C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本電子部品信頼性センター (RCJ)
及び財団法人日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日本工業規格である。
また,令和2年6月22日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準
化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
JIS C 0120には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) よく使われる製品内部の環境分類とグラフ表示
C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
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目次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 一般事項 ························································································································ 2
5. 製品内部の環境条件の分類 ································································································ 3
6. 製品内部の環境条件の分類の種類及び表示 ··········································································· 3
附属書A(参考) よく使われる製品内部の環境分類とグラフ表示 ················································ 5
日本産業規格 JIS
C 0120 : 2000
(IEC 60721-3-9 : 1993)
環境条件の分類
環境パラメータと
その厳しさのグループ別分類
製品内部の環境条件
Classification of environmental conditions−Part 3 :
Classification of groups of environmental parameters and
their severities−Section 9 : Microclimates inside products
序文 この規格は,1993年初版として発行されたIEC 60721-3-9, Classification of environmental conditions
−Part 3 : Classification of groups of environmental parameters and their severities−Section 9 : Microclimates
inside products及びAmendment 1 (1994) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成
した日本産業規格である。ただし,追補 (Amendment) については編集し,一体とした。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。またIEC規格番号は,
1997年1月1日から実施のIEC規格新番号体系によるものであり,これより前に発行された規格につい
ても,規格番号に60000を加えた番号に切り替えた。これは,番号だけの切替えであり,内容は同一であ
る。
1. 適用範囲 この規格は,製品内部の部品(構成部品,組立品,組込みユニット)に適用する環境条件
の分類について規定する。これらの製品は,JIS C 0116とJIS C 0117で分類する環境条件下で使用される
ものとする。
製品内部の環境条件の特徴とするパラメータは,高い温度と高い相対湿度である。さらに,低温などの
他の条件が部品に影響を与える可能性があるが,ここでは考慮しない。
部品の典型的な高い温度の上限を考慮して,幾つかの分類を規定する。
この基準を使用する際には,使用条件を満たすのに十分な分類を選ぶこと。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発効年(又は,発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの
規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。
JIS C 0110 : 1995 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさの分類
備考 IEC 60721-1 : 1990, Classification of environmental conditions−Part 1 : Environmental parameters
and their severitiesが,この規格と一致している。
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C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
JIS C 0111 : 1995 環境条件の分類 自然環境の条件−温度及び湿度
備考 IEC 60721-2-1 : 1982, Classification of environmental conditions. Part 2 : Environmental conditions
appearing in nature. Temperature and humidityが,この規格と一致しておりAmendment 1
(1987) の内容を含んでいる。
JIS C 0112 : 1995 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさのグループ別分類 通則
備考 IEC 60721-3-0 : 1984, Classification of environmental conditions. Part 3 : Classification of groups of
environmental parameters and their severities. Introductionがこの規格と一致しており
Amendment 1 (1987) の内容を含んでいる。
JIS C 0116 : 1997 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさのグループ別分類 屋内固定使用
の条件
備考 IEC 60721-3-3 : 1987, Classification of environmental condition−Part 3 : Classification of groups of
environmental parameters and their severities−Section 3 : Stationary use at weatherprotected
locationsが,この規格と一致しておりAmendment 1 (1991) の内容を含んでいる。
JIS C 0117 : 1997 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさのグループ別分類 屋外固定使用
の条件
備考 IEC 60721-3-4 : 1987, Classification of environmental condition−Part 3 : Classification of groups of
environmentai parameters and their severities−Section 4 : Stationary use at
non-weatherprotected locationsが,この規格と一致しておりAmendment 1 (1991) の内容を
含んでいる。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 0110によるほか,次による。
3.1
製品内部の環境条件 (microclimate) 製品内部の部品が置かれた周囲の環境条件であり,温度と湿
度だけを考慮する。
3.2
製品内部の環境条件の分類 (microclimatic class) 次の分類に基づいて表示する。
− JIS C 0116又は,JIS C 0117に規定した環境分類
− 高い温度の分類[表1のa)参照]
− 環境条件の分類の厳しさに対応した相対湿度の上限の分類[表1のb)参照]
4. 一般事項 製品内部の部品周囲の環境条件は,製品の使用される環境条件によって大きく異なる。
製品内部の環境条件は,きょう体の中などの部品位置の環境条件を表す。これらは本質的には,JIS C
0116やJIS C 0117に規定した環境分類と同一であるが,動作中に受ける外部からの熱や自己発熱による高
い温度及び相対湿度の上限の厳しさを加味してある。製品内部の環境条件は,部品に対する動作条件を規
定するのにも使用できる。
製品内部の温度が環境の温度を超えると相対湿度は低下し,その結果,部品に対する湿度の影響は減少
する。相対湿度100%でも,温度が10℃上がると,製品内部の相対湿度は,65%未満に減少する。この相
対湿度以下では,化学的に活性な物質の腐食効果は非常に低い。
ここに示す製品内部の環境条件は,きょう体周囲の大気が比較的内部に出入りしやすい位置に部品が置
かれた場合を想定している。周囲の大気と遮断されている場合は(例 密封容器),きょう体内に結露が生
じ,水がたまるので条件がさらに厳しくなる可能性がある。このことは製品のスイッチを頻繁にオンオフ
したり,外部の気候条件(雨や日射)のために製品内部の温度が急速に変化することによって生じる。
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C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
外部からの熱や自己発熱のない製品内部の部品,又は長時間動作しない製品内部の部品は,その地域の
気候分類の条件に直接影響を受ける。
外部からの熱や自己発熱がないとき又はあるときで環境条件が変化する場合は,部品がそれぞれの場合
にさらされる時間を考慮しなければならない。そのような場合は,継続期間と頻度に関する詳細は,JIS C
0112に規定した値を使用する。
さらに詳細に規定する場合は,JIS C 0112を参照する。
5. 製品内部の環境条件の分類 高い温度と相対湿度の上限の厳しさを表1に規定する。
表1 製品内部の環境条件の分類
環境パラメータ
分類
単位
厳しさ
a) 高い温度
X1
℃
55
X2
70
X3
85
X4
100
X5
125
X6
155
X7
200
b) 相対湿度の上限
Y1
%
65
Y2
75
Y3
85
Y4
95
製品内部の環境条件の規定と表示の例を6.に示す。例外的な条件下では,この分類とは異なる厳しさが
生じる可能性がある。これらについてはJIS C 0110に規定した数値を使用する。
附属書Aの図A.1には,一つの環境分類が図示されており,グラフから二つの特徴的なコーナーポイン
トが決定できる。よく使われる製品内部の環境条件の分類として,温度と相対湿度を組み合わせた数値を
附属書Aの表A.1と附属書Aの表A.2に示す。
附属書Aに示す方法は,製品内部の環境条件が定常状態に達している期間に適用する。
6. 製品内部の環境条件の分類の種類及び表示 製品内部の環境条件の分類は,製品の環境分類を適切に
規定し,次に,表1から適切な分類を規定することによって表す。
例1. 高い温度だけ
例2. 高い温度及び相対湿度の上限
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C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
例3. 高い温度,相対湿度の上限,及び時間に制限のある環境
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C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
附属書A(参考) よく使われる製品内部の環境分類とグラフ表示
A.1 製品内部の環境分類のグラフ表示 図A.1に示す気候図は,製品内部の環境分類4K2/X2/Y3の気候図
である。この図は,JIS C 0111の附属書Bで規定された湿り空気線図から,次のように作成する。
− 気候分類4K2の気候図を描く
− コーナーポイントをA,B,C,D,Eと記す
Aは,絶対湿度の上限線上の最高温度
Bは,絶対湿度の上限線上の最高相対湿度 (100%)
Cは,高い相対湿度 (100%) における最低温度
Dは,絶対湿度の下限線上の最低相対湿度
Eは,最低相対湿度での最高温度
− 製品内部の環境の最高温度 (70℃) と気候分類の最高温度 (40℃) の差 (30℃) を求める。
− コーナーポイントAからEの各点を,絶対湿度一定の線に沿って,製品内部の環境と気候分類の最
高温度の温度差分 (30℃) をシフトする。
− 得られたコーナーポイントをA',B',C',D',E'と記す。
− 相対湿度の上限値85%の境界線を引き,交点をB85及びC85と記述する。
− A',B85,C85,D'及びE'を結んで気候図を作成する。
備考 この方法は,絶対湿度一定の線上で変換を行うもので,物理的には閉鎖系だけで正しい。開放
系では,水蒸気分圧一定の線上での変換がなされるべきである。しかし適用される温度範囲で
は誤差がほとんどないので,開放系でもJIS C 0111の附属書Bに規定された絶対湿度一定の線
上で変換する。
製品内部の環境分類4K2/X2/Y3の気候図は,A',B85,C85,D'及びE'で囲まれた領域である。
永続的に外部熱又は自己発熱がある場合の製品内部の環境は,A',B85,C85,D'及びE'で囲まれた領域と
一致している。
図A.1のA'及びB'の二つのコーナーポイントは,次のことを表している。
A'は,外部熱又は自己発熱のある製品内部の最高温度及びそのときの相対湿度
B'は,外部熱又は自己発熱のある製品内部の最高相対湿度及びそのときの温度
この二つのコーナーポイントは,外部熱や自己発熱がある場合には,部品に与える相対湿度の影響が大
きい範囲を示している。これらは,気候図の重要なポイントであるから,温度と相対湿度を組み合わせて
表に示す。気候図上のその他のコーナーポイントの組合せは,一般的にあまり重要性はない。
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C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
図A.1 製品内部の環境分類の気候図例:製品内部の環境分類 4K2/X2/Y3
A.2 よく使われる製品内部の環境分類の表 次の表は,頻繁に利用される製品内部の環境分類について,
湿り空気線図から上で示した方法で求めた気候図のコーナーポイントA'及びB'の温度/相対湿度の値を示
したものである。
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C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
表A.1 製品内部の環境分類の特徴的パラメータとその厳しさ−屋内の場合
高い温度の分類 コーナー
ポイント
パラメータ
単位
コーナーポイントの値
3K3
3K4
3K5
3K6
3K7
X1
A'
温度/
相対湿度
℃/% 55/24
55/28
55/28
B'
39/50
45/44
40/56
X2
A'
70/13
70/15
70/15
70/15
B'
59/20
60/22
55/28
44/46
X3
A'
85/7
85/8
85/8
85/8
85/10
B'
74/11
75/12
75/15
59/23
47/47
X4
A'
100/5
100/6
B'
74/12
63/24
X5
A'
125/3
B'
88/9
表A.2 製品内部の環境分類の特徴的パラメータとその厳しさ−屋外の場合
高い温度の分類
コーナー
ポイント
パラメータ
単位
コーナーポイントの値
4K1
4K2
4K3
4K4H
X1
A'
温度/
相対湿度
℃/% 55/21
55/24
55/35
B'
44/35
42/45
48/47
X2
A'
70/11
70/13
70/18
70/18
B'
59/18
57/22
63/24
48/47
X3
A'
85/6
85/7
85/10
85/10
B'
74/9
72/12
78/13
63/24
X4
A'
100/6
B'
78/13
8
C 0120 : 2000 (IEC 60721-3-9 : 1993)
JIS原案作成本委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
池 田 弘 明
株式会社精工技研
(幹事)
高 久 清
工業技術院電子技術総合研究所
(委員)
窪 田 明
通商産業省機械情報産業局
中 村 国 臣
工業技術院電子技術総合研究所
橋 爪 邦 隆
工業技術院標準部
寺 岡 憲 吾
防衛庁装備局
吉 田 裕 道
東京都立産業技術研究所
橋 本 進
財団法人日本規格協会
赤 嶺 淳 一
社団法人日本電機工業会
菅 野 久 勝
日本試験機工業会
工 藤 真一郎
社団法人関西電子工業振興センター
栗 原 正 英
社団法人日本プリント回路工業会
酒 井 善 治
IMV株式会社
佐々木 喜 七
財団法人日本電子部品信頼性センター
芹 川 寛 治
日本電気計器検定所
鈴 木 俊 雄
財団法人電気安全環境研究所
塚 田 潤 二
社団法人日本電子機械工業会
坪 田 芳 実
株式会社日立製作所
東 條 喜 義
社団法人日本電子工業振興協会
福 西 寛 隆
日本電気株式会社
津 崎 靖 憲
財団法人日本品質保証機構
藤 田 隆 史
東京大学生産技術研究所2部
酒 井 昌 利
日本プラスチック工業連盟
三 上 裕 久
資源エネルギー庁公益事業部電力技術課
吉 田 公 一
社団法人日本船舶品質管理協会船舶艤装品研究所
柴 田 和 男
社団法人日本電機工業会
(事務局)
喜多川 忍
財団法人日本電子部品信頼性センター
環境試験及び分類JIS原案作成C委員会 構成表
氏名
所属
(主査)
高 久 清
工業技術院電子技術総合研究所
(幹事)
兼 平 勝 巳
株式会社東芝重電技術研究所
(委員)
小 林 義 昭
工業技術院標準部
井 下 芳 雄
エミック株式会社
塚 田 潤 二
社団法人日本電子機械工業会
山 田 宣 人
ソニー株式会社横浜テクノロジーセンターCSセンター
山 本 敏 男
タバイエスペック株式会社環境試験技術センター
横 井 康 夫
株式会社山崎精機研究所
梁 池 忠 夫
沖エンジニアリング株式会社
松 木 明
財団法人日本電子部品信頼性センター
(事務局)
喜多川 忍
財団法人日本電子部品信頼性センター