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C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 一般事項························································································································· 3 

5 試験レベル ······················································································································ 4 

5.1 電圧ディップ及び短時間停電 ··························································································· 4 

5.2 電圧変動(オプション) ································································································· 5 

6 試験装置························································································································· 6 

6.1 試験電圧発生器 ············································································································· 6 

6.2 電源 ···························································································································· 8 

7 試験セットアップ ············································································································· 8 

8 試験手順························································································································· 8 

8.1 試験室の基準条件 ·········································································································· 9 

8.2 試験の実施 ··················································································································· 9 

9 試験結果の評価 ··············································································································· 11 

10 試験報告書 ··················································································································· 11 

附属書A(規定)試験電圧発生器の電流供給能力 ······································································ 12 

附属書B(参考)電磁環境クラス ··························································································· 14 

附属書C(参考)三相試験のためのベクトル ············································································ 15 

附属書D(参考)試験装置 ···································································································· 20 

附属書E(参考)大電流装置の電圧ディップイミュニティ試験 ····················································· 22 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電気

学会(IEEJ)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す

べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS C 61000-4-34:2008は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 61000の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 61000-3-2 第3-2部:限度値−高調波電流発生限度値(1相当たりの入力電流が20 A以下の機器) 

JIS C 61000-4-2 第4-2部:試験及び測定技術−静電気放電イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-3 第4-3部:試験及び測定技術−放射無線周波電磁界イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-4 第4-4部:試験及び測定技術−電気的ファストトランジェント/バーストイミュニ

ティ試験 

JIS C 61000-4-5 第4-5部:試験及び測定技術−サージイミュニティ試験 

JIS C 61000-4-6 第4-6部:試験及び測定技術−無線周波電磁界によって誘導する伝導妨害に対する

イミュニティ 

JIS C 61000-4-7 第4-7部:試験及び測定技術−電力供給システム及びこれに接続する機器のための

高調波及び次数間高調波の測定方法及び計装に関する指針 

JIS C 61000-4-8 第4-8部:試験及び測定技術−電源周波数磁界イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-11 第4-11部:試験及び測定技術−電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対する

イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-14 第4部:試験及び測定技術−第14節:電圧変動イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-16 第4-16部:試験及び測定技術−直流から150 kHzまでの伝導コモンモード妨害に

対するイミュニティ試験 

JIS C 61000-4-17 第4部:試験及び測定技術−第17節:直流入力電源端子におけるリプルに対する

イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-20 第4-20部:試験及び測定技術−TEM(横方向電磁界)導波管のエミッション及び

イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-22 第4-22部:試験及び測定技術−全電波無響室(FAR)における放射エミッション

及びイミュニティ試験 

JIS C 61000-4-34 第4-34部:試験及び測定技術−1相当たりの入力電流が16 Aを超える電気機器の

電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験 

JIS C 61000-6-1 第6-1部:共通規格−住宅,商業及び軽工業環境におけるイミュニティ 

JIS C 61000-6-2 第6-2部:共通規格−工業環境におけるイミュニティ 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 61000-4-34:2017 

(IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

電磁両立性−第4-34部:試験及び測定技術− 

1相当たりの入力電流が16 Aを超える電気機器の 

電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対する 

イミュニティ試験 

Electromagnetic compatibility (EMC)-Part 4-34: Testing and measurement  

techniques-Voltage dips, short interruptions and voltage variations  

immunity tests for equipment with mains current more than 16 A per phase 

序文 

この規格は,2005年に第1版として発行されたIEC 61000-4-34及びAmendment 1(2009)を基に,技術

的内容及び対応国際規格の構成を変更することなく作成した日本工業規格である。ただし,追補

(amendment)については,編集し,一体とした。 

適用範囲 

この規格は,電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対して,低圧電源に接続する電気・電子機器の

イミュニティ試験方法及び適切な試験レベルの範囲について規定する。 

この規格は,定格入力電流が1相当たり16 Aを超える電気・電子機器に適用する[1相当たり200 Aを

超える電気・電子機器の指針(附属書E)参照]。産業機械,住宅地域に設置する機器が単相及び三相電源

で50 Hz又は60 Hzの交流回路のいずれかに接続する場合の電圧ディップ及び短時間停電を規定する。 

注記1 定格入力電流が1相当たり16 A以下の電気・電子機器は,JIS C 61000-4-11で規定する。 

注記2 この規格には,入力電流の上限はない。 

この規格は,400 Hzの交流回路に接続する電気・電子機器には適用しない。これらの機器に対する試験

は,将来のIEC規格で取り扱う。 

この規格の目的は,電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティを評価するための一

般的な基準を確立することにある。 

注記3 低振幅電圧変動のイミュニティ試験は,JIS C 61000-4-14で規定する。 

注記4 定格電流が1相当たり250 Aを超える供試機器において,適した試験装置を得るのが難しい

場合がある。このような場合には,この規格の適用可否は,共通規格及び製品規格委員会が

慎重に評価することが望ましい。その代わりとして,この規格は,製造業者と購入者との間

の性能評価基準の協定の枠組みとして用いる場合がある。 

この規格は,機器のイミュニティを評価するための矛盾がない方法,又は定義する現象に対する体系を

規定する。この規格は,基本EMC規格であり,製品規格で用いる。 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記5 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61000-4-34:2005,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-34: Testing and measurement 

techniques−Voltage dips, short interruptions and voltage variations immunity tests for 

equipment with mains current more than 16 A per phase及びAmendment 1:2009(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 60050-161 EMCに関するIEV用語 

注記 対応国際規格:IEC 60050-161,International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Chapter 161: 

Electromagnetic compatibility(IDT) 

IEC/TR 61000-2-8,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 2-8: Environment−Voltage dips and short 

interruptions on public electric power supply systems with statistical measurement results 

IEC 61000-4-30,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-30: Testing and measurement techniques−

Power quality measurement methods 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 60050-161によるほか,次による。 

3.1 

基本EMC規格(basic EMC standard) 

電磁両立性を実現するための一般的及び基本的な条件又は規則を規定し,全ての製品及びシステムに関

係又は適用し,製品規格委員会の参考となる規格。 

3.2 

イミュニティ(妨害に対する)[immunity(to a disturbance)] 

電磁妨害が存在する環境で,機器,装置又はシステムが性能低下せずに動作することができる能力。 

(JIS C 60050-161 01-20) 

3.3 

電圧ディップ(voltage dip) 

電力供給システムのある地点において発生し,短時間で復帰する,規定の電圧ディップしきい値以下へ

の突然の電圧低下。 

注記1 一般的に,電圧ディップは,系統又は系統に接続する設備における,回路の短絡などによる

急激な電流の増加の開始から終了までの間に発生する。 

注記2 電圧ディップは,そのレベルが電圧及び時間(継続時間)によって決まる二次元の電磁妨害

である。 

3.4 

短時間停電(short interruption) 

電力供給システムのある地点において発生し,短時間で復帰する,規定の短時間停電しきい値以下への

全ての相の突然の電圧低下。 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 一般的に,短時間停電は,系統又は系統に接続する設備における,回路の短絡を除去するため

に行う遮断器の開放から再閉路の間に発生する。 

3.5 

残存電圧(電圧ディップの)[residual voltage(of voltage dip)] 

電圧ディップ又は短時間停電の最中に記録された,実効値電圧の最小値。 

注記 残存電圧は,電圧値(ボルト),又は基準電圧の百分率若しくはPU(Per Unit)値のいずれかで

表現することもある。 

3.6 

誤動作(malfunction) 

機器が想定する動作を実行できなくなる状態,又は想定しない動作を実行する状態。 

3.7 

校正(calibration) 

標準器と比較することによって,指定する条件で指示と測定結果との間の関係を立証する一連の操作。 

注記1 この用語は,“不確かさ”手法に基づく。 

注記2 指示と測定結果との間の関係は,通常,校正図で表す。 

(IEV 311-01-09) 

3.8 

検証(verification) 

試験システム(例えば,試験電圧発生器と相互接続しているケーブル)を確認し,この試験システムが

箇条6に規定する仕様の範囲内で機能していることを証明するために用いる一連の操作。 

注記1 検証のために用いる方法は,校正のために用いる方法と異なることもある。 

注記2 6.1.2の検証手順は,意図する波形を供試機器(以下,EUTという。)に印加するための試験

セットアップを構成する試験電圧発生器,及びほかの構成機器の正しい動作を保証するため

の指針としての意味をもつ。 

注記3 この規格の目的上,この定義は,IEV 311-01-13で規定する定義とは異なる。 

一般事項 

電気・電子機器は,電源の電圧ディップ,短時間停電又は電圧変動によって影響を受けることがある。 

電圧ディップ及び短時間停電は,電力系統若しくは設備における短絡などの故障(IEC/TR 61000-2-8参

照),又は負荷の大きな急変によって発生する。ある状況では,2回以上連続した電圧ディップ又は短時間

停電が発生することがある。電圧変動は,電源に接続した連続的に変化する負荷によって発生する。 

機器端子の電圧ディップは,系統の故障地点と機器接続点との間の変圧器の結線の影響を受ける。変圧

器の結線は,機器が受ける電圧ディップの大きさ及び位相関係の両方に影響する。 

これらの現象は,実際には不規則であるが,試験所でシミュレーションの目的に沿って定格電圧からの

逸脱幅及び継続時間で特徴付けることができる。 

したがって,この規格では,急激に変化する電圧の影響をシミュレーションするための各種試験を規定

する。これらの試験は,製品規格で,規定する場合にだけ適用する。 

この規格において,考察した現象の中で,どの現象が問題となるかを確定し,試験の適用を決定するの

は,製品規格委員会の責任とする。 

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C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験レベル 

この規格で,電圧試験レベルを規定する基準(以下,UTという。)として機器の定格電圧を用いる。 

機器の定格電圧が範囲をもつ場合には,次を適用する。 

a) 定格電圧範囲の幅が定格電圧の下限電圧の20 %以下の場合には,UTとして,定格電圧範囲内の単一

の電圧を指定してよい。 

b) a)以外の場合には,定格電圧範囲の下限及び上限電圧の両方で試験する。 

c) 試験レベル及び継続時間を選択する場合は,IEC/TR 61000-2-8を考慮する。 

5.1 

電圧ディップ及び短時間停電 

電圧ディップ及び短時間停電は,UTと残存電圧との間を急激に変化する。製品規格で規定しない限り,

電圧ディップ及び停電の開始時点及び終了時点の位相角は,0°でなければならない(すなわち,電圧ディ

ップ相における電圧変化の傾きが正のときのゼロクロス点。)(8.2.1参照)。試験電圧レベル(%UT表示)

は,0 %,40 %,70 %及び80 %を適用し,そのときの残存電圧は,それぞれ0 %,40 %,70 %及び80 %と

なる。 

電圧ディップに対する適切な試験レベル及び継続時間を表1に示し,例を図1に示す。 

短時間停電に対する適切な試験レベル及び継続時間を,表2に示す。 

表1及び表2に示す試験レベル及び継続時間は,IEC/TR 61000-2-8の情報を考慮に入れている。 

表1の試験レベルは,適度に厳しい値となっており,現実に発生する多くの電圧ディップを代表するが,

全ての電圧ディップに対するイミュニティは保証していない。例えば,0 %の試験レベル,継続時間1秒

の平衡三相電圧ディップのような,より厳しい試験レベルについては,製品規格委員会で個別に規定して

もよい。 

急激な変化における電圧回復に要する時間tr及び電圧低下に要する時間tfを,表4に示す。 

試験レベル及び継続時間は,製品仕様に明記しなければならない。0 %の試験レベルは,停電に相当す

る。実際には,定格電圧の0 %〜20 %の試験レベルは,停電とみなしてもよい。 

表1−電圧ディップに対する適切な試験レベル及び継続時間 

クラス a) 

電圧ディップ(50 Hz/60 Hz)に対する試験レベル及び継続時間(ts) 

クラス1 

機器の要件に応じて製造業者などが個別に指定 

クラス2 

0 %で 

1サイクル 

70 %で25/30サイクルc) 

クラス3 

0 %で 

1サイクル 

40 %d)で 

10/12サイクルc) 

70 %で 

25/30サイクルc) 

80 %で 

250/300サイクルc) 

クラスX b) 

X b) 

X b) 

X b) 

X b) 

注a) IEC 61000-2-4で規定するクラス:附属書B参照。 

b) 値は,製品規格で規定する。商用電源系統に直接又は間接的に接続する機器に関しては,

試験レベルがクラス2よりも緩くなってはならない。 

c) “25/30サイクル”の表記は,“50 Hzの試験に対しては25サイクル”及び“60 Hzの試験

に対しては30サイクル”の継続時間を適用することを意味する。同様に,“10/12サイク
ル”は,“50 Hzの試験に対しては10サイクル”及び“60 Hzの試験に対しては12サイク
ル”,また,“250/300サイクル”は,“50 Hzの試験に対しては250サイクル”及び“60 Hz
の試験に対しては300サイクル”を適用する。 

d) 通常,200 V又は208 Vで使用する装置に対しては,製品規格で50 %に変更してもよい。 

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C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 U 

25 

t (サイクル) 

注記 電圧が25サイクル間70 %に低下し,ゼロクロス点で移行している例。 

図1−電圧ディップ−70 %電圧ディップ瞬時値グラフ 

表2−短時間停電に対する適切な試験レベル及び継続時間 

クラスa) 

短時間停電(50 Hz/60 Hz)に対する試験レベル及び継続時間(ts) 

クラス1 

機器の要件に応じて製造業者などが個別に指定 

クラス2 

0 %で 250/300サイクルc) 

クラス3 

0 %で 250/300サイクルc) 

クラスX 

X b) 

注a) IEC 61000-2-4で規定するクラス:附属書B参照。 

b) 値は,製品規格で規定する。商用電源系統に直接又は間接的に接続する機器に関しては,試験レベルがクラ

ス2よりも緩くなってはならない。 

c) “250/300サイクル”の表記は,“50 Hzの試験に対しては250サイクル”及び“60 Hzの試験に対しては300

サイクル”の継続時間を適用することを意味する。 

5.2 

電圧変動(オプション) 

この試験は,UTと変化後の電圧との間での,規定する変動を用いる。 

注記 電圧変動において,電圧変化は,ある短い時間内で生じ,負荷の変動によって発生することも

ある。 

電圧変化時間及び低下した電圧の継続時間を,表3に示す。電圧は,時間をかけて変化する場合は,変

化率一定であることが望ましい。UTの1 %以下のステップ変化は,変化率一定の電圧変化として取り扱っ

てもよい。電圧変化は,ステップ変化でもよいが,その場合は,変化点は,ゼロクロス点に位置し,ステ

ップは,UTの10 %以下とすることが望ましい。 

表3−短時間の電源電圧変動のタイミング 

試験電圧レベル 

電圧下降に要する時間(td) 

低下した電圧の継続 

時間(ts) 

電圧上昇に要する時間(ti) 

(50 Hz/60 Hz) 

70 % 

瞬時 

1サイクル 

25/30サイクルb) 

X a) 

X a) 

X a) 

注a) 値は,製品規格で規定する。 

b) “25/30サイクル”の表記は,“50 Hzの試験に対しては25サイクル”及び“60 Hzの試験に対しては30サイ

クル”の電圧上昇に要する時間を適用することを意味する。 

中性線がある又はない三相系統の電圧変動については,三相同時に試験する。三相系統に同時に発生す

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C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る電圧変動は,三相いずれか一つの電圧のゼロクロス点に位置する。 

この箇条で取り扱う波形は,短時間の電圧下降に要する時間(td),及び緩やかな電圧上昇に要する時間

(ti)をもつ電動機始動時の典型的な波形とする。 

電圧の実効値の時間変化を,図2に示す。正当な理由がある場合は,ほかの値を採用してもよいが,そ

の値は,製品規格で規定する。 

td:電圧下降に要する時間 
ts:低下した電圧の継続時間 
ti:電圧上昇に要する時間 

図2−電圧変動 

試験装置 

6.1 

試験電圧発生器 

電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動の試験に用いる電圧発生器は,特記する場合を除き,6.1.1及び

6.1.2の仕様を満たさなければならない。 

試験電圧発生器の例を,附属書Dに示す。 

試験電圧発生器は,試験結果に影響を与えるような重大な妨害を商用電力系統に放出しないよう,必要

な手段を講じなければならない。 

この規格で規定するものと同等か,又はより厳しい特性(電圧及び継続時間)の電圧ディップを生成す

る試験電圧発生器を用いてもよい。 

試験電圧発生器の出力には,試験電圧発生器の特性,負荷特性,及び/又は試験電圧発生器に電力を供

給する交流系統の特性が影響する場合がある。 

6.1.1 

試験電圧発生器の特性及び性能 

試験電圧発生器の仕様は,表4による。 

時間 

td 

100 %

70 % 

0 % 

ts 

ti 




%UT 





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C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

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表4−試験電圧発生器の仕様 

無負荷時出力電圧 

表1において必要な電圧。許容差は,残存電圧の±5 %。 

試験中の試験電圧発生器の出力電圧 

表1において必要な電圧。許容差は,IEC 61000-4-30に
よって,0.5サイクルごとに更新する実効値測定値で,残
存電圧の±10 %。 

出力電流容量 

附属書A参照 

ピーク突入電流供給能力(電圧変動試験時を除く。) 

附属書A参照 

瞬時ピークオーバシュート又はアンダシュート電圧(抵
抗負荷時)a) 

UTの5 %未満 

電圧急変時の,電圧回復に要する時間tr及び電圧低下に
要する時間tf(抵抗負荷時)a) b) 

電流が75 A以下の場合 1 μs〜5 μs 
電流が75 Aを超える場合 1 μs〜50 μs 

電圧ディップ開始及び終了時の位相角 

0°〜360°。分解能5°以下。c) 

電圧ディップ及び短時間停電の,試験電圧発生器の電源
周波数との位相関係 

±5°未満 

試験電圧発生器のゼロクロス制御 

±10° 

注a) オーバシュート,アンダシュート,電圧上昇時間及び電圧下降時間の試験に用いる,インダクタンス成分な

しの抵抗の値は,定格50 A以下の試験電圧発生器の場合は100 Ω,50 Aを超えて100 A以下の試験電圧発生
器の場合は50 Ω,定格100 Aを超える試験電圧発生器の場合は25 Ωとする。 

b) これらの値は,注a)の抵抗負荷で確認する。ただし,EUTを接続しているときに確認する必要はない。 

c) 5.1の要求事項を満足するためには,位相調整が必要な場合がある。 

試験電圧発生器の出力インピーダンスは,ほぼ抵抗性でなければならない。また,電圧ディップ出力の

ときは,過渡期においても低くなければならない。過渡状態間の短時間(最大100 μs)の高インピーダン

スは,許容する。停電試験の出力時は,高インピーダンスで回路開放してもよい。 

エネルギーを回生する機器を試験する場合には,負荷と並列に接続する外部抵抗を追加してもよい。た

だし,この負荷は,試験結果に影響を与えてはならない。 

注記1 [内容が規定要素であり,表4で引用していることから表4の注a)とした。] 

注記2 (内容が規定要素であることから,上記本文に移した。) 

注記3 誘導性負荷を試験する場合,高インピーダンスでの停電時には,大きな過電圧が発生する場

合がある。 

6.1.2 

電圧ディップ及び短時間停電の試験電圧発生器の特性の検証 

種々の試験電圧発生器から得られる試験結果を比較するために,試験電圧発生器の特性を,次に従って

検証する。 

− 試験電圧発生器の100 %,80 %,70 %及び40 %の出力電圧(実効値)は,230 V,120 Vなどの選択し

たそれぞれの動作電圧に対する百分率とする。 

− 試験電圧発生器の100 %,80 %,70 %及び40 %の出力電圧(実効値)は,無負荷で測定し,残存電圧

に対する規定の百分率以内を維持しなければならない。 

− 試験電圧発生器の出力電圧は,試験の間,0.5サイクルごとに更新される実効値によって監視し,この

間,規定の百分率以内を維持しなければならない。 

機器のピーク電流要求が,試験電圧発生器の出力電圧に影響を与えないほど十分小さいことを証明でき

る場合は,試験の間,出力電圧を監視する必要はない。 

電圧回復に要する時間tr及び電圧低下に要する時間tf並びにオーバシュート及びアンダシュートは,90°

及び270°の位相角の両方で,0 %から100 %へ,100 %から80 %へ,100 %から70 %へ,100 %から40 %

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

へ,及び100 %から0 %への各電圧切換えに対して検証する。 

位相角の精度は,0 %から100 %へ及び100 %から0 %への電圧切換えに対して,0°から45°刻みで315°

まで八つの位相角で検証する。100 %から80 %へ,80 %から100 %へ,100 %から70 %へ,70 %から100 %

へ,100 %から40 %へ,及び40 %から100 %への各電圧切換えについては,90°及び180°の位相角で検

証する。 

6.2 

電源 

試験電圧の周波数は,定格周波数の±2 %以内とする。 

試験セットアップ 

試験は,EUTの製造業者が指定する電源ケーブルがある場合は,その最短のもので試験電圧発生器に接

続して行う。ケーブルの長さについて指定がない場合は,EUTの用途に照らして適切な最短の長さとする。 

この規格で記述する試験セットアップは,次の3種類の現象のためのものを示す。 

− 電圧ディップ 

− 短時間停電 

− 定格電圧と変化電圧との間の緩やかな移行に伴う電圧変動(オプション) 

試験セットアップの例を,附属書Dに示す。 

試験手順 

この規格で規定する試験を行うことによって,EUT及び試験装置が危険な状態にならないように注意す

ることが望ましい。人員,EUT及び試験装置が危険な状況になることを避けるため,予防措置を講じるこ

とが望ましい。 

試験前には,試験計画を立てる。 

試験計画は,システムの実際の使用方法に則したものがよい。 

現地の状況を再現するのに必要な試験時のシステム構成を決めるため,正確な事前調査を必要とする場

合がある。 

試験報告書で全ての試験内容を示し,それを説明する必要がある。 

この試験計画には,次の項目を含めることが望ましい。 

− EUTの形式名 

− 実行可能な接続(プラグ,端子など)及び対応ケーブル,並びに周辺装置に関する情報 

− EUTの電源入力ポート 

− EUTの突入電流要件に関する情報 

− EUTの代表的な動作モード 

− 技術仕様書で用い,かつ,規定する性能基準 

− EUTの動作モード 

− 試験セットアップの説明 

EUTが実際の動作信号源を使用できない場合は,シミュレータを用いてもよい。 

各試験について,何らかの性能低下がある場合は,記録しなければならない。監視装置は,試験中及び

試験後のEUTの動作モードを表示できることが望ましい。各試験の後で,全ての機能点検を行わなければ

ならない。 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.1 

試験室の基準条件 

8.1.1 

気象条件 

共通規格又は製品規格に規定がない限り,試験室の気象条件は,EUT及び試験装置の動作に対してそれ

ぞれの製造業者が指定する限度内でなければならない。 

EUT又は試験装置に結露を生じるような高い相対湿度のときは,試験を行ってはならない。 

注記 (IECの委員会に関する記載のため,この規格では不採用とした。) 

8.1.2 

電磁的条件 

試験室の電磁的条件は,試験結果に影響を及ぼさずに,EUTの正しい動作を保証するようなものでなけ

ればならない。 

8.2 

試験の実施 

試験中,試験のための電源電圧を2 %以内の精度で監視しなければならない。 

8.2.1 

電圧ディップ及び短時間停電 

EUTに対して,試験レベル及び継続時間を選択した組合せについて最小10秒の間隔(各試験事象間)

で電圧ディップ又は短時間停電を3回繰り返して試験を行う。また,代表的な動作モードについて,それ

ぞれ試験を行う。 

電圧ディップの場合,電圧の変化は,電圧の位相が0°(電圧ディップ相における電圧変化の傾きが正

のときのゼロクロス点。)で生じるようにしなければならない。製品規格又は個々の製品仕様で45°,90°,

135°,180°,225°,270°及び315°の中から重要とみなされる位相角を選択して追加してもよい。 

短時間停電の場合,位相角は,製品規格で最も厳しいと規定したものによる。製品規格で規定がない場

合,全相のうち1相が0°であることが望ましい。 

三相交流の短時間停電試験の場合,三相全てに対して同時に5.1による試験を行う。 

単相交流の電圧ディップ試験の場合,単相の電圧に対して5.1による試験を行う。これは,1回の一連の

試験となる。図3のa),b)及びc)参照。 

中性線をもつ三相交流での電圧ディップ試験の場合,それぞれの電圧(相電圧及び線間電圧)に対して

試験を行う。これは,6回の異なった一連の試験となる[図3のa),b)及びc)参照]。 

中性線をもたない三相交流での電圧ディップ試験の場合,それぞれの線間電圧に対して試験を行う。こ

れは,3回の異なる一連の試験となる(附属書C参照)[図3のb)及びc)参照]。 

注記1 三相交流の場合,一つの線間電圧の電圧ディップ中は,その他の一つ又は二つの線間電圧に

おいても電圧変化が発生する。 

注記2 三相交流での線間電圧の試験において,許容できる方法として方法1を図3 b)のベクトル,

方法2を図3 c)のベクトルに示す。方法1のベクトルは,試験機関でより簡単に発生できる

(図D.1参照)。実系統で発生する電圧ディップは,図3 c)に示す方法2のベクトルに近い。

図3 b)のベクトルと図3 c)のベクトルとを比較した場合,試験結果に大きな差が生じる場合

がある。 

複数の電源コードをもつEUTの場合,それぞれの電源コードに対して個別に試験を行うのがよい。 

background image

10 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

70 % 

70 % 

70 % 

注記 三相交流での相電圧の試験は,1回につき1相ごと行う。 

a) 三相交流での相電圧に対する試験 

70 % 

70 % 

70 % 

注記 三相交流での線間電圧の試験も同様に1回につき1相ごと行う。 

b) 三相交流での線間電圧に対する試験−許容できる方法1の位相シフト 

70 % 

70 % 

70 % 

c) 三相交流での線間電圧に対する試験−許容できる方法2の位相シフト 

70 % 

70 % 

70 % 

d) 許容できない場合−位相シフトなしの線間電圧に対する試験 

図3−三相交流での試験 

8.2.2 

電圧変動(オプション) 

EUTに対して,最も代表的な動作モードについて最小10秒の間隔で3回,規定の電圧変動のそれぞれ

に従って試験を行う。 

11 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験結果の評価 

試験結果はEUTの機能喪失又は性能低下の観点から,そのEUTの製造業者,試験の依頼者又は製品の

製造業者と購入者との間の合意によって,指定した性能レベルと比較して分類する。推奨する分類を次に

示す。 

a) 製造業者,依頼者又は購入者が指定する仕様限度内の正常な性能。 

b) 妨害がなくなった後に回復する一時的な機能損失又は性能低下。操作員が介在することなくEUTが正

常な性能に自己復帰する。 

c) 操作員が介在する調整が必要な,一時的な機能損失又は性能低下。 

d) ハードウェア又はソフトウェアの破壊による,修復不可能な機能喪失若しくは性能低下又はデータの

喪失。 

製造業者の仕様書には,EUTへの影響のうち重要ではないとみなせ,かつ,許容できる影響を指定して

もよい。 

この分類は,共通規格,製品規格及び製品群規格の原案作成委員会による性能基準を規定するときの指

針として,又は適切な共通規格,製品規格及び製品群規格が存在しない場合の製造業者と購入者との間の

性能基準の枠組みとして用いてもよい。 

10 試験報告書 

試験報告書は,試験を再現するために必要な全ての情報を含まなければならない。特に次の事項を記録

する。 

− 箇条8で規定する試験計画で指定する項目。 

− EUT及び関連機器の識別表示。例えば,商標,製品形式,製造番号。 

− 試験装置の識別表示。例えば,商標,製品形式,製造番号。 

− 試験を行った特別な環境条件。例えば,遮蔽室の中。 

− 試験を行うために必要だった特定の条件。 

− 製造業者,依頼者又は購入者が指定した性能レベル。 

− 共通規格,製品規格又は製品群規格で規定する性能基準。 

− 妨害の印加中又は印加後に観測したEUTへの全ての影響,及びこれらの影響が持続した期間。 

− 合否の判定に対する根拠(共通規格,製品規格若しくは製品群規格で規定する,又は製造業者と購入

者との間で合意された性能基準に基づく。)。 

− EUTの取扱いにおける特定の条件。例えば,適合性を達成するために必要なケーブルの長さ及び形式,

遮蔽又は接地,並びにEUTの動作条件。 

background image

12 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

試験電圧発生器の電流供給能力 

電圧ディップ試験中,EUTのピーク突入電流は,定格電流を大きく超える場合がある。ピーク突入電流

は,最初にEUTに電力を供給したときだけではなく,EUTの動作プロセス中のいつでも発生することが

ある。 

多相負荷の電圧ディップ試験中,電圧ディップを生じさせない相の電流は,電圧ディップの間,定格電

流の200 %まで増加してもよい。 

試験電圧発生器の出力における電流供給能力は,試験電圧発生器の能力だけでなく,試験電圧発生器に

電力を供給する交流電源の能力も考慮する必要がある。 

A.1 試験電圧発生器のピーク突入電流供給能力の要求事項 

試験電圧発生器は,表A.1に示すピーク突入電流を供給できる能力をもたなければならない。 

表A.1−最小ピーク突入電流供給能力 

EUTの定格電流 

最小ピーク突入電流供給能力 

16 Aを超え50 A以下 

500 A 

50 Aを超え100 A以下 

1 000 A 

100 Aを超える 

1 000 A以上,かつ,最大突入電流発生時にも必要な電圧の±10 %に保てなければならな
い。電圧は,IEC 61000-4-30に従って測定した0.5サイクルごとの実効値。 

A.2 試験電圧発生器のピーク突入電流供給能力の測定 

試験電圧発生器のピーク突入電流供給能力を測定する回路を,図A.1に示す。ブリッジ整流器を用いて

いるので,90°及び270°における試験に対して整流器の極性を変える必要はない。 

1 700 μFの電解コンデンサは,±20 %の許容差内とする。また,電解コンデンサは,電源の公称ピーク

電圧を15 %〜20 %上回る定格電圧,例えば,実効値220 V〜240 V電源に対しては直流400 Vの定格電圧

をもたなければならない。コンデンサは,100 Hz及び20 kHzの両方で可能な限り最小の等価直列抵抗を

もち,ピーク突入電流は,コンデンサの等価直列抵抗に制限されてはならない。十分小さい等価直列抵抗

を実現するために,複数のコンデンサを並列に接続してもよい。 

1 700 μFのコンデンサを放電する必要があるため,抵抗器をコンデンサと並列に接続する。また,RC時

定数の数倍の時間を試験と試験との間に取らなければならない。10 000 Ω抵抗器の場合,RC時定数は,

17秒であるため,突入電流供給能力試験の間には1.5分〜2分の待ち時間を設けることが望ましい。より

短い待ち時間が望ましい場合には,100 Ωのような小さい抵抗器を用いてもよい。 

電流プローブは,0.25サイクルの間飽和することなく,試験電圧発生器のピーク突入電流の供給を許容

できなければならない。 

試験は,両極性に対し十分なピーク突入電流供給能力を保証するために,90°及び270°電源位相で試

験電圧発生器の出力を0 %〜100 %の範囲で切り換えることによって行う。 

background image

13 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

G: 90°及び270°で切り換えられる試験電圧発生器 
T: オシロスコープへの監視出力付き電流プローブ 
B: ブリッジ整流器 
R: 100 Ω以上10 000 Ω以下の負荷抵抗器 
C: 1 700 μF±20 %の電解コンデンサ 

図A.1−試験電圧発生器のピーク突入電流供給能力を測定する回路 

A.3 

電圧ディップ試験中の試験電圧発生器に対する要求事項 

多相負荷の電圧ディップ試験中,表1で規定する電圧±10 %を維持するために,試験電圧発生器は,電

圧ディップを発生しない相導体に十分な電流を供給できなければならない。電圧は,IEC 61000-4-30に従

って0.5サイクルごとにリフレッシュされる実効値(平均時間は1サイクル)として測定する。 

注記 電圧ディップの間,電圧ディップを発生しない相導体に流れる電流は,定格電流の200 %まで

増加してもよい。 

試験電圧 

発生器 

オシロスコープへ 

14 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

電磁環境クラス 

電磁環境クラスを,IEC 61000-2-4から要約する。 

クラス1 

クラス1は,保護された供給電源環境であり,商用電源系統よりも両立性レベルが低い。クラス1は,

電源の妨害に非常に高感度な機器(例えば,技術的な研究所の設備,ある種の自動化及び保護機器,ある

種のコンピュータなど)の使用に関係する。 

注記 クラス1環境は,通常,無停電電源装置,フィルタ又はサージ減衰器のような機器によって保

護を必要とする機器を含む。 

クラス2 

クラス2は,共通結合点及び一般的な工業環境における工場内共通結合点の環境である。クラス2での

両立性レベルは,商用電源系統のレベルと同等であり,そのため,商用電源系統での適用のために設計さ

れた構成部品は,工業環境のこのクラスで用いてもよい。 

クラス3 

クラス3は,工業環境の工場内共通結合点だけである。クラス3では,ある種の妨害現象に対して,ク

ラス2よりも更に両立性レベルが高い。例えば,このクラスは,次のいずれかの場合には,考慮するのが

望ましい。 

− 負荷の主要な部分に電力変換装置を通じて給電する。 

− 溶接機がある。 

− 大形電動機を頻繁に起動する。 

− 非常に急激に負荷をかける。 

注記1 一般的には,分離された母線から供給するアーク炉及び大形電力変換装置のような,大きな

妨害負荷への供給は,クラス3を超えた妨害レベル(厳しい環境)になる場合がある。その

ような特殊な状況では,両立性レベルは,協定しておくのが望ましい。 

注記2 新しいプラント及び現存プラントの拡張に適用できるクラスは,検討中の機器及びプロセス

のタイプに合わせるのが望ましい。 

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15 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

三相試験のためのベクトル 

この附属書の全ての図,式及び表は,中性線は三相線間の電気的に中心にあると仮定している。電気系

統における中性線が電気的に中心にない場合は,ベクトルが異なる。 

C.1 相電圧ディップのベクトル(図C.1及び表C.1参照) 

電圧ディップは,1回につき1相ごとに相電圧に発生させる(8.2.1参照)。図D.1の試験電圧発生器の例

は,図D.2 b)に示すようにディップを発生させるときに,これらのベクトルになる。 

 
 
 
 
 

(

)

°

+

°

=

)

120

cos(

2

1

120

sin

sin

2

1

P

P

α

 ··································· (C.1) 

3

)

120

cos(

2

1

2

2

L

1

L

°

+

=

P

P

U

 ······································ (C.2) 

 
ここに, 

P:公称相電圧に対する残存電圧のPU値。 

2

L

1

L−

U

:L1からL2を見た電圧。公称線間電圧に対する残存電

圧のPU値。 

  

注記 関数sin−1は,曖昧で(同じ値をもつ二つの角度が常にある。),−90°〜+90°の間の値になる。したがっ

て,正しい象限を選ぶのがよい。 

図C.1−相電圧ディップのベクトル 

background image

16 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.1−相電圧ディップのベクトル値 

UL1-L2 

UL2-L3 

UL3-L1 

UL1-N 

UL2-N 

UL3-N 

100 % 

(ディップなし) 

100 % 

150° 

100 % 

270° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

80 % 

L1-N 

90 % 

146° 

100 % 

270° 

90 % 
34° 

80 % 

0° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

80 % 

L2-N 

90 % 

154° 

90 % 

266° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

80 % 

120° 

100 % 
240° 

80 % 

L3-N 

100 % 

150° 

90 % 

274° 

90 % 
26° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

80 % 

240° 

70 % 

L1-N 

85 % 

144° 

100 % 

270° 

85 % 
36° 

70 % 

0° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

70 % 

L2-N 

85 % 

156° 

85 % 

264° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

70 % 

120° 

100 % 
240° 

70 % 

L3-N 

100 % 

150° 

85 % 

276° 

85 % 
24° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

70 % 

240° 

40 % 

L1-N 

72 % 

136° 

100 % 

270° 

72 % 
44° 

40 % 

0° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

40 % 

L2-N 

72 % 

164° 

72 % 

256° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

40 % 

120° 

100 % 
240° 

40 % 

L3-N 

100 % 

150° 

72 % 

284° 

72 % 
16° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

40 % 

240° 

注記 “100 %”は,ディップがないときの電圧を意味する。線間電圧の場合,この

値は,相電圧の100 %の値よりも3倍高い。 

C.2 許容できる方法1−線間電圧ディップのベクトル 

三相交流においては,電圧ディップは,1回につき一対の相ごとに線間に発生させる(8.2.1参照)。図

C.2に示すベクトルは,三相交流の線間電圧ディップに対する許容できる方法1を意味する。図D.1の試

験電圧発生器の例は,図D.2 a)に示すようにディップを発生させるときに,これらのベクトルになる。 

background image

17 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 
 
 

()

( )°

+

=

30

cos

3

2

3

1

2

N

1

L

P

P

U

 ··································· (C.3) 

(

)

°

°

=

N

1

L

1

30

sin

3

sin

120

U

P

α

 ········································ (C.4) 

(

)

3

)

120

cos(

2

1

N

1

L

2

N

L1

L1

L3

°

+

+

=

α

U

U

U

························ (C.5) 

°

+

°

=

1

L

3

L

N

1

L

1

3

)

120

sin(

sin

60

U

U

α

θ

 ·································· (C.6) 

 
ここに, 

P:公称相電圧に対する残存電圧のPU値。 

N

1

L−

U

:L1から中性線を見た電圧(中性線が存在する場合)。公

称相電圧に対する残存電圧のPU値。 

1

L

3

L−

U

:L3からL1を見た電圧。公称線間電圧に対する残存電圧

のPU値。 

注記 関数sin−1は,曖昧で(同じ値をもつ二つの角度が常にある。),−90°〜+90°の間の値になる。したがっ

て,正しい象限を選ぶのがよい。 

図C.2−許容できる方法1−線間電圧ディップのベクトル 

表C.2−許容できる方法1−線間電圧ディップのベクトル値 

UL1-L2 

UL2-L3 

UL3-L1 

UL1-N 

UL2-N 

UL3-N 

100 % 

(ディップなし) 

100 % 

150° 

100 % 

270° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

80 % 

L1-L2 

80 % 

150° 

100 % 

270° 

92 % 
41° 

72 % 

14° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

80 % 

L2-L3 

92 % 

161° 

80 % 

270° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

72 % 

134° 

100 % 
240° 

80 % 

L3-L1 

100 % 

150° 

92 % 

281° 

80 % 
30° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

72 % 

254° 

70 % 

L1-L2 

70 % 

150° 

100 % 

270° 

89 % 
47° 

61 % 

25° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

70 % 

L2-L3 

89 % 

167° 

70 % 

270° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

61 % 

145° 

100 % 
240° 

70 % 

L3-L1 

100 % 

150° 

89 % 

287° 

70 % 
30° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

61 % 

265° 

40 % 

L1-L2 

40 % 

150° 

100 % 

270° 

87 % 
67° 

53 % 

79° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

40 % 

L2-L3 

87 % 

187° 

40 % 

270° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

53 % 

199° 

100 % 
240° 

40 % 

L3-L1 

100 % 

150° 

87 % 

307° 

40 % 
30° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

53 % 

319° 

注記1 “100 %”は,ディップがないときの電圧を意味する。線間電圧の場合,こ

の値は,相電圧の100 %の値よりも3倍高い。 

注記2 相電圧及び角度をこの表に示しているが,これらは,中性線をもつ交流電

源にだけ用いる。中性線がない交流電源の場合は,相電圧の欄を無視する。 

background image

18 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.3 許容できる方法2−線間電圧ディップのベクトル 

三相交流においては,電圧ディップは,1回につき一対の相ごとに線間に発生させる(8.2.1参照)。図

C.3に示すベクトルは,三相交流の線間電圧ディップに対する許容できる方法2を意味する。図D.3の試

験電圧発生器の例をこれらのベクトルを発生させるために用いてもよい。これらのベクトルは,C.2のベ

クトルよりも現実のディップにより近い。 

(

)(

)

°

=

N

L1

1

30

sin

2

1

3

sin

U

P

α

 ········································· (C.7) 

α

β

°

=120

 ····························································· (C.8) 

3

L

L2

1

L

L3

=U

U

(

)

(

)

3

)

120

cos(

2

1

N

L1

2

N

L1

α

+

°

+

=

U

U

 ························· (C.9) 

+

°

°

=

L1

L3

N

L1

1

3

)

120

sin(

sin

60

U

U

α

θ

 ·································· (C.10) 

 
ここに, 

P:公称相電圧に対する残存電圧のPU値。 

N

1

L−

U

及び

N

2

L−

U

:L1又はL2から中性線を見た電圧(中性線が

存在する場合)。公称相電圧に対する残存電圧
のPU値。 

注記 関数sin−1は,曖昧で(同じ値をもつ二つの角度が常にある。),−90°〜+90°の間の値になる。したがっ

て,正しい象限を選ぶのがよい。 

図C.3−許容できる方法2−線間電圧ディップのベクトル 

background image

19 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.3−許容できる方法2−線間電圧ディップのベクトル値 

UL1-L2 

UL2-L3 

UL3-L1 

UL1-N 

UL2-N 

UL3-N 

100 % 

(ディップなし) 

100 % 

150° 

100 % 

270° 

100 % 

30° 

100 % 

0° 

100 % 
120° 

100 % 
240° 

80 % 

L1-L2 

80 % 

150° 

95 % 

265° 

95 % 
35° 

85 % 

6° 

85 % 

114° 

100 % 
240° 

80 % 

L2-L3 

95 % 

155° 

80 % 

270° 

95 % 
25° 

100 % 

0° 

85 % 

126° 

85 % 

234° 

80 % 

L3-L1 

95 % 

145° 

95 % 

275° 

80 % 
30° 

85 % 

−6° 

100 % 
120° 

85 % 

246° 

70 % 

L1-L2 

70 % 

150° 

93 % 

262° 

93 % 
38° 

79 % 

10° 

79 % 

110° 

100 % 
240° 

70 % 

L2-L3 

93 % 

158° 

70 % 

270° 

93 % 
22° 

100 % 

0° 

79 % 

130° 

79 % 

230° 

70 % 

L3-L1 

93 % 

142° 

93 % 

278° 

70 % 
30° 

79 % 

−10° 

100 % 
120° 

79 % 

250° 

40 % 

L1-L2 

40 % 

150° 

89 % 

253° 

89 % 
47° 

61 % 

25° 

61 % 

95° 

100 % 
240° 

40 % 

L2-L3 

89 % 

167° 

40 % 

270° 

89 % 
13° 

100 % 

0° 

61 % 

145° 

61 % 

215° 

40 % 

L3-L1 

89 % 

133° 

89 % 

287° 

40 % 
30° 

61 % 

−25° 

100 % 
120° 

61 % 

265° 

注記1 “100 %”は,ディップがないときの電圧を意味する。線間電圧の場合,こ

の値は,相電圧の100 %の値よりも3倍高い。 

注記2 相電圧及び角度をこの表に示しているが,これらは,中性線をもつ交流電

源にだけ用いる。中性線がない交流電源の場合は,相電圧の欄を無視する。 

background image

20 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 
試験装置 

試験電圧発生器及び試験セットアップの例 

図D.1及び図D.2は,電源供給シミュレーションのための試験構成例を示す。これらは例にすぎず,測

定にはほかの構成もある。 

図D.1では,電圧ディップは,スイッチ1及びスイッチ2を交互に閉じることによって模擬できる。こ

の二つのスイッチは,同時にオン状態にしてはならない。切換時に二つのスイッチのオフ状態は,100 μs

まで許容できる。このスイッチは,任意の位相角でオンオフできなければならない。電力用MOSFET及び

IGBTで構成する半導体スイッチは,この要求事項を満足できる。サイリスタ及びトライアックは,電流

がゼロクロス点でオフになるので,この要求事項を満足することができない。 

タップ式変圧器及びスイッチの代わりに信号発生器及び電力増幅器を用いてもよい(図D.3参照)。この

構成は,周波数変動及び高調波の環境でも,EUTの試験を可能にする。 

いずれの種類の試験電圧発生器も,単相試験又は三相試験に使用できる(例 図D.1に示す試験電圧発

生器を図D.2に示すように二つの相の間で接続する。)。 

電源 

中性点(又は
線間試験時は
他相) 

各相 

タップ式変圧器 

スイッチ 1 

スイッチ 2 

測定装置 

EUT 

40 % 

70 % 

80 % 

試験電圧発生器 

図D.1−タップ式変圧器及びスイッチを用いる電圧ディップ及び短時間停電の試験装置の概略図例 

background image

21 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

L1 

EUT 

試験電圧 

発生器 

L2 

L3 

L1 

EUT 

試験電圧 

発生器 

L2 

L3 

L1 

EUT 

試験電圧 

発生器 

L2 

L3 

L1 

EUT 

試験電圧 

発生器 

L2 
L3 

L1 

EUT 

試験電圧 

発生器 

L2 

L3 

L1 

EUT 

試験電圧 

発生器 

L2 

L3 

L1−L2電圧ディップ 

L2−L3電圧ディップ 

L3−L1電圧ディップ 

L1−中性点電圧ディップ 

L2−中性点電圧ディップ 

L3−中性点電圧ディップ 

a) 線間電圧ディップ 

b) 相電圧ディップ 

図D.2−図D.1の構成を適用した図C.1,図C.2並びに図3のa)及びb)のベクトルの作成例 

電源 

中性点 

各相 

EUT 

制御器 

信号発生器 

三相電力 

増幅器 

測定装置 

図D.3−電力増幅器を用いる電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動用の試験装置の概略図例 

22 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

大電流装置の電圧ディップイミュニティ試験 

E.1 

概要 

この附属書は,この規格の要求事項に対する参考の補足事項を提供する。 

全ての負荷は,その負荷の大きさにかかわらず,電圧ディップの影響を受ける可能性があるが,極めて

大きな負荷に電圧ディップイミュニティ試験を行うことは,困難又は不可能なことがあるため,この附属

書は,その指針を示す。 

E.2 

EUTの電流定格の考慮 

まず最初に,EUTの電流定格を決定する。 

電流定格が16 A以下の場合,この規格を適用せず,JIS C 61000-4-11を適用する。 

電流定格が16 Aを超え,約75 A以下の場合,試験室で試験することが望ましいが,必要な場合,現地

試験を行ってもよい。 

電流定格が約75 Aを超え,約200 A以下の場合,試験室への輸送が困難なため,現地試験が要求される

と推定される。 

電流定格が約200 Aを超える場合,電圧ディップ試験のための試験装置及び適切な試験環境を得ること

が困難な場合がある。この場合,E.3〜E.5の技術を検討することが望ましい。 

注記 “約75 A”及び“約200 A”は,この規格が発行された時点での適切な値である。将来の試験

電圧発生器又はEUTの技術改良によって,これらの値は増加することもある。これらの値は,

一般的な指針のためだけに記載している。 

E.3 

大容量装置のモジュール試験 

電圧ディップイミュニティ試験のために,EUTを200 A以下のモジュールに分割することが可能な場合

がある。電圧ディップイミュニティ試験は,この規格に従って,個々のモジュールに個別に行うことがで

きる。 

このモジュールを用いる手法を選択した場合,分割して試験したモジュールの相互作用について,注意

深く工学的に検証することが望ましい。例えば,電圧ディップの間,一つのモジュールが警告信号を発生

し,他のモジュールはその警告信号に応答する機能をもつ場合がある。これらの相互作用は,試験中及び

試験後のいずれにも発生することがある。 

E.4 

大容量装置の試験とシミュレーションとの組合せ 

モジュール試験が実用的でない場合(例えば,数百アンペアの抵抗ヒータのように,EUTの分割できな

い部品),電圧ディップイミュニティ試験は,EUTの感受性の高い部品に行い,他の部品については,工

学的な解析又はシミュレーションを適用することが望ましい。 

例えば,感受性の高い部品には,電子制御,コンピュータ,緊急遮断又は非常停止システム,相回転リ

レー,不足電圧リレーなどがある。これらのEUTの部品は,この規格に従って試験し,イミュニティ試験

ができないモジュールは,工学的な解析及びシミュレーションを用いることが望ましい。 

23 

C 61000-4-34:2017 (IEC 61000-4-34:2005,Amd.1:2009) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

E.5 

極めて大容量装置の電圧ディップイミュニティ解析の考慮 

部分的なシステムに対してであっても,電圧ディップイミュニティ試験は,シミュレーション及び解析

より望ましい。ただし,工学的な解析及びシミュレーションを行う場合,次の事項を注意深く考慮するこ

とが望ましい。 

− 特に変圧器及び電動機の,電圧ディップ中の不平衡の影響。不平衡には,波高値の不平衡及び位相角

の不平衡を含む。 

− 電圧ディップ中の,電圧ディップを生じない相の電流の想定される増加。電流増加による部品,コネ

クタ,ヒューズ・遮断器などの保護装置の影響を含む。 

− 電圧ディップ後の想定される瞬時の電流の増加。電流増加による部品,コネクタ,ヒューズ・遮断器

などの保護装置の影響を含む。 

− 電圧ディップに対する安全機能の応答。緊急遮断回路,非常停止回路,ライトカーテンなどを含む。 

− 独立した電力センサの電圧ディップの想定される影響,及びそれらのセンサのEUTの振舞いへの影

響。 

− 電圧ディップ中の電流の変化に対する保護装置の動作。保護装置には,EUTの主回路端子及びEUT

内の両方を含む。 

− 電圧ディップに対する,相回転リレー及び不足電圧リレーのような主要な検出装置の動作。 

− 電圧ディップに対する,24 V交流コイルをもつリレーのような制御リレー及び接触器の動作。 

− 電圧ディップ中のポンプ又はファンの回転の一時的変化による,水流,気圧,真空度などの変化に対

するエラー信号,及びそれらのエラー信号のEUTの振舞いへの影響。 

− 想定される部品の値の変化の影響。例えば,電解コンデンサは,電圧ディップ中に電気エネルギー蓄

積装置として用いられ,許容範囲±20 %以上となることがある。 

上記は,完全なリストではない。指針として提供するものであり,工学的な検証を適用することが望ま

しい。 

参考文献  

JIS C 61000-4-11 電磁両立性−第4-11部:試験及び測定技術−電圧ディップ,短時間停電及び電圧変

動に対するイミュニティ試験 

注記 対応国際規格:IEC 61000-4-11,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-11: Testing and 

measurement techniques−Voltage dips, short interruptions and voltage variations immunity tests(IDT) 

JIS C 61000-4-14 電磁両立性−第4部:試験及び測定技術−第14節:電圧変動イミュニティ試験 

注記 対応国際規格:IEC 61000-4-14,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-14: Testing and 

measurement techniques−Voltage fluctuation immunity test(MOD) 

IEC 61000-2-4,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 2-4: Environment−Compatibility levels in 

industrial plants for low-frequency conducted disturbances