C 62024-1:2011 (IEC 62024-1:2008)
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 インダクタンス,Q及びインピーダンス ··············································································· 2
3.1 インダクタンス ············································································································· 2
3.2 Q ································································································································ 5
3.3 インピーダンス ············································································································· 6
4 共振周波数 ······················································································································ 6
4.1 自己共振周波数 ············································································································· 6
4.2 最小出力法 ··················································································································· 6
4.3 反射法 ························································································································· 8
4.4 アナライザによる測定 ···································································································· 9
5 直流抵抗 ························································································································ 10
5.1 測定回路(ブリッジ法) ································································································ 10
5.2 測定方法及び計算式 ······································································································ 10
5.3 測定上の注意事項 ········································································································· 11
5.4 測定温度 ····················································································································· 11
附属書A(規定)表面実装インダクタの実装方法 ······································································ 12
C 62024-1:2011 (IEC 62024-1:2008)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人電子情報
技術産業協会(JEITA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改
正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ
る。
これによって,JIS C 62024-1:2006は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 62024“高周波誘導部品−電気的特性及び測定方法”の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 62024-1 第1部:ナノヘンリー範囲の表面実装インダクタ
JIS C 62024-2 第2部:DC/DCコンバータ用インダクタの定格電流の決め方(予定)
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日本工業規格 JIS
C 62024-1:2011
(IEC 62024-1:2008)
高周波誘導部品−電気的特性及び測定方法−
第1部:ナノヘンリー範囲の表面実装インダクタ
High frequency inductive components-
Electrical characteristics and measuring methods-
Part 1: Nanohenry range chip inductor
序文
この規格は,2008年に第2版として発行されたIEC 62024-1を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,通常,高周波帯域(100 kHz以上)で使用するナノヘンリー範囲の表面実装インダクタ(以
下,インダクタという。)の電気的特性及び測定方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 62024-1:2008,High frequency inductive components−Electrical characteristics and measuring
methods−Part 1: Nanohenry range chip inductor(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS C 6484:2005 プリント配線板用銅張積層板−耐燃性ガラス布基材エポキシ樹脂
注記 対応国際規格:IEC 61249-2-7:2002,Materials for printed boards and other interconnecting
structures−Part 2-7: Reinforced base materials clad and unclad−Epoxide woven E-glass laminated
sheet of defined flammability (vertical burning test), copper-clad(MOD)
JIS K 8839:2007 2-プロパノール(試薬)
注記 対応国際規格:ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second
series(MOD)
JIS Z 3282:2006 はんだ−化学成分及び形状
注記 対応国際規格:ISO/FDIS 9453:2005,Soft solder alloys−Chemical compositions and forms(MOD)
2
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3
インダクタンス,Q及びインピーダンス
3.1
インダクタンス
供試インダクタのインダクタンスは,ベクトル電圧・電流計法で測定する。
3.1.1
測定回路
ベクトル電圧・電流計法の測定回路を,図1に示す。
Rg
:信号発生器の出力抵抗(50 Ω)
R
:抵抗器
Lx
:供試インダクタ
Cd
:供試インダクタの分布静電容量
Ls
:供試インダクタの直列インダクタンス
Rs
:供試インダクタの直列抵抗
:位相基準信号
Ev1,Ev2 :ベクトル電圧計
G
:信号発生器
図1−ベクトル電圧・電流計法の測定回路
3.1.2
供試インダクタの取付け
供試インダクタは,個別規格に規定する試験用ジグに取り付ける。個別規格に試験用ジグの規定がない
場合は,次の試験用ジグA又はBのいずれかを用いる。用いた試験用ジグを記録する。
3.1.2.1
インダクタンス試験用ジグA
インダクタンス試験用ジグAの形状及び寸法を,図2及び表1に示す。
3
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図2−インダクタンス試験用ジグA
表1−寸法l及びd
単位 mm
供試インダクタの寸法記号
l
d
1608
1.6
0.95
1005
1.0
0.60
0603
0.6
0.36
0402
0.4
0.26
注記 供試インダクタの寸法記号は,インダクタの長さ及び幅(又
は高さ)のそれぞれの外形寸法を示す2桁の有効数字で構
成する4桁の数字で表している(JIS C 62025-1参照)。
試験用ジグの電極は,適切な方法での加圧力によって,供試インダクタそれぞれの電極に対して接触で
きるようにする。電極の加圧力は,供試インダクタの特性に影響を及ぼさずに十分に安定した測定ができ
る値から選定し,その値を個別規格に規定する。
測定回路と試験用ジグとの間の構造は,できるだけ50 Ωに近い特性インピーダンスをもつものを用いる。
3.1.2.2
インダクタンス試験用ジグB
インダクタンス試験用ジグBを,図3に示す。
なお,d寸法に関しては,個別規格に規定する。
図3−インダクタンス試験用ジグB
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試験用ジグの電極は,適切な方法での加圧力によって,供試インダクタそれぞれの電極に対して接触で
きるようにする。電極の加圧力は,供試インダクタの特性に影響を及ぼさずに十分に安定した測定ができ
る値から選定し,その値を個別規格に規定する。
測定回路と試験用ジグとの間の構造は,できるだけ50 Ωに近い特性インピーダンスをもつものを用いる。
3.1.3
測定方法及び計算式
供試インダクタのインダクタンスLxは,Ls及びCdによるリアクタンスのベクトル合成値とする(図1
参照)。
信号発生器の出力信号の周波数fは,個別規格に規定する値とする。供試インダクタは,3.1.2.1及び3.1.2.2
の試験用ジグを用いて測定回路に接続する。ベクトル電圧E1及びE2は,それぞれベクトル電圧計Ev1及
びEv2によって測定する。インダクタンスLxは,式(1)によって算出する。
f
E
E
R
L
π
2
Im
2
1
x
=
········································································· (1)
ここに,
Lx: 供試インダクタのインダクタンス
Im: 与えられたベクトル値の虚数部を与える関数
R: 抵抗器の抵抗値
E1: ベクトル電圧計Ev1の指示値
E2: ベクトル電圧計Ev2の指示値
f: 信号発生器の周波数
3.1.4
測定上の注意事項
試験用ジグの電気長は,オープン/ショートの補正を行った後,適切な方法によって補正する。周知で
ない電気長を用いた場合は,その値を個別規格に規定する。オープン/ショートの補正は,式(2)〜式(5)
によって算出する。
c
m
c
m
c
x
1
C
Z
B
Z
A
Z
−
−
=
······································································· (2)
0
1
c
j
A
+
=
················································································ (3)
ss
os
sm
om
ss
os
sm
ss
sm
om
sm
c
1
)
1(
Z
Y
Z
Y
Z
Y
Z
Z
Z
Y
Z
B
−
−
−
−
=
··············································· (4)
ss
os
sm
om
ss
os
om
os
sm
om
om
c
1
)
1(
Z
Y
Z
Y
Z
Y
Y
Y
Z
Y
Y
C
−
−
−
−
=
················································ (5)
ここに,
Zx: 補正後のインピーダンス測定値
Zm: 補正前のインピーダンス測定値
Zsm: ショート・デバイスでのインピーダンス測定値
Zss: 3.1.4.1に規定するショート・デバイスのインダクタンス
Yom: デバイスのない試験用ジグのアドミタンス測定値
Yos: 3.1.4.2に規定する試験用ジグのアドミタンス測定値
3.1.4.1
ショート補正
試験用ジグAに対して用いるショート・デバイスの寸法及び形状を,図4及び表2に示す。適切なショ
ート・デバイスのインダクタンスは,供試インダクタの大きさによって表2から選定する。選定したショ
ート・デバイスのインダクタンスは,補正値として用いる。
試験用ジグAに対して,表2に規定する以外のインダクタンスを用いる場合には,そのインダクタンス
は,個別規格に規定する。また,試験用ジグBに対しては,ショート・デバイスの寸法,形状及びインダ
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クタンス値を個別規格に規定する。
図4−ショート・デバイスの形状
表2−ショート・デバイスの寸法及びインダクタンス
供試インダクタの寸法記号
l
mm
d
mm
インダクタンス
nH
1608
1.6
0.95
0.43
1005
1.0
0.60
0.27
0603
0.6
0.36
0.16
0402
0.4
0.26
0.11
注記 供試インダクタの寸法記号は,インダクタの長さ及び幅(又は高さ)のそれ
ぞれの外形寸法を示す2桁の有効数字で構成する4桁の数字で表している
(JIS C 62025-1参照)。
3.1.4.2
オープン補正
試験用ジグAに対するオープン補正は,試験用ジグの測定電極を供試インダクタの長さと等しい間隔で
対向させて行う。個別規格に規定がない場合には,試験用ジグのアドミタンスYosは,0 S(ゼロ・ジーメ
ンス)と定義する。
試験用ジグBに対するオープン補正は,試験用ジグに供試インダクタを装着しない状態で行う。個別規
格に規定がない場合には,試験用ジグのアドミタンスYosは,0 S(ゼロ・ジーメンス)と定義する。
3.2
Q
3.2.1
測定方法
インダクタのQは,ベクトル電圧・電流計法で測定する。
3.2.2
測定回路
測定回路を,図1に示す。
3.2.3
供試インダクタの取付け
供試インダクタの取付けは,3.1.2による。
3.2.4
測定方法及び計算式
信号発生器(図1参照)の出力信号の周波数fは,個別規格に規定する値とする。供試インダクタは,
3.1.2.1及び3.1.2.2の試験用ジグを用いて測定回路に接続する。ベクトル電圧E1及びE2は,それぞれベク
トル電圧計Ev1及びEv2によって測定する。供試インダクタのQの値Quは,式(6)によって算出する。
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Qu
=
2
1
2
1
Re
Im
E
E
E
E
············································································ (6)
ここに,
Qu: 供試インダクタのQ
Re: 与えられたベクトル値の実数部を与える関数
Im: 与えられたベクトル値の虚数部を与える関数
E1: ベクトル電圧計Ev1の指示値
E2: ベクトル電圧計Ev2の指示値
3.2.5
測定上の注意事項
測定上の注意事項は,3.1.4を参照する。
3.3
インピーダンス
3.3.1
測定方法
供試インダクタのインピーダンスは,ベクトル電圧・電流計法で測定する。ベクトル電圧・電流計法は,
次による。
3.3.2
測定回路
測定回路を,図1に示す。試験用ジグへの供試インダクタの取付けは,3.1.2による。
3.3.3
測定方法及び計算式
信号発生器(図1参照)の出力信号の周波数fは,個別規格に規定する値とする。供試インダクタは,
3.1.2.1及び3.1.2.2の試験用ジグを用いて測定回路に接続する。ベクトル電圧E1及びE2は,それぞれベク
トル電圧計Ev1及びEv2によって測定する。インピーダンスは,式(7)によって算出する。
2
1
E
E
R
Z
×
=
············································································· (7)
ここに,
|Z|: 供試インダクタのインピーダンス(絶対値)
R: 抵抗器の抵抗値
|E1|: ベクトル電圧計Ev1の指示値(絶対値)
|E2|: ベクトル電圧計Ev2の指示値(絶対値)
3.3.4
測定上の注意事項
測定上の注意事項は,3.1.4を参照する。
4
共振周波数
4.1
自己共振周波数
供試インダクタの自己共振周波数は,最小出力法(4.2参照),反射法(4.3参照)又はアナライザによる
測定(4.4参照)のいずれかの方法で測定する。
4.2
最小出力法
最小出力法は,次による。
4.2.1
測定回路
測定回路を,図5に示す。
7
C 62024-1:2011 (IEC 62024-1:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
G
:信号発生器
Rg
:信号発生器の出力抵抗(50 Ω)
Lx
:供試インダクタ
Cd
:供試インダクタの分布静電容量
L
:供試インダクタのインダクタンス
L1,L2 :50 Ωマイクロ・ストリップライン
V
:RF電圧計
RL
:RF電圧計の入力抵抗(50 Ω)
E1
:信号発生器の電源電圧
E2
:RF電圧計の電圧値
注記 適切に校正したネットワークアナライザを信号発生器及びRF電圧計の代わりに用いてもよい。
図5−最小出力法の測定回路の例
4.2.2
供試インダクタの取付け
供試インダクタは,附属書Aに規定する方法によって,個別規格に規定する自己共振周波数試験用基板
に取り付ける。自己共振周波数試験用基板は,図6によることが望ましい。
単位 mm
基板材質 :96 %アルミナ・セラミック基板(ε≒9.4)
導体材質 :Cu又はAg-Pdのペースト印刷又はめっきで,仕上がり厚さ15 μm〜30 μm
W
:0.62 mm(参考値)
はんだ接合用ランド寸法(斜線部分):
ランド幅 :50 Ωマイクロ・ストリップラインの幅Wと同一寸法
l1
:供試インダクタの長さの1/2
l2
:供試インダクタの長さ+0.4 mm
図6−自己共振周波数試験用基板(最小出力法用)
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4.2.3
測定方法
図5に示すような回路を用い,E1を一定とし信号発生器の発振周波数を低い方から順次高い方へ変えて
いき,E2が最小値を示すときの信号発生器の発振周波数を自己共振周波数とする。ただし,E2が最小とな
る周波数の幅が広く周波数を特定できない場合は,E2が最小値よりもA(dB)(A≦3)大きくなる二つの
周波数f1及びf2を測定する。自己共振周波数fsは,式(8)によって算出する。
2
2
1
s
f
f
f
+
=
·············································································· (8)
4.2.4
測定上の注意事項
図6のマイクロ・ストリップラインの幅Wは,特性インピーダンスができるだけ50 Ωとなるように選
定する。マイクロ・ストリップライン(信号発生器の出力電圧)のE1は,E2の最小値が判別しやすいよう
に選定する。
4.3
反射法
反射法は,次による。
4.3.1
測定回路
測定回路を,図7に示す。測定に用いるネットワークアナライザは,図7に示すような回路構成にする
か,又は同等の回路機能をもつ。
アナライザは,1ポート(S11)の反射測定モードで位相測定ができ,適切な校正をする。
Lx :供試インダクタ
Cd :供試インダクタの分布静電容量
L
:供試インダクタのインダクタンス
L1 :50 Ωマイクロ・ストリップライン
図7−反射法の測定回路の例
4.3.2
供試インダクタの取付け
供試インダクタは,附属書Aに規定する方法によって,個別規格に規定する自己共振周波数試験用基板
に取り付ける。自己共振周波数試験用基板は,図8によることが望ましい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
基板材質 :96 %アルミナ・セラミック基板(ε≒9.4)
導体材質 :Cu又はAg-Pdのペースト印刷又はめっきで,仕上がり厚さ15 μm〜30 μm
W
:0.62 mm(参考値)
はんだ接合用ランド寸法(斜線部分):
ランド幅 :50 Ωマイクロ・ストリップラインの幅Wと同一寸法
l1
:供試インダクタの長さの1/2
l2
:供試インダクタの長さ+0.4 mm
図8−自己共振周波数試験用基板(反射法用)
4.3.3
測定方法
供試インダクタを装着していない試験用基板を,適切に校正したネットワークアナライザに接続し,位
相比較器の出力が,入射波と反射波との最小位相差(絶対値)を示すように,位相比較器を掃引信号発生
器の発振周波数の範囲内で調整する。
次に,試験用基板に供試インダクタを取り付けて,掃引信号発生器の発振周波数を低い方から順次高い
方へ掃引する。
位相比較器の出力が,入力波と反射波との最小位相差(絶対値)を示すときの掃引信号発生器の発振周
波数を自己共振周波数とする。
4.3.4
測定上の注意事項
図8のマイクロ・ストリップラインの幅Wは,特性インピーダンスができるだけ50 Ωとなるように選
定する。また,掃引信号発生器の出力レベルは,位相比較器が安定して動作する範囲に設定する。
4.4
アナライザによる測定
4.4.1
インピーダンスアナライザによる測定
供試インダクタの自己共振周波数は,インピーダンスアナライザを用いて供試インダクタのインピーダ
ンスを測定することによって,求める。自己共振周波数を求める場合は,初めに残留静電容量を補正(3.1.4.2
参照)してから供試インダクタを試験用ジグに接続する。
自己共振周波数の正確な値は,インピーダンスアナライザの周波数を低い方から高い方へ掃引していき,
測定するインピーダンスの虚数部の値が最初にゼロになる周波数とする。自己共振周波数試験用ジグは,
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インダクタンス試験用ジグと同じものを用いる。
4.4.2
ネットワークアナライザによる測定
供試インダクタの自己共振周波数は,ネットワークアナライザを用いて電力減衰法によって,測定する。
自己共振周波数を測定する間,その他の電子装置からの電磁波障害を避けるように注意する。ネットワー
クアナライザの掃引周波数範囲は,供試インダクタの自己共振周波数を含む範囲を掃引できるものを用い
る。
供試インダクタの自己共振周波数は,電力の減衰が最大になる周波数とする。測定した共振周波数が,
試験用ジグからの共振でないことを確認する。電力減衰法による自己共振周波数試験用ジグの一例を,図
9に示す。
l:供試インダクタの1/2の長さ
注記 ガラスエポキシFR4は,JIS C 6484:2005で規定するGE4Fと同等である。
図9−自己共振周波数試験用ジグ
5
直流抵抗
5.1
測定回路(ブリッジ法)
供試インダクタの直流抵抗の測定回路の例を,図10に示す。
5.2
測定方法及び計算式
図10に示すような回路を用い,比例辺の抵抗器R1,R2及び標準可変抵抗器R3を調整してブリッジ回路
の平衡をとる。供試インダクタの直流抵抗Rxは,式(9)によって算出する。
3
1
2
x
R
R
R
R
×
=
············································································· (9)
11
C 62024-1:2011 (IEC 62024-1:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
R1,R2
:比例辺の抵抗器R1,R2の抵抗値
R3
:標準可変抵抗器R3の抵抗値
Lx
:供試インダクタ
D
:検出器
E
:直流電源
図10−直流抵抗の測定回路例
5.3
測定上の注意事項
測定上の注意事項を,次に示す。
a) 抵抗値の測定は,測定中の抵抗成分による温度上昇を避けるために,できるだけ短い時間で低い直流
電圧を用いて行う。測定電圧は,0.5 V以下とする。
測定誤差は,測定値の±0.5 %又は±0.001 Ωのいずれか大きい方の値以下とする。
b) 試料の温度が周囲温度と同じになるように注意する。
c) 供試インダクタの電流は,抵抗があまり変化しない範囲にとどめる。
d) 特に低い抵抗値を測定する場合は,ケルビン・ブリッジ回路を用いるのが望ましい。
5.4
測定温度
直流抵抗は,温度20 ℃での値とする。試験を20 ℃以外の温度Te(℃)で行う場合には,試験結果は,
式(10)によって20 ℃の値に補正する。
e
Te
20
004
.0
92
.0
T
R
R
+
=
································································· (10)
ここに, R20: 20 ℃に補正後の直流抵抗値(Ω)
Te: 周囲温度(℃)
RTe: 温度Teで測定した直流抵抗値(Ω)
12
C 62024-1:2011 (IEC 62024-1:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
表面実装インダクタの実装方法
この附属書は,試験する表面実装インダクタ(以下,供試品という。)をプリント配線板に実装する方法
について規定する。
A.1 実装用プリント配線板及び実装ランド
実装用プリント配線板は,供試品の構造に適したものを用いて,個別規格に規定する。
プリント配線板には,JIS C 6484に規定するGE4F[厚さ1.60 mm±0.19 mm,銅はく(箔)
0.035 mm
0.010
0.005
+
−
mm]のガラス布基材エポキシ樹脂積層基板を用いることが望ましい。プリント配線板には,
あらかじめ供試品を取り付けるランドを配置する。ランドの詳細は,個別規格に規定する。
A.2 はんだ
はんだは,粒径200メッシュ以上のクリーム状ペーストで,JIS Z 3282に規定する組成H60A又はH63A
のはんだに,松やに(脂)の低活性フラックスを添加したはんだペーストとする。粘度は,受渡当事者間
の協定による。
注記 鉛フリーはんだを用いる場合は,受渡当事者間の協定によることが望ましい。
A.3 前処理
はんだペーストは,個別規格に規定する試験用プリント配線板のランド上に,厚さ200 μm±50 μmに塗
布する。供試品は,端子又は電極がはんだを塗布したランド上に位置するように実装する。
A.4 予備加熱
供試品を実装したプリント配線板は,150 ℃±10 ℃で60秒間〜120秒間加熱する。
A.5 はんだ付け
予備加熱の後に,はんだ付けは,直ちにリフローはんだ付け装置を用いて行う。はんだ付け温度は,235 ℃
±5 ℃とし,時間は,10秒間以内とする。
A.6 洗浄
はんだ付けの後,プリント配線板は,フラックスを取り除くためにJIS K 8839に規定する2-プロパノー
ル(イソプロピルアルコール)を用いて洗浄する。必要がある場合には,洗浄方法の注意事項は,個別規
格に規定する。
参考文献 JIS C 62025-1 高周波誘導部品−非電気特性及び測定方法−第1部:電子機器及び通信機器用
表面実装固定インダクタ及びフェライトビーズ