C 60068-2-55:2014 (IEC 60068-2-55:2013)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験装置の要求事項 ·········································································································· 2
5 厳しさ···························································································································· 3
6 前処理···························································································································· 4
7 初期測定及び機能検査 ······································································································· 4
8 試験······························································································································· 4
9 後処理···························································································································· 5
10 最終測定 ······················································································································· 5
11 製品規格に規定する事項 ·································································································· 5
12 試験報告書に記載する事項 ······························································································· 6
附属書A(規定)指針 ··········································································································· 7
附属書B(参考)衝突試験の比較 ··························································································· 12
C 60068-2-55:2014 (IEC 60068-2-55:2013)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本電子部品信頼性センター
(RCJ)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 60068の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 60068-1 通則
JIS C 60068-2-1 第2-1部:低温(耐寒性)試験方法(試験記号:A)
JIS C 60068-2-2 第2-2部:高温(耐熱性)試験方法(試験記号:B)
JIS C 60068-2-6 第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
JIS C 60068-2-7 加速度(定常)試験方法
JIS C 60068-2-11 塩水噴霧試験方法
JIS C 60068-2-13 減圧試験方法
JIS C 60068-2-14 第2-14部:温度変化試験方法(試験記号:N)
JIS C 60068-2-17 封止(気密性)試験方法
JIS C 60068-2-18 第2-18部:耐水性試験及び指針
JIS C 60068-2-20 第2-20部:試験−試験T−端子付部品のはんだ付け性及びはんだ耐熱性試験方法
JIS C 60068-2-21 第2-21部:試験−試験U:端子強度試験方法
JIS C 60068-2-27 第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
JIS C 60068-2-30 第2-30部:温湿度サイクル(12+12時間サイクル)試験方法(試験記号:Db)
JIS C 60068-2-31 第2-31部:落下試験及び転倒試験方法(試験記号:Ec)
JIS C 60068-2-38 第2-38部:温湿度組合せ(サイクル)試験方法(試験記号:Z/AD)
JIS C 60068-2-39 第2-39部:低温,減圧及び高温高湿一連複合試験
JIS C 60068-2-40 低温・減圧複合試験方法
JIS C 60068-2-41 高温・減圧複合試験方法
JIS C 60068-2-42 接点及び接続部の二酸化硫黄試験方法
JIS C 60068-2-43 接点及び接続部の硫化水素試験方法
JIS C 60068-2-45 耐溶剤性(洗浄溶剤浸せき)試験方法
JIS C 60068-2-46 接点及び接続部の硫化水素試験−指針
JIS C 60068-2-47 第2-47部:動的試験での供試品の取付方法
JIS C 60068-2-48 第2-48部:保存の影響をシミュレートするために,環境試験方法に関するJIS規格
群の試験を適用する場合の指針
JIS C 60068-2-49 接点及び接続部の二酸化硫黄試験−指針
JIS C 60068-2-52 塩水噴霧(サイクル)試験方法(塩化ナトリウム水溶液)
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JIS C 60068-2-53 第2-53部:耐候性(温度・湿度)と動的(振動・衝撃)との複合試験及び指針
JIS C 60068-2-54 はんだ付け性試験方法(平衡法)
JIS C 60068-2-55 第2-55部:ルーズカーゴに対するバウンス試験及び指針(試験記号:Ee)
JIS C 60068-2-57 時刻歴振動試験方法
JIS C 60068-2-58 表面実装部品(SMD)のはんだ付け性,電極の耐はんだ食われ性及びはんだ耐熱性
試験方法
JIS C 60068-2-59 サインビート振動試験方法
JIS C 60068-2-60 混合ガス流腐食試験
JIS C 60068-2-61 一連耐候性試験
JIS C 60068-2-64 第2-64部:広帯域ランダム振動試験方法及び指針(試験記号:Fh)
JIS C 60068-2-65 第2-65部:音響振動
JIS C 60068-2-66 高温高湿,定常(不飽和加圧水蒸気)
JIS C 60068-2-67 基本的に構成部品を対象とした高温高湿,定常状態の促進試験
JIS C 60068-2-68 砂じん(塵)試験
JIS C 60068-2-69 第2-69部:試験−試験Te:表面実装部品(SMD)のはんだ付け性試験方法(平衡
法)
JIS C 60068-2-70 第2-70部:指及び手の擦れによる印字の摩滅試験
JIS C 60068-2-75 第2-75部:ハンマ試験
JIS C 60068-2-77 表面実装部品(SMD)の本体強度及び耐衝撃性試験方法
JIS C 60068-2-78 第2-78部:高温高湿(定常)試験方法
JIS C 60068-2-80 第2-80部:混合モード振動試験方法(試験記号:Fi)
JIS C 60068-2-81 第2-81部:衝撃応答スペクトル合成による衝撃試験方法
JIS C 60068-2-82 第2-82部:試験−試験XW1:電気・電子部品のウィスカ試験方法
JIS C 60068-3-1 低温試験及び高温試験を理解するための必す(須)情報
JIS C 60068-3-2 第3-2部:温度/減圧複合試験を理解するための必す(須)情報
JIS C 60068-3-3 機器の耐震試験方法の指針
JIS C 60068-3-4 第3-4部:高温高湿試験の指針
JIS C 60068-3-5 第3-5部:温度試験槽の性能確認の指針
JIS C 60068-3-6 第3-6部:支援文書及び指針−温湿度試験槽の性能確認の指針
JIS C 60068-3-7 第3-7部:支援文書及び指針−負荷がある場合の低温試験(試験A)及び高温試験
(試験B)の試験槽の温度測定のための指針
JIS C 60068-3-8 第3-8部:振動試験方法の選択の指針
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日本工業規格 JIS
C 60068-2-55:2014
(IEC 60068-2-55:2013)
環境試験方法−電気・電子−
第2-55部:ルーズカーゴに対するバウンス試験
及び指針(試験記号:Ee)
Environmental testing-Part 2-55: Tests-
Test Ee and guidance-Loose cargo testing including bounce
序文
この規格は,2013年に第2版として発行されたIEC 60068-2-55を基に,技術内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,車両にしっかり固定しない貨物(ルーズカーゴ)を輸送する電気及び電子製品(以下,供
試体という。)が,指定する厳しさのバウンス(ランダムな衝撃状態)への耐力を決定するための標準的な
手順を規定する。
この試験は,主として輸送する供試体に適用することを意図しており,輸送用ケースに収納した供試体
を含み,この場合には輸送用ケースを供試体の一部又は包装として扱ってもよい。この試験を低周波振動
試験の代わりとして用いてはならない。
この規格は,主に電気及び電子製品を対象としているが,必要に応じてその他の分野で用いてもよい。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60068-2-55:2013,Environmental testing−Part 2-55: Tests−Test Ee and guidance−Loose cargo
testing including bounce(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 60068-2-6 環境試験方法−電気・電子−第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-6,Environmental testing−Part 2-6: Tests−Test Fc: Vibration
(sinusoidal)(IDT)
JIS C 60068-2-64 環境試験方法−電気・電子−第2-64部:広帯域ランダム振動試験方法及び指針(試
験記号:Fh)
2
C 60068-2-55:2014 (IEC 60068-2-55:2013)
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注記 対応国際規格:IEC 60068-2-64,Environmental testing−Part 2-64: Tests−Test Fh: Vibration,
broadband random and guidance(IDT)
JIS C 60068-2-80 環境試験方法−電気・電子−第2-80部:混合モード振動試験方法(試験記号:Fi)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-80,Environmental testing−Part 2-80: Tests−Test Fi: Vibration−
Mixed mode(MOD)
JIS Z 0232 包装貨物−振動試験方法
注記 対応国際規格:ISO 13355,Packaging−Complete, filled transport packages and unit loads−Vertical
random vibration test(MOD)
ASTM D 4169-09,Standard Practice for Performance Testing of Shipping Containers and Systems
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
機械式バウンス試験機(bounce testing machine)
回転軸及び偏心機構によって駆動する振動台を備えた試験機。
注記 バウンス試験機は,一般的には一定変位振幅及び可変振動数の機能をもっている。
3.2
監視点(checkpoint)
振動台上の点で,一つ又は複数個の点。このうちの一つを基準点という(3.3参照)。
注記 この規格では,監視点は,供試体の位置にかかわらず振動台上に置いている。
3.3
基準点(reference point)
監視点の中から選択し,そこからの信号を試験の制御に用い,この規格の要求事項を満たすような点。
3.4
gn(重力加速度,Gravitational acceleration)
地球の重力による標準加速度。地球上の加速度は高度及び緯度によって変化する。
注記 この規格ではgnの値を,最も近い整数値の10 m/s2に丸める。
4
試験装置の要求事項
4.1
試験規定全般
供試体は,固定ジグを用いないで振動台に設置し,その試験台並びに供試体の質量並びに剛性,及び規
定の動きに従って,時々バウンス運動をさせる。供試体の動きを直接には制御しない。供試体に対する試
験の厳しさは,可能な場合,供試体が実際に輸送中に受ける条件に可能な限り関連付けたものでなければ
ならない。
製品規格には,供試体の合否基準を規定する。通常,この試験は,試験中に供試体は動作しない状態で
実施し,供試体が試験に耐えればよいとする。
4.2
試験機の特性
試験機は,加振機又は同様の作動機構に連結した水平の試験台で構成する。製品規格に規定がある場合
には,機械式バウンス試験機を用いてもよい(A.3参照)。
試験台は,25 mm〜32 mmの合板で,適切な堅い枠にしっかりと取り付け,必要な場合,適切な柵を設
3
C 60068-2-55:2014 (IEC 60068-2-55:2013)
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ける(4.7参照)。柵は,供試体を支えるのに十分大きな寸法とする。さらに,試験機は,試験台の規定の
動作を可能とするものでなければならない(4.3参照)。
4.3
試験台の動き
試験台の垂直方向の動きは,供試体及び試験を実施するために必要な他の機器による負荷が掛かった場
合でも,線形とする。試験台を加振テーブルに接続している場合は,試験台に回転方向の動きがあっては
ならない。製品規格において,試験台の正弦波形又はランダム波形の振動を規定することができる。
バウンス運動をする供試体に起因する試験台のぶれは,無視できる程度とする。これは,堅い支持枠の
十分な強度及び剛性によって達成できる。
製品規格に規定がある場合には,試験台が円運動タイプ(A.3.1参照)又は非同期タイプ(A.3.2参照)
のような他の種類の動きをする機械式バウンス試験機を用いてもよい。
4.4
試験台の水平面の許容差
試験機は,試験台の水平面の許容差が,動作の最も下で次の値になるように設置する。
− 前後軸及び横軸方向:±0.5°(それぞれ,ピッチング角及びローリング角)
作動機構の遊びの許容差は,この値に含む。
4.5
制御
試験台は,加速度又は変位の制御を行う。試験台が偏心機構で機械的に駆動する場合は,実際の偏心及
び軸速度の制御を用いてもよい。供試体の応答を計測する必要はない。
試験台に対する供試体からの衝撃は,試験台の実際の動きに影響を及ぼすことがよくある。これらの衝
撃による高周波の振動が発生した場合,適切にフィルタリングをしないと信号のひずみ(歪)をもたらす
可能性がある。基準点がこの衝撃の影響を受け,規定する許容差を満たすことができない場合には,最終
的な結果を試験報告書に記載する。
4.6
取付方法
この試験では,試験中,供試体は決して試験台に結わえたり,その他の方法で固定してはならない。
4.7
供試体の水平面の動き
供試体間の最大水平間隙は,供試体の寸法に比べて小さくなければならないが,自由な上下方向の動き
を可能とするためには十分大きくなければならない。通常,これはそれぞれの側面を約10 mmの間隙とす
ることで達成できる。
適切な柵の配置を,A.2に規定し,図A.1に示す。
5
厳しさ
注記 試験の厳しさは,試験台の動き及び試験時間で決まる。
5.1
試験台の正弦波振動に対する厳しさ
正弦波振動を規定する場合には,製品規格にJIS C 60068-2-6を引用し,振動の振幅(加速度振幅及び/
又は変位振幅),振動数及び試験時間を規定することが望ましい。
試験時間は,次の厳しさから選択する。これらの厳しさは,代表的な試験時間を示したものである。
なお,この試験時間には後処理時間は含まない(箇条8参照)。
試験時間は,供試体及び試験の目的によって次の中から選択する。
− 180 min
− 90 min
− 60 min
4
C 60068-2-55:2014 (IEC 60068-2-55:2013)
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− 15 min
− 5 min
試験時間は,それぞれの姿勢(箇条8参照)で,又は製品規格の要求によって均等に分割する。
次の値がしばしば適用される。
− JIS C 60068-2-6の正弦波振動に規定する試験台の動きは,振動数4.75 Hz±0.05 Hzにおいて,最大変
位振幅(片振幅)12.75 mm±0.5 mmとする。この値は,最大加速度約11 m/s2(1.1 gn)と等価である。
輸送用コンテナの強度試験の代表的な試験時間は,60 minである。
注記 ここで規定した試験の厳しさは,広く用いられている試験手順に対応している。しかし,大
変保守的だと考えられ,動作環境又は輸送環境に関連付けられていない。
5.2
試験台のランダム振動に対する厳しさ
製品規格にランダム振動を規定する場合には,JIS C 60068-2-64を引用し,振動の加速度スペクトル密
度(ASD)及び試験時間を規定することが望ましい。
試験時間は,規定された姿勢間で,又は製品規格の要求によって均等に分割する(箇条8参照)。
5.3
試験台の混合モード振動に対する厳しさ
製品規格に混合モードを規定する場合には,JIS C 60068-2-80を引用し,振動の混合モードスペクトル
及び試験時間を規定することが望ましい。
注記1 混合モードでは,包装した供試体に確率論的なバウンスが発生する。デジタル振動制御シス
テムは,低周波での長いループ時間を必要とし,試験開始前にしばらく時間がかかることが
ある。その間に平準化が完了する。
注記2 純粋なランダム振動又は純粋な正弦波振動で発生するバウンス動作は,固定していない包装
した供試体に要求する動作を再現するのに適していない。
5.4
機械式バウンス試験機を用いる場合の厳しさ
製品規格で機械式バウンス試験機(A.3参照)の使用を要求する場合,動作の種類及び試験時間を規定
する。
6
前処理
製品規格に前処理を規定する場合,その条件を規定する。
7
初期測定及び機能検査
製品規格に規定する供試体の目視,寸法,機能及びその他の検査を実施する。
8
試験
製品規格に規定する輸送ケース又は包装の“有り”又は“無し”の供試体を,試験台の中央に固定せず
に置く。
規定する厳しさによって振動試験を実施する(箇条5参照)。
試験台上で供試体が跳ねても届かない位置に,一つ以上の基準点を選択する。
必要な場合には,多点制御を用いてもよい。この場合は,試験報告書にそのことを記載する。
非常に大きく重い機器の試験には,多点制御を用いることが効果的である。
多点制御を用いる場合,基準点は,試験台上で供試体の両側に設置する。
監視点を追加する必要はない。
5
C 60068-2-55:2014 (IEC 60068-2-55:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試験台の動作が正弦波振動の場合にはJIS C 60068-2-6の規定を,ランダム振動の場合にはJIS C
60068-2-64の規定を適用する。
試験台上の基準点は,それぞれの規格の要求事項を満たさなければならない。
注記1 振動試験規格JIS C 60068-2-6及びJIS C 60068-2-64には,複数の監視点について,共通した
追加の要求事項がある。それらは,この規格に規定するバウンス試験に適用していない。
試験時間を正常に完了できる場合,供試体の検査,又は過度の温度上昇を防ぐために試験を中断しても
よい。
注記2 厳しさ5 min以外の試験時間では,過度の温度上昇が,非常に弾力性のある構造又は部品を
含む供試体で生じることがある。このような場合,供試体内の過度の温度上昇を防ぐために,
製品規格に規定する一連の過程(例えば,5 minのバウンス,引き続き5 min以上の後処理時
間を繰り返す。)で試験を実施してもよい。
試験機の調整のために予備試験が必要な場合,この予備試験の時間は試験時間に含めてはならない。
供試体の縦横比(最長の辺と最短との辺の比率)が3:1以下で,かつ質量が50 kg以下の場合,供試体
はそれぞれの姿勢(例えば,円筒の二つの底面及び外側面,又は平行6面体の6面)でバウンスさせる。
質量が50 kg若しくは縦横比が3:1を超える供試体,又は円筒形若しくは平行6面体以外の形状の供試
体は,製品規格の規定によって試験を実施する。
供試体の輸送時に限定した面だけで設置する場合,製品規格には試験中の供試体の姿勢(A.5参照)及
び各姿勢に適用する試験時間を規定する。
製品規格に規定がある場合,任意の縦横比の供試体は,全体の高さが600 mm以下である場合,積み重
ねてもよい。この場合,一番上の供試体の動きを抑制するための特別の配置方法を,製品規格に規定する。
製品規格で規定された場合,試験台が円運動又は非同期運動用に設計した機械式バウンス試験機を用い
てもよい。この場合の試験手順を,A.3に規定する。
9
後処理
供試体の条件,例えば,供試体の温度を,初期測定のときと同じにするために,試験後と最終測定との
間に,一定の時間が必要な場合がある。製品規格には後処理の条件を規定する。
10 最終測定
製品規格に規定する供試体の目視,寸法,機能及びその他の検査を実施する。
製品規格には,供試体の合否判定基準を規定する。
11 製品規格に規定する事項
この試験を製品規格に規定する場合は,適用可能な限り,次の事項を規定する。
箇条
a) 合否判定基準(A.7参照)
2
b) 試験方法,試験台の動き(A.3参照)
4
c) 厳しさ(A.4参照)
5
d) 前処理
6
e) 初期測定(A.7参照)
7
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
f)
輸送用ケースの有無
8
g) 供試体の姿勢及び方向,各方向への試験時間の配分(A.5参照)
8
h) 積み重ねに対する要求事項(A.6参照)
8
i)
最終測定(A.7参照)
9
12 試験報告書に記載する事項
試験報告書には,少なくとも,次の事項を記載する。
a) 顧客
(名称及び所在地)
b) 試験所
(名称及び所在地)
c) 試験報告書の識別
(発行日及び識別番号)
d) 試験日
e) 試験の目的
(開発試験,受入れ試験)
f)
試験規格及び発行年
(関連試験手順)
g) 供試体の詳細
(識別番号,図番,写真,数量,供試体の初期状態につい
てのコメントなど)
h) 試験装置
(試験台及び柵の動き,並びに詳細)
i)
加振軸
(試験姿勢及び試験軸)
j)
測定系,センサの位置,フィルター
(概要,図面,写真)
k) 測定系の不確かさ
(校正データ,前回の校正日及び次回の校正時期)
l)
初期,中間又は最終測定
m) 要求する試験の厳しさ
(試験仕様から)
n) 実施した試験の厳しさ
(基準点の応答及び各姿勢の試験時間)
o) 試験結果
(供試体の状態に関するコメント)
p) 試験中の観察事項及び行った処置
q) 試験の要約
r) 試験管理者
(氏名及び署名)
s)
配布先
(報告書の受領者のリスト)
注記1 試験を文書に記録する場合,例えば,試験パラメータを併記した時系列の試験実施リスト,
試験中の観察事項及び実施処置並びに測定のデータシートは,試験について試験実施記録を
作成することが望ましい。
注記2 JIS Q 17025を参照。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
指針
A.1 一般事項
陸上輸送においてルーズカーゴとして扱う供試体は,衝撃,荷台への跳ね返り,ぶつけ,及び横壁又は
他の貨物との衝突によって,厳しくかつ繰り返し衝撃を受ける。輸送車の荷台に供試体を固定していても,
その固定に,移動する自由度がある場合同様の衝撃を受ける。
衝撃の厳しさは,供試体を輸送車に置く位置,走行路面の形(例えば,くぼみのある道,非整備の道路),
輸送の累積時間,及び特に供試体の動的特性に依存する。弾性の高い供試体は,輸送車の荷台に跳ね返っ
たり,また,横壁又は他の貨物と衝突したりすることが容易に起こる。非弾性体の供試体は,荷台に密着
する傾向があり,通常は,弾性体の供試体のような厳しい衝撃を受けることはない。
バウンスは,衝撃試験と同様の機能を評価する試験(附属書B参照)であるが,供試体は,通常試験機
に固定しないため,試験は,供試体の実際の輸送時における緩い固定による衝突又は衝撃から受けるスト
レスの模擬に近い(A.7.2参照)。
特に共振振動数が低い供試体に対しては,共振応答が完全に減衰する前の再加振は,同じ供試体に対し
ても試験の結果が変化する可能性がある。
注記 試験担当者は,式(A.1)を用いて規定した試験条件を満たしているかを評価することができる。
この式は一般的ではなく,仕様書に引用しない方がよい。
10
min
res
f
R=
·········································································· (A.1)
ここに,
R: 繰返し率(1秒当たりのバウンス回数)
fres min: 供試体の最低共振振動数
A.2 柵の配置(4.7参照)
供試体が試験台から転落するのを防止するため,試験機に柵を設置する。
柵と供試体との水平方向の間隙は,供試体のサイズによって調整しなければならない。A.3に間隙に関
する規定があるが,柵のサイズは,可能な限り小さくし,通常は供試体サイズの5 %以下が望ましい。た
だし,柵は,供試体が垂直方向に自由に運動できなければならない。一般の状況において,柵と供試体と
の間隙は,各サイドで約10 mmとする。
柵の垂直方向の高さは,供試体の転倒を防ぐために,供試体高さの60 %以上が望ましい。ただし,重心
位置が高い供試体のような特殊の場合に,より高い柵が必要になることがある。
A.3に規定する二つの試験方法のうちの一つの方法を使用することによって,輸送車両の柵面の衝突を
模擬するために柵を利用する。この場合,柵は高い強度及び剛性を必要とする。柵は,木材の壁,木材で
表面処理した鉄鋼又は角材で作るのが望ましい。代表的な柵の構成を図A.1に示す。
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図A.1−柵及び基準点の典型的な例
A.3 試験装置(箇条4参照)
A.3.1 一般事項
通常,試験は,加振台及びそれに連結した,4.1の規定を満足する特性の試験台を用いて実施する。
さらに,この規格のバウンス試験には二つの方法があり,機械式バウンス試験機は二つの異なるモード
の試験を行う能力を必要とする。製品規格には,そのうちの一つの試験方法を適用する場合,それを明確
に規定しなければならない。
方法Aは,円運動で振幅(変位)及び速度を与え,直面に10 m/s2以上の十分な加速度を発生する方法
である。垂直運動はバウンスを,水平運動は柵支柱との偶発的な衝突を引き起こす。
方法Bは,試験台に垂直方向に非同期運動を二つの駆動点(図A.2参照)で異なる速度を与える方法で
ある。その結果,運動は徐々に鉛直方向から動揺に変化し,垂直方向の運動はバウンスを,動揺は柵支柱
との衝突を引き起こす。
この試験方法において要求する運動を発生する機構を,図A.2に示す。
注記 これらの試験方法で使用する設備は技術的に古く,この目的以外には不適切である。これらの
設備は,試験のテーラリングに対する柔軟性が不十分であるが,バウンス試験として比較的簡
単な方法である。
なお,テーラリングとは,実際の動作環境条件又は輸送中の環境条件に基づいて,試験の条
件を規定する手法をいう。
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単位 mm
各部の寸法は,次による(Aは駆動点間の距離)。
600≦A≦1700
B≧250
C=0.25A±5 %
D=0.08A±5 %
ここに,A:駆動点間の距離
図A.2−機械式バウンス試験機の基本的な駆動機構
A.3.2 方法A:同期円運動
バウンス試験機の試験台の動作は,試験台の各点が,垂直面で直径25.5 mm±0.5 mmの円を描くように
する(4.3参照)。
試験台の最大加速度は,11 m/s2〜12 m/s2とする。これは,試験台の軸を,平均回転速度(285±3)min − 1
の偏心回転することで達成できる。
運送用の供試体は,製品規格に規定する輸送用ケースの“有り”又は“無し”で用意し,試験台上の駆
動シャフト間の中央に,固定せずに置く。
水平運動は,供試体が適切な木製の柵へ周期的に衝突することで制限される。これらの柵は,厚さ50 mm
の松材板の弾力性を模したものとする。
柵によって制限される供試体の水平運動は,全体で50 mm±5 mmになるように調整し,正常位置であ
る試験台中央に供試体を置いたとき,全ての水平方向に,公称25 mmの自由な運動ができなければならな
い(4.6参照)。
柵の上縁は,試験台の上600 mm以下で,供試体の高さ以上の位置にする。
適切な柵の配置をA.2に規定し,図A.1に示す。
A.3.3 方法B:非同期動作
試験台の動作は,線形垂直動作と動揺動作との間で周期的に変化しなければならない。この動作は,
600 mm〜1 700 mmの間隔の2本の横断線の間で,試験台に加える垂直駆動によって生じる(図A.2参照)。
試験台上の駆動点での最大変位の値は,25.5 mm±0.5 mmとする。
二つの駆動点における振動数は,±0.03の許容差で1〜0.9の比率の範囲とする。高速駆動軸は,(285±
5)min−1の平均速度で回転させる。
要求する動作と交差する方向で,変位は,駆動機構の遊びの効果を除いて,原則ゼロとする。
試験台上の駆動点間の距離は,通常,試験する供試体の,試験台に接している底面の寸法の中で,最も
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長いものよりも大きくするものとし,試験施設の寸法は,それに応じて選択する。
注記 必要条件を十分に満たす施設がないときは,外部の利用可能な施設を用いてもよい。その場合,
試験報告書に明示する。
供試体は運送用を,製品規格に規定する輸送用ケースの“有り”又は“無し”で用意し,試験台上の駆
動点間の中央に,固定せずに置く。
水平運動は,供試体が周期的に衝突する,適切な木製の柵によって制限される。これらの柵は,厚さ50 mm
の松材板の弾力性を模したものとする。
柵によって制限される供試体の水平運動は,全体で100 mm〜150 mmになるように調整し,正常位置で
ある試験台中央に供試体を置いたとき,全ての水平方向に,50 mm〜75 mmの自由な運動ができなければ
ならない(4.6参照)。
柵の上縁は,試験台の上600 mm以下で,供試体上端の下25 mm〜75 mmの範囲とする。適切な柵の配
置をA.2に規定し,図A.1に示す。
A.4 試験の厳しさ(箇条5参照)
バウンス試験の厳しさは,試験台の動作及び試験時間によって決まる。振動試験とは対照的に,供試体
の動作を直接規定しない。
ただし,振動試験のための方法論及び試験規格は,加振台又はそれに接続している試験台を制御し,供
試体の負荷が加わった場合でも,規定の動作を実行することが可能である限り,それを適用することがで
きる。振動試験とは対照的に,剛性,及び試験台の動作の均一性に対する要求が緩和される。
ルーズカーゴ試験で生じる繰返しの衝撃は,高周波雑音を発生し,適切なフィルタリングが必要になる。
そのため,高周波での励起は通常考慮しない。さらに,車両の振動に起因する典型的な励起振動数は,お
およそ200 Hz以下である。
伝統的に,ルーズカーゴ試験は,機械的に駆動する固定振幅バウンスの試験機を用いてバウンス試験が
行っている。
それらの試験機は,動作環境又は輸送環境条件によって試験条件を決める,試験のテーラリングに対応
できる柔軟性をもっていない。
試験台の正弦波運動によるルーズカーゴ試験でも同様の欠点がある。その主な目的は,最新の試験装置
で旧来のバウンス試験同様の試験を実施することである。
5.1の正弦波バウンス試験の厳しさには,この意図がある。
対照的に,ランダム振動形のランダムASDスペクトルの試験台への適用は,試験のテーラリングが可能
になる。ただし,これには特定の輸送環境条件に適応したスペクトル及び輸送距離に適応した試験時間が
必要になる。
単一の試験スペクトラムを利用し,固定した試験時間の規格は,測定及び経験に基づいた保守的なアプ
ローチをもっている。この規格の使用者は,それらがカバーする輸送環境条件及び輸送距離を十分に確認
するのが望ましい。しかし,多くの用途をもつ製品の保守的な試験では,しばしば製品の質量増加又は寸
法増加の結果となる。輸送中に生じる金銭的損失及び環境負荷には,特に考慮することが望ましい。
一連の輸送データがない場合には,標準スペクトルを用いることができる(JIS C 60068-2-64,JIS Z 0232,
IEC/TR 60721-4-2,又はASTM D 4169を参照)。
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A.5 バウンス試験のための供試体の軸及び方向(箇条8参照)
供試体の試験のために選択したバウンスの軸及び方向は,輸送中の姿勢を代表するものであることが望
ましい。常に専用の台座を用いて輸送する供試体は,その台座に載せた状態でバウンス試験を実施する。
複数の面に対して試験が可能な供試体に対しては,製品規格に規定する各面について試験を行うことが望
ましい。
A.3に規定した二つの試験方法,すなわち,車両の荷台側面との衝突,及び他の貨物との衝突を模擬す
る試験において,各設置面を水平面内で規則的に,何回も90°回転する必要がある。そうすることによっ
て,供試体と試験機の柵との衝突力が,各垂直面に加わる。
A.6 積み重ねられた供試体(箇条8参照)
車両内で,輸送ケースが縦に積み重ねられる場合,上層及び下層とが受ける環境条件の間には著しい違
いが起こることがある。
供試体の輸送ケースが下層にある場合には,その輸送ケースが最もきずつきやすく,一方,上層では輸
送ケースの中身が最もきずつきやすい。これらの状況では,積み重ねられた供試体の位置を変えることが,
必要な場合がある。
上層の影響をシミュレートするために,ダミー負荷を用いてもよい。
A.7 機能検査(箇条7及び箇条10参照)
A.7.1 部品及び機器
供試体への損傷は,性能の変化として検知する場合もあるが,通常は,ねじの緩み,機械部品の故障 及
び/又は接続部の損傷といった機械的性質のものである。試験の終了時には,この種の損傷及びその損傷
が性能に及ぼす影響を,特に注意することが望ましい。
A.7.2 輸送ケース又は包装を含む供試体
輸送ケース又は包装品を含む供試体の性能を評価する場合,ねじ又は留め具の僅かな緩み,又はケース・
附属品の損傷の有無,負荷分散用の部品の強度不足及び取付位置のずれ,並びにクッション又は隙間充塡
材が供試体を安定させる位置に落ち着いているか集まった場所について,注意することが望ましい。試験
では,例えば,こすれによる保護コーティングの損傷のような,耐候性保護の劣化を引き起こす可能性が
ある。
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附属書B
(参考)
衝突試験の比較
この附属書は,各種の衝突試験の違いについて記載する。それぞれの試験の目的は,表B.1を参照。
表B.1−異なる衝突試験の比較
試験記号Ea:衝撃(JIS C 60068-2-27)
この試験の目的は,輸送中又は各種のクラスの車両に搭
載した部品及び動作中の機器が,遭遇するおそれのある繰
返し,又は非繰返しの衝撃の影響を再現することである。
試験記号Ec:落下試験及び転倒試験
(JIS C 60068-2-31)
この落下及び転倒試験は,修繕作業中又はテーブル上若
しくはベンチ上での粗雑な取扱い中に,機器タイプの供試
体が主として受けるおそれがある,打撃又は急激な揺れの
影響を評価することを目的とした簡単な試験である。
試験記号Ee:バウンス(この規格)
この試験の目的は,不規則な道路面上を走る走行車両内
で固定していない貨物として運ぶ供試体が受ける,繰り返
し衝撃の影響を再現することである。
衝撃試験では,供試体を衝撃試験機に取り付けて実施する。一方,落下及び転倒,自然落下,繰返し自
然落下並びにバウンス試験では,供試体を試験機に固定しないで実施する。
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参考文献 JIS C 60068-2-27 環境試験方法−電気・電子−第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-27,Environmental testing−Part 2-27: Tests−Test Ea and
guidance: Shock(IDT)
JIS C 60068-2-31 環境試験方法−電気・電子−第2-31部:落下試験及び転倒試験方法(試験
記号:Ec)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-31,Environmental testing−Part 2-31: Tests−Test Ec: Rough
handling shocks, primarily for equipment-type specimens(IDT)
JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17025,General requirements for the competence of testing and
calibration laboratories(IDT)
IEC 60050-300,International Electrotechnical Vocabulary−Electrical and electronic measurements and
measuring instruments
− Part 311: General terms relating to measurements
− Part 312: General terms relating to electrical measurements
− Part 313: Types of electrical measuring instruments
− Part 314: Specific terms according to the type of instrument
IEC 60068-5-2,Environmental testing−Part 5: Guide to drafting of test methods−Terms and
definitions
IEC/TR 60721-4-2,Classification of environmental conditions−Part 4-2: Guidance for the correlation
and transformation of environmental condition classes of IEC 60721-3 to the environmental tests of
IEC 60068−Transportation
ISO 2041,Mechanical vibration, shock and condition monitoring−Vocabulary