C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 測定方法の概要················································································································ 1
3.1 概要 ···························································································································· 1
3.2 方法A:フェルール外径を基準とする測定方法(基準となる測定方法) ··································· 2
3.3 方法B:光ファイバコア中心を基準とする測定方法(光ファイバ取付けフェルールに適用) ········ 2
4 装置······························································································································· 3
4.1 方法A ························································································································· 3
4.2 方法B·························································································································· 3
5 手順······························································································································· 3
5.1 方法A-1 ······················································································································· 3
5.2 方法A-2 ······················································································································· 4
5.3 方法B·························································································································· 5
6 個別に規定する事項·········································································································· 7
6.1 方法A ························································································································· 7
6.2 方法B·························································································································· 7
C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人
光産業技術振興協会(OITDA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本
産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
産業規格である。これによって,JIS C 61300-3-25:2014は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
注記 工業標準化法に基づき行われた申出,日本工業標準調査会の審議等の手続は,不正競争防止法
等の一部を改正する法律附則第9条により,産業標準化法第12条第1項の申出,日本産業標準
調査会の審議等の手続を経たものとみなされる。
JIS C 61300の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 61300-1 第1部:通則
JIS C 61300-2-1 第2-1部:正弦波振動試験
JIS C 61300-2-2 第2-2部:繰返しかん合試験
JIS C 61300-2-4 第2-4部:光ファイバクランプ強度試験(軸方向引張り)
JIS C 61300-2-5 第2-5部:光ファイバクランプ強度試験(ねじり)
JIS C 61300-2-6 第2-6部:かん合部締結強度試験(軸方向引張り)
JIS C 61300-2-7 第2-7部:かん合部締結強度試験(曲げモーメント)
JIS C 61300-2-9 第2-9部:衝撃試験
JIS C 61300-2-11 第2-11部:光ファイバクランプ強度試験(軸方向圧縮)
JIS C 61300-2-12 第2-12部:落下衝撃試験
JIS C 61300-2-14 第2-14部:光パワー損傷のしきい値試験
JIS C 61300-2-15 第2-15部:結合部ねじり試験
JIS C 61300-2-17 第2-17部:低温試験
JIS C 61300-2-18 第2-18部:高温試験
JIS C 61300-2-19 第2-19部:高温高湿試験(定常状態)
JIS C 61300-2-21 第2-21部:混合温湿度サイクル試験
JIS C 61300-2-22 第2-22部:温度サイクル試験
JIS C 61300-2-24 第2-24部:応力印加によるセラミック割りスリーブのスクリーニング試験
JIS C 61300-2-26 第2-26部:塩水噴霧試験
JIS C 61300-2-27 第2-27部:ダスト試験(層流)
JIS C 61300-2-40 第2-40部:SM調心円筒形斜めPC端面光ファイバコネクタプラグの挿入損失スク
リーニング試験
JIS C 61300-2-41 第2-41部:SM調心円筒形直角PC端面光ファイバコネクタプラグの挿入損失スク
リーニング試験
C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
(3)
JIS C 61300-2-44 第2-44部:光ファイバクランプ強度試験−繰返し曲げ
JIS C 61300-2-45 第2-45部:浸水試験
JIS C 61300-2-46 第2-46部:湿熱サイクル試験
JIS C 61300-2-47 第2-47部:熱衝撃試験
JIS C 61300-2-48 第2-48部:温湿度サイクル試験
JIS C 61300-2-49 第2-49部:取付け済み光ファイバコード付き光ファイバコネクタプラグの曲げ試験
JIS C 61300-2-50 第2-50部:光ファイバクランプ強度試験−非通光左右曲げ引張り
JIS C 61300-2-51 第2-51部:光ファイバクランプ強度試験−通光左右曲げ引張り
JIS C 61300-2-55 第2-55部:光ファイバアダプタ取付強度試験−軸方向
JIS C 61300-3-1 第3-1部:外観検査及び機械的検査
JIS C 61300-3-2 第3-2部:シングルモード光デバイスの光損失の偏光依存性
JIS C 61300-3-3 第3-3部:挿入損失及び反射減衰量変化のモニタ方法
JIS C 61300-3-4 第3-4部:損失測定
JIS C 61300-3-6 第3-6部:反射減衰量測定
JIS C 61300-3-7 第3-7部:シングルモード光部品の光損失及び反射減衰量の波長依存性測定
JIS C 61300-3-11 第3-11部:結合力及び離脱力測定
JIS C 61300-3-14 第3-14部:可変光減衰器の減衰量の設定の誤差及び再現性測定
JIS C 61300-3-20 第3-20部:波長選択性のない光ブランチングデバイスのディレクティビティ測定
JIS C 61300-3-21 第3-21部:切替時間測定
JIS C 61300-3-22 第3-22部:フェルール押圧力測定
JIS C 61300-3-24 第3-24部:偏波面保存光ファイバ付き光ファイバコネクタのキー位置精度測定
JIS C 61300-3-25 第3-25部:直角端面フェルール及び光ファイバ取付け直角端面フェルールの同心度
測定
JIS C 61300-3-26 第3-26部:光ファイバとフェルール軸との角度ずれの測定
JIS C 61300-3-27 第3-27部:多心光ファイバコネクタプラグの穴位置測定
JIS C 61300-3-28 第3-28部:過渡損失測定
JIS C 61300-3-30 第3-30部:多心光ファイバコネクタ用フェルールの研磨角度及び光ファイバ位置測
定
JIS C 61300-3-32 第3-32部:光受動部品の偏波モード分散測定
JIS C 61300-3-33 第3-33部:ピンゲージを用いた割りスリーブのフェルール引抜力測定
JIS C 61300-3-34 第3-34部:ランダム接続時の挿入損失
JIS C 61300-3-36 第3-36部:光ファイバコネクタフェルールの内径及び外径の測定
JIS C 61300-3-38 第3-38部:群遅延,波長分散及び位相リップルの測定
JIS C 61300-3-40 第3-40部:偏波面保存光ファイバ付き光ファイバコネクタプラグの偏波消光比測定
JIS C 61300-3-43 第3-43部:光ファイバ光源のモードトランスファファンクション測定
JIS C 61300-3-45 第3-45部:多心光ファイバコネクタのランダム接続時の挿入損失測定
JIS C 61300-3-47 第3-47部:干渉法による直角PC端面及び斜めPC端面単心円筒形フェルールの端
面形状測定
JIS C 61300-3-50 第3-50部:光スイッチのクロストーク測定
日本産業規格 JIS
C 61300-3-25:2019
(IEC 61300-3-25:2016)
光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験
及び測定手順−第3-25部:直角端面フェルール及び
光ファイバ取付け直角端面フェルールの同心度測定
Fiber optic interconnecting devices and passive components-Basic test and
measurement procedures-Part 3-25: Examinations and measurements-
Concentricity of non-angled ferrules and non-angled ferrules with optical fiber
installed
序文
この規格は,2016年に第3版として発行されたIEC 61300-3-25を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,直角端面フェルール及び光ファイバ取付け直角端面フェルールの同心度測定方法について
規定する。
注記1 この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 5962の箇条3(用語及び定義)を参照。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61300-3-25:2016,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and
measurement procedures−Part 3-25: Examinations and measurements−Concentricity of
non-angled ferrules and non-angled ferrules with fibre installed(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
この規格に引用規格はない。
3
測定方法の概要
3.1
概要
直角端面フェルール(以下,フェルールという。)及び光ファイバ取付け直角端面フェルール(以下,光
ファイバ取付けフェルールという。)の同心度の測定について規定する。これらは,単心円筒形フェルール
を対象とする。同心度(C)は,フェルール中心軸と光ファイバ挿入穴中心軸との距離の2倍として定義
する。光ファイバ取付けフェルールの場合は,フェルール中心軸と光ファイバコア中心軸との距離の2倍
2
C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
として定義する(図1参照)。光ファイバ取付けフェルールの同心度を測定する場合,光ファイバ断面の
形状,及び光ファイバ挿入穴と光ファイバとの隙間が結果に影響する。また,フェルール外径の円筒度及
び真円度の不完全さは,測定結果に影響する。
注記 上図の理解を助けるために,次の補足説明図を示す。
図1−同心度の定義
3.2及び3.3に,2種類の同心度測定方法を示す。
3.2
方法A:フェルール外径を基準とする測定方法(基準となる測定方法)
フェルール又は光ファイバ取付けフェルールを,V溝又は外径基準出しジグに置き,回転させる。光フ
ァイバ挿入穴又は光ファイバコアの変位を測定し,同心度を求める。
3.3
方法B:光ファイバコア中心を基準とする測定方法(光ファイバ取付けフェルールに適用)
同心度を測定するために,顕微鏡付き真円度測定装置を用いる。光ファイバコアの中心軸を,測定装置
の中心軸に合わせ,通常はピックアッププローブを用いて,フェルールを回転させたときのフェルール外
径の変位量を測定し,同心度を求める。
3
C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
4
装置
4.1
方法A
方法Aの装置は,次による。
− 微動台に取り付けたV溝又は外径基準出しジグ
[JIS B 0615-1によるV溝(山形案内面)のくさび角度の基準値は,108度である。]
− ビデオカメラ付き顕微鏡
− ディスプレイ
− 光源:この方法には白色光が適切である。
注記 安定した画像を取得するために,コヒーレンス度の低い光源を用いることがある。
− 画像処理装置
4.2
方法B
方法Bの装置は,次による。
− 顕微鏡付き真円度測定装置(記録計,X-Yテーブル,チャック及びピックアッププローブを含む。)
− 光源:この方法には白色光が適切である。
注記 安定した画像を取得するために,コヒーレンス度の低い光源を用いることがある。
5
手順
5.1
方法A-1
方法Aによる光ファイバ取付けフェルールの測定手順は,次による。
a) フェルールの外周を洗浄する。
b) 図2に示すように,V溝又は外径基準出しジグにフェルールを置く。
c) 反対側の光ファイバコアに光を入射する。
d) 光を入射した光ファイバコアの画像を取得する。
e) 次の式を用いて,中心画素の輝度の重心COG(座標COGx及びCOGy)を求める。
(
)
(
)
×
=
×
=
∑
∑
thresh
y
x
I
y
thresh
y
x
I
x
total
y
x
I
y
COG
total
y
x
I
x
COG
≧
≧
)
,
(
)
,
(
,
,
·················································· (1)
ここに, (x, y): 画素の位置
I(x, y): その位置における画素の輝度
thresh: 輝度のしきい値(グレースケール値)
total: 画素の輝度I(x, y)がしきい値thresh以上である画素の総数
(
)
(
)
∑
=
thresh
y
x
I
y
x
I
total
≧
,
,
f)
フェルールを60度以下の角度ずつ回転し,1回転するまで手順d)及びe)を繰り返す。
g) 測定した位置(σ1〜σn)から,最適近似円を計算する。この近似円の直径を最大変位量Cとする。
4
C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
σn:各位置での光ファイバコア中心
C:最大変位量(同心度の測定値)
注記 上図の理解を助けるために,次の補足説明図を示す。
図2−光ファイバ取付けフェルールの同心度測定(方法A-1)の測定系の構成例
5.2
方法A-2
方法Aによるフェルールの測定手順は,次による。
a) 光ファイバ挿入穴を洗浄し,ごみ,ばり又はその他異物を完全に取り除く。フェルールの外周を洗浄
する。
b) 図3に示すように,V溝又は外径基準出しジグにフェルールを置く。
c) 光ファイバ挿入穴に光を入射する。
d) 光を入射した光ファイバ挿入穴の画像を取得する。
e) ハイパスフィルタを用いて,光ファイバ挿入穴のエッジに位置する画素を特定する。エッジ上の画素
から最小二乗法による近似円を計算して,光ファイバ挿入穴の中心座標を求める。円に完全に一致す
回転(360度)後の光ファイバコア画像
5
C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
るまで,繰り返し行う。
f)
フェルールを60度以下の角度ずつ回転し,1回転するまで手順d)及びe)を繰り返す。
g) 測定した位置(σ1〜σn)から,最適近似円を計算する。この近似円の直径を最大変位量Cとする。
σn:各位置での光ファイバ挿入穴中心
C:最大変位量(同心度の測定値)
注記 上図の理解を助けるために,次の補足説明図を示す。
図3−フェルールの同心度測定(方法A-2)の測定系の構成例
5.3
方法B
方法Bによる測定手順は,次による。
a) フェルールの外周を洗浄する。
b) 図4に示すように,顕微鏡付き真円度測定装置に光ファイバ取付けフェルールを搭載する。
c) 顕微鏡付き真円度測定装置のX-Yテーブルを調整して,光ファイバコアの中心が正確に回転の中心に
なるように,光ファイバ取付けフェルールを移動する。反対側の光ファイバコアに光を入射し,光フ
回転(360度)後の光ファイバ挿入穴画像
6
C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
ァイバコアの中心を求める。
d) 光ファイバ取付けフェルールを回転させたとき,フェルール外径の変位量を測定できるように,顕微
鏡付き真円度測定装置のピックアッププローブをフェルール外径に接触させる。
e) フェルールを360度以上回転させて,顕微鏡付き真円度測定装置の最大値をC1,最小値をC2として
記録する。同心度は,最大値と最小値との差である(C=C1−C2,図4参照)。
注記 上図の理解を助けるために,次の補足説明図を示す。
図4−光ファイバ取付けフェルールの同心度測定(方法B)の測定系の構成例
同心度の測定値C=C1−C2
7
C 61300-3-25:2019 (IEC 61300-3-25:2016)
6
個別に規定する事項
6.1
方法A
必要に応じて,次の事項を製品規格などに規定する。
− 許容同心度
− 顕微鏡の倍率
− 5.1又は5.2で規定する測定手順との差異
− 測定の不確かさ
− 使用するV溝又は外径基準出しジグ
− 画像処理装置の解像度
6.2
方法B
必要に応じて,次の事項を製品規格などに規定する。
− 許容同心度
− 顕微鏡付き真円度測定装置の測定精度
− 5.3で規定する測定手順との差異
− 測定の不確かさ
参考文献 JIS B 0615-1 製品の幾何特性仕様(GPS)−くさび形体−第1部:角度及び勾配の基準値
注記 原国際規格ではISO 2538を記載しているが,2014年に廃止されていることから,置
換え規格のISO 2538-1,Geometrical product specifications (GPS)−Wedges−Part 1: Series
of angles and slopesに対応するJISを記載した。
JIS C 5962 光ファイバコネクタ通則