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C 61340-4-6:2016 (IEC 61340-4-6:2015) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 用語及び定義 ··················································································································· 1 

3 試験項目及び限度値 ·········································································································· 2 

4 試験方法························································································································· 3 

4.1 試験方法の適用 ············································································································· 3 

4.2 リストストラップの電気的連続性及び抵抗値試験 ································································· 3 

4.3 リストバンドの抵抗値試験 ······························································································ 5 

4.4 リストバンドの寸法の試験 ······························································································ 6 

4.5 離脱力試験 ··················································································································· 7 

4.6 接続の完全性試験 ·········································································································· 7 

4.7 グラウンドコードの伸張性の試験······················································································ 8 

4.8 屈曲寿命試験 ················································································································ 8 

4.9 製造業者の識別 ············································································································ 10 

4.10 規格に示す限度値以外の抵抗値をもつリストストラップの識別 ············································ 10 

4.11 リストストラップの連続性及び抵抗値測定 ······································································· 10 

4.12 リストストラップシステムの連続性試験 ·········································································· 10 

参考文献 ···························································································································· 13 

C 61340-4-6:2016 (IEC 61340-4-6:2015) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本電子部品信頼性センター

(RCJ)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきと

の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 61340-4の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 61340-4-1 第4-1部:特定応用のための標準的な試験方法−床仕上げ材及び施工床の電気抵抗 

JIS C 61340-4-3 第4-3部:特定応用のための標準的試験方法−履物 

JIS C 61340-4-4 第4-4部:特定応用のための標準的試験方法−フレキシブルコンテナの静電気的分

類 

JIS C 61340-4-5 特定応用のための標準的試験方法−人体と組み合わせた履物及び床システムの静電

気防止性能の評価方法 

JIS C 61340-4-6 第4-6部:特定応用のための標準的試験方法−リストストラップ 

JIS C 61340-4-7 第4-7部:特定応用のための標準的試験方法−イオナイザ 

JIS C 61340-4-8 第4-8部:特定応用のための標準試験方法−放電遮蔽−バッグ 

JIS C 61340-4-9 第4-9部:特定応用のための標準試験方法−衣服(予定) 

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日本工業規格          JIS 

C 61340-4-6:2016 

(IEC 61340-4-6:2015) 

静電気−第4-6部:特定応用のための 

標準的試験方法−リストストラップ 

Electrostatics-Part 4-6: Standard test methods for specific applications- 

Wrist straps 

序文 

この規格は,2015年に第2版として発行されたIEC 61340-4-6を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,リストストラップの評価試験,受入試験及び都度試験のための電気的及び機械的な試験方

法及び限度値について規定する。 

注記1 この規格に記載する寸法は,指定するもの以外は公称値である。 

この規格は,静電気放電(ESD)に敏感な組立品及びデバイス関連の作業に従事する人間の接地のため

に用いるリストストラップ及びリストストラップシステムの試験に適用する。 

連続モニタリングリストストラップシステムには,適用しない。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61340-4-6:2015,Electrostatics−Part 4-6: Standard test methods for specific applications−Wrist 

straps(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”

ことを示す。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

リストストラップ(wrist strap) 

人の皮膚と接地とを電気的に接続するように設計したリストバンド及びグラウンドコードで構成される

機器。 

2.2 

リストストラップシステム(wrist strap system) 

人,リストバンド及びグラウンドコードの間を電気的に接続し,人が適切に装着した状態のリストスト

ラップ。 

C 61340-4-6:2016 (IEC 61340-4-6:2015) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.3 

リストバンド(band) 

リストストラップの手首に装着する部分。 

注記 リストバンドは,人の肌との電気的な接続を維持する。 

2.4 

グラウンドコード(ground cord) 

リストバンドを接地するために用いる電気回路を形成し,かつ,自由な移動を可能にするリストストラ

ップのコード部分。 

2.5 

評価試験(evaluation testing) 

リストストラップの電気的及び機械的な特性を測定するための試験。 

注記 データは,実験室で行う試験では数値で表す。 

2.6 

受入試験(acceptance testing) 

適切な表示及び電気的な機能を確認するための受入時に行う試験。 

注記 データは,目視検査の記録及び数値,又は合格若しくは不合格の記載で表す。 

2.7 

都度試験(periodic verification testing) 

電気的な機能を確認するための実際の使用時に行う試験。 

注記 データは,抵抗値又は合格若しくは不合格の記載で表す。 

2.8 

電流制限抵抗(current-limiting resistance) 

リストストラップから大地までの電気的な経路の中に直列に組み込む抵抗。 

注記 この抵抗は,電位をもつ物体への不用意な接触によってグラウンドコードに流れる電流を制限

する。 

2.9 

抵抗値範囲(resistance range) 

リストストラップ又はリストストラップシステムのユーザが指定する,受入可能な抵抗値の上限値及び

下限値。 

2.10 

ストレインリリーフ(strain relief) 

グラウンドコードの端末部を早期故障から保護することを目的に設計された形状。 

2.11 

離脱力(breakaway force) 

リストバンドのスナップ部からグラウンドコードを取り外すために必要な力。 

試験項目及び限度値 

この規格は,リストストラップに適用する3種類の異なる試験方法について規定する。 

3種類の試験方法を規定する細分箇条及び各試験の限度値は,表1,表2及び表3に規定する。それぞれ

の試験方法では,異なる段階で実施するリストストラップの検査のための適切な試験を示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

評価試験は,リストストラップ性能の測定又はリストストラップの比較のために実験室で実施する。 

受入試験は,リストストラップの受入検査をするために実施する。 

都度試験は,電気的な接続性を簡易的に確認するために実施する。この試験は,リストストラップが電

気的な機能を維持していることを確認するために,ユーザの指定に基づき定期的に実施する。 

試験は,実使用環境で実施し,試験時の温度及び湿度を記録し報告書に記載する。試験結果に疑義が生

じた場合には,前処理及び試験は,室温(23±2)℃,相対湿度(12±3)%の下で実施する。 

注記 試験における環境条件は,試験結果に著しく影響しないことが知られている。 

表1−評価試験 

試験の種類 

細分箇条 

要求事項 

電気的特性 

リストストラップの連続性及び抵抗値 

4.2 

5 MΩ未満又はユーザ指定値 

リストバンドの抵抗値 

内側 

4.3 

100 kΩ以下又はユーザ指定値 

外側 

10 MΩ超 

機械的特性 

リストバンドの寸法 

4.4 

4.4を参照 

離脱力 

4.5 

4.4 N超,22.6 N未満 

コード及び端子の接続の完全性 

4.6 

破断強度:22.6 N超,かつ, 
接続部強度:コード強度の66 %超 

グラウンドコードの伸張性 

4.7 

電気的連続性の損失がない範囲で, 
製造業者指定の長さまで延長可能 

屈曲寿命 

4.8 

16 000サイクル以上 

表示 

製造業者の識別 

4.9 

登録商標又は製造業者名 

規格に示す限度値以外の抵抗値の識別 

4.10 

視認可能な特徴又は抵抗値の表示 

表2−受入試験 

試験の種類 

細分箇条 

要求事項 

電気的特性 

リストストラップの連続性及び抵抗値 

4.11 

5 MΩ未満又はユーザ指定値 

表示 

製造業者の識別 

4.9 

登録商標又は製造業者名 

規格に示す限度値以外の抵抗値の識別 

4.10 

視認可能な特徴又は抵抗値の表示 

表3−都度試験 

試験の種類 

細分箇条 

要求事項 

電気的特性 

リストストラップシステムの連続性 
(装着状態) 

4.12 

35 MΩ以下又はユーザ指定値a) 

注a) ユーザが下限抵抗値を指定する場合には,安全性などに対する配慮が必要となる。 

試験方法 

4.1 

試験方法の適用 

試験方法の適用は,表1,表2及び表3による。 

警告 この規格に規定する手順に従う場合でも,試験者が感電する危険があるので,感電防止の訓練

を行うことが望ましい。さらに,試験を行う場合には,試験装置の接地仕様書に従うことが望

ましい。 

4.2 

リストストラップの電気的連続性及び抵抗値試験 

4.2.1 

試験の目的 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この試験は,電流制限抵抗の抵抗値を測定し,リストストラップの個々の部品間の電気的連続性を確認

することを目的とする。 

4.2.2 

試験装置 

試験装置は,次のもので構成する。 

a) 試験器具(図1参照) 絶縁性のあるスタンドで,直径(25.0±0.5)mmの2個のステンレス鋼製の円

筒を含む。円筒Aは,円筒Bのすぐ上に固定する。円筒Bは(0.11±0.01)kgの質量をもち,スタン

ドの溝に取り付けて垂直方向に自由に動くように可動式にする。 

b) 抵抗計又はその他の測定器 直流7 V〜100 Vの開回路電圧において,50 kΩ〜100 MΩの測定能力を

もつ。 

a) リストバンド試験器具の構成 

図1−リストストラップ抵抗値試験装置 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 試験方法 

1 固定式の金属製円筒形試験用電極(円筒A),直径(25.0±0.5)mm 
2 バナナプラグ挿入穴(端子) 
3 可動式の金属製円筒形試験用おもり(円筒B),直径(25.0±0.5)mm 
4 絶縁材料で作られたスタンド 
5 抵抗計 
6 リストバンド 
7 測定用リード線 
8 グラウンドコード(4.2.3)又は測定用リード線(4.3.3及び4.3.4) 

図1−リストストラップ抵抗値試験装置(続き) 

4.2.3 

試験手順 

1種類のリストストラップにつき,6個の試料を用意する。 

図1に示す試験装置を用いて,二つの円筒電極の周囲にリストバンドの内側を巻き付ける。グラウンド

コード用端子は右側とし,二つの円筒と等距離に位置するようにする。質量0.11 kgの円筒は,巻き付けた

後に手を離し,リストバンドに張力を与えることができるようにする。 

グラウンドコードを,リストバンドに接続して,抵抗計に接続する。 

円筒Aの端子に測定用リード線を接続して,抵抗値を測定し,記録する。 

この手順を,6個のリストストラップ全てに繰り返す。 

4.2.4 

報告 

各リストストラップの抵抗値を,報告する。 

4.3 

リストバンドの抵抗値試験 

4.3.1 

試験の目的 

この試験は,リストバンドの内側及び外側の抵抗値を測定することを目的とする。 

4.3.2 

試験装置 

4.2.2による。 

4.3.3 

手順(内側の抵抗値) 

リストバンドの試料を,6個用意する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1に示す試験装置を用いて,二つの円筒電極の周囲にリストバンドの内側を巻き付ける。グラウンド

コード用端子は右側とし,二つの円筒と等距離に位置するようにする。質量0.11 kgの円筒は,巻き付けた

後,手を離し,リストバンドに張力を与えることができるようにする。 

測定用リード線を用いて,抵抗計に円筒Aの端子及びグラウンドコード用端子を接続する。抵抗値を測

定し,記録する。 

この手順を,6個のリストバンド全てに繰り返す。 

4.3.4 

手順(外側の抵抗) 

リストバンドの試料を,6個用意する。 

図1に示す試験器具を用いて,二つの円筒の周囲にリストバンドの外側を巻き付ける。グラウンドコー

ド用端子は右側とし,二つの円筒と等距離に位置するようにする。質量0.11 kgの円筒は,巻き付けた後,

手を離し,リストバンドに張力を与えることができるようにする。 

測定用リード線を用いて,抵抗計に円筒Aの端子及びグラウンドコード用端子を接続する(構造上,グ

ラウンドコード用端子に接続できない場合は,グラウンドコード用端子の導電部を接触させてもよい。)。

抵抗値を測定し,記録する。 

この手順を,6個のリストバンド全てに繰り返す。 

4.3.5 

報告 

各リストバンドの内側の抵抗及び外側の抵抗値を,報告する。 

4.4 

リストバンドの寸法の試験 

4.4.1 

試験の目的 

この試験は,4.4.2に規定する寸法の円筒にフィットするリストバンドの能力によって,リストバンドの

寸法を確認することを目的とする。リストバンドが手にフィットするまで伸びる能力,及び手首に十分に

密着するための収縮能力は,規定する寸法の大小の円筒にリストバンドを装着して確認する。 

注記 リストバンドは,通常の装着において,十分に密着させて電気的連続性を維持できるようにす

るが,ユーザに不快感又は損傷を引き起こすほどの強さは好ましくない。 

4.4.2 

装置(円筒) 

試験装置には,リストバンドのサイズの違いによって,次の四つの円筒を用いる。 

a) (4.3±0.1)cmの外径の円筒 

b) (5.3±0.1)cmの外径の円筒 

c) (8.25±0.1)cmの外径の円筒 

d) (8.9±0.1)cmの外径の円筒 

4.4.3 

伸縮形リストバンド 

伸縮形リストバンドは,伸縮自在で,金属又は織物からなる。 

大きいサイズのリストバンドは,直径5.3 cmの円筒の外周に360°接触させ,さらに,直径8.9 cmの円

筒にも装着できるかを確認する。 

小さいサイズのリストバンドは,直径4.3 cmの円筒の外周に360°接触させ,さらに,直径8.25 cmの

円筒にも装着できるかを確認する。 

4.4.4 

フリーサイズリストバンド 

フリーサイズリストバンドは,直径4.3 cmの円筒の外周に360°接触させ,さらに,直径8.9 cmの円筒

にも十分に伸長させて装着できるかを確認する。 

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4.5 

離脱力試験 

4.5.1 

試験の目的 

リストストラップのグラウンドコードは,人の安全性を考慮して,装着中の緊急事態において,リスト

バンドから外れる機能をもつ。さらに,通常の使用においては,接続を維持する機能をもつ。この試験は,

次の手順によって,リストバンドとグラウンドコードとの離脱力を測定することを目的とする。 

4.5.2 

離脱力測定 

グラウンドコード及びリストバンドを通常の使用方法に従って接続し,リストバンドを治工具又は手に

よって保持する。リストバンドの背面板に対して垂直にグラウンドコードに,(4.4 Nを超え22.6 N未満の

範囲の)引張力を加えて,リストバンドとグラウンドコードとの間の離脱力を測定する。 

リストストラップのデザインの違いから,試験手順の詳細な説明を与えることは困難である。その場合

でも,この規格の使用者は,用いるリストストラップのデザインに合うように適応させた手順を,可能な

範囲で試験報告書に記載するのがよい。試験手順の違いは,許容可能な限界値に近いサンプルの試験結果

を評価する場合に大きな影響を与えるかもしれない。 

4.6 

接続の完全性試験 

4.6.1 

試験の目的 

この試験は,グラウンドコードとして用いるワイヤの破断強度,並びに接地接続用端子及びリストバン

ド接続用端子とワイヤとの間の機械的結合の強度を試験することを目的とする。 

4.6.2 

試験装置 

試験装置は,次のもので構成する。 

a) 引張試験機 6.35 cm/minの速度に設定できる。 

b) 引張試験機のクランプ(グリッパー) 

c) チャート式記録計又はデータ記録装置 

リストストラップのデザインの違いから,引張試験機の使用に関する詳細な説明を与えることは困難で

ある。その場合でも,この規格の使用者は,用いるリストストラップのデザインに合うように適応させた

手順を,クランプのタイプ,クランプ力,クランプ間のサンプルの長さ及び引張速度の情報を含めて,試

験報告書に記載するのがよい。試験手順の違いは,許容可能な限界値に近いサンプルの試験結果を評価す

る場合に大きな影響を与えるかもしれない。 

4.6.3 

手順 

4.6.3.1 

一般 

引張試験機,及びチャート式記録計又はデータ記録装置を用いて,グラウンドコードの引張強度(破断

強度),並びに接地接続用端子とグラウンドコードとの接続部,及びリストバンド接続用端子とグラウンド

コードとの接続部の引張強度(接続部強度)を測定し記録する。合計6本のグラウンドコードに対して,

手順を繰り返す。 

この試験は破壊試験であるため,評価を完了させるために十分な数量(6本)の試料が必要になる。 

4.6.3.2 

グラウンドコード破断強度 

試験用グラウンドコードは,クランプでワイヤの直線部分(ワイヤの終端部は含まない)をつかんで引

張試験機に固定する。引張試験機を動作させて,ワイヤを破断点まで引っ張る。 

4.6.3.3 

グラウンドコード接続部強度 

グラウンドコード接続部強度は,接地接続用端子とグラウンドコードとの接続部及びリストバンド接続

用端子とグラウンドコードとの接続部に対して測定する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験用グラウンドコードは,グラウンドコードを試験機のクランプでつかみ,接地接続用端子又はリス

トバンド接続用端子を他方のクランプでつかんで引張試験機に固定する。引張試験機を動作させ,各々の

グラウンドコードの接続部が破壊又はワイヤが破断するまで,グラウンドコードに張力を加える。 

4.6.3.2の試験に用いたグラウンドコードが十分に長く,引張試験機に固定できる場合には,この試験に

用いてもよい。 

4.6.4 

報告 

グラウンドコード破断強度及び両接続部の破壊強度又は分離強度を,報告する。 

グラウンドコード破断強度に対する端子部強度の百分率(%)の算出は,次の式による。 

端子部強度の百分率(%)

100

×

強度

グラウンドコード破断

は分離強度)

端子部の破壊強度(又

4.7 

グラウンドコードの伸張性の試験 

4.7.1 

試験の目的 

この試験は,リストバンドと抵抗計との距離を製造業者が指定する作業長さまで伸張させたときの,使

用中におけるリストストラップの電気的連続性を測定することを目的とする。 

伸縮性のあるグラウンドコード(コイル状のコード)は,ユーザの手首からリストバンドを引き離した

り,4.11に規定する電気的連続性が中断したりすることなく,製造業者が指定する作業長さ(一般的な長

さとして1.5 m〜3.0 mの範囲)まで伸張できるかを確認する。 

4.7.2 

グラウンドコードの伸張性の試験手順 

リストストラップを装着した状態で,4.11で規定するリストストラップシステムの電気的連続性の測定

中に,リストバンドと計測器との間のグラウンドコードをリストストラップの製造業者が指定する作業長

さの距離だけ伸張させる。 

この試験は,リストストラップシステムの電気的連続性の測定に用いる計測器の落下を防止するために,

二人の要員が必要になる場合がある。 

4.8 

屈曲寿命試験 

4.8.1 

試験の目的 

この試験では,グラウンドコードの屈曲寿命を測定することを目的とする。 

4.8.2 

試験装置 

試験装置は,次のもので構成する。 

a) グラウンドコード屈曲試験装置 毎時約2 000サイクル(約30回転/分)の割合で,(120±5)°の

弧状のストレス機構をもつもの(屈曲試験装置の例は,図2参照。) 

注記1 屈曲試験装置は,一度に複数のグラウンドコードの試験ができるものでもよい。グラウン

ドコードの両端又は複数のグラウンドコードを同時に試験することができる試験装置が

考案されている。 

注記2 グラウンドコードにおけるリストバンド接続用端子(凹部スナップ部)と接地端子接続用

端子(バナナプラグ部)との間におもりを取り付ける。 

b) おもり 質量(0.45±0.1)kgのもの 

c) 抵抗計又はその他の測定器 開回路において7 V〜100 Vとなる直流試験電圧を印加して,50 kΩ〜100 

MΩの抵抗値の読取りができるもの 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

  

抵抗計又はその他の測定器(開回路における直流印加電圧として7 V〜100 V) 

1a コモン端子 
1b 正極端子 

凹形スナップ部a) 

グラウンドコード 

モータ制御部 

モータ:30回転/分のもの 

回転板 

ストレス機構 

固定用治工具 

バナナプラグ部a) 

10 カウンタ部b) 
11 固定ねじ 
12 おもり:質量(0.45±0.1)kgをコード接続部から15 cm離れた箇所に取り付ける。 
注a) バナナプラグ部における試験を図示している。凹形スナップ部についても同じ試験を繰り返す。 

b) 回転板の1回転を試験の1サイクルとする。 

図2−屈曲試験装置(例) 

4.8.3 

手順 

グラウンドコード接続部の一方を,ストレス機構に取り付ける。グラウンドコードの試験側から15 cm

の位置に質量0.45 kgのおもりを取り付ける。グラウンドコード接続部のもう一方を抵抗計に接続し,グラ

ウンドコードが自由な状態となるようにつ(吊)るす。抵抗測定ケーブルを,抵抗計に接続する(図2参

照)。 

屈曲試験装置を起動する。試料6本のコードについて,それぞれのリストバンド接続用端子(凹部スナ

10 

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ップ部)及び接地接続用端子(バナナプラグ部)をストレス機構部分に取り付けて,試験を行う。 

4.8.4 

報告 

回路全体の抵抗値がユーザ指定値を超えるか,又はコードの被覆材,ストレインリリーフなどの外観的

な不具合がある場合,グラウンドコードに不具合が発生したとみなす。各々のグラウンドコードの寿命(不

具合の発生)は8 000サイクル以上,かつ,全ての試料における平均寿命は16 000サイクル以上とする。

試験結果を,報告する。 

4.9 

製造業者の識別 

リストストラップには,見やすい位置に製造業者名又はロゴを,エンボス加工,モールド加工又はその

他の耐久性のある印字方法で表示する。 

4.10 規格に示す限度値以外の抵抗値をもつリストストラップの識別 

規格に示す限度値以外の抵抗値(5 MΩ以上の抵抗値)をもつリストストラップは,視認可能な特徴又

は抵抗値をグラウンドコード上又は抵抗を含むリストストラップ(通常はグラウンドコードに含まれる)

に表示する。 

4.11 リストストラップの連続性及び抵抗値測定 

4.11.1 試験の目的 

この試験は,リストストラップの抵抗値の測定を目的とする。 

4.11.2 装置 

装置は,開回路において7 V〜100 Vとなる直流試験電圧を印加して,50 kΩ〜100 MΩの抵抗値の読取

りができる抵抗計又は他の測定器で構成する。 

4.11.3 手順 

グラウンドコードを,リストバンドに接続する。 

グラウンドコードの接続部(接地接続用端子)に抵抗計のリード線を接続する(一般的にはワニ口クリ

ップを用いる)。 

リストバンドを,皮膚と接触する面を表にして絶縁板上に置く。 

皮膚と接触する面が金属製の皮膚接触プレートをもつリストバンドの場合,抵抗計のもう一つのリード

線を手で押し付けて,リストバンドの皮膚と接触する面に触れさせる。金属製の皮膚接触プレートをもた

ないリストバンドの場合,円形の金属(導電性のコイン又は公称直径12 mmの金属)をリストバンドの導

電面に置いて,そこに抵抗計のもう一つのリード線を手で押し付けて,抵抗計の接触面を確保する。 

リストストラップの抵抗値を測定する。 

合計6個のリストストラップについて試験を繰り返す。 

4.11.4 報告 

各リストストラップの抵抗値を記録し,報告する。個々の電流制限抵抗は,グラウンドコードとリスト

バンドとの接続部近傍に配置するのが望ましい。 

4.12 リストストラップシステムの連続性試験 

4.12.1 試験の目的 

この試験では,リストストラップシステムの抵抗経路の連続性を,リストストラップチェッカ又は抵抗

計を用いて検証することを目的とする。試験は,ユーザの手首にリストストラップを装着した状態で行う。

この試験では,全システムの抵抗の一部としてリストストラップのユーザの抵抗を含める。 

4.12.2 装置 

試験装置は,次のもので構成する。 

background image

11 

C 61340-4-6:2016 (IEC 61340-4-6:2015) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 抵抗計又はリストストラップチェッカ 開回路において7 V〜100 Vとなる直流試験電圧を印加して,

50 kΩ〜100 MΩの抵抗値の読取りができ,かつ,0.05 mAの電流制限ができるもの。 

− 手持ち金属電極 ステンレス鋼製で,長さ(15.0±0.1)cm,直径(2.5±0.1)cmの円筒形とする。た

だし,抵抗器による試験だけに用いる[図3 a) 参照]。 

a) 抵抗計による試験 

b) リストストラップチェッカによる試験 

1 リストバンド 
2 手持ち金属電極 
3 抵抗計 
4 抵抗計ケーブル 
5 グラウンドコード 
6 リストストラップチェッカ 
7 人体接触部 

図3−リストストラップシステムの抵抗値試験 

12 

C 61340-4-6:2016 (IEC 61340-4-6:2015) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.12.3 抵抗計による試験手順 

ユーザの手首にリストバンドを装着する。リストバンドにグラウンドコードを接続し,抵抗計のコモン

(−)端子にグラウンドコードを接続する。電極ケーブルを用いて,抵抗計の正極(+)端子に手持ち金

属電極を接続する。リストバンドを装着した方の手で金属電極を握る。リストストラップシステムの抵抗

値を測定し記録する[図3 a) 参照]。 

4.12.4 リストストラップチェッカによる試験手順 

リストストラップシステムを介する人体の接地に関して,最終ユーザの要求事項に確実に適合する抵抗

値を決定し,チェッカに設定する。 

リストバンドを,ユーザの手首に装着する。リストバンドにグラウンドコードを接続し,チェッカにグ

ラウンドコードを接続する。リストバンドを装着した方の手でチェッカの人体接触部に触って,チェッカ

を製造業者の取扱説明書に従って起動し,判定する。リストストラップシステムの“合格(pass)”又は“不

合格(fail)”の合否判定結果を記録する[図3 b) 参照]。 

4.12.5 報告 

リストストラップチェッカによる試験の場合,リストストラップチェッカの“合格(pass)”表示は,リ

ストストラップシステムが合格したものとして報告する。 

抵抗計による試験の場合,35 MΩ以下又はユーザが指定する抵抗値範囲によって,リストストラップシ

ステムが合格したものとして報告する。 

13 

C 61340-4-6:2016 (IEC 61340-4-6:2015) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

IEC 61340-5-1,Electrostatics−Part 5-1: Protection of electronic devices from electrostatic phenomena−General 

requirements 

IEC/TR 61340-5-2,Electrostatics−Part 5-2: Protection of electronic devices from electrostatic phenomena−

User guide 

ANSI/ESD S1.1:2006,Wrist straps