C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 システム文書 ··················································································································· 3
5 分類及び温度等級 ············································································································· 3
6 本安システムの区分 ·········································································································· 3
6.1 一般 ···························································································································· 3
6.2 区分 “ia” ······················································································································ 4
6.3 区分 “ib” ······················································································································ 4
7 周囲温度定格 ··················································································································· 4
8 現場配線 ························································································································· 4
9 本安システムの接地及びボンディング ·················································································· 4
10 雷及びその他の電気的サージに対する保護 ·········································································· 4
11 本安システムの評価 ········································································································ 5
11.1 一般 ··························································································································· 5
11.2 誘導性回路の解析 ········································································································· 7
11.3 外部配線の故障 ············································································································ 7
11.4 形式検証及び形式試験 ··································································································· 7
12 表示 ····························································································································· 7
附属書A(規定)単純な本安システムの評価方法 ······································································· 8
附属書B(規定)複数の電源をもつ本安システムの回路の評価方法 ················································ 9
附属書C(参考)非線形本安回路と線形本安回路との相互接続 ····················································· 12
附属書D(規定)誘導性パラメータの検証 ··············································································· 48
附属書E(参考)システム図面及び施工図面の様式 ···································································· 50
附属書F(参考)本質安全回路のサージ保護 ············································································· 53
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電機工業会 (JEMA) から工業
標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労
働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認に
ついて,責任はもたない。
JIS C 60079の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 60079-0 第0部:一般要件
JIS C 60079-1 第1部:耐圧防爆構造 “d”
JIS C 60079-2 第2部:内圧防爆構造 “p”(予定)
JIS C 60079-6 第6部:油入防爆構造 “o”
JIS C 60079-7 第7部:安全増防爆構造 “e”
JIS C 60079-10 第10部:危険区域の分類
JIS C 60079-11 第11部:本質安全防爆構造 “i”
JIS C 60079-14 第14部:危険区域内の電気設備(鉱山以外)
JIS C 60079-25 第25部:本質安全システム
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日本工業規格 JIS
C 60079-25:2008
(IEC 60079-25:2003)
爆発性雰囲気で使用する電気機械器具−
第25部:本質安全システム
Electrical apparatus for explosive gas atmospheres-
Part 25 : Intrinsically safe systems
序文
この規格は,2003年に第1版として発行されたIEC 60079-25を基に,技術的内容及び対応国際規格の
構成を変更することなく作成した日本工業規格である。
1
適用範囲
1.1
この規格は,全体又は部分的に,グループII(鉱山以外の爆発性雰囲気)で使用する本質安全シス
テムの構築及び評価について規定する。この規格は,本質安全システムの設計者が使用することを意図し
たもので,対象となる設計者は,製造業者,専門のコンサルタント又は最終使用者である。
1.2
この規格は,本質安全システムに用いる機器に適用するJIS C 60079-11を補足するものである。
1.3
この規格に基づいて設計するグループII用システムの施工に関する要件は,IEC 60079-14に規定し
ている。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60079-25 : 2003,Electrical apparatus for explosive gas atmospheres−Part 25 : Intrinsically safe
systems (IDT)
なお,対応の程度を表す記号 (IDT) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 60079-0 爆発性雰囲気で使用する電気機械器具−第0部:一般要件
注記 対応国際規格:IEC 60079-0,Electrical apparatus for explosive gas atmospheres−Part 0 : General
requirements (IDT)
JIS C 60079-11 : 2004 爆発性雰囲気で使用する電気機械器具−第11部:本質安全防爆構造 “i”
注記 対応国際規格:IEC 60079-11 : 1999,Electrical apparatus for explosive gas atmospheres−Part 11 :
Intrinsic safety “i” (IDT)
IEC 60060-1,High-voltage test techniques−Part 1 : General definitions and test requirements
IEC 60079-14 : 2002,Electrical apparatus for explosive gas atmospheres−Part 14 : Electrical installations in
2
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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hazardous areas (other than mines)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 60079-0及びJIS C 60079-11によるほか,次による。
3.1
本質安全システム (intrinsically safe electrical system)
複数の電気機器間を相互に接続した一つの構成体。その構成体の内部は,爆発性雰囲気での使用を意図
した複数の回路又はそれらの部分が本質的に安全な回路のもの。
なお,この構成体は,文書に記載されるものである(以下,本質安全システムを本安システムという。)。
3.1.1
認証された本安システム (certified intrinsically safe electrical system)
3.1に適合するシステムで,そのシステムがこの規格に適合していることを保証する証明書が発行されて
いるもの。
3.1.2
非認証の本安システム (uncertified intrinsically safe electrical system)
3.1に適合するシステムで,認証された本安機器,認証された本安関連機器,単純機器などのシステム構
成要素の電気的パラメータが既知であり,かつ,それらを接続する配線の電気的及び物理的パラメータも
既知であることによって,本質安全性(以下,本安性という。)の保持が明確に説明できるもの。
3.2
システム文書 (descriptive system document)
構成要素の電気機器,それらの電気的パラメータ及び機器間の配線の電気的パラメータが指定されてい
る文書。
3.3
システム設計者 (system designer)
システム文書に対して責任をもち,更に,システム文書を実現するための必要な能力をもち,雇用者に
代わって本安システムを実現する権限を与えられた者。
3.4
最大ケーブルキャパシタンス (Cc) [maximum cable capacitance (Cc)]
本安性を損なうことなしに一つの本安回路に接続可能な,機器間のケーブルの最大キャパシタンス。
3.5
最大ケーブルインダクタンス (Lc) [maximum cable inductance (Lc)]
本安性を損なうことなしに一つの本安回路に接続可能な,機器間のケーブルの最大インダクタンス。
3.6
最大ケーブルインダクタンスと抵抗との比 (Lc/Rc) [maximum cable inductance to resistance ratio (Lc/Rc)]
本安性を損なうことなしに一つの本安回路に接続可能な,機器間のケーブルのインダクタンス (Lc) と
抵抗 (Rc) との比の最大値。
3.7
線形電源 (linear power supply)
利用可能な出力電流が一つの抵抗器によって決まる電力源であって,その出力電圧が,出力電流の増加
につれて直線的に減少するもの。
3
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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3.8
非線形電源 (non-linear power supply)
出力電圧及び出力電流が非線形の関係をもつ電源。
例 半導体部品によって制御され,ある一定の電流制限値までは一定の電圧出力をもつ電源。
4
システム文書
すべてのシステムに対してシステム文書を作成しなければならない。システム文書は,システムによっ
て達成される安全性のレベルを十分に解析したものでなければならない。
附属書Eは,代表的なシステム図の例を含んでいるが,それらはシステム文書の要件を図示している。
本安システムのシステム文書への最低限の要件は,次による。
a) 本安システムを構成するすべての機器を網羅したシステムのブロック図。
b) グループの細分類,温度等級,カテゴリー及び周囲温度定格(箇条5,6及び7参照)についての記述。
c) 機器間配線についての要件及び許容パラメータ(箇条8参照)。
d) システムの接地点及びボンディング点の詳細(箇条9参照)。サージ保護デバイスが使用されていると
きには,分析(箇条10参照)についても含める。
e) 必要に応じて,JIS C 60079-11に従って“単純機器”と評価したものがあれば,その理由を含める。
特に幾つもの単純機器が含まれている場合には,それらのパラメータの合計の分析も行う。
f)
システム文書には,固有の識別を行う。
g) システム設計者は,システム文書に署名し日付を記入する。
5
分類及び温度等級
本安システムは,JIS C 60079-0に規定するグループIIに属する。本安システムは,必要に応じて,全体
又は部分的に更なる細分類を行う。
グループIIの本安システムに含まれる機器で爆発性雰囲気で使用されるものは,JIS C 60079-0及びJIS
C 60079-11に規定する表面温度等級に区分する。
注記1 グループIIの本安システム又はその部分において,細分類A,B,Cは,システムに含まれ
る特定の本安機器及び本安関連機器の細分類と異なっていてもよい。
注記2 同じ本安システムの異なる部分は,異なる細分類(A,B,C)をもってもよい。同じ本安シ
ステム内の本安機器は,異なる表面温度等級及び異なる周囲温度定格であってもよい。
6
本安システムの区分
6.1
一般
爆発性雰囲気で使用する本安システムの各部分は,JIS C 60079-11に規定する “ia” 又は “ib” の区分に
属さなければならない。しかし,システム全体が単一の区分に属すとは限らない。
システム文書は,システムの区分又は必要に応じて,システム内のそれぞれの部分の区分を指定しなけ
ればならない。
注記 例えば,“ib” の機器であるが “ia” のセンサを接続するように設計されている場合,それはプ
ローブを接続するpH測定器のようなものであるが,システムの一部である機器までは “ib” で
あり,センサ及びその接続は “ia” である。
箇条11に評価要件の詳細を示す。
4
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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6.2
区分 “ia”
区分 “ia” の機器に適用する要件(JIS C 60079-11の5.2参照)が,一つの実体として考えた本安システ
ム又はシステムの部分によって満足する場合,そのシステムの全体又は部分は区分 “ia” に属する。
6.3
区分 “ib”
区分 “ib” の機器に適用する要件(JIS C 60079-11の5.3参照)が,一つの実体として考えた本安システ
ム又はシステムの部分によって満足する場合,そのシステムの全体又は部分は区分 “ib” に属する。
7
周囲温度定格
本安システムの部分又は全体が,標準周囲温度(−20 ℃〜+40 ℃)を超える温度で動作することを指
定されている場合には,システム文書にその温度範囲を記述する。
8
現場配線
本安性が依存する機器間の配線の電気的パラメータ及びそれらの由来を,システム文書に指定する。そ
れに代わる方法としては,ケーブルのタイプを指定して,それを使用する理由付けを含める。特定のケー
ブルを指定する場合は,IEC 60079-14の関連する規定にも適合しなければならない。
特定の回路に多心ケーブルを利用することが可能な場合は,システム文書には,IEC 60079-14に規定す
るような多心ケーブルの許容し得るタイプも指定する。異なる回路間の故障を考慮しなくてよい特別な場
合には,次の内容を注記としてシステム文書のブロック図に含めなければならない。
“機器間の接続ケーブルがその他の本安回路を含む多心ケーブルの一部分を利用する場合,その多心ケ
ーブルは,IEC 60079-14に規定するタイプA又はタイプBの要件に適合しなければならない。”
9
本安システムの接地及びボンディング
一般的に一つの本安回路は,完全に非接地とするか,又は危険区域に関係する基準電位に1点だけでボ
ンディングしなければならない。必要なアイソレーションのレベルは(1点を除いて),JIS C 60079-11の
6.4.12に従って500 Vの絶縁試験に耐えるように設計されていなければならない。この要件が満たされな
い場合,回路はその要件を満たしていない箇所において接地されているとみなす。一つの回路が複数の分
岐回路に電気的に分離されている場合に限り,多点接地接続を許容する。この場合,各分岐回路は1点接
地とする。
遮へい(蔽)は,IEC 60079-14に従って大地又は構造物に接続しなければならない。大きな電位差(10
Vを超える。)が構造物と回路との間に生じるような場所に設置して使用するシステムの場合,回路を外部
の影響を受けないように電気的に分離することが望ましい。外部の影響とは,構造物からある距離はなれ
た大地電位の変化をいう。本安システムの一部を危険度0区域 (Zone 0) で使用する場合,特別な注意を必
要とする。
システム文書は,本安システムのいずれかの点をプラントの基準電位に接続するかを,また,そのとき
のボンディング部分についての特別な要件を,明確にすることが望ましい。基準電位への接続は,IEC
60079-14を併せて参照することによって決定する。
10 雷及びその他の電気的サージに対する保護
リスク分析の結果,雷及びその他のサージを受けやすいとみなされる場合には,予防策を講じて危険を
回避しなければならない。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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本安回路の一部が危険度0区域 (Zone 0) に設置され,危険度0区域 (Zone 0) での爆発又は電位差によ
る破損の危険性がある場合は,サージ保護デバイスを設置しなければならない。サージ保護を必要とする
のは,遮へい(蔽)を含むケーブルの各導体と構造物との間であって,導体が構造物にボンディングされ
ていない場合である。サージ保護デバイスは,危険度0区域 (Zone 0) の境界の外で,かつ,できるだけ境
界の近く,望ましくは,1 m以内に設置しなければならない。
危険度1区域 (Zone 1) 及び危険度2区域 (Zone 2) における機器のサージ保護は,設置場所がサージを
受けやすい場合,システム設計に含めなければならない。
サージ保護デバイスは,最小ピーク放電電流10 kA(IEC 60060-1に従う8/20 μsパルス10回)をバイパ
スできなければならない。サージ保護デバイスと近接構造物との間の接続は,4 mm2の銅線と等価な最小
断面積の導体としなければならない。危険度0区域 (Zone 0) 内の本安機器とサージ保護デバイスとの間の
ケーブルは,雷から保護されるように設置しなければならない。本安回路に用いるサージ保護デバイスは,
設置場所に適した十分な防爆性能をもつものでなければならない。
本安回路及び構造物を非線形のデバイス,例えば,ガス放電管及び半導体部品を介して接続するような
サージ保護デバイスの使用は,正常運転状態で保護デバイスを流れる漏れ電流が10 μA未満の場合,回路
の本安性を損なわないとみなす。
注記 500 Vでの絶縁試験を十分管理された条件で行うときには,測定を無効にしないようにサージ
抑制装置を外すことが必要な場合もある。
サージ抑制対策を用いる本安システムは,間接的な多重接地の効果を解析した文書によって確認しなけ
ればならない。サージ抑制デバイスのキャパシタンス及びインダクタンスは,本安システムの評価におい
て考慮する。
附属書Fは,本安システムのサージ保護の設計について,幾つかの視点を示している。
11 本安システムの評価
11.1 一般
システムがJIS C 60079-11に単独では適合していない構成機器を含む場合,そのシステムは全体として
解析しなければならない。そのようなシステムは,一つの機器であるかのように解析する。 “ia” システ
ムはJIS C 60079-11の5.2, “ib” システムはJIS C 60079-11の5.3の規定に従わなければならない。機器
内の故障に加えて,11.3に規定する外部配線の故障を考慮しなければならない。
注記1 本安システム全体として,規定の故障を適用することは,個別の機器に規定の故障を適用す
るよりも厳しくないと認識されている。それでも,前者は安全性について容認できる水準を
達成していると考えられる。
すべての必要な情報がそろっている場合及びJIS C 60079-11に適合している機器で構成されている場合,
システム全体は,JIS C 60079-11に規定する故障の数を適用する。システム全体として規定の故障を適用
することは,別途解析又は試験した機器の入力特性及び出力特性を比較する一般的で簡潔な方法に代わる
解決方法である。一つのシステムが,別途JIS C 60079-11に適合していることを解析又は試験によって示
した機器だけで構成する場合は,すべての構成機器のシステムへの適合性を証明しなければならない。機
器内部の故障は既に検討済みであるので,それ以上考慮する必要はない。一つの電源だけによるシステム
の場合,電源の出力パラメータはケーブルの故障を考慮しているので,ケーブルの故障は,これ以上考慮
する必要はない。附属書Aでは単一電源の単純な回路について,より詳細な規定を行っている。
一つの機器が,別個の複数の本安回路と接続する可能性がある場合(例えば,別個の二つの抵抗巻線を
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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もつ抵抗式温度計),接続された回路全体は単一の回路として評価しなければならない。
一つのシステムが二つ以上の線形電源を含む場合,それらの電源を組み合わせるときの影響を分析しな
ければならない。附属書Bでは,最も頻度の高い電源の組合せに用いる分析を示している。
一つの本安システムが複数の電源を含み,その中に非線形の電源がある場合,附属書Bに規定する評価
方法は使用できない。その種のシステムに対しては,附属書Cで,電源の一つが非線形である場合のシス
テム解析方法を説明している。
注記2 詳細な専門的なアドバイスが必要な場合,しかるべき組織に尋ねることが望ましい。
図1は,本安システムを解析する場合の原則を示している。
図1−システム解析
いいえ
JIS C 60079-11
の原則を使用する。
本安システムの解析
機器はJIS C 60079-11
に適合しているか?
システムは
JIS C 60079-11
に従って表示し
試験する。
はい
一つの線形電源だけが
使われているか?
はい
附属書Aに従う。
いいえ
それらの電源
の出力特性は線
形であるか?
はい
附属書Bに従う。
附属書Cを参考にする。
及び/又は,専門的なア
ドバイスを受ける。
いいえ
システム文書を
作成する。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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11.2 誘導性回路の解析
一つの機器が,機器の附属書類又は構造から,十分に定義された一つのインダクタンス及び抵抗から構
成されていることが明らかな場合,システムの誘導性についての本安性は,附属書Dに規定する手順によ
って確認しなければならない。
11.3 外部配線の故障
外部配線の故障を考慮しなければならない本安システムを設計するときには,次の故障を想定する。
a) 外部配線用電線の断線(故障数に制限なし)
b) 外部配線用電線間及び電線と遮へい(蔽)との間の短絡(故障数に制限なし)
c) ボンディング用構造物又はがい(鎧)装への任意の点での接触故障。この故障の解析のためには,構
造物又はがい装を通しての帰路はインピーダンスがゼロで,いかなる電圧及び電流も本安回路へは誘
導されることがないとみなす。
機器間接続用ケーブルの許容パラメータは,JIS C 60079-11の10.4.2に従って安全率1.5を用いて算出す
る。
11.4 形式検証及び形式試験
ある一つのシステムが十分に安全であることを立証するために,形式検証及び/又は形式試験が必要な
場合には,JIS C 60079-11の10. に規定する方法を用いなければならない。
12 表示
本安システムを構成するすべての機器は,容易に識別できなければならない。“単純機器”の場合は,追
跡可能な識別ラベルを付けることが望ましい。
最低限の要求は,システム文書が容易に追跡可能なことである。そのための一つの方法は,計装機器の
ループ番号である。ループ番号からループ図が確認できるので,その中にシステム文書を記載する。
本安システムが別途JIS C 60079-11に従う評価又は試験を受けた機器によって構成されている場合,そ
れらの機器の表示は最初の状態とする。
本安システムが全体として評価され,JIS C 60079-11に適合していることが明らかになった場合には,
機器はJIS C 60079-11に従って表示する。
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附属書A
(規定)
単純な本安システムの評価方法
序文
この附属書は,単純な本安システムの評価方法について規定する。
この単純な評価方法は,そのシステムが一つの電源をもつ場合にだけ適用する。図A.1を例に,単純な
システムの本質安全性の評価を決定するプロセスを次に記述する。
a) 二つの認証された個別機器に対する情報を考慮して,システムの区分又はシステムのグループの細分
類を決定する。システムは二つの機器における本安性区分の低い方を採用する。例えば,どちらかの
機器が “ib” の場合,システムは “ib” となる。システムグループの細分類は,IIC,IIB,IIAの順に
よって決定される。例えば,図A.1の場合は,システムはEx ia IICとなる。システム内の異なる部分
が異なる区分及び細分類をもつことは許容される。このような条件下で,回路内の個別の機器をシス
テム文書に明確に定義をすることが望ましい。
b) 電圧,電流及び電力のパラメータが次に示す値であることを検証する。
Uo ≦ Ui
Io ≦ Ii
Po ≦ Pi
本安機器に有効な入力抵抗が指定されている場合,許容入力電流の計算は,このパラメータを含め
てもよい。図A.1の例題では問題はないことを示す。
c) 接続する電源の電流又は電力のパラメータによって,本安機器の温度区分を決定する。
d) 最大許容ケーブルキャパシタンス (Cc) は,電源許容キャパシタンス (Co) から本安機器の入力キャパ
シタンス (Ci) を引いたもの,Cc=Co−Ciとなる。
e) 許容ケーブルインダクタンス (Lc) は,電源許容インダクタンス (Lo) から本安機器の入力インダクタ
ンス (Li) を引いたもの,Lc=Lo−Liとなる。
f)
電源が抵抗による電流制限形の線形電源の場合,許容Lc/Rc比は,附属書Dに従って決定する。
例えば,交流電流信号用のシャントダイオード形安全保持器を使用する場合,ある電源が双方向性
であってもよい。このような場合,両極性の出力について,その影響を考慮しなければならない。
危険区域
非危険区域
本安機器
システム
本安関連機器
Ex ia IIC T4
[Ex ia} IIC
Ex ia IIC
Ui
30 V
Uo
28 V
Ii
120 mA
Io
93 mA
Pi
1.2 W
ケーブルパラメータ
Po
0.65 W
Li
10 μH
Lc
3 mH
Lo
3 mH
Ci
1 nF
Lc/Rc
54 μH/Ω
Lc/Rc 54 μH/Ω
Cc
82 nF
Co
83 nF
図A.1−本安機器と本安関連機器との相互接続
9
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(規定)
複数の電源をもつ本安システムの回路の評価方法
序文
この附属書は,複数の電源をもつ本安システムの回路の評価方法について規定する。
電源が,抵抗による電流制限形の線形出力である場合にだけ,この評価方法を適用できる。ほかの電流
制限形の電源には適用できない。
IEC 60079-14の附属書Bは,安全な工事方法を確保する単純化された方法を含んでおり,この附属書の
代替案として使用してもよい。
複数の電源供給があり,その相互接続が,JIS C 60079-11に従って適切に分離され,品質管理された相
互接続が行われる場合,その相互接続は,開放又は短絡の故障が起こると考えられる。しかし,この場合,
配線接続を逆にするような故障又は直列接続が並列接続若しくは並列接続が直列接続に変わるような故障
は考えない。適切に品質管理され,かつ,適切に検査設備が備えられているところで製作されたラック又
はパネル内の相互接続は,必要な基準を満たしている例の一つである。
図B.1は,通常の直列接続を示す。この直列接続状態では,開路電圧Uoは,U1 + U2となる (Uo = U1
+ U2)。Uoが,U1−U2の電圧になる可能性は考慮しない。
システムの安全性を考慮する場合,三つの電圧U1,U2,U0=U1+U2を,対応する電流であるI1,I2及び
次の式で表すIoとともに考慮する。
2
1
2
1
o
R
R
U
U
I
+
+
=
三つの等価回路のそれぞれについて,JIS C 60079-11の表A.1を使用して安全性を評価しなければなら
ない。それぞれの回路のLo,Lo/Ro,及びCo値を確定し,その最も厳しい値を関連する等価回路に使用し
なければならない。
いかなる場合もこれらの値を決める場合,安全率は1.5とする。
注記 二つの電圧(U1及びU2)が加えられる場合,その組合せ回路において,キャパシタンス (Co) の
数値が決まる。しかし,インダクタンス (Lo) 及びLo/Ro比は,別々の回路のうちの一つを合成
回路とみなして決めてもよい。最小インダクタンスが,常に最大電流では決められず,また,
最小Lo/Ro比が,最小インダクタンスでも決められない。
それぞれの等価回路から出力可能な電力を決定しなければならない。組合せ回路の出力可能な電力は,
それぞれの電源が同じ電流値を出力するときだけ,それぞれの回路の出力可能な電力の和として表す。
図B.2に示すように,電源が並列に接続されるとき,三つの電流I1,I2,Io=I1 + I2は,関連する電圧
U1,U2,Uoとともに考慮しなければならない。この場合のUoは,次の式で表す。
2
1
1
2
2
1
o
R
R
R
U
R
U
U
+
+
=
三つの等価回路のそれぞれについて,JIS C 60079-11の表A.1を使用して安全性を評価しなければなら
ない。それぞれの回路のLo,Lo/Ro,及びCoの値を確定し,その最も厳しい値を関連する等価回路ととも
に使用しなければならない。三つの等価回路のそれぞれから出力可能な電力を決定しなければならない。
10
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
組合せ回路の出力可能な電力は,それぞれの電源が同じ電圧値を出力するときだけ,それぞれの回路の出
力可能な電力の和として表す。
二つの電源が同じ本安回路に接続され,その相互接続が図B.3で示すような,十分に信頼性をもたない
相互接続の場合,電源は直列又は並列のどちらの接続にもなる可能性がある。このような条件下では,あ
り得るすべての等価回路を評価しなければならない。そして最も厳しい出力パラメータとその等価回路と
を利用して,本安システムを構築しなければならない。
危険区域に設置する機器は,例えば,内部バッテリの重要な出力パラメータをもつ機器とするような電
源を含んでもよい。この場合,システムの分析には,機器内のこの電源と本安関連機器の電源との組合せ
を含めなければならない。そのような分析には,通常,現場配線の故障によって,相互接続の極性が逆に
なることを含む。
複数の電源回路の代表的な等価回路を確立する場合,これらを一つの電源とみなして扱い,システム全
体の安全が許容されるかどうかを決めるために,附属書Aの手順を用いることができる。
異なる出力電圧をもつ二つ以上の電源が相互接続されると,合成循環電流が,内部調節回路において余
分な電力を消費する。ただし,回路が通常の抵抗による電流制限機能をもつ場合,余分な電力消費は,本
質安全性に悪影響を与えるとは考えない。
出力パラメータ
分析
U1 I1
Uo=U1+U2
電源1
U1
I1
R1
C1
L1
L1/R1
及び
U2 I2
Io=
2
1
2
1
R
R
U
U
+
+
電源2
U2
I2
R2
C2
L2
L2/R2
図B.1−直列接続された電源
出力パラメータ
分析
U1 I1
Uo=
2
1
1
2
2
1
R
R
R
U
R
U
+
+
電源1
U1
I1
R1
C1
L1
L1/R1
及び
U2 I2
Io=I1+I2
電源2
U2
I2
R2
C2
L2
L2/R2
図B.2−並列接続された電源
+
−
+
−
+
−
+
−
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
危険区域
本安機器
非危険区域
本安関連機器
出力パラメータ
直列接続
Uo=U1+U2
Io=
2
1
2
1
R
R
U
U
+
+
電源1
U1
I1
R1
C1
L1
L1/R1
並列接続
Io=I1+I2
Uo=
2
1
1
2
2
1
R
R
R
U
R
U
+
+
電源2
U2
I2
R2
C2
L2
L2/R2
図B.3−設計外の接続状態となった電源
12
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
非線形本安回路と線形本安回路との相互接続
序文
この附属書は,非線形本安回路と線形本安回路との相互接続について記載するものであって,規定の一
部ではない。
この課題は,相当な時間をかけて考察されてきたが,現在,検討中である。この附属書は,大手試験所
の検討した意見を,更に広く審査したものである。現状では,この附属書の使用におけるより広い経験が
含まれ,最も有益な知見である。非線形供給電源の設計及び適用は,専門家の知見及び適切な試験設備の
使用を必要とする。公認された試験所が,特定の供給電源が十分に安全であることを確認した場合,この
規格に従ってシステムを設計することができる。そのようなシステムに関する特定条件を,附属する書類
の中に明確に記述しなければならない。
非線形出力をもつ複数供給電源の組合せの安全解析を行う場合,二つの回路の相互作用が電源調整素子
の消費電力の増加を引き起こす可能性を考慮に入れなければならない。半導体調整素子をもつ電源(非線
形電源)1台だけを,線形及び/又は台形電源に組み合わせることが望ましい。
C.1 はじめに
IEC 60079-14の設置基準は,危険区域の管理において,運転員が相互接続によって幾つかの本安回路を
連結することを認めている。これは,同時に幾つかの本安関連機器(すなわち,正常状態で動作する又は
故障状態でだけ動作する。)が結合される場合を含んでいる(IEC 60079-14の12.2.5.2参照)。この場合,
相互接続の本質安全性が計算又は試験によって証明される場合は,試験機関又は技術者の関与は必要とし
ない。
試験による証明は,組み合わされる電気機器の安全率を考慮して,JIS C 60079-11に規定する火花点火
試験器で行われる。この場合,最も好ましくない着火状態,すなわち“最悪の状態”につながる故障状態
を考慮しなければならない。この方式による証明は,実行上の困難性に遭遇することがあることから,通
常は試験機関にゆだねられる。
電源が図C.1 a) に示す線形の内部抵抗を含んでいる場合,相互接続の計算によって,少なくとも抵抗性
回路については容易に評価できる。この場合においては,JIS C 60079-11の点火曲線を適用し,また,IEC
60079-14の附属書Aの手順又はこの附属書の図C.7及び図C.8が使用できる。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図C.1 a)−線形特性
図C.1 b)−台形特性
図C.1 c)−く形特性
図C.1−抵抗性回路の等価回路及び出力特性
評価の第1段階は,複数の本安関連機器を組み合わせた結果として得られる電圧及び電流の新たな最大
値を求める。関連機器が図C.2 a) に示すように組み合わされている場合は,直列接続とする。最大開路電
圧Uoは,連結を構成するそれぞれの回路の最大開路電圧の和であり,最大短絡電流Ioは,それぞれの回
路の短絡電流の最大値を取る。図C.2 c) のような配置は並列接続の場合である。開路電圧を最大値とする
のに対して,短絡電流を加算する。
機器の配置が極性に関して明確でない場合[図C.2 e) 参照],想定する故障状態に応じて直列接続又は
並列接続を考慮する。この場合,電圧加算及び電流加算は,両方をそれぞれ単独に仮定しなければならな
い。さらに,最も好ましくない値を基準として考慮しなければならない。
14
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図C.2 a)−直列接続における電圧加算
図C.2 b)−直列接続における電圧加算と起こり得る電流加算
図C.2 c)−並列接続における電流加算
図C.2−相互接続のための電流・電圧の加算
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図C.2 d)−並列接続における電流加算と起こり得る電圧加算
図C.2 e)−直列接続又は並列接続における電流及び電圧の加算
図C.2−相互接続のための電流・電圧の加算(続き)
新たな最大電流及び最大電圧を決定した後,組み合わせた回路の本質安全性は,抵抗性回路の安全率を
考慮してJIS C 60079-11に規定する点火曲線によって検証して,外部インダクタンスLo及び外部キャパシ
タンスCoの新たな最大許容値を決定しなければならない。しかし,IEC 60079-14の附属書Aに規定する
手順には,次に示す点に留意する必要がある。
− 許容最大インダクタンスは,最大電圧24 Vの場合だけに有効である。
− インダクタンス及びキャパシタンスの両方が同時に存在することを考慮していない。
開路電圧及び短絡電流に基づいて安全解析を行う場合,実際に得られる安全率は,20 Vを超える電圧で
は,望ましい値である1.5から約1.0へ減少する。すべての個別機器が区分 “ia” に適合している場合でも,
IEC 60079-14に従った相互接続は一般的に区分 “ib” にしか適合しないことによって,上記は許容できる
とみなす。しかし,低い電圧の場合,安全率は,1.0より相当低い値に下がることがあるので,このような
方法は,安全という視点から有効ではない。
一つの回路内に非線形特性をもった能動電源が一つ以上ある場合,無負荷電圧及び短絡電流に基づいた
評価では,本来の意図である本質安全性の確認を達成できない。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
実際,台形特性[図C.1 b) を参照]の電源が使用され,そして電子式電流制限素子が使用される場合に,
く形[図C.1 c) を参照]出力特性が発生することがある。そのような回路には,JIS C 60079-11の点火曲
線は使用できない。そのため,この規格は,図表を使って非線形回路を含むネットワーク構成の安全評価
ができる方法を記述する。コンピュータによる新規の火花点火モデルは,複数の非線形電源と,インダク
タンス及びキャパシタンスが共存する回路に対しても,望ましい安全率を導くものである。
ここに導入する手順は,危険度1区域,グループIIC,IIBに適用できる。ここに提案する相互接続のた
めの手順は,個別の回路又は機器の本質安全パラメータを定義するためのものであり,単純なく形又は線
形回路においてだけ使用できる。
C.2 非線形回路の基本形式
C.2.1 パラメータ
能動回路の本質安全性を評価する場合には,内部抵抗及び電源電圧の値を知ることが必要である。最も
単純なケースは,電源は二つ(一定)の電気的値,すなわち,電圧Uo及び内部抵抗Ri,又は電圧Uo及び
短絡電流Io[図C.1 a) を参照]で特性が決められる。Uoは,ツェナーダイオードによって決定されること
がある。Uo及びIoは,JIS C 60079-11に規定する故障状態で発生し得る最大値である。図C.1 a) の特性は
線形である。ただし,実際にこの単純な方法で表現できる回路は少ない。
例として,外部電流制限抵抗をもつバッテリーは,一定の内部抵抗をもたない。さらに,電源電圧は充
電の度合いに応じて変化する。そのような実際の回路における着火の有無を検討するため,それらはより
単純化した等価回路で表されるが,その等価回路は,実際の回路と同等以上の着火能力をもたなくてはな
らない。上記のバッテリーの場合,図C.1 a) に示すように,最大開路電圧はUo,外部抵抗はRiとみなせ
る。この等価回路は,線形特性である。
非線形回路も,図C.1 b) 及び図C.1 c) に示す二つの基本形式に単純化することができる。台形特性[図
C.1 b)]をもつ電源は,電圧源,抵抗,及びその出力端にある付加的電圧制限素子(例えば,ツェナーダ
イオード)から構成される。図C.1 c) のく形特性は,電子式電流調整器によって電流が制限されている。
以上の回路の出力を検討する場合,火花点火を“負荷”として扱い,その負荷及び電源の整合も考慮さ
れなければならないことによって,異なる点火限界値が適用されることは明白である。図C.1 a) に示す電
源からの最大有効電力を,次に示す。
o
o
max
4
1
I
U
P
×
=
そして台形特性[図C.1 b)]では,
o
Q
max
4
1
I
U
P
×
=
(ここに,
Q
o
2
1U
U
×
>
)又は,
(
)R
U
U
U
P
o
Q
o
max
−
=
×
(ここに,
Q
o
2
1U
U
×
≦
)
図C.1 b) の台形特性は,UQが無限大になると図C.1 c) のく形特性となる。
ここに,Pmax=Uo×Io
出力特性を完全に規定するため,線形特性及びく形特性では二つのパラメータ,台形特性では三つのパ
ラメータが必要である(表C.1)。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表C.1−出力特性を記述するために必要なパラメータ
特性
必要なパラメータ
線形
図C.1 a)
Uo,Io又はUo,R
台形
図C.1 b)
Uo,UQ,R又はUo,R,Io又はUo,UQ,Io
く形
図C.1 c)
Uo,Io
C.2.2 試験証明書から得られる情報
能動本安回路をもつ機器は,IEC 60079-14の12.2.1又は12.3に従っていることを認証しなければならな
いので,本安回路に組み込まれる個別の機器について,対応する電気パラメータを記載した試験証明書が
あると考えられる。
本質安全性を評価する第1段階は,個別の回路の(出力)特性に関連する電気的パラメータを決定する
ことである。通常,使用者又は運転員は,機器の回路構成及び内部構造は不明であるが,試験証明書に与
えられている電気データを参照することはできる。
通常,与えられる値は,開路電圧(Uoという。),短絡電流(Ioという。),及び最大出力電力Poである。
これらの値から出力特性形式に関する情報の推定が可能である。
例 (最大値)
Uo = 12.5 V
Io = 0.1 A
Po = 313 mW
ここに,Poは開路電圧と短絡電流との積の1/4であることから,この例において線形特性[図
C.1 a)]が有効であることを推定できる。
例 (最大値)
Uo = 20.5 V
Io = 35 mA
Po = 718 mW
ここに,Poは開路電圧と短絡電流との積であることから,く形特性[図C.1 c)]が導かれる。
電力,電流及び電圧の値が上記のように対応しない場合があるが,それは電力定格が静的な状態[(非線
形回路に)接続されているコンポーネントの発熱]として規定され,そして電流及び電圧は動的状態(火
花点火)として与えられるからである。疑問がある場合は,火花点火に関して,いずれかの特性が相互接
続の基本として採用されているのかを確かめることが重要である。
台形特性の場合,試験証明書の情報は,特性を確定するには十分ではないことがある。三つ目のパラメ
ータ(表C.1参照),UQ又はRのいずれかが不足している。
Rが付加的パラメータとして追加される場合は,混乱をまねくおそれは少ないことから,一般的にRは
試験証明書に記載されている。パラメータUQ[図C.1 b)]は,UQ=Io×Rで導かれる。
一般的に,試験証明書は,非線形回路の特性形状も示している。
一例を,次に示す。
最大値(台形特性):
Uo = 13.7 V
Io = 105 mA
R = 438 Ω
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Po = 1 010 mW
特性は,図C.3 a) に示す。図C.3 b) に等価回路を示す。
計算を,次に示す。
UQ=Io×R=46 V
Po=(UQ−Uo)×Uo/R=1 010 mW
図C.3 a)−出力特性
図C.3 b)−等価回路
図C.3−台形特性をもつ電源の出力特性及び等価回路
このようにして,相互接続のために必要なデータは,試験証明書から得ることができる。証明書中にデ
ータがない場合は,機器製造業者又は試験機関から得なければならない。
本質安全回路の設計においては,相互接続及び接続される構成機器の数を少なくするよう努めることが
望ましい。この目標は,故障状態の考察も必要とされることから,実際には常に達成できるものではない。
このことは,通常時にはエネルギー源として動作していない幾つかの機器が,故障時にはエネルギー源と
みなさなければならないことを意味する。
計測用トランスデューサ,プロッタなどの機器の受動入力回路は,本質安全性の見地からは能動的エネ
ルギー源として動作する可能性がある。そのため,証明書に記載される最大値を参照しなければならない。
結果として,回路の動作特性は本質安全性から大きく外れることもある。証明書に記載された開路電圧Uo
及び短絡電流Ioは,過渡的状態だけを示している場合がある。一方,電力値は定常状態に対して適用され
るが,定常状態には接続されたコンポーネントの温度上昇が検討されなければならない。
C.3 複数の本安回路と複数の電源の相互接続
C.3.1 合成出力特性の決定
複数の回路の組合せにおいてそれを電源とみなすとき,回路の出力特性は既知であるとする(C.2参照)。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
そのため,設計仕様範囲内及び故障状態において,電圧の加算,電流の加算,又は電圧と電流との両方の
加算を考慮する必要がないかについて,相互接続のタイプから確認することが必要である。
複数の電源が直列に接続され,かつ,接地されていない場合[図C.2 a)],電源の極性にかかわらず電圧
を加算する。合成出力特性は,図表上の加算で容易に求められる。そのため,各々の電流値に対して,電
圧は個別の電源電圧を加算したものとなる。図C.2の点線は,様々な組合せにおける合成出力特性を示す。
図C.2 b) に示すように,負荷側で両方の電源が共通接続をもつ直列回路では,両方の電源の極性が安全
の見地から図に示されるとおりに固定されている場合は(例えば,ある種の安全保持器の場合),電流の加
算を行わなくてよい。動作上又は故障状態で極性が変化するような電源の場合,電圧及び電流両方の加算
を考慮しなければならない[図C.2 e) 参照]。
図C.2 c) の並列接続においては,電流の加算は各々の電源の両極が互いに接続されている場合にだけ行
うことができる。この場合,電圧の加算はできず,合成特性は個別の電流値の図表上の加算で示される。
片側の極だけが互いに接続されているとき[図C.2 d) 参照],電源の極性がいかなる状況においても図
に示されるとおりに固定されている場合は(例えば,安全保持器など),電圧の加算を行わなくてよい。上
記以外の場合には,電圧及び電流両方の加算を考慮しなければならない[図C.2 e) 参照]。
幾つかの回路が任意の相互接続を仮定しなければならないような回路構成になっている場合[図C.2 e)
参照],想定した故障状態に応じて,並列又は直列接続を考慮することによって,電流と電圧との両方の加
算を検討しなければならない。電流と電圧との加算は同時には成立しないので,合成特性における電流加
算及び電圧加算は別々に構築できる。この手順は,3本以上の電線で接続されている複数の回路と同様に,
図C.2 b) 及び図C.2 d) の回路に対して疑わしいと考えられるすべての場合に必要である。このようにし
て得られる結果は,常に安全側にある。
C.3.2 相互接続の安全性評価と最大許容キャパシタンス及び最大許容インダクタンスの決定
複合回路の合成特性をC.3.1の詳細に従い決定した後,本質安全性の解析を行う。この目的のため,図
C.7及び図C.8に示すダイアグラムが用いられる。それらは,与えられたインダクタンス,複合回路の新
たな最大電流及び最大電圧に対して,線形電源特性の許容限界曲線(点線)及びく形電源特性の許容限界
曲線(実線)を示す。さらに,両ケースにおける許容最大外部キャパシタンスを決定する曲線が与えられ
ている。表C.2は,その一覧を示す。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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表C.2−システムグループと許容インダクタンスごとの適用ダイアグラム
図番号
グループ
許容インダクタンス:Lo
図C.7 a)
グループIIC
0.15 mH
図C.7 b)
0.5 mH
図C.7 c)
1 mH
図C.7 d)
2 mH
図C.7 e)
5 mH
図C.8 a)
グループIIB
0.15 mH
図C.8 b)
0.5 mH
図C.8 c)
1 mH
図C.8 d)
2 mH
図C.8 e)
5 mH
本質安全性を評価するため,システムグループと,複合回路に要求される総合インダクタンスとを選択
する。非常に小さなインダクタンス(すなわち,インダクタンス素子としてではなく,非常に短いケーブ
ルだけを想定。)が接続される場合,最小インダクタンスのダイアグラム[例えば,IICでは図C.7 a) を,
IIBでは図C.8 a)]を選択することが望ましい。
合成出力特性は,上記の方法で選ばれたダイアグラム上で描かれる。C.3.1に従って電流及び電圧の加算
を考慮した場合には,両方の合成特性が記入されなければならない。
このようにして,組み合わせた電源の本質安全性を,使用したダイアグラムに記載のインダクタンスと,
選択されたシステムグループとのもとで,ダイアグラムから直接決定することが可能となる。合成特性は,
ダイアグラムのいずれの点においても,く形電源の限界曲線と交差してはならない。加えて,合成特性の
最大電圧及び最大電流で定まるダイアグラム上の交点は,線形電源用の限界曲線の下方に位置しなければ
ならない。
合成回路の最大許容キャパシタンスは,2組のCo限界曲線群からの最小値として求められ,それは線形
及び台形限界としての合成出力特性と交差しない最大Co値でもある。適用事例がより大きな許容キャパシ
タンスCoを必要とする場合,より小さいインダクタンスのダイアグラムからの検討を試みることが望まし
い。同様の手順は,合成出力特性が線形及びく形電源のインダクタンスの限界曲線と交差する場合にも適
用できる。最小インダクタンス値(0.15 mH)のダイアグラムであっても,関係する限界曲線がIICのダイ
アグラムを超える場合には,IIBダイアグラムの使用を薦める。この場合でも限界曲線を超えるときは,
その組合せはグループIIBとしても本質安全ではない。
C.3.3 出力特性を使用する手順に関する補足説明
C.3.1及びC.3.2に記述した本質安全回路の相互接続における安全評価手順は,基礎研究及びモデル計算
に基づいている。実際の計算方法は,従来までの見解と相違した結果となる。
将来,ある程度今よりも大きなキャパシタンスが低い電圧レンジで許容される。より高い電圧において
は,相違は3倍に達し得る。従来までの見解に示されるダイアグラムとの対比において,純抵抗性回路の
限界曲線は図C.7及び図C.8では省略されているが,本質的にはインダクタンスの限界として表されてい
る。また,線形電源の限界曲線がここに挿入された。以上の相違はあるが,一般的にはグラフを用いる手
順は同様である。
グラフを用いる方法は,実際の電源の特性を,線形又はく形電源で抽出することによる簡略化と,(簡略
化した特性を)対応する限界曲線とを比較することに基づくものである。実際の電源の特性が線形である
21
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
か,く形である場合に限り,ダイアグラムから導かれる安全率は,厳密に1.5になる。更に複雑な電源で
は,それらを内包する線形又はく形の特性を構築することが有利であり,結果的に安全率が保たれる。線
形及びく形の両方の判定基準が使用される場合,実際の安全率は若干小さくなる可能性がある(ただし,
常に1以上)。実際の安全率が多少低くなるということは,簡単なダイアグラムを用いる方法を使うために
実際の回路の諸条件を簡略化した結果である。専門家の見解は,これは危険度1区域の設置において許容
できる。
図C.7及び図C.8のダイアグラムを使用する場合,インダクタンス及びキャパシタンス(混成回路)の
相互作用は常に包含される。この手順は,純線形回路[図C.1 a) の出力特性]の組合せにも使用すること
が望ましい。ここに与えられた方法は,集中定数としてのインダクタンス又はキャパシタンス素子と,ケ
ーブルの分布定数から生成されるインダクタンス又はキャパシタンスとを区別しない。ケーブルの伝達時
間が10 μsまでの場合,この差異を考慮する必要はないというのが現行の見解である。集中定数としての
インダクタンス又はキャパシタンスに基づいた計算は安全側であり,従来までの見解による計算方法との
対比において,実用上著しい制限をもたらすものではない。
この手順の利点は,本質安全性に関するすべての情報を単一のダイアグラムから得られることである。
しかし,ここに記載の手順は,より高いキャパシタンスを許容する場合があるので,JIS C 60079-11の表
A.2に従って,最大開放電圧と許容キャパシタンスとを比較することが望ましい。ダイアグラムから得た
キャパシタンスの値がJIS C 60079-11の表A.2の値を超える場合は,JIS C 60079-11の値が採用されなけ
ればならない。
許容最大外部インダクタンス及びキャパシタンスとして得られた数値は,総合的な組合せに対してのも
のであることから,外部接続端子において有効なすべての個別機器のインダクタンス及びキャパシタンス
が考慮されなければならない。
ダイアグラムの作成に用いた計算手法は,研究調査での着火試験によって得られた結果から大きな差異
を示さない。多くの実験結果は,10 %の範囲での不確実性をもつことが知られている。この理由は,試験
方法及び火花点火試験装置にあるとみなす。それによって,ここに示す手法が,より大きな差異を含むも
のとは認められない。
C.4 出力特性を使用する手順の実例
図C.4に示される例では,増幅器付き分析計は危険区域に設置され,本質安全電源 (I) によって給電さ
れている。本質安全増幅器出力信号(0−20 mA信号)は,ディスプレイ (II) 及びプロッタ (III) に送られ
る。
22
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
電流/電圧加算
記号
相互接続回路 Ex ib IIB
1 制御室
Po = 1.9 W, Uo = 28.7 V, Io = 264 mA
2 スイッチ室
Lo = 0.5 mH, Co = 400 nF
3 現場 (危険区域)
4 ディスプレイ,受動回路最大値:12 V, 133 mA, 0.4 W, 線形特性
5 記録計,受動回路最大値:1 V, 31 mA, 10 mW, 線形特性
6 電源,最大値:Ex ib IIB 15.7 V, 100 mA, 1.57 W,
Lo ≦ 1 mH, Co ≦ 650 nF電流制限器付く(矩)形電源特性
7 増幅器付分析計(本安機器)
図C.4−相互接続の例
分析計は本質安全機器で,電源,ディスプレイ及びプロッタは,JIS C 60079-11に定義する本安関連機
器である。設計仕様範囲内では主電源だけが能動的であるのに対して,ディスプレイ及びプロッタは受動
的である。しかし,安全解析のためには,この3台の機器の試験証明書にそれぞれ記された最大値を,機
器の故障状態における値として用いることを基本とする。
次のデータが使用される。
I.
電源
出力の防爆方式 Ex ib IIB
最大値
Uo = 15.7 V
Io = 100 mA
Po = 1.57 W
Lo = 1 mH
Co = 650 nF
く形出力特性[図C.1 c)]
II. ディスプレイ
入力の防爆方式 Ex ib IIC
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
最大値
Uo = 12 V
Io = 133 mA
Po = 0.4 W
Lo = 1.8 mH
Co = 1.4 nF
線形出力特性[図C.1 a)]
III. プロッタ
入力の防爆方式 Ex ib IIC
最大値
Uo = 1 V
Io = 31 mA
Po = 10 mW
Lo = 36 mH
Co = 200 nF
線形出力特性[図C.1 a)]
図C.4の回路構成で,分析計の故障状態によって,電圧又は電流を図C.2 e) のように加算できる。個別
の機器の特性と,それぞれの電圧と電流との加算による二つの合成特性は,図C.5に示される。
図C.5−図C.4の回路における合成特性
この例の本質安全性を確認するために,二つの合成特性を図C.8 b)(グループIIB,L=0.5 mH)に描い
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
たものを図C.6 a) 及び図C.6 b) に示す。
電圧加算曲線で,18.7 Vと100 mAとの交点に注目すると,そこはく形電源のインダクタンス限界曲線
に最も近づいているが,そこには達していない。この交点において,論理的最大出力は1.9 Wとなる。
(電圧,電流)両方の組合せにおける合成特性は,図C.6 a) 及び図C.6 b) に示される線形,く形電源
のインダクタンス限界曲線と交差しないので,この安全評価は良好な結果となる。この例の合成特性の最
大電圧 (28.7 V) に対して,組合せの最大許容キャパシタンスは,図C.6 b) の曲線群から400 nFと読み取
れる。JIS C 60079-11の表A.2でグループIIBの28.7 Vをみた場合,許容キャパシタンスは618 nFであり,
ここで到達した400 nFより高いものとなる。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.6 a)−電流加算
IIB ; 0.5 mH
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.6 b)−電圧加算
図C.6−図C.4の回路例における電流及び/又は電圧の加算
組合せの合成値は,
機器グループ IIB
最大値
Uo = 28.7 V
Io = 264 mA
Po = 1.9 W
Lo = 0.5 mH
Co = 400 nF
この例において,本安関連機器(電源,ディスプレイ及びプロッタ)は,本安入出力点において有効な
インダクタンス又はキャパシタンスをもたないので,インダクタンス又はキャパシタンスの最大値を,本
質安全機器(分析計)と機器との間の接続ケーブルに対して適用できる。
C.5 まとめ
化学,石油化学産業における計測及びプロセスプラントの設計及び建設において,本安回路をもつ幾つ
かの認証機器を組み合わせることが,頻繁に必要となる。
IEC 60079-14の設置規定は,相互接続の安全性が計算又は測定によって立証される場合,危険区域にお
ける電気設備の設計者,工事従事者,オペレータがその責任において上記の組合せを扱うことを許容して
いる。一般的にオペレータは,測定による立証の設備をもっていないので,適切な計算手順を用いること
となる。IEC 60079-14は,これまで純線形内部抵抗をもつ電源に限定して適用できる手順を提供してきた
が,常に安全なシステム構成に至るというものではない。実際には,非線形特性をもつ電源を使用される
ことがあるが,これまでは,これらの組合せは,試験機関の支援があったことから可能であった。
IIB ; 0.5 mH
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
そのため,ダイアグラムを使用して,線形回路のネットワークと非線形回路とのネットワークの組合せ
の安全評価を許容する手法が開発された。ここに記述された手法は,危険度1区域,グループIIB及びIIC
に対し適用できる。
手順の基本部分は関連する複数の本安電源の出力特性のグラフ上での合算である。合成特性は,適切な
ダイアグラムにプロットされ,これよって抵抗性回路,誘導性回路,容量性回路及び組合せ回路の本質安
全性が評価できる(すなわち,誘導性及び容量性の同時負荷として)。この手順の重要な利点は,本質安全
に関するすべての情報及び境界条件が,一つだけのダイアグラムから得られることである。必要な安全率
1.5は,既にダイアグラムに織り込み済みである。
C.6 図形
図C.9に示す図形は,透明シートに複写して利用するために掲載されている。電圧合成及び電流合成の
図形を描き,評価するために異なる限界図形(同一スケールのもの)に重ねることができる。以降のペー
ジに,表C.2に従った限界図形が,共通スケール及び最適スケールの両方で表示されている。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 a)−0.15 mHでの図表
IIC ; 0.15 mH
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 a)−0.15 mHでの図表(続き)
IIC ; 0.15 mH
29
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 b)−0.5 mHでの図表
IIC ; 0.5 mH
30
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 b)−0.5 mHでの図表(続き)
IIC ; 0.5 mH
31
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 c)−1 mHでの図表
32
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 c)−1 mHでの図表(続き)
33
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 d)−2 mHでの図表
34
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 d)−2 mHでの図表(続き)
35
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 e)−5 mHでの図表
36
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.7 e)−5 mHでの図表(続き)
図C.7−一般電源特性における限界曲線図表−グループIIC
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 a)−0.15 mHでの図表
IIB ; 0.15 mH
38
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 a)−0.15 mHでの図表(続き)
IIB ; 0.15 mH
39
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 b)−0.5 mHでの図表
IIB ; 0.5 mH
40
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 b)−0.5 mHでの図表(続き)
IIB ; 0.5 mH
41
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 c)−1 mHでの図表
IIB ; 1 mH
42
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 c)−1 mHでの図表(続き)
IIB ; 1 mH
43
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 d)−2 mHでの図表
44
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 d)−2 mHでの図表(続き)
45
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 e)−5 mHでの図表
46
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
記号
1 く形電源のインダクタンス限界
2 線形電源のインダクタンス限界
図C.8 e)−5 mHでの図表(続き)
図C.8−一般電源特性における限界曲線図表−グループ IIB
47
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
図C.9−一般電源用図表の様式
1
0
C
6
0
0
7
9
-2
5
:
2
0
0
8
(I
E
C
6
0
0
7
9
-2
5
:
2
0
0
3
)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
48
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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附属書D
(規定)
誘導性パラメータの検証
序文
この附属書は,誘導性パラメータの検証について規定する。
図D.1は,ここで評価するシステムを表す。
Riは,誘導性コイルの固有抵抗である。コイル抵抗に追加抵抗が補足される場合,その追加抵抗器は,
故障を生じないとみなす抵抗器の規定に適合しなければならない。
Roは線形電源の出力抵抗で,Uo/Ioである。LiがLoより小さい場合,ケーブルの許容インダクタンスは,
その二つの値の差として採用してもよい。その場合,その本安システムは許容される。Li/Riが電源の許容
Lo/Roより小さい場合,その本安システムは許容される。その場合,ケーブルの許容L/R比は,Lo/Roとして
変わらない。
注記1 電源がJIS C 60079-11の表A.1で許容される電流制限抵抗器の最低値を用いる場合,ケーブ
ル抵抗を考慮しないならば,ケーブルの許容インダクタンスはない。その場合,Loはゼロで
ある。
誘導性機器が,これらの二つの要求のいずれかに適合しない場合,次のような広範な評価方法を行うこ
とが望ましい。
インダクタンスに流れる電流を決定する。例で示した回路では,I=Uo /(Ro+Ri) で表される。
安全率1.5を電流に乗じ,機器グループに適したJIS C 60079-11の誘導性曲線を用いて,最大許容イン
ダクタンスLmaxを決める。
LmaxがコイルLiのインダクタンスより小さい場合,その回路は本安として許容されない。
LmaxがLiより大きい場合,許容ケーブルインダクタンスLcは,(Lmax−Li) 又はLoの二つの値のいずれか
小さい方の値をとる。
必要に応じて,システムに接続されたケーブルの最大インダクタンス/抵抗 (Lc /Rc) は,次の式を用い
て計算しなければならない。この式は,電流値に安全率1.5を考慮している。機器の出力端子でのCiが,
Coの1 %を超える場合は,この式は使えない。
(
)
2
o
1/2
2
o
2
2
2
c
c
4.5
72
8
8
U
eL
U
R
e
eR
R
L
−
=
+
μH/Ω
ここに,
e: 火花点火試験装置で試験した最小着火エネルギー
グループ I機器
525 μJ
グループ IIA機器
320 μJ
グループ IIB機器
160 μJ
グループ IIC機器
40 μJ
R: 全回路抵抗 (Ro+Ri) (Ω)
Uo: 最大開放(回路)電圧 (V)
L: 全回路インダクタンス(Li+電源内部インダクタンス)(H)
システムのケーブルの許容Lc/Rc比は,計算値又は電源のLo/Ro比のどちらか小さい方である。
注記2 誘導器の温度区分を決定するとき,コイル抵抗が,最大消費電力を生じさせる抵抗値になる
ような故障状態になるものと仮定する。
49
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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記号
1 本安関連機器
2 インダクタンスのパラメータ
図D.1−典型的な誘導性回路
Ui≧Uo
Ii≧Io
Pi≧Po
50
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
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附属書E
(参考)
システム図面及び施工図面の様式
序文
この附属書は,システム図面及び施工図面の様式について記載するものであって,規定の一部ではない。
この附属書は,準備することが望ましいシステム図面及び施工図面に記述する情報を示す。これらの図
面に特別な様式を求めたり,記述することが望ましい情報を記録するその他の方法が,同等な効果をもた
ないことを示したりするものではない。この附属書の例は,その複雑さのために慎重に選択され,システ
ム設計のすべてのことを挙げている。主に使われるところは,この例より単純であり,一つの発信器及び
インタフェースの構成である。
ブロック図は,システムの状態を確認して,附属書A及び附属書Bで規定する評価方法を可能にするた
めに,すべての必要な情報を含む。測温抵抗体 (RTD) の注記では,測温抵抗体が単純機器であり,その
温度区分が,現場のプロセス温度によって決定されることを記述している。測温抵抗体が500 V絶縁試験
を適用しないということは,測温抵抗体がその点で接地されているとみなされる。そのため1点接地回路
の要件を満たすためには,発信器内で電気的に分離(ガルバニックアイソレーション)されることである。
発信器は,認証された機器であり,測温抵抗体入力と4〜20 mA出力との両方の安全パラメータをもつ。
その入力キャパシタンスは,許容ケーブルキャパシタンスを変動させる。そして発信器は,許容周囲温度
範囲では,プラント内のほとんどの場所で設置できることを示す。
電気的に分離(ガルバニックアイソレーション)されたインタフェースは,許容ケーブルパラメータを
決めるために用いられる出力パラメータを規定している。限定されたケーブルパラメータは,文書番号の
下の注記に“80 nFケーブルキャパシタンス”と記載される。グループIIBでは,特有な応用面があるので,
別のパラメータが与えられる。
施工図面は,システム図面の施工への要件に具体化するものである。施工者が,正しく設計された情報
に基づき施工することを前提としている。施工者は,施工が適切であるかどうか疑問を抱く場合,システ
ム図面を確認する必要がある。施工図面では,単純な接続箱を含んだり,特殊なケーブル及びケーブルグ
ランドを指定している。この場合,当該規格に適合した社内標準に認められているものである。測温抵抗
体の温度区分が明示され,ケーブルスクリーンのボンディング方法の具体的な指示書が与えられる。この
図面上の情報は,施工後の検査が適切に行えるものでなければならない。
この附属書では,この情報を表す一つの例だけを挙げている。システム文書は,適切な安全システムを
作るためにすべての情報を含むことが望ましい。施工図書は,特定の場所において安全に施工を行えるよ
うに,そのシステムの施工の詳細に関する情報を含むことが望ましい。
51
C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
図E.1−一般的な本安システムのシステム文書のブロック図
日付
会社名/所在地
回路A:ia IIC
ケーブルパラメータ 1 000 µF,350 mH
測温抵抗体側で接地
注記 Tクラスは最高測定温度で決定する。
危険区域
測温抵抗体
ケーブルX
温度発信器
回路B:ia IIC
ケーブルパラメータ
80 nF,4.2 mH,
54 µH/Ω
接地する
ケーブルY
タイプ350L
A社
JIS C 60079-11,5.4 a) の受動素子に
よる単純機器
PS061
最高使用温度:450 ℃
Tクラスは最高測定温度で決定する。
絶縁テスト 150 V
接地されているとみなす。
タイプ365S
B社
証明書:Ex ia IIC T4 (FUML No 983065)
周囲温度:−40 ℃〜+80 ℃
端子A
端子B
Uo
: 1.0 mV
U1
: 30 V
Io
: 10 mA
I1
: 120 mA
Co
: 1 000 µF P1
: 1 W
Lo
: 350 mH
C1
: 3 nF
L1
: 10 µH
本安回路間に電気的分離を設ける。
注記 ケーブルX又はYが多心ケーブルである場合,このケーブルはJIS C
60079-14に規定するタイプA又はタイプB多心ケーブルとする。
本安システムのシステム文書の典型的なブロック図例
改正
タイプ4041
C社
証明書:Ex ia IIC (SPVTB No 983012)
周囲温度:−20 ℃〜+60 ℃
Um : 250 V
IICパラメータ
Uo : 28 A
C1 : 83 nF
Io : 93 mA
L1 : 4.2 mH
Po : 650 mW
L/Ro : 54 mH/Ω
IIBパラメータ
電気的分離を設ける。Co : 650 nF
Lo : 16.8 mH
L/Ro : 216 mH/Ω
日付
非認証機器は
Umが250 V以下とする。
本安インタフェース
非認証機器
回路C
非危険区域
システムの有効性:ia IIC
測温抵抗体は,危険度0区域と危険度1区域のインタフェースに適合する。
注記 ケーブルBのキャパシタンスはIICで80 nF,IIBで647 nFである。
システム文書番号 BC001
図面番号 001
作図者
検討者
1
0
C
6
0
0
7
9
-2
5
:
2
0
0
8
(I
E
C
6
0
0
7
9
-2
5
:
2
0
0
3
)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
図E.2−一般的な本安システムの取付図
接続箱
MB01
単純機器
PS051
FUML
Ex983065
単純機器
PS001
B08とG07の結合はケーブルパラメータに問題はないこと。
ケーブルD07
本安インターフェース
タイプ4041
C社
TR101
温度発信器
タイプ365S
B社
非危険区域
会社名/所在地
危険度0区域(Zone 0)
IIB T3
危険度1区域(Zone 1)
IIB T3
温度抵抗体
RT101
タイプ3506
A社
危険度2区域(Zone 2)
IIB T3
危険区域
D10 無機物絶縁
3心ケーブル長さ2 m
ケーブルパラメータ問題なし
ケーブルグランド タイプ 4
TR101は最高温度102 ℃の冷却水を測定する。
したがって,RTDはT4である。
B08 2心スクリーン
付ケーブル タイプ3
長さ15m
ケーブルグランド タイプ3
G07 32多心ペアケーブル
の2心ケーブル タイプ64
長さ150 m
ケーブルグランド タイプ8
インタフェース
キャビネット 0 V SPV TB
Ex983912
インタフェースキャビネット
場所:62
コンピュータラック4
図面番号666
電源
ラック6
PS5
図面番号P6-006
施工図番号
システム文書番号
要求システム区分
達成システム区分
054
BC001
ia IIC
ia IIB
日付
改正
日付
B08とG07との結合はケーブルパラメータに問題があってはならない。
単純機器
PS051
FUML
Ex983065
単純機器
PS001
検討者
作図者
非危険区域
本安インタフェース
101
1
0
C
6
0
0
7
9
-2
5
:
2
0
0
8
(I
E
C
6
0
0
7
9
-2
5
:
2
0
0
3
)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書F
(参考)
本質安全回路のサージ保護
序文
この附属書は,本質安全回路のサージ保護について記載するものであって,規定の一部ではない。
F.1
全般
この附属書は,落雷によって誘導されたサージから本安回路を保護するための可能な技術を示す。落雷
の可能性をリスク分析して,それによって引き起こされる事象がサージからの保護を必要とする場合にだ
け,この保護方式が適用される。保護方式に必要な分析手法を例として表しているが,ここで述べている
ことだけが可能な解決方法ではない。
F.2
保護の対象
図F.1は,中性点が直接接地されている場合の典型的な例である。他のボンディング技術も同等に許容
される。温度センサ素子は,可燃性物質を含む貯蔵タンクのファラデーケージを貫通している。センサ抵
抗は,絶縁形変換器によって4〜20 mAに変換される。電流は,電気的に分離したもの(ガルバニックア
イソレータ)を通してコンピュータ入力ネットワークに入る。アイソレータ,変換器,センサの組合せは,
附属書Eにおいて評価された本安システムであることが必要である。
F.3
雷誘導サージ
一例として,タンクX点に落雷し,その結果,生じる電流はタンク基礎と等電位のボンディングとを経
由して分散する。タンク頂部のX点とコンピュータのボンディング点(0 V)Yとの間で,過渡電圧(例
えば60 kV)が誘起する。過渡電圧は電気的に分離したもの(ガルバニックアイソレータ)と変換器の絶
縁を破壊させ,爆発の可能性の高いタンクの側面に沿って蒸気空間でフラッシュを生じるおそれがある。
F.4
予防手段
発信器が電気的に孤立するのを防ぐために,サージサプレッサがタンク上に付けられる。それによって
タンク内が異なる電位になるのを防ぐ。サージサプレッサは,ファラデーケージを保護するためにタンク
に接地される。多点素子のサージサプレッサは,発信器の絶縁によってすぐに吸収することができるレベ
ルになるように電圧変位 (60 V) を制限する。
二つ目のサージサプレッサは,電気的に分離したもの(ガルバニックアイソレータ)及びコンピュータ
入力回路を破損させないために必要である。このサージアレスターは,例で示されたように,通常,安全
区域に設置される。その結果,生じるアイソレータにかかるコモンモードサージは,電気的に分離したも
の(ガルバニックアイソレータ)内での絶縁に過重なストレスを与えない。
システムは,過渡電圧の生じている間は本質安全ではないが,危険度の最も高いタンク内から,高電流
及び高電圧が除去され,そして相互接続ケーブルで結ばれている相対的に安全な場所に存在する。
システムは,二つの場所で間接的に接地され,過渡期における循環電流は着火能力がある (incendive)。
しかし,通常状態では,間接接地は非導通であり,大きな電流を流すにはサージ抑制ネットワークの接
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
地接続間では,比較的に高い電圧 (120 V) を必要とする。しかし,そのような電圧は長い間存在せず,回
路は適切で安全である。
F.5
参考文書
システム文書は,適合したサージ抑制ネットワークを含むように変更するべきである。ネットワークに
関連する特性を考慮して,通常状態におけるサージ抑制ネットワークの影響を評価する必要がある。その
特性は,小容量のキャパシタンス及びインダクタンスを含むことがある。
二つの場所での間接接地は,記録し,分析し,それが許容できるかどうかの議論をすべきである。
F.6
追加の保護
雷が大きな問題である場合,計装システムの主電源にサージサプレッションを設けることを考慮するべ
きである。主電源に発生するサージは電源又は信号を経由して電気的に分離したもの(ガルバニックアイ
ソレータ)を破壊する。イミュニティは,関連するEMC規格に適合した通常の要件に含まれるが,ほと
んどの雷誘導サージに対しては十分ではない。
同様にネットワーク相互接続における侵入する可能性のあるその他の経路は,あるレベルのサージ保護
を必要とする。
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C 60079-25:2008 (IEC 60079-25:2003)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1
変換器
5
アイソレータ
9 主電源用サプレッサ
2
サージサプレッサ
6
等電位ボンディング
10 タンク壁
3
ボンディング線
7
信号ライン用サプレッサ
11 計器ハウジング
4
主電源
8
データリンク
図F.1−計装ループのサージ保護の要件