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C 62739-1:2015 (IEC 62739-1:2013) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 試験······························································································································· 2 

4.1 一般事項 ······················································································································ 2 

4.2 試験装置 ······················································································································ 2 

4.3 試験片 ························································································································· 3 

4.4 試験条件 ······················································································································ 4 

4.5 試験方法 ······················································································································ 5 

5 侵食深さの測定方法(光学顕微鏡による焦点深度法) ····························································· 5 

5.1 一般事項 ······················································································································ 5 

5.2 試験片の準備 ················································································································ 5 

5.3 測定装置 ······················································································································ 6 

5.4 測定手順 ······················································································································ 6 

6 試験報告書に記載する事項 ································································································· 7 

附属書A(規定)試験装置及び測定装置の仕様 ·········································································· 8 

附属書B(参考)極値統計解析による最大侵食の深さの推定方法 ·················································· 10 

参考文献 ···························································································································· 12 

C 62739-1:2015 (IEC 62739-1:2013) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 62739-1:2015 

(IEC 62739-1:2013) 

溶融鉛フリーはんだを用いたウエーブソルダリング

装置の侵食試験方法−第1部:表面処理を施さない

金属材料の侵食試験方法 

Test method for erosion of wave soldering equipment  

using molten lead-free solder alloy- 

Part 1: Erosion test method for metal materials without surface processing 

序文 

この規格は,2013年に第1版として発行されたIEC 62739-1を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,溶融鉛フリーはんだ合金に接触するはんだ槽そのもの,及びはんだ槽内の構成部品で鉛フ

リーウエーブソルダリング装置用に用いることを目的とした表面処理を施さない金属材料の侵食に対する

評価試験方法について規定する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 62739-1:2013,Test method for erosion of wave soldering equipment using molten lead-free solder 

alloy−Part 1: Erosion test method for metal materials without surface processing(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 60068-2-20:2010 環境試験方法−電気・電子−第2-20部:試験−試験T−端子付部品のはんだ

付け性及びはんだ耐熱性試験方法 

注記 対応国際規格:IEC 60068-2-20:2008,Environmental testing−Part 2-20: Tests−Test T: Test 

methods for solderability and resistance to soldering heat of devices with leads(IDT) 

JIS Z 3282 はんだ−化学成分及び形状 

注記 対応国際規格:IEC 61190-1-3,Attachment materials for electronic assembly−Part 1-3: 

Requirements for electronic grade solder alloys and fluxed and non-fluxed solid solders for electronic 

C 62739-1:2015 (IEC 62739-1:2013) 

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soldering applications(MOD) 

IEC 60194,Printed board design, manufacture and assembly−Terms and definitions 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,IEC 60194によるほか,次による。 

3.1 

侵食(erosion) 

溶融はんだによって,接触する母材の溶解が発生し,その母材の肉厚が減少する現象。 

3.2 

鉛フリーはんだ(lead-free solder) 

基板に部品を接続する又は表面を被覆するためのはんだ合金であって,鉛の含有が,質量分率で0.1 %

以下のもの。 

注記 IEC 60194:2006の75.1904の定義を変更している。質量分率は,重量の代わりに用いている。 

3.3 

ドロス(dross) 

溶融はんだの表面にできる酸化物及びその他の不純物。 

注記 IEC 60194:2006の75.0410の定義を変更している。 

試験 

4.1 

一般事項 

この試験は,フローソルダリング装置の回転モータで駆動する(ギア付きでもよい)回転ブロックに試

験片を取り付けて,溶融した鉛フリーはんだ合金に浸せき(漬)して,その回転モータの回転でフローソ

ルダリングに最も近いはんだの流れを擬似的に作り出し,規定時間後の試験片の侵食深さを測定する。 

4.2 

試験装置 

4.2.1 

試験装置の概要 

試験装置は,4.4に規定する試験条件を実現できる試験装置とする。 

溶融はんだ合金に接触する試験装置の構成部品は,耐侵食処理を施した材料又は耐侵食性をもつ材料を

用いる。 

試験装置の仕様詳細を,附属書Aに示す。 

4.2.2 

試験装置の構成 

試験装置の構成例を,図1に示す。 

試験装置は,次に示すポット部,回転部及び制御部によって構成する。 

a) ポット部は,鉛フリーはんだ合金を溶融できるヒータと試験片が回転できる容量のポットとによって

構成している。 

b) 回転部は,試験片を回転することができるモータとし,かつ,試験片が固定できる回転ブロックをも

っている。 

c) 制御部は,温度センサを用いたヒータの温度制御,及びモータの回転制御機能をもっている。 

試験中にドロス微粉が大気中に拡散するため,排気ダクトなどを用いて換気機能も兼ね備えていること

が望ましい。 

この箇条で規定する構成部品及び要求性能を保持している場合は,その他の試験装置を用いてもよい。 

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C 62739-1:2015 (IEC 62739-1:2013) 

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図1−試験装置の構成例 

4.3 

試験片 

試験片は,次に示す材料及び形状のものを用いる。 

a) 試験片は,溶融した鉛フリーはんだ合金に接触するはんだ槽及びはんだ槽内の構成部品の材料とする。 

b) 試験片の形状及び寸法は,図2による。試験片の一つの面に材料名を刻印する。 

c) 試験片の評価面は,試験片の刻印を刻んだ面(A面)及びその裏面(B面)とする。 

注記 試験片の加工工程で発生するエッジのばりなど,侵食の発生に影響を与える可能性があるも

のは,面取りなどによって排除することが望ましい。 

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C 62739-1:2015 (IEC 62739-1:2013) 

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単位 mm 

1 レーザ刻印:ステンレス鋼(SUS304) 

図2−試験片の形状 

4.4 

試験条件 

試験用材料及び試験装置の試験条件を,表1に規定する。 

表1−試験条件 

試験用材料及び試験装置 

試験条件 

試験用はんだ合金組成 

個別規格に規定がない場合,JIS Z 3282に規定するSn96.5Ag3Cu0.5を用いる。 

試験用フラックス 

ハライド含有量が質量分率で0.2 %のロジン系フラックスを用いる。 
フラックスの組成は,JIS C 60068-2-20の附属書B(フラックスの組成)による。 

はんだ温度(測定箇所) 

350 ℃±3 ℃(はんだ表面から深さ35 mm〜40 mm,かつ,試験片からの距離20 mm
〜30 mmで測定) 

試験片の回転速度 

100 r/min±3 r/min 

試験片の回転半径 

6 mm〜8 mm(回転ブロックの中心から試験片の外周面) 

試験片の浸せき(漬)深さ 

65 mm〜70 mm 

試験時間 

事前に適切な試験時間を設定する。 

ドロス除去の周期 

16時間に1回以上 

注記 試験時間は,次の考え方が望ましい。 

a) 侵食が発生する時間は,試験片の材料によって異なる。 
b) 適切な試験時間とは,焦点深度測定法による侵食深さ測定時に基準とする未侵食部分が明白に識別する

ことができ,侵食深さの差による試料の差が識別できる時間を示す。 

c) ステンレス鋼(JIS G 4304に規定するSUS316及びSUS304等級)の場合には,192時間がその時間に相

当している。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.5 

試験方法 

4.5.1 

試験 

試験は,次の手順によって実施する。 

a) ガーゼ又はペーパータオルを用いて,試験片の表面を清浄する。 

b) 清浄した試験片を,エタノールなどの洗浄液中に数秒間浸せき(漬)の後,新しいガーゼ又はペーパ

ータオルで試験片の表面を更に清浄する。 

c) a) 及びb) に規定する手順を2度繰り返す。 

d) 手順c) を終了後,1時間以内に,4.4に規定する試験用フラックス中に,清浄した試験片を,数秒間

浸せき(漬)する。 

e) 浸せき(漬)後,試験片を試験用フラックスの中から引き上げ,その試験片の下端にペーパータオル

を当てて,試験片の余分なフラックスを除去する。 

f) 

試験片を大気中に宙づり状態で,5分〜10分間放置して,自然乾燥する。 

g) 手順c) を終了から1時間以内に侵食試験を開始するため,手順e) の余分なフラックスの除去及び手

順f) の自然乾燥が終了後,試験片を溶融はんだ合金に触れないように,また,回転ブロックにB面

が接触するように固定する。 

h) 4.5.2に規定するドロス除去手順によって,ポット内の溶融はんだ合金表面に浮くドロスを除去して,

回転ブロックに固定した試験片を,規定する試験温度に保持した溶融はんだ合金中に,4.4に規定する

深さまで浸せき(漬)し,4.4に規定する回転速度で回転モータを回転させる。回転直後から,試験時

間の計測を開始する。 

i) 

試験時間が設定時間に達した後,2時間以内に浸せき(漬)した試験片を溶融はんだ合金中から引き

上げ,木綿の布を用いて,試験片に付着しているはんだを拭き取り清浄する。 

j) 

ポット内の溶融はんだ合金表面に浮くドロスの除去は,4.4に規定する間隔ごとに実施する。 

k) 4.4に規定する試験時間終了後に,箇条5に規定する測定方法によって,試験片の侵食深さを測定する。 

l) 

試験時間が設定時間に到達しない間は,試験片を溶融はんだから取り出してはならない[ドロス除去

及び夜間停止時の電源オフ(Off)時を含む。]。 

4.5.2 

ドロス除去手順 

ポット内の溶融はんだ表面に浮くドロスの除去は,次の手順によって実施する。 

a) 回転モータの回転を止め,ステンレス製の穴の開いたおたまのような適切なジグを用いて,ポット内

の溶融はんだ合金表面に浮くドロスを除去する。そのドロスは,密閉可能な容器に入れる。 

b) ポット内の溶融はんだ量として,4.4に規定する浸せき(漬)の深さが確保できることを確認する。そ

の結果,溶融はんだ合金が不足する場合は,4.4に規定するはんだ合金を供給する。 

c) ドロスを除去した溶融はんだ合金の中に,試験片が4.4に規定する浸せき(漬)の深さを確保してい

ることを確認・調整し,4.5.1に規定する試験を継続する。 

侵食深さの測定方法(光学顕微鏡による焦点深度法) 

5.1 

一般事項 

試験終了後の試験片の侵食深さの測定方法は,5.2〜5.4による。 

5.2 

試験片の準備 

試験片の準備は,次の手順で実施する。 

a) 4.4に規定する時間,試験した試験片は,回転を止めて取り出すまで浸せき(漬)しておく。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 試験片を溶融はんだ合金から引き上げ,回転ブロックから取り外す。 

c) その後,試験片を1本ずつ溶融はんだ合金中に再度浸せき(漬)して加熱して引き上げ後,直ちに,

その試験片の観察面を木綿の布で拭き取り,付着しているはんだ合金を除去する。 

はんだ合金を完全に除去できない場合は,はんだが除去できるまでこの手順c) を繰り返す。 

5.3 

測定装置 

測定装置は,光学顕微鏡,デジタルインジケータ,CCDカメラ及びTVモニターで構成し,焦点深度が

測定できるものとする。測定装置の構成例を,図3に示す。 

図3−光学顕微鏡による焦点深度法測定装置構成例 

5.4 

測定手順 

試験片の焦点深度測定は,次の手順によって実施する。 

a) 5.3に規定する測定装置を準備する(CCDカメラが付いていない場合は,直接目視する。)。 

b) 4.3に規定する試験片のA面及びB面を目視によって観察し,侵食が一番深そうな位置を各面の3か

所以上,事前に特定しておく。 

c) 試験片を測定装置にセットし,可能な限り顕微鏡の倍率を高くして,侵食が一番深い部位を特定する

(顕微鏡の倍率は,200倍以上であることが望ましい。)。 

d) 観察部位を特定した後に,視野角内で侵食していない部位に,顕微鏡レンズの移動用つまみを回して

焦点を合わせる。 

e) このとき,デジタルインジケータのゼロ調整ボタンを押して値をゼロにする。 

f) 

次に,顕微鏡レンズ移動用つまみを回して,侵食が一番深い部位に焦点を合わす。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

g) そのときのデジタルインジケータの値を読み取って記録する。 

h) 可能である場合,その侵食の部位の写真を撮影しておくことが望ましい。 

i) 

侵食が一番深そうな位置を各面3か所以上測定し,それらの最大値を侵食深さとして採用している。

また,ドロスによる侵食発生への影響を排除するため,深度測定対象エリアを,浸せき(漬)深さ65 

mm〜70 mmを前提として,試験片の下端から50 mmとしている。 

最侵食深さの推定の必要がある場合は,附属書Bに記載する“極値統計解析法”を用いることが望

ましい。 

試験報告書に記載する事項 

試験報告書には,次の事項を記録する。 

a) 測定年月日及び時刻 

b) 試験装置の製造業者及び装置番号 

c) 試験片 

1) 材料及び番号 

2) 調質 

3) 加工(切断,削り出しなど) 

4) 表面状態 

d) はんだ材料 

e) 試験条件 

1) 溶融はんだ合金温度 

2) 回転速度 

f) 

侵食の有無及び深さ 

g) 侵食状態(侵食状態の詳細及び発生箇所が分かるような写真など) 

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附属書A 

(規定) 

試験装置及び測定装置の仕様 

A.1 概要 

この附属書は,4.2.1に規定する試験装置及び5.3に規定する測定装置の仕様について規定する。 

A.2 試験装置の特性 

A.2.1 一般事項 

この規格で用いる試験装置は,ポット部,回転部及び制御部で構成し,それぞれの構成は,A.2.2〜A.2.4

の特性をもっていなければならない。 

A.2.2 ポット部 

ポット部は,次の要件を満すものとする。 

a) はんだ槽は,試験片が回転できるように,はんだ合金の質量が5 kg以上の容量をもっていることが望

ましい。 

b) ポットの大きさは,4.4に規定する回転半径に影響しないもので,かつ,浸せき(漬)深さに対応でき

る。 

c) ポットの材質は,鋼材を用いる場合,侵食が発生し難い表面処理などを施したものを用いることが望

ましい。表面処理などの種類及び方法は,特に規定しない。 

d) ヒータは,溶融はんだ合金を400 ℃まで溶融できる能力をもつことが望ましい。 

e) 溶融はんだ合金に浸せき(漬)するヒータを用いる場合は,侵食し難い表面処理などを施したものが

望ましい。 

A.2.3 回転部 

回転部は,次の要件を満すものとする。 

a) 回転部は,試験片を回転させるモータをもっている。 

b) 回転モータの軸は,試験片を固定する回転ブロックをもっている。 

c) 回転ブロックに固定した試験片は,4.4に規定する浸せき(漬)深さで回転できる。 

A.2.4 制御部 

制御部は,次の要件を満すものとする。 

a) 温度センサを用いて温度調節器などでヒータの制御を行い,溶融はんだ合金の温度を350 ℃±3 ℃に

維持できる機能をもっている。 

b) 温度センサを4.4に規定する浸せき(漬)の深さの位置で用いる場合,温度センサは,表面処理を施

していることが望ましい。 

c) モータの回転速度は,4.4に規定する100 r/min±3 r/minで制御できる。 

d) 4.4に規定する試験時間は,自動記録できることが望ましい。 

e) 安全性を考慮して溶融はんだ温度の過温防止機能などのインターロックを備えていることが望まし

い。 

A.2.5 換気機構 

換気機構は,その試験装置に,排気ダクトなどで換気する機構を備えていることが望ましい。その理由

C 62739-1:2015 (IEC 62739-1:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

として,試験中に,試験片を回転させるために,ドロスが熱気とともに大気に拡散されることによる。こ

の換気の風量は,はんだ合金の溶融温度に影響を与えることがない場合には,特に規定しない。 

A.3 測定装置の精度 

A.3.1 一般事項 

測定装置は,光学顕微鏡,デジタルインジケータ,CCDカメラ及びTVモニターで構成し,A.3.2の測

定確度をもっていなければならない。 

A.3.2 測定確度 

測定確度は,光学顕微鏡の被写界深度とインジケータの精度との和で表し,光学顕微鏡の倍率による例

を次に示す。 

a) 倍率100倍の場合,412 μm(382+30)以下とする。 

b) 倍率300倍の場合,68 μm(38+30)以下とする。 

c) 倍率600倍の場合,47 μm(17+30)以下とする。 

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10 

C 62739-1:2015 (IEC 62739-1:2013) 

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附属書B 

(参考) 

極値統計解析による最大侵食の深さの推定方法 

B.1 

一般事項 

この附属書は,箇条5の極値統計解析による最大侵食の深さの推定方法について記述する。 

B.2 

推定方法 

B.2.1 極値統計解析 

同一条件であると考えられる試験片を図B.1に示すように,N個の測定区間に分ける。各区間の最大侵

食の深さを実験的に求め,グンベル分布を用いて試験片全体での最大侵食深さを推定する。 

図B.1−平板試料の区間分けの例 

B.3 

推定の手順 

B.3.1 一般事項 

次の手順に従って,測定データを処理し,極値統計解析を実施する。 

B.3.2 試料の準備 

試料は,侵食試験が終了した試験片とし,侵食の深さの測定区間を決める。このとき,測定区間は,同

一の試験条件で試験を実施した試験片とする。区間数は,確率紙上で直線性を得た場合,特に規定はしな

いが,通常8区間以上であることが望ましい。 

B.3.3 侵食の深さの測定 

侵食の深さの測定法は,特に規定しないが,正確な値を求める場合には,酸洗によるはんだ除去方法,

又はX線CTスキャンによる深度測定方法を用いることが望ましい。 

このときに用いる測定装置の侵食の深さの測定精度は,±5 μmとする。 

B.3.4 データの処理方法 

データの処理方法は,次による。 

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11 

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a) グンベル分布を定義する。 

グンベル分布の最大値分布F(x) は,式(B.1)によって求めることができる。 

=

α

λ

x

x

F

exp

exp

)

(

 ······················································· (B.1) 

ここに, 

x: 区間内の最大損傷深さ 

λ: 位置パラメータ 

α: 尺度パラメータ 

b) グンベル確率紙のyを定義する。 

yは,二重指数分布(グンベル分布)の基準化変数と呼ばれており,式(B.1)と組合せ,式(B.2)によ

って表すことができる。このとき,yは,確率紙の縦軸に相当する。 

()

{

}

=

=

α

λ

αx

x

F

y

1

ln

ln

 ·················································· (B.2) 

c) グンベル確率紙(縦軸y及び横軸x)にデータをプロットした結果,図B.2に記載のように,ほぼ直

線が得られる。y=0のときのxがλとなる。また,直線の傾きΔy/Δxが1/αとなって,図から読み取

ることができる。 

d) 最大侵食の深さの求め方 

再帰期間Tを定義する。Tは,求めたい総面積をサンプル区間の面積で除したもので定義する。こ

のとき,xの最大値xmaxは,T,λ及びαの関数として式(B.3)によって求めることができる。 

T

T

x

ln

1

1

ln

ln

max

α

λ

α

λ

+

+

············································ (B.3) 

  

基準化変数 

損傷深さ 

F(x) 累積分布 

図B.2−N=8の場合の最大侵食深さの推定値 

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C 62739-1:2015 (IEC 62739-1:2013) 

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参考文献 

JIS G 4304:2012 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 

注記 対応国際規格:ISO 16143-1:2004,Stainless steels for general purposes−Part 1: Flat products(MOD) 

JIS G 4305:2012 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 

注記 対応国際規格:ISO 16143-1:2004,Stainless steels for general purposes−Part 1: Flat products(MOD) 

JIS G 4308:2013 ステンレス鋼線材 

注記 対応国際規格:ISO 16143-2:2004,Stainless steels for general purposes−Part 2: Semi-finished 

products, bars, rods and sections(MOD) 

JIS G 4309:1999 ステンレス鋼線 

ISO 16143-3:2005,Stainless steels for general purposes−Part 3: Wire