C 61558-2-20:2019
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 一般要求事項 ··················································································································· 4
5 試験に関する一般的注意 ···································································································· 4
6 定格······························································································································· 5
7 分類······························································································································· 5
8 表示及びその他の情報 ······································································································· 5
9 感電に対する保護 ············································································································· 7
10 電圧設定の変更 ·············································································································· 7
11 電圧降下 ······················································································································· 7
12 無負荷出力電圧 ·············································································································· 8
13 短絡電圧 ······················································································································· 8
13A 2次短絡電流特性 ·········································································································· 8
14 温度上昇 ······················································································································· 8
15 短絡及び過負荷に対する保護 ···························································································· 8
16 機械的強度 ···················································································································· 9
17 じんあい(塵埃),固形物及び水分の有害な侵入に対する保護 ················································· 9
18 絶縁抵抗,耐電圧及び漏えい電流 ······················································································ 9
19 構造 ····························································································································· 9
20 部品 ···························································································································· 10
21 内部配線 ······················································································································ 10
22 電源接続及びその他の外部可とうケーブル又はコード ·························································· 10
23 外部導体用端子 ············································································································· 10
24 保護接地 ······················································································································ 11
25 ねじ及び接続部 ············································································································· 11
26 沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離 ··································································· 11
27 耐熱性,耐火性及び耐トラッキング性 ··············································································· 11
28 耐腐食性 ······················································································································ 11
附属書 ······························································································································· 12
参考文献 ···························································································································· 12
附属書JAA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ···································································· 13
C 61558-2-20:2019
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
工業規格である。これによって,JIS C 61558-2-20:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 61558の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 61558-1 第1部:通則及び試験
JIS C 61558-2-1 第2-1部:一般用の複巻変圧器及び複巻変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事
項及び試験
JIS C 61558-2-2 第2-2部:制御変圧器及び制御変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試
験
JIS C 61558-2-3 第2-3部:ガスバーナ及び石油バーナ用点火変圧器の個別要求事項及び試験
JIS C 61558-2-4 第2-4部:絶縁変圧器及び絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試
験
JIS C 61558-2-5 第2-5部:かみそり用変圧器及びかみそり用電源装置の個別要求事項及び試験
JIS C 61558-2-6 第2-6部:安全絶縁変圧器及び安全絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事
項及び試験
JIS C 61558-2-7 第2-7部:玩具用変圧器及び玩具用電源装置の個別要求事項及び試験
JIS C 61558-2-8 第2-8部:ベル及びチャイム用の変圧器及び電源装置の個別要求事項及び試験
JIS C 61558-2-9 第2-9部:白熱電球のクラスIIIハンドランプ用変圧器の個別要求事項
JIS C 61558-2-12 第2-12部:定電圧変圧器の個別要求事項
JIS C 61558-2-13 第2-13部:単巻変圧器及び単巻変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び
試験
JIS C 61558-2-16 第2-16部:スイッチモード電源装置及びスイッチモード電源装置用変圧器の個別
要求事項及び試験
JIS C 61558-2-19 第2-19部:じょう(擾)乱減衰用変圧器の個別要求事項
JIS C 61558-2-20 第2-20部:小形リアクトルの個別要求事項及び試験
JIS C 61558-2-23 第2-23部:建築現場用変圧器の個別要求事項
日本工業規格 JIS
C 61558-2-20:2019
変圧器,リアクトル,電源装置及び
これらの組合せの安全性−
第2-20部:小形リアクトルの個別要求事項及び試験
Safety of transformers, reactors, power supply units and combinations
thereof-Part 2-20: Particular requirements and tests for small reactors
序文
この規格は,2010年に第2版として発行されたIEC 61558-2-20を基とし,日本の配電事情などを考慮し
て,技術的内容を変更して作成した日本工業規格であり,JIS C 61558-1:2019(変圧器,リアクトル,電源
装置及びこれらの組合せの安全性−第1部:通則及び試験)の関連する各箇条と併せて適用する規格であ
る。
この規格の箇条などの番号は,JIS C 61558-1と対応している。JIS C 61558-1に対する変更は,次の表現
を用いた。
− “置換”は,JIS C 61558-1の該当する箇所の要求事項を,この規格の規定に置き換えることを意味す
る。
− “追加”は,JIS C 61558-1の該当する箇所の要求事項に,この規格の規定を追加することを意味する。
変更する箇所に関する情報が必要な場合には,これらの表現に続く括弧書きで示す。ただし,JIS C
61558-1の適用項目及び箇所は,この規格の作成時に最新版として発効されていたJIS C 61558-1:2019を参
照している。このため,この規格の発効以降に発効されたJIS C 61558-1を参照する場合は,その引用項
目及び箇所が異なる場合があることに注意しなければならない。
JIS C 61558-1に追加する細分箇条番号は,JIS C 61558-1の箇条番号の後に“101”からの番号を付ける。
追加する附属書番号は,AA,BBなどと記載する。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAAに示す。
1
適用範囲
置換(箇条1全体)
この規格は,一般用小形リアクトルの安全性について規定する。
注記1 安全性には,電気的側面,熱的側面及び機械的側面を含んでいる。
特に規定のない限り,用語“変圧器”又は“リアクトル”には,小形リアクトルを含める。
この規格は,据置形又は可搬形で,単相又は多相の,自然空冷式又は強制空冷式である,独立形又は機
器用の,交流リアクトル,直流リアクトル及び電流補償形リアクトルを含む一般用リアクトルに適用する。
2
C 61558-2-20:2019
この規格は,定格入力電圧が交流1 000 V又はリプルフリーの直流1 500 V以下,定格入力周波数及び内
部動作周波数が100 MHz以下のものに適用する。定格電力が次の値以下のものに適用する。
− 単相リアクトルについては,交流25 kvar(直流25 kW)
− 多相リアクトルについては,交流50 kvar(直流50 kW)
この規格は,購入者と製造業者との間に同意がある場合には,上記の定格電力の範囲を超えたリアクト
ルに適用できる。
この規格は,乾式リアクトルに適用する。巻線は,密封していても,していなくてもよい。
この規格は,次には適用しない。
− IEC 60076-6で規定するリアクトル
− JIS C 8147-2-8で規定する蛍光灯安定器
− JIS C 8147-2-9で規定する放電灯安定器(蛍光灯安定器を除く。)
注記2 液体誘電物質又は砂のような粉末物質を充塡したリアクトルについては,追加の要求事項を
検討中である。
注記3 この規格の適用に際しては,次のことに注意する。
− 車両,船舶又は航空機に搭載して使用するリアクトルについては,追加要求事項(他の該
当規格又は我が国の諸規則による)が必要になる場合がある。
− 菌類,害獣,害虫,太陽放射,着氷などの外部の影響から,エンクロージャ及びエンクロ
ージャ内の部品を保護する対策も考慮することが望ましい。
− リアクトルの輸送,保管及び操作に関する様々な条件も考慮することが望ましい。
− 熱帯環境などの特殊な環境で使用するリアクトルには,他の適切な規格及び我が国の諸規
則による追加要求事項を適用することがある。
注記4 通常,リアクトルは,機器の機能上の要求事項又は設置規則若しくは他の機器の仕様による
要求事項によって,機器に付随させることを意図している。
注記5 電子回路及び構成部品を組み込んだリアクトルもこの規格の対象である。
注記6 感電に対する保護は,例えば,リアクトルを組み込む機器の外郭のような手段によって備え
て(又は完全にして)もよい。
注記7 特別用途のリアクトルについては,将来は補足の規定として附属書を設けることになる。
注記8 リアクトルの将来の技術的進歩によって,周波数の上限を引き上げる必要が生じるかもしれ
ない。それまでは,この規格を手引書として使用することもできる。
注記9 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61558-2-20:2010,Safety of transformers, reactors, power supply units and combinations thereof
−Part 2-20: Particular requirements and tests for small reactors(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
引用規格は,次を除き,JIS C 61558-1の箇条2(引用規格)による。
追加
JIS C 61558-1:2019 変圧器,リアクトル,電源装置及びこれらの組合せの安全性−第1部:通則及び
試験
3
C 61558-2-20:2019
注記 対応国際規格:IEC 61558-1:2017,Safety of transformers, reactors, power supply units and
combinations thereof−Part 1: General requirements and tests
3
用語及び定義
用語及び定義は,JIS C 61558-1の箇条3(用語及び定義)によるほか,次による。
追加
JIS C 61558-1の箇条3を適用するときは,“変圧器”を用いている箇所を“リアクトル”に置き換える。
3.1.101 (対応国際規格にある“リアクトル”の定義は,第1部に規定しているため削除した。)
3.1.102
交流リアクトル(alternating current reactor)
交流磁化電流によって交流磁界を発生し,周波数によって極性が変化するリアクトル。
3.1.103
直流リアクトル(premagnetised reactor)
直流磁化電流によってただ一つの極性の磁界を発生するリアクトル。重畳する交流電流の強さ及び周波
数によって直流磁界が変化する。
3.1.104
電流補償リアクトル(current compensated reactor)
磁束を減らすために磁化電流が逆方向になるように,共通の鉄心上に二つ以上の巻線をもつリアクトル。
注記 この用語は,この規格では使用されない。
3.1.105
耐過負荷リアクトル(overload proof reactor)
過負荷時にリアクトルの温度が規定値を超えず,過負荷を除去した後もこの規格の要求事項を継続して
全て満たすリアクトル。
3.1.105.1
非本質的耐過負荷リアクトル(non-inherently overload proof reactor)
リアクトルが過負荷のときに,回路を遮断又は回路電流を減少させて保護し,過負荷状態を除去して保
護装置をリセット又は交換した後も,この規格の要求事項を継続して全て満たす保護装置を装備した耐過
負荷リアクトル。
注記1 保護装置の例には,ヒューズ,過負荷保護装置,熱ヒューズ,温度ヒューズ,温度過昇防止
装置,PTC抵抗及び自動回路遮断器がある。
注記2 交換又はリセットすることのできない装置によって保護する場合には,“過負荷除去後にこ
の規格の要求事項を継続して全て満たしている”ことは,リアクトルが引き続いて作動する
ことを意味するものではない。
3.1.105.2
本質的耐過負荷リアクトル(inherently overload proof reactor)
リアクトルを保護する装置を装備していない耐過負荷リアクトルで,構造上,過負荷の場合の温度が規
定値を超えないものであって,過負荷除去後に継続して作動し,この規格の要求事項を全て満たすリアク
トル。
4
C 61558-2-20:2019
3.1.106
非耐過負荷リアクトル(non-overload proof reactor)
リアクトルに備えていない保護装置によって過度の温度から保護するリアクトルで,過負荷を除去し保
護装置をリセット又は交換した後にもこの規格の要求事項を継続して全て満たすリアクトル。
3.1.107
フェイルセーフリアクトル(fail-safe reactor)
異常使用後に,故障回路の遮断によって永続的に機能しなくなるが,使用者又は周囲に危害を加えるこ
とのないリアクトル。
置換
3.4
回路及び巻線
(JIS C 61558-1の3.4に規定する用語及び定義は適用しない。)
3.5.4
定格電流(rated current)
リアクトルの加熱に影響を及ぼす高調波など(存在する場合)を含む,製造業者がリアクトルに割り当
てた定格電流。
追加
3.5.101
定格電力(rated power)
異なる各巻線についての定格周波数における定格電圧降下と定格電流との積の和。
3.5.102
定格インダクタンス(rated inductance)
リアクトルの指定動作条件について,製造業者が設計したリアクトルのインダクタンス。
注記 直流リアクトルの指定動作条件は,直流成分及び重畳交流成分によって決まる。
3.5.103
定格抵抗(rated resistance)
リアクトルの指定動作条件について,製造業者が設計したリアクトルの巻線の直流抵抗。
3.5.104
定格電圧降下(rated voltage drop)
製造業者が割り当てた定格電流及び定格周波数におけるリアクトルの巻線両端の電圧。
置換
3.6
無負荷値
(JIS C 61558-1の3.6に規定する用語及び定義は適用しない。)
4
一般要求事項
一般要求事項は,JIS C 61558-1の箇条4(一般要求事項)による。
5
試験に関する一般的注意
試験に関する一般的注意は,JIS C 61558-1の箇条5(試験に関する一般的注意)による。
5
C 61558-2-20:2019
6
定格
置換(箇条6全体)
6.1
定格入力電圧は,交流1 000 V又はリプルフリーの直流1 500 V以下でなければならない。
6.2
定格電力は,単相リアクトルで交流25 kvar(直流25 kW)及び多相リアクトルで交流50 kvar(直流
50 kW)以下でなければならない。ただし,購入者と製造業者との間で協定を行うリアクトルを除く。
6.3
定格入力周波数及び内部動作周波数は,100 MHz以下でなければならない。
6.4
定格インダクタンス及び定格抵抗の値は,無負荷状態下で,定格周囲温度におけるものであり,許
容差は製造業者が宣言した値でなければならない。
6.1〜6.4の適否は,表示の検査によって判定する。
7
分類
分類は,次を除き,JIS C 61558-1の箇条7(分類)による。
7.1
置換(7.1全体)
感電防止の程度に従って,次のとおり分類する。
− クラス0Iリアクトル
− クラスIリアクトル
− クラスIIリアクトル
− クラスIIIリアクトル
注記 組込形リアクトルは分類しない。その感電に対する保護の程度は,リアクトルが組み込まれる
方法によって決まる。
7.2
置換(7.2全体)
異常な使用からの保護に従って,次のとおり分類する。
− 本質的耐過負荷リアクトル
− 非本質的耐過負荷リアクトル
− 非耐過負荷リアクトル
− フェイルセーフリアクトル
8
表示及びその他の情報
表示及びその他の情報は,JIS C 61558-1の箇条8(表示及びその他の情報)によるほか,次による。
8.1
置換(8.1全体)
リアクトルには,次の表示をしなければならない。
a) 定格入力電圧,ボルト(V)
b) 定格入力周波数,ヘルツ(Hz)
c) 交流リアクトルの場合には,定格電圧降下,ボルト(V)
d) 定格電力,交流ではvar又はkvar,直流ではワット(W)又はキロワット(kW)
e) 定格電流及び高調波(ある場合),アンペア(A)又はミリアンペア(mA)
f)
該当する場合には,直流の性質を表す記号又は略号“DC”
g) 該当する場合には,交流の性質を表す記号又は略号“AC”
h) リアクトルの定格インダクタンス,ヘンリー(H)又はミリヘンリー(mH),及びその後に該当する
許容差
6
C 61558-2-20:2019
注記1 c),d)又はh)の値のうちの一つだけを表示する必要がある。選択した値から,他の値を計算
することができるためである。
i)
この規格の8.11に示した図形記号の一つ
j)
巻線の定格抵抗,オーム(Ω)又はミリオーム(mΩ),及び該当する許容差
注記2 j)の表示は,表示する代わりに印刷物の中に示してもよい。
k) モデル名又は形名
l)
製造業者又は責任のある販売業者の名称又は商標
m) IP00以外の場合,保護等級IPの表示
n) 25 ℃以外の場合,定格最高周囲温度ta
注記3 taの値は,ta≦50 ℃の場合は5 ℃単位で,ta>50 ℃の場合は10 ℃単位で示すことを推奨
する。
o) +10 ℃未満の場合,及び温度感知装置を使用している場合,定格最低周囲温度tamin
注記4 taminは,5 ℃の単位で示すことを推奨する。
p) 運転時間が,リアクトルの構成又は運転条件によって限定される場合を除き,短時間使用又は間欠使
用の表示。表示は,通常使用の条件に対応し,次のように表示する。
− 短時間使用のリアクトルの動作時間は,秒(s)又は分(min)で表す。
− 間欠使用のリアクトルの動作時間及び休止時間は,秒(s)又は分(min)で表し,斜線で区切る。
q) インバータの動作周波数
r) 強制空冷で使用するが,ファンをもたないリアクトルは,“AF”を表示し,その後ろに風速をメート
ル毎秒(m/s)で表示する。
s)
クラスIIリアクトルの場合,クラスII構造の記号
t)
クラスIIIリアクトルの場合,クラスIII構造の記号
注記5 誤解を生じない場合,追加の表示を許容する。
8.4
置換(8.4全体)
タップ付き巻線又は多巻線のリアクトルは,8.1に従って明確に表示しなければならない。
8.5
置換(8.5全体)
耐過負荷リアクトルの要求事項を満たし,耐過負荷リアクトルを宣言するものは,耐過負荷リアクトル
についての記号を表示しなければならない。
ヒューズを組み込んだ非本質的耐過負荷リアクトル及びヒューズによって保護するように設計されてい
る非耐過負荷リアクトルは,更に,保護ヒューズリンクの定格電流をアンペア又はミリアンペア単位で表
示し,該当する場合,関連規格に従うヒューズの時間電流特性についての記号をその前又は後に示さなけ
ればならない。
ヒューズ以外の交換可能な保護装置を組み込んだ非本質的耐過負荷リアクトル及びヒューズ以外の保護
装置によって保護するように設計されている非耐過負荷リアクトルは,更に,装置の製造業者のモデル名
若しくは形名及び/又は装置の定格を表示しなければならない。
注記 交換不能な装置を組み込んだ耐過負荷リアクトルには,保護装置に関する追加の表示は必要で
はない。
上記の表示は,保護装置を正しく交換することを確実にするのに十分なものでなければならない。
ヒューズ以外の交換可能な保護装置を使用する場合,その交換についての情報はリアクトルに附属する
指示書などの中に示さなければならない。
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フェイルセーフリアクトルの要求事項を満たし,フェイルセーフリアクトルを宣言するものは,フェイ
ルセーフリアクトルについての記号を表示しなければならない。
8.11 追加(表1の最後に追加)
記号又は図記号
説明又はタイトル
規格
H a)
ヘンリー
−
Ωa)
オーム
−
又は
フェイルセーフリアクトル
IEC 60417-5950(2002-10)
又は
非耐過負荷リアクトル
IEC 60417-5951(2002-10)
又は
耐過負荷リアクトル
(本質的又は非本質的)
IEC 60417-5952(2002-10)
注a) 倍数又は約数を用いてもよい。
9
感電に対する保護
感電に対する保護は,JIS C 61558-1の箇条9(感電に対する保護)による。
10 入力電圧設定の変更
置換(題名を含め,箇条10全体)
10 電圧設定の変更
複数の定格入力電圧又は複数の定格電圧降下をもつリアクトルは,工具を使用せずに電圧設定の変更が
できない構造でなければならない。
異なる定格入力電圧及び定格電圧降下に設定することのできるリアクトルは,使用準備のときに,リア
クトルに設定した電圧表示をリアクトル上で識別できる構造でなければならない。
適否は,検査によって判定する。
注記 例えば,電圧設定の変更をするときに,カバーを外すために工具が必要な場合は,この要求事
項を満足するとみなせる。
11 負荷時の出力電圧及び出力電流
置換(題名を含め,箇条11全体)
11 電圧降下
11.1 電圧降下の量は,定格値の±25 %以下でなければならない。
コンデンサ,整流器などの追加構成部品を備えたリアクトルでは,電圧降下の量は定格値の±30 %以下
でなければならない。
適否は,リアクトルが定格電流及び定格入力周波数で,定常状態を確立したときに電圧降下を測定又は
計算することによって判定する。
定格電圧降下値が複数のリアクトルでは,各定格電圧降下に対してこの要求事項が有効である。
8
C 61558-2-20:2019
幾つかの巻線のあるリアクトルでは,他に明記していない場合,各巻線群に同時に負荷を加える。
11.2 (規定なし)
12 無負荷出力電圧
無負荷出力電圧は,JIS C 61558-1の箇条12(無負荷出力電圧)を適用しない。
13 短絡電圧
短絡電圧は,JIS C 61558-1の箇条13(短絡電圧)を適用しない。
13A 2次短絡電流特性
2次短絡電流特性は,JIS C 61558-1の箇条13A(2次短絡電流特性)を適用しない。
14 温度上昇
温度上昇は,JIS C 61558-1の箇条14(温度上昇)によるほか,次による。
14.1.1 温度上昇試験
置換(“変圧器は定格入力電圧で給電し,…”から始まる第11段落を次に置換)
リアクトルに,定格入力周波数で定格電流の1.1倍の電流を供給する。この電流の増加後に,供給回路
では変更が起きない。
置換(“二つ以上の入力巻線若しくは出力巻線,…”から始まる第18段落を次に置換)
タップ付き巻線をもつリアクトルでは,最高温度を示す結果を採用する。
15 短絡及び過負荷に対する保護
短絡及び過負荷に対する保護は,JIS C 61558-1の箇条15(短絡及び過負荷に対する保護)によるほか,
次による。
15.1.1 短絡及び過負荷試験方法
置換(“変圧器は,通常の使用中に…”で始まる第1段落及び“適否は,検査,及び…”で始まる第2段
落を次に置換)
リアクトルは,通常の使用中に起こる可能性のある過負荷によって危険な状態に陥ってはならない。
適否は,検査,及び同じ周囲温度において,同じ電流を供給し,リアクトルの位置を変更しないで,14.1
の試験をした直後に実施する次の試験によって判定する。
− 本質的耐過負荷リアクトルは,15.2の試験による。
− 非本質的耐過負荷リアクトルは,15.3の試験による。
− 非耐過負荷リアクトルは,15.4の試験による。
− フェイルセーフリアクトルは,15.5の試験による。
15.2 本質的耐短絡変圧器
置換(15.2全体)
本質的耐過負荷リアクトルは,定常状態に達するまで,定格入力電圧の1.06倍の電圧を供給して試験す
る。
15.3 非本質的耐短絡変圧器
置換(“非本質的耐短絡変圧器は,…”で始まる第1段落を次に置換)
9
C 61558-2-20:2019
非本質的耐過負荷リアクトルは,次のように試験する。
15.3.1 置換(15.3.1全体)
適用しない。
15.4 非耐短絡変圧器
置換(15.4全体)
非耐過負荷リアクトルは,15.3に示すように試験をする。製造業者が指定する保護装置を当該回路に接
続する。
機器用非耐過負荷リアクトルは,製造業者が指定する適切な保護装置を回路に取り付け,最も過酷な通
常の使用条件,及びリアクトルが設計されている機器又は回路のタイプに関して最も過酷な負荷条件で試
験する。
注記 負荷条件の例は,連続的,短時間又は間欠的な使い方である。
15.5 フェイルセーフ変圧器
置換(題名)
15.5 フェイルセーフリアクトル
15.5.1 置換(15.5.1全体)
3個の特別な新しい試料を次の試験に使用する。
3個の各試料は,厚さ20 mmの艶消し黒に塗装した合板表面上に通常使用のように取り付ける。各リア
クトルは,定常状態に達するまで,又はリアクトルが故障するまで(いずれか早い方まで),定格入力電圧
の1.06倍の電圧下において定格電流の1.5倍で動作させる。
リアクトルが故障した場合には,試験中及び試験後に,15.5.2に示す基準を満足しなければならない。
リアクトルが故障しない場合には,定常状態に達した時間を記録しておく。次に,リアクトルが故障す
るまで,10分ごとに定格電流の50 %ずつ電流を増加させる。各試料は,定常状態を得るために必要な時
間よりも長くない時間内(5時間を超えない時間内)で,この部分の試験を行う。
リアクトルは安全に故障し,試験中及び試験後には,15.5.2に示す基準を満足しなければならない。
リアクトルが故障しない場合には,フェイルセーフリアクトルとはみなさない。
16 機械的強度
機械的強度は,JIS C 61558-1の箇条16(機械的強度)による。
17 じんあい(塵埃),固形物及び水分の有害な侵入に対する保護
じんあい,固形物及び水分の有害な侵入に対する保護は,JIS C 61558-1の箇条17[じんあい(塵埃),
固形物及び水分の有害な侵入に対する保護]による。
18 絶縁抵抗,耐電圧及び漏えい電流
絶縁抵抗,耐電圧及び漏えい電流は,JIS C 61558-1の箇条18(絶縁抵抗,耐電圧及び漏えい電流)によ
る。
19 構造
構造は,JIS C 61558-1の箇条19(構造)によるほか,次による。
10
C 61558-2-20:2019
19.1 一般構造
置換(19.1全体)
適用しない。
19.12 巻線の構成
追加
19.12.101 リアクトルは,コア,巻線及び接続部の変位又は変形がなく,大電流に耐えなければならない。
適否は,次の試験によって判定する。
交流リアクトルは,定格入力周波数における正弦入力電圧に直接接続する。直流リアクトルは,定格入
力周波数における半波整流正弦波電圧に直接接続する。回路は,リアクトルの定格電流の15倍のヒューズ
によって保護する。定格入力電圧の1.06倍を超えない範囲内で,定格電流の15倍になるまで,電圧を2
秒以内で調節する。熱過負荷を避けるために,全負荷時には2秒後に試験を終了する。
注記 入力導体は固定することが許されている。
試験後に,電気接続が緩んでいないこと,沿面距離及び空間距離が箇条26に規定する値未満に短縮して
いないこと,並びに箇条9に従う保護を低減させるような変形がないことを目視検査によって確認する。
疑わしい場合には,リアクトルを分解して測定を行う。
20 部品
部品は,JIS C 61558-1の箇条20(部品)によるほか,次による。
20.8.3 置換(20.8.3全体)
間接加熱タイプのPTC抵抗器は,この規格で非自己復帰形温度過昇防止装置とみなす。
適否は,次の試験によって判定する。
リアクトルは,定格入力周波数における定格入力電圧の1.1倍の電圧で48時間(2日間)動作させる。
出力は,定格電流の1.5倍とする。
PTCは,電源を切るまで,高インピーダンスの状態を保って動作させる。
PTCが動作しない場合,定格電流の5倍を上限として,15分ごとに定格電流の10 %ずつ電流を増加さ
せる。
48時間後,リアクトルをおおよそ周囲温度まで冷やす。この試験は,リアクトルに対して宣言された最
高周囲温度で5回繰り返す。
試験終了時に,リアクトルは箇条18の試験に耐え,破損がなく,この規格の規定どおりに正しく動作し
なければならない。
21 内部配線
内部配線は,JIS C 61558-1の箇条21(内部配線)による。
22 電源接続及びその他の外部可とうケーブル又はコード
電源接続及びその他の外部可とうケーブル又はコードは,JIS C 61558-1の箇条22(電源接続及びその他
の外部可とうケーブル又はコード)による。
23 外部導体用端子
外部導体用端子は,JIS C 61558-1の箇条23(外部導体用端子)による。
11
C 61558-2-20:2019
24 保護接地
保護接地は,JIS C 61558-1の箇条24(保護接地)による。
25 ねじ及び接続部
ねじ及び接続部は,JIS C 61558-1の箇条25(ねじ及び接続部)による。
26 沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離
沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離は,JIS C 61558-1の箇条26(沿面距離,空間距離及び絶
縁物を通しての距離)による。
注記 周波数が30 kHzを超える場合,JIS C 61558-2-16で規定した値が適用できる。
27 耐熱性,耐火性及び耐トラッキング性
耐熱性,耐火性及び耐トラッキング性は,JIS C 61558-1の箇条27(耐熱性,耐火性及び耐トラッキング
性)によるほか,次による。
27.3 故障条件下の耐熱性
置換(27.3全体)
JIS C 61558-1の27.3(故障条件下の耐熱性)を適用しない。
28 耐腐食性
耐腐食性は,JIS C 61558-1の箇条28(耐腐食性)による。
12
C 61558-2-20:2019
附属書
附属書は,JIS C 61558-1の附属書による。
参考文献
参考文献は,JIS C 61558-1の参考文献によるほか,次による。
追加
JIS C 8147-2-8 ランプ制御装置−第2-8部:蛍光灯安定器の個別要求事項
注記 対応国際規格:IEC 61347-2-8:2000,Lamp controlgear−Part 2-8: Particular requirements for
ballasts for fluorescent lamps
JIS C 8147-2-9 ランプ制御装置−第2-9部:放電灯安定器個別要求事項(蛍光灯安定器を除く)
注記 対応国際規格:IEC 61347-2-9:2000,Lamp controlgear−Part 2-9: Particular requirements for
ballasts for discharge lamps (excluding fluorescent lamps)
JIS C 61558-2-16 入力電圧1 100 V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安
全性−第2-16部:スイッチモード電源装置及びスイッチモード電源装置用変圧器の個別要求事項
及び試験
注記 対応国際規格:IEC 61558-2-16:2009,Safety of transformers, reactors, power supply units and
similar products for supply voltages up to 1 100 V−Part 2-16: Particular requirements and tests for
switch mode power supply units and transformers for switch mode power supply units
IEC 60076-6:2007,Power transformers−Part 6: Reactors
13
C 61558-2-20:2019
附属書JAA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 61558-2-20:2019 変圧器,リアクトル,電源装置及びこれらの組合せの安
全性−第2-20部:小形リアクトルの個別要求事項及び試験
IEC 61558-2-20:2010,Safety of transformers, reactors, power supply units and
combinations thereof−Part 2-20: Particular requirements and tests for small reactors
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 定格入力周波数及
び内部動作周波数
の上限
1
1 MHz以下
変更
第1部に合わせて,100 MHz以下と
した。
IECでは,第2部でのこの値を第
1部に合わせて100 MHzに統一し
ている途中段階(IECに確認)で
あり,先取りした。
2 引用規格 通則を引用規格と
して規定
2
JISに同じ
変更
対応国際規格は,IEC 61558-1:2005
を引用しているが,JISでは,IEC
61558-1:2017を対応国際規格とす
る最新のJIS C 61558-1を通則とし
て引用した。
IECでの通則の改正を先取りし
て,この規格を改正した。
7 分類
7.1 感電防止のクラ
ス分類
7.1
JISに同じ
追加
JISでは,クラス0Iリアクトルを追
加した。
我が国の配電事情による。
11 負荷時
の出力電圧
及び出力電
流
11.1 電圧降下
11.1
JISに同じ
変更
直流リアクトルを追加部品から削
除した。
8.1 c)に直流リアクトルの表示要
求がないため削除した。
13A 2次短
絡電流特性
第1部を適用しない
−
−
追加
第1部で追加した2次短絡電流特性
を適用しないことを明確にした。
リアクトルに短絡電流はないた
め。
14 温度上
昇
14.1.1 温度上昇試
験
14.1
JISに同じ
変更
細分箇条番号の変更。
1行目の“第10段落を第11段落に
修正”
4行目の“第16段落を第18段落に
修正”
対応する第1部に合わせたため。
2
C
6
1
5
5
8
-2
-2
0
:
2
0
1
9
14
C 61558-2-20:2019
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
15 短絡及
び過負荷に
対する保護
15.1.1 短絡及び過
負荷試験方法
15.1
JISに同じ
変更
細分箇条番号の変更。
対応する第1部の版に合わせたた
め。
20 部品
20.8.3 間接加熱タ
イプのPTC抵抗器
20.7.3
JISに同じ
変更
細分箇条番号の変更。
対応する第1部の版に合わせたた
め。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 61558-2-20:2010,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
C
6
1
5
5
8
-2
-2
0
:
2
0
1
9