C 6861 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS C 6861-1991は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実
用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,こ
のような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出
願にかかわる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
C 6861 : 1999
全プラスチックマルチモード
光ファイバ機械特性試験方法
Test methods for mechanical characteristics of
all plastic multimode optical fibers and cords
序文 この規格は,1993年に発行されたIEC 60794-1, Optical fibres cables. Part 1 : Generic specificationsとの
整合を考慮して作成した日本工業規格である。
規格を適用するに当たっては,その規格が引用している規格も同時に参照しなければならない。また,同
類の規格があれば,これとの比較検討が必要なことも多い。
1. 適用範囲 この規格は,全プラスチックマルチモード光ファイバ素線(以下,光ファイバ素線という。)
及び全プラスチックマルチモード光ファイバコード(以下,光ファイバコードという。)の機械特性試験方
法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 7721 引張試験機−力の検証方法
JIS C 0010 環境試験方法−電気・電子−通則
JIS C 6820 光ファイバ通則
JIS C 6863 全プラスチックマルチモード光ファイバ損失試験方法
3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 6820の規定による。
4. 試験の種類
4.1
光ファイバ素線の機械特性試験 光ファイバ素線の機械特性試験の種類は,次による。
a) 引張試験
4.2
光ファイバコードの機械特性試験 光ファイバコードの機械特性試験の種類は,次による。
a) 引張試験
b) 圧壊試験
c) 衝撃試験
d) 曲げ試験
1) 繰返し曲げ試験
2) コード曲げ試験
2
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3) コードねじり試験
5. 試験状態 試験は,個別規格に規定がない限り,JIS C 0010の5.3(試験場所の標準状態)に規定の標
準状態[温度15〜35℃,相対湿度25〜85%,気圧86〜106kPa (860〜1 060mbar)]で行う。
なお,標準状態で試験することが困難な場合は,判定に疑義を生じない限り,標準状態以外の状態で試
験を行ってもよい。
6. 光ファイバ素線の機械特性試験方法
6.1
引張試験方法
6.1.1
装置 引張試験装置は,JIS B 7721に規定の試験機とする。
6.1.2
手順
a) 準備 試料長は試験機の把持部の間隔が100〜200mm取れる長さとし,把持部で破断しないよう,ま
た,素線とシースが一体となるよう適切なジグを用いて試験機に固定する。
b) 試験 引張試験は,降伏点まで引張り,荷重-伸び曲線から引張降伏強さと引張降伏伸びを求める。た
だし,引張速度は100mm/minとする。なお,光ファイバの把持部で断線しているときは,その試験を
無効とし,再試験する。
6.1.3
個別規格に規定する事項
a) 引張降伏強さ
b) 引張降伏伸び
7. 光ファイバコードの機械特性試験方法
7.1
引張試験方法
7.1.1
装置 引張試験装置は,JIS B 7721に規定の試験機とする。
7.1.2
手順
a) 準備 試料長は試験機の把持部の間隔が100〜200mm取れる長さとし,把持部で破断しないよう,ま
た,素線とシースが一体となるよう適切なジグを用いて試験機に固定する。
b) 試験 引張試験は,5%伸長したときの張力を測定する。この場合,伸びの測定は,試料のほぼ中央に
間隔100mmの標点を付けて行う。引張速度は100mm/minとする。
なお,光ファイバの把持部で断線しているときは,その試験を無効とし,再試験する。
7.1.3
個別規格に規定する事項
a) 張力
b) 伸び
7.2
圧壊試験方法
7.2.1
装置 圧壊試験装置は,平らな鋼製の基板と,光ファイバコードに圧壊力を加える可動の鋼板及び
おもりから構成する。圧壊試験装置の例を図1に示す。可動の鋼板は平面部の幅を100mmとし,光ファ
イバコードに均一に圧壊力を加えられるものとする。また,その可動鋼板のエッジ部分には,約5mm以
上の曲率半径で丸みを付ける。ただしこのエッジ部分は,可動鋼板の平面部の幅100mmには含まれない。
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図1 圧壊試験装置の構造
7.2.2
手順
a) 準備 試験前後で光ファイバの損失変化が測定できるようにする。損失変化の測定は,JIS C 6863の
5.(カットバック法)に規定の方法,又は光パワーの連続測定によることとする。
b) 試験 圧壊試験は,個別規格に規定がない限り,表1の試験条件によって行う。
なお,圧壊力は,光ファイバコードの長手方向に均一に,かつ,急激な衝撃を与えないように,ゆ
っくり加える。また,光ファイバコードの断面が円形状でない場合は,短径方向に圧壊力を加える。
c) 最終測定 試験後の光ファイバコードを1分間以上放置した後,損失の測定及び外観試験を行う。
表1 圧壊試験条件
光ファイバの心線数
圧壊力 N/mm
印加時間 min
単心
7
3
2心
14
7.2.3
個別規格に規定する事項
a) 圧壊力
b) 印加時間
c) 試験後の損失増加
7.3
衝撃試験方法
7.3.1
装置 衝撃試験装置の例を図2に示す。図2のような平たんな鋼板(基板)と,光ファイバコード
に衝撃力を加えるため,規定の高さから落下させる衝撃柱,及び衝撃柱を光ファイバコード上に落下させ
るためのガイドから構成する。光ファイバコードに当たる衝撃柱の直径は,個別規格で規定する。また,
衝撃柱は,円柱状で,その角は図3のように面取りする。
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図2 衝撃試験装置の構造
図3 衝撃柱の縦断面図
7.3.2
手順
a) 準備 試験前後で光ファイバの損失変化を測定できるようにする。損失変化の測定は,JIS C 6863の
5.に規定の方法,又は光パワーの連続測定によることとする。
b) 試験 衝撃試験は,個別規格に規定がない限り,表2の試験条件によって行う。
なお,光ファイバコードの断面が円形状でない場合は,短径方向に衝撃力を加える。
c) 最終測定 試験後の光ファイバを1分間以上放置した後,損失の測定及び外観試験を行う。
表2 衝撃試験条件
衝撃柱の位置エネルギー N・m
衝撃柱の直径 mm
衝撃回数 min
0.2
25
3
7.3.3
個別規格に規定する事項
a) 衝撃柱の位置エネルギー
b) 衝撃柱の直径
c) 衝撃回数
d) 試験後の損失増加
7.4
曲げ試験方法
7.4.1
繰返し曲げ試験方法
a) 装置 繰返し曲げ試験装置の例を図4に示す。図4のように試料を固定して往復180°(垂直方向に
対して両側に90°)曲げるための移動部,試料に一定の曲率の曲げを与える曲げ部,及び試験中一定
の引張荷重を試料にかけるためのおもりから構成する。
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図4 繰返し曲げ試験装置の構成
b) 手順
1) 準備 試料の両端末は,光コネクタ又は光ファイバ素線及びシース(外被)を一体にして把持でき
る方法で処理する。試験前後で,光ファイバの損失変化が測定できるようにする。損失変化の測定
は,JIS C 6863の5.に規定の方法,又は光パワーの連続測定によることとする。
2) 試験 繰返し曲げ試験は,個別規格に規定がない限り,表3の試験条件によって行う。試料を図4
に示すような装置に取り付け,荷重を加えながら,垂直方向に対して両側に90°の角度で曲げる。
曲げのサイクルは,垂直状態からまず右方向へ曲げ,垂直方向に戻し,続いて左方向へ曲げ,さら
に垂直方向に戻して1サイクルとする。曲げの速度は,約2秒で1サイクルとする。
なお,光ファイバコードの断面が円形状でない場合は,短径方向に曲げる。
3) 最終測定 試験後の光ファイバコードの,損失の測定及び外観試験を行う。
なお,光ファイバの把持部で断線しているときは,その試験を無効とし,再試験する。
表3 繰返し曲げ試験条件
光ファイバの心線数
おもりの質量 kg
曲げ半径 mm
サイクル数
単心
0.5
15
1 000
2心
1.0
c) 個別規格に規定する事項
1) おもりの質量
2) 曲げ半径
3) サイクル数
4) 試験後の損失増加
7.4.2
コード曲げ試験方法
a) 装置 コード曲げ試験装置の例を次に示す。図5のように試料をらせん状に密着して巻き付けること
のできる円筒から構成する。
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図5 コード曲げ試験装置の構造
b) 手順
1) 準備 試料の両端末は,光コネクタ又は光ファイバ素線及びシースを一体にして把持できる方法で
処理する。試験前後で,光ファイバの損失変化が測定できるようにする。損失変化の測定は,JIS C
6863の5.に規定の方法,又は光パワーの連続測定によることとする。
2) 試験 コード曲げ試験は,個別規格に規定がない限り,表4の試験条件によって行う。試料をゆっ
くりと一様な速さで円筒周囲に巻き付け,その後解きほどく。これを1サイクルとする。巻き付け
るときの張力は,試料を円筒に巻き付けるために十分な力とする。
なお,光ファイバコードの断面が円形状でない場合は,短径方向に曲げる。
3) 最終測定 試験後の光ファイバコードの,損失の測定及び外観試験を行う。
なお,光ファイバの把持部で断線しているときは,その試験を無効とし,再試験する。
表4 コード曲げ試験条件
円筒の直径 mm
巻付け数 回
サイクル数
50
6
10
c) 個別規格に規定する事項
1) 円筒の直径
2) 巻付け数
3) サイクル数
4) 試験後の損失増加
7.5
コードねじり試験方法
7.5.1
装置 コードねじり試験装置の例を図6及び図7に示す。図6及び図7のように固定クランプ,試
料にねじれを与える回転クランプ,及び試験中一定の引張荷重を試料にかけるためのおもりから構成する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図6 コード試験装置の構造(横形)
図7 コード試験装置の構造(縦形)
7.5.2
手順
a) 準備 試料の両端末は,光コネクタ又は光ファイバ素線及びシースを一体にして把持できる方法で処
理する。試験前後で,光ファイバの損失変化が測定できるようにする。損失変化の測定は,JIS C 6863
の5.に規定の方法,又は光パワーの連続測定によることとする。
b) 試験 コードねじり試験は,個別規格に規定がない限り,表5の試験条件によって行う。試料をシー
スが動かないように固定クランプに固定し,他端を回転クランプに固定する。回転クランプを180°
だけ時計方向に回転させる。次に,スタート位置まで戻し,同じ角度だけ反時計方向に回転させる。
さらにスタート位置まで戻して,1サイクルとする。
c) 最終測定 試験後の光ファイバコードの,損失の測定及び外観試験を行う。
なお,光ファイバの把持部で断線しているときは,その試験を無効とし,再試験する。
表5 コードねじり試験条件
試料長 mm
おもりの質量 kg サイクル数
250
0.5
20
7.5.3
個別規格に規定する事項
1) 試料長
2) おもりの質量
3) サイクル数
4) 試験後の損失増加
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
光ファイバ標準化委員会 構成表(平成10年度)
氏名
所属
(委員長)
川 瀬 正 明
日本電信電話株式会社
五十嵐 嘉 彦
株式会社フジクラ
石 田 之 則
日本工業大学
岩 崎 匡 利
株式会社協和エクシオ
植 山 範 行
日本ルーセント・テクノロジー株式会社
生 方 裕 史
三菱電線工業株式会社
江 上 浩 二
コーニングインターナショナル株式会社
大 島 良 夫
東日本旅客鉄道株式会社
大 橋 省 吾
昭和電線電纜株式会社
小 田 英 輔
社団法人日本電線工業会
木 下 和 孝
東京電力株式会社
佐々木 豊
茨城大学
高 橋 聡
三菱レイヨン株式会社
戸木田 茂
株式会社マイクロオプト
波 平 宜 敬
株式会社KDD研究所
橋 爪 邦 隆
通商産業省工業技術院標準部
宮 崎 康 秀
シーコアインターナショナルコーポレーション
山 崎 秀 夫
日立電線株式会社
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会
脇 田 徹
古河電気工業株式会社
和 田 英 男
防衛庁
増 田 岳 夫
財団法人光産業技術振興協会
(オブザーバ)
田 村 正 之
社団法人日本化学工業協会
(事務局)
堀 切 賢 治
財団法人光産業技術振興協会