波試験用安定器”と略さずに記す。
・ 責任ある販売業者の識別
・ 製造番号
・ 定格ランプ電力及び基準電流
・ 定格入力電圧及び周波数
B.2
設計特性
B.2.1 70〜400 Hzの周波数での試験用安定器
低周波く(矩)形波試験用安定器の要求事項は,JIS C 7623の表E.1(試験用安定器の特性)による。
この安定器は,B.3の動作特性に用いる。
低周波く(矩)形波試験用安定器は,恒久的に試験の基準として用いるので,試験用安定器は,通常の
使用条件でのインピーダンスが変わらないように作成することが極めて重要である。
この目的のために,基準抵抗値に修復する適切な手段を設けてもよい。
低周波く(矩)形波試験用安定器は,機械的及び電気的な保護が必要な場合,外箱に収納する。また,
消費電力損失に対する適切な放熱を考慮する。
B.2.2 保護
制御装置は,磁気影響に対して保護する。例えば,適切な鋼板製外箱を用い,12.5 mm厚の普通軟鋼板
を安定器外箱の各面から25 mmの位置に置いたとき,基準電流を流したときの電圧対電流比の変化は,
0.2 %以下でなければならない。
さらに,安定器は,機械的損傷に対して保護しなければならない。
B.3
低周波く(矩)形波の動作特性
B.3.1 一般
低周波く(矩)形波試験用安定器の定格入力電圧及び定格周波数で,25 ℃±5 ℃の室温及び試験用安定
器の安定した温度で行う測定を次に規定する。
B.3.2 インピーダンス
低周波く(矩)形波試験用安定器のインピーダンスは,JIS C 7623のランプデータシートに規定される
値をもち,次の許容差に従う。
・ 基準電流値で±0.5 %
・ 基準電流の50 %〜115 %の間で,基準電流と異なる任意の電流値で±1 %
B.3.3 直列インダクタンス及び並列容量
基準抵抗器の直列インダクタンスは,0.1 mH未満,及びその並列容量は,1 nF未満でなければならない。
15
C 62811:2019
B.4
低周波く(矩)形波回路の周波数特性に対する配慮(図5参照)
B.4.1 電源
低周波く(矩)形波試験用安定器の調整又は試験に用いる低周波く(矩)形波の電源は,最大負荷の状
態で,極性反転時間が200 μsより小さくなければならない。
この電源は,できるだけ安定し,急変動のないものでなければならない。良い測定結果を出すには,電
圧変動は±0.2 %に制御することが望ましい。
抵抗器形の試験用安定器に用いる場合は,周波数誤差が±2 %とする。
B.4.2 計測器
低周波く(矩)形波試験用安定器の測定で用いる全ての機器は,高周波動作に適していることが望まし
い。
詳細は検討中。
B.4.3 配線
接続ケーブルは,寄生容量を避けるため,できるだけ短く真っすぐに引き回すことが望ましい。
ランプに並列な寄生容量は,1 nF未満とする。
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附属書C
(規定)
試験用ランプの条件
100時間以上のエージングを行ったランプは,附属書Aに規定する条件の下で25±5 ℃の周囲温度で動
作する試験用安定器に接続して点灯させた場合,ランプ電圧がJIS C 7623に規定する代表的な値から±5 %
の範囲内であれば,3.2による試験用ランプとみなす。
制御装置の試験では,対象とする制御装置に適したタイプの試験用ランプを常に用いる。
試験用安定器に接続された安定後の試験用ランプに流れる電流の波形は,連続の半サイクルでおおむね
同一波形を示さなければならない。
注記 これによって,整流効果による偶数次の高調波の発生が抑制される。
17
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附属書D
(規定)
調光形制御装置の制御インタフェース
D.1 概要
この附属書は,調光形制御装置の制御インタフェースを規定する。調光形制御装置の発光の出力電力を,
調光形制御装置の制御端子に加える制御信号によって最小値(又は消灯)と最大値との間で制御する。
制御信号が接続されない場合,調光制御装置は,最大値の電力を出力するか,又は該当するならばシス
テム故障レベルを出力する。
この附属書は,制御ユニットに関しての全ての要求事項を規定するものではない。
なお,専用調光形制御装置及び専用制御ユニットを組み合わせるものについては,この附属書を適用し
ない。専用調光制御装置及び専用制御ユニットとは,その組合せでだけ,性能が保証されるものをいう。
注記 システム故障と定義する出力電力は,システム業者から提供される。
D.2 直流電圧による制御
D.2.1 回路図−直流電圧制御のための機能仕様(図D.1参照)
図D.1−1 V〜10 Vのインタフェースの代表図
調光形制御装置による出力電力は,調光形制御装置の制御入力の直流電圧によって制御する。直流電圧
は,次の特性とする。
制御信号の範囲
・ V1,2=10 V〜11 V: 出力電力の最大値
・ V1,2=0 V〜1 V:
出力電力の最小値又は最小光出力
・ V1,2=1 V〜10 V: 出力電力が最小値から最大値までの値
・ V1,2=0 V〜11 V: 安定した光出力となる安定したランプ点灯動作
D.2.2 接続図
図D.2に示すように,電流容量によっては,一つの制御ユニットに複数の調光形制御装置を接続するこ
とができる。
18
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図D.2−複数の制御装置のための,1 V〜10 Vの制御ユニット
D.2.3 電気的仕様
D.2.3.1 回路図
調光形制御装置は,電流源インタフェースである(図D.3参照)。
図D.3−電流源の回路図
D.2.3.2 制御入力電圧範囲
制御入力電圧V1,2が−20 V〜+20 Vにある場合,調光制御装置は破損してはならない。
制御ユニットは,調光形制御装置の制限値を超える電圧を発生してはならない。また,どのような状況
でも次の範囲内でなければならない。
V1,2 −20 V〜+20 V
制御端子は,逆極性の接続から保護されなければならない。その場合,調光制御装置は,最小光出力で
動作するか又は動作してはならない。
制御入力電圧が0 V〜11 Vのとき,安定した光出力でなければならない。
適否は,目視検査によって判断する。
D.2.3.3 制御入力電流制限
調光形制御装置に供給する制御入力電流の範囲は,10 μA〜2 mAでなければならない。
制御入力電流値は,調光形制御装置に表示しなければならない。
19
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D.2.3.4 点灯特性
任意の調光段階において点灯しなければならない。
D.3 パルス幅変調(PWM)による制御
D.3.1 回路図−PWM制御の機能仕様(図D.4参照)
図D.4−PWM調光のインタフェースの代表図
調光形制御装置の発光の出力電力は,調光形制御装置の制御入力のPWM信号によって制御される。出
力電力は,PWM信号がVsignalレベルにある百分率を変えることによって変化する。PWM信号は,図D.5
で示す特性とする。
一般的なPWM信号
最大及び最小光出力のためのPWM信号
図D.5−代表的なPWM信号の例
信号電圧は,Vsignal(low)〜Vsignal(high)である。
・ Vsignal(low)の最小値 0 V
・ Vsignal(low)の最大値 1.5 V
・ Vsignal(high)の最小値 10 V
・ Vsignal(high)の最大値 25 V
・ 周期Tperiod(cycle time) 最小1 ms〜最大10 ms
・ T(high)の信号幅が周期に対して0 %〜5 %±1 %のとき,最大光出力
・ T(high)の信号幅が周期に対して95 %±1 %のとき,光出力は1 %又は最小
20
C 62811:2019
・ T(high)の信号幅が周期に対して95 %を超えるとき,消灯
この部分の信号は,消灯用に割り当てられている。しかしながら,制御装置が消灯機能をもたない場合,
出力は最小値に保持することが望ましい。
− T(high)の信号幅が95 %未満の場合,消灯にはしない。
D.3.2 接続図
電流容量によっては,複数の調光形制御装置が,図D.6に示す方法で一つの制御ユニットに接続できる。
図D.6−PWM信号で,複数の調光形制御装置を制御する制御ユニット
D.3.3 電気的仕様
D.3.3.1 一般事項
制御ユニットは電流ソースであり,調光形制御装置は電流シンクである。
D.3.3.2 信号電圧の限界値
制御装置は,信号電圧Vsignalが,25 V未満の場合,破損してはならない。
制御端子は,逆極性の接続に対して保護しなければならない。逆極性接続の場合,制御装置は動作して
はならない。ただし,無極性の制御端子は,逆極性接続についての要求は適用しない。
D.3.3.3 制御端子のインピーダンス
制御端子のインピーダンスは,1 kΩ〜10 kΩとする。
D.3.3.4 入力電流
信号電圧が12 Vで一定のときの入力電流を,調光形制御装置に表示する。
D.4 DALIによる制御
電子制御装置のデジタル調光照明インタフェース(DALI)の要求事項は,IEC 62386の規格群に規定さ
れている。
21
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附属書E
(規定)
電力リップルのスペクトル解析:
振幅スペクトル比に関する計算手順及びガイド
E.1
一般事項
この附属書は,ランプの電力リップルの測定に適用する。
E.2
数学的背景
E.3では,ランプの電力スペクトル比の計算に用いるアルゴリズムを説明する。E.4に規定する測定手順
は,このアルゴリズムに基づき,特定の設定条件を用いる(表E.1参照)。
E.3
アルゴリズムの解説
瞬時電力信号x(k)は,時間数列によって次のように表されるものとする。
x(k), k=0, 1, …, N−1
N=Trec×Fs
ここに, x( ): 瞬時電力信号
k: サンプリング点の番号
N: 時間数列の長さ
Trec: 電力信号の全時間区間
Fs: サンプリング周波数
時間数列を,長さTseg(=1 ms)のK個のセグメントに分割する(各セグメントは,L=Tseg×Fsのデー
タ数からなる。)。次のブラックマン窓関数を,各セグメントに適用する。
w(k+1)=0.42−0.5 cos[2πk(L−1)]+0.08 cos[4πk(L−1)], k=0, 1, …, L−1
セグメントには,50 %の重なりがある(データ数Mは0.5×Tseg×Fs)。セグメント数は,式(E.1)によっ
て求める。
M
L
M
N
K
−
−
=
··········································································· (E.1)
全N個のデータから分割されたセグメントは,k=0, 1, …, L−1及びm=1, …, Kとして,式(E.2)で表さ
れる。
xm(k)=x[k+(m−1)(L−M)] ························································ (E.2)
振幅スペクトルの平均値は,n=0, 1, …, L−1について,式(E.3)で表される。
[
]
∑∑
=
−
=
−
−
−
+
=
K
m
L
k
L
k
jn
x
e
M
L
m
k
x
k
w
K
n
S
1
1
0
π
2
)
)(
1
(
)
(
1
)
(
···························· (E.3)
式(E.3)の外側の総和は,セグメントについての平均演算を表し,その内側の総和は,セグメントの離散
フーリエ変換である。振幅スペクトル平均値[式(E.3)]は,n=0, 1, …, L−1に対して次で表される。
[
]
∑
=
=
K
m
w
x
m
X
K
n
S
1
)
(
FFT
1
)
(
························································ (E.4)
22
C 62811:2019
ここに,ベクトルXw(m)は,式(E.2)を用いて次となる。
Xw(m)=[w(0)xm(0) w(1)xm(1) … w(L−1)xm(L−1)]
式(E.4)の結果は,いわゆる両側振幅スペクトルである。直流成分Sx(0)に関する平均振幅スペクトル比は,
次の系列である。
)0(
)
(
)0(
)1(
1
x
x
x
x
S
n
S
S
S
Κ
································································ (E.5)
ここに,対応する周波数ベクトルは次の式である。
fx=[0, 1, …, n]×Fs/L [nは(L/2) −1まで]
なお,窓関数w(k)は,式(E.5)を得るために正規化する必要はない。
E.4
測定手順
電子制御装置を電源に接続し,出力端子を対象とするランプに接続する。
手順及び設定は,次のとおり。
電源スイッチを投入し,制御装置を15分間で安定させる。
デジタルオシロスコープを用いて,電流及び電圧を測定する。このデジタルオシロスコープは,表E.1
の設定において,2 MHzのサンプリング周波数で,200 000点以上を,2チャネルで同時にサンプリングす
ることができなければならない。15分後,電流及び電圧波形は,表E.1に示す設定を用いてデジタルオシ
ロスコープで記録する。波形は,垂直方向のフルスケールを8ビット以上の解像度で取得する。サンプリ
ングした電流値及び電圧値は,逐次乗算して電力信号を取得し,次にこれらのパラメータの値を用いて,
E.2に記載されたアルゴリズムによって分析する。
表E.1−解析のための設定
設定項目
設定情報
サンプリング周波数(Fs)の最小値
2 MHz(サンプリング時間Ts=0.5 µs)
総記録時間(Trec)の最小値
100 ms(N=200 000サンプル)
窓時間(Tseg)
1 ms(2 000サンプル)
オーバラップ窓時間(Tover)
0.5 ms(1 000サンプル)
窓関数[w(k)]
ブラックマン窓関数
E.5
試験信号
E.5.1 一般
E.2におけるSPR測定方法と異なる実装を試験するため,試験信号(電流及び電圧波形)を記載する。
表E.1の解析のための設定を用いる。
E.5.2 試験信号の記述
電圧波形は,次のように構成する。
電圧値が100 Vr.m.s.で,かつ,周波数が100 Hzの理想的なく(矩)形波電圧を2 MHzのサンプリングレ
ートでサンプリングする。サンプリングは,く(矩)形波の立上がりエッジで開始する。正弦波電圧をこ
のく(矩)形波に重畳する。この正弦波は,振幅が1 Vで周波数が50 kHzであり,1 %の電圧リップルに
相当する。
Vsquare[k]=(−1)x100
Vripple(k)=1・sin(50・π・10−3・s)
23
C 62811:2019
Vtestsignal=Vsquare[k]+Vripple[k]
ここに,
x: 2[k=(l+20 000・m)の場合
1[k=(10 000+l+20 000・m)の場合
l: 0 … 9 999
m: 0 … 4
s: 0 … 2・105−1
電流波形は,次のように構成する。
電流値が1 Ar.m.s.で,かつ,周波数が100 Hzの理想的なく(矩)形波電流を,2 MHzサンプリングレー
トでサンプリングする。サンプリングは,く(矩)形波の立上がりエッジで開始する。正弦波電流をこの
く(矩)形波に重畳する。この正弦波は振幅が0.01 Aで周波数が50 kHzであり,1 %の電流リップルに相
当する。
Isquare[k]=(−1)x・100
Iripple(k)=1・sin(50・π・10−3・s)
Itestsignal=Isquare[k]+Iripple[k]
ここに,
x: 2[k=(l+20 000・m)の場合
1[k=(10 000+l+20 000・m)の場合
l: 0 … 9 999
m: 0 … 4
s: 0 … 2・105−1
E.5.3 試験信号の結果
E.2に従ってSPRの計算を行えば,ここで記載した試験信号は,SPR値が0.90 %になる。
24
C 62811:2019
附属書F
(規定)
重畳始動における無負荷電圧測定法
無負荷電圧は,次の二つのパラメータで定義する。
・ 実効値(RMS)電圧
・ ピーク電圧
制御装置が,定格値の92 %及び106 %の電源電圧で動作しているとき,又は定格電圧範囲の場合,制御
装置のラベルで定める範囲の最小値の92 %及び最大値の106 %で動作しているときに,測定器のインピー
ダンスを含めて少なくとも1 MΩを接続した状態で制御装置のランプ端子上で測定することによって,無
負荷電圧を決定しなければならない。
・ 実効値電圧 実効値無負荷電圧の測定は,無負荷電圧(OCV)の少なくとも五つの周期の全電圧波形
を含まなければならない。考慮すべき瞬間電圧は,±500 Vで定義する窓で制限(クリップ)されな
ければならない。
・ ピーク電圧 無負荷電圧(OCV)は,始動パルスを重畳した電圧とみなす。始動パルスを測定に含ん
ではならない。
始動パルスがOCVの最大レベルにある場合,OCV値は,始動パルス前のOCVの平均値であり,
かつ,始動パルス後のOCVの平均値である。
注記1 試験計測は,破損を引き起こす高圧パルスを受けることがある。例えば,これは高圧プロ
ーブを用いることで回避することができる。
入力電圧範囲の制限によって,規定範囲を外れた入力増幅器を用いるおそれがあるので,波形がひ
ずまないように特別な注意を払うことが望ましい。
注記2 電圧を±500 Vに制限していれば,オシロスコープの代わりに,正確な実効値測定器を用
いることができる。
25
C 62811:2019
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 62811:2019 交流及び/又は直流電源用放電灯制御装置(蛍光灯用制
御装置を除く)−低周波く(矩)形波点灯の性能要求
IEC 62811:2015,AC and/or DC-supplied electronic controlgear for discharge lamps (excluding
fluorescent lamps)−Performance requirements for low frequency square wave operation
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
JISとほぼ同じ
削除
イミュニティに関する記述を
削除
IEC規格では,イミュニティは,各国及び地
域の規制に従う必要があることを記載してい
るが,当然の参考情報であるため削除した。
5 表示
5.1 b) 回路力率
5
5.1 a) 基本波力率
変更
“基本波力率”の代わりに“回
路力率”を用いる。
IEC規格には,Country Noteが記載されてお
り,我が国では“回路力率”を用いているこ
とは記載されている。IECには提案しない。
9A 回路力
率
回路力率を規定
9
基本波力率を規定
変更
回路力率の規定に変更
IEC規格には,Country Noteが記載されてお
り,我が国では“回路力率”を用いているこ
とは記載されている。IECには提案しない。
11 耐久性
温度サイクル試
験の温度勾配
11
10 K/min〜15 K/minで
規定
変更
1 K/分〜15 K/分で規定
IEC規格の我が国のCountry Noteの内容を記
載。LED制御装置及び蛍光灯制御装置のJIS
と内容が合致している。IECには提案しない。
附属書D
(規定)
D.1 概要
D.1
専用制御ユニットに関
する除外規定なし
追加
専用調光形制御装置,専用制
御ユニットを用いるものを,
適用範囲から除く。
我が国で普及している製造業者独自の制御信
号を用いた専用制御方式も用いることができ
るようにした。IECには提案しない。
D.3.3.2 信号電圧
の限界値
無極性に関する規定な
し
追加
無極性のものは,逆極性接続
について規定していない。
将来はIECに統一を図る。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 62811:2015,MOD
2
C
6
2
8
11
:
2
0
1
9
26
C 62811:2019
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
C
6
2
8
11
:
2
0
1
9