C 62623:2014
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語,定義及び略語 ·········································································································· 1
3.1 用語及び定義 ················································································································ 1
3.2 略語 ···························································································································· 4
4 EUTの仕様 ····················································································································· 5
4.1 コンピュータの種類 ······································································································· 5
4.2 消費電力モード ············································································································· 5
4.3 プロファイル特性 ·········································································································· 7
4.4 区分特性 ······················································································································ 8
5 試験手順及び条件,区分,TEC計算式,計測器の仕様並びに結果報告 ······································· 9
5.1 一般事項 ······················································································································ 9
5.2 試験設定 ······················································································································ 9
5.3 試験手順 ····················································································································· 11
5.4 試験条件 ····················································································································· 12
5.5 区分 ··························································································································· 12
5.6 年間消費電力量の計算式 ································································································ 13
5.7 有効RMS電力計測器の仕様 ··························································································· 15
5.8 有効RMS電力計測器の精度 ··························································································· 16
5.9 周囲照度計の仕様 ········································································································· 17
5.10 結果報告 ···················································································································· 17
附属書A(参考)プロファイル方法の概要 ··············································································· 20
附属書B(参考)主要プロファイル ························································································ 22
附属書C(参考)プロファイル調査の実施方法 ········································································· 24
附属書D(参考)TEC計算例 ································································································ 28
附属書E(参考)エネルギスターV5準拠試験方法 ····································································· 30
附属書F(参考)消費電力測定方法 ························································································· 32
附属書G(規定)対応国際規格に関する区分の登録方法 ····························································· 36
参考文献 ···························································································································· 37
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 38
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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パーソナルコンピュータの消費電力測定方法
Desktop and notebook computers-Measurement of energy consumption
序文
この規格は,2012年に第1版として発行されたIEC 62623を基に,技術的内容を変更して作成した日本
工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。また,附属書JAは対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,4.1に規定する最終製品として販売するデスクトップ及びノートブックのパーソナルコンピ
ュータに適用し,次の内容を規定する。
なお,これ以降の試験に供するデスクトップ及びノートブックのパーソナルコンピュータを被試験機器
(以下,EUTという。)という。
a) EUTの各消費電力モードにおける消費電力及び/又は消費電力量の測定を可能にする試験方法
b) 任意の期間(通常は年間)における標準消費電力量(以下,TECという。)を算出する計算式
c) この規格とともに使用する主要プロファイルの求め方。主要プロファイルは,平均消費電力を電力量
へ変換するTEC計算式において用いる。
d) EUT間における消費電力量の同種比較を可能にする区分方法
e) 結果を提示するための所定書式
この規格は,EUTに対するいかなる合否基準も規定しない。当該基準は,試験結果の使用者によって定
められる。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 62623:2012,Desktop and notebook computers−Measurement of energy consumption(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
(削除)
3
用語,定義及び略語
3.1
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
2
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3.1.1
有効作業負荷(active workload)
TEC計算式(5.6参照)におけるEUTが実行する生産性又は有効性のある模擬活動量。アクティブモー
ドにおける平均消費電力測定値Pwork(4.2.10参照)及び負荷サイクルのアクティブ部Twork(3.1.13.6参照)
で表される。
3.1.2
区分(category)
EUT構成の分類。
3.1.3
負荷サイクル(duty cycle)
EUTが個別の消費電力モードそれぞれに費やす時間の区分。
注記 負荷サイクルは,合計すると1になる百分率で表される。
3.1.4
消費電力量(energy use)
任意の期間に交流電源から測定される製品の消費電力量。
注記 消費電力量は,キロワット時(kWh)で表す。
3.1.5
外部電源装置,EPS(external power supply)
コンピュータきょう(筐)体の外部にある別の物理的きょう体に収められており,コンピュータに電力
を供給するために,交流電源をより低い直流電圧に変換するように設計されている機器。
注記1 外部電源装置は,直流電源装置又はACアダプタと呼ばれることもある。
注記2 外部電源装置の効率を測定する試験方法を説明する文書(外部電源装置効率試験方法)への
参照は,参考文献に記載されている。
3.1.6
内部電源装置,IPS(internal power supply)
コンピュータきょう体と同じ物理的きょう体に収められており,コンピュータに電力を供給するために,
交流電源をより低い直流電圧に変換するように設計されている構成装置。
注記 内部電源装置の効率を測定する試験方法を説明する文書(汎用内部電源装置効率試験方法)へ
の参照は,参考文献に記載されている。
3.1.7
ローカルエリアネットワーク,LAN(local area network)
限定された地理的領域内において使用者用に設置されているコンピュータネットワーク。
(IEC 60050-732:2010)
注記 現在コンピュータに使用されている二つの主要技術は,IEEE 802.3イーサネット又は有線LAN,
及びIEEE 802.11 Wi-Fi又は無線LANである。
3.1.8
製造業者(manufacturer)
販売することを意図した製品の設計,開発及び製造に責任を負う組織。これら業務をこの組織自体が行
っているのか,又はその代理人が行っているのかは問わない。
3
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3.1.9
RGB(red green blue)
コンピュータディスプレイ上の画素を構成する原色(赤・緑・青)。
注記 RGB値は,正確な色を指定するための当該画素に対する各色の彩度設定を表している。
3.1.10
標準消費電力量,TEC(typical energy consumption)
同種のパーソナルコンピュータのエネルギ効率を比較するために用いられる消費電力量。これは,一定
期間に通常の動作を行った際の任意のプロファイルにおけるEUTの消費電力量の数値である。
注記 デスクトップ及びノートブックパーソナルコンピュータに関する,TEC手法の主要基準は,標
準的な年間消費電力量を示す数値であり,あるプロファイルの年間使用状況を表す推定標準負
荷サイクルによって測定する平均的な動作モードにおける消費電力量を用い,キロワット時
(kWh)で表す。
3.1.11
実消費電力量,TECactual(actual energy consumption)
Pworkを用いて測定された標準消費電力量。
3.1.12
推定消費電力量,TECestimated(estimated energy consumption)
4.2で規定するPworkの代わりにPsidleを用いて推定された標準消費電力量。
3.1.13
負荷サイクル特性(duty cycle attributes)
EUTが個別の消費電力モードそれぞれに費やす時間の比率。
注記 負荷サイクル特性の例は,3.1.13.1〜3.1.13.6による。
3.1.13.1
負荷サイクルのオフ部,Toff(off component of duty cycle)
EUTがオフモードである時間の比率。
3.1.13.2
負荷サイクルのスリープ部,Tsleep及びTsleepWoL(sleep component of duty cycle)
EUTがスリープモードである時間の比率。
3.1.13.3
負荷サイクルのオン部,Ton(on component of duty cycle)
EUTがオンモードである時間の比率。
注記 Ton負荷サイクルは,Twork+Tsidle+Tidleの合計と等しい。
3.1.13.4
負荷サイクルのショートアイドル部,Tsidle(short idle component of duty cycle)
EUTがショートアイドルモードである時間の比率。
3.1.13.5
負荷サイクルのロングアイドル部,Tidle(long idle component of duty cycle)
EUTがロングアイドルモードである時間の比率。
3.1.13.6
負荷サイクルのアクティブ部,Twork(active component of duty cycle)
4
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EUTがアクティブ(作業)モードである時間の比率。
3.1.14
試験結果の使用者(user of the test results)
自己が求める目的に適用するために,この試験結果を利用する組織。
注記 当該組織の例には,自主協定の参加事業者,規制制度担当機関,民間企業などがある。
3.1.15
ウェイクオンLAN,WoL(wake on LAN)
イーサネットを介したネットワーク要求によって指示を受けたときに,コンピュータがスリープ又はオ
フから復帰できるようにする機能。
3.2
略語
この規格で用いる主な略語は,次による。
ACPI(Advanced Configuration and Power Interface) 電力制御インタフェース
注記1 ACPI仕様は,次のURLで参照することができる。
<http://www.acpi.info/>
CF(Crest Factor)
波高因子
CFR(Crest Factor Ratio)
波高率
CPU(Central Processing Unit)
中央処理装置
EPS(External Power Supply)
外部電源装置
EUT(Equipment Under Test)
被試験機器
注記2 この規格では製品とも呼び,他の仕様においてはUUT(Unit Under Test)と呼ばれることも
ある。
FB̲BW(Frame Buffer Bandwidth)
フレームバッファ幅
HDD(Hard Disk Drive)
ハードディスクドライブ
IPS(Internal Power Supply)
内部電源装置
LAN(Local Area Network)
ローカルエリアネットワーク
MCF(Meter Crest Factor)
計器波高率
MCR(Maximum Current Ratio)
最大電流比率
OS(Operating System)
オペレーティングシステム
PAPR(Profile Active Power Ratio)
プロファイル稼働時消費電力比率
PAWR(Profile Active Workload Ratio)
プロファイル有効作業負荷比率
PCF(Product Crest Factor)
製品波高率
PF(Power Factor)
力率
RAM(Random Access Memory)
ランダムアクセスメモリ
RGB(red green blue)
アールジービー
RMS(Root Mean Square)
実効値
SSD(Solid State Drive)
半導体ドライブ
TEC(Typical Energy Consumption)
標準消費電力量
THD(Total Harmonic Distortion)
全高調波ひず(歪)み
ULE(Ultra Low Energy)
超低消費電力
UPS(Uninterruptible Power Supply)
無停電電源装置
5
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WoL(Wake on LAN)
ウェイクオンLAN
4
EUTの仕様
4.1
コンピュータの種類
4.1.1
デスクトップパーソナルコンピュータ
デスクトップパーソナルコンピュータは,多くの場合において机上あるいは床上といった常設場所に本
体を設置することを意図するパーソナルコンピュータとする。デスクトップパーソナルコンピュータは移
動用として設計しておらず,外部コンピュータディスプレイ,キーボード及びマウスを使用する。デスク
トップパーソナルコンピュータは,家庭及びオフィスの広範囲な用途向けに設計している。
4.1.2
ノートブックパーソナルコンピュータ
ノートブックパーソナルコンピュータは,明確に携帯用として設計してあり,交流電源への直接接続あ
り又はなしのいずれかで長時間動作することを意図するパーソナルコンピュータとする。ノートブックパ
ーソナルコンピュータは,一体形コンピュータディスプレイを使用し,一体形バッテリによって動作が可
能である。また大部分のノートブックパーソナルコンピュータは,外部電源又は直流電源装置(ACアダ
プタ)を使用し,一体形のキーボード及びポインティングデバイスを装備している。ノートブックパーソ
ナルコンピュータは,一般的にデスクトップパーソナルコンピュータにおいて使用するものと機能面にお
いて類似するソフトウェアの動作を含め,デスクトップパーソナルコンピュータと同様の機能を提供する
ように設計している。この規格では,ドッキングステーションは附属品とみなすため,EUTの一部として
考慮しない。他の入力装置とともに又はその代わりにタッチセンサ画面を使用する可能性があるタブレッ
トパーソナルコンピュータは,この規格においてノートブックパーソナルコンピュータとみなす。一般的
に,小形の画面サイズ及び基本メモリサイズによって特定するネットブックコンピュータも,この規格に
おいてはノートブックパーソナルコンピュータとみなす。
4.1.3
一体形デスクトップパーソナルコンピュータ
一体形デスクトップパーソナルコンピュータは,コンピュータとコンピュータディスプレイとが一つの
交流電源ケーブルを介して交流電力を受ける単一機器として機能するデスクトップパーソナルコンピュー
タである。一体形デスクトップパーソナルコンピュータは,次の二つの形態とする。
− コンピュータディスプレイとコンピュータとが単一機器に物理的に統合している製品
− コンピュータディスプレイは分離しているが直流電力コードによって主要きょう体に接続しており,
コンピュータとコンピュータディスプレイとが共に一つの電源装置から電力を供給される単一製品と
して一括されている製品
一体形デスクトップパーソナルコンピュータは,デスクトップパーソナルコンピュータの一種として,
一般的にデスクトップパーソナルコンピュータと同様の機能を提供するように設計している。
注記 一体形デスクトップパーソナルコンピュータは,オールインワンコンピュータと呼ばれること
もある。
4.2
消費電力モード
4.2.1
オフモード
オフモードは,EUTを交流電源に接続し,製造業者の指示に従い使用するときに,使用者が解除するこ
とができず不定時間保たれる可能性のある最低消費電力モードとし,シャットダウン,完全な電源オフ又
は電源投入に必要な電流だけ通電する状態とする。
注記 上記の最低消費電力モードは,ACPIシステムレベルのS5状態に相当する(3.2参照)。
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2.2
Poff
Poffは,オフモードにおける平均消費電力測定値を表す。
4.2.3
スリープモード
スリープモードは,EUTが一定の非アクティブ時間後に自動的に,又は手動選択によって移行すること
が可能な最低消費電力モードとし,メモリへの通電及び再起動に必要な電流だけ通電する状態とする。ス
リープ能力をもつEUTは,ネットワーク接続又はユーザインタフェース装置に反応して,ウェイクイベン
トの開始からディスプレイのレンダリングを含め製品が完全に使用可能になるまで,5秒以下の待ち時間
で素早く復帰することができる。スリープ状態においてWoL機能を無効にしてEUTを試験する場合,こ
の状態をスリープモードと呼び,WoL機能を有効にしてEUTを試験する場合,この状態をWoLスリープ
モードと呼ぶ。
注記 上記の最低消費電力モードは,ACPIシステムレベルのS3状態(Suspend to RAM)に相当する
(3.2参照)。
4.2.4
Psleep
Psleepは,WoL機能を無効にしたときのスリープモードにおける平均消費電力測定値を表す。
4.2.5
PsleepWoL
PsleepWoLは,WoL機能を有効にしたときのスリープモードにおける平均消費電力測定値を表す。
4.2.6
オンモード
オンモードは,EUTがスリープ又はオフモードでないときのモードを表す。オンモードには,ロングア
イドルモード,ショートアイドルモード及びアクティブ(作業)モードを含む幾つかの下位モードがある。
4.2.7
Pon
Ponは,オンモードにおける平均消費電力測定値を表す。
4.2.8
アイドルモード
4.2.8.1
一般事項
アイドルモードは,オペレーティングシステム及び他のソフトウェアの読込みが完了し,製品はスリー
プモードではなく,また,そのシステムが初期設定によって開始する基本アプリケーションに動作が限定
されているモードとする。アイドルは,4.2.8.2に規定するショートアイドルモード及び4.2.8.4に規定する
ロングアイドルモードの二つの形態で構成する。
4.2.8.2
ショートアイドルモード
ショートアイドルモードは,EUTが次の要件を満たしている状態とする。
− EUTはアイドル状態にある。
例 OSの起動,有効作業負荷の完了又はスリープからの再開(レジューム)から5分後。ただし,
以前の試験手順に準拠するために15分を要する場合もある。
− 画面はウォームアップのために30分間以上はオン状態にあって,5.3で規定する輝度に設定されてい
る。
− ロングアイドル電力管理機能は動作していない。
例 該当する場合においてHDDは回転しており,EUTはスリープモードへの移行を抑制されてい
る。
4.2.8.3
Psidle
Psidleは,ショートアイドルモードにおける平均消費電力測定値を表す。
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4.2.8.4
ロングアイドルモード
ロングアイドルモードは,EUTが次の要件を満たしている状態とする。
− EUTはアイドル状態にある。
例 OS起動,有効作業負荷の完了又はスリープからの再開(レジューム)から15分後。
− 主要ディスプレイの画面は無表示であるが,EUTは作業状態(ACPI G0/S0)を維持している状態。
注記 “画面は無表示である”とは,主要コンピュータディスプレイ(一体形パネル又は外部ディ
スプレイ)が,画面コンテンツを見ることができない低電力状態(例 バックライトを消し
て画面を黒色にする。)に移行していることを示す。
− 電力管理機能は,出荷時に設定している場合において動作しているが,EUTはスリープモードに移行
することを抑制している。
例 主要ディスプレイはオン状態であるが,HDDの回転数を低減している可能性がある。
4.2.8.5
Pidle
Pidleは,ロングアイドルモードにおける平均消費電力測定値を表す。
4.2.9
アクティブ(作業)モード
アクティブモードは,EUTが次の状態に対応して作業を実行しているモードとする。
− 使用者によって事前又は同時の入力
− ネットワークを介した事前又は同時の指示
このモードには,使用者の更なる入力を待っている間,又は他の消費電力モードに移行する前に,記憶
装置,メモリ又はキャッシュのデータを捜し求める,及び積極的な処理を含む。このモードにおいて,画
面はオン状態であって,出荷時の輝度に設定する。
4.2.10 Pwork
Pworkは,アクティブモードにおける平均消費電力測定値を表す。
4.3
プロファイル特性
4.3.1
プロファイル
プロファイルは,負荷サイクル特性と特定の使用事例(例 オフィスにおける使用,家庭における使用,
ゲーム利用など)とを組み合わせたものである。
注記 プロファイルに関する詳細については,附属書A,附属書B及び附属書Cを参照する。
4.3.2
主要プロファイル
主要プロファイルは,デスクトップ及びノートブックパーソナルコンピュータの使用者に関する最も一
般的なプロファイルである。
主要プロファイルはこの規格とともに使用するものであって,附属書Bに記載している。5.6において
使用するTEC計算式を判断するために用いる負荷サイクル特性及びプロファイルTEC誤差を,附属書B
に示す。
4.3.3
少数派プロファイル
少数派プロファイルは,主要プロファイルでは表さない,デスクトップ及びノートブックパーソナルコ
ンピュータ使用者の一般的ではないプロファイルを表している。例えば,過度のゲーム利用者は非常に独
特なプロファイルを示すが,パーソナルコンピュータ使用者に占める割合は,極僅かである。
4.3.4
プロファイル調査
プロファイル調査は,この規格の新たなプロファイルを作成するために実施する調査とする。この調査
は,裏付データとともに次の内容を示す。
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− 全ての負荷サイクル特性
− 4.3.6に規定するPAPR
− 4.3.9に規定するプロファイルTEC誤差
− 4.3.7に規定するPAWR
全てのデータは,使用者全体を代表する統計的に有意なサンプルサイズから得られている。プロファイ
ル調査の実施方法に関する指針を附属書Cに示す。
4.3.5
製品稼働時消費電力比率
製品稼働時消費電力比率は,Pon /Psidleの比率。すなわち,プロファイル調査における個別製品について
平均オンモード消費電力を平均ショートアイドル時消費電力で除した数値である。
4.3.6
PAPR
PAPRは,プロファイル調査において記録した全ての製品稼働時消費電力比率の平均値である。
4.3.7
PAWR
PAWRは,プロファイル調査対象製品について実施するPwork/Psidleの平均比率を表しており,PAWRを通
じて有効作業負荷がプロファイル調査に厳密に整合していることを検証するために使用する。
4.3.8
製品TEC誤差
製品TEC誤差は,Pwork消費電力測定値の代わりに静的な“ショートアイドル時”消費電力測定値を使用
することによって,測定TECと推定TECとを直接対比した場合に個別製品についてどの位の誤差がある
のかを評価するために,プロファイル調査において使用する誤差比率の計算値とする。
4.3.9
プロファイルTEC誤差
プロファイルTEC誤差は,プロファイル調査における製品TEC誤差の平均値とする。
4.4
区分特性
4.4.1
一般事項
次は区分特性の例であって,その他の例は,5.5に規定する区分登録一覧に記載する。
4.4.2
コアの数
コアの数は,EUTにおけるCPUの物理的コア数とする。
4.4.3
メモリチャネルの数
メモリチャネルの数は,EUTが対応可能なチャネルの総数で表す。
なお,メモリを実装している必要はない。各伝送路には個別のデータ経路がある。
4.4.4
システムメモリ
システムメモリは,ギガバイトで表すメモリ容量とする。
4.4.5
システムファン
システムファンは,電源装置に組込むファンを除いた,EUTで使用する全てのファンとする。
4.4.6
TEC補正
TEC補正は,EUTに機能を追加又は設定した場合,そのEUTのTECを一定量増加させる,年間のキロ
ワット時(kWh)で表す消費電力量補正値とする。追加機能の例を次に示す。
− グラフィックスカード,メモリ,TVチューナ,サウンドカード,ハードディスクドライブ,SSD等
− 一体形デスクトップパーソナルコンピュータについては,画面を追加機能として扱う。
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5
試験手順及び条件,区分,TEC計算式,計測器の仕様並びに結果報告
5.1
一般事項
次の手順は,EUTの消費電力又は消費電力量を測定する際に使用する。
この規格の使用者は,EUTのサンプルを測定する。サンプルサイズは,試験結果の使用者が定めた要求
事項に対する整合性を明示することができる適切な大きさとする。
5.2
試験設定
EUT設定及び試験条件は,次による。
a) EUTは,初期設定によって出荷される全てのハードウェア附属品及びソフトウェアを含め,この試験
手順において特に規定がない限り,当該製品とともに提供される指示に従って構成する。またEUTは,
全ての試験について次の要求事項に従い構成する。
1) 入力装置を装備せずに出荷するデスクトップパーソナルコンピュータ及び一体形デスクトップパー
ソナルコンピュータは,製造業者が推奨する入力装置(例 マウス及び/又はキーボード)ととも
に構成する。その他の外部周辺機器は接続しない。
2) デスクトップパーソナルコンピュータについては,外部コンピュータディスプレイとともに構成す
る。ただし,外部ディスプレイの消費電力量は,TEC計算に含まない。
3) ノートブックパーソナルコンピュータに一体形ポインティングデバイス又はデジタイザを装備して
いる場合は,個別のキーボード又はマウスを含める必要はない。
4) ノートブックパーソナルコンピュータは,その製品とともに出荷する外部電源を使用して交流電源
に接続する。バッテリパックは全ての試験において取り外す。バッテリパックを装備しないと動作
が不可能なEUTについては,満充電のバッテリパックを使用して試験を実施し,必ず試験結果にお
いてこの構成を記載する。
5) 画面については,RGB値が130,130,130に設定したビットマップによって規定する固定色のデス
クトップ背景(壁紙)を設定する。画面の明るさは出荷時のまま又は必要に応じて指定の輝度条件
に設定する。
注記1 出荷時の画面の明るさとは,最終使用者が望む当該製品の使用方法に適していると製造
業者が考える水準として定義する。
6) ノートブックパーソナルコンピュータ及び一体形デスクトップパーソナルコンピュータについては,
結果報告書に一体形ディスプレイの消費電力を含める。
注記2 5.3.5に従って追加の指定輝度条件についても測定を行い,結果報告書において公表する
ことができる。
7) EUTのスリープタイマについては,アイドル又はアクティブ試験においてEUTがスリープ状態に
移行しないようにするため,無効又は30分に設定する。
ノートブック及びデスクトップパーソナルコンピュータの一般的な試験設定を,図1に示す。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
出荷時構成のEUTを丸枠で示す。
図1−標準試験設定
注記3 図1は,有線LAN及び無線LAN接続を表している。c)に従って,一方だけを試験中接続
する。
b) 交流電源とEUTの電源装置との間に,5.7に規定する計測器要求事項を満たす有効RMS電力計測器
を設置する。計測器とEUTとの間に電源コード又はUPS機器は接続してはならない。計測器は,所
要の消費電力モードのデータを全て記録するまで,有効でなければならない。交流電源は,5.4の要求
事項を満たさなければならない。
c) スリープ,ロングアイドル,ショートアイドル及び任意のアクティブ時の測定に関して,EUTの消費
電力量は,次に説明する状態のいずれかにおいて,ネットワーク接続性とともに測定しなければなら
ない。
1) イーサネット対応のEUTについては,そのEUTが対応可能な最高リンク速度に対応するアクティ
ブ状態のネットワークスイッチに接続する。このネットワークスイッチは有効状態のネットワーク
を接続している必要はない。複数のネットワーク接続をもつEUTの場合には,一つのネットワーク
接続だけを接続状態にする必要がある。また,このネットワーク接続は,EUTが対応可能な追加の
電力管理機能を支援するために必要な最低要求事項にも対応しなければならない。
例えば,IEEE 802.3az-2010仕様は,EUT及びネットワークスイッチの両方が対応可能なイーサ
ネットリンクの電力管理機能に対応している。
この機能を試験するために,スイッチは当該機能にも対応可能でなければならない。無線通信の
ような別のネットワーク装置に対する電力は,全ての試験において遮断しておかなければならない。
これは,無線ネットワークアダプタ又は装置間の無線通信規約(例 Bluetooth)を適用する。
注記4 無線ネットワークアダプタの例については,IEEE 802.11を参照。
2) イーサネット対応ではないが,別の種類のネットワーク接続機能をもつEUTについては,該当ネッ
トワークを有効にして接続状態にする。
3) 無線接続機能だけをもつEUTについては,クライアント無線通信の最高及び最低データ速度に対応
する無線ルータ又はネットワークアクセスポイントに対する有効無線接続が,試験中維持されてい
安定化電源
安定化電源
外部電源装置
(ACアダプタ)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なければならない。
d) 5.10の規定に従って,EUTの詳細を記録する。
e) 5.4の規定のとおりに試験条件を測定し,5.10の規定に従って記録する。
f)
試験室の周囲照度条件は,5.9の要求事項を満たす計測器を用いて測定し,5.4に規定する適切な水準
に設定する。
5.3
試験手順
5.3.1
一般事項
試験手順は,消費電力の少ない順に示している。各消費電力モードの測定は,指定する手順に従って実
施しなければならない。ただし,各消費電力モードの消費電力測定値は,いかなる順番で測定してもよく,
TEC結果を必要としない場合には,使用者は,これらの消費電力モードを全て試験する必要はない。
5.3.2
オフモード測定
オフモードの測定は,次による。
− EUTを4.2.1に規定するオフモードにする。
− 1秒当たり1回以上の読取り間隔で有効消費電力値の積算を開始するように,計測器を設定する。
− 5分間の消費電力値を積算し,5分間で得た平均値(算術平均)をPoffとして記録する。
5.3.3
スリープモード測定
スリープモードの測定は,次による。
− EUTのスイッチを入れる。
− オペレーティングシステムの読込み完了後のアクティブ準備状態でログインし,標準動作デスクトッ
プ画面又はそれに相当する稼働準備画面を表示するように起動しているウィンドウを全て終了して,
EUTを4.2.3に規定するスリープモードにする。
− 計測器を必要に応じて初期化し,1秒当たり1回以上の読取り間隔で有効消費電力値の積算を開始す
る。
− 5分間の消費電力値を積算し,5分間で得た平均値(算術平均)をPsleepとして記録する。
− スリープについてWoL有効及びWoL無効の両方で試験する場合は,EUTを復帰し,オペレーティン
グシステム設定又は他の方法によってスリープに対するWoL設定を変更する。EUTをスリープモー
ドに戻して試験を繰り返し,この別設定を必要とするスリープ時消費電力値をPsleepWoLとして記録す
る。
5.3.4
ロングアイドルモード測定
ロングアイドルモードの測定は,次による。
− EUTのスイッチを入れる。
− オペレーティングシステムの読込み完了後のアクティブ準備状態でログインし,標準動作デスクトッ
プ画面又はそれに相当する稼働準備画面を表示するように起動しているウィンドウを全て終了して,
EUTを4.2.8.4に規定するロングアイドルモードにする。
− EUTがロングアイドルモードに移行した後,計測器を必要に応じて初期化し,1秒当たり1回以上の
読取り間隔で有効消費電力値の積算を開始する。
− 5分間の消費電力値を積算し,5分間で得た平均値(算術平均)をPidleとして記録する。
5.3.5
ショートアイドルモード測定
ショートアイドルモードの測定は,次による。
− EUTのスイッチを入れる。
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− オペレーティングシステムの読込み完了後のアクティブ準備状態でログインし,標準動作デスクトッ
プ画面又はそれに相当する稼働準備画面を表示するように起動しているウィンドウを全て終了して,
表示領域を完全に満たすように画像の大きさを調整し,ノートブックパーソナルコンピュータの場合
には,90 cd/m2以上に,また,一体形デスクトップパーソナルコンピュータの場合には,150 cd/m2以
上に明るさ水準を設定するか,又はこれらの水準が達成不可能な場合には,達成可能な最も近い水準
に製品の明るさを設定して,EUTを4.2.8.2に規定するショートアイドルモードにする。
− EUTがショートアイドルモードに移行した後,計測器を必要に応じて初期化し,1秒当たり1回以上
の読取り間隔で有効消費電力値の積算を開始する。
− 5分間の消費電力値を積算し,5分間で得た平均値(算術平均)をPsidleとして記録する。
5.3.6
アクティブモード測定(任意)(5.6に規定)
アクティブモードの測定は,次による。
− EUTのスイッチを入れる。
− オペレーティングシステムの読込み完了後のアクティブ準備状態でログインし,標準動作デスクトッ
プ画面又はそれに相当する稼働準備画面を表示するように起動しているウィンドウを全て終了して,
EUTを4.2.8.2に規定するショートアイドルモードにする。
− 有効作業負荷を読み込み,実行できるように準備する。
− 計測器を必要に応じて初期化し,有効作業負荷を開始する。1秒当たり1回以上の読取り間隔で有効
消費電力値の積算を開始する。
− 有効作業負荷の完了を示したときに,その平均消費電力をPworkとして記録する。
注記 有効作業負荷の基準は,5.6.4を参照。
5.4
試験条件
EUTに対して実行する全ての試験は,表1に示す条件において実施する。
表1−試験条件
電源電圧
北米/台湾:
115 (±1 %) V a.c.,60 Hz(±1 %)
最大消費電力が1.5 kWを超
える製品の場合,電圧範囲は
±4 %
欧州/豪州/ニュー
ジーランド/中国:
230 (±1 %) V a.c.,50 Hz(±1 %)
日本:
100 (±1 %) V a.c.,50 Hz(±1 %)
又は60 Hz(±1 %)
全高調波ひずみ(電圧)
<2 % THD(最大消費電力が1.5 kWを超える製品の場合<5 %)
周囲温度
(23±5)℃
相対湿度
10 %〜80 %
周囲照度
(250±50)lx
注記1 この表に規定する電圧及び周波数の許容値は,安定化電源の使用を通じてだけ達成することができる。
注記2 一部の国々の公称電圧が上記の電圧と異なる(例 中国は220 V,インドは一般的に240 V)ことは認識し
ているが,この規格は試験費用を最小限に抑えるために,世界的規模のコンプライアンスに対して試験し
なければならない電圧の数を三つに限定している。交流電源の電圧及び周波数は総TEC値に何らかの影響
を及ぼすが,230 V,220 V及び240 Vの間にみられる差異は僅かであって,この規格に従った試験から予
測する自然な差異の十分に範囲内であると考えられる。
注記3 周囲照度設定は,ディスプレイが周囲照度制御に影響する場合においてだけ求める。
5.5
区分
5.5.1
一般事項
(削除)
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5.5.2
ULE区分
(削除)
5.5.3
TEC補正
5.6に規定する基本EUTの構成は,追加機能によって変化する可能性があるため,この規格ではTEC補
正を提供している。TEC補正は,当該TEC補正によって特定する特性をもつEUTの任意区分に対するTEC
制限値(試験結果の使用者によって規定する。)を増大することを意図している。
TEC補正は,メモリ,グラフィックス,TVチューナ,追加HDD,SSDの使用,独立形サウンドカード,
独立形ネットワークカード等の項目について提供する可能性がある。試験結果の使用者が,適用する消費
電力量補正を規定する。
独立形グラフィックス構成要素を追加機能として扱う場合には,FB̲BWを使用して補正値を判断する。
一体形デスクトップパーソナルコンピュータの場合には,画面を追加機能として扱う。
TEC補正消費電力量の算出は,次に示す。
− どのTEC追加機能が該当するのかを判断し,試験結果の使用者が規定する補正値に基づいてTEC追
加機能ごとにキロワット時によってTEC補正値を算出する。
− 試験結果の使用者が規定する適切な加重を適用する。
− 5.10に規定するとおりに総TEC補正消費電力量を報告する。
注記1 補正値はキロワット時,補正値又は年で定義する。試験結果の使用者が,消費電力量補正
の情報を提供する。附属書Dでは,補正値がどのようにTEC計算に含まれるのかを例示
している。
注記2 (削除)
注記3 ノートブックパーソナルコンピュータの場合,画面の消費電力は基本区分消費電力の一部
であるため,画面の補正は適用しないことが望ましい。
5.6
年間消費電力量の計算式
5.6.1
一般事項
TECは,EUTの特定消費電力モード(オフ,スリープ・WoLスリープ,ロングアイドル,ショートア
イドル及びアクティブ)における平均消費電力測定値の加重平均値である。
この規格とともに附属書Bに示す主要プロファイルを使用することを推奨する。
この規格の使用者が他のプロファイルの使用を選択する場合には,4.3.4に規定するプロファイル調査を
全て実施し,プロファイルTEC誤差を判定する。
プロファイルTEC誤差が15 %以下である場合,この規格の使用者は5.6.2の式を使用する。
プロファイルTEC誤差が15 %を超える場合,この規格の使用者は5.6.3の式を使用し,5.6.4の基準を満
たす有効作業負荷を作成する。
注記 附属書Dに,TEC計算の例を示す。
5.6.2
推定値による年間消費電力量の計算式(推定有効作業負荷)
TECestimated=(8 760/1 000)×[Poff×Toff+Psleep×Tsleep+Pidle×Tidle+Psidle×(Tsidle+Twork)]
100 %=Toff+Tsleep+Tidle+Tsidle+Twork
上記の式において,Txは負荷サイクルの構成部であり,各Px消費電力モードに費やす時間の加重平均値
を表す。
ここに,
Toff
製品がオフモードに費やす時間の年間比率
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Tsleep 製品がスリープに費やす時間の年間比率
Tidle
製品がオン状態でありロングアイドルモード(画面表示なし)である時間の年間比率
Tsidle 製品がオン状態でありショートアイドルモード(画面表示あり)である時間の年間比率
Twork 製品がオン状態でありアクティブモード(画面表示あり)である時間の年間比率
これらの詳細説明を,図2に示す。
注記 図2は正確な比率で表記されていない。
図2−推定値による年間消費電力量の計算式(推定有効作業負荷)の例
5.6.3
測定値による年間消費電力量の計算式(有効作業負荷の使用)
TECactual=(8 760/1 000)×(Poff×Toff+Psleep×Tsleep+Pidle×Tidle+Psidle×Tsidle+Pwork×Twork)
100 %=Toff+Tsleep+Tidle+Tsidle+Twork
上記の式において,Txは負荷サイクルの構成部であり,各Px消費電力モードに費やす時間の加重平均値
を表す。
ここに,
Toff
製品がオフモードに費やす時間の年間比率
Tsleep 製品がスリープに費やす時間の年間比率
Tidle
製品がオン状態でありロングアイドルモード(画面表示なし)である時間の年間比率
Tsidle 製品がオン状態でありショートアイドルモード(画面表示あり)である時間の年間比率
Twork 製品がオン状態でありアクティブモード(画面表示あり)である時間の年間比率
上記の式において,Pworkは,5.6.4に示す基準に基づき作成した有効作業負荷を使用して測定された数値
とする。
これらの詳細説明を,図3に示す。
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注記 図3は正確な比率で表記されていない。
図3−測定値による年間消費電力量の計算式(有効作業負荷の使用)
5.6.4
有効作業負荷の基準
プロファイルTEC誤差が5.6.1に定めた誤差よりも大きい場合,有効作業負荷を作成し,5.6.3のTECactual
計算式を使用する。
作業負荷は,次のようにプロファイル調査の結果として得たPAPRが,調査対象のコンピュータにおい
て当該作業負荷を実行して得たPAWRの15 %以内に確実に収まるように作成する。有効作業負荷は目標
とするプロファイルを代表する作業負荷の断片で構成する。
− PAPR=Pon/Psidle
− PAWR=Pwork/Psidle
− 15 %>|(PAPR−PAWR)|/PAPR(絶対値)
Pon計算式は,Pon=(Pidle×Tidle+Psidle×Tsidle+Pwork×Twork)/Tonと定義する。
Eonwl−Eonstdy/Eonstdy
上記の式において,Eonwlは作成した作業負荷から算出した“オン時消費電力量”であり,Eonstdyは消費
電力量調査から算出した“オン時消費電力量”である。すなわち,次のようになる。
Eonwl=Pidle×Tidle+Psidle×Tsidle+Pwork×Twork
Eonstdy=Pon×Ton
Ton=Tidle+Tsidle+Twork
結果として次の計算式になる。
15 %>|Pidle×Tidle+Psidle×Tsidle+Pwork×Twork−Pon×Ton|/(Pon×Ton)
5.7
有効RMS電力計測器の仕様
校正した計測器には,次の特性が含まれていなければならない。
− 定格範囲値における有効電流の波高率は3以上。波高率を指定していない計測器の場合,その分析器
は,測定における任意の1秒間サンプルにおいて測定した最大電流の3倍以上のスパイク電流が測定
可能な特性。
有効RMS消費電力(ワット)及び次の測定単位のうちの二つ以上を報告する。
− 電圧
− 電流
− 力率
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電力測定機器は,次を測定する際に,5.8の要求事項を満たすことが可能でなければならない。
− DC
− AC(周波数10 Hz〜2 000 Hz)
消費電力計測器に帯域制限フィルタを含む場合,その計測器は,測定回路から取り出すことが可能でな
ければならない。また,次による。
− 国際単位に由来する規格によって校正可能であるという計測器の特性を考慮する。分析器は,過去1
年以内に校正していなければならない。
− 計測器を自動設定で使用する場合,計測器には,SPEC PTDaemon(参考文献を参照)によって測定値
の読取りを可能にするインタフェースを搭載していなければならない。分析器が対応する読取り速度
は,1秒当たり測定値1セット以上とし,このセットはワット数のほか,ボルト数・アンペア数・力
率の読取値の二つ以上で定義する。分析器のデータ平均化間隔は,読取り間隔の1倍(推奨)又は2
倍のいずれかとする。“データ平均化間隔”とは,分析器の高速サンプル抽出電子装置によって捕捉し
た全てのサンプルが,測定値セットを提供するために平均化する時間として定義する。
また,測定装置については,測定者が選択した任意の時間間隔にわたって消費電力値を正確に平均する
ことが可能であることが望ましい。通常,計測器内において,積算消費電力量を時間で除すという内部的
数値計算によって得られるものであり,最も正確な方法である。代替案としては,測定装置は,0.1 mWh
以下の消費電力量分解能で測定者が選択した任意の時間間隔にわたって消費電力量を積算し,1秒以下の
分解能で表示する時間を積算することが可能でなければならない。
5.8
有効RMS電力計測器の精度
1.0 W以上の消費電力測定値は,95 %の信頼水準において,2 %以下の精度とする。1.0 W未満の消費電
力測定値は,95 %の信頼水準において,0.02 W以下の精度とする。電力測定機器は,次の分解能をもつ。
− 10 W以下の消費電力測定値に対して,0.01 W以下
− 10 W超え100 W以下の消費電力測定値に対して,0.1 W以下
− 100 Wを超える消費電力測定値に対して1.0 W以下
全ての消費電力値はワット(W)で表記し,小数第2位に四捨五入する。10 W以上の負荷については,
有効数字3桁で報告する。
これ以降に説明する有効最大電流比率(MCR:maximum current ratio)の計算値が5を超える負荷につい
ては,次の計算式を使用して不確実性を調整する。
MCF
PCF
CFR=
CFRの計算値が1.0未満である場合には,次の計算に使用するCFR値を1.0とする。
PF
CFR
MCR=
ここに, PCF: 製品によって引き込まれたピーク電流の測定値を,製品によ
って引き込まれたRMS電流測定値で除した数値。
PF: 製品が消費した電力の特徴。これは,実消費電力測定値の皮
相電力測定値に対する比率である。
また,不確実性は次による。
a) 10以下のMCR値に対して許容する不確実性
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消費電力測定値が1.0 W以上である場合,電力測定機器による最大許容相対不確実性は,95 %の信
頼水準において消費電力測定値の2 %以下とする。
消費電力測定値が1.0 W未満である場合,電力測定機器による最大許容絶対不確実性Umaは,95 %
の信頼水準において0.02 W以下とする。
b) 10を超えるMCR値に対して許容する不確実性
次の計算式を使用してUpc値を判断する。
Upc=0.02×{1+[0.08×(MCR−10)]}
上記の式において,Upcは,MCRが10よりも大きい場合における最大許容相対不確実性である。
消費電力測定値が1.0 W以上である場合,電力測定機器による最大許容相対不確実性は,95 %の信
頼水準においてUpc以下とする。
消費電力測定値が1.0 W未満である場合,許容絶対不確実性は,95 %の信頼水準においてUma(0.02 W)
又は絶対不確実性としてWで表した(Upc×測定値)ときのUpcよりも大きくなくてはならない。
これら測定を簡易にするため,電力測定機器が,あらゆる“範囲外”条件を検出,表示,警告及び記録
することを推奨する。
注記 許容波高因子に関する電力計測器の仕様はこの規格に含んでいないが,測定された波形のピー
ク電流が,選択した範囲に対して許容される測定可能なピーク電流を超えないことが重要であ
り,超えている場合には上記不確実性の要求事項を達成していないことになる。
単相を超える電力に接続する製品の場合,電力測定機器は,接続する全ての相の総消費電力を測定でき
なければならない。
5.3.3に規定する積算消費電力量を使用して消費電力を測定する場合,算出した消費電力測定の不確実性
は,上記の要求事項を満たさなければならない。
5.9
周囲照度計の仕様
EUTが自動ディスプレイ輝度調節機能に対応する場合には,5.4に規定する周囲照度要求事項を満たす
環境においてEUTを試験する。
周囲照度の測定に使用する計測器は,照度を測定し,次の要求事項を満たさなければならない。
− 分解能: 10 lx
− 精度:
±5 %
5.10 結果報告
次に記載する最低限の情報を報告しなければならない。次の書式は単なる一例であって,この規格の使
用者は,希望する任意の書式を使用することができる。
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結果報告書(例)
1. EUTの詳細
製造業者
EUT
コード
/
モデル
番号
EUTの種類:
ノートブックパーソナルコンピュータ□
デスクトップパーソナルコンピュータ□
一体形デスクトップパーソナルコンピュータ□
オペレーティングシステム:
Windows □
Mac OS □
その他_________
オペレーティングシステムのバージョン詳細 ________________________
ノートブックパーソナルコンピュータに関して:
試験におけるバッテリパックの除去
はい □
いいえ □
“いいえ”の場合:
満充電バッテリパックの使用
はい □
2. EUT区分(TEC結果を記録する場合にだけ求められる。)
区分(展開日を含む):
___________
適用される全てのTEC補正を記載する(ULE区分には適用されない)。
_____________________________________________
_____________________________________________
_____________________________________________
3. 結果
TEC結果を記録する場合には,全ての欄に記入。
消費電力モード
記録された平均ワット値(P)
オフモード(Poff)
スリープモード(Psleep)
スリープモード(PsleepWoL)
ロングアイドル(Pidle)
ショートアイドル(Psidle)
アクティブモード(Pwork)*
注*
該当する場合
TEC(WoL無し):
_____________
TEC(WoL有り):
_____________
TEC補正許容値(該当する場合):
_____________
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主要プロファイルの使用
はい □
いいえ □
“いいえ”の場合,使用したプロファイルの詳細:
_____________________________________________
_____________________________________________
4. 試験条件
試験したサンプル数:
_________
使用した計測器の名称/モデル:
_________
供給電圧(V):
_________
供給周波数(Hz):
_________
THD(電圧)(%):
_________
周囲温度(℃):
_________
相対湿度(%):
_________
周囲照度(lx):
_________
5. 宣言
氏名:
_________________
役職:
_________________
署名:
_________________
日付:
_________________
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附属書A
(参考)
プロファイル方法の概要
プロファイルはこの規格において重要な概念であって,TECの測定に関して,複数のプロファイルに対
応するのではなく,単一(主要)プロファイルに重点をおく方法を取る。この附属書では,この方法の根
拠及びこの規格の作成において検討した他の方法を説明する。
コンピュータは多目的の装置であって,その装置が消費するTECは,その装置の使われ方に大きく依存
している。コンピュータは区分によって説明することができるが,これは単にコンピュータのハードウェ
アとソフトウェアの特性を定義するものである。そして区分によって定義したコンピュータは,結果的に
同じコンピュータにおいて異なるTEC値を招くプロファイルによって定義した様々な方法で使用する可
能性がある。
例えば,コンピュータC1を,使用者U1及びU2が購入しているとする。U1は大企業で働いており,
主にオフィス用アプリケーション一式を営業日(一般的に週当たり5日であって,休日を考慮する。)に使
用する。U1のTEC値をT1とする。U2は同じコンピュータを家庭でインターネット利用及び家族との電
子メール交信に使用しており,この場合T2という別のTEC値となる。T1及びT2の数値は異なるが,同
じコンピュータから得たものである。両方のTEC結果は共に正しいが,この例が示しているように,TEC
値は使用方法プロファイルに影響を受ける。
したがって,正確なTEC値を得ようとする場合には,コンピュータの区分だけに留意するのではなく,
そのコンピュータの使用方法プロファイルを説明することも重要である。
1台のコンピュータに対して複数のTEC推定値が生じる基準を作成することは,分かりにくい上に過度
に複雑である。そのため,この規格において取った方法では,TEC値を標準的使用者を表す単一プロファ
イルに集中し,主要プロファイルと呼ぶ単一の標準的プロファイルに係るプロファイル特性(Toff,Tsleep,
Tidle,Tsidle,Twork)を基準として用いる。
この規格において,標準的プロファイルは,大多数の使用者のコンピュータ使用方法を表すプロファイ
ルとして定義する。図A.1に示すように,使用者の基本を,大多数の使用者は主要プロファイルに含み,
他の少数派プロファイルはこの範囲から外れる,正規分布曲線として考える。
図A.1−標準的プロファイルの例
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プロファイルの統計的データは,主要プロファイル及び少数派プロファイルを判断する目的において容
易に入手可能である。この規格では主要プロファイルに重点をおいていることから,TEC値を生成するた
めの主要プロファイルに基づいた負荷サイクル特性を作成する。主要プロファイルに一致しないコンピュ
ータ使用者の場合には,そのコンピュータの使用方法に基づいた異なるTECactual値になることを認識して
いるが,この方法は,妥協することによって複雑さを低減し,大多数の使用者について主要な使用方法に
基づいた正確なTECestimated値を得るようにTECの利用をしている。
同様の方法は,自動車においてリッタ当たりのキロメータ数を推定する場合のように,他の業界におい
ても使用している。この例には,乗用車の効率を表すために全世界的が用いる,二つの使用方法プロファ
イルである高速走行と市内走行がある。しかし,これは大多数の使用者がその自動車をどのように使用す
るのかを表すものであり,実際の走行距離は,その使用者が実際にどのように運転するかで変化する。大
多数の使用者については推定値に近い燃料当たりの走行距離となるが,一部の使用者については走行距離
が変化する。
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附属書B
(参考)
主要プロファイル
プロファイルの負荷サイクル特性は,4.3.1に規定した。主要プロファイルの使用は,4.3.2において推奨
している。この規格とともに使用を推奨している主要プロファイルは,企業における使用者,すなわち,
小規模から大規模事業所において,主にオフィスの生産性を向上させる用途を中心にコンピュータを使用
する人々に基づいており,表B.1に示す。
企業における使用者に関するプロファイル調査が500台を超えるコンピュータに対して実施され,この
調査には中国,日本,欧州及び米国といった地理的に広範囲にわたって展開している産業の大企業も参加
した。その結果を表B.1に示す。
表B.1−企業の主要プロファイル負荷サイクル調査における負荷サイクル特性
単位 %
デスクトップ
パーソナルコンピュータ
ノートブック
パーソナルコンピュータ
Toff
45
25
Tslep+TsleepWoL
5
35
Tidle
15
10
Tsidle
35
30
Twork
0
0
上記の比率は,ECMA-383作業部会によって2010年に実施した,企業におけるプロファイル調査を通
じて作成したものである。
さらに,消費電力量に関する調査が機器17台について実施され,全ての機器の平均TEC誤差が平均し
て約1.2 %であり(図B.1及び表B.2参照),有効作業負荷を必要とする15 %の誤差基準をはるかに下回る
ことから,企業におけるプロファイルには有効作業負荷は不要であることが明確に示された。
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C 62623:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表B.2−企業における消費電力量調査の概要
使用者
交流消費電力測定値
TEC誤差の計算
アクティブ
ショート
アイドル
ロング
アイドル
スリープ
オフ
TECact
TECcalc
誤差
(%)
1
45.8
42.7
36.7
1.5
0.5
160
160
0.1
2
32.1
32.0
26.0
1.5
0.5
120
120
0.3
3
33.8
33.9
23.9
1.5
0.5
123
123
0.2
4
36.2
35.7
29.7
1.5
0.5
134
134
0.5
5
21.2
21.0
15.0
1.5
0.5
79
78
0.6
6
33.2
33.2
25.6
1.5
0.5
123
123
0.1
7
35.1
35.0
26.1
1.5
0.5
128
128
0.2
8
22.2
21.9
20.5
1.5
0.5
87
87
0.7
9
40.4
39.7
33.7
1.5
0.5
149
149
0.4
10
44.4
42.6
37.7
1.5
0.5
165
161
2.5
11
28.4
27.9
17.7
1.5
0.5
101
100
1.2
12
25.3
25.3
18.6
1.5
0.5
94
94
0.0
13
22.1
22.1
10.8
1.5
0.5
77
77
0.0
14
19.9
18.6
17.8
1.5
0.5
75
75
0.4
15
30.4
29.6
21.8
1.5
0.5
111
109
1.7
16
12.0
9.0
9.0
1.5
0.5
43
39
8.7
17
72.4
35.9
29.9
1.5
0.5
139
134
3.0
平均誤差1.2 %
図B.1−TEC誤差の概要図
結果的に,企業における多数派プロファイルに関するTEC計算式を,次に示す。
デスクトップTECestimated=8.76×(Poff×45 %+Psleep×5 %+Pidle×15 %+Psidle×35 %)
ノートブックTECestimated=8.76×(Poff×25 %+Psleep×35 %+Pidle×10 %+Psidle×30 %)
これらの数値は,この規格の将来版のため,追加のプロファイル調査を通じて更に正当性を確認する。
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C 62623:2014
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附属書C
(参考)
プロファイル調査の実施方法
C.1 一般事項
主要プロファイルをこの規格とともに使用しない場合,この規格の使用者は,使用するプロファイルを
確実なプロファイル調査を通じて作成することが望ましい。
C.2 プロファイル調査の例
コンピュータのクライアント使用者の大部分は,企業(例えば,オフィス)における使用者で構成して
いるため,プロファイル調査は,多数派プロファイルとなる“企業における使用者”に関して実施する。
コンピュータの使用方法に基づいた使用方法データを収集するために,統計的に有意な台数のコンピュ
ータに測定装置を装備する。Toff,Tsleep及びTonの負荷サイクル特性を記録する。この調査は,1年間以上
にわたって実施する。その後,Toff,Tsleep及びTonの平均値を,サンプル時間及びサンプル数とともに調査
の一部として報告する。
調査の第2段階では,コンピュータに測定装置を装備し,調査対象のプロファイルと一致する使用者が
当該コンピュータを使用することによって,オン時消費電力を測定し,オン時の使用状況(Tidle,Tsidle及び
Twork)を把握することを求める。このコンピュータのサンプルは,費用面の理由によって最初のサンプル
と同数にはできないが,異なるクライアントコンピュータ区分の多様なコンピュータを用いて複数の結果
を引き出すことができる十分なサンプル数とする。次の項目の算出例を示す。
− 所定のプロファイルに関する平均Tidle,Tsidle及びTworkの比率
− PAPR
− プロファイルTEC誤差
プロファイル調査は,データの収集方法と算出方法とを含め,調査で使用したコンピュータの説明及び
特性を提供する。
表C.1の例は,プロファイル調査で得る一部のデータを示しており,8台のコンピュータについてPidle,
Psidle,Pon測定値を表している。製品稼働時消費電力比率は各コンピュータについて算出し(Pon/Psidle),PAPR
は全ての製品稼働時消費電力比率の平均値をとることによって算出する。
表C.1−プロファイル調査1
測定
NB1
NB2
NB3
DT1
DT2
DT3
DT4
DT5
Poff(W)
1
1
1
1.6
1.6
1.6
1.6
1.6
Psleep(W)
1.5
1.5
1.5
2.8
2.8
2.8
2.8
2.8
Pidle(W)
22.7
19.3
22
39.3
55
120.9
210.5
168.1
Psidle(W)
32.8
28.2
28.1
39.3
55
120.9
210.5
168.1
Pon(W)
34
28.7
30.3
40
56.5
122.8
227.3
168.7
製品稼働時
消費電力比率
1.03
1.02
1.08
1.02
1.03
1.02
1.08
1
PAPR
1.04
NB:ノートブックパーソナルコンピュータ
DT:デスクトップパーソナルコンピュータ
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製品稼働時消費電力比率は,コンピュータの稼働時消費電力を表すよい方法であって,製品がショート
アイドル状態のときと比べてどの程度高い状態にあるのかを示している。これは比率であることから,異
なる絶対消費電力値をもつ様々な製品を同列に検討することが可能となる。100 Wレンジに入るデスクト
ップパーソナルコンピュータの比率は,20 W〜30 Wレンジに入るノートブックパーソナルコンピュータ
の比率と統合可能である。
PAPRは,必要に応じて作業時負荷の特性を表す指標として使用する。このプロファイルの場合,有効
作業負荷はショートアイドル時消費電力測定に近似する。
さらに,プロファイル調査では,当該プロファイルの負荷サイクル特性を規定する必要がある。これは,
最初にコンピュータのオフ,スリープ及びオンモードの負荷サイクル特性(Toff,Tsleep,Ton)を判断し,次
にオンモード負荷サイクルの構成要素(Tidle,Tsidle,Twork)を判断する,二つの段階で実施することができ
る。
表C.2は,オフ,スリープ及びオンモードの負荷サイクル特性を判断するために,エネルギスターV5
基準に使用された既存の調査結果を表している。
表C.2−エネルギスターV5コンピュータ調査
単位 %
デスクトップ
パーソナルコンピュータ
ノートブック
パーソナルコンピュータ
Toff
55
60
Tsleep
5
10
Ton
40
30
負荷サイクル特性のTon構成要素は,プロファイル調査を通じて作成する。上記の例を継続し,表C.3
のデータは,プロファイル調査に使用した各コンピュータについて負荷サイクル特性がどのように細分化
するのかを表しており,当該プロファイルのTidle,Tsidle,Tworkをサンプル製品の平均値から算出する。こ
の場合,当該プロファイルはデスクトップパーソナルコンピュータとノートブックパーソナルコンピュー
タとを区別している。
表C.3−プロファイル調査における負荷サイクル
単位 %
測定
NB1
NB2
NB3
DT1
DT2
DT3
DT4
DT5
Tidle
1.6
4.6
1.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
Tsidle
15.9
19.9
11.2
37.2
21.3
26.7
6.3
36.5
Twork
12.6
5.5
17.5
2.8
18.7
13.3
33.7
3.5
NB
DT
プロファイルTidle
2.5
0.0
プロファイルTsidle
15.7
25.6
プロファイルTwork
11.9
14.4
NB:ノートブックパーソナルコンピュータ
DT:デスクトップパーソナルコンピュータ
このデータを使用して,TECactual値及びTECestimated値を算出することができる。TECactualは,平均オン時
消費電力にPonを使用して算出するが,TECestimatedは,測定したPidle,Psidle,Tidle,Tsidle,Twork及びPwork消
費電力の近似値としてPsidleを使用して算出する。これを表C.4に要約する。
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C 62623:2014
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表C.4−プロファイル調査におけるTECactual及びTECestimated計算
測定
NB1
NB2
NB3
DT1
DT2
DT3
DT4
DT5
TECactual
96.0
82.1
86.3
149.1
206.9
439.2
805.4
600.1
TECestimated
90.7
78.8
79.2
146.6
201.7
432.6
746.5
598.0
製品TEC誤差
5.6 %
4.0 %
8.3 %
1.6 %
2.5 %
1.5 %
7.3 %
0.4 %
PAPR
3.9 %
NB=ノートブックパーソナルコンピュータ
DT=デスクトップパーソナルコンピュータ
TECactual及びTECestimatedの計算例は,NB1データに関して次に示す。
TECactual=8.76×[Toff×Poff+Tsleep×Psleep+(Tidle+Tsidle+Twork)×Pon]
TECactual=8.76×[60 %×1 W+10 %×1.5 W+(2.5 %+15.7 %+11.9 %)×34 W]
TECactual=96.2 kWh
TECactualは,コンピュータがオン状態であった時間にわたって測定したそのコンピュータの平均消費電
力であるPon測定値を使用して算出する。そのため加重係数は,稼働時に関する全ての構成要素(Tidle,Tsidle,
Twork)の合計となる。
TECestimatedでは,適切な加重係数で評価するTidle及びTsidleを用いるが,静的に測定するPsidleをPwork値と
置き換えている。
TECestimated=8.76×[Toff×Poff+Tsleep×Psleep+Tidle×Pidle+(Tsidle+Twork)×Psidle]
TECestimated=8.76×[60 %×1 W+10 %×1.5 W+2.5 %×22.7 W+(15.7 %+11.9 %)×32.8 W]
TECestimated=90.8 kWh
推定値(実際の作業負荷による試験は必要としない)が製品のTEC誤差にどのように影響するのかを理
解するために,次の計算式を用いる。
(TECactual−TECestimated)/(TECactual)
(96.2−90.8)/96.2=5.6 %誤差
同じ計算を全ての製品について行い,次に製品のTEC誤差を平均化し3.9 %のプロファイルTEC誤差を
得る。
この場合,本プロファイル調査からは,このプロファイルのTECには有効作業負荷は不要であって,こ
のプロファイルに関して提出する全てのTEC値は,ショートアイドルによってTEC推定値を用いて推定
可能であることを示している。
プロファイル調査が,大きなプロファイルTEC誤差を示した場合には,Pwork特性を測定できるように有
効作業負荷を作成しなければならない。有効作業負荷は,プロファイルで想定している利用方法で使用し
ているプログラム類を複数・断片的に含めて作成しなければならないが,5.6.4に示すように,PAPRがPAWR
の15 %以内であることも確保することが必要である。
すなわち,次の計算式によって求められる。
− PAPR=Pon/Psidle
− PAWR=Pwork/Psidle
− 15 %>|(PAPR−PAWR)|/PAPR(絶対値)
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C 62623:2014
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又は,
− 15 %>TECactual−TECestimated/TECactual
上記の式において,
TECactual=8.76×(Poff×Toff+Psleep×Tsleep+Pidle×Tidle+Psidle×Tsidle+Pwork×Twork)
TECestimated=8.76×[Poff×Toff+Psleep×Tsleep+Pidle×Tidle+Psidle×(Tsidle+Twork)]
この結果,本消費電力量調査に用いる作業時負荷に適した条件を示す次の計算式が得られる。
− 15 %>(Pwork×Twork−Psidle×Twork)/(Poff×Toff+Psleep×Tsleep+Pidle×Tidle+Psidle×Tsidle+Pwork×Twork)
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附属書D
(参考)
TEC計算例
D.1 一般事項
この附属書では,ノートブックパーソナルコンピュータ及びデスクトップパーソナルコンピュータにお
けるTEC計算の例を,D.2及びD.3に示す。
D.2 ノートブックパーソナルコンピュータの例
ノートブックパーソナルコンピュータは,そのTEC値を測定することを目的として,次の構成をもつも
のとする。
− 2コアCPU
− 15インチ(38.1 cm)ディスプレイ
− 2メモリ伝送路能力
− 4ギガバイトメモリ
− 一体形グラフィックス制御装置
次に測定者は,このノートブックパーソナルコンピュータを使用して箇条5に規定した試験を実施し,
その結果を次に要約する。
Poff =1.4 W
Psleep =4.3 W
Pidle =8.7 W
Psidle =13.2 W
主要プロファイルの場合には,次のTEC計算式を使用する。
Notebook TECestimated=8.76×(Poff×25 %+Psleep×35 %+Pidle×10 %+Psidle×30 %)
この計算式に測定値を代入する。
Notebook TECestimated=8.76×(1.4×25 %+4.3×35 %+8.7×10 %+13.2×30 %)
よって,
Notebook TECestimated=58.6 kWh/y
測定者がこのTEC値を当該区分に関連する特定の制限値又は規制値と比較する場合,その制限値に補正
を適用する必要がある可能性がある。これらの補正値は,試験結果の使用者によって規定する。
附属書Gに示す区分登録一覧には,この製品は,例として次に定義するNBX区分に該当することが分
かる。この例は登録一覧に実在する区分には基づいてなく,実際の区分登録一覧は経時的に変化すること
に留意する。
定義:二つ以上のCPUコア,一つ以上のメモリ伝送路,2ギガバイト以上のメモリ,内蔵グラフィッ
クス及び13.3インチ以下の画面サイズ
さらに,このTEC制限値には,上記の基本値(2ギガバイト)を超えるメモリに対してx kWh/Gbyteの
補正を考えることを,登録一覧に示している。したがって,この仕様の使用者は,当該区分の制限値を確
認し,その制限値に補正値(基本区分定義を超えるメモリが2ギガバイトの場合,2*xkWh/Gbyte)を加え
る。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
この場合,この仕様の使用者は,算出した制限値に応じて,TEC値の合否を次によって判断する。
合格:58.6 kWh≦[TEC制限値+2* x]
不合格:58.6 kWh>[TEC制限値+2* x]
D.3 デスクトップパーソナルコンピュータの例
一体形デスクトップパーソナルコンピュータは,そのTEC値を測定することを目的として,次の構成を
もつものとする。
− 3コアCPU
− 20インチディスプレイ
− 3メモリ伝送路能力
− 4ギガバイトメモリ
− 一体形グラフィックス制御装置
次に測定者は,この一体形デスクトップパーソナルコンピュータを使用して箇条5に規定した試験を実
施し,その結果を次に要約する。
Poff =2.2 W
Psleep =4.1 W
Pidle =25.7 W
Psidle =33.6 W
主要プロファイルの場合には,次のTEC計算式を使用する。
Desktop TECestimated=8.76×(Poff×45 %+Psleep×5 %+Pidle×15 %+Psidle×35 %)
この計算式に測定値を代入する。
Desktop TECestimated=8.76×(2.2×45 %+4.1×5 %+25.7×15 %+33.6×35 %)
よって,
Desktop TECestimated=147.3 kWh/y
測定者がこのTEC値を当該区分に関連する特定の制限値と比較する場合,その制限値に補正を適用する
必要がある可能性がある。これらの補正値は,試験結果の使用者によって規定する。
附属書Gに示す区分登録一覧には,この製品は,例として次に定義するDTX区分に該当することが分
かる。この例は登録一覧に実在する区分には基づいてなく,実際の区分登録一覧は経時的に変化すること
に留意する。
定義:二つ以上のCPUコア,二つ以上のメモリ伝送路,2ギガバイト以上のメモリ
さらに,このTEC制限値には,上記の基本値(2ギガバイト)を超えるメモリに対してx kWh/Gbyteの
補正を考えることを,登録一覧に示している。したがって,この仕様の使用者は,当該区分の制限値を確
認し,その制限値に補正値(基本区分定義を超えるメモリが2ギガバイトの場合,2*xkWh/Gbyte)を加え
る。
また,TEC制限値には,一体形ディスプレイに対してy kWhの補正を考えることが,登録一覧に示して
いる。この場合,この仕様の使用者は,算出した制限値に応じて,TEC値の合否を次によって判断する。
合格:147.3 kWh≦[TEC制限値+2 (x+y)]
不合格:147.3 kWh>[TEC制限値+2 (x+y)]
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附属書E
(参考)
エネルギスターV5準拠試験方法
E.1
一般
対応国際規格は,エネルギスターV6試験方法に準拠するように策定したが,その大部分はエネルギスタ
ーV5/V5.2の試験方法に基づく規則を強化するものである。概してこの試験方法は,ショートアイドル及
びロングアイドルの試験に関する部分を除き同一である。この附属書では,ショート及びロングアイドル
試験に関するエネルギスターV5準拠試験方法を示す。また,V5準拠試験方法の負荷サイクル特性を,表
E.1に示す。
エネルギスターV5及びV5.2基準においては,“アイドル”の用語だけを使用している。一体形ディスプ
レイをもつシステムに対するアイドル測定方法及び外部ディスプレイをもつシステムに対するアイドル測
定方法の二つの異なる試験方法がある。対応国際規格では,エネルギスターV5及びV5.2において,一体
形ディスプレイをもつシステムを試験する状態(例 ノートブックパーソナルコンピュータ,一体形デス
クトップパーソナルコンピュータ等は,画面をオフ状態又は無表示状態)にロングアイドルの用語を使用
し,エネルギスターV5及びV5.2において外部ディスプレイをもつシステムを試験する状態(例 タワー
形デスクトップパーソナルコンピュータ等は,画面をオン状態)にショートアイドルの用語を使用してい
る。
表E.1−V5準拠試験の負荷サイクル特性
単位 %
デスクトップ
パーソナルコンピュータ
ノートブック
パーソナルコンピュータ
Toff
55
60
Tsleep+TsleepWoL
5
10
Tidle
0
30
Tsidle
40
0
Twork
0
0
E.2
エネルギスターV5.2準拠ロングアイドルモードの測定
エネルギスターV5.2準拠ロングアイドルモードの測定手順を,次に示す。
− EUTの電源を入れる。
− オペレーティングシステムの読込み完了後の準備状態でログインして,標準動作デスクトップ画面又
はそれに相当する稼働準備画面を表示するように,開いているウィンドウを全て閉じ,EUTを次に定
義するロングアイドルモードにする。
EUTはアイドル状態に達し(例 OSの起動,有効作業負荷の完了又はスリープからの再開から15
分後),画面は無表示であるが作業状態(ACPI G0/S0)を維持しているモード。電力管理機能は出荷
時に設定されている場合に動作している(例 ディスプレイはオン状態である等)が,EUTはスリー
プモードに移行することを抑制されており,該当する場合,HDDは,当該ドライブに分離できない不
揮発性キャッシュが含まれている(例 ハイブリッドハードドライブ)場合を除いて,試験の間にわ
たって電力管理(回転を低減)をすることができない。二つ以上の内部ハードドライブを出荷時に搭
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載している場合,主要でない内部ハードドライブについては,出荷時のとおりにハードドライブ電力
管理機能を有効にして試験することができる。これらの追加ハードドライブが顧客に対して出荷する
際に電力管理していない場合には,これら機能を実行させずに試験しなければならない。
− EUTがロングアイドルモードに移行した後,計測器を必要に応じて初期化し,1秒当たり1回以上の
読取り間隔で有効消費電力値の積算を開始する。
− 消費電力値を5分間積算し,5分間で得た平均値(算術平均)をPidleとして記録する。
E.3
エネルギスターV5.2ショートアイドルモードの測定
エネルギスターV5.2ショートアイドルモードの測定手順を,次に示す。
− EUTの電源を入れる。
− オペレーティングシステムの読込み完了後の準備状態でログインして,標準動作デスクトップ画面又
はそれに相当する稼働準備画面を表示するように,開いているウィンドウを全て閉じ,EUTを次に定
義するショートアイドルモードにする。
EUTはアイドル状態に達しており(例 OSの起動,有効作業負荷の完了又はスリープからの再開
から15分後),画面はオン状態(システムは,ディスプレイが無表示状態又はオフ状態にならないよ
うに再設定状態)であって,出荷時の明るさに設定し,ロングアイドル電力管理機能は動作しておら
ず(例 HDDは回転し,EUTはスリープモードに移行することを抑制),タイマーによって低明るさ
制御を禁止しているモードとする。
− EUTがショートアイドルモードに移行した後,計測器を必要に応じて初期化し,1秒当たり1回以上
の読取り間隔で有効消費電力値の積算を開始する。
− 消費電力値を5分間積算し,5分間で得た平均値(算術平均)をPsidleとして記録する。
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附属書F
(参考)
消費電力測定方法
F.1
一般事項
この附属書は,CENELEC規格EN 50564:2011に規定している現行の手順に従うものである。この手順
には,不安定な周期的又は持続時間に限定したモードの消費電力測定方法を含む。これらの方法は,測定
結果,特に低消費電力の測定について,反復可能性及び再現性を改善することを意図している。
この規格において,消費電力値は次のいずれかの方法によって判断する。
− サンプル抽出方法:測定装置を使用し,測定期間にわたって一定の間隔で消費電力測定値を記録する
方法(F.2参照)。サンプル抽出方法は,この規格における全てのモード及び製品の種類に対して推奨
する測定方法である。消費電力値が周期的に変化する若しくは不安定なモード又は持続時間を限定し
たモードに関して,サンプル抽出方法は,この規格において使用しなければならない唯一の測定方法
である。
− 平均読取り方法:消費電力値が安定しており,モードが安定している場合において,指定時間にわた
る測定装置の消費電力読取値を平均する,又はその代わりに指定時間にわたる消費電力量を記録しそ
の時間で除算する方法である。この方法が有効な状況に関する詳細については,F.3を参照する。
− 直接計測器読取り方法:消費電力値が安定しており,モードが安定している場合において,測定装置
の消費電力読取値を記録する方法である。この方法が有効な状況に関する詳細については,F.4を参
照する。
注記 ある時間の積算消費電力量によって,平均消費電力値を決定することは,消費電力値の平均化
と同等である。消費電力量積算器を使用する方が,測定者が指定する時間にわたって消費電力
を平均化するよりも一般的である。
F.2
サンプル抽出方法
この方法は,消費電力が周期的若しくは不安定である又はモードの持続時間を限定している場合に使用
する。また,この方法はモードが安定している場合において,最短時間の試験方法となる。しかし,この
方法は全てのモードに使用することが可能で,この規格における全ての測定に対して推奨する方法である。
製品の動作又はモードの安定性に関して疑義がある場合には,この方法を使用することが望ましい。
製品に電源装置及び電力測定機器を接続する。当該製品の測定するモードを選択し消費電力の記録を開
始する。これには,製品が目的のモードに自動的に移行することを待つなど,一連の動作を必要とする可
能性がある。消費電力の読取値は,電圧及び電流の他の主要パラメータとともに,指定した最低時間にわ
たって1秒以下の等間隔で記録する。
0.25秒又はそれよりも短い等間隔によるデータ収集は,不規則又は定期的若しくは不定期な電源変動が
ある場合の負荷に対して適用することが望ましい。
あるモード内の消費電力が周期的ではない場合には,平均消費電力は次のように評価する。
製品を15分間以上にわたって通電状態にする。これを総時間とする。
総時間の最初の3分の1(5分間)において記録したデータの使用は,常に放棄する。総時間の次の3
分の2(10分間)において記録したデータを,安定性の判断に使用する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
安定性の確立は,総時間の後半3分の2で記録した平均消費電力によって決まる。入力電力が1 W以下
の場合には,総時間の後半3分の2における全ての消費電力読取値における直線回帰が,10 mW/h未満の
傾きをもつときに,安定性は確立する。入力電力が1 Wを超える場合には,総時間の後半3分の2におけ
る全ての消費電力読取値における直線回帰が,1時間当たりの入力電力測定値の1 %未満の傾きをもつと
きに,安定性は確立する。
15分の総時間において上記の安定性基準を満足することができない場合には,上記の該当する基準が総
時間の後半3分の2において達成するまで,総時間を継続的に延長する。
安定性を達成した後,その結果は,総時間の後半3分の2における平均消費電力となる。
注記 3時間の総時間内に安定性を達成できない場合は,未加工データを評価して,定期的又は周期
的な傾向がないかを調べる。
あるモード内の消費電力が周期的,すなわち,数分又は数時間にわたって発生する定期的な一連の消費
電力状態である場合には,4回以上の完全周期における平均消費電力を次によって評価する。
− 製品を10分間以上の初期動作時間にわたって通電状態にする。この時間におけるデータは,当該製品
の消費電力の評価に使用しない。
− その後,二つの比較時間を含む十分な時間にわたって製品を通電状態にする。この比較時間はそれぞ
れ,2回以上の周期を含み,10分間以上とする。比較時間には同数の周期を含む。
− 各比較時間の平均消費電力を算出する。
− 各比較時間の中間ポイントを時間単位で算出する。
− 二つの比較時間における消費電力値の差異を,各比較時間の中間点における時間の差異で除した数値
が,次の条件未満の傾きをもつ場合に,安定性は確立する。
− 入力電力が1 W以下である製品については,10 mW/h
− 入力電力が1 Wを超える製品については,1時間当たりの入力電力測定値の1 %
上記の安定性基準を満足しない場合には,上記の該当する基準を達成するまで,追加周期を各比較時間
に平等に追加する。
安定性を達成した後,その消費電力は,両比較時間における全ての読取値の平均値と判断する。
周期が不安定又は不定期である場合は,そのモードの消費電力特性を適切に示すために十分なデータを
測定することが望ましい。10周期以上がよい。
全ての場合において,ウォームアップ時間,周期パターン並びに不安定及び安定時間を明確にするため
に,データを記録した時間における消費電力をグラフ形式で表すことが望ましい。
F.3
平均読取り方法
この方法は,周期的負荷又は持続時間が限定的なモードには使用しない方がよい。
注記 サンプル抽出方法(F.2参照)を使用した場合,より短時間の測定が可能になる。
製品に電源装置及び電力測定機器を接続する。測定するモードを選択し,その消費電力を測定する。こ
れには一連の動作を必要とする可能性があって,製品が目的のモードに自動的に移行するのを待つことが
必要な場合がある。製品が30分間以上にわたって安定した後,二つの隣接した測定時間の安定性を評価す
る。これらの測定時間の平均消費電力は,次の平均消費電力又は積算消費電力のいずれかの方法を使用し
て判断する。
それぞれ10分間以上であり,おおむね同一の時間である二つの比較時間を選択し,各時間の開始時間及
び継続時間を記録する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
各比較時間の平均消費電力値を判断する。
二つの比較時間における消費電力値の差異を,各比較時間の中間点における時間の差異で除した数値が,
次の条件未満の傾きをもつ場合に,安定性は確立する。
− 入力電力が1 W以下である製品については,10 mW/h
− 入力電力が1 Wを超える製品については,1時間当たりの入力電力測定値の1 %
上記の安定性基準を満足しない場合には,上記の該当する基準を達成するまで,おおむね均等の時間を
追加する。
安定性を達成した後,その消費電力は,両比較時間における読取値の平均値として判断する。
各30分間の比較時間を用いても安定性を達成できない場合には,F.2のサンプル抽出方法を使用する。
平均読取り方法には,次の二つの方法がある。
− 平均消費電力方法:電力測定機器が,測定者によって選択した時間における有効な平均消費電力値を
記録可能である場合,その選択した時間は10分間以上とする。
− 積算消費電力方法:電力測定機器が,測定者によって選択した時間における消費電力量を測定可能で
ある場合,その選択した時間は10分間以上とする。積算時間は,消費電力量及び時間の総合的な記録
値が,消費電力量及び時間の計測器がもつ分解能の200倍よりも大きくなるようにする。消費電力量
の測定値を測定時間で除すことによって,平均消費電力値を判断する。
整合性のある単位を確保するために,上記ではワット時及び時間を使用してワット値を表すことが望ま
しい。
測定装置が約1秒の時間分解能をもつ場合,測定装置における積算には200秒(3.33分)以上が必要と
なる。
測定装置が約0.1 mWhの消費電力量分解能をもつ場合,このような測定装置における消費電力量の積算
には20 mWh以上が必要となる(0.1 Wの負荷においては約12分,1 Wにおいては1.2分かかる。)。時間
及び消費電力量の両方の分解能要求事項は,読取りだけでなく,上記に指定している記録時間(10分間)
以上においても満足することが望ましい。
F.4
直接計測器読取り方法
直接計測器読取り方法は,モードが変化せず,測定装置に表示する消費電力の読取値が安定している場
合においてだけ使用する。この方法は,検証目的には使用しない方がよい。疑義が発生した場合には,F.2
又はF.3に指定する方法を用いた結果が,当該方法を用いた結果より優先する。
注記 サンプル抽出方法(F.2参照)を使用した場合,より短時間の測定が可能になる。
直接読取り方法を用いた消費電力は,次のとおりに評価する。
試験する製品に電源装置及び測定装置を接続し,測定するモードを選択する。
製品は30分間以上にわたって動作する。消費電力が安定したときに,測定装置から消費電力測定値を読
み取る。読取値が引き続き変化しているような場合は,安定するまで30分間延長する。
10分間以上の時間が経過した後,追加の消費電力測定値の読取りを行い,消費電力測定値の読取り時間
の間隔を時間単位で記録する。
二つの読取りにおける消費電力の差異を,読取りの時間間隔によって除した数値が,次の条件未満であ
る場合には,この結果は,二つの読取値の平均値となる。
− 入力電力が1 W以下である製品については,10 mW/h
− 入力電力が1 Wを超える製品については,1時間当たりの入力電力測定値の1 %
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
上記の該当する基準を満足しない場合には,直接計測器読取り方法を使用しない方がよい。
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附属書G
(規定)
対応国際規格に関する区分の登録方法
(削除)
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参考文献
IEC 60050-732:2010,International Electrotechnical Vocabulary−Part 732: Computer network technology
IEC 62075,Audio/video, information and communication technology equipment−Environmentally conscious
design
IEC 62301,Household electrical appliances−Measurement of standby power
EN 62301-1,Electrical and electronic household and office equipment−Measurement of low power consumption
IEEE 802.3,IEEE Standard for Information technology−Telecommunications and information exchange
between systems−Local and metropolitan area networks−Specific requirements−Part 3: Carrier sense
multiple access with Collision Detection (CSMA/CD) Access Method and Physical Layer Specifications
(free download from <http://standards.ieee.org/getieee802/802.3.html>)
IEEE 802.11,IEEE Standard for Information technology−Telecommunications and information exchange
between systems−Local and metropolitan area networks−Specific requirements−Part 11: Wireless LAN
Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications
(download from <http://standards.ieee.org/findstds/standard/802.11-2012.html>)
ECMA-383,Measuring the Energy Consumption of Personal Computing Products (3rd edition)
SPEC PTDaemon, <www.spec.org/power/docs/SPECpower-Design̲ptd.pdf>
EPS, Test Method for Calculating the Energy Efficiency of Single-Voltage External Ac-Dc and Ac-Ac Power
supplies. Available from the EPRI methods website via www.epri.com at
<http://www.efficientpowersupplies.org/pages/External̲Power̲Supply̲Efficiency̲Test̲Method̲8-11-04.pd
f>
IPS, Generalized Test Protocol for Calculating the Energy Efficiency of Internal Ac-Dc and Dc- Dc Power
Supplies Revision 6.4.3. Available from the EPRI methods website via www.epri.com at
<http://efficientpowersupplies.epri.com/pages/Latest̲Protocol/Generalized̲Internal̲Power̲Supply̲
Efficiency̲Test̲Protocol̲R6.4.3.pdf>
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 62623:2014 パーソナルコンピュータの消費電力測定方法
IEC 62623:2012,Desktop and notebook computers−Measurement of energy consumption
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2
引用規格
削除
この規格では不要。
5.5.1
一般事項
削除
実態と相違しているのでこの規格
では不採用とした。
5.5.2
ULE区分
削除
5.5.3注記2
削除
この規格では不要。
附属書G
(規定)
削除
この規格では不要。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 62623:2012,MOD
注記1
箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ····················· 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
注記2
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ···················· 国際規格を修正している。
2
C
6
2
6
2
3
:
2
0
1
4
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