C 60695-10-3:200X (IEC 60695-10-3:2002)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本電子部品信頼性センター(RCJ)
/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日
本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60695-10-3:2002,Fire hazard testing
−Part 10-3:Abnormal heat−Mould stress relief distortion testを基礎として用いた。
また,令和2年6月22日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準
化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
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(2)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 試験の概要 ····················································································································· 2
4. 試験装置 ························································································································ 2
5. 試験試料 ························································································································ 2
6. 前処理条件 ····················································································································· 2
7. 試験手順 ························································································································ 2
8. 観察及び測定 ·················································································································· 3
9. 試験結果の表し方 ············································································································ 3
10. 個別製品規格に規定する事項···························································································· 3
日本産業規格 JIS
C 60695-10-3:200X
(IEC 60695-10-3:2002)
耐火性試験−電気・電子−第10-3部:
異常発生熱−成形応力解放変形試験
Fire hazard testing-Part 10-3:Abnormal heat-
Mould stress relief distortion test
序文 この規格は,2002年に第1版として発行されたIEC 60695-10-3:2002,Fire hazard testing−Part 10-3 :
Abnormal heat−Mould stress relief distortion testを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく
作成した日本産業規格である。
部品を成形する場合,金型内の溶融樹脂の流動,金型内の溶融樹脂の場所による温度差,不均一な冷却
などが起因して,部品内に成形応力が生じる。また,製品の組立て及び使用によっても,付加応力が生じ
る可能性がある。
高分子材料で作られた部品,特にエンクロージャは,環境影響下にさらされ成形応力を解放することが
予想される。そのような条件には,室内暖房機,調理なべなどの近くに置くような高温,又は直射日光,
への一時的な暴露がある。
このような応力の解放は,製品がその安全規格を満足しないで,しかも安全でない寸法又はゆがみの変
化を生じる可能性がある。
1. 適用範囲 この規格は,日本産業規格で用いる成形応力解放変形試験方法について規定する。
この規格は,高分子材料で作られた部品を含む電気・電子機器に適用する。この試験は,正常使用最高温
度よりも高い温度で製品又は部品を状態調節して成形応力解放に起因する影響の模擬を意図する。
個別製品規格の作成に当たっては,可能な限り基本的な安全規格を使用するのがよい。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
IEC 60695-10-3: 2002,Fire hazard testing−Part 10-3: Abnormal heat−Mould stress relief distortion
test (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補(Amendment)には適用しない。
IEC 60216-4-1:1990,Guide for the determination of thermal endurance properties of electrical insulating
materials−Part 4-1: Ageing ovens−Single-chamber ovens
IEC Guide 104:1997,The preparation of safety publications and the use of basic safety publications and group
safety publications
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3. 試験の概要 製品規格に規定の期間で,かつ,7時間以上,試験試料を高い温度にさらす。その後,
製品規格の要求事項を満たすかどうかを調べるために,試験試料を試験する。
4. 試験装置 試験装置は,IEC 60216-4-1に規定する空気温度分布を保持できる恒温槽(heating cabinet)
で構成する。
5. 試験試料 試験試料は,完成機器(エンクロージャの場合)又は供試品の部品とする。個別製品規格に
その他の規定がない場合は,試験試料を3個試験する。
6. 前処理条件 個別製品規格にその他の要求事項がない場合は,試験に先立ち,温度15 ℃〜35 ℃及び
相対湿度45 %〜75 %の間に保った試験室雰囲気中に24時間以上保管する。
7. 試験手順 最終使用時に一様な最高使用温度にさらされる部品には,7.1に規定する試験手順が適切で
ある。エンクロージャ又は部品が,部位によって温度に違いがある場合又は恒温槽に大き過ぎて入らない
場合には,7.2に規定の試験手順の方がより適切であるかもしれない。例えば,ヘヤドライヤのエンクロー
ジャは,加熱素子の近傍は温度上昇部がある。一方,電源コード周りの箇所のゆがみ解放は室温で進行す
るだけである。7.2に規定の試験手順は,機器を恒温試験室内で動作させることによって,温度の違いに対
して適切に対応する
7.1 個別製品規格にその他の規定がない場合,製造業者の使用説明書に従って恒温槽に取り付けた製品を,
次のa)又はb)のいずれかの温度の空気中で試験を行う。
a) 試験温度は, “周囲温度”に,製品規格の規定に従って調査中の部品の“最高許容上昇温度分”を加
えた温度とする。
b) 試験温度は,製品規格の規定に従って調査中の部品の“最高使用温度”とする。
備考 手持ち機器の場合,その製品を少なくとも一つの代表的な配置に,機械的な固定具を用いて支
えることが望ましい。
個別製品規格にその他の規定がない場合,試験温度は70 ℃以上とする。
場合によっては,個別製品規格は,安全率の分だけ試験温度を上げて決めてもよい。個別製品規格の
中の“使用温度”又は“昇温温度”に安全率を見込んでいない場合には,この方法が適切である。
備考 代表的な安全率は,温度で10Kとしてよい。
7.2 7.1の代替試験方法として,機器に通電する手段を備えた恒温試験室(test cell)試験を行う。恒温試験室
内の空気循環は,実際の使用状態を模擬している。個別製品規格にその他の規定がない場合,機器の支持
表面で測定した恒温試験室内の空気の温度は,その機器が動作するよう設計された“最高許容周囲温度”
よりも10K高い温度,かつ,60 ℃以上に維持する。個別製品規格にその他の規定がない場合,適正定格
電圧の106 %又は94 %のうち,より高い温度を生じる電圧で連続的に動作させる。
7.3 試験手順7.1及び7.2に対しては,恒温槽又は恒温試験室が所定の試験温度に到達後,その中に製品規
格に規定した期間又は熱平衡に達するのに十分な時間,かつ7時間±10分間以上,各試験試料を置く。室
温まで冷却後,個別製品規格の要求事項への適合性に影響しそうな収縮,そり,その他の変形について検
査する。
備考 成形応力の解放が,成形品に変形という望ましくない影響を与えるか否かを判定するには7.3
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に規定する試験期間で十分である。
大形部品に対して又は最初の試験でさらなる緩和の可能性を示唆した場合には,長めの試験期間を選択
してもよい。
8. 観察及び測定 試験報告書には,次に示す観察及び測定結果を記載する。
a) 組立品及び部品の記述
b) 材料の種類,品番及び製造業者名(可能な場合は,必ず記述する)
c) 条件の詳細
d) 試験温度
e) 試験電圧
f)
試験の期間
g) 試験結果
9. 試験結果の表し方 試験試料は,試験に耐えたかどうかを十分に検討する。室温まで冷却後,関連製
品規格の要求事項を満足し,かつ,次に示すような規定を超える収縮,そり,その他の変形などの重大な
欠陥があってはならない。
a) 沿面距離及び空間距離が最小許容値より低下する
b) 危険な部分に接触しやすくなる
c) その機器から火災の危険性を増大させるかもしれない別の異常を引き起こす
10. 個別製品規格に規定する事項 個別製品規格には,必要に応じて,次の事項を規定する。
a) 試験温度
b) 安全率10Kの適用の有無 (7.1及び7.2 参照)
c) 試験試料の記述 (5. 参照)
d) 試験試料数が3個以外の場合の数量 (5. 参照)
e) 6.に規定した以外の前処理条件
f)
どの試験手順を用いるか:7.1 a)若しくはb),又は7.2の試験電圧(公称定格電圧の106 %若しくは
94 %)の選択 (7. 参照)
g) 空気中で行うかどうか (7.1参照)
h) 試験電圧 (7.2参照)
i)
試験期間 (7.3参照)
j)
寸法の変化によって影響を受けるその他の要求事項 (7.3及び9. 参照)
k) 機械的な保護のための要求事項及び活電部又は内部巻線との接触を避けるための要求事項 (9. 参照)
l)
沿面距離及び空間距離に対する最小許容値 (9. 参照)