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C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義··················································································································· 2 

4 温度試験槽の性能測定······································································································· 4 

4.1 試験場所の環境 ············································································································· 4 

4.2 温度測定システム ·········································································································· 4 

4.3 温度試験槽の試験用供試品 ······························································································ 4 

4.4 有効空間内の温度検出器の設置位置 ·················································································· 4 

4.5 測定方法 ······················································································································ 5 

4.6 標準的温度検査手順 ······································································································ 10 

5 性能試験報告書に記載する事項 ·························································································· 10 

参考文献 ···························································································································· 11 

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第14条第1項の規定に基づき,認定産業標準

作成機関である一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準の案を添えて日本産業規格を改正すべ

きとの申出があり,経済産業大臣が改正した日本産業規格である。これによって,JIS C 60068-3-5:2006
は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実用新案権に関わる確認に
ついて,責任はもたない。 

JIS C 60068-3規格群(環境試験方法−電気・電子−第3部:支援文書及び指針)は,次に示す部で構

成する。 

JIS C 60068-3-1 第3-1部:低温(耐寒性)試験及び高温(耐熱性)試験の支援文書及び指針 

JIS C 60068-3-2 第3-2部:温度/減圧複合試験を理解するための必す(須)情報 

JIS C 60068-3-3 機器の耐震試験方法の指針 

JIS C 60068-3-4 第3-4部:高温高湿試験の指針 

JIS C 60068-3-5 第3-5部:支援文書及び指針−温度試験槽の性能確認 

JIS C 60068-3-6 第3-6部:支援文書及び指針−温湿度試験槽の性能確認 

JIS C 60068-3-7 第3-7部:支援文書及び指針−負荷がある場合の低温試験(試験A)及び高温試験

(試験B)の試験槽の温度測定のための指針 

JIS C 60068-3-8 第3-8部:振動試験方法の選択の指針 

JIS C 60068-3-13 第3-13部:支援文書及び指針−はんだ付け 

日本産業規格          JIS 

C 60068-3-5:2020 

(IEC 60068-3-5:2018) 

環境試験方法−電気・電子−第3-5部: 

支援文書及び指針−温度試験槽の性能確認 

Environmental testing-Part 3-5: Supporting documentation and guidance-

Confirmation of the performance of temperature chambers 

序文 

この規格は,2018年に第2版として発行されたIEC 60068-3-5を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本産業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

JIS C 60068規格群は,環境試験方法及び試験の厳しさに関する基本的情報を規定している。 

“環境条件”又は“環境試験”という表現には,部品又は機器が実際にさらされる可能性がある自然界

及び人工的環境が含まれ,使用,輸送及び貯蔵条件の下での性能の評価ができるようになっている。 

“環境条件”又は“環境試験”のために用いる温度試験槽については,どんな刊行物にも記載されてい

ない。ただし,温度及び/又は湿度を保持して測定する方法は,試験結果に大きな影響を及ぼす。温度試
験槽の物理的特性もまた試験結果に影響を及ぼす可能性がある。 

適用範囲 

この規格は,負荷のない状態の温度試験槽が,JIS C 60068-2規格群及び他の規格に規定されている耐候

性試験の要求事項に適合しているかどうかを確認するための,統一的な再現性のある測定方法について規
定する。この規格は,使用者が温度試験槽の性能を定期的に点検する場合を想定している。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 60068-3-5:2018,Environmental testing−Part 3-5: Supporting documentation and guidance−

Confirmation of the performance of temperature chambers(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こと

を示す。 

引用規格 

次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによって,その一部又は全部がこの規格の要求事項

を構成している。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 60068-2(規格群) 環境試験方法−第2部:試験 

注記 対応国際規格における引用規格:IEC 60068-2 (all parts),Environmental testing−Part 2: Tests 

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

JIS C 60068-3-7 環境試験方法−電気・電子−第3-7部:支援文書及び指針−負荷がある場合の低温

試験(試験A)及び高温試験(試験B)の試験槽の温度測定のための指針 

注記 対応国際規格における引用規格:IEC 60068-3-7,Environmental testing−Part 3-7: Supporting 

documentation and guidance−Measurements in temperature chambers for tests A and B (with load) 

IEC 60068-3-11,Environmental testing−Part 3-11: Supporting documentation and guidance−Calculation of 

uncertainty of conditions in climatic test chambers 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

温度試験槽(temperature test chamber) 

JIS C 60068-2規格群に規定する温度条件を満たす囲い又は空間 

3.2 
設定温度(temperature setpoint) 

温度試験槽の温度制御器で設定した所定の温度 

3.3 
到達温度(achieved temperature) 

規定した許容範囲内で,有効空間の中心の設定温度が達成された安定化した温度 

3.4 
温度の安定状態(temperature stabilization) 

有効空間内の規定点で,規定時間の間,規定した(許容)範囲内の温度を維持する状態 

3.5 
温度変動(temperature fluctuation) 

有効空間内の規定の点における安定後の規定した時間間隔の,最高温度と最低温度との差 

注釈1 校正のために,有効空間内の中心点を用いてもよい。 

3.6 
有効空間(working space) 

規定した条件が許容値内に維持可能な温度試験槽内の部分 

注釈1 図1及び表1を参照。 

background image

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

 注記 有効空間の実際の寸法は,表1を参照。 

図1−有効空間 

表1−寸法 

大きさ 

体積 

リットル(L) 

長さX 

mm 

X(最小) 

mm 

小 

1 000以下 

L/10 

50 

中 

1 000を超え,2 000以下 

L/10 

100 

大 

2 000超 

L/10 

150 

注記 全ての温度試験槽が立方体とは限らない。 

3.7 
温度勾配(temperature gradient) 

温度安定後の,時間的に任意の瞬間における有効空間内の,別々の2点の平均温度の差の最大値(図2

参照) 

3.8 
空間温度偏差(temperature variation in space) 

温度安定後の任意の瞬間における,有効空間の中心の平均温度と有効空間内の別の任意点の平均温度と

の差(図2参照) 

3.9 

温度変化速度(temperature rate of change) 

1分当たりの温度差(K)で示される,有効空間の中心で測定される二つの規定温度間を変化する速度 

注釈1 図2参照。 

L3 

X3 

X3 

X1 

X1 X2 

X2 

L1 

L2 

background image

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

図2−温度差の例 

温度試験槽の性能測定 

4.1 

試験場所の環境 

温度試験槽の周りの環境が,温度試験槽内の条件に影響を与える場合がある。 

温度試験槽の性能確認は,JIS C 60068-1に規定する標準大気条件下で行うことが望ましい。 

注記 測定及び試験のための標準大気条件は,JIS C 60068-1の4.3(測定及び試験に用いる標準大気条

件)には,次のように規定されている。 

温度:15 ℃〜35 ℃,相対湿度:25 %〜75 %,気圧:86 kPa〜106 kPa 

4.2 

温度測定システム 

温度測定システムの出力に関する測定の不確かさは,JIS Q 10012に従ったトレーサブルな校正方法に

よって決定されていることが望ましい。 

温度検出器は,校正された白金測温抵抗体又は熱電対のいずれでもよい。検出器の熱応答時間は,50 %

に到達するのに10秒間〜40秒間とする。温度測定システム全体の熱応答時間は,40秒間未満であること

が好ましい。温度検出器は,JIS C 1602の熱電対の許容差クラスI又はJIS C 1604の測温抵抗体の許容差
クラスA以上の使用が望ましい。 

4.3 

温度試験槽の試験用供試品 

4.5に規定する全ての測定は,有効空間内が空の状態で行う。供試品を用いて(発熱の有無にかかわら

ず)測定する場合,JIS C 60068-3-7を参照。 

4.4 

有効空間内の温度検出器の設置位置 

温度測定用検出器は,有効空間のそれぞれの隅及び中心の位置に置く(図3参照。9個以上の検出器)。

容量が2 000 Lを超える温度試験槽の場合は,各壁面の中心の前の位置にも検出器を追加して置くのが望
ましい(図4参照。15個以上の検出器)。温度測定システムは,空の試験槽の温度分布に影響を与えない

有効空間の中心か
ら外れた点の温度
変動(3.5参照) 

3

.7

有効空間の中心の
温度変動(3.5参
照) 

3

.8

有効空間の中心か
ら外れた点の温度
変動(3.5参照) 

時間 

background image

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

ように配置する。大容量温度試験槽の場合,温度制御検出器と有効空間の中心の温度との間に大きな差異
が生じる可能性がある。必要な許容値を達成するために,温度設定の調整が必要となる場合がある。 

図3−容量2 000 L以下の温度試験槽の温度検出器の位置 

図4−容量2 000 Lを超える温度試験槽に最低限追加する温度検出器の位置 

温度試験槽の性能確認のための監視では,1分当たり1回以上のデータを記録することが望ましい。温

度試験槽監視用検出器からのデータを記録するために用いる装置は,試験槽制御システムとは別系統にな
っていることが望ましい。 

4.5 

測定方法 

4.5.1 

一般 

温度試験槽の温度が安定した後に,温度測定システム(図3又は図4参照)の温度指示値によって,到

達温度,温度変動及び有効空間内の温度勾配が決定される。許容値については,有効空間の中心で維持す
るために,温度試験槽の仕様を確認するか,又は必要に応じて,JIS C 60068-2規格群で規定する許容値と
する。温度検出器の位置は,温度試験槽の寸法によって,少なくとも9点又は15点である。温度測定方法

は,温度検出器が9点の場合として規定する。 

温度測定システムの測定の不確かさは,IEC 60068-3-11による。 

N2 

N3 

N1 

N

Centre 

N5 

N7 

N8 

N9 

N6 

L2 

L1 

L3 

L2
10

L2 

10

L1 

10

L1 
10 

L3 

10

L3 

10

X2 

X1 

X

3

background image

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

4.5.2 

到達温度 

有効空間の中心の温度が,JIS C 60068-2規格群によって要求される許容値を維持するときに,到達温度

となる。その一例を図5に示す。 

 許容値については,有効空間の中心で維持するために,温度試験槽の仕様を確認するか,又は必要に

応じて,JIS C 60068-2規格群に規定されている許容値を用いる。 

T1は,30分間以上でなければならないとされている。N5は,有効空間の中心における温度である。 

図5−到達温度の例 

4.5.3 

温度の安定状態 

有効空間における到達温度及び許容範囲内に維持された温度を,図6に示す。許容値は,温度試験槽の

仕様としての温度変動,空間温度偏差及び温度勾配に基づいて決まる。規定時間T2は,測定点(例えば,

N1〜N9)が許容範囲内に入った後の最低30分間(又は30分間以上)である。 

図6−容量2 000 L以下の温度試験槽の温度の安定状態の例 

4.5.4 

温度変動 

温度が安定状態になった後の有効空間内の規定温度測定点における特定の間隔の変動を,図7に示す。 

許容値 

N5 

設定温度 

T1 

許容値 

N9 

T2 

N1 

background image

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

 注記 上記図の縦軸の項目が欠落しているため追加した。 

図7−温度変動の例 

測定は,実際には,あるサンプリング間隔で行われる。データが,変動ピークを捕捉することは保証さ

れていない。そのため,温度安定後の測定点ごとの測定値から標準偏差σn−1を求め,その温度幅は,    

±2σn−1とする。 

温度安定後のある測定点において,30分間以上かけて10回以上,等間隔に測定した温度を次のように

定義する。 

N1, N2, …, Ni, … Nn(n≧10) 

Nの平均をNAveとする。 

各測定点の測定値の標準偏差σn−1を,次のように定義する。 

2

Ave

1

(

)

1

i

n

N

N

n

σ−

=

注記 対応国際規格では,Xiとなっているが,明らかな間違いであり,Niと式を修正した。 

温度変動幅±2σn−1は,9点全ての測定点で求め,その中の最高値を温度変動とする。 

4.5.5 

温度勾配 

図8に示すように,有効空間の全測定点における各平均温度の最大差分を温度勾配とする。 

10 

15 

20 

25 

+2σn−1 

NMax 

+1σn−1 

−1σn−1 

平均温度NAve 

時間(分) 

−2σn‒1 

NMin 

σn−1 

各測定点の測定値の 

標準偏差 

30 

background image

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

 記号説明 

NAveMax: 9測定点中の平均最高温度 
NAveMin: 9測定点中の平均最低温度 

温度勾配=NAveMax−NAveMin 
注記 上記図の縦軸の項目が欠落しているため追加した。 
 

図8−容量2 000 L以下の温度試験槽の温度勾配の例 

4.5.6 

空間温度偏差 

図9に示すように,空間温度偏差は,有効空間の中心における平均温度と他の測定点の平均温度との差

分である。有効空間の中心とそれぞれの測定点との間の最大差分を記載しなければならない。 

10 

15 

20 

25 

NAveMax 

時間(分) 

NAveMin 

30 

background image

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

 記号説明 

NCenterAve:温度試験槽中心の平均温度 
NCornerAve(j)(j=1〜8):有効空間のコーナ(隅)の各平均温度 

空間温度偏差=|Max(NCornerAve[j]−NCenterAve)| 
空間温度偏差として得られた値は,(NCornerAve(j)−NCenterAve)とし,有効空間のそれぞ

れの隅(8か所)について得られた最大差分の絶対値を,空間温度偏差とする。 

注記 上記図の縦軸の項目が欠落しているため追加した。 
 

図9−容量2 000 L以下の温度試験槽の温度勾配の例 

4.5.7 

温度変化速度 

図10に示すように,規定温度間の温度変化速度は,次の方法で算出し,ケルビン毎分(K/min)で示す。 

温度上昇速度=Δt/T1 

温度冷却速度=Δt/T2 

図10−温度変化速度の例 

温度変化速度を測定する手順は,次による。 

− 温度試験槽を最低規定温度に合わせ,安定化するまで待つ。 

− 温度試験槽を最高規定温度に合わせ,温度範囲の10 %点と90 %点との間の時間を監視する。 

30 

25 

20 

15 

時間(分) 

10 

NCornerAve 

NCenterAve 

NCornerAve 

最低 
温度 

0 %

10 %

90 %

100 %

最高 
温度 

加熱時間 

時間T1 

冷却時間 

時間T2 

10 

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

− 温度試験槽が最高規定温度で安定化するまで待つ。 

− 温度試験槽を最低規定温度に合わせ,温度範囲の90 %点と10 %点との間の時間を監視する。 

4.6 

標準的温度検査手順 

検査手順によって,温度試験槽の性能確認に必要なデータを得る。ただし,この手順は,推奨する最低

限のものである。検査手順を次に示す。 

− 試験室の温度条件から開始する。 

− 温度試験槽を最高規定温度に合わせ,温度試験槽が安定化するまで待つ。 

− 最高温度で性能を測定する。 

− 温度試験槽を最低規定温度に合わせ,変化速度を監視し,温度試験槽が安定化するまで待つ。 

− 最低温度で性能を測定する。 

− 温度試験槽を最高規定温度に合わせ,変化速度を監視する。 

− 温度試験槽を大気条件に合わせ,温度試験槽が安定化するまで待つ。 

− 大気条件で性能を測定する。 

性能試験報告書に記載する事項 

試験報告書には,少なくとも,次の内容を含めなければならない。 

a) 測定の試験場所の大気条件 

b) 温度試験槽及びその有効空間の寸法及び体積 

c) 温度変動,空間温度偏差及び温度勾配 

d) 温度変化速度 

e) 最高温度及び最低温度 

f) 

各測定位置の測定結果 

g) データ収集システムの詳細 

h) 測定の不確かさ 

i) 

測定に用いる取付具 

11 

C 60068-3-5:2020 (IEC 60068-3-5:2018) 

参考文献 

JIS C 60068-1 環境試験方法−電気・電子−第1部:通則及び指針 

注記 対応国際規格では,IEC 60068-1,Environmental testing−Part 1: General and guidanceを記載して

いる。 

JIS C 60068-3-6 環境試験方法−電気・電子−第3-6部:支援文書及び指針−温湿度試験槽の性能確認 

注記 対応国際規格では,IEC 60068-3-6,Environmental testing−Part 3-6: Supporting documentation and 

guidance−Confirmation of the performance of temperature/humidity chambersを記載している。 

JIS C 1602 熱電対 

注記 対応国際規格では,IEC 60584-1,Thermocouples−Part 1: EMF specifications and tolerancesを記載

している。 

JIS C 1604 測温抵抗体 

注記 対応国際規格では,IEC 60751,Industrial platinum resistance thermometers and platinum temperature 

sensorsを記載している。 

JIS Q 10012 計測マネジメントシステム−測定プロセス及び測定機器に関する要求事項 

注記 対応国際規格では,ISO 10012,Measurement management systems−Requirements for measurement 

processes and measuring equipmentを記載している。