C 61340-4-4:2015
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 2
2 引用規格························································································································· 3
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 分類······························································································································· 5
4.1 FIBCの分類に関する原則································································································ 5
4.2 内袋の分類及び要求仕様に関する原則················································································ 6
4.3 FIBCと内袋との組合せ··································································································· 7
5 FIBCの安全な使用方法 ····································································································· 7
6 ラベル表示 ······················································································································ 9
7 FIBCの要求事項 ············································································································· 12
7.1 一般的事項 ·················································································································· 12
7.2 着火エネルギーが3 mJを超える粉じん環境下での要求事項(タイプB,タイプC及びタイプDに適
用) ·································································································································· 12
7.3 可燃性ガス若しくは蒸気雰囲気又は着火エネルギー3 mJ以下の粉じん環境下での要求事項 ········· 12
8 前処理,校正及び試験の環境 ····························································································· 13
8.1 前処理時間 ·················································································································· 13
8.2 絶縁破壊電圧及び接地可能接続点までの抵抗測定 ································································ 13
8.3 着火試験 ····················································································································· 13
9 試験手順························································································································ 13
9.1 絶縁破壊電圧 ··············································································································· 13
9.2 着火試験 ····················································································································· 14
9.3 接地可能接続点までの抵抗 ····························································································· 23
10 試験報告書 ··················································································································· 25
10.1 全ての試験 ················································································································· 25
10.2 絶縁破壊試験 ·············································································································· 25
10.3 着火試験 ···················································································································· 25
10.4 接地可能接続点に対する抵抗試験 ··················································································· 25
10.5 内袋の表面抵抗率試験 ·································································································· 25
10.6 認定試験機関による試験報告書の場合 ············································································· 25
附属書A(参考)絶縁破壊電圧−典型的な電圧・時間曲線の例····················································· 27
附属書B(参考)着火試験に用いるポリプロピレンペレット ························································ 28
附属書C(参考)製造時の品質管理方法の指針 ········································································· 29
附属書D(規定)危険区域及びゾーンの分類 ············································································ 31
附属書E(参考)コーン放電に関するリスク············································································· 32
C 61340-4-4:2015 目次
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ページ
附属書F(参考)抵抗及び抵抗率の許容値についての解説 ··························································· 33
附属書JA(参考)タイプC(ランニングタイプ)の接地可能接続点までの抵抗についての解説 ········· 34
附属書JB(参考)接地可能接続点までの抵抗測定用の電極 ························································· 36
附属書JC(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 38
C 61340-4-4:2015
(3)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本
電子部品信頼性センター(RCJ)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本
工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
工業規格である。
これによって,JIS C 61340-4-4:2009は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 61340-4の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 61340-4-1 第4-1部:特定応用のための標準的な試験方法−床仕上げ材及び施工床の電気抵抗
JIS C 61340-4-3 第4-3部:特定応用のための標準的試験方法−履物
JIS C 61340-4-4 第4-4部:特定応用のための標準的試験方法−フレキシブルコンテナの静電気的分
類
JIS C 61340-4-5 特定応用のための標準的試験方法−人体と組み合わせた履物及び床システムの静電
気防止性能の評価方法
JIS C 61340-4-7 第4-7部:特定応用のための標準的試験方法−イオナイザ
JIS C 61340-4-8 第4-8部:特定応用のための標準試験方法−放電遮蔽−バッグ
JIS C 61340-4-9 第4-9部:特定応用のための標準試験方法−衣服(予定)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 61340-4-4:2015
静電気−第4-4部:
特定応用のための標準的試験方法−
フレキシブルコンテナの静電気的分類
Electrostatics-Part 4-4: Standard test methods for specific applications-
Electrostatic classification of flexible intermediate bulk containers (FIBC)
序文
この規格は,2012年に第2版として発行されたIEC 61340-4-4及びAmendment 1(2014)を基とし,国
内における調査・実験結果を反映し,かつ,その他規格との整合性を確保するため,技術的内容を変更し
て作成した日本工業規格である。ただし,追補(amendment)については,編集し,一体とした。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JCに示す。また,附属書JA及び附属書JBは対応国際規格に
はない事項である。
フレキシブルコンテナ(以下,FIBCという。)は,粉体,フレーク及びか(顆)粒の貯蔵,輸送及び取
扱いに広く用いられる。通常,FIBCは,ポリプロピレン織布,樹脂シート又は紙のような柔軟な材料で作
られ,0.25 m3〜3 m3と容積は様々であるが,通常約1 m3の立方体(又は円筒状)の形状をもつ。材料には,
単層,多層積層又はコーティングしたものを用いる。何も処理をしていない材料は,電気的絶縁物であり,
この材料がFIBCに通常用いられる。静電気は,充塡及び排出という工程でごく普通に発生し,何も防護
されていないFIBCには,高いレベルの電荷が急速に蓄積する。このような場合,静電気放電の発生が避
けられず,FIBCを危険な爆発性雰囲気で用いる場合,深刻な問題となることがある。
危険な爆発性雰囲気は,微粉体を取り扱う場合,粉じん雲又は薄い粉じん層が形成されたときに生じ,
静電気放電で着火することがある。危険な爆発性雰囲気は,ガス又は揮発性溶剤を用いる場合にも形成さ
れる。このような産業工程では,着火性静電気放電を除去することが不可欠である。
産業機器類と同様に,潜在的に危険のある状況下でFIBCを用いる前に,その都度,完全なリスクアセ
スメントを実施することが望ましい。この規格は,製造業者,仕様作成業者及び一般の使用者が,危険な
爆発性雰囲気で用いるFIBCのリスクアセスメントの一部として用いるための,分類システム,試験方法,
性能,設計上の要求及び安全な取扱方法を規定する。ただし,この規格は,特定の静電気放電のリスク,
すなわち,FIBC内部で生じるコーン放電,人体からの放電又はFIBCの近傍で用いる装置類からの放電に
対する評価手順は含まない。コーン放電に関連したリスクについての情報は,附属書Eに示す。
注記 この規格に示す試験方法には,高電圧電源及び可燃性ガスを用いる方法が含まれており,特に,
不適格又は経験不足の者が誤って用いた場合,危険を生じることがある。この規格の使用者は,
試験を実行する前に的確なリスクアセスメントを実施し,かつ,国内法令を遵守することが求
められる。
2
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1
適用範囲
この規格は,危険な爆発性雰囲気での使用を意図し,0.25 m3〜3 m3の容積をもつFIBCに対する要求事
項について規定する。危険な爆発性雰囲気は,FIBCの内容物によって形成される場合及びFIBCの外部に
存在する場合がある。
要求事項には,次のものを含む。
− FIBCの分類及びラベル表示
− 内袋の分類
− 各タイプに対するFIBC及び内袋の要求仕様並びに試験方法
− FIBC及び内袋の設計及び性能要求
− 可燃性粉じんが存在する又は存在するかもしれない場所(IEC 60079-10-2)及びガスによる爆発性雰
囲気(IEC 60079-10-1)で規定する,爆発危険区域として定義する様々なゾーン内で用いるFIBC(内
袋との併用を含む。)の安全な使用方法
− 内袋の安全な使用方法を含む,FIBCの形式認証及び認証の手順
注記1 製造時の品質管理に用いる試験方法の指針を附属書Cに示す。
この規格の要求事項は,製造後,使用に先立って試験を行い,危険な爆発性雰囲気,すなわち,ゾーン
1及びゾーン2(グループIIA及びグループIIBに限る。)並びにゾーン21及びゾーン22(危険区域の分類
及び爆発グループは,附属書D参照)において用いることを意図する全てのタイプのFIBC及び内袋に適
用する。あるタイプのFIBC(タイプD)に対しては,この規格の要求事項は,静電気の発生電流が3.0 µA
以下のとき,最小着火エネルギーが0.14 mJ以上となる危険な爆発雰囲気で用いる場合に限って適用する。
注記2 最小着火エネルギー0.14 mJは,グループIIBのガス又は蒸気の代表的な最小着火エネルギー
である。これよりも鋭感な物質もあるが,0.14 mJは,FIBCの排出時に存在する可能性があ
る物質の中で最低の最小着火エネルギーである。静電気の発生電流3.0 µAは,通常の産業工
程で観測すると考えられる静電気の発生電流の最大値である。したがって,この最小着火エ
ネルギーと発生電流との組合せは,実工程で想定される最も厳しい条件を代表するものであ
る。
この規格の要求事項に適合することは,必ずしもFIBCの内容物によって危険な静電気放電,例えば,
コーン放電が生じないことを保証するものではない。コーン放電に関連したリスクについての情報は,附
属書Eに示す。
この規格の要求事項に適合する場合であっても,完全なリスクアセスメントの必要性を軽減できるもの
ではない。例えば,金属及びその他の導電性の粉じん及びトナーは,粉じんそのものからの危険な放電を
防止するためには追加的な注意が必要である。
注記3 上記の段落で示した例のうち,金属又はその他の導電性粉じんの場合は,これらが絶縁状態
で帯電したときに着火性火花放電を生じることがあり,また,トナーの場合は,急速な充塡
及び排出時に着火性放電を生じることがあるため,追加的な注意が必要となる。IEC/TS
60079-32-1は,必要な追加的な注意についての指針となる。
この規格に規定する試験方法は,例えば,リスクアセスメントの結果,関連する物質の最小着火エネル
ギーが0.14 mJ未満である,静電気の発生電流が3.0 µAを超える,又は環境条件がこの規格に示す範囲外
であった場合,その性能要求事項に対する試験方法として用いることもできる。
この規格に規定する要求事項に適合することは,必ずしも,通常のFIBC作業においてFIBCから人体へ
の静電気の電撃が生じないことを保証するものではない。
3
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61340-4-4:2012,Electrostatics−Part 4-4: Standard test methods for specific applications−
Electrostatic classification of flexible intermediate bulk containers (FIBC)及びAmendment
1:2014(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 2110-1:2010 固体電気絶縁材料−絶縁破壊の強さの試験方法−第1部:商用周波数交流電圧印
加による試験
注記 対応国際規格:IEC 60243-1:1998,Electrical strength of insulating materials−Test methods−Part
1: Tests at power frequencies(MOD)
JIS C 2110-2 固体電気絶縁材料−絶縁破壊の強さの試験方法−第2部:直流電圧印加による試験
注記 対応国際規格:IEC 60243-2,Electric strength of insulating materials−Test methods−Part 2:
Additional requirements for tests using direct voltage(IDT)
JIS C 2170:2004 静電気電荷蓄積を防止する固体平面材料の抵抗及び抵抗率試験方法
注記 対応国際規格:IEC 61340-2-3,Electrostatics−Part 2-3: Methods of test for determining the
resistance and resistivity of solid planar materials used to avoid electrostatic charge accumulation
(IDT)
JIS Z 1651:2008 非危険物用フレキシブルコンテナ
注記 対応国際規格:ISO 21898,Packaging−Flexible intermediate bulk containers (FIBCs) for
non-dangerous goods(MOD)
ISO 7000,Graphical symbols for use on equipment−Registered symbols
IEC 60079-10-1,Explosive atmospheres−Part 10-1: Classification of areas−Explosive gas atmospheres
IEC 60079-10-2,Explosive atmospheres−Part 10-2: Classification of areas−Combustible dust atmospheres
IEC 60417-5019:2006,Graphical symbols for use on equipment
IEC 61241-2-3,Electrical apparatus for use in the presence of combustible dust−Part 2: Test methods−
Section 3: Method for determining minimum ignition energy of dust/air mixtures
ASTM E582,Standard test method for minimum ignition energy and quenching distance in gaseous mixtures
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,IEC 60079-10-1,IEC 60079-10-2及びJIS Z 1651によるほか,
次による。
3.1
消炎(quenching)
固体が,ガスの近傍において熱吸収物として作用すること。
4
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2
臨界消炎距離(critical quenching distance)
特定のエネルギー条件において,消炎によって着火が妨げられる電極間隙の最大値。
注記 着火が生じるためには,電極間隙は,臨界消炎距離を超える必要がある。
3.3
可燃性物質(flammable substance)
ガス,蒸気,液体,固体又はこれらの混合物であって,着火源にさらしたときに燃焼の伝ぱ(播)が生
じるもの。
3.4
爆発性雰囲気(explosive atmosphere)
大気圧の条件下で,ガス,蒸気,ミスト又は粉じんの状態の可燃性物質と空気との混合物であって,着
火が生じた場合,火炎が未燃域全体に広がるもの。
3.5
危険な爆発性雰囲気(hazardous explosive atmosphere)
着火に対して予防措置を必要とする規模の爆発性雰囲気。
3.6
最小着火エネルギー(minimum ignition energy)
粉じん,ガス又は蒸気を着火させるために必要な純静電容量性火花放電(インダクタンスなし)のエネ
ルギーの最小値。
3.7
発生電流(charging current)
1秒間にFIBCに流れ込む電荷量。
3.8
コーン放電(cone discharge)
大きな容器の中で,強く帯電した非導電性の堆積粉体の頂点から,その表面に沿って外向きに走る静電
気放電。
3.9
ブラシ放電(brush discharge)
非導電性の固体又は液体の表面から発生する静電気放電。
3.10
火花放電(spark)
絶縁した導電性物体又は表面から発生する静電気放電。
3.11
沿面放電(propagating brush discharge)
導電性物体の表面に密着した絶縁性のシート,層若しくはコーティングから,又は抵抗率が高くかつ絶
縁破壊強度が大きな面状物体でその両面が互いに逆極性に強く帯電したものから発生する非常に強力な放
電。
3.12
内袋(inner liner)
一体化した又は脱着式の袋であってFIBCに適合するもの[内装袋(liner)と同義である]。
5
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.13
表面抵抗率(surface resistivity)
正方形の対辺に電極を配置して測定した物体の表面抵抗と等価の値。
3.14
体積抵抗率(volume resistivity)
1辺が単位長(1 m)の立方体の対向する面に電極を配置して測定した体積抵抗と等価の値。
3.15
形式認証試験(type qualification testing)
4.1に規定するFIBCのタイプを決定し,かつ,FIBCが箇条7の要求事項に適合することを証明するた
めに行う試験。
3.16
品質管理試験(quality control testing)
製造業者及び使用者に対して,製造及び頒布した全てのFIBCが,FIBCの形式認証試験に用いた試験用
FIBCと実質的に同一のものであることを示す情報を提供するように計画した試験。
3.17
接地可能接続点(groundable point)
FIBCを接地するため,接地ケーブル,ボンディングケーブル又はその他の器具を接続する,製造業者が
設計した端子。
注記 FIBCには一つ以上の接地可能接続点を設ける場合がある。つ(吊)り具を接地可能接続点とし
て設計することは可能であるが,つ(吊)り金具が塗装・コーティング又は粉じんで覆われて
いる場合は,これを介して接地することは困難となるため,適切な接地経路とはならないこと
がある。
4
分類
4.1
FIBCの分類に関する原則
FIBCは,タイプA,タイプB,タイプC及びタイプDの4タイプに分類する。各タイプは,FIBCの構
造,用途の性質及び関連する性能要求によって定義する。
各々の設計で作られたFIBCのタイプの割当ては,一つに限られる。例えば,一つのFIBCを,同時にタ
イプBとタイプDの両方に,又はタイプCDのように分類することはできない。
4.1.1
タイプA
タイプAは,織布又は樹脂シートで作り,静電気の蓄積に対して何ら対策をしない。箇条7に規定する
要求事項に適合しないFIBC,又は,試験を受けていないFIBCはタイプAに分類する。
4.1.2
タイプB
タイプBは,織布又は樹脂シートで作り,火花放電及び沿面放電の発生を防止できるように設計する。
4.1.3
タイプC
タイプCは,導電性の織布若しくは樹脂シート,又は導電性の糸若しくは繊維を織り込んで作り,着火
性の火花放電,ブラシ放電及び沿面放電の発生を防止できるように設計する。タイプCは,内容物の充塡
及び排出作業中に接地できるように設計する。
4.1.4
タイプD
タイプDは,帯電防止織布で作り,FIBCを接地することなく着火性の火花放電,ブラシ放電及び沿面
6
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
放電を防止できるように設計する。
4.2
内袋の分類及び要求仕様に関する原則
4.2.1
内袋の表面抵抗率測定法
表面抵抗率は,JIS C 2170の規定に従って測定する。内袋の表面全体に均等に10点以上測定する。全て
の測定値がそのタイプの許容値以内とする。
4.2.2
特殊な場合
二層の絶縁層で金属層を挟んだ材料で製造された内袋は,タイプB又はタイプDには用いない。そのよ
うな内袋をタイプCに用いる場合,金属層を本体の接地可能接続点に確実に導通させる。このときの絶縁
層の厚さは,700 µm未満とし,それぞれの絶縁層は,各表面におかれた電極と導電層との間で,その絶縁
破壊電圧が,8.2に規定する条件において9.1の規定に従って測定したとき,4 kV未満とする。
注記 着火性のブラシ放電を防止するため,非絶縁性層と密着する絶縁層が露出しているものは,そ
の絶縁層の厚さを700 μm未満に制限する。
4.2.3
タイプL1内袋
タイプL1内袋は,少なくとも一方の面の表面抵抗率が,8.2に規定する条件において測定したとき,1.0
×107 Ω以下となる材料で製造する(附属書F参照)。タイプL1内袋は,タイプCに用いることができる。
一方の面が1.0×1012 Ωを超える表面抵抗率をもつ材料の場合,その絶縁破壊電圧が,8.2に規定する条
件において9.1の規定に従って測定したとき,4 kV未満とする。
注記 (対応国際規格から,“内袋が多層構造材料の場合”を削除した。)
内袋の内側(粉体と接触する側)の材料が,1.0×1012 Ωを超える表面抵抗率をもつ場合,その層の厚さ
は700 µm未満とする。
タイプL1内袋が許容する構成及びその要求事項を,表1に示す。
表1−タイプL1内袋が許容する構成及びその要求事項
構成
性能
内側の表面抵抗率(ρi)
Ω
外側の表面抵抗率(ρo)
Ω
絶縁破壊電圧(VB)
kV
厚さ(d)
μm
1
ρi≦1.0×107
ρo≦1.0×107
測定不要
制限なし
2A
ρi≦1.0×107
ρo≦1.0×1012
測定不要
制限なし
2B
ρi≦1.0×1012
ρo≦1.0×107
測定不要
制限なし
3
ρi≦1.0×107
ρo>1.0×1012
VB<4
制限なし
4
ρi>1.0×1012
ρo≦1.0×107
VB<4
d<700
4.2.4
タイプL2内袋
タイプL2内袋は,少なくとも一方の面の表面抵抗率が,8.3に規定する条件において測定したとき,1.0
×109 Ωと1.0×1012 Ωとの間となる材料で製造する(附属書F参照)。タイプL2内袋は,タイプB,タイ
プC又はタイプDで用いることができる。
タイプL2内袋をタイプCで用いる場合,発生電流は3 µAを超えてはならない。
一方の面が1.0×1012 Ωを超える表面抵抗率をもつ材料の場合,その絶縁破壊電圧が,8.2に規定する条
件において9.1の規定に従って測定したとき,4 kV未満とする。
注記 (対応国際規格から,“内袋が多層構造材料の場合”を削除した。)
内袋の内側(粉体と接触する側)の材料が,1.0×1012 Ωを超える表面抵抗率をもつ場合,その層の厚さ
7
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
は700 μm未満とする。
タイプL2内袋が許容する構成及びその要求事項を,表2に示す。
表2−タイプL2内袋が許容する構成及びその要求事項
構成
性能
内側の表面抵抗率(ρi)
Ω
外側の表面抵抗率(ρo)
Ω
絶縁破壊電圧(VB)
kV
厚さ(d)
μm
1
1.0×109≦ρi≦1.0×1012
1.0×109≦ρo≦1.0×1012
測定不要
制限なし
2
1.0×109≦ρi≦1.0×1012
ρo>1.0×1012
VB<4
制限なし
3
ρi>1.0×1012
1.0×109≦ρo≦1.0×1012
VB<4
d<700
4.2.5
タイプL3内袋
タイプL3内袋は,表面抵抗率が,8.2に規定する条件において測定したとき,1.0×1012 Ωを超える材料
で製造する。タイプL3内袋は,タイプBに使用することができる。
材料の絶縁破壊電圧が,8.2に規定する条件において9.1の規定に従って測定したとき,4 kV未満とする。
タイプL3内袋が許容する構成及びその要求事項を,表3に示す。
表3−タイプL3内袋が許容する構成及びその要求事項
構成
性能
内側の表面抵抗率(ρi)
Ω
外側の表面抵抗率(ρo)
Ω
絶縁破壊電圧(VB)
kV
厚さ(d)
1
ρi>1.0×1012
ρi>1.0×1012
VB<4
制限なし
4.3
FIBCと内袋との組合せ
FIBCに内袋を入れてもFIBCの分類には変化はない。例えば,タイプL1内袋をタイプAに入れてもタ
イプAのままであり,タイプAの使用上の全ての制限を受ける。
FIBC及び内袋に要求される絶縁破壊電圧は,各々に適用する。タイプB,タイプC及びタイプDに絶
縁破壊電圧の要求事項をもつ内袋を入れる場合,二つの絶縁破壊電圧測定試験を要求する。すなわち,一
つはFIBC材料に対する試験であり,もう一つは内袋の材料に対する試験である。例えば,タイプBとタ
イプL3内袋との組合せの場合,FIBCの材料の絶縁破壊電圧は,材料そのものを測定して6 kV未満とし,
それとは別に,内袋の材料に対する絶縁破壊電圧測定を行い,4 kV未満とする。
5
FIBCの安全な使用方法
FIBCが適合しなければならない要求事項及び仕様,並びにFIBCの使用方法は,充塡及び排出作業中に
存在する爆発性雰囲気の性質及び感度によって異なる。FIBCの構造を決める究極的な目標は,その意図す
る使用中において,FIBCから発生する着火性放電を除去することである。この規格の要求事項に適合する
構造をもつFIBCは,コーン放電,帯電した導電性の材料からの火花放電などの危険な静電気放電がFIBC
の内容物によって発生しないことを保証するものではない。コーン放電に関連したリスクについての情報
は附属書Eに記す。
静電気放電,例えば,火花放電,ブラシ放電及び沿面放電の着火能力は,それぞれの放電で異なる。こ
れら放電の除去の必要性,並びにそのためのFIBCの要求事項及び仕様はFIBCの用途に依存する。各タイ
8
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
プのFIBCの用途条件を表4に示す。
表4−各タイプのFIBCの用途
FIBCの内容物
周囲の条件
粉体の最小着火エネルギー
(MIE)a)
mJ
不燃性雰囲気
粉じん危険区域ゾーン
21-22b)
(1 000 mJ≧MIE>3 mJ)a)
ガス危険区域ゾーン1-2b)
(爆発グループIIA及びIIBに限る)b)
又は
粉じん危険区域ゾーン21-22b)
(MIE≦3 mJ)a)
MIE>1 000
A,B,C,D
B,C,D
C,Dc)
1 000≧MIE>3
B,C,D
B,C,D
C,Dc)
MIE≦3d)
C,D
C,D
C,Dc)
注記1 可燃性ガス又は蒸気の雰囲気がFIBCの内部に存在する場合(例えば,溶剤を含浸した粉体の場合),通常,
追加的な注意が必要になる。
注記2 MIE>1 000 mJの粉体は,不燃性雰囲気に含まれる。
注a) IEC 61241-2-3の規定に従って測定した値(インダクタンスを付加しない容量性放電)。
b) 危険区域,ゾーン及び爆発グループは,附属書Dによる。
c) タイプDの使用は,爆発グループIIA及びIIBで,MIE≧0.14 mJのものに限る。
d) 3 mJの制限については,コーン放電と関連がある。附属書E参照。
内袋がFIBCに装備される場合,危険な爆発性雰囲気でFIBCを安全に用いる能力が変化することがある。
危険な爆発性雰囲気で安全に用いることができるFIBCと内袋との組合せを表5に示す。FIBC及び内袋そ
れぞれの要求事項に加えて,それぞれのFIBCと内袋の組合せが適合しなければならない要求事項がある。
この要求事項もまた表5に示す。
表5−内袋とFIBC:危険な爆発雰囲気で使用可能及び使用不可能な組合せ
FIBC
内袋
タイプL1
タイプL2
タイプL3
タイプB
使用不可
使用可
使用可
タイプC
使用可a)
使用可
使用不可
タイプD
使用不可
使用可b)
使用不可
注a) 内袋が確実に接地されていることを保証するために,内袋の少なくとも1面からFIBCの接地可能接続点まで
の抵抗は,8.2に規定する条件において9.3の規定に従って測定したとき,組み合わせるタイプCの接地可能
接続点までの抵抗(1.0×107 Ω未満又は1.0×108 Ω未満)以下でなければならない(7.3.1参照)。
b) FIBCと内袋との組合せは,8.3に規定する条件において試験したとき7.3.2に規定する要求事項に適合しなけ
ればならない。
さらに,次の追加的な注意を要する。
− 内袋のタイプに関係なく,タイプAは危険な爆発性雰囲気で用いてはならない。
− 危険な爆発性雰囲気において,排出後,空になったFIBCから内袋を取り外してはならない。
絶縁された導体(工具,ボルト,クリップなど)は,FIBCの充塡及び排出作業中,いかなるFIBCにも
格納,取付け,及び一時的保管をしてはならない。タイプCであっても,材料の大まかな性質,例えば,
表面の凹凸など,によっては,FIBC上に置かれた導体がFIBCの素材の導電性部分と良好に接触しないこ
とがある。
一般安全指針(IEC/TS 60079-32-1参照)に従って,人体,タイプC及びFIBCの導電性の内容物を含む,
危険な爆発性雰囲気にある全ての導体は正しく接地する。タイプDは,導体となることを考慮しておらず,
9
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
接地することを要求していない。
着火危険性を生じたり,電荷の拡散が阻害したりしないようにするため,FIBCが水,さび,油,グリー
ス及びその他の物質によって汚染されないよう事前の措置を行うことが望ましい。
6
ラベル表示
この規格に適合することを宣言するFIBCは,恒久的なラベルを貼るか又は他の手段によって,少なく
とも次の項目を含む永続性のある表示をする。
a) 規格番号JIS C 61340-4-4
b) タイプB,タイプC及びタイプDでは,FIBCタイプの表示(タイプ表示は目視で容易に識別できる
ように強調する。)。
注記 タイプAは,ラベル表示を要しない。
c) タイプB,タイプC及びタイプDでは,静電気保護を示すISO 7000-2415(2004-01)のシンボル。た
だし,タイプCであって,7.3.1に規定する接地可能接続点までの抵抗が1.0×108 Ω未満のものを除く。
d) タイプBでは,“粉じん危険区域ゾーン21-22(MIE>3 mJの粉じんに限る。)で使用可能。”
e) タイプCでは,“粉じん危険区域ゾーン21-22及びガス危険区域ゾーン1-2(爆発グループIIA又はIIB
に限る。)で使用可能。”
f)
タイプDでは,“粉じん危険区域ゾーン21-22及びガス危険区域ゾーン1-2(爆発グループIIA又はIIB
でMIE≧0.14 mJに限る。),かつ,静電気の発生電流が3 µA以下のときに使用可能。”
g) タイプCでは,“FIBCは製造業者の指示に従い,正しく接地する。”
h) タイプDでは,“FIBCは接地不要。”
i)
タイプB,タイプC及びタイプDでは,“電気的特性は,通常の使用,汚損及び修繕によって影響を
受ける可能性がある。”
j)
タイプB,タイプC及びタイプDでは,“FIBCの充塡及び排出作業中は,作業員を含む全ての導体を
接地する。”
k) 認定試験機関及び認証番号(中立な試験機関で認証されたFIBCに限る。)
タイプCにおける接地接続点には,図4に例示するように,接地シンボル[IEC 60417-5019(2006-08)
参照]のラベルを貼る又はマークを描く。ラベル又はマークの背景の色は黄とし,文字は黒とする。ラベ
ル又はマークは,その他の目的で設けられた別のラベル又はマークに統合してもよい。
各タイプのFIBCのラベルの例を図1〜図3に示す。これらのラベルの例において,規格番号,静電気保
護を示すシンボル及びFIBCタイプの表示は変更してはならないが,文言は,意味が同じであれば変更し
てもよい。
10
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
背景は黄色
図1−タイプB用ラベルの例
背景は黄色
図2−タイプC用ラベルの例(接地可能接続点までの抵抗が1.0×107 Ω未満のもの)
背景は黄色
注記 これはランニングタイプのタイプCであって,接地可能接続点までの抵抗が1.0×108 Ω未満のものの例である。
IEC 61340-4-4:2012とは完全には一致していないため,識別のため,静電気保護を示すISO 7000-2415(2004-01)
のシンボルは表示しない。
図2A−タイプC用ラベルの例(接地可能接続点までの抵抗が1.0×108 Ω未満のもの)
11
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
背景は黄色
図3−タイプD用ラベルの例
背景は黄色
図4−タイプCの接地接続点表示ラベルの例
FIBCのラベル又はマークは,この規格の要求事項に反するものであってはならない。また,分類又は使
用制限に混乱をきたすものであってはならない(例えば,“タイプCD”は認めない。)。その他の文字,シ
ンボルなどをタイプ表示に追加してはならない(例えば,“タイプD+”は認めない。)。
試験に用いたFIBCがラベルを取り付ける製品を代表するものであることの保証は,そのFIBCの製造業
者の責任において行う。
タイプBのラベルは,表面抵抗率が,8.2に規定する条件においてJIS C 2170の規定に従って測定した
とき,1.0×109 Ω以上の材料で作らなければならない。
タイプCのラベルで100 cm2を超える,又は厚さが700 µm以上のものは,8.2に規定する条件において
JIS C 2170の規定に従って測定したとき,表面抵抗率が1.0×1012 Ω以下の材料で作らなければならない。
タイプCのラベルで,8.2に規定する条件においてJIS C 2170の規定に従って測定したとき,表面抵抗率
が1.0×107 Ω未満の材料で作られたものは,接地可能接続点までの抵抗が9.3の規定に従って測定したと
き7.3.1に規定する許容値よりも小さくなければならない。タイプCのラベルは,8.3に示す条件において
JIS C 2170の規定に従って測定したとき,表面抵抗率が1.0×109 Ω〜1.0×1012 Ωの材料で作らなければな
らない。
タイプDのラベルで100 cm2を超えるものは,9.2に規定する着火試験を行い,7.3.2に規定する要求事
項に適合しなければならない。
12
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7
FIBCの要求事項
7.1
一般的事項
可燃性物質が存在する環境又は危険な爆発性雰囲気で用いることを意図するFIBCは,FIBCそのものが
着火性放電を生じてはならない。このタイプのFIBCが着火性放電を生じないことは,製造後,使用に先
立って試験を行い,少なくとも最小の寸法のもの及び最大の寸法のものが,7.2又は7.3に規定するいずれ
かの要求事項に適合することによって確認する。
附属書Cに示す品質管理試験方法は,箇条9に規定する形式認証試験の代替法としては用いない。
注記 この規格の要求事項の適合性は,使用によって汚損若しくは品質劣化したFIBC,又は製造業者
の推奨に反する方法で用いられたFIBCには拡張しなくてもよい。FIBCを複数回の充塡・洗浄・
排出サイクルで用いることを意図する場合,FIBCが箇条7に規定する要求事項に適合すること
を保証するため,試験は,要求する回数の使用サイクル後,箇条9の規定に従ってまとめて実
施することを推奨する。
この規格に基づいて発行する形式認証書には,箇条10に規定する情報を含む試験報告書を添付する。特
に指定がない場合又は受渡当事者間の合意がない場合,FIBC設計の形式認証書は,発行日から3年間を有
効期間とする。
7.2
着火エネルギーが3 mJを超える粉じん環境下での要求事項(タイプB,タイプC及びタイプDに
適用)
可燃性ガス又は蒸気は存在しないが,可燃性粉じんが存在する環境で用いることを意図するFIBCは,
そのFIBCの本体側面で沿面放電が発生しないことを保証するために,9.1の規定に従って試験したとき,
6 kV以下で絶縁破壊する材料で構成する。メッシュ状又はネット状以外の隔壁(inner baffles)を構成する
材料も,この要求事項に適合しなければならない。
7.3
可燃性ガス若しくは蒸気雰囲気又は着火エネルギー3 mJ以下の粉じん環境下での要求事項
7.3.1
タイプC
可燃性ガス若しくは蒸気,又は着火エネルギー3 mJ以下(附属書E参照)の粉じんが存在する環境で用
いることを意図するタイプCは,9.3の規定に従って試験したとき,接地可能接続点までの抵抗は,1.0×
107 Ω未満(附属書F参照)とする。さらに,FIBCは,完全に相互接続された導電性糸又はテープ(スト
ライプ状のものは20 mm以下,格子状のものは50 mm以下の間隔で縫い込まれたもの)で構成する。
ただし,FIBC全体が導電性材料の場合の内面及び外面の両面,又はFIBCが多層構造材料の場合の内面
若しくは外面のいずれかの面は,9.3の規定に従って試験したとき,接地可能接続点までの抵抗は,1.0×
108 Ω未満とする。FIBCが多層構造材料の場合の内面が1.0×108 Ω以上の場合,その材料は7.2に規定す
る要求事項に適合しなければならない。多層構造材料の場合の各層は,FIBCの充塡及び排出作業中,堅固
に密着しなければならない。
メッシュ状又はネット状以外の隔壁を構成する材料も,これらの要求に適合し,かつ,9.3に規定する試
験に含める。
注記1 JIS Z 1651では,非危険物用フレキシブルコンテナの形式を,ランニングI形,ランニングJ
形,クロススタンダード形及びクロスシングル形の四つに分類している。ランニングI形及
びランニングJ形は,繰返しの使用及び修理可能なタイプであり,クロススタンダード形及
びクロスシングル形は,1回又は数回の使用に限り,かつ,修理もできないものである。こ
の規格では,ランニングI形及びランニングJ形を総称してランニングタイプと,クロスス
タンダード形及びクロスシングル形を総称してクロスタイプと呼ぶ。一般に,ランニングタ
13
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
イプは,ゴム引き布,プラスチックシートなどの耐久性のある丈夫な材料で作り,クロスタ
イプはポリプロピレン織布などの軽量であるが耐久性があまりない材料で作る。タイプCと
する場合,ランニングタイプでは,材料の両面又は片面を導電性とし,クロスタイプでは,
材料に導電性糸又はテープを縫い込み又は織り込む。
注記2 この細分箇条では,タイプCにおける接地可能接続点までの抵抗を,クロスタイプについて
は1.0×107 Ω未満,ランニングタイプについては1.0×108 Ω未満としている。これは,ラン
ニングタイプでは1.0×108 Ω未満の場合,使用中に着火性放電が生じることはないという実
験結果に基づくものである。詳細は,附属書JAに示す。
7.3.2
タイプD
可燃性ガス若しくは蒸気,又は着火エネルギー3 mJ以下の粉じん(附属書E参照)が存在する環境で用
いることを意図するタイプDは,9.2の規定に従って試験したとき,着火を起こしてはならない。
さらに,タイプDの内側が絶縁層(例えば,コーティングフィルム又はラミネーション)をもつ材料で
製造する場合,その材料は7.2に規定する要求事項に適合しなければならない。多層構造材料の場合の各
層は,FIBCの充塡及び排出作業中,堅固に密着しなければならない。
一定の範囲の排出口径をもつ試験用FIBCの形式認証試験を行うために,9.2に規定する着火試験は,排
出口径が400 mm又はその設計の最大口径のうち,いずれか小さい方を用いて行う。
メッシュ状又はネット状以外の隔壁を構成する材料は,FIBCの主要部分を構成する材料と同じとする。
8
前処理,校正及び試験の環境
8.1
前処理時間
前処理時間は,試験前12時間以上とし,試験サンプルは,つ(吊)るして十分に空気が通るようにする。
9.2の規定に従って試験を実施する場合,前処理が適正に行えるように,前処理時間中,ペレットを時々循
環させる。
8.2
絶縁破壊電圧及び接地可能接続点までの抵抗測定
試験サンプル及び装置は,次に示す環境の下で前処理,校正及び試験を行う。
23 ℃±2 ℃及び相対湿度(20±5)%
8.3
着火試験
試験サンプル及び装置は,次に示す環境の下で前処理,校正及び試験を行う。
a) 23 ℃±2 ℃及び相対湿度(20±5)%
b) 23 ℃±2 ℃及び相対湿度(60±10)%
9
試験手順
9.1
絶縁破壊電圧
絶縁破壊電圧は,JIS C 2110-1:2010及びJIS C 2110-2の規定に従って決定する。JIS C 2110-1:2010の10.1
に規定する短時間(急速昇圧)試験を行う。試験は,300 V/sの電圧上昇率で,直流電圧を印加した異径電
極(unequal electrodes)を用いて行う。直流電源の最大出力電流は1 mAとする。
多層構造材料の場合,全ての層を重ねて試験を行い,かつ,試料は,通常,FIBCの内側となる面を高圧
電極と接触するように配置する。
明瞭な絶縁破壊を示す材料の電圧・時間グラフの例を図A.1に示す。FIBCを構成する材料の中には,導
電率が高いために急激な絶縁破壊の発生を妨げるものがある。そのような材料では,特徴的な現象として,
14
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
電荷の漏えい(洩)のために電圧上昇率が低下する。その例を,図A.2に示す。この性質をもつ材料は,
沿面放電を生じることがないことから,7.2に規定する要求事項に適合するとみなす。
電極電圧が6 kVに到達する前に直流電源の出力電流が1 mAに到達する場合,その材料は7.2に規定す
る要求事項に適合するとみなす。
9.2
着火試験
9.2.1
装置
9.2.1.1〜9.2.1.4に規定する装置を用いる。同じ機能的要求に適合し,かつ,同じ結果を得ることができ
るものである場合,規定する以外の装置を用いてもよい。
9.2.1.1
着火プローブ
着火プローブの内筒は,ポリカーボネート,アクリルなどの堅い非導電性材料で作製した内径70 mm±
5 mm,長さ100 mm±5 mmの円筒とする(図5参照)。プローブの材料は,繰返しの着火に耐え,ひび,
変形その他の欠陥を生じないように十分な厚さと強度をもたなければならない。
内筒の一端は,中心部の可燃性ガスの導入口以外は閉じる。導入口の径は重要な要素ではないが,必要
な流量のガスを流すときに過度の圧力上昇を起こさない大きさとする。適切なフレームアレスタを,ガス
の供給ラインに,着火プローブにできるだけ接近させて取り付ける。
内筒の他端には金属板をはめ込み,放電電極の固定板とする(図6参照)。金属板には直径5 mm±1 mm
の孔を多数あけ,これらの孔を通じて一様なガスの流れを放電電極の周辺に作る。
直径20 mm±5 mmの金属球電極を金属板の中央に取り付ける。着火プローブ内の電極,金属板,その
他の金属及び導電性材料は,低インピーダンス(10 Ω未満)を接続して共通接地する。接地点は,FIBC
用の構造物及び装置類との共通接地点,例えば,FIBC試験装置の金属部分とする。共通接地点は,電源の
接地端子に接続してもよい。電極,金属板及び接地コネクタ間の接続は,物理的及び熱的衝撃に十分耐え
る強度をもたなければならない。放電電極と接地コネクタとの導通は,使用前に確認しておく。
注記 共通接地点を電源の接地端子に接続するときは,接地端子が確実に接地設備に接続されており,
感電防止のために十分な接地抵抗であることを確認した上で行うことを推奨する。
着火プローブには粒径1 mm〜2 mmのガラス又は磁器のビーズを充塡し,細目の金属製のガーゼ又は網
を両端に取り付けてビーズを保持する。ビーズは,ガスの混合促進及びプローブからの逆火防止に有効で
ある。
放電電極前方にある静電気放電が発生する領域にガスを導くために,絶縁物で作られた可動外筒を内筒
に取り付ける。外筒の開口径は40 mm±5 mmとする。
15
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図5−着火プローブ
単位 mm
1
放電電極
2
絶縁物製可動外筒(例えば,ポリカーボネート又はアクリル)
3
絶縁物製内筒(例えば,ポリカーボネート又はアクリル)
4
孔あき金属板(公称厚さ2 mm)
5
細目の金属製の網又はガーゼ(例えば,銅製)
6
ビーズ(例えば,ガラス又は磁器)(公称粒径1 mm〜2 mm)
7
丈夫な接地結線
8
接地コネクタ
9
可燃性ガス導入口
16
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図6−着火プローブ用孔あき金属板
9.2.1.2
ガス制御及び混合装置
可燃性ガスは,エチレン(純度99.5 %以上)と空気を混合して作る。空気の組成は,酸素(21.0±0.5)%
及び窒素(79.0±0.5)%とする。ガス制御及び混合装置は,着火プローブに適切な混合比のガスを導入す
るために用いるものである(図7参照)。
ガスの体積濃度を,表6に示す。
表6−可燃性混合ガスの体積濃度
ガス
組成
%
体積濃度
%
最小着火エネルギー
mJ
臨界消炎距離
mm
エチレン C2H4:99.5以上
5.4±0.1
0.14±0.01
1.8±0.1
空気
酸素:21.0±0.5,窒素:79.0±0.5
94.6±0.1
混合ガスが規定の許容濃度であることを,例えば,赤外線エチレンガス分析装置を混合ガス供給ライン
に設置して確認する。
表6に規定する以外の混合ガスを用いる場合,その最小着火エネルギーは,ASTM E582に規定する方
法によって,0.14 mJ±0.01 mJであることを確認する。
注記1 エチレン以外のガスを用いる場合,臨界消炎距離は表6に示すものと異なることがある。
ガスの供給に当たっては圧縮ガスボンベが便利であるが,他の供給装置を用いてもよい。空気の代わり
に酸素(21.0±0.5)%及び窒素(79.0±0.5)%をあらかじめ混合したガスボンベを用いてもよい。必要な
場合,モレキュラシーブフィルタを用いてガスを低湿度に保つ。このことは,特にコンプレッサからの空
気を直接用いる場合に重要である。99.5 %以上の純度をもつガスを用いる。
注記2 呼吸用空気の酸素濃度は,表6に示す許容値を超えるため用いないことが望ましい。モレキ
単位 mm
1
ガス孔(直径5 mm±1 mm)
2
放電電極取付孔
3
孔あき金属板取付ねじ
17
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ュラシーブの中にはエチレンを吸収するものがあるため,シーブフィルタは監視装置の前に
設置することが重要である。
ガスの供給は流量計及びバルブで制御及び監視を行い,着火プローブを通過する混合ガスの流量を0.21
L/s±0.04 L/sとする。
着火したときにエチレンの供給を止めるために高速に作動する遮断弁を用いる。遮断弁によって,エチ
レンだけの供給を遮断し,空気は着火時の着火プローブの冷却及び乾燥のため,流したままとする。遮断
弁の形式及び取付位置は,装置全体の設計に適合するように選択する。
1
着火プローブ
2
フレームアレスタ
3
エチレンガス遮断弁
4
流量計
5
空気又は酸素・窒素混合気
6
エチレンガス
7
エチレン分析計
図7−ガス制御及び混合装置(概念図)
18
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9.2.1.3
循環式FIBC充塡装置
帯電物体を充塡できるようにするため,試験用FIBCを保持する鋼製の枠又はその他の適切な支持構造
物を用いる(図8参照)。帯電したFIBCによる静電界に鋼製の枠が与える影響を最小とするため,FIBC
の周りの支持枠はFIBCから1 m以上離す。
試験用FIBCに,1.0×1012 Ωm以上の体積抵抗率をもつポリプロピレンペレット(附属書B参照)を充
塡する。ペレットは,充塡剤,顔料,帯電防止剤などを含まないホモポリマーとする。その他の物質は,
同様の結果が得られ,かつ,コーン放電を生じないということを確認した後,用いてもよい。
注記1 別のペレットが等価な材料であるかを確認する一つの方法は,同じ発生電流が生じるように
コロナ荷電器への印加電圧を設定するために,9.2.2に規定する手順を実施することである。
ペレットを循環させる一つの方法は,次のとおりである。ホッパを試験用FIBCの真下に置いてペレッ
トを集め,更にコンベヤに送り込む。ペレットをコンベヤでシュートに送り,再度試験用FIBCに充塡す
る。このほかにペレットを充塡する適切な方法がある場合,その方法を用いてもよい。充塡速度は,1.1 kg/s
±0.1 kg/sとする。
ポリプロピレンペレットは,摩擦帯電によって自然に帯電するが,高電圧コロナ放電針を充塡パイプ内
に取り付けることによって電荷を追加供給する(図9参照)。コロナ荷電器に絶縁カバーを設けてFIBCに
直接接触しないようにする。高電圧直流電源を用いてコロナ荷電器を制御し,平均発生電流3.0 µA±0.2 µA,
瞬時最大値4.0 µA以下及び瞬時最小値2.0 µA以上で維持する。コロナ荷電の極性は負とする。ペレット
が流動しないときには,コロナ荷電器がFIBCに電荷を供給しないようにする。
注記2 ペレットは,定期的に交換することが望ましい。ペレットの交換時期を指定することは困難
であるが,ペレットに汚染又は物理的な劣化の兆候が明らかに現れたとき,摩擦帯電量が顕
著に低下したとき,微粒子の堆積が明瞭になったときなどが交換時期として挙げられる。
排出口を含む試験用FIBCの全ての部分に着火プローブが接近できるようにする。
充塡装置の設計及びその位置によっては,試験装置及び作業員を支持するための作業台が必要となるこ
とがある。
通常の使用において接地を要しないFIBCの場合,接地体との間の抵抗が1.0×1012 Ω以上となるように,
つ(吊)り具と金属構造物上の支持部分との間に絶縁物を挿入する。
試験対象のFIBCのタイプに関係なく,試験用FIBCから1 m以内にある全ての金属製支持構造物,作業
台及び作業員を含む他の導体を接地する。
19
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1
ペレット搬送機構
2
輸送パイプ
3
コロナ荷電器
4
絶縁外筒
5
FIBC支持機構
6
FIBC
7
ホッパ
注記 この図は,つ(吊)り具を4個もつFIBC用の試験装置の例を示している。
その他のFIBC[例えば,1点でつ(吊)り上げるFIBC]の場合には,それに対応した構成でよい。
図8−FIBC充塡装置(概念図)
20
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1
輸送パイプ
2
高電圧直流電源(負極性)入力端子
3
高抵抗(約1.0×107 Ω)
4
高電圧絶縁リード線
5
接地金属内筒
6
絶縁棒(例えば,PTFE製)
7
金属棒(針状コロナ電極列保持用)
8
接地金属網[大きな物体に対するコロナ電極列保護用(網の目開き>ペレット径)]
9
絶縁外筒(FIBCのコロナ荷電器への接触防止用)
図9−コロナ荷電器(概念図)
9.2.1.4
電荷測定装置
電荷測定装置は二つの主要部分,すなわち,帯電ペレットを集めるファラデーペール及びファラデーペ
ールに流れ込む電荷の測定手段で構成する。導電性FIBCをファラデーペールとして用いるのが便利であ
る。導電性FIBCは,全体が導電性材料で作られたもの,又は完全に相互接続された導電性糸若しくはテ
ープがストライプ状のものは20 mm以下,格子状のものは50 mm以下の間隔で縫い込まれたものとする。
導電性FIBCの接地可能接続点までの抵抗は,9.3の規定に従って測定したとき,1.0×107 Ω未満とする。
導電性FIBCに流れ込む電荷は,エレクトロメータを用いて測定する。エレクトロメータは,平均値,
最大値及び最小値の測定機能をもつもの,又は平均値,最大値及び最小値がデジタル式回路計,オシロス
コープ,データロガーなどの適切な測定装置で確認できるように,適切な信号出力をもつものを用いる。
9.2.2
発生電流の設定方法
導電性FIBC(9.2.1.4参照)を充塡装置(9.2.1.3参照)に確実に取り付けたとき,導電性FIBCと充塡装
置との間,及び導電性FIBCとその他の全ての接地接続点との抵抗は,1.0×1012 Ω以上とする。
エレクトロメータ(9.2.1.4参照)の高圧側を導電性FIBCの接地可能接続点に接続し,低圧側を接地す
21
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
る。単独の平均化測定器(9.2.1.4参照)を用いる場合,これをエレクトロメータの出力端子に接続する。
FIBCにペレットの充塡を開始(充塡速度1.1 kg/s±0.1 kg/s)し,必要な電圧をコロナ荷電器に印加する。
ペレットが,FIBCの底部に満ち,かつ,ペレットが持続的に円すい(錐)状に堆積したとき,平均化測
定へ進む。
エレクトロメータの平均化機能又は単独の平均化測定器を用いて,1分間のデータ標本を3回測定し,
各1分間の平均発生電流を記録する。その三つの1分間の平均値を平均し,その平均発生電流及びコロナ
荷電器への印加電圧を記録する。
発生電流3.0 µA±0.2 µAを発生するために要するコロナ荷電器への印加電圧が決まるまで操作を繰り返
す。以後の試験においては,この電圧をコロナ荷電器に印加する。
9.2.3
着火試験
注記 この細分箇条で規定する着火試験は,側面が4面あるFIBCを前提に記載する。
9.2.3.1
一般的事項
着火試験は,可燃性ガスを着火プローブ(9.2.1.1参照)に流し,その着火プローブを帯電させた試験用
FIBCの本体側面に向かって接近させることによって行う。次の一連の着火試験は,試験用FIBCに対して,
200回以上行うように計画する。一連の着火試験で,1回でも確認可能な着火が発生した場合,その試験用
FIBCは,7.3.2に規定する要求事項に適合しないことから,着火試験を終了してもよい。
要求する着火試験の回数を行うためには,試験用FIBCを何度か充塡及び空にすることが必要になるこ
とがある。排出口をもたないFIBCの場合,底部を適切な大きさに切除する。この場合,全ての試験手順
を終了するためには,同タイプのFIBCを数個用いる必要があるかもしれない。
試験用FIBCの4面の各面に対して均等に各50回,着火試験を行う。4面に明瞭に区分されていないFIBC
では,FIBC表面全体に均等に200回行う。試験用FIBCに取り付けられている全ての部材(例えば,排出
口を覆う押さえ蓋),試験用FIBCのその他の部分と実質的に構造が異なる部材及び面積100 cm2を超える
ラベル又は荷札入れがある場合,これらのものに対して追加的に着火試験(各部材に10回)を行う。面積
100 cm2以下のラベル及び荷札入れ並びにつ(吊)り具に対しては,試験する必要はない。
受渡当事者間の協定に基づき,この規格に規定する事項に追加して,その他の箇所に対しても着火試験
を行うことができる。その場合,追加的に試験を行った箇所を報告書に記載する。この試験中に確認可能
な着火(9.2.3.4参照)が発生する場合,試験用FIBCは7.3.2に規定する要求事項に適合しない。
9.2.3.2
試験手順
FIBCの排出口を閉じ,ペレットを1.1 kg/s±0.1 kg/sの速度で充塡し,9.2.2で求めた電圧をコロナ荷電
器に印加する。FIBCの底部にペレットを満たす。充塡高さがFIBCの本体側面に沿って上方に動き始めた
とき,混合ガスの着火プローブへの供給を開始し,30秒間以上流し続けた後,着火試験を開始する。
FIBCの一つの本体面の充塡高さから100 mm以下の点に着火プローブを接近させて,着火試験を行う。
着火プローブの接近速度は0.75 m/s±0.25 m/sとする。接近が遅すぎるとコロナ放電を生じて電荷を減らす
ことがある。接近が速すぎると生成段階の火炎核を消滅させてしまうことがある。
注記 この試験手順においては,充塡高さから100 mm以下の点に着火プローブを接近させることに
よって,コーン放電の発生が防止される。
9.2.3.3
着火プローブに着火がない場合の措置
着火がない場合,次の測定点へ移る前に,着火プローブを遠ざけて10秒〜15秒間待機した後に着火試
験手順を続ける。
FIBCの本体側面高さの4分の3に充塡高さが達するまで,端部の継ぎ目を含む本体側面上の様々な点に
22
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
対してできるだけ多く,着火試験を行う。
10回の着火試験ごとに目視点検を行い,コロナ荷電器への供給電圧が9.2.2で求めた値であること,並
びにガス流量及びエチレン濃度が9.2.1.2に規定する値であることを確認する。試験装置の調節が必要な場
合,試験を再開する前に,全てのパラメータが指定の範囲となるように調節し,かつ,直前の10回の試験
結果を取り消す。
FIBCの本体側面高さの4分の3に充塡高さが達したとき,ペレットの充塡及びコロナ荷電を停止する。
FIBCが排出口をもつ場合,排出口を開き,ペレットがFIBCから排出される間に,継ぎ目を含め,本体側
面と排出口(付いている場合)との間を移動させながら,できるだけ多くの着火試験を行う。FIBCからの
排出中の着火試験の時間間隔は,2秒間以下とする。FIBCの底全体が開放される構造の場合,FIBCが完
全に空となる直前にただ一度の着火試験しかできないことがある。
FIBCが内袋を装着し,かつ,排出中,内袋の排出口がFIBCの排出口からはみ出す構造の場合,内袋の
排出口に対して追加の着火試験を行う。
FIBCに排出口が設けられておらず,真空装置によって吸い込む,又はひっくり返して排出する構造の場
合,排出中に着火試験を行う必要はない。
FIBCに排出口が設けられておらず,底を切り抜く,又は突起物にFIBCを落下させて排出する構造の場
合,実際に作られるものと大きさが等しくなるように底を切り開き,排出中できるだけ多くの着火試験を
行う。
有効な着火試験を200回以上行って1回も着火が起こらなかった場合,そのFIBCは,7.3.2に規定する
要求事項に適合するとみなす。
9.2.3.4
着火プローブに着火した場合の措置
着火した場合,着火プローブを遠ざけ,可燃性ガスの供給を停止して火炎を完全に消す。直ちに,エチ
レン濃度,ガス流量及び発生電流が規定する範囲内であることを確認する。これらの値が全て許容範囲内
である場合,着火したことを記録し,そのFIBCは7.3.2に規定する要求事項に適合しないことから,着火
試験を終了してもよい。
エチレン濃度,ガス流量又は発生電流が許容範囲にない場合,着火しなかったものとし(着火の判定を
取り消す。),最後に試験パラメータを確認した後の全ての試験結果も取り消す。これらの値が全て規定す
る範囲内となるように調整し,着火試験を再開する。
有効な着火があっても,追加的情報を得るために更に着火試験を継続するという選択をする場合,空気
又は酸素・窒素混合ガスだけを60秒間以上流し続けて着火プローブを冷却及び乾燥させ,可燃性ガスの供
給を再開し,30秒間以上待機した後に次の測定点へ移り,着火試験手順を続ける。
10回の着火試験ごとに目視点検を行い,コロナ荷電器への供給電圧が9.2.2で求めた値であること,並
びに,ガス流量及びエチレン濃度が9.2.1.2に規定する値であることを確認する。試験装置の調節が必要な
場合,試験を再開する前に,全てのパラメータが指定の範囲となるように調節し,かつ,直前の10回の試
験結果を取り消す。
FIBCの本体側面高さの4分の3に充塡高さが達したとき,ペレットの充塡及びコロナ荷電を停止する。
FIBCが排出口をもつ場合,排出口を開き,ペレットがFIBCから排出される間に,継ぎ目を含め,本体側
面と排出口(付いている場合)との間を移動させながら,できるだけ多くの着火試験を行う。FIBCからの
排出中の着火試験の時間間隔は,2秒間以下とする。FIBCの底全体が開放される構造の場合,FIBCが完
全に空となる直前にただ一度の着火試験しかできないことがある。
FIBCが内袋を装着し,排出中,内袋の排出口がFIBCの排出口からはみ出す構造の場合,内袋の排出口
23
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
に対して追加の着火試験を行う。
FIBCに排出口が設けられておらず,真空装置によって吸い込む,又はひっくり返して排出する構造の場
合,排出中に着火試験を行う必要はない。
FIBCに排出口が設けられておらず,底を切り抜く,又は突起物にFIBCを落下させて排出する構造の場
合,実際に作られるものと大きさが等しくなるように底を切り開き,排出中できるだけ多くの着火試験を
行う。
9.2.3.5
試験結果の記録
有効な着火試験の実行回数及び可燃性混合ガスの確認可能な着火回数を記録する。
正しい試験条件において合計200回以上の着火試験を行ったとき,確認可能な着火が1回も発生しなか
った場合,試験用FIBCは,7.3.2に規定する要求事項に適合するとみなす。
正しい試験条件でなかったため,1回以上の着火の判定を取り消した場合(9.2.3.4参照),同じFIBCを
用いて行ったその後の試験を含め,正しい試験条件による合計200回以上の着火試験において,確認可能
な着火が1回も発生しなかったときは,7.3.2に規定する要求事項に適合するとみなす。
1回でも確認可能な着火が発生した場合,試験用FIBCは7.3.2に規定する要求事項に適合しないとみな
す。
9.3
接地可能接続点までの抵抗
9.3.1
装置
9.3.1.1
抵抗測定装置
抵抗測定装置は,電源内蔵形の抵抗測定器又は抵抗測定のために適切に配置した電源及び電流計によっ
て構成し,±10 %の精度をもつもので,次の要求事項に適合しなければならない。
9.3.1.1.1
試験所における評価試験用の場合
試験所における評価試験用の装置は,負荷状態において,次の回路電圧をもたなければならない。
− 抵抗値が1.0×106 Ω未満の場合,10 V±0.5 V
− 抵抗値が1.0×106 Ω以上1.0×1011 Ω以下の場合,100 V±5 V
注記1 対応国際規格から,抵抗値が1.0×1011 Ωを超える場合の条件(500 V±25 V)を削除した。
装置の測定範囲は,抵抗の予測範囲より両側に1桁以上広い範囲とする。装置は,意図しない接地経路
が測定値に影響しないようにして用いる。
注記2 試験所における評価試験は,FIBCの製造業者又はその委託を受けた試験機関が形式認証のた
めに,試験用FIBCに対して性能試験を行うことであり,試験結果は試験報告書に記載する。
9.3.1.1.2
受入試験用の場合
受入試験用の装置は,試験所における評価試験用の装置(9.3.1.1.1),又は次の開放回路電圧をもつ装置
を用いる。
− 抵抗値が1.0×106 Ω未満の場合は,10 V±0.5 V
− 抵抗値が1.0×106 Ω以上1.0×1011 Ω以下の場合は,100 V±5 V
注記1 対応国際規格から,抵抗値が1.0×1011 Ωを超える場合の条件(500 V±25 V)を削除した。
装置の測定範囲は,抵抗の予測範囲から両側に1桁以上広い範囲とする。装置は,意図しない接地経路
が測定値に影響しないようにして用いる。
疑義がある場合,試験所における評価用の装置と同一タイプの測定装置を用いる。
注記2 受入試験は,既に形式認証を受けたFIBCに対して,製造業者が製造若しくは出荷時に,又
は使用者が受入れ若しくは使用前に,その性能を確認するために行う試験であり,試験結果
24
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の文書への記載は任意選択である。
9.3.1.2
測定用電極
9.3.1.2.1
導電性糸をもたない材料を測定する場合
導電性糸をもたない材料の測定に用いる測定用電極は,25 mm±1 mm×25 mm±1 mmの接触面積をもつ
金属板又はブロックとする。測定電極と同じ面積をもつ柔軟な導電性ゴム(公称ショアA硬さ30及び体
積抵抗率1.0×104 Ωm未満)を測定電極の接触面に張り付ける。代替品として,非導電性ゴム又は発泡体
をアルミニウムはく(箔)で包み,金属板又はブロックと電気的に接触させたものでもよい(附属書JB
参照)。
9.3.1.2.2
導電性糸をもつ材料を測定する場合
導電性糸をもつ材料の測定に用いる測定用電極は,曲率半径0.25 mm±0.05 mm,先端円すい(錐)角
20°±1°及び直径1.5 mm±0.5 mmの先鋭な金属点とする(附属書JB参照)。
9.3.2
試験手順
試験用FIBCをつ(吊)り具でつ(吊)り下げ,FIBC本体のいかなる部分も床及びその他の構造物に触
れないようにする。FIBCのいかなる部分と接地体との間の抵抗は,1.0×1012 Ω以上とする。
つ(吊)り具の中に導電性要素をもつFIBCは,つ(吊)り具と金属枠上の支持点の間に絶縁物を入れ,
その間の抵抗は,1.0×1012 Ω以上とする。
FIBCの接地可能接続点に,良好な電気的接触を保つクリップを用いて,抵抗測定装置のリード線の一方
を接続する。
また,他方のリード線を測定用電極に接続する。
導電性糸をもたない材料に対しては,測定電極(9.3.1.2.1参照)の柔軟面をFIBCの測定点に押し付ける。
測定中,FIBCの側面に張りをもたせるために,適切な質量の絶縁物をFIBC内に挿入することが必要とな
ることがある。
導電性糸をもつ材料に対しては,一つの糸を選択し,先のとが(尖)った電極(9.3.1.2.2参照)の先端
が糸と確実に接触するようにする。導電性糸が布地,コーティングなどで覆われている場合,とが(尖)
った先でこれらを貫通して接触させる。
最初に10 Vによる測定を始め,電圧印加から15秒±2秒間経過後の抵抗値を記録する。抵抗値が1.0×
106 Ωを超える場合には,100 Vに上げて測定を繰り返す。9.3.1.1に規定する電圧及び抵抗範囲に合致して
いることを確認し,測定値を記録する。10 Vで測定したときの値が1.0×106 Ωを超え,かつ,100 Vで測
定したときの値が1.0×106 Ω未満の場合には,100 Vで測定した値を記録する。
注記 対応国際規格から,抵抗値が1.0×1011 Ωを超える場合の測定(500 V)を削除した。
FIBCの各部材(内部の隔壁及び排出口を含む。)に対して,均等に分散した10か所以上の場所を測定す
る。さらに,接地可能接続点が2個以上ある場合[つ(吊)り具が接地用になっている場合,つ(吊)り
具を含む。],各点に対して同様の測定を繰り返す。FIBCが導電性糸をもつ場合,各部材に対する10回の
測定は,毎回異なった糸に対して行う。
ラベル又は他の貼付物が,8.2に規定する条件においてJIS C 2170の規定に従って測定したとき,表面
抵抗率1.0×109 Ω未満の材料で作られている場合,これらに対して追加して測定を行う。
4面に明瞭に区分されていないFIBCについては,FIBC表面全体に均等に分散した40か所以上の場所で
測定する。
FIBC全体にわたって他の部分と多少にかかわらず異なる部分がないか,慎重に目視検査する。試験を行
うFIBCが導電性糸をもつときは,破断,消失又は損傷したところがないか目視検査する。目視検査で特
25
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
定された場所に対して,追加して抵抗測定を行う。
10 試験報告書
試験報告書には,少なくとも10.1〜10.6の事項を記載する。
10.1 全ての試験
次の事項を記載する。
a) 規格番号(JIS C 61340-4-4)
b) 試験日
c) 装置の校正の詳細
d) 前処理時及び試験時の環境条件(温度,相対湿度及び前処理時間)
e) 試験品の説明(FIBCの説明は表7を用いる。)
f)
洗浄などの事前処理の詳細
g) 試験用FIBCの各試験の結果が,箇条7に規定する要求事項に適合するか否かの記述
h) 試験を行った内袋について,4.2に規定する要求事項に適合するか否かの記述
i)
この規格に適合しない事項の詳細
10.2 絶縁破壊試験
次のいずれかを記載する。
a) FIBC又は内袋の各材料に対する最大絶縁破壊電圧
b) 材料の導電性のために,絶縁破壊電圧を決定することができなかったという趣旨の記述
10.3 着火試験
次の事項を記載する。
a) 試験において,FIBCを接地していたか,又は非接地であったかの記述。接地していた場合,その方法
及び接地点までの抵抗値。
b) 着火試験ガスの成分(体積比)
c) 着火試験ガスの最小着火エネルギー
d) 各試験サンプルについて,着火試験の回数
e) 各試験サンプルについて,追加的に測定した場所
f)
各試験サンプルについて,着火を確認した回数
10.4 接地可能接続点に対する抵抗試験
次の事項を記載する。
a) 接地可能接続点までの最大抵抗値
b) 試験電圧
10.5 内袋の表面抵抗率試験
次の事項を記載する。
a) 各サンプルの各面における表面抵抗率の最小値及び最大値
b) 試験電圧
10.6 認定試験機関による試験報告書の場合
次の事項を記載する。
a) 試験機関の認定番号
b) 認証番号又は報告書番号
26
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表7−試験報告書に含める試験品に関する事項
詳細
注記
FIBCの名称
コード番号及び商品名
製造業者の名称及び住所
製造方法
安全使用荷重(N)
材料の種類及び等級
風袋質量(kg)
積層の数
1 m2当たりの材料の質量(g/m2)
織布(縦糸・横糸),100 mm当たりのテープの数
コーティングフィルム又はラミネーションの材料,厚さ
(µm)及び1 m2当たりの質量(g/m2)
内袋の素材及び厚さ(µm)
形状の図示
寸法(mm)
注入口
位置,形状,内径(mm)及び縛りひもの材料及び1 m2
当たりの質量(g/m2)
排出口
位置,形状,内径(mm)及び縛りひもの材料及び1 m2
当たりの質量(g/m2)
縫製方法
形式及び糸の種類
導電性又は電荷拡散性の糸,テープ又はコーティング
形式,糸間の距離及び接地接続点の位置
内袋取付材の形状
フィラーコードa)
接着剤の形式
注a) FIBC本体のミシン縫いの縫い目を保護し,内容物の漏れを防ぐために用いる糸又は布。
27
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
絶縁破壊電圧−典型的な電圧・時間曲線の例
図A.1及び図A.2は,9.1に規定する方法で絶縁破壊電圧を測定したときの電圧・時間曲線の代表例であ
る。
0
1
2
3
4
5
6
0
5
10
15
20
時間 s
印加電
圧
k
V
図A.1−明瞭な絶縁破壊を示す材料の電圧・時間曲線の例
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
0
10
20
30
40
50
60
70
時間 s
印加
電圧
k
V
図A.2−導電性によって電圧上昇率が低下する材料の電圧・時間曲線の例
28
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
着火試験に用いるポリプロピレンペレット
着火試験に用いるのに適した球状ポリプロピレンペレットの粒径分布(9.2参照)を,表B.1に示す。
表B.1−ポリプロピレンペレットの粒径分布
項目名
粒径分布
総質量
g
ふるいサイズ
4
4×5
5×6
6×8
8×12
12×16
16×30 30×40
受皿
283.04
平均目の開き mm
−
4.38
3.68
2.87
2.03
1.44
0.89
0.51
−
質量
g
0.00
1.22
15.28
86.94
124.47
52.64
2.46
0.02
0.01
質量比
%
0.00
0.43
5.40
30.72
43.98
18.60
0.87
0.01
0.00
平均粒径:2.27 mm
29
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
製造時の品質管理方法の指針
C.1 はじめに
製造業者は,工場から出荷する前に,FIBCが製造上の仕様に適合することを保証するために,品質管理
試験を行う。使用者は,その施設内で用いるFIBCを受け入れる前に,FIBCが自らの要求仕様に適合する
ことを確認しようとする場合,同様の手順で試験を行うことができる。
多数のサンプルに対して日常的に行う品質管理であるので,試験方法及び手順は許容できる費用で簡単,
かつ,迅速に行えるものであることが望まれる。箇条9に示す試験手順は,品質管理にも適用可能である
が,製造業者及び使用者にとっては複雑で時間を要し,かつ,費用もかかりすぎるものである。
FIBCが規格の判定基準に適合するか否かを評価する形式認証試験とは対照的に,品質管理試験では,製
造業者及び使用者が自ら定め,ときには特定する設計のFIBC又は応用品だけに適用する判定基準に適合
するか否かの評価を行うことができる。このような理由から,ある製造業者又は使用者が用いる品質管理
試験方法及び判定基準は,他の製造業者のFIBC又は他の用途に用いることを意図したFIBCを評価するこ
とには適さない場合もある。
C.2に記述する試験方法は,品質管理試験にも役立つものである。試験方法のリストは,包括的なもの
ではなく,他の適切な方法でもよいかもしれない。製造業者及び使用者は,品質管理試験が自らのニーズ
に適することを確認するのがよい。
品質管理試験は,製造業者及び使用者に対して,製造及び頒布する全てのFIBCが,FIBCの形式認証試
験に用いた試験用FIBCと実質的に同一のものであることを示す情報を提供するように計画するのがよい。
箇条9に記述する試験方法以外の品質管理試験方法は,品質管理の目的に用いる場合,形式認証試験方法
の代替として用いないほうがよい。また,製造業者は,これを箇条7に規定する要求事項に反することを
助長するために用いないほうがよい。
C.2 試験方法
C.2.1 抵抗測定
9.3.1.1に規定するもの以外の抵抗測定装置を品質管理試験に用いてもよい。タイプCのパネル間の導通
確認を迅速に行うため,高価な試験所仕様の装置の代わりに,低価格で一般的に購入可能な抵抗計又は回
路計を用いてもよい。タイプCに用いる材料として十分な導電性をもつことを確認するため,その材料に
対して測定を行うことができる。
利便性の観点から,品質管理試験の抵抗測定は,FIBCを検査台に置いたまま実施してもよい。このとき,
通常のFIBCの充塡及び排出作業中には生じないパネル間の電気的接続路が形成されないように注意する。
一部のタイプDに対しては,抵抗測定を品質管理試験に用いることができる。9.3に規定する試験手順
又はその他の手順は,材料の抵抗値が低すぎるか,又は高すぎるかを確認するために用いてもよい。
C.2.2 電荷減衰測定
JIS C 61340-2-1は,材料,製品などが静電気電荷を拡散する性能を測定する方法を規定している。JIS C
61340-2-1の4.3(コロナ帯電を使用する装置)に規定する装置は,タイプDを構成するある種の材料の品
質管理試験に用いることができる。
30
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
開始及び停止のタイミング及び電荷減衰時間の許容値は,製造業者及び使用者が自らの要求仕様に従っ
て選択することが望ましい。減衰時間が非常に短いことは,その材料の導電性が高すぎて火花放電を生じ
る可能性があることを示唆する。緩和減衰が非常に長いことは,タイプDに要求する電荷拡散性能が不足
しており,ブラシ放電を生じる可能性があることを示唆する。一般的な指針として,500 ms〜30 sの間の
減衰時定数は許容できる。ただし,タイプDに用いる材料の中には,この減衰時定数の許容範囲から外れ
るものがあることに留意する。
C.2.3 電荷移動量測定
電荷移動量測定の原理は,測定装置に接続した電極に静電気放電を生じさせて,放電によって移動した
電荷量を決定することである。
FIBCの荷電は,9.2.1.3に規定する循環式FIBC充塡装置を用いて行う。循環式FIBC充塡装置を用いる
ことが不可能又は現実的でない場合,FIBC材料との組合せにおいて静電気を発生しやすい性質をもつ他の
材料で摩擦する,又は高電圧コロナアレイで生じた電荷を照射することによって,材料及びFIBCを荷電
してもよい。
IEC/TS 60079-32-1は,材料の荷電及び電荷移動量測定を行うために用いる試験装置及び手順についての
指針を示している。ここで示す摩擦用材料は,全てのタイプのFIBCの荷電には適さない場合があるので,
その場合,より適した他の材料で代替する。
IEC/TS 60079-32-1に示す電荷移動量の上限値は,均質な非導電性材料からの静電気放電を基礎としてい
る。ある種の静電気対策を施したFIBCからの静電気放電の性質は,IEC/TS 60079-32-1に示すデータから
得た放電とは,空間的及び時間的に性質が異なることがある。品質管理試験では,製造業者及び使用者は,
自らの製品又は応用品に適用可能な電荷移動量の上限値を設定することが望ましい。
31
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(規定)
危険区域及びゾーンの分類
表D.1及び表D.2は,IEC 60079-10-1及びIEC 60079-10-2に規定する危険区域,爆発グループ及びゾー
ンを示している。
表D.1−IEC 60079-10-1及びIEC 60079-10-2における危険区域の分類
分類
危険区域の詳細
I
坑内爆発性ガスが生じる鉱山坑内
II
鉱山坑内以外の場所で,次のものからなる爆発性ガス雰囲気が存在する場所
A
一般的な着火性をもつガス・蒸気(ヘキサン,メタン,アセトンなど)
B
着火性の高いガス・蒸気(ジエチルエーテル,エチレン,シクロペンタンなど)
C
着火性の極めて高いガス・蒸気(水素,アセチレン,二硫化炭素など)
III
鉱山坑内以外の場所で,次のものからなる粉じん爆発雰囲気が存在する場所
A
可燃性浮遊物
B
非導電性粉じん
C
導電性粉じん
注記1 ある爆発グループに属する物質は,その爆発グループの危険区域を周辺に形成する。
注記2 着火危険性は,A,B,Cの順に増加する。
表D.2−IEC 60079-10-1及びIEC 60079-10-2におけるゾーンの分類
分類
ゾーンの詳細
0
ガス,蒸気又はミストの状態の可燃性物質と空気との混合物からなる爆発性雰囲気が,連続的,長
時間,又は頻繁に存在する場所
1
ガス,蒸気又はミストの状態の可燃性物質と空気との混合物からなる爆発性雰囲気が,通常の操作
において,ときどき発生する可能性のある場所
2
ガス,蒸気又はミストの状態の可燃性物質と空気との混合物からなる爆発性雰囲気が,通常の操作
において,発生する可能性はあるが,発生しても短時間である場所
20
可燃性粉じんが空気中に粉じん雲となって形成する爆発性雰囲気が,連続的,長時間,又は短時間
だが頻繁に存在する場所
注記 大量の粉じんが存在するが,粉じん雲が連続的,長時間,又は頻繁に存在しない場所は,こ
のゾーンには含まない。
21
可燃性粉じんが空気中に粉じん雲となって形成する爆発性雰囲気が,通常の操作において,ときど
き発生する可能性のある場所
22
可燃性粉じんが空気中に粉じん雲となって形成する爆発性雰囲気が,通常の操作において,発生す
る可能性はあるが,発生しても短時間である場所
32
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書E
(参考)
コーン放電に関するリスク
この規格は,FIBCの構造,織布及び全体からの可燃性又は爆発性環境における静電気放電による着火リ
スクを評価するための手順を示している。
帯電した非導電性粉体を容器に充塡するとき,粉体層内部に非常に高い空間電荷密度をもつ領域が生じ
ることを覚えておかなければならない。これによって,粉体層の頂点部には強い電界が生じる。このよう
な条件下では,大きな放電が表面に沿って走ることが観測されている(円筒形容器では放射状となる。)。
この放電は,粉体に保持されている電荷に関係している。この放電は,充塡中のFIBCのタイプに関係な
く生じる。同様に,接地した金属容器でも生じる。
この種の放電の発生条件は複雑であり,粉体の抵抗率,発生電流,粉体層の大きさ及び配置並びに粒径
が影響要因である。鋭感な可燃性粉体の雰囲気だけでなく,可燃性ガス及び蒸気の雰囲気でもこの種の放
電で着火するという報告がある。コーン放電で放出される平均エネルギーは,容器の直径及び粉体層を形
成する粉体の粒径(中位径)に依存する。
表4に示す3 mJのMIEの制限は,コーン放電の着火性を根拠にしたものである。コーン放電は,タイ
プC又はタイプDよりもタイプBにおいて顕著に大きな放電エネルギーをもつ。これは,タイプC又は
タイプDでは,壁面がゼロ電位に近いからである。この事実に基づき,タイプC又はタイプDにおける
コーン放電は,FIBCの直径の半分以下の放電距離に止まるような内部電界分布となる。一方,タイプB
におけるコーン放電は,FIBCの直径に相当する放電距離となる。放電エネルギーの算定から,タイプB
で発生するコーン放電は,3 mJ以下のMIEにおいて粉じんに着火することが可能であり,一方,タイプC
及びタイプDでは,同じ粉体を用いて算定した結果は,粉体のMIEよりも低いものであった。
IEC/TS 60079-32-1に,コーン放電に関する詳細が記載してある。
33
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書F
(参考)
抵抗及び抵抗率の許容値についての解説
F.1
タイプCの接地可能接続点までの抵抗の許容値
導体と接地体との間の最大許容抵抗は,発生電流によって決まる。導体からの危険な火花放電は,放電
開始電圧を発生電流で除して得られる値未満の抵抗を介して,導体を接地体に接続することによって除去
できる。1.0×107 Ωという接地可能接続点までの抵抗の上限値は,発生電流が10 µAを顕著に超えるとき,
タイプCに危険な電位が生じるため,必要である。このような大きな発生電流は,FIBCによる通常の充
塡及び排出作業中には生じない。したがって,接地可能接続点までの抵抗の上限値を1.0×107 Ωと規定す
ることによって,タイプCを,発生電流を考慮することなく用いることができる。
F.2
内袋の表面抵抗率
タイプL1内袋の抵抗率の上限値は,F.1で説明した,タイプCにおける要求事項と合わせ,1.0×107 Ω
と規定している。
実験的証拠(例えば,Butterworth他,1983, Salmela他,2005の文献)が示すように,表面抵抗率109 Ω
〜1012 Ωの表面抵抗率をもつ絶縁した物体からの静電気放電は,爆発性雰囲気で着火するリスクが最も低
い。
表面抵抗率が109 Ωよりも著しく小さい絶縁した物体は,火花放電状の放電を発生しやすい。火花放電
の一つの特徴は,帯電物体に蓄えられた電気エネルギーの大部分を放出することである。金属及び他の抵
抗率が極めて小さい物体は,実質的に,蓄えられた電気エネルギーの全てを放電ギャップに放出し,着火
を引き起こすことが可能である。より大きな抵抗率をもつ物体は,電荷がその中を通過する際に,ある程
度のエネルギーを吸収し,放電ギャップには,着火を生じるには小さなエネルギーしか与えない。ある値
では,物体に吸収されるエネルギーは極めて大きくなり,放電ギャップには,着火を起こすことができな
いエネルギーしか与えない。
表面抵抗率1.0×1012 Ωを超える物体は,電荷は自由に動くことができず,絶縁物とみなすことができる。
絶縁物は,局所的に非常に大きな表面電荷密度となり,着火性のあるブラシ放電を生じることがある。
タイプL2内袋をタイプB及びタイプDに用いる場合,この内袋は大地から絶縁されてしまう。したが
って,タイプL2内袋の表面抵抗率は1.0×109 Ω未満とはならず,危険な火花放電が生じるかもしれない。
危険なブラシ放電を避けるために,タイプL2内袋の表面抵抗率の上限値は,1.0×1012 Ωに規定した。
接地に関する要求事項,火花放電及びブラシ放電に関する詳細な情報は,IEC/TR 61340-1及びIEC/TS
60079-32-1に記載してある。
34
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
タイプC(ランニングタイプ)の接地可能接続点までの抵抗についての解説
この附属書では,F.1に解説するタイプCの接地可能接続点までの抵抗の上限値1.0×107 Ωについて,
国内で用いるランニングタイプ(JIS Z 1651参照)に対する例外規定(上限値1.0×108 Ω)の根拠を解説
する。
独立行政法人労働安全衛生総合研究所において,タイプCのランニングタイプを用いて,これに30 µA
の電流を流したときに発生する放電の特徴を観測し,その着火性を,着火試験装置を用いて調べた。
図JA.1は,放電実験装置を示したものである。
図JA.1−タイプC(ランニングタイプ)からの放電実験装置
実験に用いたFIBCは,抵抗の異なる複数の部材で製作されており,本体の任意の箇所から接地可能接
続点までの抵抗は,3.0×104 Ω〜2.0×108 Ωであった。また,静電容量は,約100 pFであった。抵抗2.0×
108 Ωの箇所を給電点として30 µAを流したところ,その近傍の電位は,約3 000 Vに達した。そのときの
放電電流波形は,図JA.2に示すように,約10 µAのピークをもつ小さなパルスが連続的に発生するもの
であった。これは,単発のパルス状電流となる火花放電とは明らかに異なる波形である。
容量性放電を発生させるガス・蒸気着火試験装置を用いて,上記の実験で得られたものと同様の放電に
よる着火性を調べた。その結果,コンデンサ100 pF又は300 pFを最大16 kVまで帯電させ,抵抗1.0×108
Ωを介して放電させたところ,エチレン・空気混合ガス(体積濃度6.5 %,着火エネルギー0.1 mJ)に対し
A
(1 GΩ)
ホイストクレーン
電流制限抵抗
直流高電圧
電源
放電電極
電位計
電流計
オシロ
スコープ
タイプC
(ランニングタイプ)
接地可能接続点
電流電圧
変換抵抗
35
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
て一度も着火することはなかった。一方,抵抗を1.0×107 Ωとしたところ,100 pFでは9.6 kV,また,300
pFでは8.6 kVで着火した。
-30
-25
-20
-15
-10
-5
0
5
10
0
0.005
0.01
0.015
0.02
放
電
電
流
(
µ
A
)
時間(s)
図JA.2−抵抗2.0×108 Ωからの放電電流波形(帯電極性は負)
この実験結果は,放電時にはFIBCの本体の抵抗によって消費されるエネルギー成分が大きく,実際の
放電エネルギーがかなり小さくなることを意味している。
現実の作業工程においては,FIBC使用中に発生する静電気の電流は,10 µA以下と考えられることから,
帯電電位は1 000 V以下と推定され,放電エネルギーは,この実験で得られたものよりも更に小さいもの
となるため,1.0×108 Ω程度の抵抗がある場合,着火性放電は,生じないと結論できる。
なお,クロスタイプ(JIS Z 1651参照)を用いた実験では,ランニングタイプと同様の抵抗であっても,
単発の放電パルスをもつ火花放電となることが確認された。したがって,クロスタイプでは抵抗の上限を
1.0×107 Ωとし,常に電位を放電限界(約300 V)以下に維持することが必要である。
36
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JB
(参考)
接地可能接続点までの抵抗測定用の電極
この附属書では,9.3.1.2に規定するFIBCの接地可能接続点までの抵抗測定に用いる電極について図解
する。導電性糸をもたない材料を測定する場合(9.3.1.2.1)は,図JB.1のa)によって,また,導電性糸を
もつ材料を測定する場合(9.3.1.2.2)は,同図のb)によって測定を行う。
a) 導電性糸をもたない材料を測定する場合
b) 導電性糸をもつ材料を測定する場合
図JB.1−接地可能接続点までの抵抗測定に用いる測定電極の例
R0.25 mm±0.05 mm
接触点
リード線
電源端子へ
1.5 mm±0.5 mm
20 °±10 °
接触面
導電性ゴム又は
非導電性ゴム若しくは
ブロックをアルミニウム
はく(箔)で包んだもの
金属板又は
ブロック
リード線
電源端子へ
25 mm ± 1 mm
25 mm ± 1 mm
37
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
JIS C 61340-2-1 静電気−測定方法−材料及び製品の静電気電荷拡散性能の測定方法
注記 対応国際規格:IEC 61340-2-1,Electrostatics−Part 2-1: Measurement methods−Ability of materials
and products to dissipate static electric charge(IDT)
IEC/TS 60079-32-1,Explosive atmospheres−Part 32-1: Electrostatic hazards, guidance
IEC/TR 61340-1,Electrostatics−Part 1: Electrostatic phenomena−Principles and measurements
CENELEC CLC/TR 50404,Electrostatics−Code of practice for the avoidance of hazards due to static electricity
Butterworth, G.J., Chubb, J.N. and Paul, E.S., A study of the incendivity of electrical discharges between planar
resistive electrodes, Inst. Phys. Conf. Ser. No. 66, 1983
山隈瑞樹,後藤和博,國分彰,帯電防止形フレキシブルコンテナの抵抗値基準に関する一考察,第46回安
全工学研究発表会予稿集,pp. 155-158(2013)
Salmela, H., Paasi, J., Kalliohaka, T. and Fast, L., Measurements of air discharges from insulating, electrostatic
dissipative and conductive materials with different ESD probes, J. Electrostat. 63 (6-10), 2005
38
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JC
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 61340-4-4:2015 静電気−第4-4部:特定応用のための標準的試験方法−フレ
キシブルコンテナの静電気的分類
IEC 61340-4-4:2012,Electrostatics−Part 4-4: Standard test methods for specific
applications−Electrostatic classification of flexible intermediate bulk containers
(FIBC)及びAmendment 1:2014
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
序文
FIBCの材料
INTRO-
DUCTIO
N
“FIBCはポリプロピレ
ン織布で作られ”
追加
“樹脂シート又は紙のような
柔軟な材料”を追加
国内ではポリプロピレン以外に
も多様な材料を用いているため。
今後の対応国際規格の改正時に
同趣旨を提案する。
FIBCの形状
INTRO-
DUCTIO
N
“通常,1 m3の立方体の
形状”
変更
“通常,約1 m3の立方体(又
は円筒状)の形状”に変更
国内では立方体以外に円筒状も
製造しているため。今後の対応国
際規格の改正時に同趣旨を提案
する。
4 分類
FIBCと内袋の分類
及び説明
4.2.3
及
び4.2.4
“内袋が多層構造材料の
場合”
削除
“内袋が多層構造材料の場合”
を削除
表1及び表2に多層構造の場合が
記載されていないこと,かつ,多
層構造が現実性に乏しいと予想
されるため。
5 FIBCの
安全な使
用方法
表5 注a) タイプC
とタイプL1内袋併
用時の抵抗の上限
値
表5,
注a)
“1.0×107 Ω未満”
追加
“又は1.0×108 Ω未満”を追
加
FIBCの抵抗に関する実験結果(附
属書JA)から,ランニングタイプ
の場合,1.0×108 Ωで十分である
と判定できるため。次回国際規格
の改正時に同趣旨を提案する。
4
C
6
1
3
4
0
-4
-4
:
2
0
1
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
39
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 FIBCの
安全な使
用方法
(続き)
材料の材質に関す
る説明
5
“材料の材質によって
は”
追加
“(材料の大まかな性質),例え
ば表面の凹凸など(によって
は)”を追加
“材質”が物理的形状を示すこと
を明瞭にするため。
6 ラベル
表示
6 c) ラベル記載事
項
6,c)
追加
“ただし,タイプCであって,
7.3.1に規定する接地可能接続
点までの抵抗が1.0×108 Ω未
満のものを除く。”を追加
7.3.1の要求事項との整合を図っ
た。
ラベルの例の記載
事項
6
追加
“これらのラベルの例におい
て,規格番号,静電気保護を示
すシンボル及びFIBCタイプの
表示は変更してはならないが,
文言は意味が同じであれば変
更してもよい。”を追加
ラベルの例に含まれる文言も一
例であることを明確にした。
図2A ラベルのデザ
イン
−
−
追加
ランニングタイプのタイプC
のラベルのデザインを追加
ランニングタイプのタイプCは,
対応国際規格の要求事項に適合
していないので,デザインをその
まま使用しないこととした。
7.3.1
タ
イプC
抵抗の上限値
7.3.1
タイプCの抵抗値
変更
タイプCの抵抗値は,一律に
1.0×107 Ω未満としているの
を,ランニングタイプは1.0×
108 Ω未満とした。
また,ランニングタイプの説明
及び変更の趣旨を注記で補足
した。
ランニングタイプは,構造上,1.0
×108 Ωであっても着火性放電を
発生しないことが実験によって
証明されたため。次回国際規格の
改正時に同趣旨を提案する。
4
C
6
1
3
4
0
-4
-4
:
2
0
1
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
40
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9.3.1.1.1
試験所に
おける評
価試験用
の場合及
び
9.3.1.1.2
受入試験
用の場合
測定電圧
9.3.1.1.1
及び
9.3.1.1.2
削除
測定電圧500 Vに関する記述
を削除
JIS C 61340-4-4においては500 V
を用いる測定はしないこと,及び
500 Vを使用しなくても測定には
影響がないため。次回国際規格の
改正時に同趣旨を提案する。
9.3.1.1.1,
9.3.1.1.2
試験所における評
価試験と受入試験
の違い
9.3.1.1.1
及び
9.3.1.1.2
追加
試験所における評価試験と受
入試験の違いを注記として追
加
両試験の意義を明確にするため。
9.3.1.2.1
導電性糸
をもたな
い材料を
測定する
場合及び
9.3.1.2.2
導電性糸
をもつ材
料を測定
する場合
測定用電極の構造
9.3.1.2.1
及び
9.3.1.2.2
追加
測定用電極を附属書JBに図解
する旨を追加
JIS C 61340-4-4においては標準
的ではない電極であるため,図解
することとした。
9.3.2
試
験手順
測定電圧
9.3.2
削除
測定電圧500 Vに関する記述
を削除
JIS C 61340-4-4においては500 V
を用いる測定はしないこと,及
び,500 Vを使用しなくても測定
には影響がないため。次回国際規
格の改正時に同趣旨を提案する。
10.1 全て
の試験
d) 環境条件
10.1,d)
追加
環境条件の後に“(温度,相対
湿度及び前処理時間)”を追加
環境条件の意味を明確にするた
め。次回国際規格の改正時に同趣
旨を提案する。
4
C
6
1
3
4
0
-4
-4
:
2
0
1
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
41
C 61340-4-4:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
10.1 全て
の試験(続
き)
表7 用語の解説
10,表7
追加
フィラーコードの解説を注a)
に追加
フィラーコードが一般的な名称
ではないため解説を要すると判
断した。
附属書JA
(参考)
ランニングタイプ
の抵抗上限値の根
拠
追加
タイプC(ランニングタイプ)
の抵抗を1.0×108 Ω未満とし
た根拠を解説した。
実験によって変更が適切である
ことを解説した。次回国際規格の
改正時に同趣旨を提案する。
附属書JB
(参考)
抵抗測定用電極の
構造
追加
9.3.1.2.1及び9.3.1.2.2に示す測
定用電極を図解した。
いずれのJISにも記載がない電極
であるため,図解することとし
た。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(IEC 61340-4-4:2012,Amd.1:2014,MOD)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
4
C
6
1
3
4
0
-4
-4
:
2
0
1
5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。