C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 注意事項························································································································· 2
4 装置······························································································································· 2
4.1 一般事項 ······················································································································ 2
4.2 光源(S)及び励振条件 ··································································································· 3
4.3 受光装置(D) ·············································································································· 4
4.4 データ収集装置(DAS) ································································································· 4
4.5 テンポラリジョイント(TJ) ··························································································· 5
4.6 光ファイバ ··················································································································· 5
4.7 モードフィルタ(mf) ···································································································· 5
5 手順······························································································································· 6
5.1 前処理 ························································································································· 6
5.2 外観検査 ······················································································································ 6
5.3 測定 ···························································································································· 6
6 個別に規定する事項·········································································································· 8
附属書A(参考)アナログ−デジタル変換器が満たす特性 ··························································· 9
C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第14条第1項の規定に基づき,認定産業標準
作成機関である一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準の案を添えて日本産業規格を改正すべ
きとの申出があり,経済産業大臣が改正した日本産業規格である。これによって,JIS C 61300-3-28:2009
は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実用新案権に関わる確認に
ついて,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
C 61300-3-28:2020
(IEC 61300-3-28:2012)
光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験
及び測定手順−第3-28部:過渡損失測定
Fiber optic interconnecting devices and passive components-
Basic test and measurement procedures-Part 3-28: Examinations and
measurements-Transient loss
序文
この規格は,2012年に第2版として発行されたIEC 61300-3-28を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,光ファイバ接続デバイス及び光受動部品の製品寿命中に加わる機械的なストレスによって
生じる高速に変化する損失(過渡損失)を測定する方法について規定する。
過渡損失の測定によって,光ファイバに加わる高速の機械的なストレスの影響が明らかになる。このよ
うなストレスは,例えば,落下,振動,衝撃,光ファイバの操作など,装置の様々な動作によって生じる。
したがって,通常,この測定は機械的試験にさらす光部品に対して実施する。
この方法は,伝送システムの性能に影響を与える1 ms未満の非常に速い損失変化を測定する測定装置
及び測定手順ではない。光部品の性能標準で規定した試験で生じる機械的なストレスによる過渡損失を検
出できるよう最適化しており,その間隔は一般的に数十ミリ秒よりも長い。
注記1 この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 61300-1に規定されている。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61300-3-28:2012,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and
measurement procedures−Part 3-28: Examinations and measurements−Transient loss(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによって,その一部又は全部がこの規格の要求事項
を構成している。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 6802 レーザ製品の安全基準
2
C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
注記 対応国際規格における引用規格:IEC 60825-1,Safety of laser products−Part 1: Equipment
classification and requirements
JIS C 61300-1 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第1部:通則
注記1 対応国際規格における引用規格:IEC 61300-1:2011,Fibre optic interconnecting devices and
passive components−Basic test and measurement procedures−Part 1: General and guidance
注記2 対応国際規格では,発行年2011年版を引用しているが,IEC 61300-1の最新版は2016年
であり,これを基礎とするJIS C 61300-1は2019年に発効されている。
JIS C 61300-3-1 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第3-1部:外観
検査及び機械的検査
注記 対応国際規格における引用規格:IEC 61300-3-1,Fibre optic interconnecting devices and passive
components−Basic test and measurement procedures−Part 3-1: Examinations and measurements−
Visual examination
IEC 61300-3-35,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and measurement
procedures−Part 3-35: Examinations and measurements−Visual inspection of fibre optic connectors and
fibre-stub transceivers
3
注意事項
光ファイバ中を伝搬する光パワーは,非線形性による散乱を起こす高いレベルの光パワーにしてはなら
ない。
測定装置と供試品とを接続する光ファイバは,光ファイバの曲げによる損失変動及び伝搬モードの変化
が起こらないように,試験中は固定することが望ましい。
レーザ安全に関する推奨事項は,JIS C 6802に従わなければならない。
4
装置
4.1
一般事項
測定装置には,ミリ秒から数秒までの範囲にわたる損失の変化を検出するため,アナログの電気出力を
取り出す高速な受光装置が必要となる。過渡損失の変化時間が0.5 ms未満の場合,測定装置は,想定され
る過渡損失の速さ及び周期に対して2回の測定ができるものでなければならない。
測定系を,図1に示す。
3
C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
記号説明
S
:光源
TJ
:テンポラリジョイント
DUT :供試品
D
:受光装置
DAS :データ収集装置
mf
:モードフィルタ
図1−過渡損失の測定系
4.2
光源(S)及び励振条件
光源の励振条件は,JIS C 61300-1による。
光源は,発光素子,その駆動回路及び光ファイバピッグテール(該当する場合。)からなる。推奨する光
源の条件を,表1に示す。可能な限り,無偏光光源を用いる。0.5 msの過渡損失を検出するため,光源は,
連続光(Continuous Wave:CW)又は高周波の変調パルスとする。
注記 0.5 msに対応する周波数200 Hzを確実に検知でき,4.3に規定する応答周波数2 kHzに影響を与
えない,十分高い高周波パルスが用いられている。受光装置のチョッパ機能を適用するために同
一周波数が用いられている。
表1−推奨する光源
記号
モード
重心波長
nm
光源の種類
S1
マルチモード
660±30
モノクロメータa) 又は発光ダイオード
S2
マルチモード
740±30
モノクロメータa) 又は発光ダイオード
S3
マルチモード
850±30
モノクロメータ又は発光ダイオード
S4
マルチモード
1 300±30
モノクロメータ又は発光ダイオード
S5
シングルモード
1 310±30
レーザダイオード,モノクロメータ又は発光ダイオード
S6
シングルモード
1 550±30
レーザダイオード,モノクロメータ又は発光ダイオード
S7
シングルモード
1 625±30
レーザダイオード,モノクロメータ又は発光ダイオード
注記1 例えば,CWDMなどの光部品では,波長可変レーザなど,他の光源が必要になる可能性があるこ
とを認識しておく。したがって,このような場合,供試品の特性に関し,推奨する光源の特性を規
定することがある。
注記2 波長660 nm及び波長740 nmでの励振条件は,現段階では規定されていない。
注記3 重心波長及びスペクトル幅の用語は,JIS C 61280-1-3で定義している。
注a) 対応国際規格では,モノクロメータの記載がないが,JIS C 61300-3-4に合わせて記載した。
光源から出力される光パワーの安定度は,23 ℃において,測定中を通して,公称光パワーに対して±0.01
dBとする。
光源から出力される光パワーは,受光装置が測定できる最小光パワーに対して20 dB以上高くする。
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C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
4.3
受光装置(D)
受光装置は,受光素子,受光素子への接続機構及び受光素子からの電気信号を増幅するなどの機能をも
つ電気回路から構成される。受光素子への接続は,ベアファイバアダプタ若しくは適切な光ファイバコネ
クタプラグと接続する光ファイバアダプタ,又は光レセプタクルのいずれでもよい。
受光装置は,試験の測定時間にわたり,その測定値が要求するレベル以内で安定でなければならない。
受光装置の詳細仕様は,要求する測定値に適合しなければならない。受光装置のダイナミックレンジは,
光源の波長において,供試品の出力端で,光パワーレベルをカバーしなければならない。さらに,受光装
置は,0.5 msの過渡損失を測定するため,2 kHz以上の周波数応答特性をもち,データ収集装置(DAS)に
測定データを出力するための電気出力端子をもたなければならない。
推奨する受光装置の性能を,表2に示す。
表2−推奨する受光装置の性能
記号
モード
直線性a)
dB
相対不確かさb)
D1
マルチモード
±0.05以内
(−5 dBm〜−60 dBm)
0.05 dB以下c)
D2
シングルモード
±0.01以内
(損失:10 dB未満)
±0.05以内
(損失:10 dB以上かつ60 dB未満)
0.02 dB以下c)
注記 D1及びD2に共通な測定不確かさの要因には,受光感度偏光依存性及び光検出
器と光ファイバ端面との反射による干渉がある。反射による受光感度への影響
は,高コヒーレント光を用いる場合の波長軸上のスペクトルリップルとして観
測することが可能である。
なお,この注記は,JIS C 61300-3-4を参考にした。
注a) 対応国際規格では,直線性として±を付与せずに絶対値で表しているが,直線
性は基準測定器からのずれを示すため,±を付与した。要求値は,JIS C 61300-
3-4に合わせた。
注b) 対応国際規格では,Accuracy(精確さ,確度)としているが,JIS C 61300-3-4に
合わせ,相対不確かさとした。
注c) 対応国際規格では,5 %以下としているが,パーセント(%)表示は絶対光パワ
ーに対して適用するため,相対不確かさに対しては,JIS C 61300-3-4に合わせ,
それぞれ0.05 dB以下及び0.02 dB以下とした。
光ファイバからの全ての出射光を受光素子で受光するために,光ファイバの開口数(Numerical Aperture:
NA)に対して,受光素子の受光面積及び受光素子から光ファイバまでの相対位置を適切に設定することが
望ましい。
測定系全体の安定性は,測定中及び測定環境温度内で,0.05 dBp-pより小さくする。
4.4
データ収集装置(DAS)
受光装置によって測定された過渡的な損失変動を記録するため,受光装置のアナログ電気出力に接続し
た高速のデータ収集装置を用いる。データ収集装置は,受光装置が出力する,時間に対する変動値を検出
し,データを表示するため,アナログ電気出力と同じ周波数でデジタル信号のデータとして変換し,保存
できなければならない。簡単なデータ収集装置として,トリガが発出されてから,受光装置が出力するア
5
C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
ナログ電気信号を保存できるオシロスコープを用いてもよい。この場合,電気信号の電圧をデシベル単位
の受光レベルに変換した出力データを用いる。
より実効的なデータ収集装置として,アナログ−デジタル変換器をパーソナルコンピュータへ接続する
構成がある。アナログ−デジタル変換器は,(広く市場に流通している受光装置を用いて,0.001 dB以下の
分解能を実現するために,最小で16ビット,推奨値は24ビットの)十分なダイナミックレンジをもち,
少なくとも毎秒4 000回のデータを収集及び保存する速度をもたなければならない(詳細な情報は,附属
書Aを参照)。アナログ−デジタル変換器は,受光装置のアナログ電気出力のレベルを全てカバーするよ
うに,その条件を設定しなければならない。
一般に,パーソナルコンピュータによるデシベル単位への変換は,測定と同時に行われる。大容量の全
ての測定データを保存しないために,トリガ信号が発出されるまでは,1秒間に1回だけデータ保存すれ
ばよい。トリガ信号が発出された後,過渡現象の間,及びその前後の1秒間の全てのデータを保存する(少
なくとも,毎秒4 000回測定)。過渡現象後の損失が試験前の損失に戻らない場合,データ保存容量を超え
ないように最大測定時間を設定することが可能である。このあらかじめ設定した時間を経過した後,パー
ソナルコンピュータは,次の過渡現象が起きるまで1秒間に1回の測定データを保存することになる。こ
の方法を用いると,過渡現象が起きたとき,機械的試験を中断することなく連続的に過渡損失の測定が可
能となる。
4.5
テンポラリジョイント(TJ)
テンポラリジョイントは,一時的に2本の光ファイバ端を安定に再現性よく低損失に接続できる方法で,
機器又は機械的な保持手段である。標準的な光ファイバコネクタによって,供試品を測定系に直接接続す
ることができない場合に用いる。例えば,精密なV溝,真空チャック,微動台,融着接続,メカニカルス
プライスなどを用いる。テンポラリジョイントは,測定中の損失安定度の最大最小差が,デシベル(dB)
単位で規定する測定不確かさの20 %以下を実現しなければならない。テンポラリジョイントの安定性を改
善するため,適切な屈折率整合剤を用いてもよい。
注記 対応国際規格では,測定中の損失安定度を“測定精度の±10 %”と記載しているが,測定中の損
失安定度の最大最小差を“測定不確かさの20 %以下”と表現した。
4.6
光ファイバ
供試品に光源及び光検出器を接続するために用いる光ファイバの構造パラメータの寸法特性及び光学特
性は,供試品の使用光ファイバと同一でなければならない。
4.7
モードフィルタ(mf)
測定中に発生する不要な高次モードを除去し,測定不確かさを排除するためにモードフィルタを用いる。
モードフィルタは,JIS C 61300-1に規定する励振条件を満足するものを用いる。
注記 4.2(光源及び励振条件)に励振条件が含まれている。JIS C 61300-1にはモードフィルタの規定が
なく,励振条件だけが規定されている。この細分箇条は4.2と重複するため,削除が可能だが,
対応国際規格に合わせて記載した。
6
C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
5
手順
5.1
前処理
供試品の入出力光ファイバコネクタプラグ端面は,試験結果及び測定結果に影響を与えないため,異物
の付着がなく,清掃状態を維持しなければならない。清掃に当たり,製造業者が指定する方法に従う。
供試品は,試験及び測定の前に,常温環境下に1時間以上放置しなければならない。
注記1 光ファイバコネクタプラグ端面の清掃方法は,IEC TR 62627-01参照。
注記2 常温環境条件として,JIS C 61300-1に規定する標準的環境条件を採用することがある。
5.2
外観検査
供試品の入出力光ファイバコネクタプラグ端面は,試験結果及び測定結果に影響を与えないため,異物
の付着があってはならない。供試品は,試験及び測定を開始する前に,JIS C 61300-3-1及びIEC 61300-3-
35に従って外観検査を行うことを推奨する。
5.3
測定
用いるデータ収集装置によっては,検出する最小の損失変動に合わせてトリガの発出レベルを設定する
必要がある。しきい値が低すぎると雑音によって頻繁にトリガが発出するため,トリガ発出のしきい値を
決めることには注意を要する。トリガ発出のしきい値は,測定する損失変動量のデシベル換算で20 %とす
るのがよい。
レーザダイオードのように強く偏光した光源を用いる場合は,トリガレベルは0.2 dB未満にしないこと
を推奨する。これより低いトリガレベルを設定した場合は,雑音又は回路中の偏光依存性損失(Polarization
dependent loss:PDL)の影響で頻繁にトリガがかかるおそれがある。偏光の程度が低い光源を用いる場合,
最も低いトリガレベルの一つとして0.1 dBに設定することが望ましい。
受光装置の連続的なアナログ電気出力からデータを収集し,試験の最後に解析を行う。
供試品を,図1に示すように測定系に接続する。試験を行う前に安定状態の光源から出力される光パワ
ーを測定し,記録する。
機械的試験,耐環境試験などの試験中に,供試品から出力される光パワーを,過渡損失を測定するため
にモニタする。
試験後に,供試品から出力される安定状態の光パワーを測定する。
試験前後の光パワー変動(残留損失)及び試験中の損失の最大変動量(過渡損失)を記録する(図2参
照)。
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C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
図2−過渡損失の測定結果の例
オシロスコープを用いて測定した結果の例を,図3に示す。
注記 この例では,0.2 dB以上の変化を検出対象としているので,トリガレベルVTは,初期値V1に対して
0.08 dB高い上側トリガレベル(VTu)及び0.08 dB低い下側トリガレベル(VTl)を設定している。0.08
dBに相当する電圧変化は,−20 log(VT/V1) で計算され,0.012 mVである。電圧におけるデシベルの計
算は,常に−20 log(V1/V2) というわけではない。光/電気(O/E)変換器によっては,ワット表示の光パ
ワーに比例した電圧を出力する可能性がある。その場合は,デシベル計算には−10 log(V1/V2) を用いる。
デシベル変換において,−20 log(V1/V2) を用いるのか,−10 log(V1/V2) を用いるのかを確認することが
重要である。
図3−オシロスコープを用いて測定した結果の例
20ms
20μV
時間
電
圧
雑音
上側トリガレベル
VTu=1.325 mV
下側トリガレベル
VTl=1.301 mV
電圧変動:0.062 mV
0.42 dBの過渡損失に相当
[-20 log(V2/V1)]
最小電圧V2=1.251 mV
初期値V1=1.313 mV
(s)
(
V
)
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C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
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個別に規定する事項
次の事項は,必要に応じて個別に規定する。
a) 光源の重心波長及びスペクトル幅
b) 受光装置の特性
c) 試験中の最大損失変動量
d) 試験後の最大損失変動量
e) 光ファイバ長
f)
この測定方法からの変更点
注記 過渡損失の最短時間を含めることがある。
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C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
附属書A
(参考)
アナログ−デジタル変換器が満たす特性
一般に,受光装置のアナログ電気出力は,ほとんどのものが,電圧値0.2 V〜2 Vの範囲で出力する。典
型的な測定系を,図A.1に示す。
図A.1−典型的な測定系
受光する光パワーが変化すると,受光装置の増幅回路は,受光する光パワーレベルの増幅特性を最適化
するため,自動的に増幅するレンジを変更する。レンジを変更すると,アナログ電気出力の電圧レベルは,
レンジ内の最大電圧を超えて,飛び値となる。このようなレンジの変更による飛び値の防止は,試験前の
損失測定の設定が完了した後,受光装置の“自動レンジ”設定をオフにすることで可能となる。
アナログ−デジタル変換器の入力範囲が,0 V〜10 Vとすると,16ビットのアナログ−デジタル変換器
では,1ビットが0.000 15 Vとなる(10/65 000)。最小損失変動を0.01 dBとすると,0.2 Vは0.000 23 Vに
相当する。したがって,16ビットのアナログ−デジタル変換器を用いることで,この分解能を実現するこ
とが可能である。
しかしながら,0.2 Vに対する損失値において,0.001 dBの損失変動を検出するための分解能を得るに
は,24ビットのアナログ−デジタル変換器が望ましい。
アナログ−デジタル変換器を用いて0.5 msの過渡損失を検出するには,受光装置のアナログ電気信号の
応答周波数を2 kHzと想定すると,少なくとも1秒間当たり4 000回のデータ取得速度とする必要がある。
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C 61300-3-28:2020 (IEC 61300-3-28:2012)
参考文献
[1] JIS C 61280-1-3 光ファイバ通信サブシステム試験方法−第1-3部:中心波長及びスペクトル幅測
定
[2] JIS C 61300-3-3 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第3-3部:挿
入損失及び反射減衰量変化のモニタ方法
[3] JIS C 61300-3-4 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第3-4部:損
失測定
[4] IEC TR 62627-01,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Part 01: Fibre optic
connector cleaning methods