C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日
本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60721-3-5:1997,Classification of
environmental conditions−Part 3: Classification of groups of environmental parameters and their severities−
Section 5: Ground vehicle installations を基礎として用いた。
また,令和2年6月22日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準
化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS C 60721-3-5には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考)環境パラメータ及びその厳しさを選択する条件の説明
附属書B(参考)熱帯の環境分類5K5及び5K6の説明
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
(2)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲及び目的 ············································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 定義 ······························································································································ 2
3.1 内部取付け(internally mounted) ····················································································· 2
3.2 外部取付け(externally mounted) ····················································································· 2
3.3 外気から保護された場所(weather protected location) ·························································· 2
4. 一般事項 ························································································································ 2
5. 環境パラメータ及びその厳しさのグループ別分類 ·································································· 3
附属書A(参考)環境パラメータ及びその厳しさを選択する条件の説明 ·········································· 8
附属書B(参考)熱帯の環境分類5K5及び5K6の説明 ······························································· 22
日本産業規格 JIS
C 60721-3-5:2004
(IEC 60721-3-5:1997)
環境条件の分類−第3−5部:
環境パラメータとその厳しさのグループ別分類−
車載機器の条件
Classification of environmental conditions−Part 3:
Classification of groups of environmental parameters and their severities−
Section 5 : Ground vehicle installations
序文 この規格は,1997年に第1版として発行されたIEC 60721-3-5:1997,Classification of environmental
conditions−Part 3: Classification of groups of environmental parameters and their severities−Section 5: Ground
vehicle installationsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本産業規格であ
る。
1. 適用範囲及び目的 この規格は,車載機器の環境条件について分類する。車載機器とは,車の構成部
品ではなく,例えば,ラジオ受信機,通信機,料金計,車で運搬されるミルク及び石油類の流量計などで,
恒久的又は一時的に取り付けるものを対象とする。対象とする車は次のようなものである。
− 路上走行車:乗用車,商用車,特殊車,けん(牽)引車,トレーラ,原動機付自転車及び二輪自動車
− 軌道車:電気機関車,内燃機関車,電車,クレーン
− 陸上車:四輪駆動車,トラクター,スノーモービル
− 作業車:フォークリフト(有人又は無人),荷物運搬車
− 自走機器:採掘機械,刈取り機
この規格は,車の一部を構成する部品を対象としていないが,車の一部を構成しない部品で,車の同じ
場所に同様の方法で取り付ける交換可能な部品には,この環境条件の分類を適用できる。規定する厳しさ
には,製品に有害な厳しい条件だけを含める。保管条件及び輸送条件は,JIS C 60721-3-1及びJIS C
60721-3-2の中で規定する。
この規格の目的は,車に搭載する製品が使用時にさらされる環境条件とその厳しさを分類することであ
る。この規格では,広い適用分野を包含した環境条件を限定した数の分類に区分けしているので,環境条
件を分類する際は,目的とする使用条件を満たす必要最低限の分類を選択する。この選択の指針を附属書
Aに示す。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
IEC 60721-3-5:1997,Classification of environmental conditions−Part 3: Classification of groups of
2
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
environmental parameters and their severities−Section 5: Ground vehicle installations (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 60721-1 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさの分類
備考 IEC 60721-1: 1990,Classification of environmental conditions−Part 1: Environmental parameters
and their severities及びAmendment 1 (1992)が,この規格と一致している。
なお,Amendment 2 (1995)はJISに含まれていない。
JIS C 60721-2-1 環境条件の分類 自然環境の条件−温度及び湿度
備考 IEC 60721-2-1:1982,Classification of environmental conditions−Part 2: Environmental conditions
appearing in nature - Temperature and humidity及びAmendment 1 (1987)が,この規格と一致して
いる。
JIS C 60721-3-0 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさのグループ別分類 通則
備考 IEC 60721-3-0: 1984,Classification of environmental conditions-Part 3: Classification of groups of
environmental parameters and their severities ‒ Introduction及びAmendment 1 (1987)が,この規格
と一致している。
JIS C 60721-3-1 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさのグループ別分類 保管条件
備考 IEC 60721-3-1: 1997,Classification of environmental conditions−Part 3: Classification of groups of
environmental parameters and their severities ‒ Section 1: Storageが,この規格と一致している。
JIS C 60721-3-2 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさの分類−輸送条件
備考 IEC 60721-3-2: 1997,Classification of environmental conditions‒Part 3: Classification of groups of
environmental parameters and their severities ‒ Section 2: Transportationが,この規格と一致して
いる。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 60721-1によるほか,次による。
3.1
内部取付け(internally mounted) 製品が車の内部に取り付けられ,その中では環境から何らかの
保護がされている状態。外部環境要因から完全に隔離される場合から,車が動いていないとき降雨だけに
対して保護される場合まで含まれる。
3.2
外部取付け(externally mounted) 製品が車の外部に取り付けられている状態。外部環境要因から
全く保護されない。
3.3
外気から保護された場所(weather protected location) 車が直接外気にさらされない場所。その場
所は,適切な換気(少なくとも自然通風)がされている状態。
4. 一般事項 JIS環境条件の分類(JIS C 60721シリーズ)の他の規格で定義した分類を誤って使用する
ことがないように,JIS C 60721-3-0を参照することが望ましい。
環境条件が規定した厳しさを超える可能性は低い。規定したすべての値は,最大値又は限界値である。
これらの値に到達することはあっても永続はしない。設置状況によっては,発生期間及びその期間内の発
生頻度が異なることもある。このような発生頻度は,この規格では規定しないが,どの環境パラメータに
3
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
対しても考慮することが望ましい。適用可能な場合には,追加して規定したほうがよい。
発生期間及び発生頻度はJIS C 60721-3-0の6.に規定してある。
環境パラメータの組合せによっては,製品に対する影響が強まる場合があることに注意すべきである。
このことは特に生物的条件,又は化学的又は機械的に影響を与える物質が存在する条件に,高い相対湿度
が加わった場合に当てはまる。
5. 環境パラメータ及びその厳しさのグループ別分類 表1,表1A及び表2〜6に,気象条件(K),特殊
な気象条件(Z),生物的条件(B),化学的に活性な物質(C),機械的に影響を及ぼす物質(S),汚染液体
(F),機械的条件(M)に関する限定した数の分類を規定する。与えられた製品に対しては,例えば,
5K2/5B1/5C3/5F1/5M2などとして,すべての分類を一組にして表すことが望ましい。
これらの分類分けの基礎は,附属書AのA.2による。
分類5K5及び5K6に規定する熱帯地域の気象条件については附属書Bによる。
最も小さい数値の分類の組合せ5K1/5B1/5C1/5S1/5F1/5M1は,例えば,非常に限定した条件(屋内など)
だけで使用し,かつ,スムーズに走る車に取り付ける製品がさらされる条件を表している。
最も大きい数値の分類の組合せ5K4/5B3/5C3/5S3/5F3/5M3は,極めて条件が厳しい場所を含め,各種の
形式の車に取り付ける場合を包含する。エンジンルーム内に取り付ける製品には,環境パラメータの分類
の組合せに加えて特別な厳しさが与えられる。
大きい数値の分類は,通常,小さい数値の分類の厳しさを包含している。環境パラメータの中には,厳
しさを数値で規定することができていないものがある。
各分類の条件の説明は,附属書AのA.3による。
4
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
表 1 気象条件の分類
環境パラメータ
単位
分類
5K1
5K2
5K3
5K4
5K4H
5K4L
5K58)
5K68)
a) 低温
℃
+5
−25
−40
−65
−25
−65
+5
−20
b) 高温:換気された車内(エンジン
ルームを除く)又は屋外1)
℃
+40
+40
+40
+55
+55
+40
+40
+55
c) 高温:換気のない車内,エンジン
ルームを除く2)
℃
なし
+70
+70
+85
+85
+70
+70
+85
d) 高温:エンジンルーム内
℃
+60
+70
+70
+85
+85
+70
+70
+85
e) 温度変化:空気/空気3)
℃
なし
−25/
+30
−40/
+30
−65/
+30
−25/
+30
−65/
+30
+5/
+30
−20/
+30
f) 緩やかな温度変化:空気/空気,
エンジンルームを除く
℃
℃/min
なし
なし
−25/
+30
5
−40/
+30
5
−65/
+30
5
−25/
+30
5
−65/
+30
5
+5/
+30
5
−20/
+30
5
g) 緩やかな温度変化:空気/空気,
エンジンルーム内
℃
℃/min
なし
なし
−25/
+60
10
−40/
+70
10
−65/
+70
10
−25/
+70
10
−65/
+70
10
+5/
+70
10
−20/
+70
10
h) 温度変化:空気/水,エンジンル
ームを除く4)3)
℃
なし
なし
+40/
+5
+55/
+5
+55/
+5
+40/
+5
+40/
+5
+55/
+5
i) 温度変化:空気/水,エンジンル
ーム内4)3)
℃
なし
+60/
+5
+70/
+5
+85/
+5
+85/
+5
+70/
+5
+70/
+5
+85/
−5
j) 温度変化:空気/雪,エンジンル
ーム内だけ
℃
なし
+60/
−5
+70/
−5
+70/
−5
+70/
−5
+70/
−5
+70/
−5
+70/
−5
k)相対湿度:急激な温度変化はない。
内燃機関を動力とする車のエンジン
ルームを除く
%
℃
75
+30
95
+40
95
+45
95
+50
95
+50
95
+45
95
+45
95
+50
l) 相対湿度:急激な温度変化はな
い。内燃機関を動力とする車のエン
ジンルーム内
%
℃
なし
なし
なし
なし
95
+70
95
+85
95
+85
95
+70
95
+85
95
+85
m) 相対湿度:急激な温度変化があ
る,高相対湿度での空気/空気,空
調装置には近接していない
%
℃
なし
なし
95
−25/
+30
95
−40/
+30
95
−65/
+30
95
−25/
+30
95
−65/
+30
95
+5/
+30
95
−20/
+30
n)相対湿度:急激な温度変化がある,
高相対湿度での空気/空気,空調装
置に近接している
%
℃
なし
なし
95
+10/
+70
95
+10/
+70
95
+10/
+85
95
+10/
+85
95
+10/
+70
95
+10/
+85
95
+10/
+85
o) 絶対湿度:急激な温度変化があ
る,水分含有量が多い条件での空気
/空気5)
g/m3
℃
なし
なし
60
+70/
+15
60
+70/
+15
80
+85/
+15
80
+85/
+15
60
+70/
+15
60
+70/
+15
60
+85/
+15
p)低相対湿度
%
℃
10
+30
10
+30
10
+30
10
+30
10
+30
10
+30
10
+30
10
+30
q) 低気圧6)
kPa
70
70
70
70
70
70
70
70
r) 周囲空気の動き
m/s
なし
20
20
30
30
30
30
30
s) 降水:雨
mm/mi
n
なし
なし
6
15
15
6
15
15
t) 日射
W/m2
なし
700
1 120
1 120
1 120
1 120
1 120
1 120
5
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
表 1 気象条件の分類(続き)
環境パラメータ
単位
分類
5K1
5K2
5K3
5K4
5K4H
5K4L
5K58)
5K68)
u) 熱放射:エンジンルーム以外
W/m2
なし
600
600
600
600
600
600
600
v) 熱放射:エンジンルーム内
W/m2
600
600
1 200
1 200
1 200
1 200
1 200
1 200
w) 雨以外の水7)
m/s
なし
0.3
1
3
3
3
3
3
x) 湿気
-
なし
表面が湿った条件
注1)
製品表面の高い温度は,ここで規定する周囲温度及びt)で規定する日射の双方から影響を受ける可能性があ
る。
2)
製品表面の高い温度は,ここで規定する周囲温度及び窓その他の開孔部からの日射の双方から影響を受ける可
能性がある。
3)
製品が温度差のある場所を直接輸送される場合を想定する。
4)
低い温度は水道水の温度に相当する。
5)
製品は急激な温度低下だけを受けるものと仮定する(急激な温度上昇はない)。水分含有量の数値は,露点ま
での温度に適用する。低い方の温度では,相対湿度は約100 %であると仮定する。
6)
70 kPaの厳しさは全地球屋外気候群に適用する(高度3 000 mまで)。限定された適用には,数値を表1Aから
選択することができる。
7)
この数値は,水位ではなく水の速度を表している。
8)
5K5(熱帯湿潤)及び5K6(熱帯乾燥)の分類の詳細は,附属書Bによる。
表 1A 特殊な気象条件の分類
環境パラメータ
分類
単位
特殊条件Z
q)低気圧1)
5Z1
kPa
84
1)分類5Z1は,高度約1 400 mに相当する。
表 2 生物的条件の分類
環境パラメータ
単位
分類
5B1
5B2
5B3
a) 植物系
-
なし
かび,菌など
b) 動物系
-
なし
げっ歯動物及びその
他製品に有害な動物
(白ありを除く)
げっ歯動物及びその
他製品に有害な動物
(白ありを含む)
表 3 化学的に活性な物質の分類
環境パラメータ
単位
分類
5C1
5C2
5C3
a) 海塩
-
なし
塩霧
b) 融雪用の塩
-
なし
固形塩及び塩水
b) 二酸化硫黄
mg/m3
0.1
1.0
(0.3)
10
(5.0)
c) 硫化水素
mg/m3
0.01
0.5
(0.1)
10
(3.0)
d) 窒素酸化物(二酸化
窒素の当量値で表示)
mg/m3
0.1
1.0
(0.5)
10
(3.0)
e) オゾン
mg/m3
0.01
0.1
(0.05)
0.3
(0.1)
f) 塩化水素
mg/m3
0.1
0.5
(0.1)
5.0
(1.0)
g) ふっ化水素
mg/m3
0.003
0.03
(0.01)
2.0
(0.1)
h) アンモニア
mg/m3
0.3
3.0
(1.0)
35
(10)
備考1. 数値は最大値で,1日当たり30分以上生じる。
2. 括弧内の数値は長期間の平均値を示す。
3. 単位cm3/m3に対応する数値(20 ℃,101.3 kPa)はJIS C 60721-1に規定されている。
6
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
表 4 機械的に影響を与える物質の分類
環境パラメータ
単位
分類
5S1
5S2
5S3
a) 砂粒(砂利を含む)
g/m3
(空気中)
なし
0.1
10
b) ほこりの沈殿
mg(m2 h)
1.0
3.0
3.0
表 5 汚染液体の分類
環境パラメータ
分類
5F1
5F2
5F3
a) 電動機オイル
なし
なし
あり
b) ギアボックスオイル
なし
なし
あり
c) 油圧用オイル
なし
あり
あり
d) 変圧器油
なし
あり
あり
e) ブレーキオイル
なし
あり
あり
f) 冷却液
なし
あり
あり
g) グリス
なし
あり
あり
h) 燃料
なし
なし
あり
i) バッテリー液
なし
あり
あり
表 6 機械的条件の分類
環境パラメータ
単位
分類
5M1
5M2
5M3
a) 定常振動,正弦波1)
変位振幅(片振幅)
加速度振幅
振動数範囲
mm
m/s2
Hz
1.5
5
2-9 9-200
3.3
10 15
2-9 9-200 200-500
7.5
20 40
2-8 8-200 200-500
b) 定常振動,ランダム1)
加速度スペクトル密度
振動数範囲
m2/s3
Hz
0.3 0.1
10-200 200-500
1 0.3
10-200 200-500
3 1
10-200 200-500
c) 非定常振動,衝撃を含
む2)
衝撃応答スペクトルタイ
プI,ピーク加速度a
衝撃応答スペクトルタイ
プII,ピーク加速度a
m/s2
m/s2
50
なし
100
300
300
1 000
d) 異物,石による衝撃
J
なし
5
20
注1) 内部で高いダンピングをもつ構造物に取り付ける製品については,5M2,5M3についても,振動数範囲
は200 Hzに限定する。
2)
図1参照。
7
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
正弦波パルスでの作用時間の例
スペクトルタイプI:作用時間11 ms
スペクトルタイプⅡ:作用時間6 ms
(一次の最大衝撃応答スペクトル)
図の説明は,JIS C 60721-1の表1付記事項6.参照
図 1 衝撃応答スペクトルのモデル
8
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
附属書A(参考)環境パラメータ及びその厳しさを選択する条件の説明
A.1 概要 この附属書は,分類分けの基礎について記述する。環境パラメータとその厳しさを選択する条
件を説明し,各分類の範囲とその適用例を示す。
A.2 条件の選択 それぞれの環境パラメータに対して可能性のある様々な条件を,異なる分類条件で示す。
各条件は,厳しさの順に並べてある。
表A.2.1〜表A.2.6の最初の列は条件の説明である。“分類”と表示した列で,×印は該当する分類の条
件の範囲を表す。ある条件をカバーする最も低い条件は,その条件の欄を横に読んで“分類”欄の最初の
×印の条件である。
上記に説明した手順はすべての条件に対して同じである。しかし,表A.2.1は気候の型の付加要因を含
むので,注意しなければならない。
ある条件をカバーする最も低い分類は,該当する気候の型の欄を縦に読み,最初の×印のところを,前
に述べたように,右横に読み,最初の×印の条件である。
気候の型は,JIS C 60721-2-1に次のように規定してある。
極寒冷(南極中央部を除く)
寒冷
緩寒冷
緩温暖
乾燥温暖
緩乾燥温暖
極乾燥温暖
湿潤温暖
湿潤温暖,変化少
この附属書で参照する条件が,ある分類に包括されているということは,その分類が,それぞれの単一
パラメータに対し当該条件を満足するための最も低い環境の厳しさを示しているとは限らないことに留意
すべきである。
備考 事故の発生は考慮しない。しかし,特別な場合には,事故が発生する可能性について考慮する
必要がある。
9
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.1 気象条件, K
設置条件
単
位
気候の型
分類
極
寒
冷
寒
冷
緩
寒
冷
緩
温
暖
乾
燥
温
暖
緩
乾
燥
温
暖
極
乾
燥
温
暖
湿
潤
温
暖
湿
潤
温
暖
変
化
少
5K1
5K2
5K3
5K4
5K4
H
5K4
L
a) 低温
℃
+5
−25
−40
−65
−25
−65
風雨から保護された,かつ,暖
房した場所だけで使用する車
の内部,又は暖房した車内:ウ
ォームアップ後にだけ使用す
る製品。
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
車の外部,暖房していない又は
暖房した車内:ウォームアップ
前に使用する製品。
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
b) 高温:換気がある車内(エン
ジンルームを除く)又は屋外
℃
+40
+40
+40
+55
+55
+40
風雨から保護され,かつ,温度
調節された場所だけで使用す
る車内
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
温度調節した車内
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
風雨から保護され,かつ,換気
がある場所だけで使用する車
の外部又は内部,又は換気があ
る車内
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
c) 高温:換気のない車内,エン
ジンルームを除く
℃
なし
+70
+70
+85
+85
+70
密閉された,換気がない車内
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
10
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.1 気象条件,K(続き)
設置条件
単
位
気候の型
分類
極
寒
冷
寒
冷
緩
寒
冷
緩
温
暖
乾
燥
温
暖
緩
乾
燥
温
暖
極
乾
燥
温
暖
湿
潤
温
暖
湿
潤
温
暖
変
化
少
5K1
5K2
5K3
5K4
5K4H
5K4L
d) 高温:エンジンルーム内
℃
+60
+70
+70
+85
+85
+70
風雨から保護され,かつ,換気
がある場所だけで使用し,電動
機を動力とする車の内部
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
屋外で使用し,電動機を動力と
する車の内部
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
内燃機関を動力とする車の内部
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
e) 温度変化:空気/空気
℃
なし −25/
+30
−40/
+30
−65/
+30
−25/
+30
−65/
+30
周囲空気の温度の変化にさらさ
れない
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
窓,扉,ふたなどを開けたとき,
又は外気を内外に出入りさせた
ときに直接外気にさらされる車
内:暖かい屋内と寒い屋外を移
動する車
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
f) 緩やかな温度変化:空気/空
気,エンジンルームを除く
℃
℃/
min
なし
なし
−25/
+30
5
−40/
+30
5
−65/
+30
5
−25/
+30
5
−65/
+30
5
風雨から保護された場所だけで
使用する車の内部
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
外から入ってくる外気に直接さ
らされない車内:屋外と屋内を
移動しない車,又は暖かい屋内
と寒い屋外を移動する車
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
(通常の,又は付加的な過熱装
置によって)急速な暖房がある
車内
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
11
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.1 気象条件,K(続き)
設置条件
単
位
気候の型
分類
極
寒
冷
寒
冷
緩
寒
冷
緩
温
暖
乾
燥
温
暖
緩
乾
燥
温
暖
極
乾
燥
温
暖
湿
潤
温
暖
湿
潤
温
暖
変
化
少
5K1
5K2
5K3
5K4
5K4H
5K4L
g) 緩やかな温度変化:空気/空
気,エンジンルーム内
℃
℃/
min
なし
−25/
+60
10
−40/
+70
10
−65/
+70
10
−25/
+70
10
−65/
+70
10
電動機を動力とする車の内部
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
内燃機関を動力とする車の内部
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
h) 温度変化:空気/水,エンジ
ンルームを除く1)
℃
なし
なし
+40/
+5
+55/
+5
+55/
+5
+40/
+5
雨から保護されている。雨以外
の水にさらされない。
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
外部。日射に当たった後すぐに,
雨又は水の噴射にさらされる。
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
i) 温度変化:空気/水,エンジ
ンルーム内1)
℃
なし
+60/
+5
+70/
+5
+85/
+5
+85/
+5
+70/
+5
水の浸入にさらされない
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
電動機を動力とする車の内部。
水の浸入にさらされる。
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
内燃機関を動力とする車内。水
の浸入にさらされる。
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
j) 温度変化:空気/雪,エンジ
ンルーム内だけ
℃
なし
+60/
−5
+70/
−5
+70/
−5
+70/
−5
+70/
−5
雪の浸入にさらされない
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
電動機を動力とする車の内部。
雪の浸入にさらされる。
× × × × × ×
×
×
×
×
×
内燃機関を動力とする車の内
部。雪の浸入にさらされる。
× × × × × ×
×
×
×
×
12
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.1 気象条件,K(続き)
設置条件
単
位
気候の型
分類
極
寒
冷
寒
冷
緩
寒
冷
緩
温
暖
乾
燥
温
暖
緩
乾
燥
温
暖
極
乾
燥
温
暖
湿
潤
温
暖
湿
潤
温
暖
変
化
少
5K1
5K2
5K3
5K4
5K4H 5K4L
k) 相対湿度:急激な温度変化は
ない。内燃機関を動力とする車
のエンジンルームを除く
%
℃
75
+30
95
+40
95
+45
95
+50
95
+50
95
+45
湿度が調節されている場所又
は暖房された場所でだけ使用
する車の内部
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
屋外で使用する車の外部,又は
換気がある車内
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
ぬれた表面が日射にさらされ
る(水の蒸発),換気がない車
内
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
l) 相対湿度:急激な温度変化は
ない。内燃機関を動力とする車
のエンジンルーム内
%
℃
なし
なし
95
+70
95
+85
95
+85
95
+70
ぬれた表面をもち,水が沸騰す
るおそれのある場合など(車が
動かない場合も含む)
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
m) 相対湿度:急激な温度変化
がある,高相対湿度での空気/
空気,冷房装置には近接してい
ない
%
℃
なし
なし
95
−25/
+30
95
−40/
+30
95
−65/
+30
95
−25/
+30
95
−65/
+30
大きな温度変化にさらされな
い
× × × × × × × × ×
×
×
×
×
×
×
外部,又は外気に部分的にさら
される車内。屋内と屋外の間を
移動する車。
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
13
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.1 気象条件,K(続き)
設置条件
単
位
気候の型
分類
極
寒
冷
寒
冷
緩
寒
冷
緩
温
暖
乾
燥
温
暖
緩
乾
燥
温
暖
極
乾
燥
温
暖
湿
潤
温
暖
湿
潤
温
暖
変
化
少
5K1
5K2 5K3 5K4 5K4H
5K4L
n) 相対湿度:急激な温度変化が
ある,高相対湿度での空気/空
気,冷房装置に近接している
%
℃
なし
95
+10/
+70
95
+10/
+70
95
+10/
+85
95
+10/
+85
95
+10/
+70
空気調節装置を一定時間作動さ
せた後,直射日光下に駐車した
車内
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
o) 絶対湿度:急激な温度変化が
ある,水分含有量が多い条件で
の空気/空気
g/
m3
℃
なし
なし
60
+70/
+15
60
+70/
+15
80
+85/
+15
80
+85/
+15
60
+70/
+15
日射に当たった後,雨又は水の
噴射にさらされる車内。電動機
だけを動力とする車のエンジン
ルーム内を含む。
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
内燃機関を動力とする車のエン
ジンルーム内。水分を多く含ん
でいる車内,例えば,冷媒が沸
騰した後や,ぬれた表面から水
が蒸発した後などに,降雨があ
って急に温度が下がる場合。
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
14
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.1 気象条件,K(続き)
設置条件
分類
5K1
5K2
5K3
5K4
5K4H 5K4L
p) 低相対湿度
%
℃
10
+30
10
+30
10
+30
10
+30
10
+30
10
+30
湿度が調節されている場所だけで使用する車の内部,又は暖
房がある車内。
×
×
×
×
×
×
q) 低気圧2)
kPa
70
70
70
70
70
70
陸上車が走行する高度
×
×
×
×
×
×
r) 周囲空気の動き
m/s
なし
20
20
30
30
30
風及び走行風3)から保護されている
×
×
×
×
×
×
走行風3)から保護されている。風からは保護されていない。
ハリケーンのない全地球屋外気候群
×
×
×
×
×
走行風3)から保護されていない。風からは保護されていない。
ハリケーンを含む全地球屋外気候群
×
×
×
s) 降水:雨
mm/
min
なし なし
6
15
15
6
降雨から保護されている
×
×
×
×
×
×
降雨から保護されていない:通常の降雨量の気候地域
×
×
×
×
降雨から保護されていない:全地球屋外気候群
×
×
t) 日射
W/m2
なし
700
1 120
1 120
1 120
1 120
日射から保護されている
×
×
×
×
×
×
窓を通してだけ日射にさらされる
×
×
×
×
×
直射日光にさらされる
×
×
×
×
u) 熱放射,エンジンルーム内以外
W/m2
なし
600
600
600
600
600
熱放射にさらされない
×
×
×
×
×
×
発熱体からの熱放射にさらされる
×
×
×
×
×
v) 熱放射,エンジンルーム内
W/m2
なし
600
600
1 200
1 200
1 200
電動機を動力とする車のエンジンルーム内。機関の外部の部
品からの熱放射にさらされる。
×
×
×
×
×
×
内燃機関を動力とする車のエンジンルーム内。排気管などの,
機関の外部の部品からの熱放射にさらされる。
×
×
×
×
w) 雨以外の水
m/s
なし
0.3
1
3
3
3
水の浸入から保護されている
×
×
×
×
×
×
水漏れのあるパイプからの水滴や,製品の内部部品での結露
などにさらされる
×
×
×
×
×
地面からの跳ね水にさらされる
×
×
×
×
自動洗車も含め,洗車などによる水のスプレー及び噴射にさ
らされる。主として,外部に取り付ける製品,及びエンジン
ルーム内に取り付ける製品
×
×
×
15
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.1 気象条件,K(続き)
設置条件
分類
5K1
5K2
5K3
5K4
5K4H
5K4L
x) 湿潤
なし
なし
表面が湿った条件
乾燥状態
×
×
×
×
×
×
湿った地域。例えば,湿った表面。
×
×
×
×
×
注 1) 最低温度は水道水の温度に相当する。
2) 70 kPaの値は,陸上輸送の限界値,通常高度約3 000 mでの気圧に相当する。地域によっては,更に高い高度で
陸上輸送が行われることもある。
3) 走行風は,車の走行によって生じる空気と車の相対的な動きである。
備考1. 新しい分類5K5及び5K6は,今後の改正で表中に組み込まれる予定である。
2. 環境の組合せについては分類していないが,外部及び内部に搭載した製品に,氷が付くことがあるので注意
する。この着氷は,冷たい表面への結露及び結氷,過冷却された雨水又は製品の形状に関連した風速と相対
速度の組合せによって生じることがある。
A.2.2 生物的条件,B
設置条件
分類
5B1
5B2
5B3
a) 植物系
なし
かび,菌など
かび,菌などの増殖の危険性が無視できる,又はか
び,菌などの増殖が防止されている。
×
×
×
かび,菌などの増殖の危険性が無視できない,又は
かび,菌などの増殖が防止されていない。
×
×
b) 動物系
なし
げっ歯動物その他
製品に有害な動物
(白ありを除く)
げっ歯動物及びそ
の他製品に有害な
動物(白ありを含
む)
白あり,げっ歯動物及び他の動物から害を受ける危
険が無視できる,又は動物から防護されている。
×
×
×
げっ歯動物及び他の動物から害を受ける危険があ
る,ただし,白ありは除く。動物から防護されてい
ない。
×
×
動物から害を受ける危険がある。白ありを含む。
×
16
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.3 化学的に活性な物質,C
設置条件
分類
5C1
5C2
5C3
a) 海塩
なし
塩霧
風雨から保護された場所でだけ使用する
車の外部又は車内,若しくは走行中開放さ
れない車内。
×
×
×
外部,又は走行中部分的に開放している車
内,例えば,エンジンルーム内
×
×
b) 融雪用の塩
なし
固形塩及び塩水
風雨から保護された場所でだけ使用する
車の外部又は車内,若しくは融雪用の塩及
び走行中飛まつ(沫)から保護されている
車内。
×
×
×
外部,又は走行中部分的に開放している車
内,例えば,エンジンルーム内。融雪用の
塩及び飛まつの浸入から保護されていな
い。
×
×
c) 二酸化硫黄
mg/m3
0.1
0.5 (0.3)
10 (5.0)
d) 硫化水素
mg/m3
0.01
0.5 (0.1)
10 (3.0)
e) 窒素酸化物
mg/m3
0.1
1.0 (0.5)
10 (3.0)
f) オゾン
mg/m3
0.01
0.1 (0.05)
0.3 (0.1)
g) 塩化水素
mg/m3
0.1
0.5 (0.1)
5.0 (1.0)
h) ふっ化水素
mg/m3
0.003
0.03 (0.01)
2.0 (0.1)
アンモニア
備考:規定の数値は最大値で,一日当たり
30分間以上発生する。括弧内の数値は平均
値を示す。
mg/m3
0.3
3.0 (1.0)
35 (10.0)
工業活動及び交通量が連続していない地
域で使用する車内又は中程度の工業活動
及び交通のある地域で使用する車の内部。
×
×
×
通常の工業活動地域(化学汚染物質を大量
に排出する工業は含まない)で使用する車
の外部又は部分的に開放した車内,又は化
学汚染物質を大量に排出する工業地域で
使用する車の内部。
×
×
化学汚染物質を大量に排出する工業地域
で使用する車の外部又は部分的に開放し
た車内。
×
17
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.4 機械的に影響を与える物質,S
設置条件
分類
5S1
5S2
5S3
a) 砂粒(粗砂を含む)
g/m3(空
気中)
なし
0.1
10
b) ほこりの沈澱
mg/(m2 h)
1.0
3.0
3.0
屋外で使用する車で,砂粒及びほこりから
保護されている車内,又はほこりからは保
護されていないが砂粒からは保護されて
いる車内。砂嵐又は砂利道走行時に,少量
の細かい砂が車内に入り込む可能性があ
る。
×
×
×
屋外又は屋内で使用する車の外部,又は部
分的又は全面的に開放した車内。屋外で使
用する車については,砂漠地帯を除く全地
球屋外気候群。
×
×
屋外で使用される車の外部,又は部分的又
は全面的に開放した車内。砂漠を含む全地
球屋外気候群。
×
A.2.5 汚染液体,F
設置条件
分類
5F1
5F2
5F3
a) 電動機オイル
なし
なし
あり
b) ギアボックスオイル
なし
なし
あり
c) 油圧用オイル
なし
あり
あり
d) 変圧器油
なし
あり
あり
e) ブレーキオイル
なし
あり
あり
f) 冷却液
なし
あり
あり
g) グリス
なし
あり
あり
h) 燃料
なし
なし
あり
i) バッテリー液
なし
あり
あり
エンジンルームを除く車内
×
×
×
電動機を動力とする車のエンジンルーム内
×
×
内燃機関を動力とする車のエンジンルーム内
×
18
C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.6 機械的条件,M
輸送条件
分類
5M1
5M2
5M3
a) 定常振動,正弦波
変位振幅(片振幅)
加速度振幅
振動数範囲
mm
m/s2
Hz
1.5
5
2-9 9-200
3.3
10 15
2-9 9-200 200-500
7.5
20 40
2-8 8-200 200-500
b) 定常振動,ランダム
加速度スペクトル密度
振動数範囲
m2/s3
Hz
0.3 0.1
10-200 200-500
1 0.3
10-200 200-500
3 1
10-200 200-500
屋内の平たんな走行面だけで使用す
る電動機を動力とする車,例えば,
倉庫内のロボットなど。
×
×
×
エアークッションのついた路上走行
車及びトレーラ,その他道路がよく
整備された地域で走行する路上走行
車(軌道車は含まない)二輪自動車,
原動機付自転車,その他の軽車両は
除く。
ソフトサスペンションの付いた列
車,フォークリフトトラック。内燃
機関を動力とする車,乗客用車。エ
ンジン又はエンジンに接続している
部品から計器パネル上に高周波の振
動が伝わる可能性のある場合。
×
×
道路が整備されていない地域で走行
する路上走行車,トレーラ,ハード
サスペンションについた列車。軌道
車及び自走機器。陸上車。二輪自動
車,原動機付自転車,その他の軽車
両。
乗客用車を除くすべての車。エンジ
ン又はエンジンに接続している部品
から計器パネル上に高周波の振動が
伝わる可能性のある場合。
備考:動力ユニットに直接取付けら
れる製品,又は路面からサスペンシ
ョンを介さずに直接取り付ける製品
は,ここに示された以外の振動を受
ける可能性がある,例えば,ボギー
台車上など。これらの場合は考慮中
である。
×
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C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
A.2.6 機械的条件,M(続き)
輸送条件
分類
5M1
5M2
5M3
c) 非定常振動 衝撃を含む
衝撃応答スペクトルタイプI,ピー
ク加速度a
衝撃応答スペクトルタイプII,ピー
ク加速度a
m/s2
m/s2
50
なし
100
300
300
1000
走行面が平たんな屋内だけで使用す
る電動機を動力とする車。例えば,
倉庫内のロボットなど。
×
×
×
道路がよく整備された地域で走行す
る路上走行車。エアークッションの
ついたトレーラ。衝撃が少なくなる
ように特別設計された緩衝装置をも
つ機関車,四輪車。フォークリフト。
ただし,オートバイ,スクータ,そ
の他の軽車両は除く。
×
×
道路が整備されていない地域で走行
する路上走行車。トレーラ。入替え
機関車を含む四輪車。オートバイ,
スクータ,その他の軽車両。
×
d) 異物,石による衝撃
J
なし
5
20
屋内で使用する車。屋外で使用する
車の内部で,その表面は跳ねた石を
受けない。
×
×
×
車内で,跳ねた石を受ける可能性が
ある表面。
×
×
跳ねた石を直接受ける可能性のある
場所での外側。
×
A.3 各分類の説明
A.3.1 気象条件,K 気象条件は,次の八つの記号で分類する。
5K1 この条件は,風雨から保護され,かつ,換気と暖房がある場所で使用する車に取り付ける製品,
又は暖房し,かつ,換気がある車内で,ウォームアップ後にだけ使用する製品に適用する。
これらの製品は,一時的にも又はゆるやかな周囲温度の変化にさらされることは想定していない。また,
水や雪の浸入から保護されている。冷房装置の近傍に設置する場合は除く。製品自体,及び製品を設置す
る車内は,日射を受けないものとする。
電動機を動力とする車のエンジンルームに取り付ける製品は,エンジンの外部から熱放射を受けること
がある。
5K2 この条件は,5K1で扱う条件に加えて,密閉又は部分的に開放した,換気のない車内(暖房あり
及び暖房なしの場合を含む)に設置する製品に適用する。これらの製品は,熱源からの熱や,窓その他の
開孔部からの日射にさらされることがある。屋外で使用する車を含む。
ただし,車の屋外での使用は,通常の降雨量の気候地域に限定し,極寒冷,寒冷,緩寒冷,極乾燥温暖
気候を除く。
備考 幾つかの環境パラメータ(低温,高温)については,5K2は車外部に取り付ける製品にも適用
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C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
する。
製品は,車の走行中に車内に浸入する外の冷気に直接さらされることがある。また,製品に水滴が落ち,
又は取付け表面が濡れた条件になることもある。
この分類は,屋外で使用される電動機を動力とする車のエンジンルームに取り付ける製品にも適用する。
製品は水や雪の浸入を受けることもある。
5K3 この条件は,5K2で扱う条件に加えて,緩寒冷気候の屋外で使用する車に適用する。また,換気
のない車内及びぬれた表面に日射を受けることがある車内に設置する製品に適用する。製品は日射及び雨
にさらされることがある。電動機を動力とする車のエンジンルームに取り付ける製品にもこの環境条件を
適用する。
5K4 この条件は,5K3で扱う条件に加えて,全地球屋外気候群で使用する車に適用する。製品は,洗
車などによる水のスプレー及び噴射に直接さらされる。
5K4H この条件は,5K4に類似しているが,低温条件が5K2と等しい。
5K4L この条件は,5K4に類似しているが,高温条件が5K2と等しい。
5K5 この条件は,湿潤温暖及び湿潤温暖・変化少の気候型(熱帯雨林地域の熱帯湿潤型気候)の屋外
の条件
5K6 この条件は,乾燥温暖,緩乾燥温暖,極乾燥温暖の気候型(砂漠など,熱帯に近い地域の熱帯乾
燥型気候)の屋外の条件を表す。
A.3.2 生物的条件,B 生物的条件は,次の三つに分類される。
5B1 この条件は,動物及び植物による生物的被害が起こるおそれがない地域で取り付ける製品に適用
する。かびの増殖及び動物から害を受ける危険がない構造の車内に設置する製品も含む。
5B2 この条件は,5B1で扱う条件に加えて,かびの増殖及び白ありを除く動物から害を受ける危険が
ある地域と条件を含む。
5B3 この条件は,5B2で扱う条件に加えて,白ありの被害が起こり得る地域を含む。
A.3.3 化学的に活性な物質,C 化学的に活性な物質の条件は,次の三つに分類する。
5C1 この条件は,屋内だけで使用する車の内部,屋外環境に開放されていない車内で,融雪用の塩や
飛まつの浸入から保護された設置条件に適用する。
5C2 この条件は,5C1で扱う条件に加えて,車の外部に取り付ける製品及び部分的に開放された車内
に取り付ける製品に適用する。製品には融雪用の塩や飛まつが浸入する場合がある。大量の化学汚染物質
を排出する工業地域で使用する車の外部に取り付ける製品には適用しない。
5C3 この条件は,5C2で扱う条件に加えて,大量の化学汚染物質を排出する工業地域で使用する車の
外部に取り付ける製品に適用する。
A.3.4 機械的に影響を与える物質,S 機械的に影響を与える物質の条件は,次の三つに分類する。
5S1 車の内部に設置する製品で,ほこりからは保護されていないが,砂粒からは保護されている条件
に適用する。
5S2 この条件は,5S1で扱う条件に加えて,砂漠以外の地域で使用する車の内部及び外部に取り付ける
製品で,砂粒及びほこりから保護されていない条件に適用する。
5S3 この条件は,5S2で扱う条件に加えて,砂漠地域で使用する車に取り付ける製品に適用する。
A.3.5 汚染液体,F 汚染液体の条件は,次の三つに分類する。
5F1 この条件はエンジンルームの外部に取り付ける製品に適用する。
5F2 この条件は,5F1で扱う条件に加えて,電動機を動力とする車のエンジンルームを含む。
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C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
5F3 この条件は,5F2で扱う条件に加えて,内燃機関を動力とする車のエンジンルームを含む。
A.3.6 機械的条件,M
5M1 この条件は屋内の平たんな走行面だけで使用する,電動機を動力とする車(倉庫内のロボットな
ど)に取り付ける製品に適用する。
5M2 この条件は,5M1で扱う条件に加えて,道路がよく整備された地域で使用するすべての種類の路
上走行車に適用する。ただし,軌道車,二輪自動車,原動機付自転車,その他の軽車両は除く。表面に跳
ねた石を受ける可能性のある車内に設置する製品にも適用する。
5M3 この条件は,5M2で扱う条件に加えて,道路が整備されていない地域で使用する路上走行車,軽
車両,軌道車及び自走車に適用する。跳ねた石が直接当たる可能性のある場所に設置する製品にも適用す
る。
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C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
附属書B(参考)熱帯の環境分類5K5及び5K6の説明
B.1 概要 熱帯とは南北の回帰線(北緯23度27分及び南緯23度27分)に挟まれた地域である。熱帯地
域には,JIS C 0010に規定する気候の型のうち次のものがある。
乾燥温暖(WDr)
緩乾燥温暖(MWDr)
極乾燥温暖(EWDr)
湿潤温暖(WDa)
湿潤温暖,変化少(WDaE)
熱帯は,日中は高温であり,しばしば強い降雨がある。このような地域では季節的な変化がほとんどな
い。熱帯気候には赤道上の熱帯雨林の[湿潤温暖]気候型から,回帰線周辺の砂漠の[乾燥温暖]気候型
まであり,この二つの型は区別されるべきものである。
− 熱帯乾燥気候:[乾燥温暖],[緩乾燥温暖]及び[極乾燥温暖]の組合せ
− 熱帯湿潤気候:[湿潤温暖]と[湿潤温暖,変化少]の組合せ
高度によっては,気候条件が緯度によって決まる通常の条件と著しく異なる場所がある(例えば,
山頂での日射,気圧又は氷,雪の条件)。熱帯の環境条件は,多くの地域で一様であるが,一部の地域
では非常に厳しい気象条件がある。
安定条件
− 一日の温度変化は1℃以下であり,年間温度変化は最大6℃以下である。
− 平均的な日照時間は10.5時間から13.5時間である。
− 日射強度は一様である。
− 多くの動物にとって安定な条件である。
極端な条件
− 降雨:赤道の周辺では年間を通して降雨があり,回帰線の周辺では一定の時期に強い降雨の期間があ
る。
− 海上での熱帯サイクロン:風速30 m/s(最大60 m/s以上になることもある。),例えば,西太平洋では
台風,カリブ海ではハリケーンがある。
− 好ましくない腐食性環境:強い降雨がある地域では,腐葉土と鉱物による腐食がある。
− 熱帯雨林の植物の繁茂と山岳地域のまばらな樹木
− サバンナやステップ(草原)の草原地域と植物のない砂漠地域
B.2 気候図(クライマトグラム) 熱帯地域の二つの気候型の気候図を図B.1に示す。この図は,二つの
気候の型の温度及び湿度の年間極値の平均値に基づいている。
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C 60721-3-5:2004 (IEC 60721-3-5:1997)
図 B.1熱帯湿潤型及び熱帯乾燥型の気候図