C 62137-1-5:2011 (IEC 62137-1-5:2009)
(1)
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 試験装置及び材料 ············································································································· 3
4.1 機械的せん断疲労試験装置 ······························································································ 3
4.2 試験基板 ······················································································································ 3
4.3 接合用はんだ合金 ·········································································································· 4
4.4 ソルダーペースト ·········································································································· 4
4.5 リフローソルダリング装置 ······························································································ 4
5 取付け···························································································································· 4
6 試験方法························································································································· 5
6.1 前処理 ························································································································· 5
6.2 試験手順 ······················································································································ 5
6.3 判定基準 ······················································································································ 5
7 試験報告書に記載する事項 ································································································· 6
8 関連規格に規定する項目 ···································································································· 6
附属書A(規定)機械的せん断疲労試験装置 ············································································· 7
附属書B(規定)機械的せん断疲労試験方法の手順 ···································································· 10
附属書C(参考)機械的せん断疲労試験による1か所のはんだ接合部で構成する接合体の特性評価 ····· 12
附属書JA(参考)デイジーチェーン ······················································································· 15
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)及
び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 62137-1の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 62137-1-1 第1-1部:引きはがし強度試験方法
JIS C 62137-1-2 第1-2部:横押しせん断強度試験方法
JIS C 62137-1-3 第1-3部:繰返し落下試験方法
JIS C 62137-1-4 第1-4部:繰返し曲げ試験方法
JIS C 62137-1-5 第1-5部:せん断疲労試験方法
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日本工業規格 JIS
C 62137-1-5:2011
(IEC 62137-1-5:2009)
表面実装技術−はんだ接合部耐久性試験方法−
第1-5部:せん断疲労試験方法
Surface mounting technology-
Environmental and endurance test methods for surface mount solder joints-
Part 1-5: Mechanical shear fatigue test
序文
この規格は,2009年に第1版として発行されたIEC 62137-1-5を基に,技術的内容及び対応国際規格の
構成を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項及び附属書JAは,対応国際規格にはない事項であ
る。
1
適用範囲
この規格は,ボール・グリッド・アレイ(BGA,Ball Grid Array)のような,エリアアレイパッケージの
表面実装部品(以下,SMDという。)のせん断疲労試験方法について規定する。このせん断疲労試験方法
は,模式図を図1に示すように,SMD端子と基板上のランドとのはんだ接合部の疲労寿命を評価すること
を意図している。
図1−せん断疲労試験の評価領域の模式図
一般に,温度サイクルを負荷する方法をはんだ接合部の信頼性を評価するために用いる。その他の方法
に,はんだ接合部に機械的ひずみを加える方法を用いて,試験時間を短縮する機械的サイクルがある。そ
の方法は,図2に示すように熱膨張係数のミスマッチによって発生する相対変位の代わりに,機械的な変
位によってはんだ接合部にせん断変形を与える方法がある。
2
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図2−はんだ接合に対する熱機械的及び機械的疲労の模式図
機械的せん断疲労試験は,機械的なサイクルによって,温度サイクル環境下のはんだ接合部の耐久性を
予測する試験である。
この機械的せん断疲労試験方法では,最初にリフローソルダリング装置を用いて,SMDを試験基板上に
取り付け,引き続いて,はんだ接合部の破断が起こるまで,繰り返し機械的せん断ひずみをはんだ接合部
に加えることで,耐久性の評価を意図している。はんだ合金,試験基板,SMD,SMD端子の設計などに
よるはんだ接合部の特性を,はんだ接合部の強度を改善するための評価に用いる。
注記1 このせん断疲労試験方法は,SMD本体に適用する試験方法ではない。SMD本体の端子強度
を評価する試験方法には,JIS C 60068-2-21がある。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 62137-1-5:2009,Surface mounting technology−Environmental and endurance test methods for
surface mount solder joints−Part 1-5: Mechanical shear fatigue test(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 5603 プリント回路用語
注記 対応国際規格:IEC 60194,Printed board design, manufacture and assembly−Terms and definitions
(MOD)
JIS C 6484:2005 プリント配線板用銅張積層板−耐燃性ガラス布基材エポキシ樹脂
注記 対応国際規格:IEC 61249-2-7:2002,Materials for printed boards and other interconnecting
structures−Part 2-7: Reinforced base materials clad and unclad−Epoxide woven E-glass laminated
sheet of defined flammability (vertical burning test), copper-clad及びIEC 61249-2-8:2003,
3
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Materials for printed boards and other interconnecting structures−Part 2-8: Reinforced base
materials clad and unclad−Modified brominated epoxide woven fibreglass reinforced laminated
sheets of defined flammability (vertical burning test), copper-clad(全体評価:MOD)
JIS C 60068-1 環境試験方法−電気・電子−通則
注記 対応国際規格:IEC 60068-1,Environmental testing. Part 1: General and guidance(IDT)
IEC 61188-5 (all parts),Printed boards and printed board assemblies−Design and use−Part 5
IEC 61190-1-2,Attachment materials for electronic assembly−Part 1-2: Requirements for soldering pastes for
high-quality interconnects in electronics assembly
IEC 61190-1-3,Attachment materials for electronic assembly−Part 1-3: Requirements for electronic grade
solder alloys and fluxed and non-fluxed solid solders for electronic soldering applications
IEC 61760-1,Surface mounting technology−Part 1: Standard method for the specification of surface mounting
components (SMDs)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 5603及びJIS C 60068-1によるほか,次による。
3.1
機械的せん断疲労寿命(mechanical shear fatigue life)
機械的せん断ひずみを,試験基板に取り付けた表面実装部品(SMD)の端子と試験基板のランドとの間
のはんだ接合部に繰り返して加え,はんだ接合部が電気的不連続性(破断を伴う瞬時的不導通)に至るま
での繰返し回数。
3.2
ランプ速度(ramp rate)
機械試験装置のアクチュエータに取り付けた試験基板の固定ジグの移動速度。
3.3
変位範囲(displacement range)
表面実装部品(SMD)と試験基板とにおけるせん断方向の相対変位を意味するアクチュエータの最大位
置と最小位置との間の距離。
3.4
最大及び最小力(maximum and minimum forces)
各サイクルにおける最大及び最小の試験位置で,はんだ接合部のせん断変形によって生じる反作用力。
4
試験装置及び材料
4.1
機械的せん断疲労試験装置
機械的せん断試験装置は,引張圧縮試験機,試料固定ジグ,瞬断検出器(抵抗測定器)及び記録装置で
構成し,機械的な試験装置の仕様は附属書Aによる。
4.2
試験基板
関連規格に規定がない場合には,試験基板は次の条件による。
a) 基板の材質 試験基板の材質は,JIS C 6484に規定する一般用の片面基板で,銅はく(箔)を含め,
1.6 mm±0.2 mmのガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板とする。銅はく(箔)の厚さは,0.035 mm
±0.010 mmとする。
4
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b) 試験基板の大きさ 試験基板の大きさは,試験基板に取り付けるSMDの寸法及び形状による。ただ
し,試験基板は,機械的せん断疲労試験装置に確実に固定することができる大きさとする。
c) 試験基板のランドの形状及び寸法 試験基板のランドの形状及び寸法は,IEC 61188-5規格群又はそ
れぞれの部品供給業者が推奨する試験基板のランドの形状及び寸法を用いる。
d) 試験基板の防せい(錆)処理 試験基板のはんだ付けが可能な領域(試験基板のランド)には,適切
な方法,例えば,有機表面保護層(OSP)などで酸化を防止する。この保護層は,4.5に規定するリフ
ローソルダリング装置のはんだ付け条件下で,試験基板のランドのはんだ付け性に悪影響を与えては
ならない。
4.3
接合用はんだ合金
製品規格に規定がない場合には,接合用はんだ合金は,銀(Ag)質量分率3.0 %〜4.0 %,銅(Cu)質量
分率0.5 %〜1.0 %で,残りがすず(錫:Sn)とする。例えば,Sn96.5Ag3.0Cu0.5のようなSnAgCu系の三
元組成を用いる。この接合用はんだ合金は,IEC 61190-1-3による。
4.4
ソルダーペースト
関連規格に規定がない場合には,ソルダペーストは,IEC 61190-1-2の中から選定する。また,ソルダペ
ーストに用いるはんだ合金は,4.3による。
4.5
リフローソルダリング装置
関連規格に規定がない場合には,リフローソルダリング装置は,図3に示すような温度プロファイルを
実現できる装置とする。
5
取付け
関連規格に規定がない場合には,次の手順でSMDを試験基板に取り付ける。
a) 4.4に規定するソルダペーストを,4.2に規定する試験基板のランドに,試験基板のランドと同じ寸法
及び形状,並びに同じ孔配置をもち,かつ,厚さ100 μm〜150 μmのステンレス鋼板製のメタルマス
クを用いて試験基板上に印刷する。
b) SMDを,ソルダペーストを印刷した試験基板上に置く。
c) 4.5に規定するリフローソルダリング装置を用いて,SMDの端子を試験基板上にはんだ付けする。代
表的な温度プロファイルとして,IEC 61760-1で推奨する温度プロファイルを,図3に示す。ただし,
温度の測定箇所は,試験基板のランドパターン部とする。
注記 IEC 61760-1では,温度の測定箇所は,端子部になっているため,図3には,端子温度をそ
のまま記載した。
5
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実線:代表的な温度プロファイル(端子温度)を示す。
点線:温度プロファイルの限界を示す。下の点線は端子温度が下限温度であり,上の点線はSMDの上面温度が
上限温度であることを示す。
図3−リフローソルダリング装置での温度プロファイル例
6
試験方法
6.1
前処理
関連規格に規定がない場合には,供試品をJIS C 60068-1の5.1[標準基準大気条件(基準状態)]に規定
する標準基準大気条件下に4時間以上放置する。
6.2
試験手順
関連規格に規定がない場合には,試験手順は,次による。
機械的せん断疲労試験方法の手順に関する詳細は,附属書Bによる。
a) 試験基板固定ジグに,試験基板を固定する。
b) ランプ速度,試験可能な変位範囲及び試験温度を設定する。
c) 最大力がある値までに減少するか又は瞬断検出器(抵抗測定器)が破断を伴う瞬時的不導通を検出す
るまで,選定した各変位範囲において機械的せん断疲労試験を続ける。破断を伴う瞬時的不導通を検
出したときの繰返し数を記録する。
d) 必要がある場合は,その破断モードを確認するため,破断箇所の観察及び解析を行い記録する。
6.3
判定基準
最大力がある値に減少,例えば,初期値から20 %低下した場合,又は瞬断検出器(抵抗測定器)が破断
を伴う瞬時的不導通に至ったことを検知したときを疲労寿命と判定する。
附属書A及び附属書Bに規定した方法によって得た結果は,試験基板に取り付けた供試品の全てのはん
だ接合部の平均値であり,それは,疲労寿命に対する供試品と試験基板との影響を含んでいる。附属書C
は,疲労寿命に対する供試品と試験基板との影響を排除するために有効な,はんだ接合部1か所の機械的
せん断疲労寿命評価に関する試験手順を記述している。
6
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試験報告書に記載する事項
試験報告書の要求がある場合は,受渡当事者間の協定によって,次の項目から選定し記載する。
a) 試験年月日
b) 試験機関名及び場所
c) SMDの名称,種類,本体寸法,端子寸法及び端子間ピッチ
d) SMDの端子の母材及び層の構成(めっきの有無及びめっきの材質)
e) 試験基板の材質,寸法及び層の構成
f)
試験基板上のランド寸法及び防せい(錆)処理(保護層)の材質
g) はんだ合金の種類及びソルダペーストの種類
h) リフローソルダリングの温度プロファイル及びはんだ付け雰囲気(窒素雰囲気の場合は,そのときの
酸素濃度)
i)
引張圧縮試験機の型式
j)
負荷印加方式及びジグの詳細(図面を用いることが望ましい。)
k) 瞬断検出器(抵抗測定器)の仕様
l)
記録装置の仕様
m) ランプ速度
n) 変位範囲及び破断を伴う瞬時的不導通に至るまでの繰返し数
o) 破断モード(写真など)
8
関連規格に規定する項目
次の項目を,関連規格に規定する。
a) 試験基板(4.2)
b) 接合用はんだ合金(4.3)
c) ソルダペースト(4.4)
d) リフローソルダリング装置(4.5)
e) 取付け(箇条5)
f)
試験方法(箇条6)
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附属書A
(規定)
機械的せん断疲労試験装置
A.1 目的
この附属書は,4.1に規定する機械的せん断疲労試験装置の詳細について規定する。
A.2 機械的せん断疲労試験装置
A.2.0 機械的せん断疲労試験装置の構成
機械的せん断疲労試験装置は,引張圧縮試験機,せん断疲労ジグ及び瞬断検出器(抵抗測定器)によっ
て構成し,次による。
A.2.1 引張圧縮試験機
関連規格に規定がない場合には,引張圧縮試験機は,次による。
a) この装置は,ランプ速度0.001 mm/s〜0.01 mm/sの三角波を用いて,変位範囲0.001 mm〜0.1 mmで,
試料固定ジグが可動する能力をもつ。
注記1 変位を微小な範囲内で制御するため,アクチュエータとしてリニアDCモータ又は圧電ア
クチュエータを装置のアクチュエータとして用いることが望ましい。
注記2 引張圧縮試験は,三角波に代えて正弦波及び台形波を用いて行うことも可能であるため,
この引張圧縮試験機は,正弦波及び台形波の両方に対応できることが望ましい。
b) 引張圧縮試験機は,試料固定ジグに取り付けた変位センサーによって,試験片近傍で変位を測定する
能力(アクチュエータ内部の変位センサーは使用しない。),及びそれによって測定した変位を用いて
アクチュエータをフィードバックコントロール制御ができる能力が必要である。このため,渦電流及
び静電容量変位センサーを用いることが望ましい。
c) 試験装置は,疲労試験中の繰返し数及び試験時間の経過を測定して記録すること,又ははんだ接合部
のせん断変形によって発生する反作用力を,荷重計によって測定して記録できることが望ましい。
d) 荷重計は,はんだ接合部の劣化(クラック発生及びその進展)によって,発生した反作用力の低下を
測定する能力を必要とする。
e) 温度を上昇させて試験を行う場合には,機械的せん断疲労試験装置は,温度を制御できる能力をもつ
ものが望ましい。
A.2.2 せん断疲労ジグ
A.2.2.1 一般事項
せん断疲労ジグは,試験片を固定し,機械的変位によって,はんだ接合部にせん断ひずみを加えること
ができる構造(図A.1及び図A.2参照)が望ましい。せん断疲労試験には,2種類の負荷印加方法がある。
製品規格に規定がない場合には,これらのせん断疲労ジグは,次の条件を満足する。
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図A.1−ストラドルせん断疲労試験方法のせん断疲労ジグの構造例
図A.2−ラップシェアーせん断疲労試験方法のせん断疲労ジグの構造例
A.2.2.2 せん断疲労試験方法のせん断疲労ジグ
A.2.2.2.1 ストラドルせん断疲労試験方法のせん断疲労ジグ
試験基板をSMDの下で二つに分割する。分割した試験基板をストラドルせん断疲労ジグに固定し,は
んだ接合部がせん断モードで変形する機械的変位を,アクチュエータを用いて試験基板に加える。試験基
板固定ジグは次による。
a) 試験基板固定ジグは,ねじを用いて試験基板を固定できる構造とする。
b) 試験基板固定ジグは,試験片の曲げ変形が抑制できるように,その力線がはんだ接合部の高さ方向の
中心部となるように設計する。
c) 試験基板固定ジグの素材は,繰返し荷重の負荷に対して,変形しない強度の高い鋼材を用いることが
望ましい。
d) 変位を測定するために,変位センサーを試験基板固定ジグに取り付ける。
A.2.2.2.2 ラップシェアーせん断疲労試験方法のせん断疲労ジグ
試験基板の底面及び供試品の上面を,ラップシェアーせん断疲労ジグで固定し,はんだ接合部にせん断
モードのひずみが発生するようにアクチュエータを用いて機械変位を固定ジグに加える。試験固定ジグは
次による。
a) 試験基板固定ジグは,供試品及び試験基板を確実に固定できる構造のジグとする。
b) 試験基板固定ジグは,試験片の曲げ変形が抑制できるように,その力線がはんだ接合部の高さ方向の
中心部となるように設計する。
c) 試験基板固定ジグの素材は,繰返し荷重の印加に対して,変形しない強度の高い鋼材を用いることが
望ましい。
d) 変位を測定するために,変位センサーを試験基板固定ジグに取り付ける。
A.2.3 瞬断検出器(抵抗測定器)
瞬断検出器(抵抗測定器)は,試験中に試験基板の電気的連続性(導通)及び破断を伴う瞬時的不導通
が確認でき,導通抵抗値が1×103 Ω以上になった場合に破断を伴う瞬時的不導通として判定できる機構を
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もつことが望ましい。微小の破断を伴う瞬時的不導通を検出するためには,10 μs〜100 μsの破断を伴う瞬
時的不導通を検出できるものが望ましい。また,この瞬断検出器(抵抗測定器)は,破断を伴う瞬時的不
導通を検出した場合に,引張圧縮試験機を停止できるように信号を出力できる能力をもつものが望ましい。
A.2.4 記録装置
記録装置は,せん断疲労寿命に至るまでの繰返し数を記録できる。この装置は,試験中の変位及び力を
記録できることが望ましい。
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附属書B
(規定)
機械的せん断疲労試験方法の手順
B.1
目的
この附属書は,6.2で規定する機械的せん断疲労試験方法の詳細な手順について規定する。
B.2
機械的せん断疲労試験方法手順
B.2.1 一般事項
機械的せん断疲労試験には,二つの方法がある。製品規格に規定がない場合には,次の二つの試験方法
のうちいずれかを選定する。
B.2.2 機械的せん断疲労試験方法
B.2.2.1 ストラドルせん断疲労試験方法
ストラドルせん断疲労試験方法は,次のように二つに分割した試験基板に機械的な変位を加えることに
よって,はんだ接合部にせん断ひずみを加える。
a) 試験前に,試験基板は,SMDの下で二つの部分に分割する。
b) 分割した試験基板は,ねじでジグに固定する。ねじを締め付けるとき,はんだ接合部の損傷を防ぐた
め,荷重制御モードで試験片に発生する力が極力ゼロに維持できることが望ましい。
c) ストラドル試験装置が温度制御機構をもつ場合は,試験温度を設定する。
d) ランプ速度及び変位範囲を,次のように設定する。
1) ランプ速度(変位速度)は,0.005 mm/s又は0.1 Hz〜0.5 Hzに相当する速度とする。
2) SMDの種類に応じて予備試験を行い,数百〜数千のサイクル数ではんだ接合部が破断した試験条件
を変位範囲として選定する。この変位範囲は,はんだ接合部のぬれ高さを変位で除した公称せん断
ひずみ範囲で数パーセントに相当する値とする。
e) 選定した各変位範囲(各試験条件)で,最大力がある値に低下するまで,ストラドルせん断疲労試験
を続ける。機械的なせん断疲労時の繰返し回数を記録する。
f)
必要がある場合は,その破断モードを確認するため,破断箇所の観察及び分析を行い記録する。
B.2.2.2 ラップシェアーせん断疲労試験方法
ラップシェアーせん断疲労試験方法は,次のように試験基板の底及び供試品の上面をジグの間に固定し,
はんだ接合部にせん断モードのひずみが生じるようにアクチュエータを用いて機械的な変位を固定ジグに
加える。
a) SMDを取り付けた試験基板がデイジーチェーン回路をもつ場合は,試験の前に,モニターするための
デイジーチェーン回路(附属書JA参照)の引出し端子をはんだ付けして,図B.1に示す瞬断検出器
(抵抗測定器)を接続する。
b) 試験基板固定ジグは,試験基板と供試品とを接着剤で固定できる構造のジグとするか,又は機械的に
固定できる構造とする。試験片を試験基板固定ジグに固定するとき,はんだ接合部の損傷を防ぐため,
荷重制御モードで試験片に発生する力を極力ゼロに維持することが望ましい。
c) 試験装置が温度制御機構をもつ場合は,試験温度を設定する。
d) ランプ速度及び変位範囲を,次のように設定する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) ランプ速度(変位速度)は,0.005 mm/s又は0.1 Hz〜0.5 Hzに相当する速度とする。
2) SMDの種類に応じて予備試験を行い,数百〜数千のサイクル数ではんだ接合部が破断を伴う瞬時的
不導通に至る試験条件を変位範囲として選定する。その変位範囲は,はんだ接合部のぬれ高さを変
位で除した公称せん断ひずみ範囲の数パーセントに相当する。
e) 選定した各変位範囲(各試験条件)で,最大力がある値に低下するまで,ラップシェアーせん断疲労
試験を続ける。ラップシェアーせん断疲労時の繰返し回数を記録する。
f)
必要がある場合は,その破断モードを確認するため,破断箇所の観察及び解析を行い記録する。
図B.1−瞬断検出器(抵抗測定器)の設置例
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C 62137-1-5:2011 (IEC 62137-1-5:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
機械的せん断疲労試験による1か所のはんだ接合部で
構成する接合体の特性評価
C.1 目的
附属書A及び附属書Bに規定した方法によって得た結果は,試験基板に取り付けたSMDの全てのはん
だ接合部の平均値であり,その結果は,機械的せん断疲労に対するSMD及び試験基板の影響を含んでい
る。せん断疲労寿命に及ぼすSMD及び試験基板の影響を排除できるように,はんだ及び銅のような電極
材料を用いて構成するはんだ接合体の機械的なせん断疲労試験は,はんだ接合部の信頼性を理解するため
に重要である。この附属書は,1か所のはんだ接合部をもつ接合体のせん断疲労寿命を評価する試験方法
について記載する。
C.2 機械的せん断疲労試験装置及び試料
C.2.1 機械的せん断疲労試験装置
附属書Aで規定した機械的せん断疲労試験装置を用いる。
C.2.2 試験片
試験片は,図C.1に示すような,はんだと銅のような母材金属とで構成する。
関連規格に規定がない場合には,供試品は,次の条件を満足する。
a) はんだ合金 はんだボールは,供試品を作るために用いる。関連規格に規定がない場合には,はんだ
合金は,IEC 61190-1-2に規定するはんだを選定することが望ましい。
b) 母材金属 はんだ付けが可能な母材金属は,銅,又ははんだがぬれやすい表面をもつ金属を用いる。
なお,黄銅の使用は,推奨しない。母材金属は,直径が2 mmで長さ10 mmの寸法とする。母材金
属の表面は,一部をはんだレジストで覆ったパッドを形成している。ランドの形状及び寸法は,IEC
61188-5規格群による。
図C.1−機械的疲労試験用はんだ接合体の模式図
C.2.3 はんだ付け方法
次の順序で,はんだ付けを行う。
a) 母材金属のランドにフラックスを塗布する。
b) 母材金属の間に,はんだボールを取り付ける。母材金属間の軸芯及び間隔は,図C.2の固定ジグを用
いて管理する。
c) 箇条5で規定するリフローソルダリング装置又は同等の方法を用いてはんだ付けを行う。
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C 62137-1-5:2011 (IEC 62137-1-5:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図C.2−はんだ接合体のはんだ付け用固定ジグの模式図
C.2.4 せん断疲労ジグ
せん断疲労ジグは,図C.3に示すような,試験片を固定でき,機械的な変位によってはんだ接合部にせ
ん断ひずみを加えることができるジグが望ましい。関連規格に規定がない場合には,これらのせん断疲労
ジグは,次の仕様を満足するジグとする。
a) 試験基板固定ジグは,ねじを用いて試験片を確実に固定できる構造とする。
b) 試験基板固定ジグは,試験片の曲げ変形を抑制するように,力線がはんだ接合の高さ方向の中心とな
るように設計する。
c) 試験基板固定ジグの素材は,繰返し荷重で外形が変形しない強度の高い鋼材が望ましい。
d) 変位を測定するために,変位センサーを試験基板固定ジグに取り付ける。
図C.3−せん断疲労ジグの模式図
C.3 試験手順
試験手順は,次による。
a) 試験片は,ねじで試験基板固定ジグに固定する。ねじを締め付けるとき,はんだ接合部の損傷を防ぐ
ために,荷重制御モードで試験片に発生する力を極力ゼロに維持することが望ましい。
b) 機械的せん断疲労試験装置が温度制御機構をもつ場合は,試験温度を設定する。
c) ランプ速度及び変位範囲を,次のように設定する。
1) ランプ速度(変位速度)は,0.005 mm/s又は0.01 Hz〜0.1 Hzに相当する速度とする。
2) SMDの種類に応じて予備試験を行い,数百〜数千サイクル数ではんだ接合部が破断する試験条件を
変位範囲として選定する。その変位範囲は,はんだ接合部のぬれ高さを変位で除した公称せん断ひ
ずみ範囲に対する数パーセントに相当する。
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C 62137-1-5:2011 (IEC 62137-1-5:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 選定した各変位範囲(各試験条件)で,図C.4に示すように最大力が,任意の値に低下するまで,機
械的せん断疲労試験を続ける。疲労寿命時の繰返し回数を記録する。最大力がある値,例えば,初期
値から20 %の値まで低下したとき,機械的なせん断疲労であると判定する。
e) 両対数グラフに機械的せん断疲労と変位範囲との関係をプロットする。図C.5に試験結果の例を示す。
100
101
102
103
104
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
Number of Cycles
L
o
a
d
(
N
)
Sn-3Ag-0.5Cu
サイクル数
力
(
N
)
図C.4−せん断疲労試験中の反作用力と繰返し回数との相関関係
101
102
103
104
105
100
101
102
Fatigue life
D
is
p
la
c
e
m
e
n
t
R
a
n
g
e
(
μ
m
)
Sn-3Ag-0.5Cu
疲労寿命
変
位
範
囲
(μ
m
)
図C.5−変位範囲とせん断疲労寿命との相関関係
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C 62137-1-5:2011 (IEC 62137-1-5:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
デイジーチェーン
JA.1 目的
この附属書は,B.2.2.2に記載のデイジーチェーンの接続例について記載する。
JA.2 デイジーチェーン
デイジーチェーンとは,試験基板のランド間とSMD内端子間とを端子接合部を介して交互に直列に接
続して,SMDの多端子をチェーン状に接続する状態をいう。その例を,図JA.1に示す。
図JA.1−デイジーチェーン回路の接続例
参考文献 JIS C 60068-2-21 環境試験方法−電気・電子−第2-21部:試験−試験U:端子強度試験方法