C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 標準大気条件 ··················································································································· 6
4.1 標準基準大気条件 ·········································································································· 6
4.2 判定のための測定及び試験に用いる標準大気条件 ································································· 6
4.3 測定及び試験に用いる標準大気条件··················································································· 7
4.4 後処理条件 ··················································································································· 7
4.5 標準予備乾燥条件 ·········································································································· 8
5 試験方法の適用 ················································································································ 8
6 一連耐候性試験 ················································································································ 8
7 部品の耐候性カテゴリー ···································································································· 8
8 試験の適用 ······················································································································ 9
9 ある量を表す数値の意味 ···································································································· 9
9.1 概要 ···························································································································· 9
9.2 許容差を付けた公称値で表す量 ························································································ 9
9.3 数値による範囲で表す量 ································································································ 10
附属書A(規定)部品の耐候性カテゴリー ··············································································· 11
附属書B(参考)環境試験に対する一般的指針 ·········································································· 12
附属書C(参考)環境試験のテーラリング ··············································································· 18
附属書JA(参考)第2部の規格群に用いる試験記号 ·································································· 24
参考文献 ···························································································································· 26
C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本
規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS C 60068-1:1993は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 60068の規格群には,次に示す部編成がある。第1部〜第3部の各部ごとの更なる部編成は,個別
規格の“まえがき”に記載されている。
JIS C 60068-1 第1部:通則及び指針
JIS C 60068-2 第2部:試験方法
JIS C 60068-3 第3部:支援文書及び指針
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日本工業規格 JIS
C 60068-1:2016
(IEC 60068-1:2013)
環境試験方法−電気・電子−第1部:通則及び指針
Environmental testing-Part 1: General and guidance
序文
この規格は,2013年に第7版として発行されたIEC 60068-1を基に,技術的内容を変更することなく作
成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項及び附属書JAは,対応国際規格にはない事項であ
る。
1
適用範囲
この規格は,JIS C 60068の規格群に示す一連の環境試験方法及びその適切な厳しさ,さらに,輸送,保
管及び使用の全ての状況で予期される条件下における供試品がもつ能力を評価するための測定及び試験に
対する各種の環境条件の通則について規定する。
この規格は,主として電気・電子製品を対象としているが,それらに限定せずに,他の分野にも適用す
ることができる。
供試品特有の環境試験方法は,製品規格に規定してもよい。
環境試験のテーラリング(附属書C参照)の枠組みは,適切な試験条件及び厳しさの試験仕様を作成す
るための補助手段を与えるものである。
JIS C 60068の規格群は,仕様書の作成及び製品試験のために,均一で再現性がある一連の環境試験,す
なわち耐候性試験,機械的試験及びそれらの複合試験の試験方法を規定するとともに,測定及び試験に用
いる標準大気条件を規定する。
これらの試験方法は,有効な国際的技術経験及び審議に基づいており,主に供試品が次の性能をもつか
否かを調べるために規定する。
a) 温度,気圧,湿度,機械的ストレス,その他の環境条件及びこれらの条件の組合せにおける環境条件
限度内で動作する能力
b) 輸送,保管及び据付の条件に耐える能力
注記1 JIS C 60721の規格群には,環境条件の分類システム及び関連事項の規定がある。
注記2 JIS C 60068-2の規格群には,試験記号が用いられている(附属書JA参照)。
抜き取った供試品の性能は,この規格による試験で比較することができる。ロットの品質又は耐用寿命
を評価するためには,適切なサンプリングプランに従って抜き取った供試品に対して,各種の試験方法を
適用することが望ましい。追加試験が必要な場合には,適切な試験を追加してもよい。
幾つかの試験は,種々の環境条件の厳しさに応じて,複数の厳しさの程度を用意する。これらの厳しさ
の程度は,時間,温度,気圧などの決定要因を単独又は組合せによって変える。
試験及びその厳しさの程度は,特定の供試品が遭遇する可能性がある,実際の環境条件を基にすること
2
C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
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が望ましい。その環境条件によって,環境試験のテーラリングのための枠組み及び必要なフェーズ(段階)
を設定する。環境試験のテーラリングは,特定の供試品のための試験仕様を作成するために用いてもよい。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60068-1:2013,Environmental testing−Part 1: General and guidance(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 60068-2(規格群) 環境試験方法−電気・電子−第2部:試験
注記 対応国際規格:IEC 60068-2(all parts),Environmental testing−Tests
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
注記 この規格で規定する試験は,供試品に対する単独の試験又は組合せの試験の影響を判定するた
めの一連の操作から構成されている。
3.1
試験操作(test)
その名称によって表される一連の完全な操作。通常,次のうちの必要となる操作で構成される。
a) 前処理(pre-conditioning)
b) 初期測定(initial examination and measurements)
c) 試験(testing)
d) 後処理(recovery)
e) 最終測定(final examination and measurements)
注記1 試験中及び/又は後処理中に,中間測定(intermediate measurements)が要求される場合があ
る。
注記2 供試品の測定のための前処理の温度及び湿度が,前処理の規定値と同じ場合には,それぞれ
の前処理を共通にできると考え,前処理を供試品の測定のための前処理としてもよい。
3.2
前処理(pre-conditioning)
供試品の試験前の履歴の影響を取り除いたり,部分的に中和させたりすることを目的とした供試品の処
理。
注記1 前処理が要求された場合,それは試験手順の最初の過程となる。
注記2 前処理は,測定及び試験前に供試品の特性を安定させるため,製品規格に規定する気候的,
電気的,その他の条件に供試品を置いてもよい。
3.3
試験(testing)
環境条件が供試品に及ぼす影響を調べるために,供試品を規定の環境条件に置くこと。
3
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3.4
後処理(recovery)
試験後,測定前に実施する供試品を安定させるための処理。
3.5
供試品(specimen)
JIS C 60068の規格群の手順に従って試験するための製品。
注記 “供試品”には,例えば,冷却及び加熱システムのように,供試品に不可欠な機能的特徴をも
つ補助部分又はシステムを含む。
3.6
発熱供試品(heat-dissipating specimen)
表面上の最高温度点を,大気状態で4.3に規定する気圧で温度安定に達した後に測定したとき,周囲雰
囲気の温度と供試品との温度差が5 Kを超える供試品。
注記 供試品が発熱供試品か非発熱供試品かを分類するための測定は,測定及び試験に用いる標準大
気条件で実施し,測定が外部の影響(例えば,通風,日射など)を及ぼさないように注意する。
大形の供試品又は複雑な供試品の場合には,数点で測定する必要があるかもしれない。
3.7
大気状態(air conditions)
空気の動きが,発熱供試品だけから影響を受けるような無限の広がりをもつ空間の状態。
3.8
製品規格(relevant specification)
供試品に対する一連の要求事項,及び要求事項を満足するかどうかの判定に必要な方法を規定した規格。
3.9
周囲温度(ambient temperature)
空気の温度(詳しい定義は,3.9.1及び3.9.2による。)。
注記 これらの定義を適用するに当たっての指針は,JIS C 60068-3-1に記載がある。
3.9.1
非発熱供試品(non-heat-dissipating specimens)の場合の周囲温度
供試品周囲の空気の温度。
3.9.2
発熱供試品(heat-dissipating specimens)の場合の周囲温度
供試品の熱放散の影響が無視できる距離の大気状態の空気の温度。
注記 実際の周囲温度は,供試品と槽壁との距離の1/2又は供試品から1 mのいずれか小さい距離に
おいて,供試品の0 mm〜50 mm下方の水平面で多数の点で測定した温度の平均値を算出する。
これらの測定には,発熱の影響を避けるために適切な注意を払うことが望ましい。
3.10
表面温度(surface temperature)
供試品の表面の指定した1点又は数点で測定した温度。
ケース温度(case temperature)ともいう。
3.11
温度安定(thermal stability)
4
C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
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供試品の全ての部分の温度が,最終温度の3 K以内,又は製品規格の規定値以内に達した状態。
注記1 非発熱供試品の場合,最終温度は,供試品が置かれている槽内の(時間的)平均温度となる
と推測される。発熱供試品の場合には,繰り返し測定して,3 K又は製品規格の規定値の温
度変化があった時間間隔を測定する。連続する2回の測定時間の間隔の比が1.7を超えたと
き,温度安定は達成される。
注記2 供試品の熱時定数が規定温度での測定時間と比較して小さい場合には,測定の必要はない。
供試品の熱時定数が,規定温度での測定時間と同程度の場合には,次の事項を確認すること
が望ましい。
a) 非発熱供試品の場合には,(時間的)平均周囲温度が,規定値内にある。
b) 発熱供試品の場合には,繰り返し測定して,3 K又は製品規格の規定値の温度変化があ
った時間間隔を測定し,連続する2回の測定時間の間隔の比が1.7を超えている。
発熱供試品及び非発熱供試品の試験に関する背景情報は,JIS C 60068-3-1に記載がある。
注記3 実際には,供試品の内部温度を直接測定することが不可能な場合がある。その場合には,供
試品に温度依存性があり,温度依存性の法則が分かっている供試品の他のパラメータを測定
することによって内部温度を確かめてもよい。
3.12
試験槽(chamber)
規定の条件を達成できる部分をもつ,囲い又は部分空間。
3.13
有効空間(working space)
規定の条件を許容値内に維持できる試験槽の部分。
3.14
複合試験(combined test)
供試品に,二つ以上の試験環境の条件を同時に加える試験。
注記1 同時に加える試験環境の条件であっても,次の組合せの場合,複合試験とはいわない。
a) 温度及び湿度
b) 温度,湿度及び化学的に活性な物質を含む規定の媒質
c) 温度及び日射
注記2 原則として,複合試験は,耐候性環境及び機械的環境の条件を同時に加えるときに用いる。
注記3 測定は,通常,試験の開始時及び終了時に実施する。
3.15
組合せ試験(composite test)
供試品を,短い時間間隔で二つ以上の試験環境に移行させる試験。
注記1 次の試験環境に移行する時間間隔が供試品に重大な影響を与える場合には,移行する時間間
隔が詳細に決められている。
注記2 前処理,後処理又は安定させるための期間は,通常,異なる試験環境に移行する間に実施し
ない。
注記3 測定は,通常,最初の試験環境の開始前及び最終の試験環境の終了時に実施する。
3.16
一連試験(sequence of tests)
5
C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
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供試品を,連続で二つ以上の試験環境に移行させる一連の試験。
注記1 供試品をある試験環境に置いた後,次の試験環境に置くまでの時間は,通常,その時間が供
試品に重大な影響を与えないように設定する。
注記2 前処理及び後処理は,通常,異なる試験環境に移行する間にも実施する。
注記3 測定は,通常,各試験環境の前後で実施し,前の試験の最終測定は次の試験の初期測定を兼
ねる。
3.17
基準大気条件(reference atmosphere)
ある大気条件での測定値を,算出によって補正するために基準とする大気条件。
3.18
判定のための測定(referee measurements)
大気条件に敏感なパラメータを基準大気条件に合わせるための補正係数が不明で,推奨された大気条件
の範囲内で満足に測定できない場合,厳密に管理された大気条件で繰り返して実施する測定。
3.19
(供試品の測定のための)前処理[conditioning (of a specimen for measurement)]
規定の相対湿度の大気中,水中又は水以外の液体中に,供試品を規定の温度に規定時間置くこと。
注記 供試品の測定のための前処理を実施する場所は,状況に応じて,規定の条件が規定の許容値内
に維持できる試験室か,又は特別な試験槽でもよい。
3.20
環境試験のテーラリング(environmental test tailoring)
試験対象の供試品が遭遇する実際のフィールドの環境条件に基づいて,試験手順及び試験仕様を作成す
る手法又はその一連の作業。このフィールドの条件は,測定結果,文献,その他の関連情報源に基づき,
試験仕様に用いることができるように要約し,変換されたものである。
注記1 この規格に記載する環境試験のテーラリングは,情報の一貫した順序としての枠組みを説明
するため,一般的な様式としている。
注記2 試験のテーラリングには様々な方法及び実践があるが,互換性のある分析方法及び試験手順
によって,一貫性のあるテーラリングとなるように留意することが望ましい。
注記3 実際には,文献などから信頼性の高いデータを入手すること又は供試品及びその環境の物理
的パラメータを測定できない場合がある。数値シミュレーションは,試験仕様の作成に必要
な環境条件及び製品の応答を決定するために用いることができる。特に,シミュレーション
は,製品のサブアセンブリ及び構成部品,並びに部品単位での環境条件を決定するために役
立つかもしれない。
注記4 環境試験のテーラリングから作成した試験仕様には,この規格の試験及び厳しさを用いるこ
とが望ましい。この規格以外の試験手順及び厳しさは,技術的な信頼性及び/又は立証され
た経済的利益がある場合だけ用いてもよい。この場合,この規格の試験に対する相違の理由
を,試験仕様に記入することが望ましい。
注記5 環境試験のテーラリングでは,主要な故障メカニズムだけに関わる環境条件を再現すること
は,重要ではない。
注記6 加速係数を用いる場合,使用中,保管中又は輸送中に起こる故障とは異なるメカニズムが入
らないように,常に注意することが望ましい。
6
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注記7 環境試験のテーラリングでは,次の事項を確認することが望ましい。
a) 供試品のライフサイクルのプロフィール
b) 主要な故障メカニズム
c) 適切な加速係数
d) 供試品の適切なモデル化
3.21
品質(quality)
ユーザの要求を満たす製品又はサービスの能力。
3.22
耐用寿命(useful life)
与えられた条件で,与えられた時点から故障の度合いが許容できなくなるまでの期間,又は不良によっ
て要求事項が元に戻らないとみなされるまでの期間。
4
標準大気条件
4.1
標準基準大気条件
標準基準大気条件は,次による。
− 温度:20 ℃
− 気圧:101.3 kPa
注記 相対湿度に関する要求事項は,一般的に算出による補正が不可能なため規定しない。
測定するパラメータが温度及び/又は気圧に影響され,かつ,相関関係が知られている場合には,パラ
メータの値は4.3に規定する条件で測定する。必要な場合には,上記の標準基準大気条件に補正する。
4.2
判定のための測定及び試験に用いる標準大気条件
測定するパラメータが温度,気圧及び湿度に影響されるが,それらに対する依存性が不明な場合,規定
に用いる大気条件を,表1から選択する。
表1−判定のための測定及び試験に用いる標準大気条件
温度
℃
相対湿度a)
%
気圧a)
kPa
公称値
許容差
小
許容差
大
狭範囲
広範囲
20
±1
±2
63〜67
60〜70
86〜106
23
±1
±2
48〜52
45〜55
86〜106
25
±1
±2
48〜52
45〜55
86〜106
27
±1
±2
63〜67
60〜70
86〜106
注記1 上記の値は,ISO 554:1976及びISO 3205:1976に規定する値を含む。
注記2 温度25 ℃は,ISO 554:1976及びISO 3205:1976に規定されていないが,
多くの電子部品の試験規格に規定されている。
注記3 許容差小は,判定のための測定で用いてもよい。許容差大は,製品規格で
許容されている場合に限り用いてもよい。
注記4 相対湿度は,試験結果に影響しない場合には無視してもよい。
注a) “〜”で示した範囲は,その上下の値を含める。
7
C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
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4.3
測定及び試験に用いる標準大気条件
測定及び試験に用いる大気条件の標準的範囲を,表2に示す。
表2−測定及び試験に用いる標準大気条件
温度a)
相対湿度a)
気圧a)
15 ℃〜35 ℃
25 %〜75 %
86 kPa〜106 kPa
注a) “〜”で示した範囲は,その上下の値を含める。
温度及び湿度の変動は,供試品に対する処理試験の一部として実施する一連の測定の間,最小に維持す
ることが望ましい。
注記1 製品規格で許容される場合には,大きな供試品又は表の範囲内に温度を維持することが困難
な試験槽において,表の温度範囲を10 ℃〜40 ℃の範囲に拡大してもよい。絶対湿度は,22
g/m3を超えないことが望ましい。
標準大気条件で測定することが困難で,かつ,製品規格で認められている場合には,実際に測定したと
きの環境条件を,試験報告書に記載することが望ましい。
注記2 相対湿度が試験結果に影響しない場合は,無視してもよい。
4.4
後処理条件
4.4.1
一般事項
供試品は,処理試験が終了し,最終測定を実施する前に,周囲温度の条件で安定させることが望ましい。
測定は,安定した後に実施する。
供試品の吸湿又は表面の状態によって,測定する電気的なパラメータが急激に変化する場合には,管理
下にある後処理条件(4.4.2参照)を適用する。例えば,湿度槽から供試品を取り出してから,約2時間以
内に絶縁抵抗値が著しく上昇する場合などがある。
供試品の吸湿又は表面状態によって電気的なパラメータが急激に変化しない場合には,測定及び試験に
用いる標準大気条件(4.3参照)で後処理を実施してもよい。
後処理と測定とを別の槽で実施する場合には,供試品の移動時に供試品の表面に結露が生じないような
温湿度の組合せ条件にする。
大部分のJIS C 60068-2の規格群の試験手順には,適切な後処理条件及び時間が規定されている。製品規
格に規定がない場合には,JIS C 60068-2の規格群の条件を適用する。
4.4.2
管理下にある後処理条件
注記1 管理下にある後処理条件は,“標準後処理条件”ともいう。
管理下にある後処理条件は,次による。
− 温度:実際の試験室温度±1 ℃,ただし,+15 ℃〜+35 ℃の範囲で,4.3に規定する範囲内にある。
− 相対湿度:73 %〜77 %
− 気圧:86 kPa〜106 kPa
− 後処理時間:適用するJIS C 60068-2の規格群の試験方法の条件と異なる場合には,製品規格で規定す
る。
異なる後処理条件が必要となる特殊な場合には,その条件を製品規格に規定する。
注記2 これらの管理下にある後処理条件は,前処理条件として用いてもよい。
8
C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.4.3
後処理の手順
供試品は,別の槽(後処理槽)が必要な場合には,処理試験後,10分間以内に後処理槽に置く。製品規
格において,後処理後直ちに測定することを要求している場合には,測定は後処理槽から取り出した後30
分間以内に終了させる。測定は,供試品を後処理の雰囲気から取り出した後,最も急速に変化することが
予想される特性から実施する。
供試品の湿度の吸収及び放出を防ぐため,供試品を取り出すときの後処理槽の温度と試験室の周囲温度
との温度差は,1 ℃以内とする。このためには,熱伝導が良く,相対湿度の精密な制御ができる槽を必要
とする。
4.5
標準予備乾燥条件
一連の測定を開始する前に予備乾燥を必要とし,製品規格に規定がない場合には,表3の条件に6時間
置く。
表3−標準予備乾燥条件
温度
相対湿度
気圧a)
55 ℃±2 ℃
20 %以下
86 kPa〜106 kPa
注a) “〜”で示した範囲は,その上下の値を含める。
標準予備乾燥条件で予備乾燥が実施できない場合には,実際に実施した条件を試験報告書に記載する。
高温試験で規定する試験温度が55 ℃未満の場合には,規定する温度で予備乾燥を実施する。
5
試験方法の適用
製品規格で試験方法を規定している場合には,その試験方法を形式認証,品質認証及び品質維持,又は
それに類似の目的のために用いることができる。
6
一連耐候性試験
主に部品を対象として,一連の耐候性試験が要求される場合には,低温,高温,減圧及び湿度サイクル
試験に相互依存性があるとみなし,それらを“一連耐候性試験”として扱う。この試験の手順は,次のと
おりとする。
− 高温
− 湿度(サイクル)(試験Dbの上限温度条件55 ℃での最初のサイクル)
− 低温
− 減圧(必要な場合)
− 湿度(サイクル)(試験Dbの上限温度条件55 ℃での残りのサイクル)
それぞれの試験の間隔は,3日間を限度とする。ただし,最初のサイクルの耐湿試験と低温試験との間
隔は,後処理時間を含めて,2時間を限度とする。試験中に測定することが規定されていない場合には,
通常,一連耐候性試験の開始前及び終了後だけ測定する。
7
部品の耐候性カテゴリー
部品の耐候性に関する分類を用いる場合には,附属書Aに含まれる一般原則を基本とする。全てのシス
テムに共通する部分には,耐候性カテゴリーを適用する。
9
C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8
試験の適用
環境試験についての一般的指針を,附属書Bに示す。
製品規格には,供試品の試験を“通電状態”又は“非通電状態”のいずれで実施するかを規定する。ま
た,輸送用包装が供試品の一部とみなされ,供試品を包装状態のままで試験することが適切な場合には,
製品規格に包装状態のままで試験することを規定してもよい。
供試品の寸法及び/又は質量によって,供試品全体で試験するのが不適切か,又は実際的ではない場合
には,主要なサブアセンブリを別々に試験し,必要な情報を得てもよい。その場合の手順の詳細は,製品
規格に規定する。
注記 この手順は,サブアセンブリが相互に影響を受けない場合だけに適用することができる。
9
ある量を表す数値の意味
9.1
概要
この規格及びこの規格に基づく各環境試験方法(JIS C 60068-2規格群)に規定する各種パラメータ(温
度,湿度,ストレス,時間など)を表す数値は,それぞれの試験の必要性に応じて異なった方法で表現し
ている。
次の二つの方法が最もよく用いられており,これらの数値の意味を9.2及び9.3に示す。
− 許容差を付けた公称値で表す量
− 数値による範囲で表す量
9.2
許容差を付けた公称値で表す量
許容差を付けた公称値で表す量の例を,次に示す。
a) 40 ℃±2 ℃
2 s±0.5 s
b) (
)
2
3
93+− % RH
数値で量を表すことは,その規定値で試験することを意図している。許容差を規定する目的は,特に,
次の事項を考慮するためである。
− 試験中の制御装置の調整及び変動(望ましくない緩やかな変化)の抑制の困難さ
− 計測器の誤差
− 試験中の供試品が置かれる試験場所(有効空間)について,何ら特定の許容差を規定していない場合
の環境条件の不均一性
これらの許容差は,試験場所の環境条件の値の調整に幅を認めるためのものではない。そのため,環境
条件を許容差を付けた値で表す場合には,計測器の誤差を見越して環境条件の公称値が得られるように試
験用装置を調整する。
試験用装置の精確さが高く,許容の限度値を超えないであろうと予想される場合でも,試験用装置は,
原則として許容差の範囲の限度値に設定しない。
ある量が100±5という数値で規定されている場合には,計測器の誤差を見越して100を目標値として維
持するように試験用装置を調整するのがよく,95又は105を目標値にしないほうがよい。
試験中に供試品が限度値を超えないようにするために,一方の許容差の限度値の近くに試験用装置を設
定することが必要になる場合がある。
ある量を片側だけに許容差を付けた公称値で表す特別な場合(注記1参照)には,試験用装置(注記2
参照)によって生じる測定の精確さを考慮して,その公称値(許容差の限度値でもある。)にできるだけ近
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
づけるように設定することが望ましい。
注記1 非線形レスポンスなど,特殊な条件で証明できない限り,一般的にこの方法は推奨されてい
ない。
注記2 パラメータの値を測定するために用いる計測器を含む。
ある量が,
0
5
100−のような数値で表され,試験用装置が,試験のパラメータを±1の総合的な精確さで制
御できる場合には,99を目標値として維持するように試験用装置を調整するのがよい。総合的な精確さが
±2.5の場合には,97.5を目標値にするのがよい。
9.3
数値による範囲で表す量
例:
a) 15 ℃〜35 ℃
b) 相対湿度80 %〜100 %
c) 1時間〜2時間
注記 範囲で表す場合には,曖昧さが含まれることがある。例えば,“80 %〜100 %”の場合は,ある
人は80と100とを除外して読むであろうし,他の人はそれらを含めて読むであろう。
記号を用いる場合には,例えば,>80又は≧80は,一般に曖昧さが減るので好ましい。
ある量を数値による範囲で表すことは,試験用装置をこの範囲で調整することにより,試験の結果に与
える影響が極めて僅かであることを示す。
パラメータの制御の精確さ(計測器の誤差を含めて)を許容する場合には,与えられた範囲内でどのよ
うな値を選んでもよい。例えば,温度が15 ℃〜35 ℃と規定されている場合には,この範囲内でどのよう
な値を選んでもよい(ただし,温度をこの範囲内で変動させるようなプログラムは意図していない。)。す
なわち,試験は,通常の周囲温度で実施することを意図している。
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
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附属書A
(規定)
部品の耐候性カテゴリー
試験とその厳しさとの組合せは非常に数多く考えられるが,個別の製品規格で幾つかの標準区分を選択
することで,組合せを減らすことができる。
部品に適した耐候性条件を一般的に示す,合理的な基本コードを用いる場合には,次の方法が望ましい。
カテゴリーは,斜線(/)で区切った3組の数字の列(第1組/第2組/第3組)によって表し,それぞれ
の数字は,部品を置く低温試験の温度,高温試験の温度及び湿度(定常状態)試験の放置日数に対応して
いる。これを表A.1に示す。
表A.1−部品に適した耐候性条件を示す合理的な基本コード
第1組
2桁の数字で,低温試験における最低周囲温度を表す。
なお,温度が1桁の数字で表せる場合には,2桁の数字にするために,マイナスの温度に対しては“0”,
プラスの温度に対しては“+”を前に付ける。
第2組
3桁の数字で,高温試験における最高周囲温度を表す。
なお,温度が2桁の数字で表せる場合には,3桁の数字にするために“0”を前に付ける。
第3組
2桁の数字で,湿度(定常状態)試験(Ca)の日数を表す。
なお,期間が1桁の数字で表せる場合には,2桁の数字にするために“0”を前に付ける。湿度(定常状態)
試験を適用しない場合には,“00”を用いる。
部品は,製品規格に規定されたカテゴリーに属するために,そのカテゴリーに関する一連の全ての試験
を実施し,製品規格の要求事項に適合させる。
カテゴリー55/100/56に属するために,少なくとも次のa),b) 及びc) に関する要求事項に適合させる。
a) 低温
−55 ℃
b) 高温
+100 ℃
c) 湿度(定常状態)
56日間
カテゴリー25/085/04に属するために,少なくとも次のd),e) 及びf) に関する要求事項に適合させる。
d) 低温
−25 ℃
e) 高温
+85 ℃
f)
湿度(定常状態)
4日間
カテゴリー10/070/21に属するために,少なくとも次のg),h) 及びi) に関する要求事項に適合させる。
g) 低温
−10 ℃
h) 高温
+70 ℃
i)
湿度(定常状態)
21日間
カテゴリー+5/055/00に属するために,少なくとも次のj),k) 及びl) に関する要求事項に適合させる。
j)
低温
+5 ℃
k) 高温
+55 ℃
l)
湿度(定常状態)
試験を適用しない。
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
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附属書B
(参考)
環境試験に対する一般的指針
B.1
一般事項
環境試験は,供試品が実際に受ける環境条件をシミュレートするか,又は環境の影響を再現するかのい
ずれかによって,供試品が規定する環境条件に耐え,かつ,動作することの確かさの程度を立証すること
を目的とする。
JIS C 60068-2の規格群の試験方法のねらいは,次による。
− 期待する耐用寿命を考慮して,規定する環境条件で保管,輸送及び動作時における供試品の適応性を
確認する。
− 設計品質又は製造された供試品の品質についての情報を提供する。
ある環境ストレスに相当する試験方法の厳しさをJIS C 60068-2の規格群から選択したり,部分的に試験
方法そのものを選択したりすることは難しい場合がある。多くの場合,現実に受ける環境条件と試験条件
との関係を確立することができるが,全ての供試品に対し,例外なく有効なルールを提供することは不可
能である。
そのため,この規格では,試験及びその厳しさを選定する際に考慮する必要がある本質的な条件を列挙
するにとどめる。供試品に対して実施する試験の順序は,重要なことである。
幾つかの試験については,個別の試験規格であるJIS C 60068-2の規格群の中で,その指針を規定する。
B.2
基本的な考え方
環境試験が必要であって,適切な試験方法がない場合を除き,通常,JIS C 60068-2の規格群の試験方法
を用いるのが望ましい。その理由は,次のとおりである。
a) 試験の繰返し性及び再現性を確保するためには,JIS C 60068-2の規格群の試験方法に完全に適合させ
ることが必要である。
b) JIS C 60068-2の規格群の試験は,非常に多種多様な供試品に適用することができるように,特定の供
試品とは,できるだけ無関係であるように作成されている。供試品は,電気製品でなくてもよい。
c) 異なった試験機関で得られた結果が比較できる。
d) 僅かに異なっただけの試験方法及び試験装置の増加を避けることができる。
e) 同一の試験を継続して実施した結果は,供試品の使用時の性能についての技術情報とすることができ
る。
試験は,できるだけ試験のパラメータで規定し,試験装置では規定しない。ただし,ある種の試験では,
試験用装置を規定することが必要である。
適用する試験方法の選択に当たっては,常に経済性を考慮し,特に二つの異なる試験があって,どちら
も同じ技術情報を提供できる場合には注意することが望ましい。
二つ以上の環境条件を別々に連続して適用しても,望んでいた技術情報が得られない場合には,複合試
験又は組合せ試験を実施することが望ましい。最も重要な複合試験及び組合せ試験は,JIS C 60068-2の規
格群の試験規格に試験規格として規定する。
場合によっては,一連試験の結果から得られる情報よりも,明らかにより良い情報をもたらす場合には,
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環境条件の別の組合せによる組合せ試験を選んでもよい。そのときは,次について考慮することが望まし
い。
− 試験の記述及び試験実施上の考慮
− 結果の解釈上の考慮
B.3
試験条件と実際の環境条件との関係
試験方法を規定するためには,まず,供試品が受ける環境条件の正確な特徴を明確にすることが望まし
い。一方では,明確な法則性がない実際の環境条件を再現することは,ほとんど不可能である。また,試
験が供試品の期待寿命と同じ程度の長時間を要する場合もある。
注記 JIS C 60721の規格群は,実際に遭遇する可能性がある環境条件を明確にする際に貴重な情報を
与えるものである。JIS C 60068-2の規格群の中にある個別の試験に対する指針は,適切な厳し
さの選択に助言を与えるものである。
さらに,使用時の動作条件は,いつも明確になっているわけではない。これらの理由から,一般に多く
の場合,環境試験は,より早く結果を得るために実際に加わるストレスを厳しくした加速試験が実施され
る。
試験の加速係数は,それを適用する供試品に依存するが,試験時間の短縮とストレスの適切な強さとの
間の関係は,必ずしも既知でないことから,加速係数を数値として与えることが難しい。
常に,加速係数が使用時に発生する故障と異なる故障メカニズムとならないように選択することが望ま
しい。
附属書Cに示す環境試験のテーラリングは,体系的技術評価に基づく適切な加速係数によって重要な環
境ストレスを再現するための試験仕様を作成するために用いてもよい。
B.4
環境条件による主な影響
供試品に対する環境条件による主な影響には,腐食,ひび割れ,ぜい弱化,水分の吸着及び吸収並びに
酸化が含まれる。これらは,材料の物理的性質及び/又は化学的性質の変化によって生じる場合がある。
ある単一環境条件による主な影響及びその結果の故障を,表B.3に示す。ただし,放射線及びかびによ
る環境条件の例は,示してない。
B.5
部品に対する試験と部品以外の供試品に対する試験との違い
B.5.1 部品に対する試験
一般に,部品が動作しているときの詳細な環境条件は,その部品の設計時点では分からないことが多い。
部品は,いろいろな機器又は製品の中で,その機器又は製品自体が受ける環境とは違った条件で用いられ
ることもある。
部品は,異なる試験に異なるロットから十分な数量の供試品を用いることが可能であり,試験結果の統
計解析が可能である。また,破壊試験を採用することも可能である。
B.5.2 部品以外の供試品に対する試験
一般的に,費用が高い供試品の場合,試験のために入手できる供試品の数は少ない。複雑な装置又は製
品の場合には,供試品が1台だけのことも多く,アセンブリ又はアセンブリの一部だけが試験に提供され
ることもある。通常,破壊試験は不可能であり,試験の順序は非常に重要である。ある場合には,部品,
部品のアセンブリ,サブアセンブリなどの試験結果を利用して,製品全体での試験を減らしてもよい場合
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がある。
B.6
一連試験
B.6.1 まえがき
ある環境条件によって供試品に与える影響が,供試品が置かれた前の条件に依存する場合には,規定の
順序で種々の試験を実施する必要がある。
一連試験では,供試品をある試験環境に置いた後,次の環境に置くまでの時間間隔は,通常,供試品に
重大な影響を与えない時間としている。時間間隔が影響を与える場合には,組合せ試験を実施することが
望ましい。組合せ試験では,供試品を異なる試験環境に移行する時間間隔が供試品に重大な影響を与える
ことがあるので,時間間隔を詳細に規定している。
例
a) 組合せ試験:
試験Z/AD[温湿度組合せ(サイクル)試験)(JIS C 60068-2-38)
b) 一連試験:
試験T(はんだ付け性試験)(JIS C 60068-2-20)を実施し,
次に,試験Na(温度変化試験)(JIS C 60068-2-14)を実施し,
その次に,試験Ea(衝撃試験)(JIS C 60068-2-27)を実施する。
B.6.2 一連試験の選択
一連試験が意図した目的に応じた試験の選択は,場合によっては相反することを考慮する場合がある。
これらの目的及び適切な適用は,表B.1による。
表B.1−目的及び用途に応じた試験の選択
目的
主な用途
a)
最も厳しい試験から始めて,一連試験の初期の段階
で,故障の傾向についての技術情報を得る。ただし,
供試品が追加の試験に耐えられない場合には,一連試
験の最後に実施する。
開発試験。
一般的には,試作品の性能の調査の一部として用い
る。
b)
厳しさの最も緩い試験,例えば,非破壊試験から始め
て,供試品が損傷を受ける前にできるだけ多くの技術
情報を得る。
開発試験。
一般的には,試作品の性能の調査の一部として用い
る。特に,供試品の数が限られている場合に用いる。
c)
最も重大な影響を与えるための一連の試験として用
いる。
特に,ある試験では,前の試験によって起きた損傷が
顕在化するかもしれない。
部品及び機器の標準化された形式認定試験
d)
実際に最も起こりやすい環境条件の順序をシミュレ
ートする一連の試験として用いる。
使用条件が既知である機器及びシステム全体の形式
認定試験
B.6.3 部品に対する一連試験
全ての種類の部品に適用できる共通的な一連試験を標準化することは難しいので,製品規格に適切な一
連試験を規定することが望ましい。
ただし,一連試験の選択に際しては,次の事項を考慮するのがよい。
a) 温度急変を伴う試験は,一連試験の最初に実施するのがよい。
b) 端子強度及びはんだ付け試験(はんだ耐熱性試験を含む。)は,一連試験の早い段階に実施するのがよ
い。
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c) 次に,機械的試験の全て又は一部を実施するのがよい。その結果,温度急変によって起こりやすい欠
陥が助長され,ひび割れ,漏れなどの新たな欠陥の発生が促進される。このような欠陥は,一連試験
の最後に実施する耐候性試験で容易に検出できる。別途規定がない場合には,これらの耐候性試験は,
箇条6の一連耐候性試験の規定に従うことが望ましい。
d) 低温試験及び高温試験は,短時間による温度の影響が確認できるようにするため一連試験の早い段階
に実施するのがよい。温湿度サイクル試験は,あらゆるひび割れにも水分を浸入させ,その効果は低
温試験及び減圧試験でも促進されるであろう。温湿度サイクル試験を続けることで,存在するあらゆ
るひび割れにも更に水分が浸入し,後処理後の電気的パラメータの測定値の変化によってこれが確認
できるかもしれない。
e) ある場合には,封止試験を,ひび割れ又は漏れの迅速な検出に用いてもよい。
f)
高温高湿(定常)試験は,一連試験の最後に実施することが多い。一連試験に含まれていない場合に
は,一連試験に用いたものとは別の供試品でこの試験を実施し,湿気のある状態での部品の長期間の
経時変化を確認する。
g) 腐食,落下,転倒及び日射試験は,通常,一連試験に含まれない。必要に応じて,別の供試品で実施
することが望ましい。
B.6.4 機器に対する一連試験
B.6.4.1 一連試験の選択
一連試験は,できる限り動作状態での使用条件の技術情報に基づいて確認するのがよい。
この技術情報が得られない場合には,使用中に最も重要な影響を与えると思われる一連試験を実施する
ことを推奨する。ほとんど全ての種類の機器に適する一連試験を次に示す。ただし,機器の目的とする用
途に関係する重要な試験だけを実施するのがよい。
B.6.4.2 最も重要な影響を与える一般的な一連試験
多くの種類の機器に適切と考えられる一般的な一連試験の例を,表B.2に示す。
表B.2−機器に対する一般的な一連試験
試験
注意事項
試験記号A
低温
供試品が後から実施する試験で更に影響を受けやすくなるような,機械
的ストレスを発生することがある。
試験記号B
高温
試験記号N
温度急変
試験記号E
衝撃a)
供試品が直ちに故障するか,又は後から実施する試験で更に影響を受け
やすくなるような,機械的ストレスを発生することがある。
試験記号F
振動a)
試験記号M
減圧
これらの試験を実施することによって,先に実施した熱的ストレス及び
機械的ストレスを与える試験の影響が顕在化することがある。
試験記号Db 温湿度サイクル
(12+12時間サイクル)
試験記号C
高温高湿(定常)b)
これらの試験を実施することによって,先に実施した熱的ストレス及び
機械的ストレスを与える試験の影響が更に助長されることがある。
試験記号K
腐食b)
試験記号L
砂じん(塵)
(又は試験記号R 耐水試験)
固形物の侵入
水の浸入(例えば,雨)
JIS C 60068-2の規格群の試験記号L又は試験記号Rの作業が終わる直前
に,JIS C 0920の試験を実施することが望ましい。
注a) 試験記号Eと試験記号Fとの試験順序を逆にしてもよい。
b) 高温高湿(定常)試験及び腐食試験は,できるだけ他の試験とは別の供試品で実施することが望ましい。
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B.6.4.3 特別に実施する試験
次の試験は,製品が使用中に特別な環境条件によって影響を受ける可能性がある場合だけに規定するこ
とが望ましい。
− G: 定加速度
− J: かび
− S: 日射
− オゾン
− 結氷
かび試験は,できるだけ他の試験とは別の供試品で実施することが望ましい。
注記 オゾン及び結氷の試験方法はないが,IEC 60068-2の規格群として検討中である。
表B.3−単一環境条件による主な影響
環境条件
主な影響
代表的な故障の例
高温
− 熱劣化:酸化,ひび割れの発生,化学反応
− 軟化
− 溶融
− 昇華
− 粘度の低下
− 蒸発
− 膨張
− 絶縁不良
− 機械的故障
− 機械的ストレスの増加
− 膨張又は潤滑性の低下による運動部分の
摩耗の増加
低温
− ぜい弱化
− 結氷
− 粘度の増加及び凝固
− 機械的強度の低下
− 物理的収縮
− 絶縁不良
− ひび割れの発生
− 機械的故障
− 収縮又は潤滑性の低下による運動部分の
摩耗の増加
− シール及びガスケットの封止故障
高湿度
− 水分の吸収又は吸着
− 膨れ
− 機械的強度の低下
− 化学反応:腐食及び電気分解
− 絶縁物の導電性の増加
− 物理的破壊
− 絶縁不良
− 機械的故障
低湿度
− 脱水
− ぜい弱化
− 機械的強度の低下
− 収縮
− 運動接触部分の摩滅の増加
− 機械的故障
− ひび割れの発生
加圧
− 圧縮
− 変形
− 機械的故障
− 漏れ(封止故障)
減圧
− 膨張
− 空気の電気的絶縁性の低下
− コロナ及びオゾンの発生
− 冷却効果の低下
− 機械的故障
− 漏れ(封止故障)
− フラッシュオーバ
− 過熱
日射
− 化学的,物理的及び光化学的反応
− 表面劣化
− ぜい弱化
− 退色,オゾンの発生
− 加熱
− 局所的加熱及び局所的機械的ストレス
− 絶縁不良
− “高温”の故障の例も参照
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表B.3−単一環境条件による主な影響(続き)
環境条件
主な影響
代表的な故障の例
砂じん(塵)
− 摩滅及び侵食
− 固着及び目詰まり
− 熱伝導の低下
− 静電気の影響
− 摩耗の増加
− 電気的故障
− 機械的故障
− 過熱
腐食性雰囲気
− 化学反応:腐食及び電気分解
− 表面劣化
− 導電性の増加
− 接触抵抗の増加
− 摩耗の増加
− 機械的故障
− 電気的故障
風
− 風圧
− 疲労
− 堆積物
− 目詰まり
− 侵食
− 励起振動
− 構造的破損
− 機械的故障
− “砂じん”及び“腐食性雰囲気”の故障の
例も参照
降雨
− 水分の吸収
− 熱衝撃(急激な温度変化)
− 侵食及び腐食
− 電気的故障
− ひび割れの発生
− 漏れ
− 表面劣化
ひょう
− 侵食
− 熱衝撃
− 機械的変形
− 構造的破損
− 表面損傷
雪又は結氷
− 機械的負荷
− 水分吸収
− 熱衝撃
− 構造的破損
− “降雨”の故障の例も参照
温度急変
− 熱衝撃
− 局所的加熱の影響
− 機械的故障
− ひび割れの発生
− 封止の損傷
− 漏れ
オゾン
− 急激な酸化
− ぜい弱化(特に,ゴム)
− 空気の電気的絶縁性の低下
− 電気的故障
− 機械的故障
− 割れ
− ひび割れの発生
定加速度
振動
バンプ又は衝撃
− 機械的ストレス
− 疲労
− 共振
− 機械的故障
− 運動部分の摩耗増加
− 構造的破損
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附属書C
(参考)
環境試験のテーラリング
C.1 一般事項
実際のフィールドの環境条件に基づいて,現実的な試験手順を作成するための手法及び一連の作業(プ
ロセス)は,一般に,環境試験のテーラリングと呼ばれている。この考え方は,実際の環境条件を再現す
ることではなく,供試品に及ぼす環境条件の効果を再現することである。この手法は,実際に起こった環
境ストレス及びその厳しさに不確実さがある場合に用いる。
この規格では,環境試験のテーラリングによる手法の一般的な枠組みを示す。
異なる環境要因及びその組合せによる試験のテーラリングの一般的なアプローチとしては,多くのツー
ル及び方法を選択することができる。
試験のテーラリングによる手法は非常に複雑な場合もあり,試験を実施する関係者は,基本的な仮定及
び実施する試験の目的を理解しておくことが望ましい。
ここに示す枠組みは,統一された技術的アプローチによって保証された,基本的で主要なフェーズ(段
階)に対する共通の手法となる。さらに,この枠組みは,広く合意された用語を用いるので,情報の適切
な流れを用意している。
C.2 基本的な検討事項
この規格では,環境試験の一般的で簡易なテーラリングを示す。この手法は,全ての環境要因における
システム又はサブシステムに適用することが可能である。
試験仕様の開発に当たっては,適切な加速係数及び体系的な技術評価を基礎とした試験の組合せを用い
ることによって,重要な環境ストレスを再現させる。
不確実さを取り扱うための原則として,製品のライフサイクルのプロフィール,環境条件,製品の物理
的特性及び試験の供試品数を規定することが望ましい。
環境試験は,規定された環境条件において,供試品がある程度の保証のもとで生き残り,かつ,動作す
ることを実証することを意図している。試験のテーラリングによる手法は,保証する程度の情報,例えば,
加速係数の評価を作成するために用いることができる。
環境試験を実施する必要がある場合には,JIS C 60068-2の規格群の中に適切な試験がない場合を除き,
常にこの規格群の試験方法を用いることが望ましい。
ここに示す環境試験のテーラリングによる手法は必須ではなく,別の多少異なるフェーズ及び用語によ
るテーラリングを用いてもよい。ただし,この規格に示す主要なフェーズ(図C.1参照)を考慮すること
が望ましく,成果の文書類(表C.1参照)は,試験のテーラリングを成功させるために,重要な要因を正
しく評価することを保証することが望ましい。
C.3 環境試験のテーラリング
C.3.1 一般的なテーラリング
環境試験のテーラリングの主要なフェーズを,図C.1に示す。実際には,テーラリングの各フェーズは,
更に詳細なステップに分かれる。最終的に,より詳細なテーラリングは,特定の供試品に対するそれぞれ
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の目標,用途及び入手した情報に依存する。
理想的には,テーラリングの作業は,製品の開発者,最終顧客,下請け,コンサルタント及び試験機関
が協力して実施する。テーラリングの各段階の内容及び責任は,関係者一同の合意による。得られた結果
は文書化し,将来の使用及び開発のために保存する。この文書は,新しい情報が得られた場合,最新版に
改訂する。目標は,実行する作業の背景の理由付けの文書化とともに,柔軟で反復可能な作業手法をもつ
ことである。主要なフェーズにおける情報の流れ及びそれに対応する作業の例を,表C.1に示す。
環境試験のテーラリングのための管理計画
実環境から見たライフサイクルのプロフィール
環境条件の識別
試験仕様の作成
図C.1−環境試験のテーラリングによる一連の作業
表C.1−テーラリングによる情報の流れ及びそれに対応する作業
インプット
作業
アウトプット
1. 環境試験のテーラリングのための管理計画
背景情報
− 必要性,市場の可能性,及び技
術的並びに経済的な事情
新しい要求事項又は要求事項の更新
システム又はサブシステムのレベル
試験のテーラリング規格及びハンド
ブック
計画
目標,方策,参加者,責任,資源,
予定表,資金繰り
システム及びサブシステムのレベル
境界条件,制限事項
難易度,費用に関するテーラリング
のレベル
技術的及び財政的リスク
環境試験のテーラリングのための管
理計画(ETTMP)
− 概要,目標及び方策
− 成果物
2. 実環境から見たライフサイクルのプロフィール
ライフサイクルのプロフィール及び
環境条件に関する既存の知識
経験,顧客,文献,規格,ハンドブ
ック及びデータベース
ライフサイクル,使用負荷のサイク
ル
内的及び外的環境条件
自己生成物などの影響(例えば,自
己発熱の影響)
データの収集及び開発
起こる可能性のある全ての環境条件
に関する情報,特性及び起こる確率
共存,並列又は直列での環境条件の
存在及びその影響
想定される故障モード
重要な環境要因及び対応する故障モ
ードの評価
会計者一同のチームワーク
実環境から見たライフサイクルのプ
ロフィール(ELCP)
− 基本文書
− 明確な技術情報
− 最新の情報
− 重要な環境条件
− 重要な故障モード
− 文書の更新(必要な場合)
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表C.1−テーラリングによる情報の流れ及びそれに対応する作業(続き)
インプット
作業
アウトプット
3. 環境条件の識別
実環境から見たライフサイクルプロ
フィール(ELCP)
導いた重要な環境条件
製品の特性
システム及びサブシステムの動作
製品,取付方法及び取付台の情報
材料,形状などの物理的性質
重要な機能特性
データ収集,フィールド及び実験室
での測定,コンピュータによるシミ
ュレーション
環境条件の詳細情報
製品の特性及び動作
相互作用現象
重要な故障モード及び故障メカニズ
ムの確定
故障メカニズムに対応する物理法則
及び物理式の選択
相互作用現象
試験の加速基準
環境要因の組合せ
重要な環境条件の記述(CED)
収集した重要な環境条件の詳細情報
重要な故障モード及び故障メカニズ
ム(CFMM)
− 故障モード及び故障メカニズム
− 故障管理のための物理法則の選
択及び試験仕様の確定
4. 試験仕様の作成
環境試験のテーラリングのための管
理計画(ETTMP)
実環境から見たライフサイクルのプ
ロフィール(ELCP)
重要な環境条件の記述(CED)
重要な故障モード及び故障メカニズ
ム(CFMM)
検証のためのデータ
試験のテーラリングの全てのフェー
ズから導いた,試験の要求事項及び
それに対応する技術データ
最新の知見
試験条件の作成
生の環境条件のデータ,環境条件の
組合せ,(重大な)事象,統計
信頼性の考慮
システム及びサブアセンブリ
試験の加速
財政的及び技術的要因
資源及び施設
現実的な試験の検証
導いた要求事項と試験仕様との比較
異なる試験との,レベル及び試験時
間の比較
システム及びサブシステムのレベル
における試験及びシミュレーション
手段及び結果による故障の識別。
故障メカニズムに対応する法則の選
択
実際の環境条件からのフィールドの
フィードバックの収集
試験仕様(TS)
− 環境試験のテーラリングのため
の管理計画(ETTMP)に従った
フォーマット(形式)
− 試験プログラム
− システム及びサブシステムのレ
ベル
− 生の環境条件のデータ
− 試験の方式(タイプ)及び目的
試験仕様の検証(TSV)
− 導いた試験要求事項
・ 異なる試験負荷による
・ 異なる試験時間による
− 重要な故障モード及び故障メカ
ニズム
− フィールドのフィードバック
− 試験からのフィードバック
− 長期間の検証計画に対する推奨
事項
− 試験の更新に対するからの推奨
事項
C.3.2 環境試験のテーラリングのための管理計画(ETTMP)
環境試験のテーラリングのための管理計画(以下,ETTMPという。)の開発及び文書化は,試験のテー
ラリングの第一段階である。ETTMPは,環境試験のテーラリングの概要,及び一般的な枠組みへの合意
を達成するために用いる。
ここでの課題及び考慮事項には,次のものなどがある。
− 必要性及び概要
− システム及びサブシステムの評価
− テーラリングプログラムの制約事項及び限界
− 目標,方法,予算,資源及び予定表(人,時間,金など)
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 関係者及び関係者の責任(資源,経費など)
− テーラリングのレベル:不確実さ,信頼性,難易度及び費用のレベル
− リスク
− 成果物及び成果(報告,文書,データベース,品質マネジメントなど)
C.3.3 実環境から見たライフサイクルのプロフィール(ELCP)
実環境から見たライフサイクルのプロフィール(以下,ELCPという。)の決定及び文書化は,管理面(ス
ケジュール,予算など)及び技術面(信頼性,ユーザビリティなど)の両方の理由から重要である。ライ
フサイクルの各段階における環境条件は,ELCPの中で決定し,記載することが望ましい。最も重要なラ
イフサイクル段階の環境条件は,重要視される。テーラリングでは,システム及びサブシステムの同一の
基本段階に対して,ELCPを決めてもよい。
ELCPは,次のように記述することができる。
a) 製品サイクルの全ての段階及びその環境条件 次に例を示す。
− 製造業者,流通業者及び最終使用者プロフィール
注記1 これらは,製品のライフサイクルの典型的な主要部分に当たる。
− メンテナンス,解体,再利用,使用場所からの回収
− 全ての環境要因(振動,温度,圧力など)
− 異なる取付台
注記2 製品を取り付けたり積載したりする全ての車両,取付面又は媒体が,これに該当する。
− 特質,連鎖,共存,及び(重大な)事象と環境条件との相関関係
− 統計情報:例えば,確率,極値及び平均値
b) 研究開発のツール 次に例を示す。
− 環境条件に関する統合情報
− 現在の最新の状況,知見のレベル
− 設計及び試験に適応した費用対効果の高いアプローチ
− リスク管理(負荷又は耐久性)
c) 有用な文書化 次に例を示す。
− 重要な製品の特性の基準線
− 設計及び試験のための同一の基準線
− 管理ツール
d) 最高の結果を保証する,全ての関係者とのチームワーク
ELCPは,進化する文書であり,設計中,試験のテーラリング中,又は最終顧客からのフィードバック
によってテーラリング後に更新される場合がある。したがって,品質マネジメントなどの製品の文書化と
密接に関係する場合がある。
ELCPは,特定の状況に対して何を,どのように対処するかの答えは与えないが,更なる考慮事項に関
しては,文書及び基準線として役に立つ。ELCPは,全てのプロジェクト管理のレベルにおいて,全ての
関係者が,十分に理解できるような基本的な文書であることが望ましい。ECLPの作成は,又は多大な経
費及び信頼できない結果をもたらす可能性がある,非現実的な状況が含まれること,又は重要な事象を含
めないことに対して,重要な役割を果たす。
C.3.4 環境条件の識別
環境条件の識別の段階の間に,最も重要なライフサイクルの段階の環境条件を,より詳細に決定する。
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
重要な環境条件の影響を,現実的,かつ,できるだけ詳細に決定することが望ましい。これらの影響を検
討する場合には,例えば,製品を据え付ける取付台,製品の特性及び重大な故障モードを考慮することが
望ましい。重要な環境条件は,供試品をこん(梱)包した状態又はこん(梱)包していない状態を検討す
る場合も,注意することが望ましい。
情報は,例えば,文献,フィールドにおける測定,コンピュータによるシミュレーション及びデータベ
ースシステムから収集することができる。さらに,一般常識及び最終顧客からの情報を適用することが望
ましい。環境条件だけを検討するのではなく,供試品の関連する重要な特性も考慮する。供試品の特性は,
環境条件との相互作用の可能性,及び重要な故障メカニズムに対する環境条件を適切に記述するために重
要である。
これらの結果は,次の二つの文書で示す。
− 重要な環境条件の記述(CED)
− 重要な故障モード及び故障メカニズム(CFMM)
主な結果は,ELCPの更新に用いることが望ましい。
C.3.5 試験仕様の作成
テーラリングの以前の段階では,環境条件と特定のライフサイクルとの間の情報が与えられていた。試
験仕様(TS)は,上記で導いた結果に基づいて作成するのが望ましい。さらに,必要な信頼性のレベルに
応じて,試験及び試験のレベルを調整することが望ましい。
試験を実施するためには,次の情報が必要である。
− 実環境から見たライフサイクル
− 環境条件
− 重要な故障モード
− 因果関係及び加速基準
試験の厳しさの決定における重要な課題は,異なる(重大な)事象の組合せである。環境要因は,共存
するものだけではなく,組合せによる効果も考慮することが望ましい。さらに,試験時間の圧縮及び試験
の加速は,より効率的な試験開発の典型的な目標である。課題は,現実的な試験方法及び厳しさによって,
故障モードを正しく加速することができるかどうかである。
C.3.6 試験条件の作成
各環境因子に対して,試験の厳しさ及び試験条件を作成するためには様々な方法論が存在する。異なる
方法論を用いる場合,同じデータをインプットしても,試験の厳しさが異なってしまう危険性がある。こ
れは,試験の方策及び目的の違いだけでなく,解析手順の精度又は最終製品の信頼度の要求レベルの違い
に起因する可能性がある。したがって,試験のテーラリングのこの段階は,非常に重要であることを強調
する必要がある。
明確な戦略をもつこと,及びこのテーラリングを完全に理解することに注意する必要がある。試験の目
的及びその適用領域は,十分に確立することが望ましい。試験条件の作成における重要事項は,例えば,
(重大な)事象と環境条件との組合せ,相互作用現象の評価,信頼性のレベル,及びテーラリングに用い
た統計的手法である。テーラリングは,それぞれに分かれた伝統的な環境試験手順と信頼性試験手順との
間の,自然の架け橋を提供していることは興味深い。
試験の厳しさの確立には,適切な構造及び動作信頼性の目標レベルを特定することが必要である。故障
の目標確率は,基本的には製品に依存し,例えば,信頼性の高い機器(宇宙用,医療用,軍事用など)は
不確実さのために,より高いマージンを必要とする。さらに,提出された供試品の数は,規定された試験
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の厳しさに影響を与える。
注記 環境条件のデータの情報は,IEC/TR 62130及びIEC/TR 62131の規格群を参照。
C.3.7 検証
試験仕様を開発した後には,テーラリングで導いた結果が現実的であることを保証する必要がある。こ
のステップは,試験仕様の検証(TSV)に関する報告書に記載する。試験は,真の環境条件の影響をシミ
ュレートすることが望ましい。このように,試験の影響及び故障は,フィールドでの実使用からのフィー
ドバックに対応することが望ましい。この情報は,関連する故障モードでの試験の良好な加速を保証する
必要がある場合には,試験時間の短縮のために重要となる。
試験の検証結果に基づいて,更なる加速の最適化,例えば,試験レベルの増加又は低下,が可能となる。
試験のテーラリングでは,利用可能な最善のデータに基づいて,試験仕様の変更が可能となる。保守的な
試験レベルを使用する場合には,更新の必要性は減少するが,試験は最適化されず,効率的にはならない。
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
第2部の規格群に用いる試験記号
JIS C 60068の第2部(JIS C 60068-2)の規格群に用いる試験記号は,次の文字で表されている。
A
低温試験
B
高温試験
C
温湿度(定常状態)試験
D
温湿度(サイクル)試験
E
衝撃試験(打撃,乱暴な取扱いによる衝撃など)
F
振動試験
G
定加速度試験
H
(未定)
注記1 当初は,“貯蔵試験”に割り当てられていた。
J
かび試験
K
腐食試験(塩水噴霧など)
L
砂じん(塵)(粉じん及び砂)試験
M 気圧(加圧又は減圧)試験
N
温度変化試験
P
(未定)
注記2 当初は,“燃焼性試験”に割り当てられていた。現在は,JIS C 60695の規格群に規定されて
いる。
Q
封止試験(パネル又は容器の気密性,液体の浸入及び漏れの防止に対する浸せきサイクルなど)
R
耐水試験(雨,水滴など)
S
放射試験(日射など。ただし,電磁気的なものは除く。)
T
はんだ付け性試験(はんだ耐熱性を含む。)
U
端子強度試験(部品に対して適用する。)
V
(未定)
注記3 当初は,“音響雑音試験”に割り当てられていた。現在,“音響雑音”は“音響振動”として,
“振動試験”の中の試験Fgに割り当てている。
W (未定)
X
[特定の環境試験ではなく,試験群の一覧表を拡張するために用いる。例えば,試験Xa(耐溶剤性試
験)のように,接頭語として,後ろに英大文字又は英小文字を付ける。]
Y
(未定)
Z
[特定の環境試験ではなく,複合試験及び組合せ試験を示すために用いる。例えば,試験Z/AM(低
温及び減圧複合試験)のように,“Z/”の後ろに,複合するか又は組み合わせるストレスに該当する記
号を付ける。]
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試験の名称として,“主として部品を対象とする試験”又は“主として機器を対象とする試験”と指示し
た方が適切な場合には,その旨が追加されることがある。
将来の試験群の拡張性及び表現の一貫性のために,各試験を更に細分化することがある。細分化は,第
2番目の文字として英小文字を,更に細分化する場合には,第3番目の文字として数字を付けることによ
って分類されている。
例えば,U(端子強度試験)の場合,次のように細分化されている。
− 試験Ua 更に細分化して,Ua1:引張 及びUa2:押し
− 試験Ub 曲げ
− 試験Uc ねじり
− 試験Ud トルク
− 試験Ue 取付状態での表面実装部品に対する端子強度
更に細分化して,Ue1:耐プリント板曲げ性,Ue2:引きはがし強度及び押し強度 及び
Ue3:固着性(せん断強さ)
細分化は,一つの試験に唯一の記号を付け,同じ記号が他の試験に付けられないように考慮されている。
数字との混乱を避けるため,I,O(英大文字)及び文字i,o(英小文字)は用いられていない。
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C 60068-1:2016 (IEC 60068-1:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
注記 対応国際規格:IEC 60529,Degrees of protection provided by enclosures(IP Code)
JIS C 60068-2-14 環境試験方法−電気・電子−第2-14部:温度変化試験方法(試験記号:N)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-14,Environmental testing−Part 2-14: Tests−Test N: Change of
temperature
JIS C 60068-2-20 環境試験方法−電気・電子−第2-20部:試験−試験T−端子付部品のはんだ付け性
及びはんだ耐熱性試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-20,Environmental testing−Part 2-20: Tests−Test T: Test methods for
solderability and resistance to soldering heat of devices with leads
JIS C 60068-2-27 環境試験方法−電気・電子−第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-27,Environmental testing−Part 2-27: Tests−Test Ea and guidance:
Shock
JIS C 60068-2-38 環境試験方法−電気・電子−第2-38部:温湿度組合せ(サイクル)試験方法(試験
記号:Z/AD)
注記 対応国際規格:IEC 60068-2-38,Environmental testing−Part 2-38: Tests−Test Z/AD: Composite
temperature/humidity cyclic test
JIS C 60068-3-1 環境試験方法−電気・電子−第3-1部:低温(耐寒性)試験及び高温(耐熱性)試験
の支援文書及び指針
注記 対応国際規格:IEC 60068-3-1,Environmental testing−Part 3-1: Supporting documentation and
guidance−Cold and dry heat tests
JIS C 60721 環境条件の分類(規格群)
注記 対応国際規格:IEC 60721(all parts),Classification of environmental conditions
ISO 554:1976,Standard atmospheres for conditioning and/or testing−Specifications
ISO 3205:1976,Preferred test temperatures
IEC/TR 62130,Climatic field data including validation
IEC/TR 62131(all parts),Environmental conditions−Vibration and shock of electrotechnical equipment