C 61300-2-42:2020
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義··················································································································· 2
4 試験の概要······················································································································ 2
5 装置······························································································································· 2
5.1 引張力発生器 ················································································································ 2
5.2 取付具 ························································································································· 2
5.3 光源及び光パワーメータ ································································································· 3
6 試験手順························································································································· 3
6.1 供試品の準備 ················································································································ 3
6.2 前処理 ························································································································· 3
6.3 初期検査及び初期測定 ···································································································· 3
6.4 試験条件 ······················································································································ 3
6.5 挿入損失測定 ················································································································ 4
6.6 光ファイバへの引張力の印加 ··························································································· 4
6.7 光損失変動量の測定 ······································································································· 4
6.8 後処理 ························································································································· 4
6.9 最終検査及び最終測定 ···································································································· 4
6.10 繰返し試験 ·················································································································· 4
7 試験の厳しさの程度·········································································································· 4
8 個別に規定する事項·········································································································· 5
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 6
C 61300-2-42:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第14条第1項の規定に基づき,認定産業標準作成機関である一般財団法人
日本規格協会(JSA)から,産業標準の案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,経済産業
大臣が制定した日本産業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実用新案権に関わる確認に
ついて,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
C 61300-2-42:2020
光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−
基本試験及び測定手順−第2-42部:
光ファイバクランプ強度試験−横方向引張り
Fiber optic interconnecting devices and passive components-
Basic test and measurement procedures-Part 2-42:
Tests-Static side load for strain relief
序文
この規格は,2014年に第3版として発行されたIEC 61300-2-42を基とし,技術的内容及び構成を変更し
て作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。技術的差
異の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,光ファイバクランプ部を用いて組み立てられた光ファイバの使用中に起こり得る,横方向
の引張力に対する耐久性の試験方法について規定する。その目的は,通常使用中に経験される光ファイバ
コード又は光ファイバケーブルの長さ分の質量による横方向の引張力を再現することである。光部品に取
り付ける光ファイバには,光ファイバ心線,光ファイバコード及び光ファイバケーブル(以下,光ファイ
バという。)を含む。光ファイバクランプ部は,動作中に横方向の引張力が印加されても,光学性能を劣化
させないことが望ましいとされている。光ファイバクランプ部は,ブーツ及び周辺部品で構成されている。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61300-2-42:2014,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and
measurement procedures−Part 2-42: Tests−Static side load for strain relief(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”こと
を示す。
2
引用規格
次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによって,その一部又は全部がこの規格の要求事項
を構成している。これらの引用規格のうち,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その
後の改正版(追補を含む。)は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)
を適用する。
JIS C 61300-1 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第1部:通則
2
C 61300-2-42:2020
注記 対応国際規格における引用規格:IEC 61300-1,Fibre optic interconnecting devices and passive
components−Basic test and measurement procedures−Part 1: General and guidance
JIS C 61300-3-1 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第3-1部:外観
検査及び機械的検査
注記 対応国際規格における引用規格:IEC 61300-3-1,Fibre optic interconnecting devices and passive
components−Basic test and measurement procedures−Part 3-1: Examinations and measurements−
Visual examination
JIS C 61300-3-3 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第3-3部:挿入
損失及び反射減衰量変化のモニタ方法
注記 対応国際規格における引用規格:IEC 61300-3-3,Fibre optic interconnecting devices and passive
components−Basic test and measurement procedures−Part 3-3: Examinations and measurements−
Active monitoring of changes in attenuation and return loss
JIS C 61300-3-4 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第3-4部:損失
測定
注記 対応国際規格における引用規格:IEC 61300-3-4,Fibre optic interconnecting devices and passive
components−Basic test and measurement procedures−Part 3-4: Examinations and measurements−
Attenuation
IEC 61753-1:2018,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Performance standard−Part
1: General and guidance
3
用語及び定義
この規格には,定義する用語はない。
4
試験の概要
図1に示すように,供試品を試験系に装着し,光ファイバに引張力を加え,試験中の光損失の変化量を
記録する。
注記 この試験は,光受動部品に対しては,本体に光ファイバピッグテールが取り付けられている部品
だけに適用されている。
5
装置
5.1
引張力発生器
引張力発生器は,おもり(錘)及びおもりによる引張力を光ファイバに伝える手段で構成する。光ファ
イバにマイクロベンド損失又はマクロベンド損失が発生してはならない。供試品の光ファイバに引張力を
伝えるため,マンドレルを使用する。
5.2
取付具
取付具は,供試品を安定に固定できる部分及びその周辺機器で構成する。光ファイバコネクタ(以下,
光コネクタという。)プラグの場合は,必要に応じて取付具に光ファイバアダプタを組み込む。取付具の片
側には供試品を,その逆側には測定するための光接続コードが保持できる構造とする。
3
C 61300-2-42:2020
5.3
光源及び光パワーメータ
光源及び光パワーメータは,JIS C 61300-3-4に従い,挿入損失の変動を測定するために用いる。(1分間
に10回未満の測定頻度のような)連続的に光パワーを測定できない光パワーメータの場合は,光損失の変
動量を時間の関数として記録できるものを用いる。
6
試験手順
6.1
供試品の準備
製造業者の指定,又は個別に規定された供試品を準備する。供試品の光ファイバは,光源及び光パワー
メータに容易に接続できるよう,十分な長さとする。
6.2
前処理
個別に規定がない場合,JIS C 61300-1に規定する標準的環境条件下で2時間以上放置する。
6.3
初期検査及び初期測定
個別に規定された供試品の初期検査及び初期測定を行う。供試品の減衰量を測定し,記録する。
6.4
試験条件
供試品は,光ファイバアダプタと接続するなどの一般的な使用方法で取付具に取り付ける(図1参照)。
マンドレルには,光ファイバが押しつぶされないように固定しなければならない。特に指定のない限り,
引張力印加点は,光ファイバクランプ部の端部から20 cm〜30 cmとする。
図1−横方向引張試験の試験系の例
4
C 61300-2-42:2020
6.5
挿入損失測定
損失を再測定して,取付具及び光ファイバクランプ部が光損失の変化量に影響を及ぼさないことを確認
する。
6.6
光ファイバへの引張力の印加
光ファイバに急激な引張力がかからないように,マンドレルに,規定の引張力を下方向に徐々に加える。
推奨時間又は個別に規定された時間,引張力を維持する。
6.7
光損失変動量の測定
供試品の減衰量は,個別に規定がない限り,JIS C 61300-3-3の規定に従い,試験中連続的に測定しなけ
ればならない。測定開始時からの減衰量の変動量は,供試品の光ファイバ取付部,又は供試品の光ファイ
バと光接続コードとの接続部に起因するものとみなされる。
試験前後における供試品の光損失変動量が許容範囲を超えており,それが光ファイバの損傷などの疑い
がある場合,再度,同じ光ファイバ及び両端の光ファイバクランプ部に対して,光ファイバの損傷などの
影響について確認するための試験を行うことが望ましい。
6.8
後処理
個別に規定がない場合,供試品をJIS C 61300-1に規定する標準的環境条件下に2時間以上放置する。
6.9
最終検査及び最終測定
試験終了後,全ての器具を取り外し,最終損失測定を行い,供試品に恒久的な損傷がないことを確認す
る。最終測定結果は,個別に規定された変動量以下になることを確認する。
供試品を取付具から取り外した後,個別に規定がない限り,JIS C 61300-3-1に従って外観検査を行う。
供試品に破損などの不具合が起きていないかを確認する。不具合の例を,次に示す。
− 部品又は附属品の破損,抜け又は損傷
− ケーブル外被,密封部,光ファイバクランプ部又は光ファイバへの破損又は損傷
− 位置ずれ,屈曲又は破損した部品
6.10
繰返し試験
個別に規定されており,供試品の構造に問題がない場合は,互いに垂直な2方向に対し,横方向引張り
試験を行う。例えば,2心光ファイバコード又は平形光ファイバケーブルの場合,曲げ方向を限定しても
よい。試験時には互いに垂直な曲げ方向を決めておく。
7
試験の厳しさの程度
試験の厳しさの程度は,環境カテゴリによって区分し,それぞれの適用する引張力及び保持時間の推奨
値を表1に示す。
また,表1はIEC 61753-1:2018を基にした。
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C 61300-2-42:2020
表1−試験の厳しさの程度(推奨値)
環境カテゴリ
供試品
引張力
N
保持時間
min
C,OP,E
CHD,OPHD,EHD
光コネクタ及び光受動部品−光ファイバコード
1.0±0.1
60
C,OP,E
CHD,OPHD,EHD
光コネクタ及び光受動部品−光ファイバ心線
0.2±0.02
5
C,OP
CHD,OPHD
ファイバマネジメントシステム−光ファイバコード
1.0±0.1
60
C,OP
CHD,OPHD
ファイバマネジメントシステム−ケーブルエレメント
0.5±0.1
5
OP+,OP+HD
光コネクタ及び光受動部品−光ファイバコード
5.0±0.5
5
OP+,OP+HD
光コネクタ及び光受動部品−光ファイバ心線
2.3±0.2
5
注記1 対応国際規格では,IEC 61753-1, Ed.1:2007に基づく環境カテゴリとして,C,U,O及びEを規定してい
た。IEC 61753-1は,Ed.2が2018年に発行され,Uに対しOP,Oに対しOP+に記号が変更され,更に,
近くに発熱源がある“HD”が追加された。
注記2 環境カテゴリOP+,OP+HDに対し,対応国際規格では光受動部品と記載しているが,光コネクタ及び光
受動部品に修正した。
注記3 対応国際規格では,環境カテゴリO(現OP+及びOP+HD)の光コネクタ及び光受動部品の光ファイバコ
ード,光ファイバ素線及び光ファイバ心線に対し試験を要求しているが,IEC61753-1:2018では,光ファ
イバ素線に対する要求はないので,光ファイバ素線を削除した。
8
個別に規定する事項
必要に応じて,次の事項を製品規格などに規定する。
a) 光ファイバに加える引張力の大きさ
b) 引張力の保持時間
c) 光ファイバの仕様
d) 互いに垂直な引張方向の数
e) 初期検査及び初期測定の項目
f)
試験中の検査項目及び測定項目,並びに要求性能
g) 最終検査及び初期測定の項目
h) この規格で規定する試験手順との差異
i)
合否判定基準
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C 61300-2-42:2020
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 61300-2-42
IEC 61300-2-42:2014,(MOD)
a) JISの箇
条番号
b) 対応国際
規格の対
応する箇
条番号
c) 箇条ご
との評
価
d) JISと対応国際規格との技術的差異の
内容及び理由
e) JISと対応国際規格
との技術的差異に対
する今後の対策
3
−
追加
用語及び定義の箇条を追記した。
次回改訂時にDirectives
Part 2に従うよう提案す
る。
5.1
4.1
追加
マンドレルを使用することを追記した。
次回改訂時に提案する。
6.2
5.2
追加
前処理の時間に“以上”を追記した。
次回改訂時に提案する。
6.4
5.4
追加
供試品を取付具に固定する方法の具体例を
追記した。
次回改訂時に提案する。
6.8
5.8
追加
後処理の時間に“以上”を追記した。
次回改訂時に提案する。
7
6
変更
表1内環境カテゴリの表記についてIEC
61753-1:2018を基に見直した。
次回改訂時に提案する。
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味を,次に示す。
− 追加:対応国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更:対応国際規格の規定内容又は構成を変更している。
注記2 JISと対応国際規格との対応の程度の全体評価の記号の意味を,次に示す。
− MOD:対応国際規格を修正している。