C 6873:2020
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類及び形名 ··················································································································· 2
5 材料,形状及び寸法 ·········································································································· 2
5.1 材料及び形状 ················································································································ 2
5.2 寸法 ···························································································································· 3
6 試験······························································································································· 3
6.1 試験場所の状態 ············································································································· 3
6.2 寸法 ···························································································································· 3
6.3 機械特性 ······················································································································ 3
6.4 伝送特性 ······················································································································ 4
6.5 環境特性 ······················································································································ 4
7 供給形態及び包装 ············································································································· 5
8 製品の呼び方 ··················································································································· 5
9 表示······························································································································· 5
附属書A(規定)PMA形偏波保持光ファイバ素線 ······································································ 6
附属書B(規定)PMB形偏波保持光ファイバ素線 ······································································ 8
附属書C(規定)PMC形偏波保持光ファイバ素線 ····································································· 10
附属書D(規定)偏波保持光ファイバのモードフィールド径(MFD)測定 ····································· 12
附属書E(参考)偏波保持光ファイバ及びシングルモード光ファイバのカットオフ波長 ···················· 13
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 15
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まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人
光産業技術振興協会(OITDA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本
産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
産業規格である。これによって,JIS C 6873:2009は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
C 6873:2020
偏波保持光ファイバ素線
Polarization-maintaining optical fiber
序文
この規格は,2017年に第1版として発行されたIEC 60793-2-70を基とし,国内の実態に合わせて種類,
形名,試験などを追加するため,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,偏波保持光ファイバ素線について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60793-2-70:2017,Optical fibres−Part 2-70: Product specifications−Sectional specification for
polarization-maintaining fibres(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 6820 光ファイバ通則
注記 対応国際規格:IEC 60793-2,Optical fibres−Part 2: Product specifications−General
JIS C 6821 光ファイバ機械特性試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60793-1-30,Optical fibres−Part 1-30: Measurement methods and test
procedures−Fibre proof test
JIS C 6822 光ファイバ構造パラメータ試験方法−寸法特性
注記 対応国際規格:IEC 60793-1-20,Optical fibres−Part 1-20: Measurement methods and test
procedures−Fibre geometry,IEC 60793-1-21,Optical fibres−Part 1-21: Measurement methods and
test procedures−Coating geometry及びIEC 60793-1-22,Optical fibres−Part 1-22: Measurement
methods and test procedures−Length measurement
JIS C 6823 光ファイバ損失試験方法
注記 対応国際規格:IEC 60793-1-40:2001,Optical fibres−Part 1-40: Measurement methods and test
procedures−Attenuation及びIEC 60793-1-46,Optical fibres−Part 1-46: Measurement methods
2
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and test procedures−Monitoring of changes in optical transmittance
JIS C 6825 光ファイバ構造パラメータ試験方法−光学的特性
注記 対応国際規格:IEC 60793-1-44,Optical fibres−Part 1-44: Measurement methods and test
procedures−Cut-off wavelength及びIEC 60793-1-45,Optical fibres−Part 1-45: Measurement
methods and test procedures−Mode field diameter
JIS C 6840 光ファイバ偏波クロストーク試験方法
JIS C 6872 偏波面保存光ファイバビート長試験方法
JIS C 60068-1 環境試験方法−電気・電子−第1部:通則及び指針
IEC 60793-1-20:2014,Optical fibres−Part 1-20: Measurement methods and test procedures−Fibre geometry
IEC 60793-1-52,Optical fibres−Part 1-52: Measurement methods and test procedures−Change of
temperature tests
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 6820,JIS C 6840及びJIS C 6872によるほか,次による。
注記 規定する特性の定義は,関連する試験方法の適用規格に規定されている。
3.1
偏波保持光ファイバ
シングルモード光ファイバの伝搬モード(HE11)の二つの偏波成分(直線偏波成分HE11X及びHE11Y,又
は円偏波成分+HE11及び−HE11)のうち,一つだけ伝搬できる特殊な複屈折率光ファイバ,又は二つの偏
波モード間の結合を極力小さくして実用十分な距離にわたって単一偏波を維持できるようにした光ファイ
バ。偏波面保存光ファイバともいう。
4
種類及び形名
偏波保持光ファイバ素線の種類及び形名は,JIS C 6820による。種類及び形名の例を,表1に示す。
表1−偏波保持光ファイバ素線の種類及び形名の例
種類
記号
形名
IEC分類記号(参考)
シングルモード980 nm用偏波保持光ファイバ素線 6.6/125
PMA
SPMA-6.6/125
D1
シングルモード1 310 nm用偏波保持光ファイバ素線 9.4/125
PMB
SPMB-9.4/125
D2
シングルモード1 550 nm用偏波保持光ファイバ素線 10.5/125
PMC
SPMC-10.5/125
D3
5
材料,形状及び寸法
5.1
材料及び形状
偏波保持光ファイバ素線の材料及び形状は,次による。
a) コアは石英系ガラスを用い,断面構造はPANDA形,だ円コア形,だ円ジャケット形などとする。
b) クラッドは,コアよりも低い屈折率をもつ石英系ガラスを用い,コアの周囲にこれと密接して配置す
る。
c) 1次被覆は,紫外線硬化形樹脂,シリコン樹脂などのプラスチック材料を用い,クラッドの周囲にこ
れと密接して同心円状に配置する。1次被覆は,一つ以上の層で構成する。1次被覆は,基準面として
使用する場合を除き,接続のために除去してもよい。1次被覆の除去方法は,受渡当事者間の協定に
3
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よる。
5.2
寸法
寸法の規定値は,附属書A,附属書B及び附属書Cによる。寸法の試験は,表2による。
6
試験
6.1
試験場所の状態
試験場所の状態は,JIS C 60068-1の4.3(測定及び試験に用いる標準大気条件)に規定する標準大気条
件(温度15 ℃〜35 ℃,相対湿度25 %〜75 %,気圧86 kPa〜106 kPa)とする。
6.2
寸法
寸法の試験は,表2による。
表2−構造パラメータ試験方法
項目
試験方法
適用規格
クラッド径a)
屈折ニアフィールド法,ニアフィール
ドパターン法(伝送ニアフィールド
法)
JIS C 6822
クラッド非円率a)
屈折ニアフィールド法,ニアフィール
ドパターン法(伝送ニアフィールド
法)
JIS C 6822
コア偏心量a)
屈折ニアフィールド法,ニアフィール
ドパターン法(伝送ニアフィールド
法)
JIS C 6822
1次被覆径(無着色)
機械的外径測定法,側面観察法
JIS C 6822
クラッド/1次被覆偏心量
側面観察法
JIS C 6822
ファイバ条長
遅延時間測定法,後方散乱光法,機械
的測定法,位相シフト法
JIS C 6822
注a) 偏波保持光ファイバ素線の寸法は,試験方法A:屈折ニアフィールド法,又は試験方法B:ニアフィールド
パターン法(伝送ニアフィールド法)によって測定することができる。個々の手法に関する情報は,それぞ
れJIS C 6822の附属書A(屈折ニアフィールド法)及び附属書C(ニアフィールドパターン法)に規定され
ている。
一般的な光ファイバでは,コア中心を決定するために円フィッティングが使用される。しかし,偏波保持光ファ
イバ,特にだ円コア形偏波保持光ファイバに関しては,ファイバがだ円コアをもつため,だ円フィッティングが用
いられない場合,コア中心を決定することができない。IEC 60793-1-20:2014の附属書Cに規定の試験方法が,基準
測定法(RTM)である。
6.3
機械特性
機械特性に関連する試験方法を,表3に示す。
表3−機械特性試験方法
項目
試験方法
適用規格
スクリーニング
一定応力法,一定伸びひずみ法,一
定曲げひずみ法
JIS C 6821
光ファイバ心線でスクリーニングを行う場合は,偏波保持光ファイバ素線でスクリーニングを行わなくてもよい。
4
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6.4
伝送特性
伝送特性に関連する試験は,表4による。
表4−伝送特性試験方法
項目
試験方法
適用規格
損失a)
カットバック法,挿入損失法,OTDR
法(パルス試験法)
JIS C 6823
モードフィールド径(MFD)b)
ファーフィールド走査法,バリアブ
ルアパーチャ法,ニアフィールド走
査法
JIS C 6825
ビート長c)
長さ方向掃引法,波長掃引法
JIS C 6872
偏波クロストークd)
パワー比法,インライン法(ポラリ
メトリック法によるインライン偏波
保持光ファイバのクロストーク測定
法)
JIS C 6840
カットオフ波長e)
曲げ法,マルチモード励振法
JIS C 6825
注a) 損失を測定するときは,適切な励振条件を適用する。この条件は,試験方法に規定する参照条件とは異なる
ことがある。
b) 附属書Dに偏波保持光ファイバ特有の情報を示す。
c) 偏波保持光ファイバのビート長は,JIS C 6872で規定される長さ方向掃引法で定義される試験方法を基準試
験方法(RTM)とする。波長掃引法及び長さ方向掃引法によって測定されるビート長は,偏波保持光ファイ
バの断面構造に応じて異なる結果となる。両者の相関関係をあらかじめ確認しておけば,代替試験方法とし
て波長掃引法を用いることができる。受渡当事者間の協定によって,いずれの試験方法を用いてもよい。
d) 偏波保持光ファイバの偏波クロストークは,JIS C 6840の方法A(パワー比法)で定義される試験方法を基
準試験方法(RTM)とする。方法Aによって測定したクロストークを,測定波長帯における“平均値”とし
て定義する。一方,JIS C 6840の方法B(ポラリメトリック法によるインライン偏波面保持光ファイバのクロ
ストーク測定法)から得られるクロストークは,“最悪”クロストークを示し,方法Aの結果とは異なる。受
渡当事者間の協定によって,いずれの試験方法を用いてもよい。
e) 附属書Eに示すように,偏波保持光ファイバのカットオフ波長測定時には,LP11モードを十分に励振し,シ
ングルモード光ファイバのカットオフ波長測定時以上に,余分な曲げが入らないように注意を払うことが望
ましい。試料は,JIS C 6825で規定される光ファイバカットオフ波長の試験方法に従って測定しなければな
らない。
6.5
環境特性
環境特性に関連する環境試験方法及び環境特性試験方法を,それぞれ表5及び表6に示す。
表5−環境試験方法
試験方法
適用規格
温度サイクル
IEC 60793-1-52
表6−環境特性試験方法
項目
試験方法
適用規格
光損失変動
伝送パワーによる光損失モニタ法
JIS C 6823
損失
カットバック法,挿入損失法,OTDR法
JIS C 6823
偏波クロストーク
パワー比法,インライン法(ポラリメトリック
法によるインライン偏波保持光ファイバのク
ロストーク測定法)
JIS C 6840
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これらの試験は,通常,偏波保持光ファイバ素線及びコーティング設計のための形式試験として定期的
に実施する。特に明記されていない限り,環境試験の完了から環境特性試験項目の測定までに許容される
後処理時間は,個々の環境試験方法に従う。
7
供給形態及び包装
包装は,束又はボビン巻きごととする。また,運搬時に損傷しないように適切に包装して保護を施さな
ければならない。
8
製品の呼び方
製品の呼び方は,JIS C 6820の箇条5(製品の呼び方)の規定に従い,名称又は偏波保持光ファイバ素
線の形名とする。
9
表示
束又はボビンの包装ごとに,次の事項を容易に消えない方法で表示する。
a) 名称又は偏波保持光ファイバ素線の形名
b) 条長
c) 製造年月又は略号
d) 製造業者名又はその略号
6
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附属書A
(規定)
PMA形偏波保持光ファイバ素線
A.1 概要
980 nmの波長帯の伝送に適したPMA形偏波保持光ファイバ素線について規定する。
A.2 寸法
PMA形偏波保持光ファイバ素線の寸法に関する規定値を,表A.1に示す。
表A.1−PMA形偏波保持光ファイバ素線の寸法
項目
単位
規定値
規定箇条
クラッド径
μm
125±3
6.2
クラッド非円率
%
2.0以下
6.2
コア偏心量
μm
0.8以下
6.2
1次被覆径(無着色)
μm
245±15a)
6.2
クラッド/1次被覆偏心量
μm
12.5以下
6.2
ファイバ条長
km
b)
6.2
注a) 主に通信機器用光ファイバで用いる値。その他の用途で用いる値は,次による。
300 μm±20 μm
400 μm±15 μm
b) ファイバ条長は,受渡当事者間の協定によることが望ましい。
A.3 機械特性
PMA形偏波保持光ファイバ素線の機械特性に関する規定値を,表A.2に示す。
表A.2−PMA形偏波保持光ファイバ素線の機械特性
項目
単位
規定値
規定箇条
スクリーニングレベル
GPa
0.69以上a)
6.3
注a) スクリーニングレベル0.69 GPaは,偏波保持光ファイバ素線において,1 %の伸びひずみを与えた状態,
又は8.8 Nの力をかけた状態と等しい。
7
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A.4 伝送特性
PMA形偏波保持光ファイバ素線の伝送特性に関する規定値を,表A.3に示す。
表A.3−PMA形偏波保持光ファイバ素線の伝送特性
項目
単位
規定値
規定箇条
波長980 nmにおける損失
dB/km
3.0以下
6.4
波長980 nmにおける公称モードフィールド径の範
囲
μm
6.6
6.4
モードフィールド径の許容差
μm
±1.0
6.4
波長980 nmにおけるビート長
mm
3.3以下
6.4
波長980 nmにおける偏波クロストーク
dB/100 m
−25以下a)
6.4
カットオフ波長
nm
970以下
6.4
注a) 偏波クロストークの試験方法は,受渡事業者間の協定によってもよい。
A.5 環境特性
PMA形偏波保持光ファイバ素線の環境特性に関する規定値を,表A.4に示す。
表A.4−PMA形偏波保持光ファイバ素線の環境特性
試験方法
項目
単位
規定値
規定箇条
温度サイクル
波長980 nmでの損失
dB/km
a)
6.5
温度サイクル
波長980 nmにおける偏波クロスト
ーク
dB/100 m
a)
6.5
注a) 合否判定の規定値は,受渡事業者間の協定によることが望ましい。
8
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附属書B
(規定)
PMB形偏波保持光ファイバ素線
B.1
概要
1 310 nmの波長帯の伝送に適したPMB形偏波保持光ファイバ素線について規定する。
B.2
寸法
PMB形偏波保持光ファイバ素線の寸法に関する規定値を,表B.1に示す。
表B.1−PMB形偏波保持光ファイバ素線の寸法
項目
単位
規定値
規定箇条
クラッド径
μm
125±3
6.2
クラッド非円率
%
2.0以下
6.2
コア偏心量
μm
0.8以下
6.2
1次被覆径(無着色)
μm
245±15a)
6.2
クラッド/1次被覆偏心量
μm
12.5以下
6.2
ファイバ条長
km
b)
6.2
注a) 主に通信機器用光ファイバで用いる値。その他の用途で用いる値は,次による。
300 μm±20 μm
400 μm±15 μm
b) ファイバ条長は,受渡当事者間の協定によることが望ましい。
B.3
機械特性
PMB形偏波保持光ファイバ素線の機械特性に関する規定値を,表B.2に示す。
表B.2−PMB形偏波保持光ファイバ素線の機械特性
項目
単位
規定値
規定箇条
スクリーニングレベル
GPa
0.69以上a)
6.3
注a) スクリーニングレベル0.69 GPaは,偏波保持光ファイバ素線において,1 %の伸びひずみを与えた状態,
又は8.8 Nの力をかけた状態と等しい。
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B.4
伝送特性
PMB形偏波保持光ファイバ素線の伝送特性に関する規定値を,表B.3に示す。
表B.3−PMB形偏波保持光ファイバ素線の伝送特性
項目
単位
規定値
規定箇条
波長1 310 nmにおける損失
dB/km
2.0以下
6.4
波長1 310 nmにおける公称モードフィールド径の範
囲
μm
8.6〜9.5a)
6.4
モードフィールド径の許容差
μm
±1.0
6.4
波長1 310 nmにおけるビート長
mm
4.3以下
6.4
波長1 310 nmにおける偏波クロストーク
dB/100 m
−25以下b)
6.4
カットオフ波長
nm
1 290以下
6.4
注a) 公称モードフィールド径の値は,この表に示された範囲内で受渡事業者間で合意しなければならない。
許容差は,その時の公称値について適用する。
b) 偏波クロストークの試験方法は,受渡事業者間の協定によってもよい。
B.5
環境特性
PMB形偏波保持光ファイバ素線の環境特性に関する規定値を,表B.4に示す。
表B.4−PMB形偏波保持光ファイバ素線の環境特性
試験方法
項目
単位
規定値
規定箇条
温度サイクル
波長1 310 nmでの損失
dB/km
a)
6.5
温度サイクル
波長1 310 nmにおける偏波クロス
トーク
dB/100 m
a)
6.5
注a) 合否判定の規定値は,受渡事業者間の協定によることが望ましい。
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C 6873:2020
附属書C
(規定)
PMC形偏波保持光ファイバ素線
C.1 概要
1 550 nmの波長帯の伝送に適したPMC形偏波保持光ファイバ素線について規定する。
C.2 寸法
PMC形偏波保持光ファイバ素線の寸法に関する規定値を,表C.1に示す。
表C.1−PMC形偏波保持光ファイバ素線の寸法
項目
単位
規定値
規定箇条
クラッド径
μm
125±3
6.2
クラッド非円率
%
2.0以下
6.2
コア偏心量
μm
1.0以下
6.2
1次被覆径(無着色)
μm
245±15a)
6.2
クラッド/1次被覆偏心量
μm
12.5以下
6.2
ファイバ条長
km
b)
6.2
注a) 主に通信機器用光ファイバで用いる値。その他の用途で用いる値は,次による。
300 μm±20 μm
400 μm±15 μm
b) ファイバ条長は,受渡当事者間の協定によることが望ましい。
C.3 機械特性
PMC形偏波保持光ファイバ素線の機械特性に関する規定値を,表C.2に示す。
表C.2−PMC形偏波保持光ファイバ素線の機械特性
項目
単位
規定値
規定箇条
スクリーニングレベル
GPa
0.69以上a)
6.3
注a) スクリーニングレベル0.69 GPaは,偏波保持光ファイバ素線において,1 %の伸びひずみを与えた状態,
又は8.8 Nの力をかけた状態と等しい。
11
C 6873:2020
C.4 伝送特性
PMC形偏波保持光ファイバ素線の伝送特性に関する規定値を,表C.3に示す。
表C.3−PMC形偏波保持光ファイバ素線の伝送特性
項目
単位
規定値
規定箇条
波長1 550 nmにおける損失
dB/km
2.0以下
6.4
波長1 550 nmにおける公称モードフィールド径の範
囲
μm
10.5
6.4
モードフィールド径の許容差
μm
±1.0
6.4
波長1 550 nmにおけるビート長
mm
5.2以下
6.4
波長1 550 nmにおける偏波クロストーク
dB/100 m
−25以下a)
6.4
カットオフ波長
nm
1 530以下
6.4
注a) 偏波クロストークの試験方法は,受渡事業者間の協定によってもよい。
C.5 環境特性
PMC形偏波保持光ファイバ素線の環境特性に関する規定値を,表C.4に示す。
表C.4−PMC形偏波保持光ファイバ素線の環境特性
試験方法
項目
単位
規定値
規定箇条
温度サイクル
波長1 550 nmでの損失
dB/km
a)
6.5
温度サイクル
波長1 550 nmにおける偏波クロス
トーク
dB/100 m
a)
6.5
注a) 合否判定の規定値は,受渡事業者間の協定によることが望ましい。
12
C 6873:2020
附属書D
(規定)
偏波保持光ファイバのモードフィールド径(MFD)測定
注記 この規格の執筆時点では,モードフィールド径(MFD)の試験方法に関するJIS C 6825の適用
範囲に,PMA形,PMB形及びPMC形偏波保持光ファイバ素線が網羅されていない。
偏波保持光ファイバのMFDは,ファーフィールド走査法(試験方法A),ファーフィールドにおけるバ
リアブルアパーチャ法(試験方法B),及びニアフィールド走査法(試験方法C)によって測定することが
可能である。個々の試験方法は,JIS C 6825の附属書J(ファーフィールド走査法),附属書K(バリアブ
ルアパーチャ法)及び附属書L(ニアフィールド走査法)に規定されている。
偏波保持光ファイバに関する情報だけを,次に示す。
偏波保持光ファイバは,非軸対称構造をしているため,そのMFDは原理的には非軸対称となる。この
ためMFDを測定するときは,光ファイバを軸を中心として適切な角度で回転させるなどの方法によって,
複数方向から測定しなければならない。PANDA形偏波保持光ファイバ及びだ円ジャケット形偏波保持光
ファイバのMFDの方位依存性は比較的小さい。一方,だ円コア形偏波保持光ファイバのMFDの方位依存
性は比較的大きい。PANDA形偏波保持光ファイバ及びだ円ジャケット形偏波保持光ファイバのMFDは,
測定方法に応じて,顧客の要求精度に応じて光ファイバを回転させることなく測定することができる。
ファーフィールド走査法(試験方法A)において,PANDA形偏波保持光ファイバ及びだ円ジャケット
形偏波保持光ファイバのMFDは,顧客の要求精度に応じて光ファイバを回転させない方法を用いてもよ
い。
ファーフィールドにおけるバリアブルアパーチャ法(試験方法B)において,PANDA形偏波保持光フ
ァイバ及びだ円ジャケット形偏波保持光ファイバのMFDは,顧客の要求精度に応じて測定してもよい。
MFDは,試験方法Bにおいて軸対称電磁場として測定される。したがって,試験方法Bでは偏波保持光
ファイバのMFDを測定してはならない。しかしながら,PANDA形偏波保持光ファイバ及びだ円ジャケッ
ト形偏波保持光ファイバのMFDは,MFDの方位依存性が比較的小さいため,試験方法Bで測定してもよ
い。試験方法Bは,だ円コア形偏波保持光ファイバのMFDを測定するために用いてはならない。
ニアフィールド走査法(試験方法C)では,二次元検出器を使用することが望ましい。光ファイバは,
一次元検出器による測定の際に,軸を中心として適切な角度に回転させなければならない。
13
C 6873:2020
附属書E
(参考)
偏波保持光ファイバ及びシングルモード光ファイバのカットオフ波長
注記 この規格の執筆時点では,カットオフ波長の試験方法に関するJIS C 6825の適用範囲に,PMA
形,PMB形及びPMC形偏波保持光ファイバ素線が網羅されていない。偏波保持光ファイバで
は,コアの屈折率は,カットオフ波長だけでなく,偏波モードによっても変化する。
偏波保持光ファイバ及び通常のシングルモード光ファイバのカットオフ波長プロファイルを図E.1に示
す。LP11モードの分離によって,偏波保持光ファイバのカットオフ波長プロファイルは,通常,LP11モー
ドの二つのピークをもつ。また,カットオフ波長プロファイルは,シングルモード光ファイバの場合と比
べ幅広いものとなる。
図E.1−偏波保持光ファイバ及びシングルモード光ファイバのカットオフ波長プロファイル
損
失
(
d
B
)
900
1 000
1 100
1 200
1 300
波長(nm)
0
1
2
3
4
5
シングルモード光ファイバ
偏波保持光ファイバ
14
C 6873:2020
図E.2には,測定ファイバに幾つかの曲げを入れた場合の,図E.1と同じ偏波保持光ファイバのカット
オフ波長プロファイルを示す。
図E.2−曲げを入れた場合の偏波保持光ファイバのカットオフ波長プロファイル
LP11モードの分離によって,JIS C 6825に規定されているように,LP11モードの最大損失が2 dB以上で
あっても,LP11モードの長波長側が十分に励振されない可能性がある。偏波保持光ファイバのLP11モード
の長波長側は,シングルモード光ファイバの曲げに比べ敏感である。したがって,カットオフ波長の測定
は,特別な小さな曲げを入れないように特別な注意が必要となる。
偏波保持光ファイバのカットオフ波長測定のためには,LP11モードの最大損失を処理するだけでは十分
ではない。LP11モードの分離は,PANDA形偏波保持光ファイバなどの複屈折,又はだ円コア形偏波保持
光ファイバなどのコア非円度によるx軸とy軸との間の屈折率差によって変化する。カットオフ波長プロ
ファイルが二つのピークに分離される場合,最も高いカットオフ波長が報告されたものである。
参考文献 IEC TR 62048:2014,Optical fibres−Reliability−Power law theory
IEC
900
1 000
1 100
1 200
1 300
波長(nm)
0
1
2
3
4
5
損
失
(
d
B
)
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C 6873:2020
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS C 6873:2020 偏波保持光ファイバ素線
IEC 60793-2-70:2017,Optical fibres−Part 2-70: Product specifications−Sectional
specification for polarization-maintaining fibres
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び
定義
用語及び定義
3
IEC規格では,参照する
データベースを記載。
変更
参照するJISを記載。
JIS個別規格との整合のため。
4 種類及び
形名
種類及び形名
1
IEC規格では,分類番号
ごとの説明を記載。
変更
JIS C 6820に基づき,国内で用いて
いる種類及び形名の例を追加。
JIS個別規格との整合のため。
5 材料,形
状及び寸法
材料,形状及び寸法
4.1
IEC規格では,偏波保持
光ファイバ素線の材料
について概要を記載。
変更
偏波保持光ファイバ素線の材料及
び形状を詳細に規定。技術的な差異
はない。
旧規格との整合を図るため,旧規
格の規定を継続する。
6 試験
6.1 試験場所の状態
−
−
追加
試験場所の状態について,標準大気
条件を規定。
JIS個別規格との整合のため。
標準大気条件は,日本で広く参照
されているJIS C 60068-1:2016の
4.3で規定し,整合を図った。
6.2 寸法
4.2
JISと同じ
一致
−
−
6.3 機械特性
4.3
JISと同じ
一致
−
−
6.4 伝送特性
4.4
JISと同じ
一致
−
−
6.5 環境特性
4.5
JISと同じ
一致
−
−
7 供給形態
及び包装
供給形態及び包装
−
−
追加
供給形態及び包装を規定。
製品規格として必要なため,旧規
格の規定を継続する。
8 製品の呼
び方
製品の呼び方
−
−
追加
JIS C 6820に基づき,製品の呼び方
を規定。
製品規格として必要なため,旧規
格の規定を継続する。
9 表示
表示
−
−
追加
製品に表示する事項を規定。
製品規格として必要なため,旧規
格の規定を継続する。
3
C
6
8
7
3
:
2
0
2
0
16
C 6873:2020
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
附属書A
(規定)
PMA形偏波保持光
ファイバ素線
Annex A JISと同じ
一致
−
−
附属書B
(規定)
PMB形偏波保持光
ファイバ素線
Annex B JISと同じ
一致
−
−
附属書C
(規定)
PMC形偏波保持光
ファイバ素線
Annex C JISと同じ
一致
−
−
附属書D
(規定)
偏波保持光ファイ
バのモードフィー
ルド径(MFD)測定
Annex D JISと同じ
一致
−
−
附属書E
(参考)
偏波保持光ファイ
バ及びシングルモ
ード光ファイバの
カットオフ波長
Annex E
JISと同じ
一致
−
−
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60793-2-70:2017,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
3
C
6
8
7
3
:
2
0
2
0